アウトバウンドと聞くと「テレアポ」をイメージする人が多いかもしれません。しかし、アウトバウンドの意味はそれだけではなく、実際には業界や分野によってさまざまです。そこでこの記事では、アウトバウンドの意味と、インバウンドとの違いについて紹介します。
加えて、具体的な施策例についても解説していますので、意味を知りたい方や、ビジネスに役立てたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
監修者
Twitter:@te2319
株式会社ニュートラルワークス 取締役CMO。1984年生まれ。高校卒業後にISD株式会社を起業。その後、株式会社オプトでWebマーケティングを学び、株式会社メタップスなど複数のベンチャー企業にて事業立ち上げを経験。前職はワンダープラネット株式会社でゲームプロデューサーとしてスマホゲームアプリの制作に従事。2018年に地元の神奈川へ戻り、ニュートラルワークスに入社。SEO/Web広告運用/サイト分析・改善など、Webサイトの運用改善~ゲームアプリ制作や数十万フォロワーのSNSアカウントの運用経験などWebビジネス全般を守備範囲とする。
■経歴
2003年 ISD株式会社/起業
2009年 株式会社オプト/SEMコンサルタント
2011年 株式会社メタップス/シニアディレクター
2013年 ライブエイド株式会社/執行役
2016年 ワンダープラネット株式会社/プロデューサー・BizDev
2018年 株式会社ニュートラルワークス/取締役CMO
■得意領域
Webサイト改善
SEO対策
コンテンツマーケティング
リスティング広告
■保有資格
Google アナリティクス認定資格(GAIQ)
Google 広告検索認定資格
Google 広告ディスプレイ認定資格
Google 広告モバイル認定資格
執筆者
株式会社ニュートラルワークス
QUERYY(クエリー)編集部
QUERYY(クエリー)は、株式会社ニュートラルワークスが運営するデジタルマーケティング情報メディアです。
目次
ビジネスにおけるアウトバウンドとは、企業から顧客に対してアプローチする営業のことです。アウトバウンドには新規営業と既存営業の2種類があり、どちらも売上拡大を目指していますが、目的は少し異なります。
新規営業は、まだ商品・サービスを申し込んでいないユーザーに対して、アプローチをかけていきます。そのため、顧客の規模を増やしていくことが目的となっています。一方、既存営業は既に商品を購入したことがある顧客に向けた営業です。そのため、顧客にはリピーターになってもらうことを目的としています。
※アウトバウンドコール(営業)に関する詳細については、以下の記事を参考にしてください。こちらの記事では、アウトバウンドコールの特徴や種類について詳しく解説しています。
「アウトバンドコール」を解説!意味やインバウンドコールとの違いから成功させるコツ
アウトバウンドに対して、「インバウンド」という方法も存在します。インバウンドとアウトバウンドは、企業から見てどちらから問い合わせを受けるかが異なります。アウトバウンドは、企業が顧客に対してアプローチをかける営業ですが、インバウンドは顧客からの問い合わせを受けることを意味しています。
昨今ではコロナ禍の影響もあり、店舗まで足を運んで商品・サービスを購入するユーザーが減少しています。こうした背景から、中にはインバウンドに注力している企業も多いです。
BtoB向けインバウンドマーケティングとは?実務で使える手順・手法を解説 DMや電話セールスの営業効率が昔より下がってきたと実感していませんか?どの会社も同じように悩み、インバウンドマーケティングを採用する例が増えてきました。なぜインバウンドマーケティングが効果的なのか、進め方とあわせて紹介します。アウトバウンド | インバウンド | |
観光 | ・自国から外国へ出かけること | ・外国人が自国にやって来ること |
広告 | ・企業が顧客に対して主体的にアプローチをかけること | ・顧客が企業に対して主体的に興味を持つ広告のこと |
通信 | ・使用中のコンピューターから外部にアクセスすること ・ネットワークにある情報について中から外に出ていくデータのこと |
・外部のコンピュータから使用しているコンピューターへアクセスがあること |
IT | ・データを内部から外部へと送信すること | ・データを外部から内部へ受信すること |
物流 | ・商品が自社の工場・倉庫から顧客の手に届くまでの物流 | ・作業現場で材料や原料が加工されて、出荷する直前までのプロセスのこと |
前述のとおり、ビジネスによってアウトバウンドの意味は異なります。ただし、アウトバウンドは「外へ」、インバウンドは「中へ」とする考え方は共通しています。この章では、各業界や分野におけるアウトバウンド・インバウンドの意味についてそれぞれ詳しく見ていきましょう。
