ECサイトの保守費用は?ランニングコストを解説

ECサイトの維持費はいくらかかる?構築方法別・サイト維持費・運営費など徹底解説!

日本国内の消費者向けEC市場規模は年々拡大しています。経産省の「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」によると、2020年時点の物販分野のEC市場規模は12兆円を超えました。平均すると毎年8%ほど拡大しており、過去5年間で約1.5倍に成長した非常に勢いのある市場です。さらに、まだまだ成長する余地のある市場でもあります。

企業にとってもECサイトは販売チャネルとして必須のものとなり、重要な役割を担うこととなりました。さらに、新型コロナウイルス感染症によって実店舗での対面販売が難しくなると、ECサイトの重要性はより一層高まりつつあります。

ただ、ECサイトの構築や運営について豊富な経験を持った企業は多くありません。ECサイト担当者の中には、さまざまな悩みを持つ方もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、ECサイトの運営に必要な維持費を解説します。ECサイト運営に必須な費用から、ECサイトの規模や売上を拡大する際に追加で必要となる費用、さらにECサイト外で運営にかかる費用も含めて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

ECサイトの種類について

ECサイトの種類について

ECサイトを構築・運営する方法には、いくつかの種類があります。構築方法、運営方法、ユーザーからの見た目、使い方など、種類によってそれぞれ特徴が全く異なります。そのため、自社のECサイト運営体制や予算、規模などに適した方法で構築する必要があります。ここでは、ECサイトを構築する方法とそれぞれの特徴とメリット・デメリットを解説します。

モール

モールとは、インターネット上のショッピングモールのことです。ECサイトを構築する方法のうち、最も手軽なのがモールへの出店といえます。実店舗のショッピングモールと同じく店舗スペースが用意されて、その店舗を借りるようなイメージです。店舗や商品の情報など必要な項目を埋めていけばECサイトを開店できます。

モールのメリットは、ECサイト構築の簡単さです。初期費用も非常に低く抑えられ、多くの場合0〜10万円程度で済みます。また、モールの会員であるユーザーへのアプローチがしやすいこともメリットです。商品やECサイトとしての知名度がなくても、モールの持つ集客力を利用できます。

デメリットは、ECサイトを運営するランニングコストが、他の方法に比べて高くなる場合がある点です。モールに対して、システム利用料と販売手数料を支払う必要があるためです。

システム手数料は、固定費となります。その他に、売上の一部を販売手数料として支払わなければなりません。この販売手数料は、売上が増えるほど金額が大きくなる変動費なので、売上規模が大きくなると割高に感じるようにもなるでしょう。

また、モールではデザインの幅が限られることも、ECサイトが独自のブランディングを進めたい場合にはデメリットとなります。モールの代表例を紹介します。

楽天市場

楽天市場

https://www.rakuten.co.jp/

日本で最も有名なモールの一つです。会員数も多く、ポイント施策を中心としてユーザーのロイヤリティが高いことも特徴です。

また、自社のECサイトや商品の知名度が低くても、楽天市場の集客力を利用できるのが強みといえます。ECサイト構築から販売までをスムーズに行うことができ、「ノウハウがない」「ECサイトの構築予算が少ない」「スモールスタートしたい」といった場合にあっています。

Amazon

Amazon

https://www.amazon.co.jp/

世界中で展開し、日本で最も有名なモールの一つとなっています。検索性や、商品を見つけてから購入するまでの操作性が非常に良く、ECサイトでの買い物に慣れた人が多く使っています。

買い物をするときにgoogleなどの検索を使わず、まずAmazonで検索する人も多くなっています。そのため、商品名が知られているものや、型番商品と呼ばれるものならば、出品するだけですぐに集客できます。
モール型EC、自社ECの違いとは?メリット、デメリット、活用方法を紹介 モール型EC、自社ECの違いとは?メリット、デメリット、活用方法を紹介 モール型EC、自社ECそれぞれにメリット、デメリットがあるのをご存知でしょうか?ECサイトをこれから始める方、ECサイトの運用方法に悩んでいる方向けにモール型EC、自社ECの特徴と活用方法をまとめてみました。

ASP・クラウド

ASPとは、Application Service Providerの略です。クラウドも同様で、ECサイトのシステムがインターネット上に用意されていて、それを利用してECサイトを構築する方法です。自社でECシステムを開発する必要はなく、テンプレートのようなECサイトの枠組みを使って、店舗の情報や商品の情報を入力すれば開店できます。

ASPやクラウドのメリットは、手軽さと自由度のバランスの良さです。ASPやクラウドは、ECシステムが用意されている点はモールと同じですが、ASPやクラウドのほうがECサイトのデザインの自由度は高くなっています。独自ドメインを使うのも簡単で、店舗の世界観を反映させたECサイトを構築できます。

ECサイトをオープンするまでの初期費用も、モールへの出店と同じ程度の初期費用で、0〜10万円程度に抑えることも可能です。ただし、モールに比べてカスタマイズ性が高いため、凝ったデザインにすると初期費用は大きくなり、100万円程度にもなります。

また、ランニングコストがモールに比べて安価で済む場合が多いのもメリットです。固定費となるシステム利用料、独自ドメイン使用料、サーバー費用はモールより安く済みます。さらに、売上に応じて必要になる変動費が決済手数料のみとなっているサービスが多く、販売手数料がいらない分だけモールに比べると低く済みます。

しかし、あらかじめシステムが用意されていることが、デメリットにもなります。用意されている枠内でしかデザインをカスタムすることはできません。会員情報の集め方や集められる項目、ユーザーへのアプローチの方法、決済方法なども、ASPやクラウドごとに制限があります。

