マーケティング

最終更新日: 2024.04.01

HubSpotとは?特徴や機能、効果的な使い方を解説

HubSpotとは?特徴や機能、効果的な使い方を解説

「HubSpot(ハブスポット)」は、世界約120ヵ国で使用されている総合型ビジネスプラットフォームです。HubSpotを活用すると、マーケティングや営業活動、カスタマーサービスなどの効率化を図ることができます。

一方で、HubSpotは国内ではまだ知名度が高くないので、機能の詳細や使い方などが分かりづらいかもしれません。機能性が高いプラットフォームということもあり、導入のハードルが高く感じてしまうこともあるでしょう。

本記事では、HubSpotの特徴や機能だけでなく、具体的にできることや使い方についても詳しく解説します。この記事を読めば、HubSpotの特徴や機能が分かり、自社に合った効果的な使い方ができるようになります。

石田 哲也

監修者

Twitter:@te2319
株式会社ニュートラルワークス 取締役CMO。1984年生まれ。高校卒業後にISD株式会社を起業。その後、株式会社オプトでWebマーケティングを学び、株式会社メタップスなど複数のベンチャー企業にて事業立ち上げを経験。前職はワンダープラネット株式会社でゲームプロデューサーとしてスマホゲームアプリの制作に従事。2018年に地元の神奈川へ戻り、ニュートラルワークスに入社。SEO/Web広告運用/サイト分析・改善など、Webサイトの運用改善~ゲームアプリ制作や数十万フォロワーのSNSアカウントの運用経験などWebビジネス全般を守備範囲とする。

■経歴
2003年 ISD株式会社/起業
2009年 株式会社オプト/SEMコンサルタント
2011年 株式会社メタップス/シニアディレクター
2013年 ライブエイド株式会社/執行役
2016年 ワンダープラネット株式会社/プロデューサー・BizDev
2018年 株式会社ニュートラルワークス/取締役CMO

■得意領域
Webサイト改善
SEO対策
コンテンツマーケティング
リスティング広告

■保有資格
Google アナリティクス認定資格(GAIQ)
Google 広告検索認定資格
Google 広告ディスプレイ認定資格
Google 広告モバイル認定資格

QUERYY(クエリー)編集部

執筆者

株式会社ニュートラルワークス

QUERYY(クエリー)編集部

QUERYY(クエリー)は、株式会社ニュートラルワークスが運営するデジタルマーケティング情報メディアです。

HubSpotは統合型CRMプラットフォーム

HubSpotは統合型CRMプラットフォーム

「HubSpot」とは、2005年にアメリカで登場した統合型CRM(顧客関係管理)プラットフォームです。マーケティングやリード獲得、SEO対策やカスタマーサービスの効率化など、HubSpotにはさまざまな機能が備わっています。HubSpotは全世界120ヵ国以上で12万社を超える企業が導入しており、国内でも新たに導入する企業が増えています。

HubSpotの根底にあるのが、「インバウンドマーケティング」の概念です。インバウンドマーケティングとは、インターネット上のWebサイトやブログ、SNSなどで消費者の認知度を高めるためのマーケティング手法です。インバウンドマーケティングは、現在の情報社会に最適な手法ですが、成功させるためには多くの施策を実行する必要があります。

HubSpotの大きな魅力が、インバウンドマーケティングに必要なツールがすべて揃った、「ワンストップ」のソフトウェアだということです。複数のツールを同時使用していると、ツールの使用方法の学習やデータ統合が困難なことがあります。HubSpotは必要な機能が揃った「Hub(ハブ)」なので、インバウンドマーケティングを効率的に行えます。

HubSpotとSalesForceの違い

HubSpotと同じく有名なビジネスプラットフォームに、「SalesForce」というソフトウェアがあります。SalesForceも近年注目を集めていますが、HubSpotとは明確な違いがあります。それは、SalesForceの専門性が高く、導入のハードルがより高いという点です。

HubSpotには、インバウンドマーケティングの必須ツールが網羅されているため、HubSpotを導入するとワンストップでビジネスの効率化を図れます。一方で、SalesForceはSFAやMAなどの分野では別のツールとの連携が前提で、その分のコストや手間が必要です。

