マーケティング

最終更新日: 2022.10.14

カスタマージャーニーマップとは?目的と作り方、事例を解説

カスタマージャーニーマップとは?目的と作り方、事例を解説

近年、顧客の消費行動は大きく変化しています。これらに対応するためには、企業視点ではなく顧客視点でのマーケティング施策が重要です。そして、顧客視点のマーケティング活動をするためには、顧客が購入や導入に至るまでに取る行動パターンを把握する必要があります。そこで役立つのが、カスタマージャーニーマップです。

カスタマージャーニーマップは、顧客行動を仮説や実例から可視化し、顧客とのタッチポイントを明らかにします。この記事では、カスタマージャーニーマップを作る目的とメリット・デメリット、さらに、作り方や作成に役立つツールについて詳しく解説します。

目次

カスタマージャーニーマップを作る目的

カスタマージャーニーマップを作る目的

カスタマージャーニーマップとは、「顧客の旅」を意味する言葉で、顧客が商品やサービスを認知してから検討・購入・活用までに見られる一連の流れを、ステージごとに可視化・図式化させたものです。顧客となるユーザーが各ステージにおいて、どのような行動を取るか、どういった思考をするのかをまとめることで、顧客理解を深めることに役立ちます。

ここではまず、カスタマージャーニーマップを作る前に、「なぜ作るのか」「どうして重要なのか」について解説します。

1.ユーザーの行動や感情が網羅的に分かる

カスタマージャーニーマップを作ると、ユーザーの行動や感情の動きが網羅的に分かるようになります。これは顧客視点でのマーケティング活動において必要不可欠です。ユーザーを購入や利用に促し満足度を高めるためには、ユーザーについて知る必要があります。この場合に知るべきことは、ユーザーが商品やサービスと出会ってから購入・利用するまでの全てです。

特定の部分だけを改善しても、どこかでつまづいてしまう状態では、適切なマーケティング活動とはいえません。しかし、カスタマージャーニーマップを作成すれば、マーケティングにおいて必要な情報を網羅できます。これまで認識していなかった課題の発見に役立ち、一連の流れをスムーズに進められるようになるため、網羅的なユーザー分析を進めるうえで非常に有用です。

2.チーム全体で共通認識を持てる

カスタマージャーニーマップを作成すると、チーム全体で共通認識を持てるようになります。マーケティングで成果を出すためには、チーム全体で認識をあわせることが必要不可欠です。

マーケティングにおいて何らかの課題があることを把握していたとしても、必ずしも全員の認識が一致しているとは限りません。また、共通認識を作ろうとしても、課題が可視化できていなければ納得するのも難しいです。効率的にマーケティング施策を進めるためには、共通認識を持てる状態にする必要があります。

3.課題の優先度を明確化できる

カスタマージャーニーマップを作成すると、対策を進めるべき課題の優先度を明確化できます。マーケティング施策における課題は、複数存在するケースが多いです。施策を効率的に進めるためには、優先度が高いものから解消する必要があります。課題の優先度を見誤ってしまうと、成果が出るまでに長い時間がかかってしまいます。

カスタマージャーニーマップで、課題が存在する場所や内容を可視化すれば、どこから手をつける必要があるかが分かりやすくなります

4.顧客接点の多様化や消費者行動の変化を掴める

カスタマージャーニーマップは、顧客接点の多様化や消費者行動の変化によって、必要性が高まっています。顧客接点が多様化した主な理由として、インターネットの普及があります。これまでは企業が発信した広告や知人との会話、さらには店舗などでの直接的な出会いが接点でした。しかし現代は、ブログやSNSなど多様な接点が存在します。

また、消費者行動の変化も非常に大きいです。インターネットが普及したことにより、ユーザーが商品やサービスなどを認知してから購入するまでに踏むステップが増えています。この事実を認識せず、過去の経験に沿ってマーケティング施策を進めてしまうと、消費者行動にあわない可能性が高いです。

顧客接点や消費者行動をしっかり把握し、適切な施策を取るためにはカスタマージャーニーマップを作成する必要があります。

5.顧客ロイヤリティの重要度を把握できる

商品やサービスが溢れ、情報収集の手段も多い現代において、顧客ロイヤリティの重要度は非常に高いです。顧客ロイヤリティを満たすためには、顧客理解や顧客視点が必要であり、それらにはカスタマージャーニーマップが必要とされています。

