DMや電話セールスの営業効率が昔より下がってきたと実感していませんか?どの会社も同じように悩み、インバウンドマーケティングを採用する例が増えてきました。なぜインバウンドマーケティングが効果的なのか、進め方とあわせて紹介します。
目次
インバウンドマーケティングとは見込み顧客の方から自社のサイトやコンテンツにアクセスしてもらい、問い合わせを通じて顧客情報獲得し、商品・サービスを購入してもらうマーケティングの概念です。
企業が提供する情報コンテンツに、顧客の方から集まってくれる構図になり、顧客となり得る消費者にターゲティングして接点を持つことができます。
この概念と対をなすのがアウトバウンドマーケティングです。
アウトバウンドマーケティングは見込み顧客に対して企業の方から商品・サービスの情報をテレビ・ラジオCMや電話セールス、チラシ、飛び込み営業といった形で企業側が決めたタイミングと方法によって、一方的に顧客に届けられる情報やプロモーションがアウトバウンドマーケティングの考え方です。
一度にたくさんの人に認知してもらう即効性のあるマーケティング手法が多いのが特徴です。
インバウンドマーケティングが注目されている理由を探ることで、企業に必要なマーケティング戦略のヒントが見つかることもあります。インバウンドマーケティングが期待されている理由を深堀してみましょう。
従来のアウトバウンドマーケティングでは、販売促進効果が出にくくなっている現状があります。
自分自身の経験に置き換えて考えてみましょう。
あなたは保険に加入していますか?
もし加入していれば保険の乗り換えを、まだであれば保険の加入を今営業されてきたらどうでしょう?
おそらく、今自分が保険の乗り換えや保険の加入の必要性を感じていなければ、それが仮にいい商品だったとしても営業されることに煩わしさを感じると思います。
一方、あなたが保険料を安くしたい、結婚してライフステージが変わったことで保険の加入を考えていたとしたら、保険の乗り換えや保険料のことを自分で検索していると思いませんか?
私たちはネットで自分の知りたい情報を自分で調べられることを知っているので、知らない人から商品を購入するよう勧められるより先に、自分自身で必要な情報を調べたいと感じるのです。
このような消費行動の背景には大量の情報がインターネット上で発信されていることと、その情報にGoogleの検索やTwitter、FacebookなどのSNSによって簡単にアクセスできるようになったことで、それまでは企業が発信する情報を受け取ることしかできなかった消費者が、自ら情報を取得することができるようになったことが理由としてあります。
企業からの一方的な広告は消費者に届きづらくなってしまったのです。
このような購買プロセスは一般消費者だけでなく、企業同士の取引でも同じ傾向がみられます。企業間取引のBtoBビジネスでは、商材の金額も高く、導入決定までの検討時間も長くかかります。
近年では、企業もインターネットで念入りな情報収集を行うため、営業担当者に連絡を取る前には既に50%以上の意思決定をしているといいます。
もう一つインバウンドマーケティングが注目される理由があります。
後述しますが、インバウンドマーケティングでは見込み顧客が必要とする情報を発信するコンテンツを作成します。
このコンテンツは広告と違い、一度作成するとそれがWebサイト上に残り続けます。
本当に見込み顧客にとって意味のあるコンテンツを作っていれば、そのコンテンツは長い間見込み顧客からのアクセスを集めます。
コンテンツの量が増えれば1ヶ月あたりのアクセスは増えていきますが、広告費はかかりません。
また、コンテンツの制作には時間だけでなく知識やスキルも必要なので、競合他社が後から追いつこうとしても簡単には追いつけない集客チャネルになるのです。
企業から顧客への一方的なアプローチは、ときに受け手に不快な印象を与えてしまうのです。訪問販売や電話セールスに対して、嫌な印象や対応の面倒を感じたことがある人は非常に多いはず。また、必要のないメルマガやDM、チラシなどを受けとることにウンザリしてしまうこともめずらしくありません。商品やサービスを必要としていない顧客にとって、アウトバウンドマーケティングはネガティブな印象を与えてしまうこともあるのです。
さらに、コロナウイルスの流行を機に、テレマーケティングをしても電話がつながらなかったり、担当者がオフィスにいなかったりという例も増えてきました。企業と顧客のタイミングや状態がマッチしないケースが表面化したことで、インバウンドマーケティングのニーズはさらに高まってきているのです。
インバウンドマーケティングはどのようにして売上増に貢献するのでしょうか。顧客の購買プロセス(カスタマージャーニー)にそって見込み顧客が商品を購入するまでの流れを見てみましょう。
インバウンドマーケティングにおける顧客の購買プロセスの一番初めに来るものは課題の認知です。
見込み顧客が業務をする中で何かをトリガーとして課題に気づく瞬間があります。
例えばこんな感じです。
これがトリガーとなり、課題「インバウンドマーケティングをしなければならない」に気づきます。
課題に気づいてもらうために自社ができることは以下のような施策です。
課題に気づいた見込み顧客は課題解決に向けて情報収集を始めます。
法人相手の場合、見込み顧客がここで調べる情報には以下のような種類があります。