観光業界におけるアウトバウンドとは、海外旅行のことを意味しています。これは自国から外国へ出かけることを指していて、日本人の場合は日本から海外へ渡航することを意味します。そのため、日本人が国内旅行を行うことについては、アウトバウンドとはいいません。
反対にインバウンドは、外国人が自国にやって来ることを意味します。日本の場合は、日本に観光客が渡航してくる状態です。このように、観光に関するアウトバウンドの場合は、どこの国を自国にするかが違いとなります。
広告業界におけるアウトバウンドとは、企業が顧客に対して主体的にアプローチをかけることを意味しています。広告には多くの種類があり、中でもテレビをはじめとしたマスメディアのCMや電車の宙吊り広告、最近ではYouTubeなどコンテンツの途中に流れる広告は、アウトバウンド的な広告です。
マスメディアの広告は多くの人に馴染みがありますが、一方的な発信であるため煙たがられる傾向にあります。そして広告におけるインバウンドとは、顧客が企業に対して主体的に興味を持つ広告のことを意味しています。例としては、記事広告があります。記事広告とは記事の中に、広告を織り交ぜたコンテンツのことです。
一般的な広告とは異なり、読者が記事を楽しみつつ、広告の内容に興味を持ってもらうことを目的としています。このように、広告の場合は企業が主体的に発信するのか、それともユーザーが主体的に興味を持つのかが違いとなります。
通信業界におけるアウトバウンドは、やや広い意味を持っています。例えば、使用中のコンピューターから外部にアクセスすることを意味する場合があります。他にもネットワークにある情報について、中から外に出ていくデータのことをアウトバウンドと呼ぶこともあります。
反対にインバウンドとは、外部のコンピュータから使用しているコンピューターへアクセスがあることを指します。また、ネットワークの外から中に入ってくる情報のことを意味することもあります。このように、通信においてアウトバウンドは意味が複数ありますが、いずれにしてもコンピューターの中から外部へアクセスすることを意味しています。
IT業界におけるアウトバウンドとは、データを内部から外部へと送信することを意味しています。ITの場合アウトバウンドといっても具体的な内容については、以下のようにいくつか種類があります。
反対に、ITに関してインバウンドとは、データを外部から内部へ受信することを意味しています。上記の具体例についても、方向が逆になります。
物流業界におけるアウトバウンドのことを「アウトバウンドロジスティックス」または「出荷物流」といいます。これは商品が自社の工場・倉庫から顧客の手に届くまでの物流を意味しています。
反対にインバウンドのことは「インバウンドロジスティクス」または「入荷物流」といいます。工場のような作業現場で材料や原料が加工されて、出荷する直前までのプロセスのことを意味します。つまり、物流に関してアウトバウンドとインバウンドは、倉庫から見て製品や材料が入ってくるのか、出ていくのかといった視点で分けられています。
引用:国土交通省観光庁
https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/in_out.html(参照:2022年11月30日)
まずは観光業界です。ご承知のとおり、コロナ禍によりアウトバウンドもインバウンドも2020年、2021年と激減しました(下図参照)。2022年にはやや回復傾向にあるといえるでしょう。
広告業の業務種類別売上高の推移|引用:経済産業省「特定サービス産業動態統計調査」より編集部作成
次は広告業界です。かつてはテレビ・ラジオ・新聞・雑誌の4媒体広告がメインでしたが、インターネットが普及し始めると徐々に売上高が減っていき、2021年になるとついにテレビをインターネットが超えました。
アウトバウンドマーケティングには、以下のように施策が6つあります。
ここからはそれぞれの特徴について解説します。
飛び込み営業は従来からあるアウトバウンドマーケティングの一つです。アポイントメントを取らずに営業をかける方法で、直接顧客と対面します。飛び込み営業のメリットは、うまくいけば顧客として定着してもらえることです。直接顔が見えるため、一度信頼してもらえればリピーターとなってもらえる可能性が高いです。
一方で、アポイントを取っていないため、そもそも確実に話を聞いてもらえる可能性が低いというデメリットがあります。また、いきなり関心を持っていない商品・サービスの営業をかけられても困るという風に、良印象を持ってくれない場合もあります。
