マーケティングファネルは20世紀から存在し、広告主やマーケティング担当者に大いに役立ってきました。しかし、ファネルを構成しているものは何かという概念は変化しています。この変化に対応するために、企業は新しいファネルと広告を活用する新しい方法を考えなければならなくなったのです。
今回は、マーケティングファネルの5ステップを解説し、その活用方法、ファネルは時代遅れなのか、パーチェスファネルのメリットと課題など、役立つ情報をお伝えします。
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目次
マーケティングファネルとは?重要な理由を解説
ファネル(funnel)は、日本語で「漏斗(ろうと)」のことです。「マーケティングファネル」とは、顧客が商品やサービスを認知してから購入に至るまでの過程を表したものを指します。購入までの過程を経ていく中で、顧客数が徐々に減っていく様子を漏斗の逆三角形に見立てて、このような名前がつけられています。
顧客がどこでこのファネルから離脱し、なぜ離脱したのか、どのように改善すれば購買までたどり着かせることができるのかを分析するのに役立ちます。
「新しく商品を知った人に無理やり買わせる」「販促にリソースを割きすぎる」といったミスを防ぐためにも、数字だけで判断するのではなく、ファネルを理解することが重要といえるでしょう。
マーケティングファネルの5つのステップ
マーケティングファネルの5つのステップを説明します。
1.課題を発見する
消費者が商品やサービスを購入するのは、何らかの問題を解決するためです。ただ、この課題は必ずしも顕在化しているとは限りません。
例えば、ドライヤーが壊れてすぐに購入が必要な場合は、消費者は新しいものを「購入する」だけで解決します。一方、「何かのきっかけで新しいドライヤーが欲しい」という場合、「なぜ新しい製品が欲しいのか」が不明確です。そのため、企業は消費者に商品を認知させるための発信が不可欠といえます。
2.情報を検索して比較検討する
昨今では、口コミサイトやSNSといったさまざまな媒体から、消費者は情報収集を行います。レビューや比較記事を読んだりすることもあるでしょう。そうした中で、気になる商品を比較し、見た目や性能、金額などを含めて自分に合う商品なのかを検討します。
3.コンバージョン
比較検討を経た消費者は、次に購入の段階に進みます。ただし実際には、ニーズと商品の特性が合致しても、購入に至るまでに多くのハードルが存在します。
例えば、オンラインであれば購入前に会員登録が必須であったり、支払い方法が限られていて新たにアプリをダウンロードしなければならないといったことがあると、購入の意思があったにも関わらず、取りやめてしまうという事態になり、ファネルから離脱してしまうのです。
このように、コンバージョンフェーズにある顧客がスムーズな購買体験を得られるように、購入までの流れを整備することが不可欠といえるでしょう。
4.ロイヤリティの向上を図る
消費者が購入したあとは、ロイヤリティを高めることが重要です。例えば購入した商品が当初のイメージより悪かった場合、購入者は失望し、商品やサービス、またはブランド、企業イメージが下がってしまいます。つまり、ロイヤリティの低下につながり、再度購入をしてもらうことは難しいでしょう。
こういった事態が起きないよう未然に防止策を立てることはもちろんですが、起こってしまった場合を想定して、フォロー体制を整えることも重要です。トラブルが起こった場合の連絡先を顧客がわかるように明記しておいたり、社内ではトラブルシューティングのフローを整備するなど、一見売上に直接関わるところではない部分のメンテナンスが中長期視点ではポイントとなります。
そうすることでロイヤリティを向上させられ、顧客をリピーターに育てることも可能でしょう。
マーケティングファネルは古い?最新の活用事例を紹介
マーケティングファネルを活用する方法
マーケティングファネルを活用する方法について解説します。
ペルソナを設計する
ペルソナの設計は、マーケティングファネルを構築する上で重要な要素です。
ペルソナとは、商品やサービスのユーザー像を1人の人物として、具体的に細かく設定したものをいいます。年齢、性別、居住地、職業といった基本的な部分に加え、仕事の役職、年収、家族構成、特技、価値観、趣味、休日の過ごし方、ライフスタイルなどの詳細な情報を設定することで作成します。
ファネルの各フェーズで顧客が何を必要としているかを分析するため、事前にペルソナを作成することが不可欠です。
ペルソナとは?役割と定義、設定ポイントを解説
