Webサイトの数値データを見る際、直帰率や離脱率に関して下記のような疑問を抱く方は少なくありません。
直帰率は、Webサイトの売上や目的達成のために重要な指標です。結論からいえば、Webサイトの目的を達成するためには、直帰率や離脱率は低ければ低いほうがいいといえます。
そこで本記事では、直帰率と離脱率の違い、平均値の目安、直帰率改善の方法をわかりやすく解説します。最後まで読めば、ユーザーの直帰や離脱を防ぐことができ、問い合わせや申し込みなどのコンバージョンが増えるでしょう。ぜひあなたのサイト運営にお役立てください。
目次
直帰率とは、サイトに訪れたユーザーが最初の1ページを閲覧して離脱したセッションの割合のことです。つまり、最初のページだけ見て離脱してしまったユーザーの割合を指します。
例えば10人のユーザーがサイトのページAに訪れて、以下のような行動を取った際の直帰率を見ていきましょう。
この場合は「10人中4人が離脱(=直帰)した」ため、ページAの直帰率は40%となります。
ちなみにアクセス解析は、基本的に「セッション数」を見て分析します。ここでのセッションは、ユーザーがサイトにアクセスしてからとる一連の行動のことです。「訪問」や「ビジット」と同義となるため、サイト運営する際は必ず覚えておきましょう。
離脱率は「サイトに訪れたセッションがサイトから離脱してしまった割合」を指します。直帰率は「ページから離脱」を計測対象としていますが、それに対して離脱率は「サイトから離脱」が対象です。大きな違いは、離脱したのが「サイト全体」からなのか「ページ」なのかです。
直帰率と離脱率は、対象セッション数(計測対象)の違いです。
ページをドアに例えると、直帰は「ドアを開けてそのまま閉めた(=離脱)」、離脱は「ドアを開けて中に入って、他のドアをいくつか開けてから閉めた(=離脱)」状態といえます。
なお離脱に関しては、下記の5つの項目が該当します。
ユーザーが直帰する原因には、以下のような問題があげられます。
ユーザーが直帰する原因は、「ページに対してストレスを感じた」などのネガティブな要素がほとんどです。
しかし、ネガティブな要因以外にも「該当ページで欲しい情報を得て満足した」場合もあります。直帰率が高いと「改善が必要なページ」と思いがちですが、ユーザーが満足したから直帰することもあります。
そのため、一概に「直帰率が高い=改善ページ」と位置付けるのではなく、例外があることも覚えておきましょう。
Googleアナリティクスで「直帰率」を確認する方法を解説します。直帰率は「サイト全体」と「ページ」に分けてアクセス解析が可能です。
<サイト全体の直帰率>
<ページの直帰率>
上記の方法から「直帰率」「離脱率」を確認できます。ここからアクセス解析をして、サイト改善に役立てましょう。
一般的には直帰率の目安は40%といわれていますが、厳密な目安はありません。なぜなら、直帰率はページの構造やサイトの流入状況によって変わるからです。
また、直帰率はユーザーの流入方法によっても大きく異なります。例えば、キーワード検索で流入したユーザーは直帰率が低く、広告を何気なくクリックしたユーザーは直帰率が高い傾向にあります。このように、ユーザーの流入方法で直帰率が変わることもあるのです。
なお、「直帰率が高い=ユーザーの不満足度が高い」ではないことを理解しておきましょう。先述したとおり、ユーザーはページから欲しい情報を得て満足した場合も離脱することがあります。
例えば、ECサイトで商品価格が知りたいユーザーは、情報を得たらそのまま離脱します。反対に商品価格を知りたいユーザーが回遊しても情報が得られないこともあります。これは「情報がすぐに得られない」とユーザーにストレスを与えているため、すぐに改善が必要です。
一方で、ランディングページやコンバージョンに直結するページの直帰率が低い場合は、問題と捉えなければいけません。回遊率を下げるために、サイト構造やコンテンツの見直しを図りましょう。
業界により直帰率の平均値に差があるのも事実です。以下に各業界の直帰率の平均値があるので、自社サイトの直帰率平均値を、ご自身の業界と照らし合わせてみてください。
金融サービス | 53% |
---|---|
病院・ヘルスケア | 54.96% |
医療機器・医薬品 | 55.33% |
不動産 | 57.47% |