また、SalesForceは学習コストも高く、運用やメンテナンスに専任の担当者が必要になることも少なくありません。HubSpotは専門知識がなくても使いやすいように設計されており、無料で利用できる機能も多いため、中小企業でも導入しやすいことが特徴です。

HubSpotの主な機能やできること・料金

HubSpotの主な機能やできること・料金

HubSpotの主な機能やできることは下記のとおりです。多くの機能が無料で利用できます。

  • MA機能:Marketing Hub
  • SFA機能:Sales Hub
  • カスタマーサービス機能:Service Hub
  • CMS機能:CMS Hub

HubSpotで使える上記4つの機能の詳細や、各ツールの利用料金などについて解説します。

MA機能:Marketing Hub

「Marketing Hub」は、リード(見込み客)の獲得から育成まで、企業のマーケティング活動を幅広くサポートしてくれるツールです。Marketing Hubを利用すると、顧客一人ひとりに最適なマーケティンが行えるようになるため、ビジネスの効率化を図れます。

特に重要な機能が、「MA(マーケティングオートメーション)」です。顧客の属性や傾向を分析して、顧客のニーズに合った効果的なマーケティング施策を構築できます。Marketing Hubには4つの料金プランがあり、それぞれの月額料金は下記のとおりです。

料金プラン 月額料金(税込)
無料版 完全無料
Starter 5,400円~
Professional 96,000円~
Enterprise 384,000円~

インバウンドマーケティングの効果を最大化したい場合は、Professional以上の料金プランがおすすめです。Professionalプランであれば、MA機能やA/Bテスト、SalesForceとのデータ連携など便利な機能を活用できます。無料版で利用できる主な機能は下記のとおりです。

  • Eメールマーケティング
  • 入力フォームの作成
  • ランディングページの作成
  • Webチャットによるサポート環境の構築
  • Facebook、Instagram、Google、LinkedInの広告管理
  • 顧客のコンタクト管理
  • トラフィックとCV(コンバージョン)の分析

参考:マーケティングソフトウェアの価格表 |Sales Hub

Professionalプランと比べると、無料版で使える機能は限定されています。しかし、入力フォームやランディングページ作成など、CV獲得に必要な機能は利用できます。初めてビジネスプラットフォームを導入する場合は、無料版でも大きな効果を期待できるでしょう。

インバウンドマーケティングではリードの獲得と育成が重要なので、Marketing HubはHubSpotで特に注目すべき機能です。上記の点を踏まえて、Marketing Hubを活用すると具体的にどのような効果を得られるのか、下記4つの観点から詳しく見ていきましょう。

  • 認知度の向上
  • リード育成
  • CV獲得数の拡大
  • 顧客満足度の向上

認知度の向上

Marketing Hubを導入すると、顧客を惹きつけるコンテンツを制作できるようになります。潜在顧客に自社サービスの魅力をアピールして、質の高いリードを獲得しやすくなるでしょう。Marketing Hubには、認知度の向上のために下記6つの機能が搭載されています。

  • ランディングページの作成と管理
  • A/Bテストによる最適化
  • SEO対策のサポート
  • ブログ作成とパフォーマンス分析
  • ソーシャルメディアの投稿と効果測定
  • HubSpotCOCを使用したWebサイト作成機能

リード育成

Marketing Hubでは、CV獲得率を高めるために欠かせないリード育成も可能です。自社サイトの訪問者に最適なメッセージやオファーを提供して、確度の高いリードを育成できます。Marketing Hubの主要機能で、リード育成に効果的なものは下記4つです。

  • リード顧客のリスト作成と管理
  • カスタマイズ可能なCTAとCV測定
  • Webサイトやコンテンツなどの分析
  • リードスコアリングによる効率的なリード育成

CV獲得数の拡大

Marketing Hubを活用すると、獲得したリードをCVへ効果的に導くことができます。業務の効率化でCV獲得数を高めることはもちろん、適切なフォローでリードの流出を防ぎます。CV獲得数の拡大のために効果的な、Marketing Hubの主要機能は下記3つです。

