マーケティング

最終更新日: 2021.11.29 (公開: 2021.08.06)

【顧客視点が重要】カスタマージャーニーマップとは?作り方や企業事例、ツールを紹介

【顧客視点が重要】カスタマージャーニーマップとは?作り方や企業事例、ツールを紹介

近年、顧客の消費行動は大きく変化しています。消費行動の変化に対応するために、現在は企業視点ではなく顧客視点のマーケティング活動がより重要です。

顧客視点のマーケティング活動をするためには、顧客が購入・導入するまでに取る行動パターンを把握する必要があります。そこで大切なのが、カスタマージャーニーマップを取り入れることです。

カスタマージャーニーマップとは、顧客の行動パターンを体系化したフレームワークで、顧客視点をより明確にできます。カスタマージャーニーマップを上手く活用するためには、カスタマージャーニーマップについてしっかり理解することが大切です。

この記事では、カスタマージャーニーマップの概要や作成方法、作成事例、便利な作成ツールなどを解説します。

▼目次

カスタマージャーニーマップとは何か?

カスタマージャーニーマップとは何か?

最初に、カスタマージャーニーマップの概要を解説します。そもそもカスタマージャーニーとは、「顧客の旅」を意味する言葉です。顧客が商品やサービスを知ってから購入、活用するまでに見られる一連の流れを、旅に見立てて表現しています。顧客は購入するまでの間に、さまざまな思考や感情の変化・行動などを取ります。

カスタマージャーニーマップは、この流れにおいて発生するステージを可視化・図式化したものです。顧客となるユーザーが各ステージにおいて、どのような行動を取るか、どういった思考をするのかをまとめます。

カスタマージャーニーマップは、ユーザーのより明確な分析だけでなく、チームでの共通認識や課題の優先度設定にも有用です。ユーザーを購入してもらうために、どこに課題があるのかカスタマージャーニーマップを導入すれば、視覚的に把握できるようになります。そのためチーム内での認識相違がなくなる上、解決すべき課題の優先順位が明らかにできます。

カスタマージャーニーマップには、さまざまなメリットがあります。特に顧客視点の獲得やCX(カスタマーエクスペリエンス:顧客の体験価値)を向上する上で、メリットが大きいです。作り方や手順のポイント、注意点などを押さえることでより良いものが作れます。現在の消費行動に対応するために、カスタマージャーニーマップが非常に便利です。

カスタマージャーニーマップを作る目的・重要性

カスタマージャーニーマップを作る目的・重要性

カスタマージャーニーマップを作る前に、なぜ作るのか・どうして重要なのかを知る必要があります。これらをしっかり押さえることが、マーケティングを効率的に進めるために大切です。ここでは、カスタマージャーニーマップを作る5つの目的・重要性を解説します。

ユーザーの行動や感情が網羅的に分かる

カスタマージャーニーマップを作ることで、ユーザーの行動や感情の動きが網羅的に分かるようになります。これは顧客視点でのマーケティング活動において必要不可欠です。

ユーザーを購入や利用に促し満足度を高めるためには、ユーザーについて知る必要があります。この場合に知るべきことは、ユーザーが商品やサービスと出会ってから購入・利用するまでの全てです。

特定の部分だけを改善しても、どこかでつまづいてしまう状態では、適切なマーケティング活動とはいえません。カスタマージャーニーマップを作成すれば、マーケティングにおいて必要な情報を網羅できます。これまで認識していなかった課題の発見に役立ち、一連の流れをスムーズに進められるようになります。網羅的なユーザー分析を進める上で非常に有用です。

チーム全体で共通認識を持てる

カスタマージャーニーマップを作成することで、チーム全体で共通認識を持てるようになります。マーケティングで成果を出すためには、チーム全体で認識を合わせることが必要不可欠です。マーケティングにおいて何らかの課題があることを把握していたとしても、必ずしも全員の認識が一致しているとは限りません。

共通認識を作ろうとしても、課題が可視化できていなければ納得するのも難しいです。効率的にマーケティング施策を進めるためには、共通認識を持てる状態にする必要があります。

カスタマージャーニーマップは、ユーザーの行動やそれに基づく課題を可視化するものです。そのためマーケティングに対する認識をチーム全体で統一することができます。共通認識を持たせるために、カスタマージャーニーマップは有用です。

課題の優先度を明確化できる

カスタマージャーニーマップを作成することで、対策を進めるべき課題の優先度を明確化できます。マーケティング施策における課題は、複数存在するケースが多いです。

効率的にマーケティングを進めるためには、優先度が高いものから解消する必要があります。課題の優先度を見誤ってしまうと、成果が出るまでに長い時間がかかってしまいます。

