ここ数年でコンテンツマーケティングは、企業のマーケティング手法のひとつとして定着してきました。コンテンツマーケティングとは、企業が顧客や潜在顧客にとって価値のあるコンテンツを配信し、それを通して関係性を構築する方法です。
コンテンツマーケティングの中でもオウンドメディアを使った手法には、マーケティングにかかる広告費用の削減、顧客ロイヤリティの改善などのメリットがあります。そのため、オウンドメディアはコンテンツマーケティングの効果をさらに向上させる媒体として注目されています。
しかし一方で、オウンドメディアの運営は難しいとも言えます。長期にわたって制作・計測・改善を継続する必要があるためです。
この記事では、オウンドメディアの運営を成功させるまでの流れや、成功のためのポイントをご説明します。コンテンツマーケティングやオウンドメディアに関わる方の参考となれば幸いです。
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目次
コンテンツマーケティングにおけるオウンドメディアの役割
オウンドメディアとは、自社で保有・運営する独自のメディアのことを指します。広い意味では自社のパンフレットやカタログも含みます。
しかし、特にオンラインでのコンテンツマーケティングでは、自社で運営するブログ形式のWEBサイトのことを指す場合がほとんどです。この記事では「コンテンツを配信するために自社で運用しているWEBメディア」をオウンドメディアとして解説します。
まずは、コンテンツマーケティングにおいて、オウンドメディアがどのような役割を担っているのか見てみましょう。
オウンドメディアとは?特徴や目的、企業の事例について解説
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潜在顧客との接触
オウンドメディアを運用することで、潜在顧客とも接触することができます。まだ自社の商品やサービスを直接使ってもらう段階にはないものの、今後必要性を感じてもらえる確率が高い層に、あらかじめアプローチしておけるのは大きなメリットです。
広告でも潜在顧客へアプローチすることは可能です。しかし広告とは違い、オウンドメディアではコンテンツを通して情報を伝えることができます。そのため「このような課題が発生した場合に解決する方法」として記憶に残りやすいという特徴があります。
それに加えて、質の高いコンテンツを配信し続けることで、オウンドメディアや会社自体の信用を高めることができます。潜在顧客の課題が顕在化したタイミングで「この問題ならあの会社」「あのメディアを見ればヒントがある」と想起してもらえるようになるのです。
また、オウンドメディアはコンテンツを蓄積することで、課題が顕在化しているユーザーに対して半永久的に、その解決策をコンテンツを通じて提示できます。ただ、潜在顧客の課題は曖昧で幅広く、さまざまな解決策や、時には問題を認識するための情報も必要です。
オウンドメディアであれば、幅広い課題に対してコンテンツを制作し配信し続けることができるので、蓄積した分だけ集客力が向上していきます。
見込み客の獲得
オウンドメディアでは、潜在顧客だけでなく見込み客も獲得できます。潜在顧客が必要としている情報と、見込み客が必要としている情報は異なります。
例えば、浴室のカビ取り洗剤を製造販売している企業にとっては、お風呂を綺麗にしたいと思っている人たちが潜在顧客、お風呂のカビを取りたいと思っている人たちが見込み客です。
そこで、潜在顧客には、水垢・石鹸カス・カビといったお風呂の汚れの種類と落とし方を説明するコンテンツを提供します。見込み客には、カビの落とし方や、一般洗剤に比べてカビ取り洗剤が優れている点などを説明します。
それぞれの潜在顧客と見込み客のニーズを調査してコンテンツを作成・配信することで、各段階のユーザーへアプローチすることができるのです。
また、オウンドメディアへ初めてアクセスした時には潜在顧客の段階だったユーザーを、見込み客へ引き上げることもできます。
潜在顧客の持つ、お風呂を綺麗にしたいという課題は漠然としています。それに対して、お風呂の汚れには種類があることを説明するコンテンツを提供します。
漠然としていたニーズから、水垢の発生原因と掃除方法、石鹸カスの発生原因と掃除方法、カビの発生原因と掃除方法、という課題を明確にします。すると、カビを落としたいという課題を持った見込み客に引き上げられます。
このような、検討段階ごとのユーザーへ繰り返しアプローチする方法は、WEB広告ではリスティング広告やリターゲティング広告が担っていました。しかし、広告は同じ人に繰り返しアプローチするにも、その都度広告費が発生してしまいます。
そのため集客コストが高騰する傾向にありました。結果として、顕在層の刈り取りしか広告の費用対効果が合わず、潜在顧客や見込み客との関係性を築くのは難しかったとも言えます。
