SEOとは、Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)の略です。ウェブページが検索エンジンの上位に表示されるよう、いわゆる「SEO対策」としてさまざまな策を講じることをいいます。
しかし、SEO対策は非常に奥が深いため、小手先のテクニックを使っても成功しません。「本当に質の良いコンテンツとは何か」「ユーザーが使いやすいサイトとはどんなものか」を考え、的確にサイト制作へと落とし込んでいく必要があります。
そこでこの記事では、SEOの基本概要と具体的な施策の種類、Googleのガイドラインや各種ツールの活用方法をトータルで解説します。
これからSEOに携わる方や、SEOの基本を再確認したい方は、ぜひご一読ください。
目次
ウェブマーケティングにおいてSEO対策は重要な手法の一つです。その一方で、目的や重要性をきちんと理解できていなかったり、間違った方法で結果につながっていないケースがとても多くみられます。
SEOとは具体的にどういったことを指しているのでしょうか。まずは、SEOの基本となる部分から、おさえていきましょう。
SEOの正式名称は、Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)です。この頭文字をとってSEOと略されています。
SEOとは、ユーザーの検索意図に対して、適切な解決策へと導く「優良なコンテンツ」を、検索上位に表示させる仕組みのことをいいます。
具体的には、検索キーワードからユーザーが知りたいことを検索エンジンが的確に読み取り、同時に「ユーザーに役立つ情報を提供しているサイト」=「有益で価値のあるコンテンツ」を判断して検索上位に表示させます。
SEO対策としては、数多くのキーワードを埋め込むなどのテクニックのみで「上位表示」を目指す傾向がみられますが、その前に「ユーザーの検索意図を的確に把握しているかどうか」や「ユーザーが本当に求めている情報があるかどうか」という視点が欠かせないのです。
最終的に商品やサービスへの訴求につなげるとしても、まずは「ユーザーファーストの良質なコンテンツ」を提供し、ユーザーの「信頼」を獲得していくことが非常に重要といえます。
SEOを実践する目的には、大きく2つあります。
一つは、継続的な集客が見込めるという点です。SEOでは、コンテンツが検索エンジンに高く評価されれば、少なくとも数カ月、長くて数年以上は「検索流入」という形で一定の集客数を確保できます。
コンテンツの作成には手間や時間、コストがかかりますが、Web広告やセミナー、イベントの開催といった他の集客方法に比べれば、コストパフォーマンスは良好です。つまり、SEOは他の集客方法よりも、低コストで継続的な集客を実現することが可能といえるのです。
また、もう一つのSEOの重要な目的は「Webサイトからのコンバージョンの獲得」です。
低コストで継続的な集客ができても、最終的に「成果」=「コンバージョン」に結びつかなければSEO対策の意味はありません。
コンバージョン獲得につながるよう、常にユーザーの動向を分析し、ユーザーニーズを満たすコンテンツ作成を心がけることが大切です。また、コンバージョンページやナビゲーション配置といった設計についての工夫もSEO対策の一環といえるでしょう。
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SEOが重要な集客方法であることをお伝えしましたが、実際のSEO対策にはどのような手法があるのでしょうか。ここでは、代表的なSEO対策の種類を紹介します。
内部SEOとは、ウェブサイト内部で行うSEO施策のことをいいます。内部SEO施策を行うことで、検索エンジンを調査しているクローラーへの認知を促すことができ、正しくインデックス(検索エンジンへの登録)させることにつながります。その結果、検索のランキングへの反映を早めることができるのです。
また、内部リンクの整備を行うことも重要です。内部リンクとは、同じウェブサイト内のページ同士をリンクさせて、サイト内の回遊率を高めることをいいます。サイト内の回遊率を高めることで、ユーザーは欲しい情報が見つけやすくなり、コンバージョンにもつながりやすくなるという効果があります。
関連するキーワードで複数のコンテンツが制作できたら、コンテンツ同士をリンクさせたり、コンバージョンページへのリンクを貼るなどして導線設計を積極的に行いましょう。
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外部SEOとは、ウェブサイトに対する外部からの評価を高める施策です。検索エンジンの評価基準の一つに「被リンクの獲得」があげられています。
関連性の高いテーマを扱うサイトや、信頼性の高いサイトから「被リンク」をもらうことによって「このサイトの情報は有益である」と判断される仕組み、それが被リンクによる評価です。
被リンクはあくまでも、自然な形で設置されていることが重要です。有益で価値のあるコンテンツを提供していれば、自然とSNSでシェアされたり、外部サイトで紹介されたりする機会も増えるでしょう。
そのため、外部SEO施策の根本的な対策とは、「ユーザーにとって有用なコンテンツ作り」を徹底することにあります。有料リンクを購入したり、自作自演リンクを設置したりするようなブラックハットなやり方は逆効果になるとされているので、行わないように注意しましょう。
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ユーザーにとって有益で価値のあるコンテンツを提供することが、最大のSEO対策です。キーワードから読み取れるユーザーの検索意図にどれだけ寄り添い、明確な回答や情報を提示できているかがとても重要になります。
このように、ユーザーの検索意図に応じた質の高い記事を継続して公開することを「コンテンツSEO」といいます。
コンテンツSEOは、SEO対策の要となる要素といえます。どんなに他のSEO対策を徹底しても、コンテンツの質が不十分であれば検索エンジンやユーザーから評価されることはなく、上位表示も難しいのが現実です。
まずは、質の高いコンテンツを制作し公開し続けていくことが最大のSEO対策となることを念頭に置いておきましょう。
コンテンツSEOとは?メリット・デメリット、手順やコツを紹介!