カスタマージャーニーマップは、どこに課題があるのかを明らかにするものです。課題が存在する場所や内容を可視化することで、どこから手をつける必要があるかがわかりやすくなります。そのためより効率的な対策が可能です。

どんな内容であれ課題の解消は大切ですが、優先順位が存在することも事実です。カスタマージャーニーマップを作ることで、課題の優先度が明確になるため、より効率的なマーケティングにつながります。

顧客の接点の多様化や消費者行動の変化

カスタマージャーニーマップは、顧客との接点が多様化したことや、消費者行動の変化によって必要性が高まっています。

接点が多様化した主な理由が、インターネットの普及です。これまでは企業が発信した広告や知人との会話、さらには店舗などでの直接的な出会いが接点でした。しかし現代はインターネットが普及したことにより、口コミやブログ・SNSなど多様な接点が存在します。

また、消費者行動の変化も非常に大きいです。インターネットが普及したことにより、ユーザーが商品やサービスなどを認知してから購入するまでに踏むステップが増えています。この事実を認識せずに過去の経験に沿ってマーケティング施策を進めてしまうと、消費者行動に合わない可能性が高いです。

顧客の接点や消費者行動をしっかり把握し適切な施策を取るため、カスタマージャーニーマップを作成する必要があります。

顧客ロイヤリティの重要度が増してる

商品やサービスが溢れており情報収集の手段も多い現代において、顧客ロイヤリティの重要度はかなり高いです。顧客ロイヤリティを満たすためには、顧客理解や顧客視点が必要であり、それらに役立つカスタマージャーニーマップが必要とされています。

安定した事業のためには新規顧客の開拓だけでなく、一度購入した顧客による継続的な利用やファン獲得が必要です。特に現代は多様な商品やサービスが溢れているため、顧客ロイヤリティの獲得が求められています。

カスタマージャーニーマップを作成することで、顧客が求めているものをより深く把握できます。顧客の求める施策を進めることは、顧客ロイヤリティ獲得のために重要です。

このように現代における顧客ロイヤリティの重要性と、カスタマージャーニーマップは非常に相性が良いといえます。

カスタマージャーニーマップを作るメリット

カスタマージャーニーマップを作るメリット

カスタマージャーニーマップを作ることには、さまざまなメリットがあります。なんとなく良さそうという理由で進めるのではなく、具体的にどのようなメリットがあるかを把握することが、効率的な施策展開のために大切です。ここでは、カスタマージャーニーマップを作る5つのメリットを詳しく紹介します。

顧客視点で考えられる

カスタマージャーニーマップを作ることで、顧客視点で考えられるようになります。マーケティングを成功させるためには、顧客視点での施策展開が必要不可欠です。

カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品やサービスと出会ってから購入、利用するまでの動きを分析して可視化したものです。すなわち最初から最後まで、顧客視点に立って顧客の行動などを分析した結果がまとめられています。企業側の予測や理想ではなく、顧客に対する理解や顧客視点が求められます。

近年、顧客と商品やサービスが持つ接点が増えており、購入に至るまでの消費者行動も複雑です。そのため顧客に自社商材を選んでもらうには、顧客に選ばれるようなマーケティング施策が必要となります。

市場の状況や声などを分析しても、企業の視点が重ければ正しい結果が出るとはいえません。しかしカスタマージャーニーマップで顧客の行動を可視化できれば、自然と顧客視点での考えができるようになります。顧客視点で考えられるようになることは、現代のマーケティングにおいて大きなメリットのひとつです。

CX(顧客の体験価値)の向上が期待できる

カスタマージャーニーマップを作成することで、CXの向上が期待できます。CXの向上は、ファン獲得や安定した集客を進めるために重要です。カスタマージャーニーマップは、これまで見落としてきた細かいニーズや課題の把握に役立ちます。これらを改善することで、CXをより高められる可能性があります。

商品やサービスに対して特別な不満を持たれていないとしても、改善できるポイントがないとは限りません。不満ではないけれど改善ができるポイントや、ユーザーが全く把握していないニーズが隠れているケースがあります。

このようなポイントを把握し改善することで、CXの向上が期待できます。CXを向上することで、顧客満足度を高めることが可能です。上手くいけば自社や商品・サービスのファンになってもらうことができ、マーケティングでより大きな成果を実現できるでしょう。細かな部分まで分析・改善し、CXを向上させるために、カスタマージャーニーマップが有用です。

