購買行動モデルと聞いてピンとこない人も「AIDMA(アイドマ)の法則」と聞けば分かる人も多いでしょう。消費者が情報を得るメディアがインターネットやSNSに広がるにつれ、購買行動モデルも進化しています。そこでこの記事では、最新も含めて10つの購買行動モデルをご紹介します。
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目次
消費者の購買行動モデルとは
購買行動モデルとは、消費者が商品やサービスを購入するまでの行動過程をモデル化したものです。マーケティングでは、消費者が商品やサービスを目にしてから、購入に至るまでの心理や実際の行動を把握することが重要です。
購買行動モデルを想定することで、より適切な方法とタイミングで商品のPRをすることができます。より効果的なマーケティング戦略を打ち出すためにも、購買行動モデルについて理解しておく必要があるのです。
消費者の購買行動は、時代の流れによって変化しています。商品やサービスの情報に触れる媒体、メディアの形は常に変化しているため、時代の変化に合わせて、自社のマーケティングスタイルを変えていくことが求められます。
マスメディアが情報収集の中心だった時代の購買行動モデル
企業からの情報を、不特定多数の人が一方的に受け取るのがマスメディアによる広告です。マスメディアによる広告は現代でもまだまだ大きな効果をもたらしており、マスメディア時代の購買行動モデルは数あるモデルの基礎となっています。ここでは、代表的な2つの購買行動モデルを詳しくみていきましょう。
AIDMA(アイドマ)
Attention(注意や認知) | CMや雑誌広告、カタログ、店頭などで商品やサービスを認識する |
---|---|
Interest(興味や関心) | 企業の商品やサービスに関心を持つ |
Desire(欲求) | 商品やサービスを「欲しい」と感じる |
Memory(記憶) | 商品やサービスを記憶したり思い出したりする |
Action(行動) | 商品やサービスを実際に購入する |
AIDMA(アイドマ)は、日本で長い期間活用されている購買行動モデルのひとつであり、セールスの基礎と考えてよいでしょう。消費者の各行動プロセスは上のとおりです。
AIDMAのポイントは、商品やサービスを記憶したり、思い出したりするという過程があることです。人は、興味や関心を抱いたものがあっても、しばらくすると購買欲求が低下したり、忘れてしまったりするものです。顧客に自社が提供するものをより長期間記憶させたり、強く印象付けるための工夫が必要になります。
AIDMA(アイドマ)とは?活用シーンとAISAS(アイサス)の違いAIDCAS(アイドカス)
Attention(注意や認知) | CMや雑誌広告、カタログ、店頭などで商品やサービスを認識する |
---|---|
Interest(興味や関心) | 企業の商品やサービスに関心を持つ |
Desire(欲求) | 商品やサービスを「欲しい」と感じる |
Conviction(確信) | 商品やサービスを「必要だ」と確信する |
Action(行動) | 商品やサービスを購入する |
Satisfaction(評価) | 商品やサービスに対して満足を得る |
AIDCAS(アイドカス)は、AIDMAをベースにした購買行動モデルです。AIDCASの場合は、顧客が商品やサービスに確信を持つことや、商品購入後の評価をつけることがポイントです。
AIDCASの購買行動モデルが適用されるのは、主に大きな決断を迫られる高額商品です。消費者は、自動車や住宅など、人生の中で最も大きな買い物となり得るものに対しては確信をもち、納得した上で購入します。
インターネット検索で情報収集する購買行動モデル
インターネットの普及に伴って変化した購買行動モデルについて触れていきましょう。インターネット時代の購買行動モデルは、一方的だったマスメディア時代の購買行動モデルに比べてより複雑でフェーズの数も多くなっていきます。
AISAS(アイサス)
Attention(注意や認知) | CMや雑誌広告、カタログ、店頭などで商品やサービスを認識する |
---|---|
Interest(興味や関心) | 企業の商品やサービスに関心を持つ |
Search(検索) | 商品やサービスについてインターネットで検索する |
Action(行動) | 消費者が商品やサービスを購入する |
Share(共有) | 商品やサービスを購入した人が、SNSやブログでレビューを投稿をする |
AISAS(アイサス)は、消費者が商品やサービスについてインターネットで検索したり、情報拡散したりする動きをモデル化しています。消費者は、情報を自ら探すことも発信することもできるようになり、その変化は購買行動プロセスにも影響を与えています。