顧客の心理を考える
設定したペルソナ像を元に、顧客がどのような考えを持って購入に至ったかの分析に活用できます。すなわち、何が購入の決め手になったのかの要因をつかむことに有用です。
例えば、競合製品と自社製品を比較した場合、多くの消費者はそれぞれのメリットや特徴を考慮し、自分の条件に最も合うものを選ぶでしょう。
したがって、自社製品の価値を強調し、それがいかに購入者の要求を満たしているかを明確に示すことが重要です。
広告やSNSで認知を拡大する
Web広告を通じて潜在層の目に触れさせたり、SNSのUGCを通じて拡散させることで、認知を拡大できます。これにより、ビジネスや提供する商品・サービスに注目する見込み顧客数を増やすことができます。
PR動画、SNS画像、ブログなど、さまざまな方法で顧客にアプローチするため、コンテンツ戦略を定期的に計画しましょう。
サイトやLPで顧客に訴求する
サイトやLPで顧客に興味を持ってもらうためには、魅力的なコンテンツと人目を引くビジュアルが必要です。例えば、YouTube動画を埋め込んだり、画面スクロールに連動して動くコンテンツを用意するなどすると、ユーザー体験を高められるでしょう。
また、限定割引、新着商品などを表示して、潜在顧客の興味を一気に引き付けるのも戦略の一つです。さらに、ロイヤリティ・プログラムを提供したり、紹介制度を作ったりすることも、潜在顧客の関心を引くのに有効でしょう。
ストーリーや強みを訴求して検討してもらう
比較検討の段階では、自社製品の購入を納得させることが目的です。自社製品の構成要素と、他の利用可能な選択肢と比較した場合の利点を、明確かつ簡潔に表現しましょう。
キャンペーンや特典で購入を後押しする
消費者に商品を購入してもらうためには、販売促進活動が欠かせません。例えば、購入金額に応じたノベルティのプレゼントや、サンプル品のプレゼント、送料無料キャンペーンの開催なども方法として考えられるでしょう。
また、オンラインならプロモーションビデオを作成したり、SNS上でのキャンペーンを実施したり、オフラインなら印刷広告、ラジオ広告、雑誌の見開きページといった、マーケティング戦略も、潜在顧客にリーチさせるために取れる手法です。商材との相性を考慮してどの媒体を利用するか考えましょう。
マーケティング分析とは?フレームワークのやり方や種類を解説
マーケティング分析を使って、ビジネスの成功を分析し、測定する方法を学びます。また、私たちがフレームワークのやり方をステップバイステップで解説しているので、コンセプトやさまざまな種類の専門用語の理解を深めましょう。
マーケティングファネルは古い?パーチェスファネルのメリットと課題
ここからはマーケティングファネルの種類の一つである、「パーチェスファネル」について、メリットと課題について解説していきます。
パーチェスファネルのメリットと効果
まずはバーチェスファネルの特徴、メリットや効果について説明します。
どこで顧客が離脱したか把握できる
パーチェスファネルの考え方を活用することで、どの領域で顧客が離脱しているのかを認識することができます。
例えば、SNSでの広告のインプレッションが非常に多い場合は、多くの人に認知されていると判断できます。しかしCVにつながっていない場合は、興味・関心もしくは、比較・検討の段階に問題があると推測できそうです。
このように、バーチェスファネルを使えば、プロモーションの成果が上がっていない箇所を追跡し、改善策の立案に役立てることが可能です。
それぞれの段階で施策を実行できる
購買行動プロセスを分析することで、どの段階に課題があるのか判断し、必要な施策を立案することができます。
例えば、Webサイト訪問者が顧客に転換しない場合、それはコンバージョンファネルに綻びがあることを示しています。
Webサイトのコンテンツがわかりづらかったり、問い合わせへの導線設計に改善の余地があったりするのかもしれません。また、企業のオンラインプレゼンスが弱すぎるために、潜在顧客を引き込めない可能性もあります。
さらに、宣伝している商品やサービスに関する適切な情報が提供されていなかったり、価格設定が高すぎたり、製品機能が低すぎたり、またはトレンドに即していないものになったりしている可能性などが考えられるでしょう。
一般的には、各ステージで一定のステップを踏む必要があるといわれています。
- 認知:広告などを打つ。動画広告やSNSなどを利用する
- 興味・関心:ニーズを育てる。情報を提供することで比較・検討へとつなげる
- 比較・検討:実際に試してもらったり、クーポン券の配布などを行ったり、購入までの最後のひと押しをする