顧客接点を強化できる

カスタマージャーニーマップは、顧客接点の強化においてもメリットが大きいです。カスタマージャーニーマップを作成することで、顧客接点がどこにあるかを把握できます。

現代における顧客接点は、店頭や看板などの広告だけでなく、自社サイトやSNSといったインターネットなど非常に豊富です。そして商材やターゲットによって、重要となる顧客接点は異なります。

カスタマージャーニーマップを作成し顧客接点を明確にすることで、どのポイントを強化するべきか明らかにできます。もし狙っている顧客接点で期待しているほどの集客ができていなければ、成果を得るための改善をするべきでしょう。

また、これまで把握していなかったところに顧客接点ができていれば、新たに対策を進めることでより大きな成果が期待できます。マーケティング施策では、顧客接点の把握と強化が必要不可欠です。顧客接点が増えている現代においても適切な対策を取るためには、まずカスタマージャーニーマップを作成して可視化する必要があります。

施策の優先順位付けに活用できる

カスタマージャーニーマップは、施策の優先順位付けに活用できます。マーケティングにおいて、解決すべき課題や必要な対策は複数存在するケースがほとんどです。しかしすべての施策を、同時に進めていくことはできません。また効率的に成果を出すためには、進めるべき施策の優先順位があることも事実です。

カスタマージャーニーマップを作成することで、まず課題がどこにあるかを把握できます。すると必要な施策の明確化と合わせて、施策の重要性も認識できるようになるでしょう。

たとえば認知度が低く集客が上手くいっていない企業において、ファン育成を最優先に行うのは効率的とはいえないでしょう。もちろん企業の状態や目的によりますし、ファン育成も重要な施策ではあります。しかし新規顧客の獲得が目的である場合には、まず集客に力を入れることが大切です。

このようにカスタマージャーニーマップで課題を可視化することで、施策の優先順位が付けやすくなります。

関係者間で認識の擦り合わせに活用できる

カスタマージャーニーマップは、関係者間で認識の擦り合わせをする際にも活用できます。認識の擦り合わせは、トラブルや無駄を回避するために重要です。ひとつの事業を進めるためには、かなり多くの関係者が携わります。人によってやるべきことは異なりますが、情報や目的などは共通認識が必要です。

認識に相違があると各自の考えで進めてしまう部分が発生してしまうため、思わぬズレや関係者同士のトラブルなどにつながります。文字だけでの連絡や断片的な情報では、全体的な流れや情報の認識が難しいです。

しかしカスタマージャーニーマップは、消費者行動の最初から最後までを明確に可視化します。そのため各自の予測などが入る余地がなく、関係者間で同じ認識を持つことができるのです。

関係者間での擦り合わせには、曖昧な部分が残った状態や個人の考えによる補足は必要ありません。カスタマージャーニーマップがあれば、関係者間でしっかりと認識の擦り合わせができます。

カスタマージャーニーマップの作り方と手順

カスタマージャーニーマップの作り方と手順

カスタマージャーニーマップを作るためには、作り方の流れや各手順について把握が必要です。作り方を知らないまま進めてしまうと、適切なカスタマージャーニーマップが作成できない恐れがあります。ここでは、カスタマージャーニーマップの作り方と具体的な手順を解説します。

ゴールと目的を設定する

最初に行うべきことは、ゴールと目的の設定です。ゴールと目的の設定は、カスタマージャーニーマップを作成して何を達成したいかを意味します。カスタマージャーニーマップの作成に限らず、施策を進める上ではゴールと目的の明確化が必要です。

なぜこの施策を行うのか、この施策で何を達成したいのかを明確にできないと、無駄の発生や必要以上の手間となる原因になります。カスタマージャーニーマップを作成することで、達成したいゴールと目的を設定しなければなりません。

ゴールや目的の例をいくつか紹介します。

  • 新規顧客を獲得するために行うべき施策を明確にする
  • 売上アップのため接点を持ったユーザーの購入率を高める
  • 自社のユーザーがどのような流れで購入に至るのか把握する
  • 新規事業を展開するためにユーザーのニーズを確認する

ほかにもゴールや目的には、さまざまなものがあります。カスタマージャーニーマップとは、作成すれば事業が必ず上手くいくものではありません。目的意識を持った上で、適切に活用する必要があります。全体の方向性を決めてカスタマージャーニーマップを使いこなすため、まずは作成するゴールと目的の設定が必要です。

対象ペルソナを設定する

ゴールと目的の設定と同じぐらい、対象ペルソナの設定も重要です。対象ペルソナの設定とは、カスタマージャーニーマップを辿る具体的な人物像を決めることをいいます。ペルソナを設定する際には、なるべく具体的な人物像を作り上げることが大切です。

