SEOポイズニングとは?システムや攻撃手法・企業が行う対策も解説

SEOポイズニングとは?システムや攻撃手法・企業が行う対策も解説

この記事のポイント

この記事のポイントは以下です。

SEOポイズニングとは何ですか?

SEOポイズニングとは、検索エンジンの仕組みを悪用し、不正なWebサイトを検索結果の上位に表示させる手法です。ユーザーを偽サイトに誘導し、個人情報の盗難やマルウェア感染を引き起こす危険があります。

SEOポイズニングの被害を防ぐにはどうすればよいですか?

個人の場合、URLの確認・アンチウイルスソフトの導入・OSやブラウザの定期更新が重要です。企業では、Web改ざん検知ツールの導入・多要素認証(MFA)の活用・従業員へのセキュリティ教育を実施し、総合的な対策を強化しましょう。

SEOポイズニングの被害に遭った場合の対処法は?

速やかにサイトを公開停止し、管理者アカウントのパスワード変更や不正なコードの削除を行いましょう。さらに、警察やサイバーセキュリティ専門機関へ相談し、再発防止のためのセキュリティ対策を強化することが重要です。

SEOポイズニングとは、検索エンジンのアルゴリズムを悪用し、悪意のあるWebページを検索結果の上位に表示させる手法です。この手法により、ユーザーは不正なサイトへ誘導され、マルウェア感染や個人情報の盗難といった被害を受ける可能性があります。

「セキュリティ対策は難しそう…」と感じるかもしれませんが、基本を押さえれば誰でも簡単にリスクを減らせます。

この記事では、SEOポイズニングの仕組みをわかりやすく解説し、すぐに実践できる対策を紹介します。大切なWebサイトや情報を守るために、今日からできることを一緒に学んでいきましょう。

SEOポイズニングとは

SEOポイズニングとは

SEOポイズニングとは、検索エンジンの仕組みを悪用して、危険なWebサイトを検索結果の上位に表示させる手口のことです。これにより、ユーザーは悪質なサイトへ誘導され、詐欺やウイルス感染の被害に遭う可能性があります。

例えば、検索上位に表示されたサイトにアクセスすると、個人情報を入力させられたり、不審なソフトウェアが勝手にダウンロードされたりすることがあります。特に、ネット通販サイトや銀行のログインページを装った偽サイトが作られるケースが多く、パスワードやクレジットカード情報を盗まれるリスクがあります。

こうした攻撃に対抗するため、検索エンジン側でも対策を強化していますが、攻撃の手法も進化しており、完全になくなることはありません。そのため、怪しいサイトにはアクセスしない、公式サイトを確認するなど、ユーザー自身の注意も必要です。

SEOポイズニングのシステム

SEOポイズニングのシステム

SEOポイズニングのシステムは、いわゆるブラックハットSEOと呼ばれる手法になります。ブラックハットSEOとは、検索エンジンのアルゴリズムを利用して検索結果を不正に操作し、意図的に上位表示を狙う手法です。

例えば、不自然なリンクビルディングやキーワードの過剰使用により、本来のコンテンツの質に関係なく特定のページが上位に表示されることがあります。

具体的には以下のような手法が挙げられます。

【ブラックハットSEOの例】

  • 疑似リンクファームの構築
    大量のウェブサイトやブログを作成し、サイト同士で相互リンクを張ることで検索エンジンからの評価向上を狙う手法
  • 隠しリンク・隠しテキストの挿入
    ユーザーには見えない形でテキストを埋め込み、クローラーにだけ認識させて検索順位を操作する手法
  • キーワードスタッフィング
    特定のキーワードをページ内に過剰に埋め込み、検索順位を操作する手法
  • クローキング
    ユーザーとクローラーで異なるHTMLコンテンツを表示させる手法

また、検索エンジンのアルゴリズムが更新されるたび、こうした手法も進化し続けています。Googleのリンクスパム対策が強化されると、従来の手法が無効化され、攻撃者はより巧妙な方法を模索する傾向にあります。
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SEOポイズニングの主な攻撃手法2つ

SEOポイズニングの主な攻撃手法2つ

SEOポイズニングの攻撃手法は、大きく分けて2つあります。

  • 不正サイトへのリダイレクト
  • ファイルレスマルウェアの利用

それぞれ解説していきます。

不正サイトへのリダイレクト

攻撃者は、検索結果で正規のサイトの順位を不正に操作し、訪問者を自動的に悪意のあるサイトへ転送します。これにより、ウイルスがダウンロードされたり、詐欺サイトへ誘導されたりするリスクがあります。