ECサイトを運営しはじめてから足りない機能に気付くことのないよう、ECサイト構築前にASPやクラウドを比較して導入するものを決めなければなりません。なお、モールのように独自の会員を持っているわけではありません。集客から自社で行う必要があります。

まずはスモールスタートでECサイトをオープンしたい場合や、実店舗や商品の知名度が高く集客が独自に可能である場合には、向いているECサイト構築方法です。日本国内でよく使われているASP・クラウドを紹介します。

Shopify

shopify

https://www.shopify.jp/

Shopifyは、カナダに本社のあるshopify社が運営するASPです。2006年のサービス開始以来利用者は増え続け、現在では世界中で100万以上のECサイトがShopifyを使って運営されています。2019年に日本に本格参入して以来は、国内でもシェアを伸ばしています。

Shopifyの強みはいくつかありますが、導入・運営コストの低さと、幅広い機能が用意されていることが特に大きな点です。ただし、日本の商習慣に完全にはあっていない機能やデザインなども一部残っているため、導入する際には構築するECサイトのイメージを固めてからShopifyで実現可能か検討すべきです。

また、Shopifyはカスタマイズしようとする場合や、最新の機能追加などについての情報ソースが英語表記となっているケースもあります。そのため、Shopifyの導入については、Shopifyに精通した企業と一緒に検討できると良いでしょう。企業を探す際の目安となるのが、Shopifyパートナーであることです。Shopifyパートナーとは、Shopifyとパートナーシップを結んでいる企業です。

Shopifyを使ったECサイトの構築・カスタマイズや、運営コンサルティングをするノウハウを持っていると判断できます。
shopifyの制作・開発会社を選ぶ際のポイントを解説 shopifyの制作・開発会社を選ぶ際のポイントを解説
ニュートラルワークスは、Shopifyパートナーです。Shopifyを使ったECサイト構築から運営サポートまで、豊富な実績を持つニュートラルワークスなら、最先端の機能導入もでき、課題をすべて解決できます。

BASE

BASE

https://thebase.in/

BASEは日本生まれのASPです。一番の特徴は、とにかく手軽にECサイトを構築できること。初期費用が無料、月額固定費も無料でECサイトをオープンできます。そのため、特に新型コロナウイルス感染症の拡大以降、急遽低予算でECサイトを構築する必要に迫られた企業に多く使われました。

無料で使えるデザインや機能には限りがあるため、よりオリジナリティの高いECサイトにしたい場合には追加費用が必要です。まずは素早く安価にECサイトを構築したいのでなければ、やはり自社のECサイトの完成イメージを実現できるか検討してから導入すべきでしょう。

パッケージ

パッケージとは、ECサイトを構築・運営するためのソフトです。ECサイトに必要な、商品管理、在庫管理、ショッピングカート、決済などの機能があらかじめ用意されていて、それを自社の要件に合わせてカスタマイズすることで、独自のECサイトを構築できます。

ASPやクラウドはECシステムがインターネット上に用意されていますが、パッケージはシステムやサーバーの管理も自社で行う点が違いです。そのため、より幅広く自社の思い通りにカスタマイズが可能となる点がメリットとなります。

ECサイトを構築する際はデザインを作り込む必要があり、運営する際に自社で管理する部分が多くなるため、そのコストが大きくなる点はデメリットといえます。あらかじめ用意されているシステムを利用する点ではASPとパッケージはほぼ同じですが、自由度が高い分だけ費用もかかるのがパッケージと考えると分かりやすいでしょう。

ECサイトの構築のみでなく、集客や運営のサポートも手厚く行なっている開発会社が多いので、規模の大きなECサイトや、実店舗とECサイトをつなげて運営したい、といった希望がある場合に向いています。

代表例として、ecbeingとコマース21をご紹介します。

ecbeing

ecbeing

https://www.ecbeing.net/

ecbeingは国内で最も有名なパッケージの一つです。ecbeingの強みは機能の多さとサポート力です。ECサイトに必要な機能ならすべて揃っているともいえ、自社のイメージ通りにECサイトをカスタマイズできます。

また、システム開発面だけでなく、ECサイトを運営するマーケティングの面でもサポートが充実しています。機能やサポートが厚いため、開発・維持費用が大きくなりがちでもありますが、大規模なECサイトにも十分対応できるパッケージです。

コマース21

コマース21

https://www.commerce21.co.jp/

コマース21の特徴は柔軟性です。カスタムの自由度や拡張性が高いパッケージになっているのはもちろん、豊富な実績あるサポートも受けられるため、思い通りのECサイト構築が可能です。

また、大規模なデータ処理や、複数店舗の一括管理も可能です。ただし、裏を返せば想定しているECサイトの規模が大きいパッケージでもあります。小規模なECサイトを構築したい場合や、スモールスタートをしたい場合は、費用面で難しいかもしれません。
おすすめECパッケージを徹底比較!種類、メリットデメリットを基礎から解説! おすすめECパッケージを徹底比較!種類、メリットデメリットを基礎から解説! ECサイト制作やリニューアルでどのようなECパッケージを採用すべきか迷っていませんか?一度決めたら他のパッケージへの乗り換えは難しいので、ECパッケージの種類とメリット・デメリットなどを丁寧に解説します。

オープンソース

オープンソースとは、誰でも自由に使えるECシステムとして、公開・配布されているプログラムです。これを土台としてECサイトを構築します。オープンソースのメリットは自由度が非常に高いことです。よりオリジナリティの高いECサイトを構築できます。また逆に、最小限のカスタマイズにとどめてECサイトを素早く安価にオープンすることもできます。