その点、コンテンツマーケティングならば、コンテンツを通じてユーザーに何度も接することができ、信頼を積み上げながら見込み客と関係を構築することができます。
また、配信するコンテンツは自社の商品やサービスを中心に置いて課題に対する解決策を提示できます。そのため、自然と自社の商品やサービスの長所を理解して選んでもらいやすくなります。
顧客ロイヤリティの改善
オウンドメディアには、すでに自社のことを知っている人や、自社の商品やサービスを利用したことがある人も訪れます。自社の新商品の情報、サービスのアップデートの情報、開発の裏話や自社製品への思いなども伝えることができます。オウンドメディアで良質なコンテンツを継続して発信することで、より自社を身近に感じてもらうチャンスが生まれます。
顧客との継続的な接点を持つことで、強固な関係性が構築できます。これを顧客が企業に抱く愛着や忠誠心という意味で、顧客ロイヤリティと言います。
顧客ロイヤリティが高まると、そのユーザーは自社の商品やサービスを長期にわたって使い続けてくれるようになります。さらに、口コミサービスに書き込みをしてくれたり、友人に推薦してくれたりと、自社製品の認知拡大や集客にも積極的に協力してくれることもあります。
インターネット上のレビューやSNSへの投稿といったユーザー同士の情報交換は、比較検討の際の重要な判断基準となっていますので、非常に大きな効果があります。
商品を購入してもらうだけや、サービスを使ってもらうだけではできない関係性の構築も、オウンドメディアの役割として大きなものです。
オウンドメディアで成果を上げるために必要なこと
オウンドメディアの運営には様々な役割や効果があることはご紹介しました。とはいえ、オウンドメディアを立ち上げてコンテンツを配信し続けるだけでは、成果がでるとは限りません。運営しているだけの状態にならないために、オウンドメディアで成果をあげるために必要な要素を見ておきましょう。
他の活用方法との併用を検討する
オウンドメディアはコンテンツマーケティングの中心に据えるべきものです。キーワード選定とSEO対策に問題がなければ、自然検索からの流入だけでもオウンドメディア単体で成果を出すことができます。それだけの高いポテンシャルを持つオウンドメディアですが、他のマーケティング施策と組み合わせることで、より高い効果を出すことができるようになります。
特にオウンドメディアで獲得したリードを育成するリードナーチャリングの過程で、他の施策を組み合わせた方が効果が高まります。具体的な施策としては、メールマガジンやセミナーがあげられます。
メールマガジン
メールマガジンは、ご存知の通りEメールを定期的に配信する施策です。メールマーケティングと呼ばれることもあります。
メールマガジンを始めるには、オウンドメディアへ流入してきた潜在顧客に、さらに詳しい資料をダウンロードすることや、定期的な情報配信を受け取ることを勧めて、その代わりにメールアドレスを登録してもらい、そのアドレスにメールマガジンを配信するという方法があります。
メールマガジンでは、SEOなどのプラットフォーム側に配慮せずに、顧客や自社を中心としたコンテンツを、最適なタイミングで最適なユーザに届けることが可能です。
オウンドメディアでも、メールマガジンで配信されるそれぞれの情報は掲載されていますが、ユーザーが検索でたどり着いてくれるとは限りません。定期的に顧客へ情報を届けることで見込み客の購買意欲を高めることができます。
コンテンツマーケティングのメルマガ活用!メルマガのコツを解説セミナー
セミナーもメールマガジンと同様に、オウンドメディアを訪れた人が得たいと思っている情報を詳しく解説するものです。オウンドメディアでは複数の記事で説明すること、メールマガジンでは連載として順に説明することを、セミナーではダイジェスト版として一気に解説することが多くなっています。そして、もっと詳しく知りたい方には、個別に面談する機会を設けます。
講師と受講者という関係を作れるので、講師側は権威性を持つことができ信頼感が高まります。また、多くの参加者に一度にアプローチでき、その中からさらに有望な顧客候補を引き上げることができます。
オウンドメディアでの情報配信だけでは長い時間がかかってしまうリードナーチャリングも、これら他の施策と組み合わせることで、より効率的に成果をあげることができます。
ウェビナーの料金は?おすすめツール16選を比較 コロナ禍のリモート生活で一躍注目されているウェビナー。自社サービス・商品の展示会や人材採用の説明会、社員研修などに利用でき、直接リードを獲得できるメリットもあります。そこでウェビナーのメリットとデメリット、おすすめのツールをご紹介します。運用目的と計測数値を決める
オウンドメディアで成果をあげるためには、当然ながら何が成果なのかを定めておく必要があります。ただオウンドメディアを運営することだけが目的になってしまっていては、計測すべき数値もはっきりせず、成果を測ることもできないからです。
