マーケティング

最終更新日: 2024.04.04

AIDMA(アイドマ)とは?活用シーンとAISAS(アイサス)の違い

AIDMA(アイドマ)とは?活用シーンとAISAS(アイサス)の違い

マーケティングにおいて、ユーザーの消費行動を体系立てる際に使用される「AIDMA(アイドマ)」「AISAS(アイサス)」という2つのフレームワークをご存知でしょうか。

どちらも、ユーザーが商品やサービスを購入する際のプロセスをモデル化したものです。2つの使い分けは混同しやすく難しいため、使い分けができていないマーケティング担当者も存在しています。

そこで今回は、マーケティングの初心者に向けて、AIDMAについて詳しく説明します。活用シーンやAISASとの違い、そしてそのほかの購買行動モデルについて13種類ほど触れていきます。初めてマーケティングを担当することになった方は、この記事を読めばペルソナの設定やアプローチ方法について知ることができます。ぜひ最後までお読みください。

石田 哲也

監修者

Twitter:@te2319
株式会社ニュートラルワークス 取締役CMO。1984年生まれ。高校卒業後にISD株式会社を起業。その後、株式会社オプトでWebマーケティングを学び、株式会社メタップスなど複数のベンチャー企業にて事業立ち上げを経験。前職はワンダープラネット株式会社でゲームプロデューサーとしてスマホゲームアプリの制作に従事。2018年に地元の神奈川へ戻り、ニュートラルワークスに入社。SEO/Web広告運用/サイト分析・改善など、Webサイトの運用改善~ゲームアプリ制作や数十万フォロワーのSNSアカウントの運用経験などWebビジネス全般を守備範囲とする。

■経歴
2003年 ISD株式会社/起業
2009年 株式会社オプト/SEMコンサルタント
2011年 株式会社メタップス/シニアディレクター
2013年 ライブエイド株式会社/執行役
2016年 ワンダープラネット株式会社/プロデューサー・BizDev
2018年 株式会社ニュートラルワークス/取締役CMO

■得意領域
Webサイト改善
SEO対策
コンテンツマーケティング
リスティング広告

■保有資格
Google アナリティクス認定資格(GAIQ)
Google 広告検索認定資格
Google 広告ディスプレイ認定資格
Google 広告モバイル認定資格

QUERYY(クエリー)編集部

執筆者

株式会社ニュートラルワークス

QUERYY(クエリー)編集部

QUERYY(クエリー)は、株式会社ニュートラルワークスが運営するデジタルマーケティング情報メディアです。

AIDMAとは

AIDMA

AIDMAとは、消費者の購買決定プロセスを説明するモデルの1つです。AIDMAは大量生産・大量消費が盛んであった1920年代、アメリカで販売や広告に関する書籍を執筆していた、サミュエル・ローランド・ホール氏によって提唱されました。ここでは用語の説明から実際のマーケティングでの目標を細かく解説していきます。

用語説明

AIDMAという用語は、下記の頭文字をとって作られた言葉です。

  • Attention(注意)
  • Interest(関心)
  • Desire(欲求)
  • Memory(記憶)
  • Action(行動)

AIDMAは、消費者の購買決定プロセスを説明するモデルの1つで、現在ではマーケティングを理解する上で知っておくべきものです。5つの段階は、消費者が商品やサービスの購入を決めるまでのプロセスを表しています。

消費者の購買決定までの心理的プロセスを細分化することによって、顧客がどの段階にいるのか把握することを目的としています。顧客のステータスに応じた戦略を行うことによって、顧客とのコミュニケーションを可能にすることができます。また無駄な戦略をなくすことができるので、マーケティングを効率的に進めることになります。

各プロセスの解説とマーケティングの目標

各5つのプロセスはユーザーが商品やサービスを購入するまでのプロセスを時系列順に示しています。それぞれのプロセスには、ユーザーのステータスとそれに対するマーケティングの目標があります。そこでここからは、各プロセスについて詳しく解説していきます。またスニーカーを販売する企業の事例も加えていきます。

消費者に行動を起こしてもらうのは非常に難しいことですが、心理を知ることによってアプローチがしやすくなります。しっかりと押さえておきましょう。

Attention(注意)

