マーケティングファネルは、消費者が購買行動に至るまでのプロセスを段階的に分類したものです。マーケティング施策でよく活用される分析方法ですが、現在では「役に立たない」「当てはまらない」という声も聞かれます。
実際に、昨今の購買プロセスにマーケティングファネルは使えないのでしょうか?結論からいえば、十分に活用可能といえるでしょう。
この記事では、マーケティングファネルの概要からメリット、種類などを詳しく解説します。併せて、マーケティングファネルが古いといわれている理由と最新の活用事例も紹介するので参考にしてみてください。
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目次
マーケティングファネルとは?メリットを解説
マーケティングファネルとは、消費者が商品やサービスの認知から購入までのプロセスを図で表したものです。プロセスが進むごとに人数が減っていく流れが逆三角形で表現されますが、その形が液体を注ぐときに使用する「漏斗」(英語でファネル)に似ているため、「マーケティングファネル」と呼ばれるようになりました。
マーケティングファネルが重要な理由とメリット
マーケティングファネルは、消費者が購買するまでの行動を「AIDMA」という5段階に分類しています。
認知(Attention)
↓
興味(Interest)
↓
比較・検討(Desire)
↓
記憶(Memory)
↓
行動(Action)
このように分類することで、消費者がどの段階にいるのかが明確になるため、課題を洗い出しやすくなります。
また、マーケティングファネルはBtoBの購買プロセスにおいて活用しやすいというメリットがあります。BtoBは、BtoCと比べて購買プロセスがシンプルなので、マーティングファネルで分析しやすく、マーケティング施策にも役立つといえるでしょう。
BtoCの場合、顧客である個人は、情報収集の段階で興味関心が移り変わることもあり、商品購入まで至らないケースが多々あります。一方、BtoBは予算や求める機能が企業で決まっており、購入前提で商品の選定を進めるのでマーケティングファネルの図式から外れることはほとんどないでしょう。
BtoBでマーケティングファネルを活用すれば、顧客がどの段階で止まっているのか見える、課題が見つかりやすいのもメリットです。
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マーケティングファネルとカスタマージャーニーの違い
よくマーケティングファネルと比較される言葉に「カスタマージャーニー」があります。カスタマージャーニーとは、顧客が購買するまでの行動や心理を可視化した図式のことです。両者の共通点は、顧客が購買するまでのプロセスを可視化したという部分です。
しかし、カスタマージャーニーは、購買までの各段階で顧客がどのような行動や心理状態なのかに重きを置きます。それに対して、マーケティングファネルは各段階の顧客の人数や行動を可視化したものです。可視化という部分は共通していますが、実際の中身は全く違うことを理解しておきましょう。
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マーケティングファネルは「死んだ」「古い」と言われている理由
昨今のマーケティング分析では、「マーケティングファネルは死んだ」「マーケティングファネルは古い」といわれています。その理由を以下3つの観点から解説します。
- 消費者のニーズや価値観が多様化した
- 消費者の購買行動が多様化して直線的ではなくなった
- 消費者の購入体験や購入後の体験も多様化した
消費者のニーズや価値観が多様化した
近年、インターネットが発達したことで、消費者はさまざまな情報を得られるようになり、それによりニーズや価値観が多様化しているという現状があります。
例えば、冷蔵庫を購入する場合、価格以外のデザインや性能面、他の購入者の口コミなど、さまざまな角度から商品を検討できます。個人が購買に対して重要視する価値観も変化しています。
その結果、マーケティングファネルのように、顧客の価値観は同じものと仮定するプロセスは当てはまらないのではないかといわれています。
消費者の購買行動が多様化して直線的ではなくなった
価値観だけではなく、消費者の購買行動も多様化してきていることも、マーケティングファネルが古いと言われる理由の一つです。これは、インターネットの普及によって購買の窓口が広がっているためです。例えば、実店舗からの購入だけではなく、自社ECサイトや大手通販サイト、フリマアプリから購入する消費者も増えています。