漠然とした運営を避けるために、オウンドメディアの目的と、計測できる様々な指標の中で重視するものを決めておかなければなりません。オウンドメディアの運用目的と重視すべき計測数値には、主に次の4つがあげられます。
商品やサービスの認知を広げる
まだ自社の商品やサービスが広く認知されていない段階の場合、できるだけ多くの潜在顧客に知ってもらう必要があります。その場合には、潜在顧客となる可能性のあるユーザーが検索するであろうキーワードでコンテンツを作成します。そして、そのPV数やUU数を計測し、向上させるようブラッシュアップさせていきます。
リードを獲得する
オウンドメディアの多くが、リードの獲得を目的としています。リード獲得とは自社の商品やサービスの顧客になりそうな候補に直接コンタクトできる個人情報を取得することです。
そのためには、オウンドメディアを訪れた人にコンテンツの内容に興味を持ってもらい、さらに詳しい情報をえるためにメールアドレスや電話番号などの情報を自社に教えても良いと思ってもらえるコンテンツと登録フォームを用意します。
そのコンテンツへのアクセス数と、アクセスした中での登録率を計測して、両方を向上させられるよう施策を考えます。
リードナーチャリングを行う
オウンドメディアを訪れたユーザーは、まだ自社の商品やサービスに興味を持っている段階ではありません。オウンドメディアで説明されている課題の解決方法などを目的にアクセスしています。そのユーザーを育成して、自社の商品やサービスの顧客となってもらうことを目的とするオウンドメディアもあります。
その場合、繰り返しオウンドメディアにアクセスしてもらって、多くのコンテンツに触れてもらうことが重要です。そのため計測する数値も、1人が何度オウンドメディアにアクセスしたかや、1人が何ページ回遊したかなどとなります。
リードナーチャリングとは?見込み客を育成する手法と事例を解説商談や成約を獲得する
売上を生むには、自社の商品やサービスを購入・利用してもらう必要があります。オウンドメディアを通して、売上に到達してもらうことを目的とすることもあります。その場合には、商談や購入の申し込みの数が重視されます。従って、計測すべき数値も申し込みページへの到達数や、実際の申し込みフォームからの送信数となります。
ユーザーの解像度を上げる
オウンドメディアの設計や運用では、誰に対してどのようなコンテンツを配信するかが大切です。また、どのようなコンテンツを作るかは、誰に対して配信するかによって決まります。つまりオウンドメディアを運営する根本で、想定するユーザーをより深く理解して解像度を上げることが重要なのです。
ユーザーの解像度を上げ、どのような課題を持っているか、どのようなコンテンツが必要とされているかを理解するためには、次のような方法があります。これらを可能な限り幅広く、継続的に実施してユーザー像を正確に捉えます。
カスタマージャーニーの作成
カスタマージャーニーは、潜在顧客であるターゲットが、どのような道をたどって、どのように顧客となるのかを設定したものです。潜在顧客が自社の商品やサービスを知る以前から、実際に購入し顧客となる過程、そして商品やサービスを体感した後の関係性まで、具体的に考えて分析します。それを通して顧客に合ったマーケティング戦略の構築を行うためのツールです。
潜在顧客がなにを欲しているのか、顧客のおかれている状態や段階によって需要はどのように変わるのか、深く理解できれば的確で効果的なコンテンツを作成することができます。
カスタマージャーニーマップとは?目的と作り方、事例を解説顧客からのヒアリング
カスタマージャーニーは商品やサービスを提供する側が考察して作成します。つまり、自社の考えるユーザー像です。そのため、上手く分析や機能していない場合には、ユーザーの気持ちからずれてしまっていることもありえます。
そこで、実際のユーザーから直接話を聞いてみることも大切になります。自社内で設定したユーザー像が実情に合っているのか、想定していなかったニーズや不満はないかなど、多くのことを検証できます。
yahoo知恵袋などのクチコミサイト調査
顧客からのヒアリングとは別に、実際のユーザーの声を聞くことができる場があります。ユーザーが商品やサービスについての評価や意見を書き込むクチコミサイトです。ここでは顧客へのヒアリング以上に正直な声を見つけることができるでしょう。
また、課題を持った人が質問をするサイトで、解決方法として自社の商品やサービスを紹介してくれている場合もあるかもしれません。そこでも、ユーザーが何に満足しているのか、不満はないか、自社内で想定していなかった使われ方をしていないかなど、様々な実例が見つかることがあります。
ユーザーのニーズを知るとともに、炎上の種を素早く見つけるためにも、クチコミサイト調査は常におこなっておくべきでしょう。