パーチェスファネルは、複雑な顧客行動を簡略化して解釈したものであり、企業のマーケティング活動において不足している部分や、必要な手順を教えてくれるのです。
パーチェスファネルとは?意味や各段階ごとの解説、必要な施策を紹介
パーチェスファネルの課題とデメリット
バーチェスファネルで検討すべき課題やデメリットについて解説していきます。
消費者の行動が直線的でなくなってきている
マーケティングファネルは、消費者が商品を認知し、最終的に購入するまでの一連の流れを可視化した図です。
しかし、マーケティングファネルは消費者の行動を大まかに表したものに留まっており、昨今の複雑化した購買行動には対応できていません。そのため、さまざまな媒体から情報を取得できる現代には即しておらず、十分な精度を持つとはいえないのです。
購買した後の行動が明確でない
サブスクリプションプランやSaaS(Software as a Service)など、さまざまな取引を通じて、企業の裾野が広がっています。
これらの新しいビジネスモデルは、「所有するのではなく、利用する」「購入するのではなく、体験する」という言葉で特徴付けられています。このような環境下で生き残るためには、企業は顧客の購買意欲を高めるだけでなく、顧客が購買体験とその後のマーケティング活動に満足できるようにする必要があります。
しかし、通常のマーケティングでは、顧客獲得、あるいはメッセージ発信だけが目的であり、その後に顧客がどのように製品を使用するのかを追跡することはできません。
例えば、同じ商品を何度も購入するような習慣は考慮されていないなど、マーケティングファネルが時代遅れと言われるのはこういったことが要因といえるでしょう。
パーチェスファネルに替わる新しいマーケティングファネル
パーチェスファネルに替わる新しいマーケティングファネルについて紹介します。
ダブルファネル(アワーグラスファネル・インフルエンスファネル)
ダブルファネルは、より大きな効果を得るために、パーチェス・ファネルとインフルエンス・ファネルを考慮したものです。
つまり、購入した製品はもちろん、その後の普及の段階でも顧客サービスが重要な役割を担っているのです。
ルーピングファネル
ルーピング・ファネルは、直線的ではない消費者行動を「ループ」という言葉を使って表現したものです。つまり、消費者が商品の購入を検討する際、通常はなかなか決断に至らず、いくつかの選択肢を比較検討した上で選択する傾向を示しています。
さらに、購入後の消費者行動も考慮した次のステージを含んでいるため、自社のマーケティングプランに合わせることで、より多面的な設計が可能です。
マイクロモーメントファネル
消費者の早急に解決したい欲求に着目したのが、マイクロモーメントファネルです。
Googleが「マイクロモーメント」と呼ぶ、「(いますぐ)買いたい」「行きたい」「したい」といった、今この瞬間の消費者の欲求を認識することは、スマートフォンの普及により容易に実現できるようになりました。
これは、人々がその場で満たされたいという欲求を漏斗の形で表現したもので、詳細な検討や認識を必要としないことを意味しています。これをマーケティングに置き換えると、潜在顧客が求めているものをすぐに見つけられるようなチャネルを確立することを意味します。
そうすることで、「いま」求めているものを満たすための新しいビジネス戦略が見えてくるでしょう。
法人向けのマーケティング支援事業を行っている株式会社unnameでは、『BtoBでマーケティングファネルを活用する方法とは?各ファネルの定義と施策を解説』という記事にて、マーケティングファネルの役割と活用方法について詳しく解説していますので、ご参考にしてみてください。
マーケティングファネルを最適化し有効活用を!
マーケティングファネルは消費者の商品認知から購買に至るまでの流れを分析し改善するのに役立ちます。しかし、認知から購入までのプロセスを直線的にとらえるため、多様化する顧客の購買行動に対応しきれない場合があります。
そのため、ダブルファネルやルーピングファネル、マイクロモーメントファネルなど新しいユーザー層に対応できる体制作りをしていかなければなりません。いきなりすべてを対応させることは難しいかもしれませんが、今までの情報も活用しながら、新しい消費者行動に合わせた柔軟性が求められるでしょう。
同じユーザーが同じ商品を購入し続けるとは限らないため、すでに購入に至った顧客にはいかにリピートさせるか、また新規の顧客を開拓できるかが大切です。
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