ぼんやりとした設定で施策を進めようとしても、やはりぼんやりと進んでしまい良い成果を得ることが難しくなってしまいます。そのため対象ペルソナは、なるべく具体的に設定することが大切です。ペルソナを設定する上で活用できる項目の例は、以下の通りです。

  • 年齢や性別
  • 職業
  • 趣味
  • 価値観
  • 解消したい悩み
  • ライフスタイル
  • 行動

ペルソナはすでに獲得している顧客データのほか、関係者が想像しているターゲット像を活かすこともできます。実在する人を参考にしながら、細部を想像で補うことも可能です。

なおペルソナを設定する際には、ターゲットとの違いをしっかり認識しておきましょう。ターゲットとは属性で絞り込んだもので、例えば「オフィスで働く20代女性」「子どもを持つ30代男性」など複数を指します。

一方でペルソナは1人の人物であり、架空の存在である点が大きな違いです。カスタマージャーニーマップで必要となるのは、主人公となる1人のペルソナです。

「ペルソナとは?」聞かれたら答えられますか?マーケティングの基礎知識 「ペルソナとは?」聞かれたら答えられますか?マーケティングの基礎知識

想定ペルソナの行動を時系列で並べる

ペルソナの設定が完了したら、想定ペルソナが取る行動を時系列で並べていきます。カスタマージャーニーマップは縦軸で具体的な行動や思考、横軸で購買までのステージを表すことが多いです。思考や感情も考えると複雑になってしまうため、まずは行動から考えていきます。

ステージの設定方法はさまざまですが、最低限以下の項目を用意すると便利です。

  • 商品やサービスを知る
  • 興味・関心を持つ
  • 他社と比較・検討をする
  • 購入・利用をする
  • 導入後の行動

たとえば商品やサービスを知るステージでは、どのような行動によって認知するかを挙げていきます。店頭での発見や知人との会話、近年ではインターネット検索の結果やSNSの投稿で知ることもあるでしょう。

導入後の行動もマーケティングにおいて重要なポイントです。SNSや口コミサイトで感想を投稿する、継続利用を検討するなどが挙げられます。

もしかしたら適切な活用法がわからず、インターネットで調べるかもしれません。想定ペルソナが取ると考えられる行動を設計し、横軸に沿って時系列に並べていきます。

ペルソナによって、取ると考えられる行動は異なります。なるべく具体的な想像をしながら、カスタマージャーニーマップを埋めていくことが重要です。

思考や感情を想像し整理する

カスタマージャーニーマップに行動を並べたら、続いてペルソナの中で生まれる思考や感情を想像して整理します。

ユーザーがどのような思考をし、どういった感情を抱くかを想像することが、適切なマーケティング施策を進めるために重要です。

人間は合理性や理論に基づいただけでなく、感情によって行動を起こすことがあります。そのためユーザーが抱く感情を無視してしまうと、適切な施策を取れなくなってしまう可能性が高いです。前のステップで挙げた想定ペルソナの行動と照らし合わせながら、各ステージや行動における思考や感情を整理する必要があります。

思考や感情を整理する際にも、カスタマージャーニーマップ上での可視化ができると便利です。感情を簡単なイラストで表すとわかりやすくなります。思考については論理的なものだけでなく、感情に由来するものも取り上げることが大切です。

カスタマージャーニーマップを作る上では顧客視点が必要ですが、この思考や感情を想像するステップでは特に重要となります。自社で考えたペルソナである以上、どうしても思い込みや要望が反映されてしまいがちです。そのような偏りをなるべく排除し、顧客視点を維持することが求められます。

接点(タッチポイント)を考える

接点(タッチポイント)とは、ユーザーと自社商品やサービスが接する部分です。カスタマージャーニーマップを作成する際には、この接点についてしっかり考える必要があります。接点となり得る要素はさまざまで、ペルソナの行動によって大きく変わります。

前述したステージのうち、商品やサービスを知るステージにおける接点の例は、以下の通りです。

  • 店頭で直接見かける
  • 街中の広告で知る
  • 友人や知人との会話で聞く
  • 検索エンジンからたまたま自社サイトやコンテンツに辿り着く
  • SNSの投稿を読む

接点によって効果的な施策や取るべき対策は異なるため、想定しているペルソナとの接点について考えることが大切です。まずは現状における接点は、どのようなものかを確認しましょう。

現状の分析だけでなく、今後新たに作るべき接点についても検討が大切です。ユーザーが取る行動の傾向や情勢などによって、重視するべき接点は違います。カスタマージャーニーマップを作成することで、接点となるであろうポイントを把握しやすくなります。

