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最終更新日: 2024.02.16

越境ECとは?現在と未来の市場規模、越境ECにオススメな方法

越境ECとは?現在と未来の市場規模、越境ECにオススメな方法

アメリカと中国だけに絞っても日本からの越境ECでの販売額は2019年に2兆5000億円を突破しました。越境ECがなぜ、これからまだ伸びていくと予想されているのか、越境ECを始めるメリットと越境ECの始め方をご紹介します。

三木 五月

監修者

Twitter:@satsuki_miki
神奈川県の湘南でデジタルマーケティングの会社を経営しています。湘南をシリコンバレーのようにしたく、社員一丸で突っ走っています! 座右の銘は「好きこそものの上手なれ」。成熟した文化、自然豊かな湘南で一緒に働いてくれる仲間を絶賛募集中です。フルリモートOKです。詳しくは採用ページをご覧ください。

QUERYY(クエリー)編集部

執筆者

株式会社ニュートラルワークス

QUERYY(クエリー)編集部

QUERYY(クエリー)は、株式会社ニュートラルワークスが運営するデジタルマーケティング情報メディアです。

越境ECとは?

越境ECとは?

「越境EC」とは、国境を超えて海外にも販売できるオンラインショッピングサイトのことです。
越境は国を超えること。ECとは「Electronic Commerce(エレクトロニックコマース=電子商取引)」の略で、インターネット上のウェブサイトで物やサービスを売買できること全般を指し、越境ECは英語ではCross─Border Trade(CBT)やCross─Border Electronic Commerceと呼ばれています。

越境ECの市場規模(2015年、2019年比較)

国(消費国) 日本からの購入額(2015年) 日本からの購入額(2019年)
米国 5,381億円 9,034億円
中国 7,956 1兆6,558億円

上記経済産業省のデータによると、2015年から2019年の4年間で、日本から米国の購入額は約1.7倍、日本から中国の購入額は約2倍と大きく伸びています。インターネットやスマートフォンの更なる普及に伴い、世界の越境ECの市場規模は2019年から2027年にかけておよそ5倍になるという予測も出ています。

越境ECのメリット、世界的に越境ECが拡大している理由は?

越境ECのメリット、世界的に越境ECが拡大している理由は?

なぜ近年、越境ECの市場が拡大しているのでしょうか?海外からの商品購入者が増えている背景には、Amazonやアリババのような大企業によるECモールの安定化や、質の良い商品の低価格化、スマートフォンの普及によって、「安く質の良い商品を手軽にオンラインで購入できる」ことが容易になってきていることがあります。
このような購入者向けのメリット、事業者向けのメリットがありますので見ていきましょう。

世界的なスマートフォンの普及

インターネットとスマートフォンが普及したことで、世界中の情報を手元で確認できるようになりました。多くの国ではインターネットやアプリ、SNSで商品を探すことができ、手軽に海外の商品も購入できるようになってきています。

商品によっては「国内のECサイトや店舗で購入するよりも、海外から購入した方が安い」ということもあります。消費者としては、信頼できるストアから安く買えるのであれば、越境ECでの購入に繋がりやすいでしょう。

販売側からしても、Amazonのような大手ECモールから世界各国に販売できるようになったことで、越境ECのスタートコストが下がり、購入層の拡大も見込めるようになりました。

国外の商圏を販売ターゲットにできる

日本国内を見れば売上や商圏が限られている場合であっても、オンラインであれば全世界をターゲットに商品を展開することが可能です。

実際に海外への実店舗出店が難しい場合であっても、越境ECであればオンラインで特定の国や場所に向けてマーケティングを行うこともできるので、世界を視野に入れて商品を販売することができるようになりました。

低コストで海外に商品を販売できる

海外で現地の顧客向けに商品を販売するには、実店舗の家賃や人件費、商品の輸送代金など、初期投資だけでも大きなコストがかかります。さらに運営費や人的リソースも必要となると、売上の見込みやブランドの認知が無ければ、出店のハードルはとても高いでしょう。

越境ECであれば、スタート時のECサイト構築もしくはECモールへの出店、システム導入などに費用が掛かるとしても、実際に出店するよりもコストを抑えることが可能です。

インバウンドと越境ECの関係性

訪日観光客が日本の商品を大量購入する、「爆買い」という言葉を覚えていますか?越境ECはこのようなインバウンド需要とも関係があり、コロナ渦以前であっても、近年は中国人訪日客の国内での購入額以上に越境ECで日本から商品を購入する金額が上回るようになっていました。

越境ECから商品を購入する理由としては、「旅行中に購入した商品のリピート買い」と答える消費者も多く、日本旅行のお土産で商品を知って購入するパターン(旅アト効果)などもあります。買い物のために旅行することは難しくても、「日本の商品を簡単に購入できるなら買いたい!」というニーズもあります。