  • MAツール
  • SalesForceとの連携
  • Webチャットやチャットボットの構築

顧客満足度の向上

Marketing Hubの導入により、顧客満足度も向上させやすくなります。インバウンドマーケティングでは、既存顧客への丁寧なフォローアップも欠かせません。Marketing Hubの下記3つの機能により、顧客に提供するコンテンツの最適化やアップセルが可能となります。

  • MAツール
  • ソーシャルメディア管理
  • Eメールのデザインやパーソナライズ、自動送信

SFA機能:Sales Hub

「Sales Hub」は、企業の営業力を強化するための、セールス部門向けのプラットフォームです。営業活動のための施策を自動化し、リードを効率的にCVへ誘導できるSFA機能を備えています。Sales Hubの大きな特徴が、Eメールのパフォーマンス測定の機能です。

営業のために顧客へ送信したEメールで、どれくらいのマーケティング成果を得られているか確認できます。リードが添付ファイルを開いた時間も追跡できるため、営業戦略の立案に役立ちます。Sales Hubの4つの料金プランと、それぞれの月額料金は下記のとおりです。

料金プラン 月額料金(税込)
無料版 完全無料
Starter 5,400円~
Professional 54,000円~
Enterprise 144,000円~

Eメールのパフォーマンス測定の基本的な機能は、無料プランでも利用できます。ただし、Eメールの健全性レポートやEメールの自動送信シーケンスなどは、Professional以上の料金プラン専用の機能となっています。無料版で利用できる主な機能は、下記のとおりです。

  • 顧客のコンタクト情報管理
  • Eメールのスケジュール設定
  • 取引のパイプラインの構築
  • 顧客とのミーティング設定
  • Webチャット環境の構築

参考:セールスソフトウェアの価格表 |Sales Hub

無料版の機能は限定されていますが、より専門的な営業施策の実行が必要な場合は、Professional以上のプランがおすすめです。ただし、無料版でもSFAの基本的な機能は搭載されているため、SFA関連ツールを初めて導入する場合は大きな成果を得られるでしょう。

カスタマーサービス機能:Service Hub

「Service Hub」は、企業のカスタマーサービスを効率化するためのツールです。顧客満足度を高めるためには、円滑なカスタマーサービスで顧客のニーズに応える必要があります。Service Hubには、顧客から信頼されるサポート体制を整えるための機能が揃っています。

例えば、EメールやWebチャットなどのメッセージを、共有の受信トレイで管理できる機能です。CRMデータと関連付けてやり取りを確認できるため、顧客対応の効率化を図れます。Service Hubの4つの料金プランと、それぞれの月額料金は下記のとおりです。

料金プラン 月額料金(税込)
無料版 完全無料
Starter 5,400円~
Professional 43,200円~
Enterprise 144,000円~

Professionalプランには、ヘルプデスクオートメーションの機能があります。フォームやライブチャットでの問い合わせ時に、送信情報を基に最適な担当者への割り当てが行われるため効率的です。無料版のService Hubでも、下記のようにさまざまな機能を利用できます。

  • コンタクト管理
  • チケット管理
  • Webチャット環境の構築
  • チームの共有アドレスの作成
  • クローズされたチケットに関するレポート
  • レポート作成ダッシュボード
  • 共有の受信トレイ

参考:サービスソフトウェアの価格表 |Sales Hub

上位プランと比べると限定的ではありますが、コンタクトやチャットを一元管理できる機能など、カスタマーサービス向上に必要な機能は備わっています。カスタマーサービスは多くの人員や付帯業務を必要としますが、Service Hubの導入で効率化を図れるでしょう。

CMS機能:CMS Hub

「CMS Hub」は、自社のWebサイトやオウンドメディアの運用を効率化するための、CMS(コンテンツマネジメントシステム)機能です。

CMS Hubは直感的な操作が可能で、SEO対策やコンテンツ制作、コンテンツの多言語化などさまざまな機能を利用できます。CMS Hubには3つの料金プランがあり、それぞれの月額料金は下記のとおりです。

