ディープリンクを活用すると、アプリコンテンツへの流入数やコンバージョン率の向上に期待できるうえ、広告との相性もよいため、ユーザー行動の改善に役立ちます。
本記事では、ディープリンクの概要や種類、活用するメリットについて詳しく解説します。
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目次
ディープリンクとは?仕組みや似た言葉との違いを解説
ディープリンクとは、Webページやアプリに設置されているリンクから、アプリの該当ページに直接移動できる仕組みのことです。
例えば以下のようなケースが代表的です。
- スマホのブラウザでWebページ内のリンクをタップしたら、アプリAの画面Xに移動する
- アプリA内のボタンをタップしたら、アプリBの画面Yに移動する
身近な例でいうと、不動産検索アプリや飲食店検索アプリから地図アプリを開くようなリンクですね。
ディープリンクは通常のリンクと仕組みが異なりますので、まずはディープリンクに関する基礎知識から確認しましょう。
ディープリンクの仕組みや主な技術
ディープリンクには、以下2種類の技術が用いられています。
Custom URL Scheme (カスタムURLスキーム) |
該当URLに「http」や「ftp」を使用し、対象のアプリを起動させるリンク |
---|---|
Universal Links (ユニバーサルリンク) ※iOS限定 |
Webページにあるリンクをクリックした際に、iOSのアプリを起動させる方法 |
Custom URL Scheme(カスタムURLスキーム)の場合、対象のアプリをすでにインストールしていると、アプリを開くかどうかのダイアログが表示されます。
一方、Universal Links(ユニバーサルリンク)の場合、ダイアログが表示されず直接アプリへ遷移させられます。
ディープリンクとハイパーリンクの違い
ディープリンクとハイパーリンクの違いは「遷移先」です。ディープリンクは「アプリ内のコンテンツ・機能」に対し、ハイパーリンクは「Webページのコンテンツ・機能」に誘導します。
どちらも似た言葉ですが、スマートフォンが日常生活に定着するまではハイパーリンクがメインで、ディープリンクはほとんど使われていませんでした。
しかし、2012年頃から急速にスマートフォンが普及したことで、遷移先に応じた言葉の区別をするために「ディープリンク」と再び呼ばれるようになりました。
ディープリンクは主に3種類
ディープリンクは、ユーザーの状況に合わせて使い分ける必要があります。
デフォルトタイプのディープリンク
デフォルトタイプのディープリンクは、Webページやアプリ内に設置したリンクから直接特定のアプリコンテンツに遷移させる方法です。デフォルトタイプはシンプルな原理で、ジャンルを問わず利用可能です。
例えば、Amazon内の商品購入へ誘導する際、ディープリンクを用いるとアプリ起動や商品検索の工数を削減できるため、UX改善につながります。
ただし、購買導線が不十分なままディープリンクを設置しても、コンバージョンにつながらない可能性があります。ディープリンクを用いる際は、ユーザーの購買までの導線を確保しておきましょう。
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ディファードディープリンク
ディファードディープリンクとは、アプリのインストールが完了していないユーザーを対象としたリンクのことです。
ディファードディープリンクは、以下の流れで商品・サービスのコンバージョンにつなげます。
1.ディファードディープリンクからアプリのダウンロードページへ誘導
2.ユーザーがアプリをインストール
3.指定したページに自動的に遷移(購買画面など)
デフォルトとは異なり、インストールからコンバージョンまで一括で誘導できるため、ユーザー行動の改善に期待できます。
ただし、ユーザー目線からすると「インストール」工程を挟むため、「面倒くさい」と感じやすく商品・サービスへの熱量が薄れてしまいます。
特定のアプリからコンバージョンにつなげる必要がない場合は、デフォルトタイプのディープリンクやハイパーリンクを用いるとよいでしょう。
コンテクスチュアルディープリンク
コンテクスチュアルディープリンクは「ディープリンクの強化版」で、訪問ユーザーに対してメッセージや別コンテンツを表示可能です。
リンクやパラメーターを設置することで、アプリ遷移以外の表示ができるため、ユーザー行動の改善やニーズの特定に寄与します。