また、事業の安定には新規顧客の開拓だけでなく、一度購入した顧客による継続的な利用やファン獲得も必要です。特に現代は多様な商品やサービスが溢れているため、顧客ロイヤリティの獲得が求められています。このように現代における顧客ロイヤリティの重要性と、カスタマージャーニーマップは非常に相性が良いといえます。

カスタマージャーニーマップの作り方と手順

カスタマージャーニーマップの作り方と手順

ここからは、カスタマージャーニーマップの作り方と具体的な手順を見ていきましょう。

1.ゴールと目的を設定する

最初に行うべきことは、ゴールと目的の設定です。ゴールと目的の設定は、カスタマージャーニーマップを作成して何を達成したいかを意味します。カスタマージャーニーマップの作成に限らず、施策を進めるうえではゴールと目的の明確化が必要です。

なぜこの施策を行うのか、この施策で何を達成したいのかを明確にできないと、無駄の発生や必要以上の手間となる原因になります。

ゴールや目的の例をいくつか紹介します。

  • 新規顧客を獲得するために行うべき施策を明確にする
  • 売上アップのため接点を持ったユーザーの購入率を高める
  • 自社のユーザーがどのような流れで購入に至るのか把握する
  • 新規事業を展開するためにユーザーのニーズを確認する

カスタマージャーニーマップを使いこなすためには、まず作成するゴールと目的の設定が必要です。

2.対象ペルソナを設定する

ゴールと目的の設定と同様に、対象ペルソナの設定も重要です。対象ペルソナの設定とは、カスタマージャーニーマップを辿る具体的な人物像を決めることをいいます。

ぼんやりとした設定で施策を進めようとしても、やはりぼんやりと進んでしまい良い成果を得られません。そのため対象ペルソナは、なるべく具体的に設定することが大切です。ペルソナを設定するうえで活用できる項目の例は、以下のとおりです。

  • 年齢や性別
  • 職業
  • 趣味
  • 価値観
  • 解消したい悩み
  • ライフスタイル
  • 行動

ペルソナはすでに獲得している顧客データの他、関係者が想像しているターゲット像を生かすこともできます。実在する人を参考にしながら、細部を想像で補うことも可能です。

なお、ペルソナを設定する際には、ターゲットとの違いをしっかり認識しておきましょう。ターゲットとは属性で絞り込んだもので、例えば「オフィスで働く20代女性」「子どもを持つ30代男性」など複数を指します。

一方でペルソナは一人の人物であり、架空の存在である点が大きな違いです。カスタマージャーニーマップで必要となるのは、主人公となる一人のペルソナです。
ペルソナとは?役割と定義、設定ポイントを解説 ペルソナとは?役割と定義、設定ポイントを解説

3.想定ペルソナの行動を時系列で並べる

ペルソナの設定が完了したら、想定ペルソナが取る行動を時系列で並べていきます。カスタマージャーニーマップは縦軸で具体的な行動や思考、横軸で購買までのステージを表すことが多いです。思考や感情も考えると複雑になってしまうため、まずは行動から考えていきます。

ステージの設定方法はさまざまですが、最低限以下の項目を用意すると便利です。

  • 商品やサービスを知る
  • 興味・関心を持つ
  • 他社と比較・検討をする
  • 購入・利用をする
  • 導入後の行動

例えば、商品やサービスを知るステージでは、どのような行動によって認知するかをあげていきます。店頭での発見や知人との会話、近年ではインターネット検索の結果やSNSの投稿で知ることもあるでしょう。また、購買後の行動もマーケティングにおいて重要なポイントです。「SNSや口コミサイトで感想を投稿する」「継続利用を検討する」などがあげられます。

もしかしたら適切な活用法が分からず、インターネットで調べるかもしれません。想定ペルソナが取ると考えられる行動を設計し、横軸に沿って時系列に並べていきます。ペルソナによって、取ると考えられる行動は異なります。なるべく具体的な想像をしながら、カスタマージャーニーマップを埋めていくことが重要です。

4.思考や感情を想像し整理する

カスタマージャーニーマップに行動を並べたら、続いてペルソナの中で生まれる思考や感情を想像して整理します。ユーザーがどのような思考をし、どういった感情を抱くかを想像することが、適切なマーケティング施策を進めるために重要です。