スマホの普及によって、消費者は気になった商品やサービスの情報を検索するという行動を起こします。また、実際に購買した後は感想やレビューといった口コミ情報を、気軽にSNSで拡散する動きがあります。
AISAS(アイサス)の法則とは?マーケティングに必要な消費行動と事例紹介AISCEAS(アイシーズ)
Attention(注意や認知) | CMや雑誌広告、カタログ、店頭などで商品やサービスを認識する |
---|---|
Interest(興味や関心) | 消費者が企業の商品やサービスに関心を持つ |
Search(検索) | 商品やサービスについてインターネットで検索する |
Comparison(比較) | 複数の商品やサービスを比べる |
Examination(検討) | 複数の商品やサービスの中から選択する |
Action(行動) | 商品やサービスを購入する |
Share(共有) | 商品やサービスを購入した人が、SNSやブログでレビューの投稿をする |
AISCEAS(アイシーズ)は、AISASをベースにした購買行動モデルです。消費者が商品やサービスについて比較したり、検討したりするという段階が含まれます。インターネットやスマホの普及によって、消費者が自由に商品の口コミやレビューを発信できるようになりました。
比較サイトや個人ブログなどでは、一つの商品に対してより詳細な情報を得ることができるため、購買までにより時間をかけて吟味する行動も当たり前になりつつあります。
MOT(モット)
ZMOT(Zero Moment of Truth) | 「ズィーモット」と読む。消費者は購入するものを店舗を訪れる前に決める。 |
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FMOT(First Moment of Truth) | 「エフモット」と読む。消費者は店舗の商品を見て購入するかを決定する。 |
SMOT(Second Moment of Truth) | 「エスモット」と読む。消費者が購入した商品を継続して購入するかどうかを決める。 |
TMOT(Third Moment of Truth) | 「ティーモット」と読む。消費者が商品に愛着を感じてリピーター・ファンになる。 |
MOT(モット)はMoment of Truthの頭文字を取ったものです。日本語に直訳すると「真実の瞬間」となりますが、マーケティング用語としての意味は、消費者が企業や商品と接し、購入する意思やブランドへの第一印象を決める瞬間のことです。そもそもMOTは「FMOT」「SMOT」「TMOT」の3つの理論で広まっていましたが、2011年にGoogleが「ZMOT」提唱したのです。
それぞれを簡単に解説しましょう。まずZMOTですが、消費者は購入するものを店舗を訪れる前に決めるというプロセスです。次にFMOTは、消費者が店舗の商品を3〜7秒ほど見て購入するかを決定するというプロセスです。
3番目のSMOTは、購入した商品を実際に使ってみて継続して購入するかどうかを決めるというプロセスです。最後のTMOTは、消費者が商品に愛着がわき、リピーター・ファンになるというプロセスです。
SNSで情報収集する購買行動モデル
SNSの利用者が増えると共に、消費者の購買行動も変化しています。SNSでの動きを視野に入れた購買行動モデルは次のとおりです。
VISAS(ヴィサス)
Viral(口コミ) | 消費者が、SNSを目にすることで商品を認知する |
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Influence(影響) | 消費者は、口コミを発信した人物の影響を受ける |
Sympathy(共感) | 口コミの発信者や理念に共感する |
Action(行動) | 商品やサービスを購入する |
Share(共有) | 商品やサービスを購入した人が、SNSやブログでレビューの投稿をする |
VISAS(ヴィサス)のモデルでは、SNSの口コミや投稿によって、消費者が商品やサービスを認知する可能性が広がることを示唆しています。個人が影響力を持てる仕組みができたことにより、消費者が商品やサービスを認知するところから評価するまでの一連のプロセスを「共感」による行動が占めています。
商品が欲しいというだけではなく、レビュアーである人物そのものの影響を受けて購買に至る行動モデルです。
SIPS(シップス)
Sympathize(共感する) | 消費者が企業や知人からの情報に共感する |
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Identify(確認する) | 消費者が共感した内容を口コミやネット検索で確認する |
Participate(参加する) | 共感したことを「いいね」や購入などの行動で表す |
Share&Spread(シェア&拡散する) | 参加や購入という動きを拡散、共有する |