例えば、ディープリンク経由で訪問したユーザーに対し「おすすめの商品」を表示すると、自社全体の売上アップに貢献する可能性が上がります。
ただし、その分工数や分析箇所が増えるため、人材や予算を確保してから実行しましょう。
ディープリンクを活用するメリットや効果
ディープリンクを活用すると、以下のメリットや効果を実感できます。
- コンテンツのユーザー体験が改善する
- ユーザーのストレスなく再訪率や継続率を向上できる
- コンバージョン率の改善につながる
- ジャンルを問わず効果が見込める
- 広告から直接ページに誘導してコンバージョンできる
- SEOに良い影響を与える
コンテンツのユーザー体験が改善する
ディープリンクを活用すると、コンテンツにおけるユーザー体験の改善につながります。
ユーザー側からすると、アプリを起動したり商品を検索したりする行動は面倒です。ディープリンクを設置すると、購買までの時間が短縮されるため、ユーザー側の満足度が向上します。
例えば、次のようなユーザーがいるとします。
- SEOに関する本を購入したい
- Amazonアプリを使っているが、Webサイトではアカウントにログインしていない
- お得に買えるポイント獲得サイトを経由して購入しようとしている
ハイパーリンクだと、ポイント獲得サイトからAmazonのWebサイトに遷移させることしかできません。アカウントにログインしていないので、すぐに商品を購入できず、離脱してしまうかもしれませんね。一方、ディープリンクならポイント獲得サイトから直接Amazonアプリ内の商品ページに移動できるので、余計な操作をせずにそのまま商品購入まで進めることができるでしょう。
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ユーザーのストレスなく再訪率や継続率を向上できる
ディープリンクを設置すると、ユーザー側に不必要なストレスをかけることなくアクセスさせられるため、再訪率や継続率の向上に期待できます。
ユーザー側からすると、毎回アプリを開いて商品を検索するのは面倒で、購買意欲の低下に直結しやすいためです。
ディープリンクなら、アプリ内の特定の商品・サービスページにワンクリックで遷移できるため、再訪率や継続率も自然と上昇する可能性が高まります。
コンバージョン率の改善につながる
ディープリンクでユーザー行動を改善すると、コンバージョン率が向上する可能性も高まります。
コンバージョン率には、以下3つの要素が関係します。
コンバージョン率に関係する要素 | 概要 |
---|---|
流入数 | 商品・サービスページへアクセスした数 |
リピート率 | 商品・サービスを利用したユーザーが再び購入する割合 |
コンバージョン単価 | コンバージョンまでにかかった費用と売上から算出 |
ディープリンクは、商品やサービスページまでの誘導を効率化するため、「流入数」や「リピート率」に良い影響をもたらします。
特にリピート率が上がると、コンバージョン率も改善されるため、コンバージョン単価の改善におすすめの手法です。
もちろん、コンバージョン率にはディープリンク以外の要素も絡んでいるので、ディープリンクを導入してすぐに変化するものでないことを認識しておきましょう。
ジャンルを問わず効果が見込める
ディープリンクは、ジャンルを問わず効果が見込める簡易的な方法です。遷移先をアプリ内のコンテンツに差し替えるだけなので、特別な操作は不要です。
例えば、自社メディアのコンテンツから特定のサービスに誘導したい場合、遷移先のURLをディープリンクに変えるだけで作業が完了します。
広告から直接ページに誘導してコンバージョンできる
ディープリンクは、リスティング広告やSNS広告にも対応しているため、広告から直接商品・サービスに誘導できます。広告は、自社メディアのコンテンツやランディングページとは違い、ユーザー側に自動で表示されるものです。
広告予算を確保することで、確実にターゲット層にディープリンクが届くため、コンバージョン率の向上に期待できます。
広告は放置したままにせず、よい・悪い部分を分析しながら広告配信に関するPDCAを回していきましょう。
SEOに良い影響を与える
ディープリンクは、SEO(検索エンジン最適化)にも良い影響を与えるかもしれません。ディープリンクがないWebページの場合、すぐに商品・サービスのページへアクセスできないため、途中でユーザーが離脱してしまいます。
Webページに訪問したユーザーが目的となる商品やサービスへとアクセスできないと、ユーザーエクスペリエンスを損ねてしまうので、SEOの観点でみるとマイナスの評価を受ける可能性があります。