ファイルレスマルウェアの利用

マルウェアとは、パソコンやスマートフォンに被害を与える悪意のあるプログラムのことです。スパイウェア(個人情報を盗むソフト)やランサムウェア(データを人質に取るウイルス)などがあります。

ファイルレスマルウェアは、従来のマルウェアとは異なり、ディスク上にデータを残さず、主にメモリ上で作動するタイプのものです。従来のウイルス対策ソフトでは検出が検出が困難なため、特に厄介です。攻撃者はこれを利用し、システムに長期間潜伏して情報を盗み続けます。

これらの攻撃は検索エンジンの信頼性を逆手に取るため、特に正規サイトを訪れたユーザーが狙われやすく、被害が深刻化しやすいのが特徴です。

SEOポイズニングされたサイトの特徴

SEOポイズニングされたサイトの特徴

SEOポイズニングされたサイトにはいくつかの特徴があります。ここからは、詐欺サイトや攻撃されたサイトの特徴、検索結果に現れる異常な変動について詳しく解説します。

これらの兆候を理解することで、被害を早期に察知し、適切な対策を講じることが可能になるでしょう。

  • 不自然な日本語
    文法や表現に違和感があり、信頼できるサイトとは思えない言い回しが使用されている。
  • 一貫性のない商材
    取扱商品がバラバラで統一感がなく、特定の分野に特化していない。
  • 大幅な値引き
    市場価格よりも極端に安い価格設定がされており、購入を誘う手口として利用される。
  • 見慣れないドメイン
    公式サイトと異なるドメインを使用し、ユーザーを偽サイトへ誘導する。
  • 広告やポップアップの乱立
    意図しない広告が頻繁に表示され、サイトの閲覧体験が損なわれる。
  • デバイスの異常動作
    不正スクリプトがデバイスに負荷をかけ、動作が遅くなったり過熱したりする。
  • サイトのパフォーマンス低下
    マルウェアの作動により、リソースを多く消費するためページの読み込み速度が著しく遅くなる。
  • 不自然なURLや誤字脱字
    URLの構造が怪しかったり、サイト内のテキストに頻繁に誤字脱字がある。

詐欺サイトを見分けるには、サイトの言語表現や商品ラインナップを確認し、価格が極端に安すぎないかチェックすることが重要です。また、ドメイン名を公式サイトと比較し、不審な点がないか注意しましょう。

SEOポイズニングの被害事例

SEOポイズニングの被害事例

実際の被害事例として、「えきねっと」をかたるフィッシングサイトが報告されています。JR東日本の公式サイトでは、「えきねっと」を装ったフィッシングメールや偽サイトに関する注意喚起が行われており、SEOポイズニングによって検索結果に不正サイトが表示されるケースが確認されています。

検索エンジン経由で誤って偽サイトにアクセスしたユーザーが、個人情報を入力させられる被害が報告されており、SEOポイズニングの典型的な手口の一例です。

参考サイト:えきねっと(JR東日本)|えきねっとをかたる偽メール(フィッシングメール)偽サイト(フィッシングサイト)にご注意ください!

これらの兆候を検出するには、サイトのパフォーマンスモニタリングツールを活用し、異常な動作を監視することが有効です。また、定期的なセキュリティスキャンを実施し、不正なコードが埋め込まれていないかチェックすることも重要です。

検索結果の異常な変動

検索順位の急激な変動は、SEOポイズニングの兆候である可能性があります。通常、検索順位は徐々に変動しますが、以下のような異常な変動には注意が必要です。

  • 急激な順位上昇
    短期間で特定のサイトが急上昇する場合、不正なSEO対策が関与している可能性がある。
  • 検索順位の急落
    以前は上位だったサイトが突然順位を大幅に下げる場合、SEOポイズニングによる影響の可能性がある。
  • 異常なスパイクの発生
    一定期間にわたって検索順位が大きく変動し続ける。

これらの異常を検出するには、検索順位の定期的なモニタリングが不可欠です。異常な変動が確認された場合は、サイトの不正なリダイレクトを解除し、コンテンツの修正やセキュリティチェックを実施しましょう。また、検索エンジンへの報告や専門家への相談も検討すべき対応策です。

SEOポイズニングで企業が行うべき対策4つ

SEOポイズニングで企業が行うべき対策4つ

企業がSEOポイズニングから自社Webサイトを守るためには、認証強化、従業員教育、セキュリティツールの導入、アンチウイルス/EDRの活用といった具体的な対策が不可欠です。