人間は合理性や理論に基づいただけでなく、感情によって行動を起こすことがあります。そのためユーザーが抱く感情を無視してしまうと、適切な施策を取れなくなってしまう可能性が高いです。前述した想定ペルソナの行動と照らしあわせながら、各ステージや行動における思考や感情を整理する必要があります。感情を簡単なイラストで表すと分かりやすくなります。

5.接点(タッチポイント)を考える

接点(タッチポイント)とは、ユーザーと商品やサービスが接する部分です。カスタマージャーニーマップを作成する際には、この接点についてしっかり考える必要があります。接点となり得る要素はさまざまです。

例として、以下があります。

  • 店頭で直接見かける
  • 街中の広告で知る
  • 友人や知人との会話で聞く
  • 検索エンジンからたまたま自社サイトやコンテンツに辿り着く
  • SNSの投稿を読む

接点によって効果的な施策や取るべき対策が異なるため、まずは現状における接点がどのようなものかを確認しましょう。また、現状の分析だけでなく、今後新たに作るべき接点についても検討が大切です。ユーザーが取る行動の傾向や情勢などによって、重視するべき接点は違います。

考えた接点をカスタマージャーニーマップに反映させると、ユーザーの動きをより明確化することが可能です。

6.ステージごとに課題分析をする

各ステージで取る行動やそれに伴う感情、ユーザーと商材が接するポイントなどが明らかになりました。ここまで完了するとカスタマージャーニーマップはほぼ完成ですが、作成して満足ではいけません。カスタマージャーニーマップを使い、ステージごとに課題分析をする必要があります。

作成したカスタマージャーニーマップを自社の現状と照らしあわせてください。するとユーザーのステージごとに、どのような課題を抱えているのか分析しやすくなります。

例えば、他社と比較・検討をするステージにおいて、ユーザーは自分にとっての必要性や、商品を選ぶための情報収集などを行います。もしこのステージで自社の商品やサービスについて魅力を伝えられなければ、ユーザーを次のステージへ進めることは難しいでしょう。

この課題を解消するにはユーザーに魅力を伝えられるよう、コンテンツ制作やSNS発信などが必要だと判断できます。大切なのは、ステージごとに課題を分析することです。「このステージは問題ない」と飛ばすことなく、一度しっかり分析・検討をしましょう。カスタマージャーニーマップで顧客視点を得ると、思わぬ課題が見つかる可能性があります。
BtoBのカスタマージャーニーマップのポイント、顧客課題やペルソナ BtoBのカスタマージャーニーマップのポイント、顧客課題やペルソナ

カスタマージャーニーマップ作成時の注意点

カスタマージャーニーマップ作成時の注意点

カスタマージャーニーマップは非常に便利ですが、作成方法を誤ってしまうと効果が発揮できません。そのため、作成時には注意点を押さえておくことが大切です。

複雑にせずゴールを明確にして作成する

カスタマージャーニーマップを作成する際は、複雑なものにせずゴールを明確にすることが大切です。カスタマージャーニーマップは、目的とするゴールによって内容が異なります。ゴールについて、以下2つの例で紹介します。

  • 自社ECサイトでの売上をアップする
  • 自社サイトの登録解除率を下げる

もし売上アップが目的の場合であれば、購入してもらうまでのステージで改善が必要です。購入までの行動や思考を分析してカスタマージャーニーマップを作り、課題分析を行います。こちらがゴールであれば、自社サイトに登録してもらうこと自体は特別大きな意味を持ちません。

しかし自社サイトの登録解除率を下げる場合には、作成すべきカスタマージャーニーマップは全く違うものです。登録解除に至るまでの行動を明確にし、理由を分析し改善する必要があります。

複雑なカスタマージャーニーマップでは、作成そのものや分析に時間がかかりすぎてしまいます。シンプルなカスタマージャーニーマップにするために、ゴールを明確にし、一つのゴールのみを取り上げることが大切です。

現状を正しく把握する

カスタマージャーニーマップを活用するためには、現状の正しい把握が必要です。現状を把握せずにカスタマージャーニーマップを作成してしまうと、理想と乖離している部分の分析や、必要とされる改善の認識などができなくなってしまいます。誤ったカスタマージャーニーマップを作成してしまう危険性も高いです。

カスタマージャーニーマップを作成する際は、Webサイトにおける各数値や、SNSで得られている成果、ユーザーから届いている声などを確認しましょう。これらの情報を把握することで、現状の理解につながります。