ただし、デメリットは扱いの難しさです。ECシステムのプログラムが配布されているだけのため、扱うには専門知識が必要です。安価にECサイトを構築したいのであれば、社内に技術力がなければなりません。

オープンソース導入企業の多くは、技術力を持ったシステム会社に制作を依頼することとなります。その場合、初期費用として最低でも50万円程度、デザインにも凝って制作すれば数百万円必要となります。

また、オリジナリティの高いデザインにしたい場合には、オープンソースを利用した開発も検討すべきでしょう。もしくは、自社内に開発リソースがあれば非常に安価にECサイトを構築・運営できるため、オープンソースは魅力的です。

代表的なオープンソースが、EC-CUBEとMagentoです。

EC-CUBE

EC-CUBE

https://www.ec-cube.net/

EC-CUBEは日本で最も多く使われているオープンソースECシステムです。そのため、日本語対応や、日本の商習慣にあったカスタマイズがしやすくなっています。カスタマイズが思い通りにできるため、デザインや世界観を重視したいECサイトにも対応できます。

ecbeingなどのパッケージ型では、開発している会社が導入・運営のサポートもしてくれるのが一般的ですが、EC-CUBEはさまざまな制作会社も使えます。

Magento

magento

com/ja/home” target=”_blank” rel=”nofollow noopener”>https://magento.com/ja/home

Magentoは世界で最も使われているオープンソースのECシステムの一つです。日本語対応もしているため、日本国内の企業も導入する例が増えています。

導入の理由の1つは、他言語に対応していることです。土台となるシステムは英語で開発されていますが、世界的に広く使われているので、各国にローカライズされているのです。そのため、複数の国での展開を計画している場合、越境ECを行いたい場合には検討したいオープンソースです。
越境ECとは?現在と未来の市場規模、越境ECにオススメな方法 越境ECとは?現在と未来の市場規模、越境ECにオススメな方法

フルスクラッチ

オリジナルのECサイトを、1からすべて独自に構築する方法をフルスクラッチといいます。どのようにでも自由に作り込めるため、思い通りのECサイトを作れるのが一番のメリットです。ECサイトのブランディングを徹底したい場合や、扱う商品のコンセプトや世界観を反映させたデザイン性の高いECサイトを作りたい場合には最も適しています。

また、ASPやパッケージのECシステムでは提供されていない機能を使いたい場合にも、フルスクラッチでECサイトを構築する必要がある場合が多くなります。独自開発のAIを利用した商品レコメンド機能を持ったECサイトや、ARを活用して商品情報を見てもらう機能を搭載したECサイトなど、インパクトのある新しいECサイトも作れます。

デメリットは、システム開発のコストです。1から作るため技術力も時間も必要となります。最低でも500万円は必要と考えなければなりません。最新技術を利用したアプリ型のECシステムの開発費では、億単位となることもあります。なお、オリジナルのシステムを運用し続けるため、マネジメントのノウハウも必要となります。

プロジェクトが大きくなりますので、自社の構築したいECサイト像を明確にしてから着手しなければならない方法です。

クラウドEC

クラウドECとは、クラウドを利用してシステム構築する方法です。保守・メンテナンスは任せることができ、管理しやすいのが特徴です。一方で、自社のみの運用といったことができないデメリットがあります。

クラウドECを活用したものでいうと、以下のようなものがあります。

  • メルカート
  • aishipR
  • ebisumart

ここではメルカートを取り上げて解説します。

メルカート

メルカート

https://mercart.jp/

国内で有名なパッケージの一つ、ecbeingから生まれたのが「メルカート」です。ECサイトの運営に必要な機能や仕組み、ノウハウ、リソースがワンストップで利用できる点が大きな特徴といえます。ECサイトの構築だけではなく、マーケティング全般のサポートを希望する場合にはぴったりのサービスでしょう。

ECサイト維持費の内訳

ECサイト維持費の内訳
項目 料金(年額)
システム利用料 36,000円〜(Shopifyの場合)
サーバー費用 500〜10,000円
ドメイン費用 500〜6,000円
オプション利用料(カートシステム利用料) 36,000〜1,200,000円
決済代行会社契約料
決済手数料
初期費用50,000円・年額費60,000円程度
代金の3〜10%程度
広告・マーケティング費用 600,000〜3,600,000円
保守費用 数十万円〜数百万円
人件費(3人) 1,000万円程度

ECサイトは構築方法によって、運営を続けていく際の維持費も異なってきます。ここでは、ECサイトを運営するうえでの、主にフロントエンドに分類される部分の維持費をご紹介します。

システム利用料

ECサイトを運営するためにはECシステムが必要です。商品を探して、説明を見て、ショッピングカートに入れ、購入手続きを行う、これらの機能をユーザーに提供して、商品を販売し売上をあげるのがECシステムの役割です。そして、文字通りそのシステムを利用する際に必要となるのがシステム利用料で、ECシステム提供会社に支払います。

モールやASP・クラウドでは、ECシステムがインターネット上にあり、ECサイト運営者はそれを使わせてもらっている形です。そのため、常にシステム利用料が必要となることがほとんどです。

楽天やアマゾンといったモールでは、出店のための月額固定費と、売上に応じた手数料が必要です。月額固定費は、楽天はプランによって異なりますが月額19,500円から、Amazonは月額4,900円となっています。それに加えてシステム利用手数料が、楽天では2〜7%程度、Amazonでは8〜15%ほど加算されます。この月額固定費と手数料の合計が、システム利用料となります。