コンピューターソフトウェア | 60.76% |
ヘルス・フィットネス関連 | 63% |
ITおよび関連サービス | 64.21% |
経営コンサルティング | 67.49% |
(出典:BRAFTON 2017 CONTENT MARKETING BENCHMARK REPORT)
直帰率(%)は、「ページの直帰率÷ページから閲覧がスタートする全セッション数」で算出します。
具体的に「ページAを閲覧した全セッション数が100の場合」と仮定して、直帰率を見ていきましょう。
上記の場合、直帰率を計算式に当てはめると「100÷40」で40%だと分かります。つまり、40%の人がページAを見てサイトから離れたということになります。意図せず、直帰率が高い場合はページに問題がある可能性が高いため、すぐに改善策を打たなければなりません。
直帰率の改善が必要なページの見つけ方は、2つの大きな方法があります。
先述したとおり、必ずしも「直帰率が高い=改善が必要」ではありません。サイトの状況やページの流入状況も含めて、改善が必要か見極めが重要です。
見極め方が分からない方は、これから解説する「直帰率の改善が必要なページの見つけ方」を、参考にしてください。
直帰率の改善が必要なページは、CVR(コンバージョン)数の増加が見込めるページです。なぜなら、直帰率を下げることでコンバージョンの増加につながるためです。
例えば、直帰率が70%でコンバージョンが0のページの場合、直帰率を改善してもコンバージョンの増加は期待できません。
それに対し直帰率が60%でコンバージョンが5%のページであれば、直帰率を下げることで離脱していたユーザーのコンバージョンも見込めます。このように、コンバージョンの増加が見込めるページから直帰率の改善を優先すべきです。
効率的なやり方として、全てのページからコンバージョンの増加が期待できるページをリストアップし、直帰率との関係性を見直すことをおすすめします。
Googleアナリティクスの「メニュー」をクリックし、「行動」から、ページ毎にコンバージョンが発生しているかも確認できます。「直帰率」と合わせて、こちらも参照するといいでしょう。
平均滞在時間が短いページは、直帰率の改善につながる可能性があります。「滞在時間が短い=コンテンツがユーザーニーズに合っていない」と考えると、コンテンツの内容を精査し改善することで、直帰率を下げることにつながるからです。
ユーザーは離脱後に別のサイトで情報収集している可能性があります。別サイトで回遊している可能性を考えると、流入したページのコンテンツで満足させられれば、離脱を防ぐだけではなく、次のページへ回遊を促すこともできるのです。つまりは直帰率、離脱率の低下だけではなく、回遊率の向上も期待できるといえるでしょう。
効果を上げるためにも、まずは滞在時間が平均より短いページから優先して改善してください。
直帰率が上がるにはさまざま要因があることがお分かりいただけたかと思いますが、改善するにはいくつかの方法があります。まずは、該当ページにどのような課題があるのか把握することが重要です。ここでは、直帰率が悪いページの具体的な改善方法を6つ紹介します。
それぞれ詳しく解説していきます。
まずは、直帰率を他の指標と組み合わせることです。
直帰率には目安となるベンチマークが存在しないため、直帰率の数値のみで判断するのではなく、他の指標と組み合わせるのがよいでしょう。
その際、以下の2点がデータ検証として有効です。
1の直帰率とCVの結びつけは、たとえば直帰率が80%のページで、残りの直帰しなかった20%のCVが0だった場合、改善する必要はありません。直帰しなくてもCVが0ということは、「直帰率=CV未達」とならないからです。
しかし直帰率が50%、直帰していない残りのCVが4%あった場合、直帰率を改善する余地はあるでしょう。「直帰しなかった=4%CV」と、結果が出ているからです。
また、2の直帰率と滞在時間の結びつけは、改善ポイントとして活用できます。なぜなら、「高直帰率=他ページほど魅力がない」となり、ページ自体がユーザーにマッチしていない可能性が浮き彫りになります。
直帰率が高く滞在時間が短いページの検索ワードを調べましょう。そのキーワードをGoogle検索にかけ、他社サイトがどのような内容を含んでいるか、比較検証してみましょう。この比較により、自社サイトのコンテンツが適切だったか否か、わかるようになります。