ペルソナは具体的に設定する

カスタマージャーニーマップの主人公となるペルソナは、具体的に設定する必要があります。大まかなセグメントであるターゲットと違い、カスタマージャーニーマップのペルソナは明確な設定を作ることが大切です。ペルソナの属性的な設定だけでなく、ストーリーなども設定すると良いでしょう。

また、具体的なペルソナ設定は、関係者間での共通認識にも有用です。個人の想像に任される余地がある状態は、認識のブレが起きてしまう原因になります。認識の相違を防ぐためにも、ペルソナは細かい項目まで具体的に設定する必要があるのです。

他部署と協働して作成する

カスタマージャーニーマップを作成するときは、特定の部署だけでなく、他部署と協働して作成することも大切です。なるべく複数人かつさまざまな視点を持つ人が、集まると良いでしょう。

カスタマージャーニーマップを作るうえでは、顧客視点が非常に重要です。しかし一人の人間や、複数人であっても似たような立場の人間だけでは、どうしても考えに偏りが出てしまいます。特定の視点に偏ったカスタマージャーニーマップは、顧客視点を明確に表現しているとは言い難いです。

その点、複数の部署に所属するメンバーが集まって作成すると、さまざまな視点からカスタマージャーニーマップが作成できるようになります。情報量が増えるだけでなく、顧客視点を持つうえで大切な気付きを得られる可能性も高いです。

また、事業は一つの部署だけで進められるわけではありません。部署を問わず企業全体が共通認識を持って施策に取り組むためにも、他部署と協働しての作成は効果的です。

客観的なデータに基づいて顧客視点で考える

カスタマージャーニーマップを作成する際には、客観的なデータに基づいて顧客視点で考える必要があります。企業側の予測や主観だけでは、顧客視点で考えられているとはいえません。

カスタマージャーニーマップの作成を進めると、仮説や理想を組み込んでしまいそうになる場面が生まれます。顧客視点で作成できていると考えても、企業の余地が入る部分はどうしても企業都合が反映されてしまいがちです。そのためなるべく客観的なデータを用いて、明確な顧客視点で考える必要があります。客観的なデータの例は、以下のとおりです。

  • アクセス数、CV率、客単価など数値で明確に確認できるデータ
  • 顧客に対して行ったアンケートやインタビューなどの調査結果
  • カスタマーセンターに寄せられた意見
  • SNSや口コミサイトなどに投稿されている内容

全てのデータを収集できるとは限りませんが、それでも活用できるデータは豊富に存在します。なるべく多くの客観的なデータを集め、企業の視点を排除し、顧客視点で考えたカスタマージャーニーマップを作成しましょう。

定期的に見直しをする

カスタマージャーニーマップは一度作成すれば、それをずっと使い続けられるわけではありません。定期的に見直しをし、改善をしながら活用する必要があります。

なぜなら、ユーザーが取る行動は、さまざまな要因によって変化するからです。ユーザーの行動が変化すれば、企業が抱える課題も自然と変わるでしょう。このような変化が起こってしまえば、これまで活用されていたカスタマージャーニーマップは活用できなくなってしまいます。

カスタマージャーニーマップは数ヶ月から半年、長くても1年程度経ったら見直しをする必要があります。もしユーザーの行動を大きく変える要因が生まれたら、時期を待たずにすぐに見直しをすることが大切です。手間に感じてしまうかもしれませんが、マーケティング施策で誤った対策をしないために大切なのです。

カスタマージャーニーマップを作るメリット

カスタマージャーニーマップを作るメリット

カスタマージャーニーマップを作ることには、さまざまなメリットがあります。「なんとなく良さそう」という理由で進めるのではなく、具体的にどのようなメリットがあるかを把握することが、効率的な施策展開のために大切です。

1.顧客視点で考えられる

カスタマージャーニーマップを作ると、顧客視点で考えられるようになります。マーケティングを成功させるためには、顧客視点での施策展開が必要不可欠です。企業側の予測や理想ではなく、顧客に対する理解や顧客視点が求められます。

近年、商品やサービスと顧客との接点が増えており、購入に至るまでの消費者行動も複雑です。そのため顧客に商材を選んでもらうには、顧客に選ばれるようなマーケティング施策が必要となります。

市場の状況や声などを分析しても、企業の視点が重ければ正しい結果が出るとはいえません。しかしカスタマージャーニーマップで顧客の行動を可視化できれば、自然と顧客視点での考えができるようになります。顧客視点で考えられるようになることは、現代のマーケティングにおいて大きなメリットの一つです。