ASP・クラウドは、月額固定費・手数料ともにモールよりも大幅に安くなっています。Shopifyは最安プランで月額固定費は3,000円ほどから、BASEは無料プランも用意されています。パッケージやオープンソースでECサイトを構築した場合、システム利用料が必要となるかは、開発会社との契約次第となります。

ecbeingなどのパッケージ型ECシステムは、開発会社がシステムの改良をし続けているため、ECサイト構築後も継続したシステム利用料が必要となることが多いです。利用する機能にもよりますが、月額数万円から100,000円程度が相場です。

オープンソース型のECシステムは、構築されたECサイトが納品される形が多くなります。その場合、システムは自社のものとなるので、以降のシステム利用料は必要ありません。フルスクラッチも同様です。

サーバー費用

サーバー費用とは、インターネット上にECサイトをオープンして、ユーザーがアクセスできるようにしておくためのものです。ECサイトをインターネット上に置いておくための場所を確保する家賃のようなものと考えると分かりやすいでしょう。

モールやASP・クラウドでは、もともとECシステムがインターネット上に用意されているため、サーバー費用は必要ありません。それ以外の、パッケージ、オープンソース、フルスクラッチで構築したECサイトでは、維持費としてサーバー費用が必要です。

ただし、ECサイトの制作会社が、サーバーも用意するケースがほとんどです。制作会社に支払う保守・管理費にサーバー費用も含まれていることも多いでしょう。しかしながら、その場合でも、制作会社を通じてサーバー提供会社に費用を支払っていることになります。

ECサイト運営に必要なサーバーの費用は、その性能によって異なります。多くのユーザーがアクセスする人気のECサイトでは、高性能のサーバーを用意しなければ操作性が悪くなってしまいます。個人情報を入力・送信してもらうECサイトでは、セキュリティの高いサーバーを用意しなければ信頼してもらえません。

これらの事情によって使われるサーバーはさまざまですが、安いもので年間数千円、高くても年間10万円程度で収まることがほとんどです。

ドメイン費用

ドメインとは「○○○.com」などで表される、インターネット上での住所といえるものです。ECサイトでオリジナルのドメインを使う場合、ドメインを取得する必要があります。ドメイン管理会社を通じて取得し、その後も維持費を支払います。ドメインの取得にかかる費用は一般的に数百円から数千円ほど、ドメインの維持にかかる費用も同様に年間数百円から数千円ほどです。

パッケージ、オープンソース、フルスクラッチで構築したECサイトでは、システムを開発して、サーバーを用意し、ECサイトをオープンします。その過程でドメインも設定します。

ASP・クラウドのECシステムでも、その多くは独自ドメインを設定できます。ECサイトの管理画面で設定でき、追加費用が必要となることもありますが、その場合も年間数千円で済むことがほとんどです。

それらに対して、モールを利用して構築したECサイトの場合には、基本的に独自ドメインは使えません。モールの中に出店している形のため、ドメインも「rakuten.ne.jp/○○○」などとなり、○○○の部分だけが自社で決められます。オリジナリティが出しにくいともいえますが、その分ドメイン費用は必要ありません。

オプション利用料(カートシステム利用料)

オプション利用料とは、ECサイトの機能を追加するための料金です。お客様の利便性を向上させる目的や、運営の手間を減らす目的の追加機能があります。オプションを活用することで、お客様の満足度を上げて売上を伸ばしたり、業務フローを効率化して運営にかかる人件費を削減できたりします。

一般にモール、ASP・クラウド、パッケージのECシステムでは、基礎的な機能だけがシステム利用料に含まれています。もっと便利に使うためにはオプションを追加しますが、その際にコストがかかります。このECシステム提供会社に支払う追加費用が、オプション利用料です。

例えば、モールであれば、商品情報を一括で変更したり、多数の商品を一括で出品したりする機能があります。1商品ずつ入力するのは大変な手間がかかりますが、CSVファイルをアップロードするだけで済ますことができるようになります。月額1万円程度のオプション利用料が必要ですが、手間を減らせる分で削減できる人件費を考えれば、導入すべきか判断できます。

ECサイトでは、注文をネット上で処理するシステムとしてカートシステムが利用できます。「BASE」などは無料でカートシステムを利用できますが、半面、機能に制限があるのが難点です。月額で3,000円〜100,000万円の利用料がかかりますが、カートシステムを利用するほうがクオリティの高いECサイトになりやすいです。

このように、費用対効果を考えて自社のECサイトにあったものを導入していけるのがオプションです。オープンソースやフルスクラッチで構築したECサイトでは、運用のための機能は組み込んで開発されていたり、追加で開発したりすることとなります。そのため、オプション利用料という意味では不要です。ただし、開発時には費用が必要となります。

決済代行会社契約料・決済手数料

ECサイトでの決済方法はクレジットカードの利用がほとんどといえるでしょう。クレジットカード決済を導入するには、決済代行会社と契約するのが1つの方法です。まずは、その契約料がかかります。おおむね50,000円程度の初期費用と5,000円程度の月額費が発生します。

そのほか、消費者がクレジットカードで購入した代金の3〜10%程度の決済手数料が発生する場合がほとんどです。

広告・マーケティング費用

ECサイトは構築してオープンすれば自然とお客様がきてくれるものではありません。商品を知ってもらうためにオンライン広告を出稿したり、検索エンジンに上位表示されるようにSEO対策をしたり、集客のための施策が必要です。ここでかかる費用が、広告・マーケティング費用です。