ここからは、それぞれの対策について詳しく解説します。

認証強化

認証の強化は、不正アクセスや内部からのセキュリティリスクを防ぐための基本対策です。

<認証強化のポイント>

  • 多要素認証(MFA)の導入:パスワードに加え、ワンタイムパスワード(OTP)や生体認証を活用し、セキュリティレイヤーを強化。
  • 強固なパスワードポリシーの策定:定期的なパスワード変更を促し、簡単に推測されるパスワードの使用を防ぐ。

従業員教育

  • 最新のサイバー攻撃手法の学習:フィッシング攻撃やマルウェア感染のリスクを認識し、適切な対応を習得。
  • セキュリティ意識の向上:不審なリンクのクリックを避ける、正規サイトを確認するなど、日常業務における注意点を徹底。

組織全体でセキュリティ意識を高めることで、攻撃のリスクを大幅に軽減できます。

Web改ざん検知ツールの導入

Web改ざん検知ツールは、不正アクセスや改ざん行為をリアルタイムで監視し、異常を検知するための重要な対策です。これにより、SEOポイズニングによる検索順位の不正操作や、不正なコードの注入を素早く察知し、被害の拡大を防ぐことができます。

<代表的なツールの例>

  • Sucuri:包括的なセキュリティ機能を提供し、Webサイトの改ざんやマルウェア検出、ファイアウォール保護を実施。
  • Wordfence:WordPress向けの強力なセキュリティツールで、リアルタイム脅威防御やサイト監視機能を備える。
  • SiteGuard:日本市場向けの対策に特化し、日本語環境での高精度な検出能力を持つ。

<導入・運用のポイント>

1.インストールと基本設定:対象Webサイトにツールを導入し、セキュリティポリシーを適用。

2.定期スキャンのスケジュール設定:自動検査を実施し、異常が検出された場合は即座に対応。

3.ログの定期確認とセキュリティポリシーの見直し:継続的な監視と改善で防御力を高める。

アンチウイルス/EDRの導入

SEOポイズニングを含むサイバー攻撃から企業のシステムを守るためには、アンチウイルスとEDR(Endpoint Detection and Response)の併用が効果的です。

<アンチウイルスとEDRの違い>

ツール 役割
アンチウイルス 既知のマルウェアを検出・除去し、基本的な脅威からシステムを保護
EDR 高度な攻撃や未知の脅威に対応し、リアルタイム監視と脅威の分析・対処を行う

<導入手順>

1.組織のニーズを把握し、適切な製品を選定

2.インストールと初期設定を実施

3.従業員向けトレーニングを実施し、正しい運用方法を共有

<運用のポイント>

  • 定期的なシステム監視とログの分析:潜在的な脅威を早期発見し、迅速に対処。
  • インシデント対応プロセスの整備:万が一のセキュリティ侵害時に迅速な対応ができる体制を構築。
  • 最新の脅威情報の収集と適用:攻撃手法の変化に対応し、セキュリティ対策を常に最新の状態に保つ。

SEOポイズニングの被害に遭った際の対処法3つ

SEOポイズニングの被害に遭った際の対処法3つ

SEOポイズニングの被害に遭っても、迅速かつ適切な対応を行うことでダメージを最小限に抑えることができます。ここからは、SEOポイズニングの被害に遭った際の対処法を解説します。

サイトの公開中止と管理者情報の変更

攻撃を受けたWebサイトは、速やかに公開を停止し、被害拡大を防ぐことが重要です。これにより、不正なコンテンツの拡散や検索順位のさらなる悪化を防ぐことができます。

<具体的な対処手順>

1.Webサーバーの一時停止:サイトをオフラインにし、不正アクセスの影響を遮断。

2.ドメイン設定の見直し:不正なリダイレクトの発生を防ぐため、DNS設定を確認。

3.管理者情報の変更:攻撃者が取得した可能性のあるパスワードや認証情報を更新し、多要素認証(MFA)の導入を検討。

4.不要な管理者アカウントの削除:アクセス権限を最小限に抑え、内部からのリスクを軽減。

復旧後も、定期的なセキュリティチェックを実施し、脆弱性の修正や追加の対策を行うことが求められます。

警察への相談とサイトの再構築

SEOポイズニングはサイバー犯罪の一種であり、必要に応じて警察や専門機関への相談が重要です。また、サイトの再構築時にはセキュリティ強化を徹底し、同様の攻撃を防ぐ対策を施す必要があります。