料金プラン 月額料金(税込)
Starter 27,000円~
Professional 43,200円~
Enterprise 144,000円~

CMS Hubは専門性が高いツールということもあり、無料プランの提供はありません。導入のハードルは他のツールより高めですが、Webサイトを活用したインバウンドマーケティングに最適な機能が搭載されています。Starterプランで利用できる機能は下記のとおりです。

  • ドラッグ&ドロップで操作できるレスポンシブエディター
  • Webサイトテーマ
  • ローカル開発
  • 多言語コンテンツの制作
  • 標準のSSL証明書
  • 無休体制のセキュリティ監視と脅威検出
  • CRMデータベース

参考:CMSの価格表 |Sales Hub

Professionalプランでは、SEO対策やA/Bテストツールのような、オウンドメディアの成果向上に役立つ機能も利用できます。Webサイトを上位表示させるためのポイントや、導入すべき施策を提示してくれるため、リード獲得やCVへの誘導を行いやすくなるでしょう。オウンドメディアの成果を最大化したい場合は、Professionalプランの導入がおすすめです。

HubSpotの5つのメリット

HubSpotの5つのメリット

HubSpotは、さまざまなツールや機能が無料版でも使えることが大きな魅力です。有料機能も非常に豊富なため、自社のビジネス形態や用途に合わせたプラン選択や運用が重要です。本章では、HubSpotを導入すると得られるメリットについて、下記5つの観点から詳しく解説します。

  • マーケティングの収益増加が見込める
  • ツール管理の一元化で業務を効率化できる
  • UIが他社のツールより直感的で分かりやすい
  • CRMや顧客管理ツールを無料で利用できる
  • チャットコミュニケーションができる

マーケティングの収益増加が見込める

HubSpotの導入により、企業の収益増加を見込めます。HubSpotが2016年に発表したレポートによると、79%の企業が「収益が増加した」と回答しました。

しかも、67%がHubSpot導入から7ヵ月以内で収益拡大の効果を実感できています。全体の83%もの企業が、CVR(コンバージョン獲得率)が向上したと回答しましたことからも、効果の高さは明らかです。

さらに、レポートによるとHubSpotを導入した企業の68%が、以前より質の高いリードの獲得に成功しています。インバウンドマーケティングで収益を高めるためには、いかに良質なリードを多く獲得するかが重要です。潜在顧客をリードへ引き上げ、リードを育成してCVへ導くという一連の流れを、HubSpotに搭載されている機能が効率的に進めてくれます。

ツール管理の一元化で業務を効率化できる

HubSpotの大きな魅力が、さまざまな機能やツールを「ワンストップ」で揃えられることです。従来のビジネスプラットフォームの多くは、特定の機能に特化しているため、複数のソフトウェアを個別に導入する必要がありました。

特化型ツールはそれぞれの機能性は高いですが、他のソフトウェアとのデータ共有が必要なため、工数や手間が増大してしまいます。一方で、HubSpotには先ほど紹介したような、インバウンドマーケティングに必要なあらゆる機能が備わっています。

つまり、HubSpotを導入すればツールの管理を一元化できるため、運用やデータ管理の手間を最小限に抑えられるということです。もちろん、ツールの選定や戦略設計は必要ですが、個別のソフトウェアを導入するより大幅な効率化を図れます。

UIが他社のツールより直感的で分かりやすい

HubSpotのUI(ユーザーインターフェース)は分かりやすく設計されているため、さまざまな機能を直感的に使うことができます。どれだけ機能性に優れていても、UIが難解だとビジネスの効率は高まりません。

しかし、多くのビジネスプラットフォームが複雑なUIを抱えており、操作方法を学習するためにかえって余分な時間を取られてしまうこともあります。

HubSpotは、企業が独創的なアイデアを実現しやすいように、グラフィカルで整理しやすいUIを採用しています。例えば、顧客データをカードのように並べて、どの情報が不足しているのかを判断できます。

情報を追加するときも、カードをクリックして入力するだけなので容易です。こうした直感的に操作しやすいUIが、HubSpotの実務上の大きな魅力です。

CRMや顧客管理ツールを無料で利用できる

HubSpotではCRMツール「HubSpot CRM」を無料で利用できるため、コストに余裕がない企業も顧客管理を効率化できます。しかも、HubSpot CRMに搭載されている機能は、CRMだけではありません。マーケティングやカスタマーサポートなどの機能も、一部が無料で使えるようになっています。HubSpot CRMでは、下記8つの主要機能を無料で利用可能です。