2.CX(顧客の体験価値)の向上が期待できる

カスタマージャーニーマップを作成すると、CXの向上にも期待できます。CXの向上は、ファン獲得や安定した集客を進めるために重要です。カスタマージャーニーマップは、これまで見落としてきた細かいニーズや課題の把握に役立ちます。これらを改善することで、CXをより高められる可能性があるのです。

商品やサービスに対して特別な不満を持たれていないとしても、改善できるポイントがないとは限りません。不満ではないけれど改善ができるポイントや、ユーザーが全く把握していないニーズが隠れているケースがあります。

3.顧客接点を強化できる

カスタマージャーニーマップは、顧客接点の強化においてもメリットが大きいです。現代における顧客接点は、店頭や看板などの広告だけでなく、WebサイトやSNSなど非常に豊富です。そして商材やターゲットによって、重要となる顧客接点は異なります。

そのため、カスタマージャーニーマップを作成し顧客接点を明確にすることで、どのポイントを強化するべきか明らかにできます。もし狙っている顧客接点で期待しているほどの集客ができていなければ、成果を得るための改善をするべきでしょう。

また、これまで把握していなかったところに顧客接点ができていれば、新たに対策を進めることでより大きな成果が期待できます。マーケティング施策では、顧客接点の把握と強化が必要不可欠です。顧客接点が増えている現代においても適切な対策を取るためには、まずカスタマージャーニーマップを作成して可視化する必要があります。

4.施策の優先順位付けに活用できる

カスタマージャーニーマップは、施策の優先順位付けにも活用できます。マーケティングにおいて、解決すべき課題や必要な対策は複数存在するケースがほとんどです。しかし全ての施策を、同時に進めていくことはできません。また、効率的に成果を出すためには、進めるべき施策の優先順位があることも事実です。

例えば、認知度が低く集客がうまくいっていない企業において、ファン育成を最優先に行うのは効率的とはいえないでしょう。もちろん企業の状態や目的によりますし、ファン育成も重要な施策ではあります。しかし新規顧客の獲得が目的である場合には、まず集客に力を入れることが大切です。

このようにカスタマージャーニーマップで課題を可視化すると、施策の優先順位が付けやすくなります。

5.関係者間で認識の擦りあわせに活用できる

カスタマージャーニーマップは、関係者間で認識の擦りあわせをする際にも活用できます。認識の擦り合わせは、トラブルや無駄を回避するために重要です。認識に相違があると、思わぬズレや関係者同士のトラブルなどにつながります。文字だけでの連絡や断片的な情報では、全体的な流れや情報の認識が難しいです。

しかし、カスタマージャーニーマップは、消費者行動の最初から最後までを明確に可視化します。そのため各自の予測などが入る余地がなく、関係者間で同じ認識を持つことができるのです。

カスタマージャーニーマップを作るデメリット

カスタマージャーニーマップを作るデメリット

メリットがある一方で、デメリットもあります。具体的には以下のような点があげられます。

  • 作成に時間を要する
  • うまくいかない可能性もある

1.作成に時間を要する

多くのメリットを享受できるのがカスタマージャーニーマップです。作る価値は十分にありますが、マップを完成させるのには時間を要します。多くの関係者に意見をうかがい、決めていかなければならないからです。

2.うまくいかない可能性もある

カスタマージャーニーマップを作成したからといって、全てのマーケティング活動が成功するわけではありません。うまくいかないケースも当然出てきます。しかし、カスタマージャーニーマップを作成し活用することで、マーケティング活動が効率的になることは間違いありません。

企業のカスタマージャーニーマップの活用事例

企業のカスタマージャーニーマップの活用事例

ここでは、企業のカスタマージャーニーマップの活用事例を3社紹介します。

事例1.リコー

リコー

リコージャパン株式会社は、リコーの販売会社です。複合機やレーザープリンターなど企業向け商品の販売やメンテナンスなどを行います。リコーはカスタマージャーニーマップを2つに分けている点が特徴的です。まだ購入したことがない顧客が商品を導入するまで、そしてすでに利用したことのある顧客が継続取引を進めるまでのカスタマージャーニーマップを分けています。

