※本記事はアドビ社「みんなの資料作成」の企画に参加しています。
新型コロナウイルス感染症の流行により、リモートワーク(テレワーク)の導入が多くの企業で進んだのは周知の事実です。これに伴い、Web会議ツールを活用したオンライン商談も増加しています。対面商談が得意な方でも、この新しい環境には戸惑うことが多いのではないでしょうか。
本記事では年間800件以上のオンライン商談を経験し、数々の大手代理店とのコンペを勝ち抜いてきた筆者が、オンライン商談での提案のコツを解説します。すぐに試せる手法もあるので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
オンライン商談はなぜ難しいのか?
オンライン商談はメリットが非常に多い商談手法です。オンライン商談は物理的な距離を考慮する必要がないため、地方企業との商談後に都内企業と商談というようなことが可能になります。また、その商談の合間に作業をおこなうことも可能なため、結果的に業務効率も上がります。
一方で、オンライン商談には独特の難しさがあるのも事実です。
リモートワーク(テレワーク)の普及に伴い、オンライン商談は一般的な商談手法としてビジネスで活用されていますが、オンライン商談の歴史は浅いためノウハウやナレッジはそこまで多く出回っていません。
以下は、オンライン商談が難しいと感じられる主な理由です。
表情や動きなどの変化が掴みづらい
相手の反応をキャッチアップして商談に反映させることは非常に重要ですが、オンライン商談では、体の動きや顔の表情などの変化が掴みづらくなります。提案者は意識的に反応を確認するようにしないと、相手が何に興味をもったのか、何に引っかかっていそうなのかといった、商談を有利に進めるうえで必要な反応をキャッチアップすることが難しくなります。
接続機器のトラブルが発生する場合がある
オンライン商談はインターネットの接続が必要ですが、弱い回線を使用すると画面遅延が発生してスムーズな商談が出来ません。また、音声が聞こえなかったりマイクが繋がらないなどの音声の接続トラブルや、そもそも入室できないといったトラブルを頻繁に見ますが、これらのトラブルは顧客のストレスになります。
聞き手の集中力が低下しやすい
リモート環境でのオンライン商談は、集中力を維持するのが難しいことがあります。特に相手にとって興味関心の薄い話題が続く場合は居眠りをしてしまう方も多いです。
距離を縮めにくい
対面商談では、アイスブレイクや商談終了後に業務とは関係の無い話をして相手との距離を縮めたりすることが可能ですが、オンライン商談では商談の議題と関係の無い話はしづらいです。
このようにオンライン商談は対面商談と比べて異なる点が多く、対面商談のテクニックが使えないのでオンライン商談ならではのテクニックを知る必要があります。
オンライン商談成功のカギは「事前準備」
オンライン商談を成功させるには様々な要素がありますが、事前準備の内容によって、かなり成功率が変わります。基本的な内容を以下に記載します。
機材は事前に準備と検証を実施
対面商談では機材を使用する必要はありませんが、オンライン商談は機材を使用することが前提です。せっかく良い営業トークを持っていても、機材トラブルによってまともに商談が出来ない場合や、音質や画質の問題で相手がストレスを感じて肝心の商談に集中してもらえない場合もあります。
また、普段は問題無く使用出来ている環境でもPCが変わったりすることでトラブルが発生するケースもあります。このようなトラブルを防ぎ、オンライン商談をスムーズに進めるためには、機材の準備はもちろん、実際にオンライン商談を実施する環境で検証しておくことが重要です。
ツールを使い慣れておく
オンライン商談ではオンライン会議ツールを使用します。画面共有やチャット機能など、ツールの使い方をあらかじめ予習しておくことで、スムーズな会議が出来るようになります。ツールの使用に手間取ったり、ツールを使うことに集中して商談に集中出来ない場合もあるので、事前にツールに慣れておく必要があります。
遅刻をしないように対策
オンライン商談は移動時間が無いので、商談が始まるギリギリまで作業することができます。オフラインの対面商談では移動が必要なため、遅れないように余裕をもって出発することが多く、やむを得ず遅れる場合も移動中に連絡がしやすいです。
