SEOの立て直しといえば、既存コンテンツのリライトや被リンク対策などが一般的です。
また、これらの施策と同時に「FIDの改善もしなければ……」と、頭を悩ませている方が少なくありません。
FIDとは、ユーザーエクスペリエンス(UX)の指標として提唱された、重要な指標群「Core Web Vitals(コアウェブバイタル)」の中に含まれる指標の一つです。同じような内容のコンテンツがある場合、FIDの数値が優れたページほど高く評価されます。
そこでこの記事では、FIDとSEOの関係、そしてFIDの悪化原因や改善方法を詳しく解説します。
コアウェブバイタルとは?対策と確認方法、改善策を徹底解説
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目次
FID(First Input Delay)とは
FIDは、Core Web Vitals(コアウェブバイタル)の一つです。
そもそもコアウェブバイタルとは、ユーザーエクスペリエンスの質に関する指標のうち、特に重要なものと設定されているものです。優れたユーザー体験提供を実現するために重視されており、現在は検索結果の順位を左右する要素の一つでもあります。
また、FIDはページの反応速度の指標です。First Input Delayの頭文字を組み合わせた用語で、日本語では「初回入力遅延」と訳されます。
初回入力とはユーザーがページ内で最初に行うアクションのことであり、FIDは初回入力が行われてからブラウザが反応するまでにかかった遅延を意味します。
「良好」「改善が必要」「不良」の基準
FIDの数値はミリ秒で表し、100ミリ秒未満が良好(理想の数値)です。300ミリ秒以下は要改善、300ミリを超えると不良と判断されます。
Webページはモバイルフレンドリーであることが前提となり、UI/UXがSEO上の評価項目にもなっています。
FIDの計測方法
FIDの計測方法は、主に以下の3種類です。
- Search Consoleの「ウェブに関する主な指標」
- PageSpeed Insights
- Chrome拡張機能(Light House(ライトハウス))
それぞれの方法について確認方法や注意点を解説します。
Search Consoleの「ウェブに関する主な指標」
Search Consoleの機能「ウェブに関する主な指標」では、FIDを含めたコアウェブバイタルの傾向を把握できます。問題があるページがどこなのかが確認できるため、効率的な改善が可能です。
コアウェブバイタルの傾向は3つの区分で表示され、判定の意味は以下のとおりです。
- 良好:Good FID100ミリ秒未満
- 改善が必要:Need Improvement 300ミリ秒以下
- 不良:Poor 300ミリ秒を超える
ただし、Search Consoleではコアウェブバイタルの問題の有無は把握できますが、問題のある具体的な箇所までは表示されません。そのため、FIDが不良・改善が必要と判定されたページについて、別の方法で問題箇所の分析が必要です。
PageSpeed Insights
PageSpeed InsightsはWebサイトの表示速度を計測するツールです。表示速度の指標そのものだけでなく、修正が必要な箇所や改善提案も表示されます。
以下の流れでページの表示速度を計測します。
- PageSpeed Insightsのトップページにある入力ボックスに、ページの表示速度を計測したいURLを入力する
- 「分析」をクリックする
結果画面では、FIDを含めたコアウェブバイタルの数値や修正箇所、改善提案などが表示されます。これらのデータを分析することで、FID改善に効果的な施策の展開が可能です。
ただし、表示されるスコアは計測環境によって異なる可能性があります。より正確な情報・ユーザーの利用環境に近いデータを得るためには、複数の環境でPageSpeed Insightsを利用するのが理想です。
ページスピードインサイト(Google PageSpeed Insights)の使い方!見方や改善方法を解説
Chrome拡張機能(Light House(ライトハウス))
Chrome拡張機能のLight House(ライトハウス)は、現在閲覧しているページのUX問題を特定するのに便利なツールです。パフォーマンスのほか、アクセシビリティ・SEOなどのスコアも表示されます。
Light Houseは、FID自体の判定はできませんが、相関する指標であるTBT(Total Blocking Time)の判定が可能です。
TBTは合計ブロック時間のことであり、クリックやタップなどのユーザー操作がブロックされた時間の合計を意味します。具体的な基準は以下のとおりです。
- 0~300ミリ秒:速い 良好
- 300~600ミリ秒:中程度
- 600ミリ秒以上:遅い
TBTは、パフォーマンス項目の一つとして表示されます。TBTの改善はページ表示速度、すなわちFIDの改善につながります。
FIDの悪化原因
FIDを改善するためには、そもそもなぜFIDが悪化してしまうのか原因を知ることが大切です。
JavaScript実行数が多い
FID悪化の大きな原因は、JavaScriptの実行数が多いことです。
JavaScriptはプログラミング言語の一つで、動的なWebページを作成できます。ページの機能性やオリジナリティを高めるうえで役立ちますが、大量のJavaScriptが実行されているとブラウザはユーザーの操作に応答ができません。
そのため、JavaScriptの実行数の多さが、FIDの悪化につながるのです。
FIDの改善方法
FIDを改善する方法として、以下の3つがあげられます。
- Webワーカーを活用し反応速度を速くする:Webワーカーを使えばJavaScriptをバックランドスレッドで実行できます。メインスレッドはユーザー操作への応答に集中できるため、FIDの改善につながる手段です
- JavaScriptの量を減らす:不要・未使用のJavaScriptを減らすのも効果的です
- 長いタスクを分割する:長いタスクの実行期間中はユーザーの操作へ反応できず、FIDが悪化する原因になります。メインスレッドを50ミリ秒以上ブロックするコードを分割することで、FIDの改善が期待できます
ただし、FIDの改善策を実施するにあたって、以下の2点に注意が必要です。
- コード圧縮はエンジニアと相談する
- 不要なアクションやコードを減らす
注意点についてそれぞれ詳しく解説します。
コード圧縮はエンジニアと相談する
コード圧縮を実施する際は、必ず事前にエンジニアと相談しましょう。
コード圧縮はプラグインで実装できる場合もあります。プログラミングの専門知識がなくても、コード圧縮によるFID改善が実施できるケースも少なくありません。
しかし、JavaScriptは複数コードが連動している場合があり、安易に実装すると外観や動きが崩れてしまう恐れがあります。
コード周りに触れる際は、必ずエンジニアやシステム担当者と相談し、バックアップを取りながら進めることが大切です。
不要なアクションやコードを減らす
FID改善を進める際は、不要なアクションやコードを減らす意識を忘れないようにしましょう。
JavaScriptは、リッチなデザインやアクション数が多いサイトで実行数が増えますJavaScriptを減らせば確かにFIDは改善しますが、表示速度を目的に減らしすぎるとページの表示が崩れてしまいます。
FIDの改善にはJavaScriptを減らすことが有効とはいえ、必要なアクションやコードを減らしては効果が落ちてしまう恐れが大きいです。減らすのはあくまで不要なもののみに抑える必要があります。
サイトがリッチすぎる場合には、ポップアップだけではなく改修がおすすめです。
FIDはUX改善の指標として有効
FIDは、SEO施策に必要というだけではなく、UX改善の指標としても有効です。Webサイトにおける、最初のページ操作での反応速度は、サイト全体の品質や信頼性へのイメージを形作るうえでも重要です。
また、FIDだけチェックしていれば良いわけではなく、その他の指標も監視、改善していく必要があります。そのため、まずはツールの使い方などに早くから慣れておきましょう。
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