また、価格や機能などの比較サイトも多いことから、商品を検討している段階で、他のジャンルの商品に興味を持つこともあります。そのため、マーケティングファネルのように、購買行動が一直線の図式には当てはまらず、古いといわれるのです。
消費者の購入体験や購入後の体験も多様化した
消費者の価値観や購買行動の多様化により、購入体験や購入後の体験も多様化しています。その理由の一つに、ビジネスモデルの変化が挙げられます。
従来では「商品の購入」によって完結していた購買行動の流れが、月額ないしは年額制のサブスクリプションやレンタルサービスの発達により、消費者が「体験や共有」を重視する傾向になってきているためです。
例えば、従来は当たり前であった「車を購入する」という購買行動が、現在はレンタカーやカーシェアリングサービスが充実しているため、車を購入しなくとも「車で移動する」という目的が達成できるようになりました。そのうえ、購入に比べて出費が抑えられること、必要な時だけ利用できる手軽さもメリットとしてあります。
このように、「購入」しなくても目的が達成できる選択肢が増えているため、購入以外の方法を選択する消費者も増えているのです。
マーケティングファネルのテンプレートと最新の活用方法を紹介
マーケティングファネルには、以下の3種類があります。
- パーチェスファネル(Purchase funnel)
- インフルエンスファネル(Influence funnel)
- ダブルファネル(Double funnel)
それぞれの意味と最新の活用方法を紹介します。
パーチェスファネル(Purchase funnel)
パーチェスファネルとは、消費者の購買行動を図で表したものです。パーチェス(Purchase)とは、英語で「購買」を指すため、「購買ファネル」と呼ばれることもあります。
パーチェスファネルは、マーケティングファネルの基本形である、AIDMAの5段階に消費者を分類します。「認知(Attention)→興味(Interest)→比較・検討(Desire)→記憶(Memory)→行動・購入(Action)」の5つに分けます。認知から行動・購入に至るまでの段階が進むに連れて人数が少なくなるため、逆三角形で表されています。
この目的は、各段階の顧客数を見える化して、マーケティング施策の課題を見つけることです。見込み客がどの段階で止まっているのかを見える化し、次の段階へ進めるために、どのような施策が有効なのか考える際に役立ちます。
「認知」の数が少なければ、「購入」の数が増えることもないため、逆算した数字が目標と合わない場合、まずは認知を増やす施策を打つことが重要です。近年は、SNSを日常的に見る消費者が多いため、InstagramやTikTokなどに広告を出したり、インフルエンサーマーケティングを活用したりといったSNS戦略は欠かせないでしょう。
パーチェスファネルとは?意味や各段階ごとの解説、必要な施策を紹介
インフルエンスファネル(Influence funnel)
インフルエンスファネルは、消費者の購入後の行動を見える化させた図式です。「継続→紹介→発信」という3段階に分かれており、継続から発信までの数が増えるため、三角形となります。
インフルエンスファネルは、見込み客の購買意欲を高めるために、消費者に口コミやレビュー、SNSへの投稿を促すことを目的としています。そのため、より質の高い投稿をしてもらうために、顧客満足度を高めることが重要です。インターネットやSNSの発展により、企業は消費者の購入後の行動まで見据えたマーケティング施策が必要となります。
インフルエンスファネルは、特に継続利用を重要視する業態である、ECサイトやSaas、サブスクリプションサービスなどで活用されています。
ダブルファネル(Double funnel)
ダブルファネルは、パーチェスファネルとインフルエンスファネルを組み合わせて活用するマーケティングファネルです。これまでのマーケティング施策では、既存顧客の囲い込みや新規顧客の獲得といった、統一感のない施策を単体で行う企業が多い傾向にありました。
しかし、最近ではダブルファネルを活用して総合的に分析することで、認知段階からSNS投稿までを最終目的とした、統一感のあるマーケティング施策が可能となりました。消費者の購入後の行動までを目的とするため、顧客満足度を向上させることが成功の鍵となります。購入後の満足度を高めるためには、充実したサポート体制によるアフターフォローなども重要となります。