1つ目のAttention(アテンション)とは日本語で「注意」を意味し、マーケティングでは「消費者が商品やサービスについて知る段階」を指しています。マーケティングの目標としては、まずは消費者に商品やサービスの存在を認知してもらう必要があります。Attentionの段階にいる消費者は、テレビやインターネットの広告などから情報を得ることで、消費者は商品やサービスの存在に気づいている状態です。

例えばスニーカーを販売する企業であれば、新商品を宣伝するためにCMを作成することがあります。新商品のCMを見た消費者は商品の名前や色、形などが目に付きます。このように、まだ興味があるわけではありませんが、商品やサービスとの接点を持つことで、コミュニケーション戦略を取ることが可能となります。

Interest(関心)

2つ目のInterest(インタラスト)とは日本語で「関心」を意味し、マーケティングでは「認知した商品やサービスに対して消費者が興味や関心を抱く段階」を指しています。マーケティングとしてはサービスに関する評価育成が目標となります。Interestの段階にいる消費者は、商品やサービスについて認知し、その後興味や関心を抱いている状態です。

例えば、スニーカーのCMを見たある消費者が、SNS広告やインターネット広告で再度商品を目にしたとします。すると「このスニーカーはこの前CMで見たことがある。気になるからインターネットで調べてみよう」と思えば、これは興味・関心を抱いている状態です。

こうして、CMや広告によって認知した消費者が商品・サービスに関心を抱くと、自発的にアプローチを取るようになります。消費者に「もっと詳しく知りたい」「サービスが気になる」というように引きつけることが大切です。

Desire(欲求)

3つ目のDesire(ディザイアー)とは日本語で「欲求」を意味し、マーケティングでは「消費者が気になっている商品やサービスを実際に使ってみたいと思う段階」を指しています。ここでのマーケティングの目標としては、ニーズ喚起となります。

Desireの段階にいる消費者は商品やサービスの特徴を詳しく知った上で、使用すれば自分の悩みや希望を叶えられるという判断を下しています。その結果、自分に必要なものであり、手に入れたいという欲求が生まれるのです。

例えばスニーカーについて興味を持った消費者が、公式サイトに訪れたとします。サイト上には新商品のスニーカーのデザインがこれまでとどのように違うのか、どのような部分にこだわっているかなどが記載されています。

さらにそのスニーカーを取り入れたスナップ写真が貼られています。すると消費者には「このスニーカーを履いて出かけたい」「コーディネートに取り入れたい」といった欲求が生まれます。

このように、消費者が商品やサービスについて詳しくなることによって、欲しいという欲求を引き出すことができます。

Memory(記憶)

4つ目のMemory(メモリー)とは日本語で「記憶」を意味し、マーケティングでは「消費者が実際に購入しようと思うまでのリマインドの段階」を指しています。マーケティングの目標としては記憶の呼び起こしとなります。

というのも、一度欲しいと思ったからと言って、必ずしも消費者が即決してくれるとは限りません。欲しいと思ったことを忘れてしまうこともあるでしょうし、他社製品と比較することもあるでしょう。そこで、さまざまな媒体を通して商品やサービスの情報を多く提供することで、購入の動機をもたせる必要があります。

スニーカーの事例に当てはめると、一度欲しいと欲求を持った消費者に再度アプローチをする必要があります。例えば一度訪れたサイトを再度表示させることができるリターゲティング広告では、スニーカーの名前やブランド名を記憶させ、欲しかったことを思い出させることができます。

このように、一度欲求を持った消費者にもう一度商品やサービスを見せることで、欲しかったことを思い出してもらうことが必要です。

Action(行動)

5つ目のAction(アクション)は日本語で「行動」を意味し、マーケティングでは「商品やサービスを購入する最終段階」を指しています。ここでのマーケティングの目標は、機会提供となります。消費者は商品やサービスを欲しいと思っていても、必ずしも購入するとは限りません。そこで、Actionに至るよう、マーケターは消費者にプッシュすることが大切です。

スニーカーの例で言えば、リターゲティング広告で欲しかったことを思い出した消費者が、広告をクリックして、または自らサイトを再訪して購入すれば、マーケティング戦略が成功したといえます。

このように、たとえ欲しいと思っていても、「今すぐにほしいわけではない」「買い方がわからない」などの理由で実際の購入にいたらないケースもあります。マーケティングにおいては、期間限定の特典や商品の配置・サイト内でのUI/UXの改善など、消費者が商品を購入したくなるといった施策が有効です。