越境ECのデメリット、注意点

越境ECのデメリット、注意点

このように拡大しつつある越境ECサイトですが、実際に海外向けに事業を行うデメリットはあるのでしょうか?国内販売とは異なる注意点やデメリットをご紹介します。

配送料、手数料が国内よりも高額

越境ECから海外へ商品を販売する場合、国外へ発送するため配送の時間や料金が掛かります。輸送時の紛失や故障のリスクも高まりますし、商品によっては関税が掛かるものもあります。

国内ショップと価格競争してしまうと分が悪いため、商品価格以外もしっかりとリサーチして、商品やショップの魅力を高めるよう気を付けましょう。

各国でECに関する法律や輸入規制が違う

越境ECを行う場合には販売する各国の法律・輸入規制を確認することが大切です。たとえば、越境EC市場を牽引する中国では、2019年1月より施工されている「中国EC法」という法律が存在します。

不正な取引を防止するための法律ですが、中国のECプラットフォーム(後述する天猫など)に出店する事業者は、中国法人の設立や営業許可証の取得・明示などが必要となり、違反者には罰金があります。

商品に関しても、各国で輸入が規制されている商品などもありますので、必ず確認しましょう。

販売したい国の言語への翻訳コストが掛かる

越境ECで販売を行う上で、翻訳作業も必要となります。自動翻訳では細かい表現や顧客への対応が難しい場面が出てくるかもしれませんが、全て翻訳家に依頼すると確認時間や料金も掛かってしまいます。自社では翻訳が必要な業務をどう行っていくのか、予算や顧客に合わせて考えていく必要があります。

海外でのマーケティングに日本以上に準備と手間がかかる

越境EC事業を行う場合、日本国内でEC事業を行うよりも準備に時間が掛かります。出店の準備では、市場や競合を分析しつつ、各国の法律を守るために必要があれば許可申請などを行っていきます。

商品販売のマーケティングにおいても、ターゲットとなる国や売りたい商品に合わせて広告や運用するSNSの選定を行うなど、日本とは違った手法が有効となる可能性が高いでしょう。ターゲット層の理解を深めた上で、自社商品をどのように販売していくかを考えて実行していく必要があります。

また、株式会社オープンロジでは、『越境ECマーケティング戦略について解説』という記事にて、どのように越境ECに参入していくべきかを詳しく解説していますので、併せて参考にしてみてください。

越境ECサイトを始める方法は?

越境ECサイトを始める方法は?

越境ECを始める方法には自社でECストアを開設する独立型と、ECモールに出店する2種類がありますので、代表的な方法をご紹介していきます。

自社で越境ECサイトを開設する

独立して越境ECを開設する方法について、下記3種類をお伝えします。

  • 国内サーバーを使う
  • 海外サーバーを使う
  • ECプラットフォームを使う

1.自社ECサイト開設:国内サーバー

日本にサーバーを立てて海外向けに越境ECを開設する方法です。メリットはEC開設の難易度が低い点です。

デメリットは、単に言語の対応を行うだけでは集客が見込めないため、ターゲットに対して認知度が高くなければ、マーケティングやブランド構築、顧客対応に多くの労力が必要となります。例えば中国をターゲットにするのであれば、SEO対策はGoogleではなくBAIDU(百度)を重視するなど、各国向けの施策が必須です。

2.自社ECサイト開設:海外現地サーバー

ターゲットとなる国のサーバーを借りて、自社でECサイトを作成する方法です。メリットとしては、購入者からは現地の競合と見え方が変わらず、信頼感に繋がります。

デメリットとしては、言語やルールはその国に従わなければいけないこと、サーバーや決済などセキュリティ面にも気を付けなければいけないため参入するハードルが高くなることです。

3.自社ECサイト開設:ECプラットフォーム

自社でのECサイト開設には、近年世界中のECで採用されている「Shopify(ショッピファイ)」を利用する方法もおすすめです。Shopifyは世界シェアNo.1のECプラットフォームで、越境ECにおける言語、決済、発送という大きなハードルを超えるための機能が豊富にあり、SNSや広告との連携も可能です。

メリットはこのように多機能ながら、安全で低コストな構築・運用ができることが挙げられます。また、豊富に用意されたテーマを利用したデザインのカスタマイズも可能なため、ECモール型より自社の魅力を伝えるページを作りやすいでしょう。

デメリットとしては、集客方法については自分たちで考えていく必要があることです。ECサイトを構築しただけでは集客は難しいため、SEOやSNS・広告・メールマーケティングなどと連携し、戦略立てて運営していく必要があります。

しかし、自社で同様の機能を開発する場合、 Shopifyを利用するよりも多大なコストが掛かりますので、独自のECサイトを持ちたい場合にはShopifyでのストア開設がおすすめです。

