マーケティング

最終更新日: 2024.03.04

ROASとは?計算方法と改善の方法を解説

ROASとは?計算方法と改善の方法を解説

広告費の回収率を確認するためにROASは欠かせないものです。しかし、どのように使いこなせばよいのか、わからない方も多いのではないでしょうか。

ROASで広告費の回収率を確認しなければ、どの広告に効果があるのか把握ができません。余計な広告費を払わないためにも、ROASについて理解しましょう。

この記事では、ROASの概要と計算方法、ROIやCPAとの違い、現場で活用する知識をまとめました。ROASについて知るだけではなく、ROASをマーケティングの現場で使いこなせるようにしています。

まずはROASとは、何なのか確認しましょう。

石田 哲也

監修者

Twitter:@te2319
株式会社ニュートラルワークス 取締役CMO。1984年生まれ。高校卒業後にISD株式会社を起業。その後、株式会社オプトでWebマーケティングを学び、株式会社メタップスなど複数のベンチャー企業にて事業立ち上げを経験。前職はワンダープラネット株式会社でゲームプロデューサーとしてスマホゲームアプリの制作に従事。2018年に地元の神奈川へ戻り、ニュートラルワークスに入社。SEO/Web広告運用/サイト分析・改善など、Webサイトの運用改善~ゲームアプリ制作や数十万フォロワーのSNSアカウントの運用経験などWebビジネス全般を守備範囲とする。

■経歴
2003年 ISD株式会社/起業
2009年 株式会社オプト/SEMコンサルタント
2011年 株式会社メタップス/シニアディレクター
2013年 ライブエイド株式会社/執行役
2016年 ワンダープラネット株式会社/プロデューサー・BizDev
2018年 株式会社ニュートラルワークス/取締役CMO

■得意領域
Webサイト改善
SEO対策
コンテンツマーケティング
リスティング広告

■保有資格
Google アナリティクス認定資格(GAIQ)
Google 広告検索認定資格
Google 広告ディスプレイ認定資格
Google 広告モバイル認定資格

QUERYY(クエリー)編集部

執筆者

株式会社ニュートラルワークス

QUERYY(クエリー)編集部

QUERYY(クエリー)は、株式会社ニュートラルワークスが運営するデジタルマーケティング情報メディアです。

ROASとは

ROASとは

ROAS(Return On Advertising Spend)とは、広告費に対する売上高の割合を示す指標です。広告の効果を計測するために利用されます。ROASが高いほど、広告が効果的であると判断できます。

しかし、ROASだけでは広告運用の全てを評価することはできません。そのため、後述するROIやCPAなどの指標と合わせて分析することが重要になります。

ROASの重要性

ROASを分析することで、広告費を効果的に投資できる媒体やターゲットユーザーが特定できます。そのため広告運用の最適化にROASは欠かせません。

具体的には、広告費1円あたりの売上を知ることで、広告出稿している媒体やターゲットユーザー選定の良し悪しを判断します。

広告運用の最適化には、他にも重要な指標はありますが、ROASも欠かせない指標です。

ROASの計算方法

ROASの計算方法は以下の通りです。

ROAS = 広告経由の売上高 / 広告費 × 100(%)

この式によって、ROASを算出することができます。特定の期間で得られた広告経由の売上高を、その期間に使用した広告費で割ります。

例えば、売上高3,000万円に対して、1,000万円の広告費を投じた場合のROASは300%です。

ROASの目安

ROASの目安は、確保したい営業利益で決めましょう。単純に広告経由の売上を広告費で割り、100%を越えていれば広告費の回収は行えます。しかし、当然ながら原価もかかるため赤字になります。

赤字にならないために下限ROASを決めましょう。下限ROASは、売上高を粗利額で割って算出します。例えば、3,000円売り上げて粗利が1,500円だった場合、下限ROASは200%となります。