BtoBビジネスは導入までに時間がかかりやすく、その後継続的な取引になりやすいためです。まずは導入を検討する段階から実際の導入に至るまでを、カスタマージャーニーマップで表します。こちらは新規顧客を獲得するまでの流れです。

BtoBビジネスはBtoCよりも新規顧客の獲得コストが高くなるため、一度獲得した顧客との継続取引が大切です。そのため導入後のカスタマージャーニーマップも用意します。これにより導入後に顧客が感じる課題などを把握しやすくなり、満足度を高めるためのアフターフォローが可能となります。結果として、満足度向上や契約延長などに繋がった事例です。

事例2.株式会社パソナ

株式会社パソナ

商品やサービスの利用といった直接的な顧客ではなく、新卒採用を効率的に進めるためにカスタマージャーニーマップを活用した事例を紹介します。

株式会社パソナは、総合人材サービス会社です。パソナでは新卒採用を進めるために、Webサイトをリニューアルすることになりました。そこで新卒となる就活生が就活を始めてから入社を決定するまでの流れを、カスタマージャーニーマップにまとめたのです。

このカスタマージャーニーマップは、パソナのターゲット層に一致する学生が作成しました。学生が実際に行ったことや、その時の思い・考えなどを活かしながら、ワークショップ形式で作成していきます。人材獲得が大きな目的だった同社では、このカスタマージャーニーマップを作成したことで、就活生が求めるサービスや課題を明らかにできました

就活生は企業の関係者から直接得られるような、濃い情報を求めています。しかし説明会やインターンに行く時間は限られているため、情報収集に満足できないという課題があったのです。そこで学生に役立つ情報を、より発信しやすいサイトを用意するという目的が決まりました。就活生のニーズに応え、新卒採用をより効率的に進められるようになった事例です。

事例3.中部国際空港セントレア

中部国際空港セントレア

中部国際空港セントレアは、愛知県にある国際空港です。「最高のおもてなし」を実現できる公式サイトにするため、コンテンツ制作の改善を図ることになりました。そこでカスタマージャーニーマップが活用されたのです。

中部国際空港セントレアの公式サイトでは、以前は情報の掲載ばかりが優先されていました。顧客にとっての見やすさなどが、それほど大切にされていない状態です。空港を利用する人へのインタビューを行うことで、より明確な顧客分析が可能となりました。中部国際空港セントレアは飛行機の利用だけでなく、空港で遊ぶということもできます。

そこで遊びに来ようと考える顧客をペルソナとし、遊ぶ場所を探す段階から実際に遊ぶまでの流れをカスタマージャーニーマップにまとめました。そして各ステージにおける顧客の行動や思考をまとめていき、ニーズを解消するために必要な改善を挙げていきます。

カスタマージャーニーマップを作成することで、サイトを訪問する顧客のニーズを把握しやすくなりました。サイト運営に欠かせない、コンテンツの改善ポイントが明確にできた事例です。

カスタマージャーニーマップ作成におすすめのツール

カスタマージャーニーマップ作成におすすめのツール

カスタマージャーニーマップは、マーケティング施策において効果的であり有名な施策です。そのため、便利なツールも複数登場しており、これらを使うことでより効率的に作成が進められるようになります。ここでは、おすすめのカスタマージャーニーマップ作成ツールを4つ紹介します。

1.ウェブアンテナ

ウェブアンテナ

ウェブアンテナは、さまざまなWeb広告の効果をまとめて測定・管理できるツールです。広告について一気に把握できるという点で、広告を活用する企業にとっては非常に便利です。

ウェブアンテナで管理できる施策は、以下のとおりです。

  • バナー広告
  • テキスト広告
  • メール
  • リスティング広告
  • アフィリエイト
  • 自然検索
  • その他流入

広告媒体が複数であっても、一つの管理画面で全て確認できます。画像登録も可能なため、より視覚的に情報の把握が可能です。ウェブアンテナを活用することで、カスタマージャーニーマップの作成で重要な、現状把握や優先順位付けがより効率的になります。

ウェブアンテナは初期費用無料、月額費用は2~5万円のクリック数による従量課金制です。ユーザーの行動やコンバージョンまでの動きも把握できるため、カスタマージャーニーマップの作成に役立ちます。

2.アドエビス

アドエビス

アドエビスはユーザー行動の計測や、分析を高い精度で実現できるツールです。豊富な機能が搭載されていながらもわかりやすい操作性で、手軽に活用できます。アドエビスには、カスタマージャーニーマップに似た資料を作成する機能がついています。主な機能は、以下のとおりです。