マーケティングファネルのステップと必要なコンテンツ
マーケティングファネルのステップを以下の5つで解説します。
- 気づき(課題の発見)
- 情報検索/比較検討
- コンバージョン(購入)
- ロイヤリティ
- アドボカシー
合わせて、必要なコンテンツも解説するため参考にしてみてください。
1.気づき(課題の発見)
「気づき(課題の発見)」とは、消費者が自分自身への課題を認識することを表しています。
例えば、急に洗濯機が壊れてしまった場合、消費者は必ず代替品を購入しなければならないため、「新しいものを購入する」という課題がすでに明確になっており、このマーケティングファネルのステップには該当しません。
しかし、40代女性が顔のシミやシワが気になっていたとき、Webで化粧品の広告を見つけたとします。そこに「40代のシミやシワは改善出来ないと悩んでいませんか?」という文言を発見したら、自分のシミやシワが改善できる課題であったと気づきにつながります。
このように、消費者が自分への課題を発見することが第一段階の「気づき(課題の発見)」です。コンテンツに活用する際は、消費者が「自分のことだ」と思わせるような内容を意識しましょう。
2.情報検索/比較検討
次に「情報検索/比較検討」の段階へ入ります。これは、その名の通り、消費者が自分の課題を解決するための情報検索や比較検討をすることです。
例えば、先ほどの40代女性の例を挙げると、40代向けのアンチエイジングの化粧品を検索したり、美容皮膚科の情報を調べたりすることがこの第二段階です。消費者は、インターネットの口コミやレビューに加えて、InstagramやYouTubeなどのさまざまなSNSを使って情報収集する人も多いため、ここで自社商品の有効性を打ち出すのは難しいといえるでしょう。
競合他社と比較されていることを念頭に置き、その上で自社製品を選択してもらえるようなコンテンツ制作がポイントです。
3.コンバージョン(購入)
次に「コンバージョン(購入)」の段階に入ります。第1・2段階を過ぎ、自分の課題解消と自社商品がマッチした場合、消費者は購入行動へ入ります。
しかし、購入意欲が高まっていたとしても、コンバージョンの段階で消費者が心変わりすることも十分に考えられます。例えば、「商品の配送料が高い」「最終的な購入ボタンの位置が分からない」「手数料が取られる」など、さまざまな理由から購入を諦める消費者も出てきます。そのため、客観的な視点からユーザービリティを意識した商品の提供が重要といえるでしょう。
全体的に満足した場合にのみ、消費者は購入に至ります。もしも、納得いかない点があった場合は、その後の返品や悪いレビュー投稿といったネガティブな行動につながる可能性もあります。そのため、コンテンツでは購入後の満足度を高められるかを意識しましょう。
4.ロイヤリティ
第4段階の「ロイヤリティ」とは、消費者が商品を購入後に企業や商品、サービスに対して持つ「愛着」や「忠誠心」を意味します。ロイヤリティは、そのまま顧客満足度に直結するため、ロイヤリティの向上を目指してマーケティング施策をすることが重要といえます。
購入した商品やサービスに納得できず、期待値以下であれば、消費者に失望感を抱かせてしまいます。失望感を抱いた消費者は、購入をリピートすることはありません。むしろ、レビューで悪い評価をすることも考えられます。
また商品の満足度が普通であっても、アフターサービスが充実していたり、リピート割などのお得な施策があったりすれば、ロイヤリティを高めることも可能です。ロイヤリティが高い顧客はその後もリピート客となり売上への貢献にも期待できるため、購入後の満足感の向上も重要視しましょう。
5.アドボカシー
第5段階の「アドボカシー」とは、「支持」という意味です。商品やサービスに満足した消費者が、企業に対して支持する行為を指します。ロイヤリティと意味は似ていますが、アドボカシーはより具体的な行動につながります。例えば、口コミやレビューで高評価を書いたり、ブログやSNSで自分が体験したことを他の人と共有しようとしたり、単に商品をリピートして購入するのではなく、ファンを公表して具体的な行動までするのがアドボカシーです。
コンテンツで「お客様の声」として、実際に購入した消費者の声を載せるのも有効な手段です。「自分もこうなりたい!」と思わせられれば、よりアドボカシーを高められるといえます。