モールを利用してECサイトを構築した場合には、ある程度は簡単にできるとも考えられます。モールにはすでにユーザーがたくさんいますし、モール全体がSEO対策をしているため、検索結果にも表示されやすいためです。

それ以外にも、モール内に表示される広告や、モールの会員へのメールマガジンなどで、さらに認知を広げることができます。数万円で始められるクリック課金型の広告から、セール時の目玉商品としての画面上部に表示するために100万円ほども必要な広告まで、多種多様です。

モール以外の自社ECサイトでは、広告やマーケティングはさらに重要となります。モールと違って、ベースとなるユーザーがいないところから始めなければならないためです。Googleやyahooといった検索サイトに連動した、リスティング広告やディスプレイ広告といったものが一般的です。

また、コンテンツマーケティングなどといったSEOを意識したマーケティング施策も広く使われています。どちらも予算は限りなく大きくできるものですが、月10万円程度から始める事例が多いでしょう。モール内での広告は、各モールに広告料を支払うこととなります。それに対してリスティング広告は、Googleやyahooなどの検索サービス会社に広告料を支払います。

また、広告の運用や、SEO対策を代行してくれるマーケティング会社もあります。マーケティング会社に運用を依頼する場合には、運用手数料やコンサルティング料が必要です。

保守費用

保守費用とは、ECシステムを保守・管理するための費用です。自社ですべての管理を行える場合には不要ですが、システム開発を外部委託した場合には必要です。一般的には、ECサイトを開発した会社に、そのまま保守も委託するのがほとんどです。

ECサイトは構築してオープンした後にも、保守・管理を行い続けなければなりません。運営しているうちに商品が増えたり、ユーザー数が増えたりした際に障害が発生するかもしれません。新しい機能を追加することもあります。

また、インターネット全体の技術進歩に合わせて、システムは常にアップデートしていかなければなりません。それを怠るとセキュリティが不十分になり、ハッキングや情報漏洩のリスクが高まることにもなります。

保守費用はECサイトの規模や機能の多さによって、月額数万円から数十万円の幅があります。ただし、モールやASP・クラウドを利用してECサイトを構築した場合には、保守費用は必要ありません。月額の出店料やシステム利用料に含まれていると考えることもできます。

人件費

最後に人件費です。自分ですべてを行えばゼロですが、ECサイトの運営を軌道に乗せるには、商品の撮影を行ったり、商品説明についてテキストを作成したり、それらの情報を商品ページに落とし込んだりすることが必要で、さらにSNSを活用してPRをしたり、SEOでサイト訪問者を増やしたりと、ある程度の作業は発生し、それを行う人件費がかかると思っておきましょう。

ここでは、3名のスタッフの人件費を算出します。1人月額300,000円の人件費がかかるとして、3人で月額900,000円です。年間では1,000万円程度となります。そこまでの資金は用意できない場合は、それぞれの作業を外部発注するのも1つの手です。良い発注先が見つかれば費用を抑えることができるかもしれません。

ECサイト以外の運営にかかる維持費

ECサイト以外の運営にかかる維持費

ECサイトの維持費は、いわゆるフロントエンドといわれる、インターネット上のECサイト自体にかかる費用だけではありません。その他に、バックエンドといわれる、ECサイトを運営するための、主にオフラインでかかる費用も必要です。

ECサイトが綺麗に作成されていても、バックエンドの運営が上手くいってないければ、実際にお客様に商品を届ける際に不手際が生じます。お客様に満足してもらうことができず、結果としてECサイトの売上や運営にも影響してしまいます。前述したフロントエンドの維持費とともに、以下の費用についても相場感を把握して予算化しておくことが必要です。

配送費用

配送費用は、文字通り商品の配送にかかる費用です。ECサイトを運営している会社が、自社で配送まで行なっているケースはほとんどありません。実際にお客様の元へ商品を届けてくれるのは配送業者です。代表的な会社には、日本郵政、ヤマト運輸、佐川急便などがあります。

配送費用は主に送る荷物の大きさと重さによって決まります。小さくて薄いものであれば、メール便や郵便を使うこともでき、1つ300〜400円で送れます。一般的な大きさの荷物、洋服やノートパソコン程度の大きさのものであれば、1つ800〜1,000円程度必要となります。

他に、ワインの6本セットや12本セットとなると、1,200円から1,500円くらいを見込んでおかなければなりません。さらに、クール便を使う必要のある商品では200〜300円が追加されます。

通信販売であるECサイト運営において、配送費用は無くすことはできません。また、大きくて単価の安い商品では、配送費用が利益を圧迫することにもなります。場合によっては送料を考えて商品の価格を決める必要もありますので、正確に見積もりをしておきましょう。

撮影・画像編集費用

ECサイトでは、お客様に画面を通じて商品を理解してもらい、買いたいと思ってもらわなければなりません。そのために、商品ごとに商品情報を説明するページを作ります。その過程で、商品を撮影して、ECサイトに適した形に加工する必要があります。

インターネット技術の進化、通信速度の高速化、スマホなどのデバイスの性能の向上によって、見せられる画像の容量や幅も大きくなっていますので、ますます重要になっている項目でもあります。

商品を魅力的に見せるための写真の撮り方というだけでなく、モニターで見ても形状や色などがイメージしやすい画像にしなければならず、技術が必要です。自社で人材を確保できなければ、外注することとなります。