  • レポート作成ダッシュボード
  • 企業インサイト
  • 取引のトラッキング
  • パイプライン(顧客情報)管理
  • Eメールのトラッキングと通知
  • リードのトラッキング
  • ミーティングのスケジュール設定
  • Webチャット環境の構築

参考:多様な業務に効果を発揮する無料のCRMソフトウェア

顧客管理の便利機能が無料で使える点が、HubSpot CRMの大きな魅力です。営業チームの規模に関わらず、最大100万件もの顧客情報を管理できます。しかも、ユーザー数やストレージ容量の制限、利用期限もないことが特徴です。そのため、ツールを別途追加しなくても全社で情報を共有でき、追加の費用やリソースを確保する必要もありません。

多数の顧客を抱えている企業や、大規模なチームで営業活動を行う企業でも、HubSpot CRMなら安心して使い続けることができます。前述したように、UIはカード形式で整理しやすくなっているため、これまでより顧客管理が大幅に効率化できるでしょう。HubSpotの有料版の導入を検討する際は、まずHubSpot CRMを試してみることをおすすめします。

チャットコミュニケーションができる

HubSpotの無料版には、Webチャットの環境を構築できる機能があります。現在は、カスタマーサポートにWebチャットを導入する企業が、業種に関わらず増えています。メールや電話によるサポートでは対応に時間がかかる一方、Webチャットはリアルタイムで顧客に対応できるからです。HubSpotなら、顧客満足度が高いサポート体制を実現しやすくなります。

さらに、Webチャットの外観はカスタマイズ可能なので、自社のブランドに合うデザインを採用できます。問い合わせ数が多い場合は、チャットボットを作成すればチームの負担を軽減することも可能です。そのうえ、確度の高いリードの見極めや、よくある質問への回答などのタスクも自動化できるため、CRM施策全体の効率化に役立つ機能だと言えるでしょう。

HubSpotの4つのデメリット・注意点

HubSpotの4つのデメリット・注意点

HubSpotには下記4つのデメリットや注意点があるので、導入検討時に確認しておきましょう。

  • アメリカのサービスのため日本語表現に違和感がある
  • 運用定着までに時間がかかる
  • 無料プランでは利用できる機能に限界がある
  • すべての機能を使うとコストが高くなる

本章では、それぞれのデメリットの詳細や考慮すべき点について、分かりやすく解説します。

アメリカのサービスのため日本語訳に違和感がある

HubSpotはアメリカ製のサービスなので、日本語の表現に違和感を抱くことがあります。英語を直訳したようなものや、日本人があまり使わない表現があり、意味が分かりづらいことも少なくありません。また、ヘルプページには英語表記しかない項目もあるため、自身で日本語に翻訳する手間がかかります。英語が苦手な場合は、使いにくいことがあるでしょう。

一方で、外部の顧客から見える広告やテンプレートは正しい日本語に翻訳されているため、顧客に失礼になるような事態はまず起きません。UIや説明文の不自然な日本語に関しても、使い続ければ慣れてくるので、大きな問題となることはないでしょう。外資系ツールに慣れていない方も、導入初期の抵抗感さえクリアできれば、使いやすさを実感できるはずです。

運用定着までに時間がかかる

HubSpotは運用に慣れるまでに時間がかかります。HubSpotはビジネスプラットフォームとしては、UIのデザインが工夫されていて使い勝手が良いものです。しかし、幅広い分野に対応できるという多機能さゆえに、それぞれの機能を使いこなせるようになるまで時間がかかります。これまでに同様のツールを使用したことがない場合は、特に注意が必要です。

ビジネスプラットフォームを初めて使用する場合は、導入の準備や担当者の教育に十分な期間を設けることをおきましょう。また、ツールの導入目的や課題、重点的に効率化すべき作業などについても社内で確認しておくと、重要度の高い項目を優先的に改善できます。HubSpotは使いやすさに定評があるため、運用が軌道に乗れば効果を実感できるはずです。