検索キーワード調査
google analyticsやSearch Consoleを使えば、どのような検索キーワードでオウンドメディアにアクセスしている人がいるのか見ることができます。中には想定していなかったキーワードもあるでしょう。そのキーワードはコンテンツを強化してさらに活かせるようにします。
また、自社の商品やサービスに関係するキーワードを調べることもできます。例えばオウンドメディアのテーマが「ペット保険」だった場合、一緒に検索されることが多いキーワードを調べれば、作成するコンテンツの優先順位を設定することができます。
オウンドメディアはSEOと密接に関わっていますので、検索キーワードの調査は重要です。
コンテンツマーケティングで成果を出すキーワード選定方法と7つのコツを総まとめコンテンツイメージまで具体化する
オウンドメディアの運営には計画性が大切です。どれくらいの頻度で、どのようなコンテンツを配信するのか、事前に決めておかなければなりません。頻度を設定したら、実際にそのペースでコンテンツを作成します。その際に、具体的にコンテンツのイメージまで策定できていれば、作成が非常にスムーズに進みます。
自社のターゲットにコンテンツを配信する、というだけでは曖昧すぎるわけです。どのようなテーマやタイトルのコンテンツを、どのようなテイストで配信するのか、具体的な内容や特徴をイメージできるようにしておきます。
例えば、ロードバイク初心者向けのコンテンツでも、気軽に楽しく日常生活で自転車に乗ることを基本スタンスとした場合と、体力をつけて将来は競技にも対応できることを想定した場合では、コンテンツの内容もテイストも全く異なってきます。ターゲットに対しての自社の立場、何に共感して欲しいのかを設定しておくべきです。
また、コンテンツのイメージを具体化できていれば、チームや関係者との意識の統一や、社内の決裁権者への説得力も高まります。
コンバージョンから逆算する
オウンドメディアには、メディア全体としての目的もあります。また、各ページでの目的も、このページは検索から流入してもらうことが目的、このページはメールマガジン登録してもらうことが目的、などそれぞれ異なります。各ページが役割を果たして、オウンドメディアの目的に至るのが理想です。
成果が思うように出ていないオウンドメディアの多くは、これらの導線設計が上手くいっていないことが少なくありません。まだ自分の課題が顕在化していない段階のユーザーに向けた記事で、いきなりサービスへの問い合わせフォームを置いても、入力して送信する人はほとんどいないでしょう。
それよりは関連記事やメールマガジン登録への誘導をすべきです。同様に、インタビュー記事のページでは多くの事例を紹介する資料のダウンロード、課題解決ノウハウを紹介するページでは根拠となるホワイトペーパー、よくある質問ページではお問合せフォームなど、コンテンツの内容に即した誘導が重要です。
コンテンツとCTAの関係、次への引き上げを意識して、導線を設定しましょう。
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オウンドメディアを導入する流れ
コンテンツマーケティングのためにオウンドメディアを運営するには様々なことが必要です。事前準備をして、オウンドメディアを開設、継続的に記事を配信し、効果測定と改善を行います。ここでは具体的に、オウンドメディアを導入するして運営する流れを見ていきましょう。
顧客分析
まずは誰に対してコンテンツマーケティングを行うのかを策定します。誰に情報を届けるのかが明確になっていなければ、オウンドメディアでどのようなコンテンツを配信すべきなのかも見えてこないためです。そのために利用されるのがペルソナです。
ペルソナとは、本来は心理学の用語ですが、マーケティングの世界では「架空のユーザー像」や「人物モデル」という意味で使われます。サービスや商品の典型的なユーザー像を具体的に1人の人物として想像できるようにしたものです。ペルソナを作成することで得られるメリットには、以下のようなものがあります。
ユーザーのニーズを集約できる。
ペルソナを作成すれば「このユーザーが欲しがっている情報はどのようなものか?」と考えられます。ピンポイントでペルソナ1人の需要を満たすことを目指すことで、コンセプトが研ぎ澄まされ、唯一無二のメディアになるのです。
ユーザー視点を獲得できる。
オウンドメディアでは、ユーザーにとって役立つ情報を配信するためにコンテンツを作成します。そのためには、ユーザーがどのような情報を必要としているか知る必要があります。ペルソナを作成することで、ユーザーの性格や生活パターンを理解し、「この人はどのような悩みや課題を抱えているのか」と考えやすくなります。
イメージを共有できる。
ペルソナを作成すれば、具体的な顧客を明確にイメージできます。さらにそれをチームや関係者の間で共有することで、イメージを統一することができます。