AIDMAの活用シーン

AIDMAの活用シーン

AIDMAの各プロセスにおける消費者の心理とマーケティングの目標について解説していきました。ここからは、ペルソナの設定と、プロセスに応じたアプローチ方法の設定の2つの観点からAIDMAの活用シーンについて説明していきます。

ペルソナの設定

1つ目は、ペルソナの設定でAIDMAを活用することができます。AIDMAを活用して購入までのプロセスを細かく考えていくと、ペルソナをより具体的に設定しやすくなるというメリットがあります。ペルソナとは、サービスのターゲットとなる人物像についてライフスタイルや考え方まで徹底的にイメージすることです。

活用としては、AIDMAからわかる消費者のニーズや、興味や関心をもつポイントをペルソナに反映していく、という方法になります。例えばシャンプーをECサイトで販売する場合であれば、入口となるAttentionにおいて、消費者にどのようにシャンプーを知ってもらうかを考えます。

ターゲット層が10代後半から20代の若い女性であれば、Instagram広告を打ち出せば認知してもらえそうです。その際、設定したペルソナはInstagramにおいてどのようなアカウントを閲覧しているか、何時頃チェックするか、普段はどのようなことに興味を持っているのかなど、細かく設定します。

このように、ペルソナ設定にAIDMAの考え方を当てはめることによって、購入までの流れをスムーズに仮定することができます。なお、ペルソナ設定についてはこちらの記事でも紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。記事ではペルソナ設定に必要な要素や注意点についても触れています。

プロセスに応じたアプローチ方法の設定

2つ目は、プロセスに応じたアプローチ方法を設定することができます。AIDMAにもとづいて、それぞれのプロセスに適したアプローチを設計することで、効果的に売上を向上していく戦略が立てられます。

例えばそれぞれのプロセスにおいては、下記のようにアプローチ方法を設定できます。

  • Attention……広告やSNSを通じて商品やサービスを周知
  • Interest……Attentionよりも商品やサービスの魅力が伝わるような内容を盛り込む
  • Desire……消費者自身が情報を集めようとするため、Webサイトやカタログの内容を充実させる
  • Memory……サービスの存在を思い出してもらうため、媒体に広告を出したり、定期的にメルマガを配信
  • Action……店頭で商品を目立たせたりクーポンを配布して購買意欲を刺激する

まず、商品・サービスを購入してもらうには、認知してもらうことが必要です。Attention(注意)では広告やSNSを通じて商品やサービスを周知します。ここではまず知ってもらうことをゴールにします。

そして消費者に興味を持ってもらうために、Interest(興味)ではAttentionよりも商品やサービスの魅力が伝わるような内容を盛り込みます。その際、コンテンツの媒体は商品やターゲットによって変わってくるでしょう。

若い層をターゲットにしているならSNSからランディングページに飛ばす、また妻子持ちの男性サラリーマンをターゲットにしているならメルマガを配信し、休日など時間に余裕のある時にじっくりとコンテンツを読んでもらうなど、方法は変わってきます。

Interest(興味)をきっかけにして消費者に関心を持ってもらったら、ユーザーが自ら情報収集をした際に商品やサービスの購入を検討してもらえるよう、コンテンツを充実させます。

次に欲しいと思った消費者が忘れずにその熱量を維持できるよう、広告を打ち出したりメルマガを配信したりします。最後に購入に訪れた消費者をプッシュするよう、店頭で商品を目立たせたりクーポンを配布して購買意欲を刺激します。

このように、AIDMAを活用してプロセスに応じたアプローチ方法を設定することで、ユーザーにアクションを促す流れをスムーズに作ることができます。

AIDMAの成功事例

AIDMAの成功事例

先に、スニーカーでAIDMAの具体例を挙げましたが、ここではAIDMAを実行して成功した事例を紹介します。

コカ・コーラのケース

2018年のサッカーワールドカップの期間中、コカ・コーラ社はサッカー観戦しながらコカ・コーラを飲む様子のテレビコマーシャルを大量に流していました。

Attention:消費者が商品やサービスについて広告やSNSを通じて周知する段階

多くの人が注目し、サッカーワールドカップの試合をテレビで観戦します。その期間中に大量のテレビコマーシャルが流れることで消費者の認知が高まります。

Interest:認知した商品やサービスに対して消費者が興味や関心を抱くようにする段階

テレビCMの最後に、印象的なキャッチコピーを打ち出します。それを見た消費者は、サッカーワールドカップとコカ・コーラをセットで記憶するのです。

Desire:消費者が気になっている商品やサービスを実際に使ってみたいと思う段階

世間はサッカーワールドカップの話題で持ちきり。今までサッカーにあまり興味がなかったが大きな話題に乗り遅れたくない消費者は、テレビでサッカーワールドカップを観戦したいと思うようになります。