また、情報は以下のような手法で調べられます。
この段階では見込み顧客が知りたい・調べる情報に対して情報発信することが必要です。コンテンツマーケティングと呼ばれるマーケティング手法は主にこの段階の顧客を集客するために活用されます。
SEOに強いコンテンツ制作方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
SEO記事は構成が大事!記事の作成方法を解説
リードとは、マーケティング用語で見込み顧客のことを表します。企業が発信する情報に集まってきたユーザーの中から、見込み顧客となるユーザーを絞り込んでいく段階です。たとえば、自社ブログに無料の資料ダウンロードやお問い合わせフォームなどを設置し、興味をもった顧客に、より価値の高いコンテンツを提供します。価値が高く、深い内容の情報を提供する代わりに顧客のメールアドレスや連絡先を集めたり、会員登録を募ったりして見込み顧客の情報収集をします。
自社の見込み顧客の個人情報や行動を分析して、購買や契約につなげていきます。集めた見込み顧客に対し、メールの配信や会員限定コンテンツなどを通じて信頼関係とニーズ(需要)を育てていきます。信頼関係がある程度できている段階であれば、企業の発信するコンテンツの内容によって新たな需要をつくることも可能なのです。一連のやり取りの中で成約につながりそうな見込み顧客には、購買につながる提案をしたり、営業部門に引き継いだりします。企業が顧客の需要を育てるという考え方が大切です。
最終段階は、既に顧客となってくれた相手に手厚いサポートを継続し、満足度を上げるフェーズです。顧客満足度が高まると、リピートにつながるだけでなく顧客がSNSのような媒体で他の潜在顧客に自社の商品やサービスを広めてくれる可能性も出てきます。
このように、インバウンドマーケティングでは適切な方法とタイミングによって、押し売りや過剰な宣伝をすることなく成果を上げることができます。優良な顧客が集まる仕組みをつくることで、安定的に顧客を増やせる可能性が高まるのです。
実際にインバウンドマーケティングを実施する場合は以下の手順で施策を進めていきます。
ペルソナとは、提供する顧客が「誰」であるかを明確化することです。マーケティング全般にいえることではありますが、自社がどんな人に対して商品やサービスを提供するのか、ターゲットを詳細に設定をすることがとても重要です。
特にインバウンドマーケティングでは、次の要素が必要です。
これらを達成する施策を打ち立てるには、顧客の年齢・性別・職業や経歴、抱えている問題から目標まで事細かにイメージをする必要があります。憶測に偏りすぎないよう、既存顧客のデータを使って分析することも必要です。
先ほど例に出したようなカスタマージャーニーを描きます。
すでに顧客がいるのであれば、顧客にどのようなプロセスで情報収集をし、商品比較をしていたかインタビューしてみるのが良いでしょう。
社内でソリューションを検討するまでに社内で課題に感じていたこと、上司から言われていたこと、どんなセミナーに参加していたのかも参考になります。
どんな情報をどのように調べていたのかを具体的にヒアリングできると精度の高いカスタマージャーニーを作ることができます。
カスタマージャーニーについてはこちらの記事でも解説しています。
Webマーケティングとは?新人Web担当者向けに基礎から実践内容を徹底解説
Webマーケティング業務を担当することになったものの、Webマーケティングには詳しくない…そんな方に向けてWebマーケティングの基本をゼロからご紹介します。なんのために、どんな施策を打つべきかを考える参考にしてください。
カスタマージャーニーを描けたらあとはコンテンツを作っていくだけです。
BtoBマーケティングにおけるコンテンツとは、Googleの検索で表示されるようなテキストコンテンツ、Youtubeなどで配信される動画コンテンツ、公式サイトからダウンロードするホワイトペーパーなどになります。
ホワイトペーパーとは?作り方と目的、デザインサンプル事例
コンテンツを作成する際はSEOを意識する必要がありますので、以下の記事も参考にしてください。
SEO記事は構成が大事!記事の作成方法を解説
【SEO対策】効果的なSEO対策の基本と実践方法
効果的なマーケティング戦略には、インバウンドとアウトバウンドの両方の手法をうまく組み合わせることが必要です。アウトバウンドの効果が出にくいのは、自社に興味を持ってもらう最初の段階までです。自社に対して一度興味をもってくれた相手に対しては、積極的にきっかけづくりをしていきましょう。ただし、一言に見込み顧客といっても、購買プロセスの段階はそれぞれ異なります。マーケティングオートメーションを取り入れるなどして、相手のニーズに合わせてアウトバウンドマーケティングを取り入れるのもよい方法です。
インバウンドマーケティングは、有益で役立つ情報を継続的に提供していくことが大事です。少々時間や手間のかかる手法ではありますが、コストが少なく無理な押し売りをする必要がないため、長期的な視点で見たときにの成果は高いと考えてよいでしょう。インバウンドマーケテイングとコンテンツマーケティングは密接不可分な関係にあることを理解するのも大切です。まだ見ぬ顧客が、自社に辿り着くための仕組みづくりに注力してみてはいかがでしょうか。