考えた接点をカスタマージャーニーマップに反映させることで、ユーザーの動きをより明確化することが可能です。効率的なマーケティング施策のため、接点についてもしっかり考える必要があります。

ステージごとに課題分析をする

各ステージで取る行動やそれに伴う感情、ユーザーと自社商材が接するポイントなどが明らかになりました。ここまで完了するとカスタマージャーニーマップはほぼ完成ですが、作成して満足ではいけません。カスタマージャーニーマップを使い、ステージごとに課題分析をする必要があります。

カスタマージャーニーマップを作成したことで、自社が想定するペルソナが認知から利用後にどのような動きを起こすかが可視化されました。その情報を自社の現状と照らし合わせてください。するとユーザーのステージごとに、どのような課題を抱えているのか分析しやすくなります。

たとえば他社と比較・検討をするステージにおいて、ユーザーは自分にとっての必要性の再確認や、商品を選ぶための情報収集などを行います。もしこのステージで自社の商品やサービスについて魅力を伝えられなければ、ユーザーを次のステージへ進めることは難しいでしょう。

この課題を解消するにはユーザーに魅力を伝えられるように、コンテンツ制作やSNS発信などが必要だと判断できます。大切なのは、ステージごとに課題を分析することです。このステージは問題ないと飛ばすことなく、一度しっかり分析・検討をしましょう。

カスタマージャーニーマップで顧客視点を得ることで、思わぬ課題が見つかる可能性があります。

カスタマージャーニーマップ作成時の注意点

カスタマージャーニーマップ作成時の注意点

カスタマージャーニーマップは非常に便利ですが、作成方法を誤ってしまうと効果が発揮できません。そのため作成時には、注意点を押さえることが大切です。ここでは、カスタマージャーニーマップ作成時に押さえるべき注意点を解説します。

複雑にせずゴールを明確にして作成する

カスタマージャーニーマップを作成する際には、複雑なものにせずゴールを明確にして作成することが大切です。カスタマージャーニーマップは、目的とするゴールによって内容が異なります。ゴールについて、以下2つの例で紹介します。

  • 自社ECサイトでの売上をアップする
  • 自社サイトの登録解除率を下げる

もし売上アップが目的の場合であれば、購入してもらうまでのステージで改善が必要です。購入までの行動や思考を分析してカスタマージャーニーマップを作り、課題分析を行います。こちらがゴールであれば、自社サイトに登録してもらうこと自体は特別大きな意味を持ちません。

しかし自社サイトの登録解除率を下げる場合には、作成すべきカスタマージャーニーマップは全く違うものです。登録解除に至るまでの行動を明確にし、理由を分析し改善する必要があります。

複雑なカスタマージャーニーマップでは、作成そのものや分析に時間がかかりすぎてしまいます。シンプルなカスタマージャーニーマップにするために、ゴールを明確にし、ひとつのゴールのみを取り上げることが大切です。

現状を正しく把握する

カスタマージャーニーマップを活用するためには、現状の正しい把握が必要です。

現状を把握せずにカスタマージャーニーマップを作成してしまうと、理想と乖離している部分の分析や、必要とされる改善の認識などができなくなってしまいます。誤ったカスタマージャーニーマップを作成してしまう危険性も高いです。

カスタマージャーニーマップを作成するのであれば、まず現状を正しく把握する必要があります。Webサイトにおける各数値やSNSで得られている成果、ユーザーから届いている声などを確認しましょう。これらの情報を把握することで、現状の理解につながります。

カスタマージャーニーマップは、何らかの課題解消や成果実現などを目的として作成されます。そのためには現状を把握しなれければ、具体的な方向性を決めることができません。カスタマージャーニーマップを作成するゴールを明確にし、その上で分析に必要となる情報を確認して現状を正しく把握しましょう。

ペルソナは具体的に設定する

カスタマージャーニーマップの主人公となるペルソナは、具体的に設定する必要があります。大まかなセグメントであるターゲットと違い、カスタマージャーニーマップのペルソナは明確な設定を作ることが大切です。

ペルソナを具体的に設定することで、ユーザーが取る行動や思考をより細かく分析できるようになります。顧客視点に立っての分析には、より具体的なイメージが必要だからです。ペルソナの属性的な設定だけでなく、ストーリーなども設定すると良いでしょう。

具体的なペルソナ設定は、関係者間での共通認識にも有用です。個人の想像に任される余地がある状態は、認識のブレが起きてしまう原因になります。カスタマージャーニーマップを作る際には、共通認識を持つことが大切です。

認識の相違を防ぐためにも、ペルソナは細かい項目まで具体的に設定する必要があります。カスタマージャーニーマップでより明確な顧客視点を持つために、ペルソナは具体的に設定しましょう。