ページエクスペリエンスとは、ウェブページに記載された情報以外の価値を示す言葉です。
例えば、ページの読み込み速度や視覚的な安定性、モバイルフレンドリーなど、ユーザーに、より快適なウェブ体験を提供するためにページを最適化していくことを意図しています。
Googleのガイドラインに挙げられている「ページエクスペリエンスシグナル」には以下の6つがあります。
その中でも、もっとも重要な核となるのが「読み込み時間読み込み時間(LCP)、インタラクティブ性(FID)、ページコンテンツの視覚的な安定性(CLS)の3つです。これらはコアウェブバイタルと呼ばれ、とくに重要視されています。
コンテンツの中身と同様に、ユーザーがより快適にコンテンツを閲覧できるよう、ページを最適化していくことも、SEOにおける必要不可欠な対策となるのです。
コアウェブバイタルとは?対策と確認方法、改善策を徹底解説
SEOに携わるようになって間もない場合、さまざまなSEO対策を前に、どこから手をつけたら良いのか困ってしまうことも少なくないでしょう。ここからは、ウェブ初心者が最初におさえておきたい3つのポイントについてお伝えします。
SEO対策は細かな手法まで含めると数多くの施策が存在しますが、迷ったときは、「検索体験の最適化」という施策を優先してみましょう。
それは、現代のSEOでは「検索エンジン最適化 × 検索体験最適化」という2つをかけ合わせた施策が重要視されるようになってきたからです。
情報社会の現代では、良質なコンテンツを作るのはもはや大前提です。そのうえで、検索エンジンに高く評価されるためには「サイトやページの使いやすさ」をどこまで追求できているかが注目されています。
検索体験最適化を実現するためには、サイトを作るときに「ユーザーの視点」に立ってコンテンツをチェックしたり、サイトの動作を確認する必要があります。
読みにくい箇所はないか、動作の遅さやタイムラグはないか、セキュリティ対策はできているかなどを、利用者の視点でチェックして改善するのが得策です。
ユーザーは、サイトに訪問するお客様です。そのお客様にどのような体験をしてほしいか、どのようなおもてなしができるか、という意識を持つことが現代のSEO対策では求められているのです。
SEO対策に取り組む前に知っておくべきなのは、SEOは長期戦であり、時間がかかるという点です。本格的にSEOを導入してから、目に見える成果が出るまでに平均して1年はかかると考えておきましょう。
大量の情報が公開されている中、Googleがウェブサイトのページを正しく評価するまでにはかなりの時間がかかります。
また、正しい評価が下るまでに、検索順位は上がったり下がったりを繰り返します。渾身のコンテンツであっても、正当な評価を得て検索上位に表示されるまでには数カ月単位の時間がかかることもめずらしくないのです。
SEOはコストパフォーマンスの良い集客方法ではありますが、地道な作業を長期間に渡ってコツコツ続けていくマラソンのような手法と考えてると良いでしょう。
常に、ユーザーのニーズを意識してサイトを作ることも大切です。そのために、まずは「ユーザーがどのようなことを求めているのか」をしっかり分析し知ることが重要です。
そして「ユーザーニーズに、どう応えることができるか」を考えていきます。
ユーザーが求めていることと、コンテンツが提供できること、この2点がマッチする部分を見つけ、記事やサイト設計に落とし込んでいくことこそが、集客やコンバージョンにつながるサイト作りの基本となります。
ユーザーのニーズにあったサイトやコンテンツを作るには、以下のような工程が必要になります。
ユーザーニーズや検索キーワードは、Googleが提供している各種ツールを使って調べることが可能です。各種ツールについては後述します。
ウェブマスター向けガイドラインとは、Googleの検索エンジンにページをインデックスするために必要なルールをまとめたマニュアルのようなものです。SEOに携わるのであれば、一度は目を通しておきたい重要な資料といえます。
ガイドラインは「一般的なガイドライン」と「品質に関するガイドライン」の2つに分かれています。ここでは、各ガイドラインの内容や活用方法などを紹介します。
「一般的なガイドライン」とは、SEOの基本ルールがマニュアル化されたものです。Googleやユーザーにとって、理解しやすく使いやすいサイトを作るための方法や、技術的なポイントを示した内容となっています。
例えば、「検索キーワードをタイトルや見出しに挿入する」「ページの読み込み速度を最適化する」といった、基本のSEOテクニックが記載されています。
「一般的なガイドライン」に沿ったサイトを制作することができれば、クローラーに見つけてもらいやすくなり、結果として検索エンジンにも登録されやすくなるのです。