オウンドメディアの運営には多くの人が関わります。ターゲット像が曖昧だと、各担当者が違ったユーザー像を想定してしまうことが増えます。すると意思疎通も難しくなり、オウンドメディアの方向性の理解もバラバラになってしまいます。具体性を持ったペルソナを作成することで、それを防ぐことができます。
ペルソナは、具体的な人物像が浮かぶように作成します。その人の属性や、生活を形作る要素といった、以下のような項目を設定します。
- 氏名
- 年齢
- 性別
- 学歴
- 職業
- 仕事内容
- 肩書き(社内での役職など)
- 年収
- 居住地(住んでいる場所、賃貸・持ち家など)
- 家族構成(既婚・未婚、子供の数や一緒に住んでいる家族の情報)
- 趣味(複数でも可)
- 日課にしてること
- 利用しているSNS
これら基本的な項目を設定したらイメージを膨らませて、生活パターン、悩み、将来設計といったことを想定していきます。すると、ペルソナが必要としている情報も考えることができます。その情報をオウンドメディアで配信するのです。
ペルソナの作成方法の詳細は、下記の記事もご参考ください。
ペルソナとは?役割と定義、設定ポイントを解説カスタマージャーニーマップを作成
カスタマージャーニーとは、ペルソナがどのような経緯で自社の商品やサービスを認知して顧客になるか、その流れを可視化したもののことです。これによって、ペルソナの需要や気持ち、行動を理解できるのが最大のメリットです。ペルソナが、自社の商品やサービスを知らない段階から顧客になるまでの経緯を想定します。
- 自分の課題に気づく。
- 課題を解決するための方法を探す。
- 自社のサービスで課題を解決できると理解する。
- 自社と競合を比較する。
- 自社のサービスを使って課題を解決する。
これらの各段階で、ペルソナがどのような情報を必要とするか、どのような情報があれば次の段階に進めるかを分析できます。それに応じて、ペルソナの役に立つ情報をオウンドメディアで配信すれば良いのです。
カスタマージャーニーマップを作成する際は、ペルソナの置かれる状況を時系列で並べ、その各段階での課題、感情、行動などを書き込みます。そして、ペルソナにどのようなアプローチをして、次の段階に進んでもらうかの具体的な施策も書き加えます。
カスタマージャーニーは可能な限り具体的に設定できるよう注意しましょう。ペルソナやカスタマージャーニーの設定が曖昧だと、オウンドメディアで配信すべき情報もブレてしまいます。
カスタマージャーニーマップが作成できたら、ペルソナがカスタマージャーニーの各段階で抱く課題に合わせて、それを解決するのに必要な情報を届けます。その情報を得るために、ペルソナはどこで情報を探すのか、検索エンジンなのか、SNSなのか、雑誌や新聞なのか。また、どのようなキーワードで検索するか。
ペルソナの生活習慣や性格などから、よく使うチャネルや、検索するキーワードを具体的に検討していきます。すると、オウンドメディアでも作成すべきコンテンツが見えてきます。
カスタマージャーニーの作成方法の詳細は、下記の記事もご参考ください。
カスタマージャーニーマップとは?目的と作り方、事例を解説競合コンテンツ分析
オウンドメディアを用いたコンテンツマーケティングの効果を上げるには、SEO対策が重要になります。SEO対策とは、ターゲット層を同じくする競合、同業種の競合の配信しているコンテンツよりも、検索結果で上位に表示されることを目指します。
SEO対策にはテクニカルな面もありますが、重要なのはコンテンツのクオリティです。顧客にとって役に立つWEBサイトが上位表示されるよう設計されています。
ペルソナやカスタマージャーにマップを作成して顧客を深く理解し、顧客が求めている情報は何かを見定めます。それを元にコンテンツマーケティング全体として発信していく情報のテーマを決めたら、そのテーマのWEBサイトの中で最良のコンテンツの作成を目指しましょう。
コンテンツマーケティングに取り組む会社が増えてきていますので、競合との争いになります。コンテンツマーケティングを取り入れる企業が多い業界では、コンテンツの質もより高いものが求められます。まずは業界動向や市場動向といった外部環境を調べて、どの程度の質や量のコンテンツが必要か、目標を見極めます。
競合が配信している情報は、自社のオウンドメディアでも網羅します。そして、さらに新しい独自の情報を加えて配信しましょう。そのために、自社の体制や保有している情報資産などの内的環境を確認します。
自社顧客へのアンケートやインタビュー、あるいは自社内の営業部門やサポート部門といった独自のリソースを活用してください。他のWEBサイトにはないオリジナルの情報は、SEO対策において非常に強い武器となります。
競合サイトの順位比較!分析ツールおすすめ10選と見るべきポイントキーワード選定