商品ごとに最低でも数枚の撮影と画像加工が必要です。また、アパレルや雑貨などでは、使用シーンをイメージしやすいようにモデルや他のインテリアなどと一緒に撮影することも多くなります。これらを合わせると、外注の場合には1商品ごとに最低でも数千円から1万円程度は費用がかかります。

運営するECサイトで取り扱う商品数、追加していく商品数にもよりますが、ECサイトの規模が大きくなったら内製化を検討した方が費用を抑えられる場合が多いでしょう。

梱包資材費用

ECサイトの商品をそのまま送ることはできませんので、必ず梱包しなければなりません。その際に使う段ボール箱や封筒など、さらに商品が傷ついたり壊れたりしないように守るための緩衝材といったものが必要です。材質やサイズにもよりますが、段ボール箱は1つ50〜100円ほどを見込んでおきます。封筒でも十分な耐性のある素材のものは数十円となります。

また、布製品や本などの比較的衝撃に強い商品であれば、箱の中で隙間を埋めるのは紙の緩衝材でも構いませんが、食器などの壊物や電気機器などの故障の不安のあるものは空気の入った緩衝材も必要です。これらも配送費用と同様に、商品が売れるごとにかかる費用となります。変動費として利益を圧迫しますので、忘れずに予算化しておきましょう。

また、商品と同梱するものもあります。納品書や領収書、お礼のメッセージカード、ECサイトや他の商品の宣伝用チラシなどです。マーケティングや販促費用と考えることもできますし、それぞれの単価は低いものですが、継続して封入するためには費用を見積もって計上しておく必要があります。

人件費・コールセンター委託費

ECサイトを運営していくためには、思ったよりも多くの人手が必要です。配送には梱包するための人手が必要です。一般的な商品の場合、商品をピックアップして梱包し、発送できる状態にする作業は、1人で1時間に20個程度が限界です。自社のECサイトの注文数を予測して人員を確保し、効率よく運営しなければ費用が余計にかかってしまいます。

商品を保管しておく倉庫によっては、梱包と発送作業も行ってくれるサービスもありますが、その場合は外注費として1注文ごとに100円〜200円程度が必要となります。発送作業と同じように、自社で行うか外注するか検討すべきものに、コールセンターの運営費用があります。

コールセンターを自社で内製化するのは大きなコストがかかります。最低でも専任の担当者を1人置くための人件費、場所を確保するための家賃、通信機器の導入費と維持費で、月間30〜50万円程度は必要です。

ECサイトがそのコストを吸収できない規模の段階では、外注が有力な選択肢となります。コールセンター委託費は、電話を1件受けるごとに100〜200円ほどになります。ユーザーの人数、問い合わせの数、その対応の難しさなどを考えて、内製するか委託するかを決めることとなります。

ECサイトをオープンしたての段階であれば、コールセンターは置かずにメールのみで対応することも可能です。とはいえ、ECサイトの規模が大きくなったら導入した方がいいでしょう。また、商品の単価が高かったり、化粧品などのリピートを重視する分野では、コールセンターは必須ともいえます。

ECサイト構築方法別にみる維持費

ECサイト構築方法別にみる維持費

ECサイトを運営していくうえでの維持費や月額費用は、その構築方法によって変わってきます。ECサイトに追加する機能の種類や数によって、維持費が上がっていくような仕組みもあります。

モールの維持費・料金相場

モールの特徴は、ECサイトを構築しやすく、安価に素早くオープンできることです。一方で、販売手数料が一定割合かかります。

あまり予算をかけられない規模の小さな会社が、まず最初にECサイトをオープンするのに向いています。また、規模の大きな会社であっても、ECサイトを試しに運営してみたい場合や、あくまで補助的なチャネルとして位置づける場合には、モールへの出店が向いています。

モールでECサイトを運営する場合の維持費として大きいのは、出店料、販売手数料、販促費です。毎月必ず支払う固定費として出店料があります。モールや出店プランによりますが、0〜10万円程度です。

それに加えて、モールの維持費では変動費が大きくなります。多くの場合、販売手数料が売上額の5〜10%ほど必要です。また、お客様が買い物をした際に受け取る各モールのポイントも、多くは店舗の負担となります。最小で売上額の1%、イベント時などはさらに大きくなる場合もあります。

これら変動費を合計して仮に6%とすると、売上が月間1,000万円のECサイトならば60万円、売上1億円ならば600万円が維持費となります。売上が大きくなった場合には維持費も比例して大きくなるため、利益率が上がりにくいともいえます。

ASP・クラウドの維持費・料金相場

ASP・クラウドもモールと同じく、安価に素早くECサイトを構築できます。モールとの大きな違いは、ASP・クラウドでは売上額に応じた販売手数料が必要ない点です。そのため、売上が伸びると利益率も向上させることができます。ただし、モールを利用すれば最初からアプローチできるユーザーがいますが、ASP・クラウドではすべて自社で顧客を獲得しなければなりません。

これらの性格からASP・クラウドでのECサイト構築は、ある程度の規模で既存のユーザーがいて、ECサイトという新しい販売チャネルを追加したい会社に向いています。既存顧客がECサイトを利用して買いやすくなる、知名度があれば実店舗の商圏以外のお客様もECサイトへ呼び込める、というメリットが得られます。

または、モールよりもさらに安価にECサイトを構築、運営したいという規模の小さな会社や店舗にも向いています。ASP・クラウドの維持費の主なものは、システム利用料と機能追加費用です。

システム利用料はASP・クラウドを提供する会社やプランごとに異なりますが、無料〜10万円くらいが相場になっています。システム手数料が高くなるほど、ECサイトのデザインの自由度が上がったり、決済手数料が低くなったりしますので、自社の運営したいECサイトの形や売上予測から選択します。