無料プランでは利用できる機能に限界がある

先ほど紹介したように、HubSpotには複数の料金プランがあり、上位モデルほど機能も多様化します。無料プランでも相当の機能を利用できますが、どうしても機能に限界があります。例えば、マーケティングやヘルプデスクの自動化、SEO対策やA/Bテストツールなど、各施策の運用効率を最大化できる機能は、Professionalプラン以上でないと使えません。

HubSpotの「ワークフロー」機能は、マーケティング施策の自動化システムを作るための機能ですが、こちらも有料版限定です。ワークフロー機能があれば、特定の条件を満たしたときに自動的にアクションを起こせるようになるため、パイプライン管理に極めて効果的です。HubSpotの機能をフルに活用するためには、Professionalプランが必要になります。

すべての機能を使うとコストが高くなる

HubSpotは無料版でも十分機能しますが、前述したように重要な機能が使えないことも考えれます。しかし、有料プランはコストが増大するため、予算に余裕がない場合は導入が困難なこともあります。

Professionalプランの場合、Marketing Hubは96,000円(税込)、CMS Hubは43,200円(税込)の月額料金がかかります。ツールの費用が経営を圧迫するのでは本末転倒です。そのため、HubSpotの導入を検討する際は必要な機能を厳選して、それ以外の分野は自社のリソースや他社の無料ツールを活用すると、コストを大幅に抑えられます。

例えば、オウンドメディアのSEO対策やA/BテストはGoogleの無料ツールを活用して、有料版はCMS Hubのみに絞ると効果的です。できるだけコストを抑えられるよう、検討を重ねてみましょう。

HubSpotの使い方・手順

HubSpotの使い方・手順

HubSpotの使い方や手順は、下記のように進めると分かりやすいのでおすすめです。

  • 目標設定と戦略立案を行う
  • アカウントを登録する
  • 初期設定をする
  • 効果検証・改善を行う

本章では、上記それぞれのステップの詳細や、意識すべき点について解説します。

目標設定と戦略立案を行う

HubSpotを導入する際は、目標設定と戦略立案を行いましょう。ビジネスプラットフォームを導入する背景には、企業が抱えている課題や達成すべき目標があるはずです。HubSpotを使用する目標を定めてから、マーケティング戦略や中間目標を検討しましょう。目標達成のための施策が分かれば、HubSpotで導入すべきツールや料金プランも自然と決まります。

例えば、顧客情報の簡易的な管理やWebチャット環境の構築が必要なのであれば、無料版のHubSpot CRMでも問題ありません。ただし、MAやSFAにはMarketing HubやSales Hubの有料版が必要になります。事前の目標や戦略の設計なしに有料版ツールを導入すると、混乱やコスト増大の原因になるため、社内で慎重に検討して同意を得ておきましょう。

アカウントを登録する

HubSpotのアカウント登録は、公式サイトから簡単に行えます。トップページには無料版のHubSpot CRMを始め、今回紹介したさまざまな有料版への申し込みボタンが設置されています。ボタンを押すと、Googleアカウントもしくはメールアドレスと氏名の入力画面が表示されるので、いずれかの情報を入力して「次へ」をクリックしましょう。

HubSpotから届いたメールを確認して、指示どおりに進めると詳細情報の入力画面へ移ります。設定する内容は企業の詳細やパスワードなどです。会社の規模や登録者の役職なども入力する必要があるため、正確に入力してください。送信後はHubSpotから届く詳細メールをよく確認しておきましょう。以上でHubSpotのアカウント登録は完了です。

初期設定をする

HubSpotのアカウント登録が完了したら、次は初期設定を行います。具体的には、各ツール初期設定やワークフローの設計などの作業です。初期設定に関しては、HubSpotのユーザーガイドどおりに進めれば問題ありません。

まずは、顧客情報を登録するために、CSVもしくはExcelファイルをアップロードして、右下の「次へ」をクリックしましょう。ビジネスを安全に行うためにはセキュリティ対策も重要なので、「2要素認証」の設定もぜひ行っておきましょう。