越境ECに対応した国内ECモールに出店する

ECモール出店型で国内から海外へ販売する方法です。近年は国内のECモールも海外への販売が可能になりつつあります。「Amazon」「楽天」「ヤフオク」などの大手ECは、海外への販売も可能です。

いずれも大きな集客力があります。例えば、Amazonマーケットプレイス で手数料を払えば「FBA海外配送プログラム」で簡単に代理発送してくれるなど、独自のサービスがあります。

国内ECモールを使う方法では簡単に始めることができ、日本語で手厚いサービスが受けられるのでまずはこちらで販売を試す事業者は多いです。デメリットとしてその分手数料の割合が高くなってしまいます。

海外のECモールに出店する

ECモール出店型の、現地のモールから現地へ販売する方法です。日本も同様ですが、海外の消費者にも「使い慣れている自国のECから購入したい」というニーズは一定数あります。

海外ECに出店するメリットは、モール自体の集客力と回遊力の強さです。決まったモールで商品検索し、そのまま回遊するパターンは一般的です。また ECモールによっては日本の企業や商品を特集していることもあります。

デメリットは国内モールも同様ですが手数料が掛かることと、対応に外国語が必要となることです。

次の章では、海外の代表的なECモールをご紹介していきます。

アメリカ向けの越境ECにおすすめなECモール

アメリカ向けの越境ECにおすすめなECモール

アメリカ向けの越境ECにおすすめのECモールを2つご紹介していきます。

ebay

「ebay」はアメリカで人気の老舗ECサイトです。個人の出品も簡単ながら、190か国に出品可能という、世界最大級の越境ECサイトです。国内ではあまり馴染みないかもしれませんが、世界的には高い認知度があります。

何よりも商品の数が膨大にあり、決済方法もPayPalやクレジットカードを利用できる安全性があります。まずは個人で越境ECを試したいという場合にもおすすめです。

Amazon

アメリカで一番人気のECモールは「Amazon.com」です。アメリカのEC市場のうち、約半数を占めるシェアを誇ります。アメリカだけでなく、世界12ヶ国で利用されており、日本でのアカウント作成や出品方法とあまり変わらずに出品することができます。

2019年にはアマゾンの有料サービス「プライム」の会員数は1億5000万人を超えており、世界でも有料会員が増加し続けています。世界で最も有名なECサイトなので、集客力も強いです。

中国向けの越境ECにおすすめなECモール

中国向けの越境ECにおすすめなECモール

中国向けの越境ECにおすすめなECモールを2つご紹介いたします。

天猫(Tmall)

「天猫(Tmall)」とは中国のEC大手アリババグループが運営する、中国最大のECモール「タオバオ」内のECモールです。タオバオと呼ばれるサイトには、個人間取引(CtoC)が行える「淘宝網(タオバオワン)」と企業と個人の取引(BtoC)が行える「天猫(Tmall、以下天猫)」という、2つのモールがあります。

天猫は法人アカウントでしか出店ができず、営業許可証などのライセンス証明、手数料、固定費なども掛かるので開店するハードルは高いのですが、このような仕組みを作ったことで偽物を減らし、模倣品の多い中国でも消費者からの信頼を得てシェアNo.1のモールとなりました。

京東商城(JD.com)

中国ECサイトのシェア2位は、「京東商城(JD.com)」です。元々パソコンや家電等を販売するECサイトでしたが、成長した現在は多くの商品を取り扱っています。

天猫(Tmall)との大きな違いは、天猫(Tmall)は出店料や売上に対する費用をもらうテナント売上型の仕組みに対して、京東商城(JD.com)は直販型で仕入れた商品を販売するビジネスモデルとなっています。日本でいう楽天とAmazonのような違いですね。

2015年から「日本館」という日本の商品を専門にしたカテゴリーもあり、日本にもオペレーションの拠点である「購買センター」を置くなど、日本企業の中国進出に一役買っています。

まとめ

今後も世界的に売上が伸びていくと見込まれている越境EC。そして、個人や中小企業であっても世界をターゲットにする仕組みはどんどん整っています。

ほとんどの企業様は越境ECに対応したWebサイトを構築する時間と専門知識がありません。ニュートラルワークスは、トレンドを抑えたデザインで徹底的に「成果」にこだわった越境ECサイトを構築いたします。そのため、競合に対して大きな差をつけることができ、それが更なる顧客獲得・売上増加に繋がります。

Zoomなどのオンライン相談(無料)をやっておりますので、まずはこちらのお問い合わせページよりお気軽にご相談ください。ご連絡心よりお待ちしております。

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三木 五月

三木 五月

代表取締役社長

Twitter:@satsuki_miki
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