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マーケティングファネルの活用事例の紹介
マーケティングファネルの活用事例を、以下の3つから見ていきましょう。
- ECサイトでのマーケティングファネルの活用
- オウンドメディアでのマーケティングファネルの活用
- 採用活動でのマーケティングファネルの活用
ECサイトでのマーケティングファネルの活用
ECサイトでマーケティングファネルを活用する際は、認知から行動までの流れを、基本形で分析することが可能です。例えば、
- 認知:ECサイトに流入する
- 興味:商品の詳細ページを見る
- 検討:カートに入れる
- 行動:決済を完了する
このように、ECサイトを回遊した消費者は、興味を持った商品の詳細ページを確認し、類似品と比較・検討したうえでカートに入れ、最終的に決済を完了させます。このように、認知から行動まで、基本形に当てはまりやすいのがECサイトのマーケティングファネルの特徴です。
購入率を高めるためには、商品の詳細ページの作り込みに加えて、特徴やメリットなどがわかりやすく伝わるかを意識することが重要です。
ECサイトの分析手法とは?手順や見るべき指標、改善施策を解説
オウンドメディアでのマーケティングファネルの活用
オウンドメディアでマーケティングファネルを活用する場合、認知から商談や打ち合わせをするまでのプロセスを分析できます。例えば、
- 認知:オウンドメディアにアクセスする
- 興味:資料などをダウンロードする
- 検討:問い合わせをする
- 行動:商談や打ち合わせをする
このようなプロセスでマーケティングファネルを活用することが可能です。興味の段階である「資料のダウンロード」から「問い合わせ」までの数が極端に減る場合、資料の質に問題があるかもしれません。その場合、ユーザー目線で見て「資料がわかりやすいか」サービスであれば「導入したい」と思わせられるかが重要なポイントです。
このように資料を修正した後は、改めて「興味」から「検討」までの数字が向上しているか確認しましょう。このように数値の分析からブラッシュアップさせることで、施策自体の精度を高められるのもメリットです。
オウンドメディアとは?成功事例30選をWeb制作のプロが目的別に紹介
採用活動でのマーケティングファネルの活用
採用活動でマーケティングファネルを活用する場合は、求人の発見から応募までのプロセスに活用できます。
- 認知:求人を見つける
- 興味:仕事内容などの詳細を確認する
- 検討:類似の求人と比較する
- 行動:求人に応募する
このように、求人を見つけるところから実際に応募するまでの流れをマーケティングファネルで分析可能です。例えば、求人の詳細を確認したり、お気に入りに追加したりする人はいるにもかかわらず、応募する人が少ないときは、検討の段階で応募意欲がなくなっていると仮定できます。
その際は、類似する求人と比べて条件面はどうか、ページに使用している写真の印象はどうか、文章はここで働きたいと思わせられる内容になっているかなどを確認してみましょう。
会社のイメージに直結する写真が暗かったり、笑顔が少ない写真だったりするときは、改めて撮影し直すのも有効な手段です。
採用サイトとは?効果の出るコンテンツや活用方法、必要性を解説
DX支援サービスを提供するFabeee株式会社では、『マーケティングファネルとは?種類の違いや活用方法について解説』という記事にて、マーケティングファネルの基本からその活用方法について、図を用いながら詳しく説明していますので、是非ご参考にしてみてください。
マーケティングファネルをコンテンツに活用しよう
マーケティングファネルは、消費者の購買行動を4つに分類し、可視化させることで課題を見えやすくする分析方法のことです。認知・興味・検討・行動の4つの段階に分け、消費者がどの段階にいるのかを明確にします。
昨今では、消費者の価値観が多様化しているため、購買行動がマーケティングファネルに当てはまらないといわれていますが、実際にはさまざまな場面で活用されています。特にBtoBマーケティングでは、購買行動がわかりやすいため適しているといえるでしょう。
マーケティングファネルは、消費者を購買行動に誘導するために5つのステップがあるため、一つひとつのポイントをコンテンツなどに活用しましょう。マーケティング施策にも十分活用できるといえます。
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