このように広告経由の売上と広告費だけではなく、確保したい利益をもとに目標ROASを設定しましょう。

ROASとROIやCPAとの違い

ROASとROIやCPAとの違い

ROASと一緒に使われる指標にROIやCPAがあります。ROASは売上、ROIが利益、CPAはコンバージョンを測るための広告指標です。

ROASとの違いや、ROIとCPAとどのように使い分けるのか解説します。

ROASとROIの違い

ROI(Return on Investment)は、投資対効果を測るための指標です。広告費という投資に対して、回収した利益率が求められます。計算式は、ROI=利益額÷広告費×100(%)です。例えば利益額100万円に対して、50万円の広告費をかけたとすると、ROIは200%となるため利益を生み出していることがわかります。

ROASは、売上を基準としているのに対して、ROIは利益額を基準にしています。ROASが高くても利益が伴わなければ意味がありません。ROIは、現時点の利益率を算出する指標です。そのため、広告運用をする場合は、ROASとROIの両方の数値を高める必要があります。

ROASとCPAの違い

CPA(Cost per Acquisition)は、顧客獲得あたりの費用を示す指標です。CPAは、広告キャンペーンやマーケティング活動の効果を評価するために広く使用されています。計算式は、CPA=広告費用÷新規顧客獲得数です。例えば、広告費を50万円かけて、新規顧客の獲得数が10だと、CPAは5万円となります。

ROASは広告費用に対する売上高を重視して、広告のキャンペーンがどれだけ収益性が高いか評価する指標に対して、CPAは顧客獲得あたりのコストを重視して、広告運用がどれだけ効率的に新規獲得できるかを評価する指標です。そのため、広告運用の場合は、どちらの指標も管理する必要があります。
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ROAS・ROI・CPAを使い分ける方法

ROASとROI、CPAを使い分ける方法は、以下の通りです。

ROAS 広告による収益を重視する場合
ROI 全体的な広告効果を重視する場合
CPA 新規顧客獲得を重要視する場合

具体的には、CPAではターゲット層やクリエイティブの見直し、ROASでは広告費用の配分を見直せます

このようにマーケティング活動全般を通して、それぞれの指標の使いどころが変わります。それぞれの特性を理解して使いこなしましょう。

ROASのメリット・デメリット

ROASのメリット・デメリット

ROASのメリットとデメリットは以下の通りです。

ROASのメリット

  • 収益性の評価ができる
  • 広告予算の最適化
  • キャンペーンの比較が行える

ROASのデメリット

  • LTVの影響を考慮していない
  • CPAを無視している
  • 顧客の質を無視している

それぞれ解説します。

ROASのメリット

ROASのメリットは、広告の収益性を評価できるため、広告予算の最適化やキャンペーンの比較が行えることです。

広告予算の最適化は、広告費と収益の関係を明確化して、予算配分を最適化することを指します。

キャンペーンの比較は、複数の広告キャンペーンや広告媒体の間でROASを比較することで、より効果的なものを選べます。

ROASのデメリット

ROASのデメリットは、LTVやCPA、顧客の質を無視していることです。したがって、単独での使用ではなく、他の指標との組み合わせが必要です。

ROASは短期的な収益に焦点を当てた指標ですが、マーケティング活動を最適化するためにはLTVやCPA、顧客のエンゲージメントなどの指標も考慮する必要があります。

例えば、ROASだけに注目して200%に向上させたとしても、さらにCPAを削減したりLTVを最大化したりする機会を逃す可能性があります。

そのため、ROASを他の指標と組み合わせて使用することをおすすめします。これにより、より総合的なマーケティング戦略を立てることができます。

ROASの改善方法

ROASの改善方法

ROASの改善方法は以下の通りです。

  • CVR(コンバージョン率)を向上させる
  • ターゲットを最適化する
  • 広告媒体を変える​​
  • CPA(顧客獲得単価)を抑える
  • 購入単価をアップさせる

これらはもちろん、ROASの改善だけに限った方法ではありませんが、ROASの改善に焦点を当てながら、広告戦略全体を見直しましょう。

CVRを向上させる

CVRとはコンバージョン率です。ランディングページの最適化を行うことでCVRを向上させましょう。CVRが高まれば、CPAが下がります。そうなると、広告の費用対効果を高められるため、ROASの改善に繋がります