2要素認証は「Google Authenticator」もしくは「SMS」で行えます。これらの大まかな初期設定を済ませた後は、自社の目的に応じてWebチャットやカスタマーサービスの構築など、ビジネスの効率化のために必要な設定を行いましょう。

効果検証・改善を行う

HubSpotの初期設定が完了したら、実際に運用を開始してみましょう。導入の目的に応じて必要な施策を実行しながら、効果検証と改善を続けていきます。目標を達成するためには、実行した施策の有効性を確認して、課題点を洗い出すことが重要です。効果検証はHubSpotの各種測定ツールで行い、事前に設定した中間目標(KPI)の達成状況を確認します。

例えば、コンテンツマーケティングの効果検証を行いたい場合は、HubSpotの「マーケティングアナリティクス&ダッシュボード」を活用します。改善点が明らかになったら、優先順位をつけて改善に取り組みましょう。試行錯誤の繰り返しにより、大きな目標への到達が近づきます。こうした検証を効率的に行うためにも、事前の目標設定は極めて重要です。

HubSpotを導入した企業の成功事例

HubSpotを導入した企業の成功事例

HubSpotは国内でもさまざまな企業が導入しているため、成功事例も数多く報告されています。自社での導入を検討するために、下記3社の具体的な成功事例を見ていきましょう。

  • ソウルドアウト株式会社:新規リードの獲得数が50倍に増加!
  • 株式会社ブイキューブ:Webサイト訪問数とリード獲得数が2倍に!
  • リードプラス株式会社:月間数百件ものCV獲得に成功!

新規リードの獲得数が50倍に増加!|ソウルドアウト株式会社

新規リードの獲得数が50倍に増加!|ソウルドアウト株式会社

ソウルドアウト株式会社」は、2009年に設立されたインターネット広告事業者です。以前は「プッシュ型」のアウトバウンドマーケティングにて、中小のベンチャー企業を対象として新規顧客の開拓を行っていました。しかし、社員の負担や効率低下が目立つようになり、インバウンドマーケティングへの転向とHubSpotの導入を2013年に決定しました。

その結果、新規リードの獲得数が50倍になり、顧客単価は倍増しました。まず取り組んだことは、リード獲得のための導線設計です。LPやフォームを制作し、自社サービスの資料をダウンロードできるページも設置しました。その後は、リードジェネレーション用のコンテンツマーケティング施策として、ブログを3本開設して毎日コンテンツを制作しました。

HubSpotの導入後は、良質なリードを潤沢に保有できるようになり、従来のアウトバウンドマーケティングを行うことはなくなりました。見込み確度の高いリードへアプローチできるため、営業担当者の負担が大幅に減り、ビジネスの効率も飛躍的に向上しました。インバウンドマーケティングの導入と成長のために、HubSpotは極めて魅力的なツールです。

Webサイト訪問数とリード獲得数が2倍に!|株式会社ブイキューブ

Webサイト訪問数とリード獲得数が2倍に!|株式会社ブイキューブ

株式会社ブイキューブ」は、BtoB向けのビジュアルコミュニケーションサービスを、2004年から提供している企業です。以前からセミナーや展示会、SEOやSEMなどを広く実行してきましたが、各施策の成果がよく分からない状況でした。また、サイトの運用方針にも課題があり、CV数が低下していたようです。そこで、HubSpotの導入を決定しました。

最初に実行したことは、自社ブログの運用によるコンテンツマーケティングです。自社サービスの導入を検討している顧客に向けて、専門知識を分かりやすく解説記事を公開し続けました。さらに、ダウンロード可能なコンテンツを多数設置して、特定のアクションを行ったリードをスコアリングするなど、効率的なリード獲得のための仕組みも構築しました。

また、顧客ニーズと実施した施策の整合性をHubSpotで検証し、改善にも役立てています。こうした施策が功を奏して、Webサイト訪問数とリード獲得数が倍増し、新規顧客単価も1.65倍となりました。今後はHubSpotの多言語化の機能で、ブログの国際的な展開も検討しているようです。このように、多方面から施策を実行できることもHubSpotの魅力です。