Memory:消費者が実際に購入しようと思うまでのリマインドの段階

話題に遅れまいと情報収集する消費者は、テレビでコカ・コーラのCMを見ることになります。そして、実際にテレビでサッカーワールドカップを観戦した際に、コカ・コーラを思い出すのです。

Action:商品やサービスを購入する最終段階

仕事が終わり、サッカーワールドカップを見る予定の消費者が、家に帰る途中でコンビニに寄ってコカ・コーラを買って帰ります。そうした消費者が増え、コカ・コーラの売り上げが大幅にアップしたのです。

AISASとの違い

AISAS

ここまでAIDMAについて詳しく解説しました。冒頭でも触れたように、ユーザーの消費行動を体系立てる際に使用されるフレームワークには「AISAS(アイサス)」というものがあります。ここからはAISASについてや、AIDMAとの違いにを解説します。AIDMAと混同されやすいAISASも知っておくことで、理解を深めることができるでしょう。

AISAS(アイサス)モデルとは

AISASとは、AIDMAの考え方をインターネットが普及した現在の消費行動にあてはめたものです。インターネットによる購買行動の主流化に合わせ電通が提唱したモデルで、2005年6月には商標登録済となっています。

各プロセスについては、以下のようになっています。

  • Attention……注目、商品やサービスについて知る
  • Interest……興味を持つ
  • Search……検索
  • Action……購買行動
  • Share……共有する

AISAS の特徴は、Search(検索)やShare(共有する)といったプロセスが存在している点です。昨今ではGoogleやYahoo!などの検索エンジンの普及でユーザーの検索が急増し、SNSなどの普及でシェアも活発化しています。そのため、インターネットならではの消費行動を反映しているモデルとなっています。

AIDMA(アイドマ)とAISAS(アイサス)を使い分け

AIDMAとAISASの違いはなんでしょうか。プロセスの点から考えると、AISASはAIDMA におけるDesire(欲求)とMemory(記憶)はSearch(検索)に集約され、Action(行動)の後にSearch(検索)というプロセスが続いている点が異なっています。とはいえ、AIDMAとAISASは、ユーザーの購買心理を理解するという大きな括りでは同じ意味になります。

そこで2つのフレームワークは、商材や狙いたいターゲット層によって使い分けると良いでしょう。例えば、オフラインでの接点が多い商材であればAIDMA、インターネット上でのコミュニケーションが重要なサービスの場合はAISASを使用するといった使い分けができます。

ここでもっとも重要なのは、「自社のユーザーがどのような行動を取っているのか」を把握することです。フレームワークはあくまでマーケティングを成功させるための指針にすぎません。フレームワークに捉われすぎないように気を付けながら、ご自身のターゲットを分析していきましょう。

Dual AISAS(デュアル・アイサス)とは

AISASを発展させたモデルがあるのをご存じでしょうか。それがDual AISASです。「A+ISAS」と表記されます。

  • Activate:活性化
  • Interest:興味・関心
  • Share:共有・発信
  • Accept:受容・共鳴
  • Spread:拡散

これは従来のAISASよりも認知について踏み込んで考えたもので、SNS経由で情報や商品が拡散していく様をモデルにしたものです。従来の「買いたいのAISA」は購買することへの関心、「広めたいのA+ISAS」はコミュニケーションへの関心として、2つに分けて考えることがDual AISASの特徴です。

AISASの成功事例

AISASの成功事例

ここまでAISASについて解説してきましたが、ここではAISASで成功した事例について紹介します。

パーソナルジム「ライザップ」のケース

みなさんも一度は、あの独特な音楽とともに有名人が出演するRIZAP社のテレビCMを見たことがあるのではないでしょうか。だらしない体型でくるくると回る有名人が、次の瞬間には見事にシェイプアップした姿へ大変身するCMです。

では、AISASに当てはめて見ていきましょう。

Attention:注目、商品やサービスについて知る

一度聞いたら忘れられない独特な音楽を使ったCMが流れることで、飛躍的に知名度を高めました。

Interest:興味を持つ

先述したとおり、CMには有名人が出演し、見事な体型に大変身します。また、「結果にコミットする」といったキャッチコピーも印象に残り、ああいった体型になりたいと思わせたのです。