一方、ディープリンクを取り入れた場合、ユーザーは商品・サービスページを探す必要がなくなります。ディープリンクを使って導線を改善することは、間接的にSEOにも良い影響となるでしょう。
ディープリンクを取り入れたからといって、検索エンジンから急に評価されるようになるわけではないので、あくまで間接的な影響がある程度に考えておきましょう。
企業別のディープリンク取り組み事例
ディープリンクは、以下の大企業でも取り入れられています。
- Apple
- Amazon
- Facebook(Meta)
- X(旧Twitter)
各事例を参考にして、ディープリンクを自社媒体に取り入れてみましょう。
世界で一番利用されている検索エンジンGoogleは、「App indexing」というディープリンクを採用しています。Googleの検索結果とアプリを直接リンクできるため、より多くのユーザーの自然流入が見込めます。
仮にアプリをインストールしていない場合でも、ダウンロード画面に自動で遷移するため、利用者数の増加に直結しやすいでしょう。
例えば、特定のアプリページへの流入を向上させたい場合、リスティング広告と併用することで、検索流入の増加につながります。ただし、アプリ側でエラーが発生すると当然ユーザーの獲得にはつながりません。アプリの稼働状況を定期的に確認しましょう。
Apple
iPhoneやiPadなど世界中で使用されるデバイスを提供しているAppleでも、iOSバージョン9からディープリンクが活用されています。Appleでは「Universal Link」と呼ばれており、Webサイトのリンクから直接iOSアプリに遷移・起動します。
ディープリンクとほとんど一緒の機能で、「http」など独自のURLスキームを使用すると、特定ではなく一定数のWebページとアプリを連結可能です。
ディープリンクよりも便利な反面、設定が複雑だったり古いOSに対応していなかったりします。事業に用いる際は計画的に利用しましょう。
Amazon
Amazonの場合、特定の商品リンク(ディープリンク)をSNSや広告に掲載するだけで操作が完了します。自動でAmazonアプリ内の商品情報に進むため、特定商品のコンバージョン率向上に期待できます。
ただし、あくまでもAmazonに掲載している商品が対象となっており、ディープリンクを適用するためには出品作業が必要です。
また、宣伝する媒体によっては流入が見込めない可能性もあるため、対象の商品に合った流入経路を確保しておきましょう。
Facebook(Meta)
Facebookでは「App Links」というディープリンクを提供しています。Facebook投稿内に特定のアプリへのリンクを挿入できるため、特定のユーザーに対して効果的なアプローチが実現可能です。
例えば、健康系アプリにつながるディープリンクをFacebookの投稿に設置することで、特定ページへの流入数を上げられます。
ただし、そもそも友達数が少ない場合、いくらディープリンクが設置されている投稿を配信しても結果は出ません。友達の数を増やすのはもちろん、Meta広告も活用して露出度を上げていきましょう。
X(旧Twitter)
X(旧Twitter)もディープリンクに対応しており、「Twitter Card」と呼ばれています。Xの場合、ポストにアプリへ遷移するリンクを貼り付けて投稿するだけの簡単な作業です。
X広告に掲載すると、ポストの間に「プロモーション」として配信されるため、より多くの流入数が見込めます。
ただし、ユーザーにとって魅力的なポストではない場合、なかなか遷移率も上がらず、費用対効果が合わなくなる可能性もあります。Xでディープリンクを利用する際は、ポストの構成や内容についても検討しましょう。
ディープリンクのプラットフォーム別の設定方法
ディープリンクはプラットフォームごとに設定方法が異なるため、対象媒体における手順を理解しておく必要があります。
ここでは、以下の代表的なプラットフォームにおけるディープリンクの設定方法を解説します。
- Android
- iOS
- Google広告
- Apple
- X(旧Twitter)
AndroidのApp Indexingでの設定方法
AndroidアプリにおけるApp Indexingでの設定は、以下の手順で進めます。
1.AndroidアプリをApp Indexingのライブラリに追加
2.アプリコンテンツのURLを構築・発行
3.Webページとアプリコンテンツをリンク
まず、対象のAndroidアプリをGoogleの検索結果で表示させるために、App Indexingのライブラリに追加します。