テレアポはテレフォンアポイントの略で、顧客に電話をし、営業をかける方法です。顧客と通話をしてコミュニケーションを取ることができます。飛び込み営業のように対面で会話することはありませんが、直接話ができるので便利です。多くの場合はテレアポによって商談を持ちかけ、後日訪問するという流れになります。
テレアポの特徴は訪問する必要がないため、1日に何件もコンタクトを取ることができることです。ただし、中には電話だからといって全く話を聞いてもらえないこともあるのがデメリットです。そのため、なるべく見込みのある顧客のリストを作成することがポイントとなります。
DM(ダイレクトメール)やセールスレターは、商品・サービスに関する情報をメールやハガキ、パンフレットという形で顧客に送信する方法です。ユーザーのメールアドレスや住所を入手する必要があるため、何かと交換条件としてユーザーから入手することがポイントとなります。
例えば、ユーザーが知りたい情報をホワイトペーパーにまとめ、ダウンロードするためにはユーザーのメールアドレスを取得する方法があります。他にも、試供品を提供する代わりにユーザーの住所を入手することも可能です。
ダイレクトメールは現代的な手法ですが、セールスレターの場合は一昔前の方法に思うかもしれません。しかしセールスレターは現代でも大手企業が利用している方法で、顧客が直接手に取ることができ、特別感を持たせることができる手段です。
マスメディア広告は、テレビや新聞・雑誌などに広告を掲載する従来の手法です。それに対しネット広告には、サイト内に広告を掲載したり、検索結果に広告として上位表示したりというさまざまな方法があります。
電通が発表した「2019年 日本の広告費」によると、マスメディア広告費は2兆円を突破し、テレビ広告費を追い抜きました。そのため、近年ではネット広告の需要が高いと考えられます。
マスメディア広告は企業が顧客に対して、一方的に発信することが多いです。一方ネット広告は、ユーザーの行動に連動するものがあります。例えばネット広告の一つであるリスティング広告は、ユーザーの検索結果に表示される広告です。これはユーザーが入力したキーワードに反応して表示されるので、クリックしてもらう確率が高いです。
リスティング広告とは?特徴や費用、運用方法を解説
リスティング広告の基本的な知識から効率のいい運用方法、成果を出すためのポイントをご紹介します。
プレスリリースやメルマガは、広報やプロモーション施策として有名な手法です。プレスリリースというのは報道機関に対する情報提供のことで、プレスリリースを行うことで顧客に知ってほしい情報を発信することができます。一方メルマガは、メールで情報を発信する方法です。
プレスリリースのメリットは、一度に多くの人に知ってもらえることです。これは企業が発信するよりも、一度のプレスリリースで複数の報道機関に発信してもらったほうが早く多くの人に伝わるという特徴があります。
また、メルマガのメリットは、ユーザーの属性に合わせてコンテンツを出し分けることができることです。これはツールを用いることで実現できます。1回の送信で複数のコンテンツを送信できるので、業務効率も改善できます。
展示会はある分野の企業が集まって、情報を発信するイベントのことです。ユーザーと直接コンタクトを取れるという意味では飛び込み営業やテレアポと類似しています。しかし、興味を持ったユーザーが直接足を運んでいる点においては、よりターゲットに刺さりやすい特徴があります。また、場合によっては展示会で注文を受け付けることも可能です。
アウトバウンドは有効な施策ではあるものの、昨今は多くの企業がアウトバウンドからインバウンドへ徐々に変わりつつあります。広告に関するアウトバウンドでも触れたように、企業からの一方的なアプローチは嫌われる傾向にあるからです。
しかし、インバウンドを取り入れることで、ユーザーから歩み寄ってもらえ、情報を知ってもらえる可能性が高い半面、全てのアプローチをインバウンドに置き換えるのは困難でしょう。そこで企業として理想的なのは、アウトバウンドとインバウンドをうまく取り入れることです。
ビジネスにおけるアウトバウンドとは、企業から顧客に対してアプローチする営業のことです。ただし、業界によって意味が異なるため、正しく理解するにはそれぞれの分野に関して意味を置き換える必要があります。
また、アウトバウンドマーケティングには飛び込み営業やテレアポ、DMといった従来の営業方法があります。その他にも、マスメディアやネット広告、メルマガといったインターネットを利用した営業方法もあります。
さらに昨今ではアウトバウンドからインバウンドへと変わりつつあるため、どの企業もインバウンドを取り入れるべきといえます。しかし、アウトバウンドとインバウンドを取り入れてもなかなか売り上げにつながらないこともあるかもしれません。
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