他部署と協働して作成する

カスタマージャーニーマップを作成するときは、特定の部署だけでなく、他部署と協働して作成することが大切です。なるべく複数人かつさまざまな視点を持つ人が、集まると良いでしょう。

カスタマージャーニーマップを作る上では、顧客視点が非常に重要です。しかし一人の人間や、複数人であっても似たような立場の人間だけでは、どうしても考えに偏りが出てしまいます。特定の視点に偏ったカスタマージャーニーマップは、顧客視点を明確に表現しているとは言い難いです。

複数の部署に所属するメンバーが集まって作成することで、さまざまな視点からカスタマージャーニーマップが作成できるようになります。情報量が増えるだけでなく、顧客視点を持つ上で大切な気付きを得られる可能性も高いです。

また、事業はひとつの部署だけで進められるわけではありません。部署を問わず企業全体が共通認識を持って施策に取り組むためにも、他部署と協働しての作成は効果的です。

客観的なデータに基づいて顧客視点で考える

カスタマージャーニーマップを作成する際には、客観的なデータに基づいて顧客視点で考える必要があります。企業側の予測や主観だけでは、顧客視点で考えられているとは言い難いです。

カスタマージャーニーマップの作成を進めると、仮説や理想を組み込んでしまいそうになる場面が生まれます。顧客視点で作成できていると考えても、企業の余地が入る部分はどうしても企業都合が反映されてしまいがちです。

そのためなるべく客観的なデータを用いて、明確な顧客視点で考える必要があります。客観的なデータの例は、以下の通りです。

  • アクセス数、CV率、客単価など数値で明確に確認できるデータ
  • 顧客に対して行ったアンケートやインタビューなどの調査結果
  • カスタマーセンターに寄せられた意見
  • SNSや口コミサイトなどに投稿されている内容

全てのデータを収集できるとは限りませんが、それでも活用できるデータは豊富に存在します。なるべく多くの客観的なデータを集め、企業の視点を排除し、顧客視点で考えたカスタマージャーニーマップを作成する必要があります。

定期的に見直しをする

カスタマージャーニーマップは一度作成したらずっと使い続けられるわけではありません。定期的に見直しをし、改善を行って活用する必要があります。

ユーザーが取る行動というのは、さまざまな要因によって変化します。ユーザーの行動が変化すれば、企業が抱える課題も自然と変わるでしょう。このような変化が起こってしまえば、これまで活用されていたカスタマージャーニーマップは活用できなくなってしまいます。

カスタマージャーニーマップは数ヶ月から半年、長くても1年程度経ったら見直しをする必要があります。もしユーザーの行動を大きく変える要因が生まれたら、時期を待たずにすぐに見直しをすることが大切です。

手間に感じてしまうかもしれませんが、マーケティング施策で誤った対策をしないために大切です。定期的な見直しや改善を行うことで、いつでもマーケティング施策に使えるような、現状に適したカスタマージャーニーマップを維持し続けていきます。

企業のカスタマージャーニーマップの活用事例

企業のカスタマージャーニーマップの活用事例

カスタマージャーニーマップの成果をイメージするためには、企業における活用事例を知ることが効果的です。どのように活用されてきたかを知ることで、自社でもより上手く使いこなせるようになります。ここでは、企業のカスタマージャーニーマップの活用事例を3社紹介します。

リコー

リコー

リコージャパン株式会社は、リコーの販売会社です。複合機やレーザープリンターなど企業向け商品の販売やメンテナンスなどを行います。

リコーはカスタマージャーニーマップを2つに分けている点が特徴的です。まだ購入したことがない顧客が商品を導入するまで、そしてすでに利用したことのある顧客が継続取引を進めるまでのカスタマージャーニーマップを分けています。

BtoBビジネスは導入までに時間がかかりやすく、その後継続的な取引になりやすいためです。まずは導入を検討する段階から実際の導入に至るまでを、カスタマージャーニーマップで表します。こちらは新規顧客を獲得するまでの流れです。

BtoBビジネスはBtoCよりも新規顧客の獲得コストが高くなるため、一度獲得した顧客との継続取引が大切です。そのため導入後のカスタマージャーニーマップも用意します。これにより導入後に顧客が感じる課題などを把握しやすくなり、満足度を高めるためのアフターフォローが可能となります。