Search:検索

CMを見て検索する消費者を購入へと導くために、内容が充実したホームページを用意しました。さらに、消費者がネガティブなワードで検索するケースに備えて、アフィリエイターを活用し、ポジティブな記事を出すようにしました。

Action:購買行動

最後のハードルが30万円近い価格です。それをクリアしたのが「全額返金保証制度」でした。

Share:共有する

実際に、見事な体型になった有名人をテレビで見たり、周りの人間がRIZAPでシェイプアップした姿を見たりすることこそがShareであり、それがインパクトの大きい広告となったのです。

AISAS(アイサス)の法則とは?マーケティングに必要な消費行動と事例紹介 AISAS(アイサス)の法則とは?マーケティングに必要な消費行動と事例紹介

そのほかの購買行動モデル

そのほかの購買行動モデル

AIDMAとAISASという2つのフレームワークについて詳しく解説していきましたが、購買行動モデルは他にも存在しています。そこでここでは、13種類の購買行動モデルについてご紹介します。その他の購買モデルを確認し、自身のサービスに合う購買モデルを確認していきましょう。

AISCES(アイシーズ)

AISCES(アイシーズ)は下記の頭文字をとって名付けられたモデルです。

  • Attention(注意)
  • Interest(関心)
  • Search(検索)
  • Comparison(比較)
  • Examination(検討)
  • Action(購買)
  • Share(共有)

AISASと同義で、消費者のインターネットの利用を考慮した購買決定プロセスとなっています。

AISCESの特徴は、「Search(検索)」「Comparison(比較)」「Examination(検討)」といったインターネットでの購入前の比較・検討がある点です。また、AISASよりもプロセスを細分化しており、AIDMAと比べても消費者が検索した後に比較や検討を行うことが特徴的です。

SIPS(シップス)

SIPS(シップス)は下記の頭文字をとって名付けられたモデルです。

  • Sympathize(共感)
  • Identify(確認)
  • Participate(参加)
  • Share(共有)

SIPSはインターネットが普及した現代の消費者に合わせて誕生した購買行動モデルで、SNSによる影響を考慮した購買決定プロセスとなっています。

「Sympathize(共感)」とは企業による発信に消費者が共感することです。そして「Identify(確認)」とは本当に共感していいのかどうか、消費者が確認をすることです。昨今ではインターネットの普及により、様々な情報が手に入ります。

ネットリテラシーがあるユーザーであれば、その情報が正しいかどうか疑い、別の角度からリサーチをして確認を取るといったこともあるでしょう。またインターネット以外の方法でも確認することもできます。

そして「Participate(参加)」とは、購入に至らなくても、いいねを押すなどアクションを行うことです。最後に「Share(共有)」とはSNS上でRTを行なって情報を拡散したり、URLをコピーして友人や知り合いに共有するという流れになっています。

SIPSの特徴は、共感による購買行動がキーポイントとなっていることです。また、「いいね」やリツートなどで企業の営業活動に消費者が参加する点が特徴的です。アクションを起こしたユーザーが購入をしなくても、ユーザーとつながっている消費者が共感を持って購入してくれるかもしれません。そういった意味で、共感、共有というプロセスは重要になります。

DECAX(デキャックス)

DECAX(デキャックス)は下記の頭文字をとって名付けられたモデルです。

  • Discovery(発見)
  • Engage(関係)
  • Check(確認)
  • Action(購買)
  • eXperience(体験共有)

消費者が自ら情報を獲得することで、商品やサービスとの関係を構築することを表しています。このモデルの特徴は、消費者によるWeb上での発見を前提としている点です。

例えば、「Discovery(発見)」とは数多くある情報の中から自社の商品・サービスを見つけてもらうことです。昨今では情報が多く、消費者に自社商品・サービスを発見してもらうためにコンテンツを発信しています。

「Engage(関係)」は企業が発信する情報に関していいねやシェアをすることで、消費者との関係を構築することを指しています。また、「Check(確認)」とは得た情報が本当に正しいか、自分にとって有益な情報であるかを確認することです。そして「Action(購買)」で購買し、「eXperience(体験共有)」では得た体験をSNSでクチコミとして共有していきます。

AIDA(アイダ)