2つ目に、ユーザーニーズを満たした内容になっているか確認することです。
ユーザーニーズとコンテンツの内容がズレている場合も、直帰率は高くなるためユーザーの検索意図を理解することが大切です。コンテンツの内容は、検索意図から「ユーザーの悩みを解決する内容」となっているかが最も重要といえます。
検索意図を探る1つの指標となるのが、ユーザーの「属性」です。ユーザー属性はGoogleアナリティクスで確認しましょう。
上記の手順からユーザーの「性別」「年齢」「カテゴリ」などの詳細が分かります。サイトに訪れるユーザー像を分析し、どんな悩みを持っているのかを想像しながら、コンテンツの修正をしましょう。
デザインと構成が見やすくて、わかりやすい内容になっているか確認することも大切です。
検索をかけ自社サイトにたどり着いたユーザーは、自分が必要としている情報の有無とサイトの見やすさを瞬時に判断します。ユーザーとサイトの相性ももちろんありますが、ユーザーへの第一印象をよくすることは、サイト側の努力で可能です。
その際、ユーザー目線で以下の項目を、サイト内で確認してみましょう。
また、コンテンツボリュームが適切か確認することも直帰率の改善には欠かせません。
人間の集中力には、限界があります。1ページに表示される文字は、小説ほど長くなることはないと思われますが、ユーザーを疲れさせない気配りも大切です。
テキストのみのページにするのではなく、章の間に画像を挟むなど、ユーザーが読みやすいペースを考慮しましょう。最近はスマホでの閲覧も多いため、文字量をPC版よりモバイル版で少なくする工夫も必要です。
直帰率を下げるために、ページの表示速度が適切かどうか確認することも重要なポイントです。ユーザーは「求める情報を早く知りたい」と思っているため、表示速度が遅いと、それだけで離脱する傾向にあります。
表示速度の目安は、3秒以内と言われており、それ以上時間がかかるページは読まれない可能性が高くなります。
また、PCでは速度が気にならないページも、スマートフォンだと表示速度が遅い場合もあります。そのため、スマホでサイトの表示速度の計測をしましょう。速度を計測するときは、Google社が提供している「Google PageSpeed Insights(ページスピードインサイト)」というウェブツールがおすすめです。
ユーザーが行動しやすいように、サイトやページの導線を見直すことも大切です。良質なコンテンツでも「次のページ」や「内部リンク」など、他ページの導線が示されていなかったり、分かりにくかったりするとユーザーは離脱してしまいます。
例えば、コンテンツから派生してユーザーが「これも知りたい!」と思っても、どこに情報があるか分からないと「(導線がなく)仕方なく離脱する」といったユーザーもいるのです。
これを防ぐために「章ごとに適切な内部リンクを貼り付ける」「ボタンリンクを適宜設定する」などの施策をしましょう。コンテンツに満足したユーザーは回遊もするため、導線設計がスムーズでないのは、もったいないといえます。
内容に問題がないにもかかわらず直帰率が高いページは、ユーザーが行動しやすい導線設計となっているか見直すことをおすすめします。
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直帰率の数値でページに問題があると考えるのではなく、直帰率の原因を探ることが重要です。直帰には「コンテンツ内容が足りない」「コンテンツに満足した」「導線が無くやむを得ず離脱した」など、さまざまな原因が考えられます。
そのため直帰率の改善には、ページごとに原因を深堀することが大切です。あくまでも直帰率の数値は目安にし、参考程度にとどめておきましょう。
直帰率の改善は、ユーザーの離脱を防ぐだけではなく、コンバージョンやユーザーニーズの向上に関係する重要な数値です。「直帰率が高いけれどいいか」と放置するのではなく、サイトの売上や目的達成につながることを理解し、改善策を打ちましょう。
また、全てのページを闇雲に改善するのではなく、改善後に数値の向上が見込めるページから優先順位を付けて行いましょう。
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