機能追加費用は、ASP・クラウドが提供する基本機能以外を使う場合にかかるものです。商品管理や注文管理などのバックヤードの手間を軽減する機能や、ポイント発行やメールマガジン配信などの販促のための機能が代表例です。ECサイト以外の人件費を減らしたり、売上を伸ばしたりする効果が期待できますので、自社の事情にあわせて導入します。

パッケージの維持費・料金相場

パッケージは、元になるECシステムをカスタムしてECサイトを構築する方法です。ECサイト構築後は、ECシステム利用料が維持費として必要となります。ECサイトを構築するのにも数百万円の費用がかかります。また、ECサイトのオープン後も毎月システム利用料がかかります。

ただし、どちらもパッケージ提供会社の制作や保守管理が含まれている形となります。そのため、実店舗を展開していたり、商品やブランドの知名度が高く、ECサイト構築当初からある程度の規模を持つ会社に向いた構築方法です。また、パッケージ提供会社の手厚いサポートを受けられるので、IT関連の技術や人員を持たない会社には特に適しています。

パッケージで構築したECサイトの維持費として主なものは、固定費となるシステム利用料と保守・サポート費、変動費となるカスタム費用です。システム利用料と保守・サポート費は、ECサイトの規模や売上などによって異なります。

また、実店舗や在庫管理システムとの連携・統合をする場合には追加費用がかかります。これらをすべて含め、最低月間10万円程度からが相場になっています。毎月数億円の売上のあるECサイトになると、月間1,000万円ほどとなることもあります。

維持費の幅の広い方法ですが、ECサイトを構築する前に見積もりを取ることができます。どのようなECサイトにしたいのか、規模感や実店舗との連携、ビジネスとしてどのように展開していきたいかなどまで、パッケージ提供会社と打ち合わせたうえで決められます。

オープンソースの維持費・料金相場

オープンソースは、無料で使えるECシステムをカスタムして、自社ECサイトを構築します。そのため、ECサイト構築後は自社で運営する形となりますので、使用料などは不要です。

ただし、多くの場合は技術力のある開発会社にECサイトの制作と、オープン後の保守について委託することとなります。その保守費用がECサイトの維持費と考えられます。また、新たな機能を追加したい、ECサイトをさらにカスタマイズしたい場合には、追加費用が必要です。

ECサイト構築の際の自由度が高いので、自社の製品やブランドの認知度を活かして展開したい、ある程度の規模のある会社に適しています。もしくは、カスタムを抑えれば安価に運営することもできますので、スモールスタートしたい規模の小さな会社でも使えます。

オープンソースで構築したECサイトの維持費として主となるのは、固定費となる保守・管理費と、変動費となるカスタム費用です。保守費用とは、ECサイトを稼働させ続けるためのものです。各種OSのアップデートへの対応や、最新のセキュリティ対策の導入などが最低限の保守作業となり、月額10万円程度が相場です。

その他、ECサイト外部の在庫管理や売上管理のシステムと連携するなどの追加機能を導入すると、保守費用も上がっていきます。また、ECサイトを運営していく中で新たに機能が必要になれば、その都度カスタム費用がかかります。

クラウドECの維持費・料金相場

クラウドECとは、クラウドを利用してシステム構築する方法です。管理に手間がいらない半面、自社のみの運用はできません。また、利用するのに必要なコストが他に比べて高いのが最大のデメリットといえるでしょう。

クラウドECの維持費は、月額数十万円程度を想定しておくべきでしょう。仮に25万円とした場合、年額は300万円です。決して安い価格ではありません。ちなみに、初期費用は300万円〜500万円程度はかかります。ある程度、資金力のある企業が導入するシステムです。売上高の規模でいうと、年間数千万円の売上があるECサイトが採用しています。

フルスクラッチの維持費・料金相場

フルスクラッチは、ECサイトを1からオリジナルで設計・開発する方法です。そのため、オリジナリティの高いデザインのECサイトや、特殊な機能を持ったECサイトも構築できます。そのようなECサイトを構築するのに適した、あるいは構築する必要のある会社は限られます。

まず、既存の製品やブランドが確立されていて、かつオリジナリティの高いECサイトを構築することが、顧客満足度やブランディングを向上させる会社です。このような会社はすでに大きな売上規模を持っているでしょう。

または、個性的な商品やサービスを提供する会社です。近年増えてきた、DtoCで展開するベンチャー企業などが該当します。新しい手法やサービスを用いてECサイトを運営するためには、特殊なシステムが必要になります。スタートアップ段階で数億円を調達したベンチャー企業が、その半額程度をECサイトの構築と維持費に当てるといった例も見られます。

フルスクラッチでは、ECサイトを構築するのにも費用がかかりますが、ECサイトのオープン後の維持費も同様に大きくなります。技術力が必要なだけでなく、人員のリソースも他の方法に比べると多く必要になるためです。

また、保守・管理と開発を同時に継続して行うことも少なくありません。そのため、維持費としての保守管理費も、最低でも月額100万円前後を見込む必要があります。ECサイトの性格や規模によっては、毎月数千万円の予算となる場合もあります。

ここではECサイトがオープンした後の維持費を中心にご説明しましたが、ECサイトのオープンまでの費用も構築方法によって異なります。
ECサイトの費用相場を構築方法・年商別に解説!一覧表、企業事例つき ECサイトの費用相場を構築方法・年商別に解説!一覧表、企業事例つき