続いて、対象アプリのURLを構築・発行し、Webページとリンクさせるとディープリンクの設置が完了します。アプリだけでなくWebページも「Google Play Developer Console 」でインデックス登録が必要です。
Google検索からのアプリ流入数を増やすためにも、Webページ・アプリともにインデックスを必ず実施しましょう。
iOSのApp Indexingでの設定方法
iOSの場合、2024年3月現在App Indexingを提供していないため、「Universal Links」を活用しましょう。設定手順は以下のとおりです。
- apple-app-site-association(iOSアプリへの遷移に必要なファイル)を作成
- apple-app-site-associationを対象のアプリURLに設置
- Webページから遷移するか確認
対象のアプリURLに「apple-app-site-association」を設置し、Webページとリンクすることで完了します。
一連の流れを見ると簡単そうに見えますが、プログラミングの知識が必要となるため、調べずに実行するとうまく機能しない可能性があります。Universal Linksを実装する際は、プログラミングに詳しい専門家を配置するとスムーズに進められるでしょう。
Google広告
Google広告は、GoogleやYouTube、バナーなどで表示されるため、ユーザーの目に留まりやすい広告として知られています。
引用:Google広告ヘルプ「ディープリンクについて」
Google広告へのディープリンクの設置は、以下の手順で進めます。
1.アプリコンテンツのリンクを作成
2.掲載するWebページを選定
3.Webページとアプリコンテンツをディープリンクで連結
基本的にアプリコンテンツにつながるリンクを作成し、Webページと連結すると完了します。
ただし、Google広告は競合が多いキーワードの単価が高くなったり、表示回数に変動があったりします。費用対効果に見合った施策として展開するためにも、広告単価やコンバージョン率を分析しながら、ディープリンクを掲載しましょう。
Apple
Appleでは、iOSの他にもWatchOSやmacOSなどでも「Universal Links」サービスを提供しています。
実装は「iOSのApp Indexingでの設定方法」と同じ手順で進めます。一度設定できると手順にある程度慣れるため、WatchOSやmacOSにおける作業時間の短縮に期待できるでしょう。
ただし、iOSと同じくプログラミングの知識が必要になるため、知識なしで進めると完了まで時間がかかります。独学で行うのが難しい場合は、一度専門家に相談してみましょう。
X(旧Twitter)
X(旧Twitter)におけるディープリンクの設置は以下の手順で進めます。
1.対象のアプリコンテンツのディープリンクを作成
2.ポストにディープリンクを含めて投稿
ポストにディープリンクを挿入し投稿するだけで完了するため、他の方法と比べると手順はシンプルです。X広告を使用すると拡散力が高くなるため、より多くのユーザーにリーチしたい場合は活用をおすすめします。
ただし、X広告は「Xプレミアム」という有料プランへの加入が必須になります。すでに企業アカウントを作成している場合は、Xプレミアムに加入しておきましょう。
Facebookにおけるディープリンクの設置方法は、Xとほとんど変わりません。
1.対象のアプリコンテンツのディープリンクを作成
2.ポストにディープリンクを含めて投稿
Xと同じく投稿内容にディープリンクを挿入するだけです。基本的に無料で利用できるため、有料のものと比較すると、手軽に実行しやすい施策といえます。
ただし、友達の数が少ない状態のまま投稿しても、流入数の増加はほとんど見込めません。Meta広告を活用してリーチを拡大しましょう。
まとめ
ディープリンクとは、Webページから直接アプリコンテンツへ遷移するリンクのことです。ディープリンクを活用すると、対象のページまでに必要な導線が短縮されるため、ユーザー行動の改善およびコンバージョン率の向上に期待できます。
ディープリンクの発信媒体として、Google広告やMeta広告(FacebookやInstagram)、X広告などの方法が存在します。自社の売上目標や予算に合わせて、ディープリンクを効果的に活用してみましょう。
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