「一般的なガイドライン」の内容は、サイト制作時だけでなく更新やリライト作業など、サイトを運営するうえでも重要です。SEOに携わる場合は、必ず目を通しておきましょう。
「品質に関するガイドライン」とは、コンテンツ評価の基本方針や、偽装・不正行為などについてのルールが記載されたものです。
SEOコンテンツを制作するうえで「Googleは、コンテンツの質をどのように評価しているのか?」と疑問に思うことがあるかもしれません。
実際は、一つ一つコンテンツを読み込んで評価しているわけではなく、この「品質に関するガイドライン」にどれだけ沿っているかで評価を下していると考えられています。
Googleの「品質に関するガイドライン」の例を挙げてみると、以下のような基本方針が掲げられています。
このように「品質に関するガイドライン」に記載された方針に沿ってコンテンツやサイトを制作していけば、おのずとユーザーファーストなサイトが作れるようになるというわけです。
また、Googleでは検索順位を上げるための不正行為を禁止しており、禁止事項に関しても「品質に関するガイドライン」に明記されています。スパム行為や不正行為をした場合、Googleからのペナルティを受け、検索順位が大幅に下がったり、検索結果に表示されなくなったりすることもあります。
サイトマップとは?SEO対策のXMLサイトマップ(sitemap xml)の作り方
Webサイト運営者なら誰でも知っているサイトマップですが、何のために必要なのでしょうか?また、XMLサイトマップとHTMLサイトマップのどちらかがあればいいのでしょうか?サイトマップについて基本的なところから解説します。
Googleが、Webページを検出できるようにするには、クローラーに巡回してもらい、インデックスされる必要があります。とはいえど、どれだけ良質なコンテンツを公開しても、自然にクローラーが巡回してくるとは限りません。
コンテンツを公開したら「一般的なガイドライン」の内容に沿って、Googleが検出できるように準備を整えましょう。ページ検索を促すためにおすすめの方法は以下のとおりです。
GoogleSearchConsoleについては、後述します。
サイトマップとは?SEO対策のXMLサイトマップ(sitemap xml)の作り方
Webサイト運営者なら誰でも知っているサイトマップですが、何のために必要なのでしょうか?また、XMLサイトマップとHTMLサイトマップのどちらかがあればいいのでしょうか?サイトマップについて基本的なところから解説します。
Googleが、サイトを正当に評価するには、クローラーが「理解しやすいサイト」を作ることも忘れてはいけません。
クローラーがサイト内のページを、くまなく巡回して評価するという仕組みにおいては、コンテンツ内容だけでなく、「検索キーワード」が重要な役割を果たすようになります。
これはコンテンツ内に埋め込まれた「検索キーワード」をクローラーが拾っていくことで、「何について書かれたコンテンツなのか」を把握していくためです。
また、タイトルや見出し、タグ、alt属性などにも、キーワードを含めることも非常に有効です。その際、やみくもにキーワードを入れ込むような不自然な形は評価を下げるとされているので、あくまでも自然な形で埋めるように注意しましょう。
実際にサイトを訪問した人が、よりスムーズで快適にコンテンツを読んだり、情報を取得できたりするか、つまり、「ユーザーエクスペリエンス(UX)」を高める視点も考慮しなくてはなりません。
例えば、以下のような事柄がUXに大きく影響すると考えられています。
上位表示を目指すのに、UXを追求していくことが重要な理由は、素晴らしい内容のコンテンツであっても、読み込み速度が遅かったり、ボタンが押しづらいというだけでも、ユーザーの離脱につながることが多々あるからです。
これらを叶える具体的な方法は、GoogleガイドラインのSEOスターターガイドなどを活用することも有効です。チェックしてみましょう。
UI/UXとは?意味と違いをわかりやすく解説
この記事では、UI/UXのデザインに焦点をあてて解説します。近年競合サイトとの差別化を図るために、「UI」および「UX」が重要視されています。その理由やデザインする際のポイントなど、初めての方でも「UI」と「UX」について理解できるように紹介します。
SEOを実践するうえでは、Googleが提供する各種ツールの活用が欠かせません。トレンドやキーワードニーズをおさえること、またサイト内や検索エンジン上でのユーザーの動向を調査するなど、ツールを使えばあらゆる情報やデータを無料で取得することが可能です。
ここでは、ウェブ担当者が知っておきたいSEOの基本ツールを5つ紹介します。