AIDA(アイダ)は下記の頭文字をとって名付けられたモデルです。

  • Attention(注意)
  • Interest(関心)
  • Desire(欲求)
  • Action(購買)

AIDAはAIDMAの原型とされている購買決定プロセスで、初めて概念として提唱された購入決定プロセスと言われています。

AIDCA(アイドカ)

AIDCA(アイドカ)は下記の頭文字をとって名付けられたモデルです。

  • Attention(注意)
  • Interest(関心)
  • Desire(欲求)
  • Conviction(確信)
  • Action(購買)

AIDCA(アイドカ)は、AIDMAと同時期に提唱された購入決定プロセスで、見込み客の購買を狙うダイレクトマーケティングでのモデルとなっています。

AIDCAの特徴は、「Conviction(確信)」というプロセスが存在しているところです。また、Conviction(確信)とは消費者が商品やサービスの価値を確信することです。AIDCAにおいて最も重要な段階であり、このプロセスがあることで強い購買意欲をもつとされています。

AMTUL(アムツール)

AMTUL(アムツール)は下記の頭文字をとって名付けられたモデルです。

  • Aware(認知)
  • Memory(記憶)
  • Trial(試用)
  • Usage(利用)
  • Loyalty(愛用)

顧客からの信頼や愛着に着目した購入決定プロセスで、商品やサービスを一度購入してもらうだけでなく、消費者との良好な関係構築も意識しているのが特徴です。

というのもAIDMAは比較的短期的な購買行動を指しているのに対し、AMTULは「Trial(試用)」「Usage(利用)」「Loyalty(愛用)」といったプロセスを経て長期的な購買を狙い、何度も商品やサービスを購入してもらうことを目指しています。

AISA(アイサ)

AISA(アイサ)は下記の頭文字をとって名付けられたモデルです。

  • Attention(注意)
  • Interest(関心)
  • Social Filter(ソーシャルフィルター)
  • Action(購買)

AISA はSNSと消費者の関係を重視した購買決定プロセスで、消費者はSNSによって得られる情報から大きな影響を受け、購買に至っている様子を表しています。そのため、SNSでの反応が重要となっている点が特徴的です。

例えば「Social Filter(ソーシャルフィルター)」とは消費者がSNSで繋がっているユーザーの情報を通じてその商品やサービスを知ることです。そのため、企業がSNSで情報を発信する際は、ソーシャルメディア上でどのようにユーザーとコミュニケーションをとるのか意図的に設計する必要があります。

AIDEES(アイデス)

AIDEES(アイデス)は下記の頭文字をとって名付けられたモデルです。

  • Attention(注意)
  • Interest(関心)
  • Desire(欲求)
  • Experience(購入)
  • Enthusiasm(心酔)
  • Share(情報共有)

AIDEESは消費者が商品やサービスに満足し、インターネット上で共有することに着目した購買決定プロセスで、顧客による口コミや宣伝を重視しているのが特徴です。

「Enthusiasm(心酔)」では商品やサービスで感動したことをSNSで書き込むなど「Share(情報共有)」を行い、次の消費者へと繋げていくのです。そのため、商品やサービスのファンになったうえで共有することがポイントとなります。

AISCEAS(アイセアス)

AISCEAS(アイセアス)は下記の頭文字をとって名付けられたモデルです。

  • Attention (注意)
  • Interest(関心)
  • Search(検索)
  • Comparison(比較)
  • Examination(検討)
  • Action(購買)
  • Share(共有)

このモデルは2005年に広告雑誌の中で紹介されました。消費者がどのように購買へ至るのか、その段階を説明しています。インターネット経由で情報を収集する「Search(検索)」、類似商品と比較して検討する「Comparison(比較)」「Examination(検討)」、そして購入後にレビューを行ったりSNSで発信したりする「Share(共有)」が、このモデルのポイントです。

AIDCAS(アイドカス)

AIDCAS(アイドカス)は下記の頭文字をとって名付けられました。

  • Attention(注目)
  • Interest(興味)
  • Desire(欲求)
  • Conviction(確信)
  • Action(購買行動)
  • Satisfaction(満足)

AIDCAと同じで、見込み客の購買を狙うダイレクトマーケティングでのモデルです。AIDCAに「Satisfaction(満足)」が付け加えられています。購入をゴールとせず、その後にアフターサービスやフォローを丁寧に行うことで「買ってよかった」と感じてもらうことをゴールとしています。そして、リピート率を高めるのが狙いです。