CVRの改善は、ヒートマップツールなどを利用して仮説と検証を繰り返しながら行いましょう。
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ターゲットを最適化する

ROASの数値がよくない場合、ターゲット設定を間違えている可能性が高いです。本来であれば顕在層のユーザーにリーチすべきところを、潜在層のユーザーにリーチしてしまうことなどがあります。

広告を潜在層に向けて展開しても、獲得につながりにくい場合があります。その結果、ROASの数値が悪化する可能性があります。したがって、広告ターゲットが適切に最適化されているかどうかを確認する必要があります。

広告媒体を変える

効果的な広告媒体を選定できていないと、ROASの数値が低下する可能性があります。そのため、ROASを改善したい場合は、別の広告媒体を検討する必要があります。

例えば、Googleのリスティング広告を実施している場合でも、FacebookやYouTubeなどの広告を試してみることは有効な手段です。複数の広告媒体を組み合わせて利用することで、より広範なターゲット層にアプローチすることができます。その結果、ROASの改善が期待できるでしょう。

獲得単価を抑える

新規獲得単価(CPA)を抑えましょう。CPAを抑えることができれば、ROASの数値は改善されます。

CPAを下げる方法は、前述したターゲットや広告媒体の最適化を行いながら、CVRを高めることです。

購入単価をアップさせる

購入単価をアップさせることもROASを改善させる方法の一つです。購入単価をアップさせるためには、クロスセルやアップセルを行う仕組みを用意しましょう

例えばAmazonでは商品を購入したときに表示される「よく一緒に購入されている」などのクロスセルを実施しています。

クロスセルやアップセルを行い購入単価をアップさせましょう。
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PDCAを繰り返す

ROASを改善するには、前述した施策を単発で行っても効果は継続しません。PDCAを繰り返してROASを改善しましょう。

まずは、既存のランディングページなどのCVRを改善します。その後に、ターゲットや広告媒体の見直しを行っていくことで少しずつ広告の効率を高められます。

ROASの注意点とは?

ROASの注意点とは?

ROASを扱う時の注意点は以下の通りです。

  • ROASだけに頼らないこと
  • リピーターを考慮すること
  • 定期的に売上額を更新すること

それぞれの項目について詳しく説明します。

ROASだけに頼らないこと

ROASの数値だけに頼ると、広告費に対して得られた売上しか把握できません。

広告の費用対効果だけを求める状況はまれですが、新規獲得単価であるCPAや投資対効果を計測するROIも同時に計測することが重要です。ROASが300%であっても、CPAやROIが悪い場合も考えられます。

ROASを活用する際には、他の指標も総合的に考慮しながら進めていくことが大切です。

リピーターを考慮すること

ROASだけを見ていても、売上が新規顧客から生まれたのか、既存顧客(リピーター)から生まれたのかがわからないという問題があります。

もし広告経由でリピーターの売上が生まれている場合、それは広告の効率が低いことを意味します。なぜなら、広告を経由せずに売上を生み出す方法が他にも存在するからです。

売上の内訳において、リピーターがどの程度含まれているかを確認しましょう。

定期的に売上額を更新すること

ROASは現時点での売上額に対して計算される指標のため、ROASの計算に使用する売上額を定期的に更新する必要があります。

最新の売上額を反映させないままROASを参考にすると、実際の状況を正確に把握することができなくなってしまいます。

ROASを活用する際には、定期的に売上額を最新の情報に更新して利用するようにしましょう。

ROAS改善に役立つツール

ROAS改善に役立つツール

ROAS改善に役立つツールは以下の3つです。

  • アクセス解析ツール
  • A/Bテストツール
  • CRMツールやMAツール

それぞれについて紹介します。

アクセス解析ツール

アクセス解析ツールを活用することで、効果的な改善策を見つけることができます。GA4などのツールを使用することで、ユーザーの行動やコンバージョンに関する情報を把握し、ROASの改善に役立てることができます。