一方、オンライン商談では移動時間分の余裕が無いため、気付いた時にはMTGが始まっているという事態になりかねません。
当然ですが、商談時間の遅刻は相手に悪い印象を与えてしまいます。カレンダーとチャットツールを連携させて、オンライン商談前にリマインドが通知されるように設定しておくなど、遅刻を防ぐ対策をおすすめします。
事前にロープレを実施
資料の準備はもちろんですが、事前にロープレを実施することで商談に余裕が出ます。対面商談のロープレは経験のある方も多いと思いますが、オンライン商談のロープレ経験のある方は意外と少ないと思います。オフラインとオンラインでは商談のテンポや資料の見せ方など異なることが多いため、商談を得意としている方でもオンライン商談のロープレを事前に実施するべきです。
モニターは複数用意する
オンライン商談は複数の画面を使って商談することが有効です。例えば資料やスライドを表示させる画面共有用のモニターと、カンペやメモなど自分の作業用モニターを用意しておくだけでも、提案のやりやすさが格段に上がります。
また、後述するメソッドでも複数のモニターを活用する方法を紹介しているため、なるべく複数のモニターを用意しておくと良いでしょう。ちなみに、筆者はノートPCのモニターも合わせると5つのモニターを活用しています。
オンライン商談を劇的改善する8つのメソッド
前述の事前準備を実践するだけでオンライン商談の成功率は格段に上がりますが、ここからは、あなたのオンライン商談をさらにレベルアップするためにはどうすれば良いか、筆者が考えるオンライン商談の質を上げる8つのメソッドを詳しく解説いたします。
1)事前に要点をメモしたカンペを用意する
オフラインの対面商談でも用意するものですが、オンライン商談でも同じようにカンペを用意します。資料とは別にテキストエディタなどにページごとに話す内容や要点をまとめておくと良いでしょう。
話す内容を事前に決めておくことで、提案の質を高めることが可能です。提案内容を理解してもらうためには『わかりやすさ』が非常に重要になりますが、この『わかりやすさ』は商談相手のリテラシーなどによって変わります。
例えば「成果」の言い方だけでも、下記のパターンがあります。
- 成果
- 成約
- 獲得
- CV
- コンバージョン
- 予約
- 申し込み
- 資料ダウンロード
- お問い合わせ
- カウンセリング
- 来店
このように、商談相手に対して適切な言葉を選ぶことで、提案内容のわかりやすさが大きく変わります。相手に対して言葉を合わせないというのは、英語に慣れていない方に対して英語で説明することと同じです。耳で聞いて頭の中で英語を日本語に変換するという工程が発生するため、商談相手は提案内容が頭に入ってこないのです。
オンライン商談に余裕が出てくるとその場で対応できますが、慣れていない場合は普段使っている言葉で話してしまうので、事前にカンペやメモを用意しておき相手に合わせた言葉で提案することが効果的です。
2)相手の表情やリアクションを提案に活かす
筆者はオンライン商談の際に複数のモニターを使用するのですが、その理由の一つが相手の表情やリアクションを観察するためです。提案時には画面共有をすることが多いですが、画面共有中はカメラ映像が小さくなるため別のモニターでカメラ映像のみを表示させます。
提案をしながら相手の表情やリアクションを観察して、その場で話す内容を変えていきます。大半の方は、気になる内容や興味のあることについては表情やリアクションが変わります。その変化を見逃さないように注視し、相手に刺さる内容を集中的に説明します。関心を集めることに成功すると相手の表情が全体的に変わってくるので、そこからは相手から会話を引き出して距離を縮めていきます。
3)画面共有を有効に活用する
画面共有の使い方は非常に重要です。画面共有には、コンテンツ単位での共有と画面単位での共有機能がありますが、筆者は主に画面単位での共有を使用します。他コンテンツを投影する際に画面共有を切り替える必要がなくなるので、スムーズな会話が可能になります。細かい部分ですが、ツールの使い方がスムーズだとプレゼンを受ける側も集中して提案を受ける事ができます。