ここまでオウンドメディアのテーマや視点、目標とするメディア像などを策定してきました。いよいよ具体的にコンテンツを作成します。
キーワードを選定し、それに従ってコンテンツを作成していきます。キーワード選定方法は、ユーザーのニーズ、検索ボリューム、競合動向の3つが関わってきます。
ユーザーのニーズ
ペルソナとカスタマージャーニーマップを作成してあれば、ユーザーのニーズは理解できているはずです。ユーザーが各ニーズを満たすために検索する際のキーワードも想定できるでしょう。このキーワードを洗い出し、全てリスト化します。これらのキーワードが候補となります。
検索ボリューム
リスト化したキーワード候補の月間検索ボリュームを調べましょう。たくさん検索されているキーワードもあれば、思いのほか検索されていないものもあるはずです。キーワードによってコンバージョン率や獲得できるPV数は異なります。これによってキーワード候補の優先順位を決められます。
競合動向
優先順位の高いキーワード候補を実際に検索してみましょう。検索結果に表示されるWEBサイトが競合と言えます。それらのコンテンツよりも質の高いものを作成しなければなりません。
中には非常によくできた競合のコンテンツもあるでしょう。それを超えるコンテンツを作るための情報収集やリソース確保などが難しい場合、優先順位を下げても構いません。
キーワード選定によってオウンドメディアの成果や、成果が出るまでの期間に大きな差が生じます。すばやく効率的に成果を出すことを考え、優先順位を策定しましょう。
キーワード選定の詳細は、下記の記事もご参考ください。
コンテンツマーケティングで成果を出すキーワード選定方法と7つのコツを総まとめKPI・KGI設計
オウンドメディアのコンセプトと、作成するコンテンツのキーワード選定もできたら、実際に配信を始める前に運用時の指標を決めておきます。オウンドメディアが何を目的としているか、どのような成果を目指しているのかを設定するためです。
コンテンツマーケティングは成果が目に見えるまでに比較的長い時間がかかります。中長期的な施策となるため、成果が出ているかを判断する数値を決めておかないと、運用方法に迷いが生じてしまいます。正しく計画通りに進められているかを確認するためにも、わかりやすく意味の理解しやすい定量的なKGIとKPIを設定しましょう。
KGIとは、Key Goal Indicatorの略で、重要目標達成指標と訳されることもあります。これはオウンドメディアを運営することで得たい成果です。例えば、受注数、商談数、問い合わせ数、認知度、などがあげられます。
KPIは、Key Performance Indicatorの略で、重要業績評価指標と訳されることもあります。KGIにつながる成果を測る指標を設定します。例えば、KGIが受注数であれば、その前段階として商談や問い合わせ、資料請求数などがあるでしょう。また、KGIが認知度の向上であれば、オウンドメディアのPV数やユニークユーザー数もKPIとなります。各KPIが改善されればKGIが向上するという関係になります。
これらの指標を組み合わせて、オウンドメディアで達成したい成果を設定し、ブレない運営を行います。
また、KGIやKPIといった指標はオウンドメディアの運営段階によって変えることも必要です。例えば、オウンドメディアを立ち上げてコンテンツを投入している段階では、認知度の向上を目指します。認知度調査で80%に到達するのをKGIとし、その前段階のKPIは、PV数、UU数とします。
それに対して、オウンドメディアからの受注が出始めたグロース段階では、より効率的な運営を目指します。そのため受注数をKGIとして、資料請求数、商談数、引き上げ率をKPIとします。
このように、オウンドメディア自体も成長し、その目的は変化していきます。それを見越して長期的な計測指標を設定しましょう。
KPI指標とは?KGIとの違い、設定例を分かりやすく解説 重要な指標を設定し、目標達成のために具体的な施策を考えるためにKGI、KPIを設定する手法が一般的です。では、具体的にどのようにKGI、KPIを設定すればいいのでしょうか?OKR、KSFの紹介とあわせて解説します。導線設計
オウンドメディアの目的は、コンテンツを制作して情報を配信することではありません。そのコンテンツを通じて、ユーザーとの関係性を築くことです。そのためには、コンテンツページやカテゴリーページごとに、どのようにコミュニケーションを取るかを設計することが重要です。
ユーザーにとって役立つコンテンツを配信しても、その後でユーザーが何も行動できなければ成果にはつながりません。必ずユーザーが次の段階に進める手段を用意しておきましょう。
例えば、ユーザーの課題を明確化する内容のコンテンツであれば、ホワイトペーパーのダウンロードへ誘導し、ユーザーのメールアドレスなどを取得できるようにしておきます。