結果として、満足度向上や契約延長などに繋がった事例です。

株式会社パソナ

株式会社パソナ

商品やサービスの利用といった直接的な顧客ではなく、新卒採用を効率的に進めるためにカスタマージャーニーマップを活用した事例を紹介します。

株式会社パソナは、総合人材サービス会社です。パソナでは新卒採用を進めるために、Webサイトをリニューアルすることになりました。そこで新卒となる就活生が就活を始めてから入社を決定するまでの流れを、カスタマージャーニーマップにまとめたのです。

このカスタマージャーニーマップは、パソナのターゲット層に一致する学生が作成しました。学生が実際に行ったことや、その時の思い・考えなどを活かしながら、ワークショップ形式で作成していきます。人材獲得が大きな目的だった同社では、このカスタマージャーニーマップを作成したことで、就活生が求めるサービスや課題を明らかにできました。

就活生は企業の関係者から直接得られるような、濃い情報を求めています。しかし説明会やインターンに行く時間は限られているため、情報収集に満足できないという課題があったのです。そこで学生に役立つ情報を、より発信しやすいサイトを用意するという目的が決まりました。

就活生のニーズに応え、新卒採用をより効率的に進められるようになった事例です。

中部国際空港セントレア

中部国際空港セントレア

中部国際空港セントレアは、愛知県にある国際空港です。「最高のおもてなし」を実現できる公式サイトにするため、コンテンツ制作の改善を図ることになりました。そこでカスタマージャーニーマップが活用されたのです。

中部国際空港セントレアの公式サイトでは、かつては情報の掲載ばかりが優先されていました。顧客にとっての見やすさなどが、それほど大切にされていない状態です。空港を利用する人へのインタビューを行うことで、より明確な顧客分析が可能となりました。中部国際空港セントレアは飛行機の利用だけでなく、空港で遊ぶということもできます。

そこで遊びに来ようと考える顧客をペルソナとし、遊ぶ場所を探す段階から実際に遊ぶまでの流れをカスタマージャーニーマップにまとめました。そして各ステージにおける顧客の行動や思考をまとめていき、ニーズを解消するために必要な改善を挙げていきます。

カスタマージャーニーマップを作成することで、サイトを訪問する顧客のニーズを把握しやすくなりました。サイト運営に欠かせない、コンテンツの改善ポイントが明確にできた事例です。

おすすめのカスタマージャーニーマップ作成ツール4選

おすすめのカスタマージャーニーマップ作成ツール4選

カスタマージャーニーマップは、マーケティング施策において効果的であり有名な施策です。そのため便利なツールも複数登場しており、これらを使うことでより効率的に作成が進められるようになります。ここでは、おすすめのカスタマージャーニーマップ作成ツールを4つ紹介します。

ウェブアンテナ

ウェブアンテナ

ウェブアンテナは、さまざまなWeb広告の効果をまとめて測定・管理できるツールです。カスタマージャーニーマップを作成する上で、広告の効果はチェックする必要があります。その広告について一気に把握できるということで、広告を活用する企業にとって非常に便利です。

ウェブアンテナで管理できる施策は、以下の通りです。

  • バナー広告
  • テキスト広告
  • メール
  • リスティング広告
  • アフィリエイト
  • 自然検索
  • その他流入

広告媒体が複数であっても、一つの管理画面ですべて確認できます。画像登録も可能なため、より視覚的に情報の把握が可能です。ウェブアンテナを活用することで、カスタマージャーニーマップの作成で重要な、現状把握や優先順位付けがより効率的になります。

ウェブアンテナは初期費用無料、月額費用は2~5万円のクリック数による従量課金制です。ユーザーの行動やコンバージョンまでの動きも把握できるため、カスタマージャーニーマップの作成に役立ちます。

アドエビス

アドエビス

アドエビスはユーザー行動の計測や、分析を高い精度で実現できるツールです。豊富な機能が搭載されていながらもわかりやすい操作性で、手軽に活用できます。アドエビスには、カスタマージャーニーマップに似た資料を作成する機能がついています。

主な機能は、以下の通りです。

  • 流入に至った施策や経路、結果として得たCV
  • ユーザーとの接点
  • 今後得られるであろう成果の予測

カスタマージャーニーマップの作成には、さまざまな情報の把握とそれを基にした分析が必要です。アドエビスでは多くの部分を自動で行うため、よりスピーディーにカスタマージャーニーマップの作成が可能となります。

IT・サービスからアパレル系まで、非常に幅広い業界での導入事例が公開されています。そのためより正確なイメージを持った上での導入が可能です。

アドエビスは、初期費用無料で始めることができます。以降はクリック数やPV数などによって、プランの選択や個別見積もりとなるので、興味のある方は問い合わせをしてみてください。