また、必要に応じてパワーポイントのペンツールなどで書き込んだりポインターを当てて、注視してもらいたい箇所をハイライトするなども有効です。
4)相手の質問を想定して資料を開いておく
あらかじめ提案時に画面共有するコンテンツは事前に準備しておきます。例えば弊社が得意なSEOに関する商談をする場合、サイトの評価や上位表示キーワードなど提案で使うデータは事前に用意しておき、タイミングを見て画面共有します。鉄は熱いうちに打てと言いますが、適切なタイミングで素早く提案することで、熱量を下げずに効果的な提案が可能です。
また、提案は相手に信頼してもらうことも重要なので、オンライン商談では「デキる奴」と感じてもらえるような仕掛けを入れます。例えば筆者の場合、リスティング広告の提案ではエクセルを表示してヒアリングしながらその場でシミュレーションを作成します。SEOではAhrefs(エイチレフス)の各指標を可視化するツールを使ってその場で分析するなど、ライブ感を出した提案で相手の信頼を掴むようにします。
5)資料のテキストはなるべく読まない
プレゼンの基本ですが書いてあることは読めばわかるので、結論を話した上で書いてあること以外の補足や情報を追加します。資料のテキストだけを読む提案はとても退屈なので、相手を飽きさせないように工夫することも大切です。
6)プレゼン資料は基本的に1ページに1つのテーマ
プレゼン資料はわかりやすさが大切です。1ページに複数の内容が記載されていると、聞き手の意識が分散し、理解しにくい資料となってしまいます。1ページ1テーマの場合、メッセージが明確になるため聞き手の理解が深まり提案に集中してもらいやすくなります。
7)話し方に抑揚を付けて感情を込める
オンラインでも、感情を込めた話し方は有効です。感情を込めた話し方は聞き手の注意を引き付け、より真剣に提案を受けてもらいやすくなります。また、コンペの場合は相手の記憶に残ることが重要ですが、相手の立場に立って感情を込めた話し方をすることで真剣さや誠実さが伝わり、記憶に残りやすい提案が可能になります。
8)レコーディングをして振り返り改善を繰り返す
オンライン商談も振り返り改善をすることが重要です。オンラインはレコーディングが可能なので、振り返りがとてもしやすく、客観的な視点で自分の提案を確認することが可能です。話し方や声の大きさ、表情や資料説明のわかりやすさなど改善できるポイントは多岐にわたります。何度も振り返り改善を重ねることで着実に上達することができます。
なお、レコーディングする際は、商談内容を録画してもよいか事前に確認するようにしましょう。
オンライン商談のコツのまとめ
オンライン商談では対面で会うことは出来ませんが、オンライン商談だからこそできる提案手法があります。オンライン商談のスキルは、意識して取り組むと劇的に向上するので、ぜひこの記事がオンライン商談の質を高める一助となれば幸いです。
オンライン商談の資料共有はAdobe Acrobat オンラインツールがおすすめ
オンライン商談では提案後に資料を共有することが多いですが、パワーポイントで作成した提案資料はAdobe Acrobat オンラインツールでの共有がおすすめです。
PDFファイルをそのまま共有する場合、先方の担当者が複数人いると個別にファイルを保存してもらう必要がありますが、Acrobat オンラインツールを使えば、PDFを簡単にURLで共有できるので、複数の先方担当者に共有する際もスムーズに進みます。
PDFにコメントやハイライトを入れられる「PDFを編集」機能を使えば、商談中に受けた質問への回答や補足事項をPDFに記載できるので、先方へのアフターフォローもしやすくなります。
特に競合が多いコンペの場合、資料へのアクセスのしやすさやアフターフォローも商談成功確率を上げる一つの要素になる場合があるので、こうしたツールは積極的に使っています。
なお、PDFファイルを直接共有する必要がある場合は、先方のダウンロード作業の負担を減らすため、Acrobat オンラインツールの「PDFを圧縮」でファイルを圧縮してから送っています。
とても便利なツールなので、ぜひ活用してみてください。