Google Search Console(グーグルサーチコンソール)は、アクセス解析に必須のツールです。通称「サチコ」とも呼ばれ、検索エンジン上で自分のサイトがどのように表示されているかをデータで見ることができます。
SearchConsoleで取得できる情報には、例えば次のようなものがあります。
自分のサイトが、検索上でからどのように見えているか、どのように評価されているかを知ることができるので必ず導入しておきましょう。
Googleサーチコンソールとは?使い方と登録方法や設定を解説
Webサイトの集客状況を分析する際にGoogleアナリティクスと同じくらい役立つのがGoogleサーチコンソールです。サーチコンソールへの登録方法やGoogleアナリティクスとの連携方法について、わかりやすく解説します。
Google Analyitics(グーグルアナリティクス)は、サイト内でユーザーがどのような行動をとっているかを分析できるツールです。Search Consoleと並んで、主要なアクセス解析ツールとなっています。
Google Analyiticsで取得できるデータの一例は次のとおりです。
上記はほんの一例ですが、サイト内におけるユーザーの行動を細かくデータ化してくれます。サイトやコンテンツの改善にも欠かせないツールなので、こちらも必ず導入しておきましょう。
SearchConsoleは「ユーザーがサイトに訪れる前の行動」を分析しますが、Google Analyiticsは「ユーザーがサイトを訪問してからの行動」を分析するという明確な違いがあります。両者はどちらも欠けてはならない情報なので、併用して使うことをおすすめします。
Googleアナリティクスで出来ることは?初心者向けに使い方も解説
PageSpeed Insights(ページスピードインサイト)は、ページの表示速度を計測するためのツールです。計測したいページのURLを入力するだけの簡単操作が魅力です。URLさえわかれば計測可能なので、競合サイトのページスピードを測ることもできます。
計測結果は100点満点のスコアで表示され、モバイルの場合は70点以上、デスクトップでは90点以上を合格点として評価されます。計測や評価だけでなく、改善のポイントも提示してくれるため、表示速度を最適化する際にはぜひ活用してみてください。
ページスピードインサイト(Google PageSpeed Insights)の使い方!見方や改善方法を解説
Googleキーワードプランナーは、検索キーワードの選定に役立つツールです。どんなキーワードに需要があるのかを調べることや、集客につながるキーワードを見つけるときなどに役立ちます。
キーワードプランナーでは、以下のような情報を取得できます。
SEO対策においては、主に月間検索ボリュームや関連キーワード調査、競合性などをチェックするのに使います。
SEOコンテンツの作成にはキーワードが大きな軸となります。キーワードはやみくもに決めるのではなく、キーワードプランナーを使って的確に選定することが重要なので、こちらも必須のツールといえるでしょう。
ただし、正確な月間検索ボリュームを知るためには、実際に広告出稿する必要があります。広告出稿をせずに無料で利用する場合、月間検索ボリュームが1万〜10万といったおおよその数で表示されるので注意が必要です。
Googleキーワードプランナーの使い方!代わりになるツールも紹介
Googleトレンドとは、検索キーワードの需要を調べるツールです。キーワードの人気度をグラフ推移によって表示してくれるので、どんなキーワードがどの時期に、どのくらい人気になるのかといった市場調査が簡単にできるようになります。
Googleトレンドは、コンテンツの企画時に大いに役立ちます。市場ではどんなワードが人気なのかを知ることで、アクセスを集めやすい注目のコンテンツを作ることができるようになるためです。
また、Googleトレンドでは、キーワードごとの検索数を調べることはできませんのでご注意ください。検索数についてはキーワードプランナーを併用することをおすすめします。
SEOの基本は、ユーザーにとって役に立つ有益なコンテンツを作ることです。加えて、近年では「操作性の良さ」や「見やすさ」といった使いやすさも重視されるようになってきました。
コンテンツの中身はもちろん、基本的なSEO対策を徹底すること、また技術面のブラッシュアップを行っていく必要もあります。
その際は自己流で進めるのではなく、Googleのガイドラインや、Googleが提供する各種ツールを上手に活用していきましょう。
成果が出るまでには時間も労力もかかりますが、ときどきSEOの基本を振り返りながら、丁寧なサイト作りを根気よく続けてみてください。