KARTE

KARTE

KARTEは、CXの向上を実現できるプラットフォームです。サイトやアプリを利用したユーザーがとった行動を分析し、より満足度の高い体験を提供できるようにします。カスタマージャーニーマップを作成する目的のひとつである、CXの向上において非常に便利です。

KARTEには、主に以下のような機能が搭載されています。

  • データをつなぎ合わせ分析する
  • 豊富なデータを基に適切なタイミングでのアクション提供
  • サイト以外での顧客接点の設計

特に便利なポイントとして、ユーザーの行動をリアルタイムに可視化する機能が挙げられます。この機能を活用すれば、ユーザーの行動をより直観的に把握することが可能です。ユーザーに対する理解を深め、より正確な顧客視点の獲得に役立ちます。

KARTEの月額費用は、サイトにおける月間のUU数によって変化します。そのため正確な料金を把握するためには、事前にお問い合わせをするのが安心です。無料トライアル期間が3日間あるため、その期間中にしっかり体験をしましょう。

ユーザグラム

ユーザグラム

ユーザグラムは、ユーザーが実際に取った行動を分析できるツールです。客観的なデータを十分に収集できるため、仮説ではなく事実を用いたカスタマージャーニーマップの作成が可能となります。ユーザグラムのポイントは、以下の通りです。

  • IDとcookieの紐づけにより、デバイスをまたいで同一ユーザーの行動を把握可能
  • 購入や対応の履歴などリアルでの行動データのインポート・活用が可能
  • 関係者間で手軽に情報共有が可能

ユーザグラムでは、顧客や会員のIDとcookieを紐づけた情報収集ができます。そのためPCとスマートフォンなど、デバイスをまたいだ場合であっても同一ユーザーとして分析が可能です。

リアルチャネルにおけるデータのインポートや、関係者間での手軽な情報収集も、効率的なカスタマージャーニーマップの作成に役立ちます。

ユーザグラムの料金は、計測するチャネルやサイトのPV数などによって異なります。そのため導入を検討するのであれば、早めの段階で問い合わせをするのがおすすめです。

カスタマージャーニーマップのまとめ

カスタマージャーニーマップのまとめ

カスタマージャーニーマップは、現代の消費行動に対応したマーケティング施策を取る上で非常に便利です。顧客視点に立ったマーケティングを進めるために、カスタマージャーニーマップで顧客の鼓動を可視化・分析する必要があります。

カスタマージャーニーマップを上手く活用するためには、重要性や目的を押さえることが大切です。ユーザー行動の把握や、共通認識の獲得などにおいて効果が期待できます。

どのようなメリットがあるかを知ることも、効率的な施策展開のために欠かせません。カスタマージャーニーマップを作成するためには、作り方や手順についても正しく理解することが求められます。

ゴールや目的を明確にしペルソナを設定するなど、最初の段階がその後の施策展開に大きく関係します。手順に沿って進めることが、良いカスタマージャーニーマップを効率的に作成するためのコツです。

カスタマージャーニーマップを作る際には、注意点もしっかり把握しておきましょう。シンプルな設計や明確なペルソナ設定、そして現状の把握などが大切です。他部署と協働しての作成や定期的な見直しなども、カスタマージャーニーマップを活用するために押さえる必要があります。

もしカスタマージャーニーマップでお悩みがあれば、ぜひ株式会社ニュートラルワークスへご相談ください。Webサイトの制作や改善に関する豊富な実績があり、カスタマージャーニーマップについても適切なサポートが可能です。無料相談も行っていますので、ぜひお気軽にご相談ください。

著者紹介

石田 哲也

石田 哲也

取締役CMO

株式会社ニュートラルワークス 取締役CMO。1984年生まれ。高校卒業後にISD株式会社にて起業。株式会社オプトにてWebマーケティングを学び、株式会社メタップスなど複数のベンチャー企業にて事業立ち上げを経験。前職はワンダープラネット株式会社にてゲームプロデューサーとしてスマホアプリゲームの制作に従事。2018年に地元の神奈川へ戻り、ニュートラルワークスにジョイン。SEO/Web広告運用/サイト分析・改善など、Webサイトの運用改善~ゲームアプリ制作や数十万フォロワーのSNSアカウントの運用経験などWebビジネス全般を守備範囲とする。

■経歴
2003年 ISD株式会社/起業
2009年 株式会社オプト/SEMコンサルタント
2011年 株式会社メタップス/シニアディレクター
2013年 ライブエイド株式会社/執行役
2016年 ワンダープラネット株式会社/プロデューサー・BizDev
2018年 株式会社ニュートラルワークス/取締役CMO

■得意領域
Webサイト改善
SEO対策
コンテンツマーケティング
リスティング広告