自社のサービスを紹介するコンテンツであれば、導入事例を紹介する資料のダウンロードへの誘導を用意しておきます。次の行動につながる導線がなければ、ユーザーは離脱してしまうためです。
また、オウンドメディア内の導線が効果を上げているか、常に改善し続ける必要があります。そのために、ヒートマップや、バナークリック計測など、オウンドメディアを訪れたユーザーの行動を可視化できるツールもあります。
運用体制設計
コンテンツマーケティングは成果が出るまでに時間がかかります。そのため、長期的に継続して取り組むことが重要です。実はコンテンツマーケティングの最大の障壁は「継続すること」なのです。
企業ブログを見ていても、コンテンツ数が少なかったり、最後に更新してから時間が経っているものは少なくありません。始めてみたもののすぐには効果が出ないため諦めてしまったり、ブログ運営方針がはっきりしていなかった、といったものがほとんどでしょう。
オウンドメディアを継続的に長期間運営するためには、チーム体制の確立が欠かせません。運営チームは、工程ごとに役割を分担して、責任領域を明確化したメンバーで編成されるべきです。具体的には、最低でもプランナー、コンテンツ管理者、制作者、運用者、アナリストの5人が必要です。
プランナー
オウンドメディア全体を統括する立場です。運営プランを策定し、計画を進行、進捗管理をします。
コンテンツ管理者
コンテンツのクオリティを管理する立場です。キーワードを選定した際の意図が正しくコンテンツ制作に反映されているか、内容に誤りはないか、競合のWEBサイトに比べて不足している情報はないか、といったことを確認します。また、コンテンツのSEOを評価したり、改善を促す役割も担います。
制作者
実際にコンテンツを制作する立場です。情報を集めてまとめ、わかりやすく文章化します。また、SEOに即したライティングをする知識も求められます。
運用者
オウンドメディアをWEBサイトとして管理運用する立場です。サイトの構造や導線の管理・改善と通じたグロースハックや、情報拡散のデザインや炎上対策などを行います。
アナリスト
オウンドメディアのアクセス解析を行い、効果測定や課題分析などを行う立場です。オウンドメディアの規模が大きくなり、計測できるデータ量が増えてくると、データサイエンティストのスキルも必要となります。
オウンドメディアの規模や各メンバーが割ける時間によっては兼任することも可能ですが、1人か2人で全てを担おうとしてもすぐに限界が来るでしょう。オウンドメディアの運営を安定して継続するためのチームが必要です。
コンテンツマーケティングの運用方法の詳細は、下記の記事もご参考ください。
コンテンツマーケティングの運用手順を8ステップで解説効果測定
運用体制を構築して、実際にオウンドメディアを公開し、コンテンツを配信し始めたら、速やかに数値の計測を行いましょう。オウンドメディアを制作するときからgoogle analyticsなどの計測ツールを組み込んでいれば、運用と同時に数値の計測ができています。
そして、あらかじめ設定していたKGIやKPIに基づいて、その数値を検証します。PV数やUU数は計画通りに達成できているか、PV数に比べてホワイトペーパーのダウンロード数が極端に少なくないか、などといったこともわかります。
また、各キーワードでの検索順位も定期的に計測して観察することによってどのキーワードが重要なのかや、他社の動きも把握することが可能です検索順位が低い場合には、競合のWEBサイトにユーザーが流れていってしまっていることとなります。
改善グロース
オウンドメディアの運営では、常に新しいコンテンツを配信し続けることも重要ですが、公開済みのコンテンツやWEBサイト全体の導線設計などの改善も欠かせません。計測した数値や、KGI・KPIの数値から問題点を探り、改善を行います。
改善する際には、マーケティングファネルの底から上に向かって順番に行うのが基本です。マーケティングファネルとは、認知の獲得→課題の理解→検討の促進→問い合わせ→商談、といった形で進んでいく購買プロセスの考え方です。
認知がファネルの最も上、商談が底となり、当然ながら底に進むほどに到達するユーザー数は少なくなります。売上や商談といった成果につながりやすい底から改善を行いましょう。
コンテンツマーケティングにおけるオウンドメディアの成功事例
オウンドメディアを使ったコンテンツマーケディングのイメージをさらに明確にするために、成功事例を見てみましょう。いずれのオウンドメディアも、コンテンツの質と量、導線設計なども考え抜かれて作られているので参考にしてみましょう。
BtoB、BtoCを含めたコンテンツマーケティングの成功事例は、下記の記事もご参考ください。
コンテンツマーケティング成功事例24選!BtoB、BtoC別の手法も解説株式会社ルーシー