また、より具体的なデータに基づいたマーケティング戦略の立案や改善も可能です。

A/Bテストツール

A/Bテストツールは、広告やランディングページの改善に活用することで、CVRの向上に役立てられます。CVRが向上すれば、CPAやROASも改善されるでしょう。

おすすめのA/Bテストツールとしては、OptimizelyやGoogle Optimizeがあります。これらのツールを使用して広告やランディングページの改善を行い、ROASの改善に取り組みましょう。

CRMやMAツール

CRMやMAツールは、顧客情報や購入履歴を分析して、ターゲティングの最適化に役立つため、ROAS改善に期待できます。

CRMやMAツールは、数多くの種類がありますが、代表的なものとしてhubspotが挙げられます。

これらのツールを導入することで、顧客情報の一元管理が可能となります。まだ導入していない企業は、検討する価値があります。
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ROASの結果次第では広告以外の選択肢も考える

ROASの結果次第では広告以外の選択肢も考える

ROASがなかなか改善されない場合は、広告以外の選択肢も考慮すべきです。具体的には、SEOやSNSへの注力が必要です。

以下にそれぞれの理由を解説します。

SEO

SEOを活用することにより、自然検索からの流入を増やし、広告費を削減することが可能です。これにより、ROASの改善が期待できます。

ただし、オウンドメディアを運用して記事ページの検索順位を上げるだけでは、コンバージョンが難しい場合があります。そのため、オウンドメディアで記事ページを上位表示させながら、サービスページなどでも上位表示を目指すことがおすすめです。

デジタルマーケティングにおいて広告の最適化が進んだら、SEOを有効活用して戦略を補完しましょう。
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SNS

SNSの口コミや拡散機能を活用して流入を増やすことで、広告費を削減できます。これにより、ROASの改善につながります。

SNSマーケティングでは、ユーザーが制作したコンテンツ(UCG)が特に重要です。商品やサービスを利用したリアルな声を生み出すことが必要です。これにより、信頼性の高い口コミや共感を呼ぶコンテンツが生まれ、効果的なマーケティングが可能となります。

優先順位としては、広告、SEO、SNSの順で対策を進めていくのがよいでしょう。
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ROASがすべてではない

ROASがすべてではない

ROASは広告効果を評価する重要な指標です。しかし、それだけに頼らず他の指標も併用しながら、総合的な評価を行うことが重要です。

また、広告以外の選択肢も検討し、総合的なマーケティング戦略を立てることで、より効果的な結果が得られるでしょう。

広告運用においてROASは重要な指標ですが、全てではないため、他のKPIと併せて効果的な運用を行ってみてください。

監修者紹介

石田 哲也

石田 哲也

取締役CMO

Twitter:@te2319
株式会社ニュートラルワークス 取締役CMO。1984年生まれ。高校卒業後にISD株式会社を起業。その後、株式会社オプトでWebマーケティングを学び、株式会社メタップスなど複数のベンチャー企業にて事業立ち上げを経験。前職はワンダープラネット株式会社でゲームプロデューサーとしてスマホゲームアプリの制作に従事。2018年に地元の神奈川へ戻り、ニュートラルワークスに入社。SEO/Web広告運用/サイト分析・改善など、Webサイトの運用改善~ゲームアプリ制作や数十万フォロワーのSNSアカウントの運用経験などWebビジネス全般を守備範囲とする。

■経歴
2003年 ISD株式会社/起業
2009年 株式会社オプト/SEMコンサルタント
2011年 株式会社メタップス/シニアディレクター
2013年 ライブエイド株式会社/執行役
2016年 ワンダープラネット株式会社/プロデューサー・BizDev
2018年 株式会社ニュートラルワークス/取締役CMO

■得意領域
Webサイト改善
SEO対策
コンテンツマーケティング
リスティング広告

■保有資格
Google アナリティクス認定資格(GAIQ)
Google 広告検索認定資格
Google 広告ディスプレイ認定資格
Google 広告モバイル認定資格