<警察への相談手順>

1.証拠の収集:攻撃の痕跡(ログデータ、不正アクセスの記録、改ざんされたコンテンツなど)を保存。

2.サイバー犯罪対応窓口への連絡:警察庁や地域のサイバー犯罪対策部門に相談。

3.必要に応じた法的措置:企業の被害状況に応じ、弁護士や専門家と協議のうえ、損害賠償請求などを検討。

<サイト再構築時のセキュリティ対策>

  • 最新のCMS・プラグインの使用:古いバージョンのソフトウェアは脆弱性を突かれるリスクがあるため、最新バージョンへ更新。
  • セキュリティプラグインの導入:Web改ざん防止ツールや不正アクセス防止ツールを活用。
  • WAF(Web Application Firewall)の設置:不正なアクセスや攻撃トラフィックを遮断。
  • バックアップ戦略の強化:万が一の際に迅速に復旧できるよう、定期的にバックアップを取得。

サイト再公開後も、継続的な監視とセキュリティチェックを行い、再発防止策を徹底することが重要です。

高度なセキュリティソリューションの活用

最新のセキュリティ技術を活用することで、従来の対策では防ぎきれない高度な攻撃にも対応可能になります。特に、AIや機械学習を活用した異常検知システムは、SEOポイズニング攻撃の兆候をリアルタイムで把握し、未然に防ぐのに有効です。

<AI・機械学習を活用したセキュリティ対策>

  • 異常トラフィックの自動検出:通常のアクセスパターンと異なる動きをAIが解析し、即座に警告。
  • フィッシング・マルウェアの事前ブロック:疑わしいURLやコードを即時に識別し、被害を防止。
  • 継続的な学習による脅威対策の強化:新たな攻撃手法にも適応し、防御精度を向上。

<導入時の注意点と選定基準>

1.既存のシステムとの統合性:現在のセキュリティ環境に適合するかを確認。

2.データプライバシーの確保:収集データの取り扱いに関するポリシーを検討。

3.コストと運用負担のバランス:費用対効果が高く、運用しやすいものを選定。

4.定期的なアップデートとサポート:最新の脅威に対応するため、サポート体制が整った製品を選ぶ。

5.スケーラビリティの確保:企業の成長や将来的な攻撃増加にも対応可能なシステムを採用。

適切なセキュリティソリューションを導入することで、SEOポイズニング攻撃のリスクを大幅に軽減し、安全なWeb環境を維持できます。

SEOポイズニングの脅威に備え、万全の対策を講じよう

SEOポイズニングの脅威に備え、万全の対策を講じよう

SEOポイズニングは、検索エンジンを悪用し、不正サイトへユーザーを誘導する手口です。被害を防ぐためには、検索結果の確認、信頼できるサイトの利用、定期的なセキュリティ対策が不可欠です。

企業はWeb改ざん検知ツールの導入、多要素認証の活用、従業員教育の強化など高度な対策を講じましょう。

サイバー攻撃は進化し続けるため、最新のセキュリティ情報をチェックし、対策をアップデートすることが重要です。日々の意識と対策の積み重ねが、安全なネット環境を守る鍵となります。心配な場合は、専門家に相談しましょう。


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監修者紹介

石田 哲也

取締役CMO

Twitter:@te2319
株式会社ニュートラルワークス 取締役CMO。1984年生まれ。高校卒業後にISD株式会社を起業。その後、株式会社オプトでWebマーケティングを学び、株式会社メタップスなど複数のベンチャー企業にて事業立ち上げを経験。前職はワンダープラネット株式会社でゲームプロデューサーとしてスマホゲームアプリの制作に従事。2018年に地元の神奈川へ戻り、ニュートラルワークスに入社。SEO/Web広告運用/サイト分析・改善など、Webサイトの運用改善~ゲームアプリ制作や数十万フォロワーのSNSアカウントの運用経験などWebビジネス全般を守備範囲とする。

■経歴
2003年 ISD株式会社/起業
2009年 株式会社オプト/SEMコンサルタント
2011年 株式会社メタップス/シニアディレクター
2013年 ライブエイド株式会社/執行役
2016年 ワンダープラネット株式会社/プロデューサー・BizDev
2018年 株式会社ニュートラルワークス/取締役CMO

■得意領域
Webサイト改善
SEO対策
コンテンツマーケティング
リスティング広告

■保有資格
Google アナリティクス認定資格(GAIQ)
Google 広告検索認定資格
Google 広告ディスプレイ認定資格
Google 広告モバイル認定資格

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