ARCAS(アルカス)

ARCAS(アルカス)は下記の頭文字をとって名付けられました。

  • Attention(気づき)
  • Remind(思い起こし)
  • Compare(比較)
  • Action(購買)
  • Satisfy(満足)

広告代理店の電通が提唱したモデルで、店頭販売でのマーケティングで活用されています。消費者が来店し購入、その後に再来店する消費行動プロセスを説明するものです。店内でその商品の存在に気づいた消費者が、「この間、テレビで見ていいなと思ってたやつだ」と広告などを思い出します。

その上で、店内の類似品と比較し納得して購入を決めます。商品自体はもちろん、そこでの接客体験に満足すると再来店につながるでしょう。

VASAS(ヴィサス)

VASAS(ヴィサス)は下記の頭文字をとって名付けられました。

  • Viral:口コミ
  • Influence:影響
  • Sympathy:共感
  • Action:行動
  • Share:共有

現代は、SNSが広まり、誰もが情報発信を行える時代です。その「消費者の情報発信」に注目したモデルです。消費者がInstagramやTwitterなどで発信した情報を他の消費者が見ます(口コミ)。その情報に影響され、購入するという流れです。大事なのは、どのようにSNSでの情報発信を促すか、どのようにいい口コミを広めるかの2点です。

SAIDCAS(サイドキャス)

SAIDCAS(サイドキャスは下記の頭文字をとって名付けられました。

  • Search(検索)
  • Aware(認知)
  • Interest(興味)
  • Desire(欲求)
  • Conviction(確信)
  • Action(行動)
  • Satisfy(満足)

GMOが自社の成功事例をもとに編み出したモデルです。インターネットが普及する現代に即した消費行動プロセスで、大口の取引先をつくり出して需要を拡大させることをゴールとしています。

まとめ

まとめ

今回はAIDMAの活用シーンやAISASとの違いについて解説していきました。AIDMA(アイドマ)をはじめとする購買決定プロセスを意識すれば、効率的に消費者の購買を促進することが可能です。また、AIDMAに限らず、他にも購買行動モデルは複数存在しています。

自身のサービスやマーケティング状況から適用すべき購買プロセスを選定し直すことも視野に入れてみましょう。ターゲットとしっかり向き合い、効率的なマーケティングを行えるように意識することで、CVRの向上を図ることができます。

AIDMA(アイドマ)のよくあるご質問

AIDMAとは?

AIDMAは、消費者の購買決定プロセスを説明するモデルの1つで、現在ではマーケティングを理解する上で知っておくべきものです。5つの段階は、消費者が商品やサービスの購入を決めるまでのプロセスを表しています。

AIDMAの活用シーンは?

1つ目は、ペルソナの設定でAIDMAを活用することができます。2つ目は、プロセスに応じたアプローチ方法を設定することができます。

AIDMAとAISASとの違いは?

AISASはAIDMA におけるDesire(欲求)とMemory(記憶)はSearch(検索)に集約され、Action(行動)の後にSearch(検索)というプロセスが続いている点が異なっています。2つのフレームワークは、商材や狙いたいターゲット層によって使い分けると良いでしょう。

監修者紹介

石田 哲也

石田 哲也

取締役CMO

Twitter:@te2319
株式会社ニュートラルワークス 取締役CMO。1984年生まれ。高校卒業後にISD株式会社を起業。その後、株式会社オプトでWebマーケティングを学び、株式会社メタップスなど複数のベンチャー企業にて事業立ち上げを経験。前職はワンダープラネット株式会社でゲームプロデューサーとしてスマホゲームアプリの制作に従事。2018年に地元の神奈川へ戻り、ニュートラルワークスに入社。SEO/Web広告運用/サイト分析・改善など、Webサイトの運用改善~ゲームアプリ制作や数十万フォロワーのSNSアカウントの運用経験などWebビジネス全般を守備範囲とする。

■経歴
2003年 ISD株式会社/起業
2009年 株式会社オプト/SEMコンサルタント
2011年 株式会社メタップス/シニアディレクター
2013年 ライブエイド株式会社/執行役
2016年 ワンダープラネット株式会社/プロデューサー・BizDev
2018年 株式会社ニュートラルワークス/取締役CMO

■得意領域
Webサイト改善
SEO対策
コンテンツマーケティング
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