株式会社ルーシーはコンテンツマーケティングを専門としている企業です。広告に頼らず、コンテンツを配信することで集客からリードナーチャリングまで行うことで、広告費を削減して安定した経営を手助けすることを事業の軸にしています。
コンサルティングやサポートから、オウンドメディアの運営代行まで、コンテンツマーケティングに関することなら何でも相談できます。
株式会社ルーシーのオウンドメディアが「バズ部」です。
オウンドメディアではコンテンツマーケティングの解説やノウハウを配信し続けています。その特徴は圧倒的な情報量です。
運営期間も長いためコンテンツ量も多く、さらにダウンロードできる資料やホワイトペーパーのボリュームも非常に大きく制作されています。これだけの情報量を持った会社ならば安心して任せられる、という信頼感も生んでいます。
コンテンツマーケティングで最も重要なのは、そのコンテンツの質です。それを徹底する姿勢を株式会社ルーシーから学び、真似ることができるはずです。
コンテンツマーケティングを専門としている会社なので、オウンドメディアの運営も全社を挙げて行っているでしょう。そこまでの体制は真似できないかもしれませんが、目標としても参考にしたいオウンドメディアです。
株式会社ニュートラルワークス
株式会社ニュートラルワークスは、湘南にある企画・クリエイティブチームです。とは言え、WEBサイトのデザインや制作だけでなく、マーケティング支援やコンサルティングも幅広く行うオールラウンドの会社です。
株式会社ニュートラルワークスのオウンドメディアが「QUERYY(クエリー)」です。
株式会社ニュートラルワークスの幅広い事業内容を反映して、オウンドメディアのコンテンツも多種多様なものが揃っています。WEBサイトやECサイトの制作や運営からマーケティング支援、さらには企業向け補助金解説など、幅広く配信されています。
これらのコンテンツを制作・配信するためには、複数の編集チームが領域を分担して運営しているでしょう。それぞれの分野でオウンドメディアを独立させずに、統一して運営しています。
領域を跨いだ導線設計や、大規模なオウンドメディアでの統一感を持った運営は難しいので参考になります。多部門に及ぶオウンドメディアでなくても、視点や雰囲気の統一は乱れがちになるので、真似できるところを探す良いお手本になります。
キーエンス株式会社
キーエンス株式会社はセンサーなどの精密機器を製造販売する企業です。営業利益率が50%を超える、効率のいい経営でも広く知られています。
オウンドメディアを使ったコンテンツマーケティングというと、IT業界やECなどが思い浮かぶことが多く、製造業で活用されているのは意外にも感じます。しかし、株式会社キーエンスは複数のオウンドメディアを運営し、効果を上げています。
その一つが「安全知識.com」です。
https://www.keyence.co.jp/ss/products/safety/knowledge/
このサイトでは、各種のセンサーや計測機器や、それらを使った製造設備の安全管理についてのコンテンツが配信されています。他にも「センサとは.com」「測定器ナビ」といったオウンドメディアでも、それぞれの分野のコンテンツが配信されています。
これらのオウンドメディアの特徴は、その専門性です。その分野に関わっている人でなければ読んでもわからないような、専門的な情報ばかりが掲載されています。比較検討の期間が長く、情報の合理性が重視されるBtoBの顧客を満足させるためには正確かつ高い専門性を持つ情報が必要です。キーエンスのオウンドメディアはペルソナを明確に設定した、狭く深いコンテンツマーケティングの例として参考になります。
BtoBのオウンドメディアを運営する際や、ニッチな領域でのビジネスでオウンドメディアを活用したい場合には、株式会社キーエンスのオウンドメディア運営方法を真似てみると良いでしょう。
オウンドメディアの成功には外部パートナー活用がおすすめ
オウンドメディアは成功すれば非常に高い効果を生みます。広告だけに頼ったマーケティング手法に比べて、顧客獲得単価の削減や集客の安定化など様々なメリットがあるため、ぜひ活用したい手法です。
しかしその一方で、成功させるためには様々な点に注意する必要があります。特に、立ち上げるだけでなく継続して運営し、常に改善し続けるのは思いのほか大変です。社内リソースだけでは、既存の業務との兼ね合いからオウンドメディアの運営が疎かになってしまうことも少なくないでしょう。
そこで、オウンドメディアで成果を出すためには、コンテンツマーケティング全体のノウハウや勝ちパターンを知っている、外部パートナーを活用することがおすすめです。
ニュートラルワークスではインターネットに関わる業務を幅広く行っています。オウンドメディアの運営にも実績があり、自社メディアの運営では検索流入数を34倍、獲得件数を24倍にまで成長させています。コンテンツマーケティングの企画や、オウンドメディアの運営にお悩みなら、ぜひニュートラルワークスにご相談ください。