月間数百件ものCV獲得に成功!|リードプラス株式会社

月間数百件ものCV獲得に成功!|リードプラス株式会社

リードプラス株式会社」は、2007年設立のデジタルマーケティングサービス事業者です。企業のマーケティングを最適化するサービスを提供していることもあり、自社でもインバウンドマーケティングで新規顧客を獲得してきました。一方、クライアントごとのCMSやWebサイト改善の効率化に課題を抱えていたため、HubSpotの導入を決定しました。

まずは、自社サイトをHubSpot CMSで構築し、新たなリード獲得のためにブログ運営を開始しました。HubSpotの関連ツールのトップページには、ブログ経由の流入数とリード獲得数のレポートが表示されます。これらの数値情報の活用により、効果検証と改善を継続して、インバウンドマーケティングのノウハウを自社で積み重ねることができました。

HubSpotによるブログ運営で獲得したノウハウにより、自社の新しい「インバウンドマーケティングサービス」で、クライアント企業でも優れた実績を達成しています。さらに、自社サイトのリード獲得数も2倍以上になり、月間数百件以上のリードを安定して獲得できるようになりました。この事例からも、HubSpotはさまざまなビジネスの成果向上に役立つことが分かります。

HubSpotのまとめ

HubSpotのまとめ

HubSpotは、MAやSFA、CMSやカスタマーサービス構築など、インバウンドマーケティングに欠かせない機能を網羅したツールです。マーケティングや営業などで課題を抱えている企業が導入すると、ビジネスの効率化や収益の拡大など、多数のメリットを得られます。

HubSpotはインバウンドマーケティングの機能をワンスポットで利用できるため、ツールの管理やデータ共有を効率化できます。さらに、UIが他社ツールより明快なため、導入や学習のコストも抑えられます。無料で使える機能が非常に多いこともHubSpotの魅力です。

「株式会社ニュートラルワークス」では、HubSpotを含めたWebサイト制作サービスを提供しています。弊社はHubSpotのパートナー企業でもあるため、導入から運用まで支援が可能です。HubSpotの導入でお悩みの場合は、ぜひ弊社にご相談ください。

HubSpotのよくあるご質問

HubSpotとは?

「HubSpot」とは、2005年にアメリカで登場した統合型CRM(顧客関係管理)プラットフォームです。

HubSpotとSalesForceの違いは?

HubSpotには、インバウンドマーケティングの必須ツールが網羅されているため、HubSpotを導入するとワンストップでビジネスの効率化を図れます。一方で、SalesForceはSFAやMAなどの分野では別のツールとの連携が前提で、その分のコストや手間が必要です。

HubSpotのメリットは?

HubSpotにはマーケティングの収益増加が見込める、ツール管理の一元化で業務を効率化できる、UIが他社のツールより直感的で分かりやすい、CRMや顧客管理ツールを無料で利用できる、チャットコミュニケーションができるなどのメリットがあります。

監修者紹介

石田 哲也

石田 哲也

取締役CMO

Twitter:@te2319
株式会社ニュートラルワークス 取締役CMO。1984年生まれ。高校卒業後にISD株式会社を起業。その後、株式会社オプトでWebマーケティングを学び、株式会社メタップスなど複数のベンチャー企業にて事業立ち上げを経験。前職はワンダープラネット株式会社でゲームプロデューサーとしてスマホゲームアプリの制作に従事。2018年に地元の神奈川へ戻り、ニュートラルワークスに入社。SEO/Web広告運用/サイト分析・改善など、Webサイトの運用改善~ゲームアプリ制作や数十万フォロワーのSNSアカウントの運用経験などWebビジネス全般を守備範囲とする。

■経歴
2003年 ISD株式会社/起業
2009年 株式会社オプト/SEMコンサルタント
2011年 株式会社メタップス/シニアディレクター
2013年 ライブエイド株式会社/執行役
2016年 ワンダープラネット株式会社/プロデューサー・BizDev
2018年 株式会社ニュートラルワークス/取締役CMO

■得意領域
Webサイト改善
SEO対策
コンテンツマーケティング
リスティング広告

■保有資格
Google アナリティクス認定資格(GAIQ)
Google 広告検索認定資格
Google 広告ディスプレイ認定資格
Google 広告モバイル認定資格