  • 流入に至った施策や経路、結果として得たCV
  • ユーザーとの接点
  • 今後得られるであろう成果の予測

カスタマージャーニーマップの作成には、さまざまな情報の把握とそれを基にした分析が必要です。アドエビスでは多くの部分を自動で行うため、よりスピーディーにカスタマージャーニーマップの作成が可能となります。また、IT・サービスからアパレル系まで、非常に幅広い業界での導入事例が公開されています。そのためより正確なイメージを持ったうえでの導入が可能です。

3.KARTE

KARTE

KARTEは、CXの向上を実現できるプラットフォームです。サイトやアプリを利用したユーザーがとった行動を分析し、より満足度の高い体験を提供できるようにします。カスタマージャーニーマップを作成する目的の一つである、CXの向上において非常に便利です。KARTEには、主に以下のような機能が搭載されています。

  • データをつなぎ合わせ分析する
  • 豊富なデータを基に適切なタイミングでのアクション提供
  • サイト以外での顧客接点の設計

特に便利なポイントとして、ユーザーの行動をリアルタイムに可視化する機能があげられます。この機能を活用すれば、ユーザーの行動をより直観的に把握することが可能です。ユーザーに対する理解を深め、より正確な顧客視点の獲得に役立ちます。

4.ユーザグラム

ユーザグラム

ユーザグラムは、ユーザーが実際に取った行動を分析できるツールです。客観的なデータを十分に収集できるため、仮説ではなく事実を用いたカスタマージャーニーマップの作成が可能となります。ユーザグラムのポイントは、以下のとおりです。

  • IDとcookieの紐づけにより、デバイスをまたいで同一ユーザーの行動を把握可能
  • 購入や対応の履歴などリアルでの行動データのインポート・活用が可能
  • 関係者間で手軽に情報共有が可能

ユーザグラムでは、顧客や会員のIDとcookieを紐づけた情報収集ができます。そのためPCとスマートフォンなど、デバイスをまたいだ場合であっても同一ユーザーとして分析が可能です。リアルチャネルにおけるデータのインポートや、関係者間での手軽な情報収集も、効率的なカスタマージャーニーマップの作成に役立ちます。

カスタマージャーニーマップのまとめ

カスタマージャーニーマップのまとめ

カスタマージャーニーマップは、現代の消費行動に対応したマーケティング施策を取るうえで非常に便利です。顧客視点に立ったマーケティングを進めるために、カスタマージャーニーマップで顧客の鼓動を可視化・分析する必要があります。

ゴールや目的を明確にしたうえでペルソナを設定するなど、最初の段階がその後の施策展開に大きく関係します。手順に沿って進めることが、良いカスタマージャーニーマップを効率的に作成するためのコツです。作って終わりではなく、活用の目的を明確にすると、マーケティングの成果へと大きく貢献できるでしょう。

定期的にブラッシュアップすることを忘れず、顧客視点を大切にしながらマーケティング施策へと活用していってください。

監修者紹介

石田 哲也

石田 哲也

取締役CMO

Twitter:@te2319 |
株式会社ニュートラルワークス 取締役CMO。1984年生まれ。高校卒業後にISD株式会社を起業。その後、株式会社オプトでWebマーケティングを学び、株式会社メタップスなど複数のベンチャー企業にて事業立ち上げを経験。前職はワンダープラネット株式会社でゲームプロデューサーとしてスマホゲームアプリの制作に従事。2018年に地元の神奈川へ戻り、ニュートラルワークスに入社。SEO/Web広告運用/サイト分析・改善など、Webサイトの運用改善~ゲームアプリ制作や数十万フォロワーのSNSアカウントの運用経験などWebビジネス全般を守備範囲とする。

■経歴
2003年 ISD株式会社/起業
2009年 株式会社オプト/SEMコンサルタント
2011年 株式会社メタップス/シニアディレクター
2013年 ライブエイド株式会社/執行役
2016年 ワンダープラネット株式会社/プロデューサー・BizDev
2018年 株式会社ニュートラルワークス/取締役CMO

■得意領域
Webサイト改善
SEO対策
コンテンツマーケティング
リスティング広告

■保有資格
Google アナリティクス認定資格(GAIQ)
Google 広告検索認定資格
Google 広告ディスプレイ認定資格
Google 広告モバイル認定資格