ECサイト運営の注意点

ECサイト運営の注意点

ECサイトを運営するのは大変ですが、起こりがちな問題は主に3種類です。

  • ECサイトでやりたいことができず、売上を伸ばすことができない。
  • コストが想像以上に膨れ上がってしまって、利益が出せない。
  • ECサイトやインターネット分野の目まぐるしい動きについていけず、アップデートできない。

これらの問題は、実際のECサイト運用のオペレーションが不適切だったり、商品やブランドの力が不足していることから発生するだけではありません。ECサイトを構築し、運営し、維持していくための情報や調査が足りていないことでも発生します。ノウハウがあれば防げることでもあります。

自社の商品や規模、運用担当者にあったシステムで構築する

まず、ECサイトでやりたいことができず、売上を伸ばすことができない、という問題です。本当は商品をこのように見てもらいたいのに、もっと認知をあげるための施策がしたいのに、一度購入してもらったユーザーに頻繁にアプローチしたいのに、などなど、やりたいことはたくさんあるのに、できていない担当者は少なくありません。

ECサイトの機能が足りない、運用担当者のマンパワーが足りないなどの原因があると、できないことが増えてしまいます。自社の商品や規模、運用担当者にあったシステムで構築することを意識しましょう。ECサイトには、モール型からフルスクラッチまで、多数の構築方法があります。そして、どの作り方を選んだかによって、その後の運営業務にも大きな差が出てきます。

運営するECサイトや運営体制にも、それぞれ特徴があります。「商品の種類が多く、入れ替わりも激しいため、常に商品管理業務に時間を取られる」「商品は固定されていて、リピート購入してもらうことで利益を出すため、顧客管理を重視しなければならない」など、そのビジネスモデルによっても、業務フローが変わってきます。

また、運営担当者の人数やECサイトにかけられる時間によっても、できることの範囲は変わってきます。これら、ECサイトや商品の特性にあった方法で、構築方法を選ばなければなりません。また、運用担当者のマンパワーが不足していれば、ECサイトの追加機能で補う必要もあります。十分に検討してECサイトの形を選びましょう。

必要な機能とランニングコストをよく考える

次に、コストが想像以上に膨らんでしまい利益が出せない、という問題です。

特に、売上は期待通り伸びているのに利益が出ないことが多くあります。販売価格から原価を引いた粗利にだけ目がいってしまって、その他の費用を見落としてしまうことが主な原因です。ECサイトの維持費には、他の分野のビジネスでは馴染みの薄いものもありますので、正確に把握することが必要です。

また、ECサイトを構築する際の初期費用が少なくすむという理由だけで、構築方法を決めて運営業務を開始してしまった場合にも陥りがちな状況です。運営を始めてから足りない機能がたくさんあることに気づくと、多くの追加オプションを使う必要が生じます。

するとランニングコストが膨らんで、基本の維持費は10万円だったはずなのに、結果的に数十万円になってしまう、といったこともあります。

ECサイトを構築する初期段階から、運営業務をある程度は明確にしておきましょう。その段階で必要な機能を組み込んでおけば、オプション追加費用を抑えられます。また、オプションを追加しなければならない機能は予算に含めておけば、後から売上や利益の目標が狂って焦ることはありません。

情報収集を怠らない

ECサイトやインターネット分野の目まぐるしい動きについていけず、ECサイトをアップデートできない、という問題も多くみられます。特に、ECサイト運営担当者の人数が少なかったり、他の業務担当も兼任していたりする場合に発生することの多い問題です。

EC業界は技術の進化やトレンドの変化などの流れが非常に速い分野です。常に最新情報を得られるように気をつけて収集していなければなりません。また、ASPなどを利用してECサイトを構築した場合には、そのECシステム自体のアップデートなども把握しておく必要があります。

ECサイト運営担当者は、日々の業務フローをこなすのも大切ですが、できる限り最新の情報に触れる時間を確保するべきです。

ECサイトの維持費まとめ

ECサイトの維持費まとめ

ECサイトは制作するのに費用がかかるだけではありません。運営していくには維持費が必要です。また、その維持費はECサイトの構築方法や運営方法によって、金額や内訳が大きく異なります。販売する商品の特性によっても、必要となる機能が違い、その維持費の合計はそれぞれのECサイトで差があります。

また、「見落としていた維持費がかさみ、売上が伸びても利益が出せない」という問題が大きくなるとECサイトの継続も脅かすかもしれません。ECサイトを運営する際には、構築の初期段階から、運営方法や維持費を適切に計画して予算化しなければなりません。また、オープン後も、業務フローや費やしている維持費が適切かを、常に見直して最適化していく必要があります。

とはいえ、各企業のECサイト運営担当者は、自社サイトの運営だけでも大変です。日々の業務が非常に忙しいため、手の回らないことも多いでしょう。

  • 自社のECサイトの維持費が適切なのか、見直したくても調べる時間がとれない。
  • 来期の予算申請をしなければいけないが、その時間が取れない。
  • ECサイトの立ち上げにあたってランニングコストを算出しなければならないが、必要な調査ができない。

このような問題や疑問があれば、各業界のECサイトはもちろん、企業のさまざまなウェブサイト構築支援、運用支援の実績が豊富なニュートラルワークスにご相談ください。無料相談も受け付けていますので、気になる方はぜひお気軽にお問合せください。

Download

Contact

QUERYY(クエリー)は、株式会社ニュートラルワークスが運営するデジタルマーケティング情報メディアです。

Webサイト制作に役立つ
提案依頼書のテンプレート

サイト制作時に
適切に要件を伝える提案依頼書