SIPS(シップス)も、SNS特有の購買行動モデルです。SNS上での発信に対して「いいね」や拡散などを行い、気軽な気持ちで参加するという消費者行動がポイントです。購買に至らなくても「なんとなく」や「ちょっといいかも」「知人に知らせたい」などさまざまな心理からアクションを起こします。
商品やサービスに関する情報の渦に参加していくという個々の行動が、結果的にマーケットを大きく広げることにつながるのです。
ULSSAS(ウルサス)
UGC(ユーザー投稿コンテンツ) | 消費者の投稿を見て商品・サービスを知る |
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Like(いいね!) | 投稿に「いいね!」をする |
Search 1(SNS検索) | SNSで検索する |
Search 2(Google/Yahoo!検索) | 検索エンジンで検索する |
Action(行動) | 購入する |
Spread(拡散) | SNSで拡散する |
ULSSAS(ウルサス)は、2019年に提唱された新しいモデルです。UGCとは「User Generated Content」の略で、日本語に訳すと「ユーザー作成コンテンツ」となります。消費者が作成したSNSなどのコンテンツで認知され、さらにSNSで検索して購入されるというフローの購買行動モデルです。
UGCとは?マーケティングで重要な理由と事例を解説
本記事では、UGCの基礎からメリットや活用事例、活用する際のポイントや注意点について解説しています。ユーザーが投稿したコンテンツをうまく活用していくためにも、正しい知識と、効果的な活用方法を覚えましょう。
コンテンツマーケティングで情報収集する購買行動モデル
コンテンツマーケティングとは、商品やサービスを求めている顧客が欲しい情報をコンテンツとして提供し、最終的に購買につなげるというマーケティング手法です。企業でもブログ記事やコラム、動画の投稿などを積極的に行っています。このコンテンツマーケティング時代にマッチする購買行動モデルは、DECAX(デキャックス)です。
DECAX(デキャックス)の法則
Discoverery(発見) | 消費者が情報コンテンツを見つける |
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Engage(関係) | 消費者と企業の関係を深める |
Check(確認) | 消費者が企業の商品やサービスを確認する |
Action(購買) | 消費者が商品やサービスを購入する |
Experience(体験共有) | 消費者が商品やサービスを購入した体験をシェア、拡散する |
DECAX(デキャックス)の法則では、コンテンツの読者や視聴者と情報提供元の企業との関係構築が鍵となります。コンテンツマーケティングの購買行動の特徴は、消費者が自ら情報を求めて集まってくれるところです。集まってくれた顧客に購買行動を起こさせるためには、良質なコンテンツを継続的に提供し、関係構築や信頼を得るというハードルがあります。
コンテンツマーケティングとは?事例とともにわかりやすく解説注目!最新の購買行動モデル
最後に最新の購買行動モデルについて紹介します。この購買行動モデルを知っている企業は少ない一方で、以前から施策して成果を出している企業もあります。
RsEsPs(レップス)モデル
RsEsPs(レップス)モデルは、インターネットやSNS時代の購買行動モデルを簡素化しながらも、効果的な構造にしたものです。大文字表記のR・E・Pは大枠のプロセスを表しています。
Recognition(認識)
Experience(体験)
Purchase(購買)
上の3つの行動プロセスは、従来の購買行動モデルと大きく変わらない、慣れ親しんだものだと感じるでしょう。一方、小文字表記のsはすべて顧客のインターネットやソーシャルメディアでの動きを表します。
Search・Spread・Share(検索・共有・拡散)
商品やサービスに対する3つの過程において、消費者はどのフェーズにあっても3つの「検索・共有・拡散」をするように仕組むのが、RsEsPsモデルの特徴です。これからの時代のマーケティングでは、提供する商品やサービス、あるいは企業について、顧客がSNS拡散を使いたくなるような施策を考える必要があるのです。
購買行動モデルとは?のまとめ
基本から最新まで、時代ごとの購買行動モデルについて詳しくお伝えしました。インターネットやスマホ、SNSの普及によって消費者の購買行動はより複雑になり、多様化しています。
まずは現代で重要視されている購買行動モデルを把握し、理解することが大切です。自社の商品やサービスの特徴やターゲット像に合わせて、どの購買行動モデルを採用するのが適切か検討してみてはいかがでしょうか。
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