マーケティング

最終更新日: 2024.04.04

アーリーマジョリティとは? キャズム超えマーケティング

アーリーマジョリティとは? キャズム超えマーケティング

新しい商品やサービスを普及させる上で重要な存在なのが、アーリーマジョリティです。アーリーマジョリティを攻略することで、新商品やサービスが市場に浸透しやすくなります。

しかし、よく聞くアーリーアダプターとの違いはご存知ですか? また、これらのもとになったイノベーター理論やキャズム理論については?

そこで、アーリーマジョリティやアーリーアダプターとともに、キャズム(深い溝)を超えるためのマーケティング施策を詳しく解説します。

石田 哲也

監修者

Twitter:@te2319
株式会社ニュートラルワークス 取締役CMO。1984年生まれ。高校卒業後にISD株式会社を起業。その後、株式会社オプトでWebマーケティングを学び、株式会社メタップスなど複数のベンチャー企業にて事業立ち上げを経験。前職はワンダープラネット株式会社でゲームプロデューサーとしてスマホゲームアプリの制作に従事。2018年に地元の神奈川へ戻り、ニュートラルワークスに入社。SEO/Web広告運用/サイト分析・改善など、Webサイトの運用改善~ゲームアプリ制作や数十万フォロワーのSNSアカウントの運用経験などWebビジネス全般を守備範囲とする。

■経歴
2003年 ISD株式会社/起業
2009年 株式会社オプト/SEMコンサルタント
2011年 株式会社メタップス/シニアディレクター
2013年 ライブエイド株式会社/執行役
2016年 ワンダープラネット株式会社/プロデューサー・BizDev
2018年 株式会社ニュートラルワークス/取締役CMO

■得意領域
Webサイト改善
SEO対策
コンテンツマーケティング
リスティング広告

■保有資格
Google アナリティクス認定資格(GAIQ)
Google 広告検索認定資格
Google 広告ディスプレイ認定資格
Google 広告モバイル認定資格

QUERYY(クエリー)編集部

執筆者

株式会社ニュートラルワークス

QUERYY(クエリー)編集部

QUERYY(クエリー)は、株式会社ニュートラルワークスが運営するデジタルマーケティング情報メディアです。

アーリーマジョリティとは?

アーリーマジョリティとは?

アーリーマジョリティとは、マーケティングにおけるイノベーター理論で登場する消費者の態度を表す言葉です。

イノベーター理論は、マーケティングの基礎知識ともいうべき有名な理論です。特にアーリーマジョリティは、新しい商品・サービスを市場に普及させる立場にある消費者を指し、実際にマーケティングを進める上で必ず押さえるべき重要なポイントです。

そこで、イノベーター理論およびアーリーマジョリティについて、具体的に解説していきます。

イノベーター理論とは?

イノベーター理論とは、1962年にスタンフォード大学のエベレット・M・ロジャーズ教授が著書『イノベーション普及学』の中で提唱したマーケティングの理論です。

イノベーター理論は、新しい商品やサービスが市場に受け入れられていく過程で、消費者がどのような態度を取るのかを、以下の5つに分類しています。

  • イノベーター
  • アーリーアダプター
  • アーリーマジョリティ
  • レイトマジョリティ
  • ラガード
五層の分類を表した図版

書かれている数字は、それぞれが市場に占める割合です。新しい商品・サービスは、イノベーターから順に採用されていきます。では、このイノベーター理論の各層について、詳しくご紹介します。

(1)イノベーター

イノベーターは、革新者・革新的採用者を意味します。新しい商品やサービスが市場に現れた際、最初期に採用する層です。

イノベーターは情報感度が高く、新しく登場したものを積極的に採用します。イノベーターは「新しい」ということに高い価値を感じる層です。そのため、市場にまだ広まっておらずコストが高い状態であっても、イノベーター自身の価値観やニーズに合っていれば、その商品・サービスを購入します。

イノベーター理論では、市場全体のおよそ2.5%がイノベーターであるとしています。新しい商品やサービスを販売したばかりの頃は、イノベーターが購入者であることがほとんどです。市場で展開を進める上でのスタートダッシュは、イノベーターからの影響を大きく受けます。

(2)アーリーアダプター

アーリーアダプターとは、初期採用者・初期少数採用者を意味する言葉です。イノベーターほどではないものの、まだ市場に普及していない商品などに対する情報感度を高く持つ層です。市場全体の13.5%ほどがアーリーアダプターとされています。

アーリーアダプターは新しさだけでなく、これから流行りそうであるかを重視する層です。トレンドに敏感で、かつ判断力に優れており、いわゆるインフルエンサーとして活躍する人物が多い層といえます。

市場全体において占める割合はそれほど大きくないとはいえ、後に続く層に対して強い影響力を持ちます。そのため、新しい商品・サービスを市場で普及させるためには、アーリーアダプターの攻略が非常に重要といわれています。

(3)アーリーマジョリティ

アーリーマジョリティは、前期追随者・初期多数採用者を意味します。情報感度は比較的高めであり、新しい商品やサービスの登場を知っていることが多く、マジョリティ(多数派)という名のとおり多数派です。しかし、実際に採用するのには慎重であり、情報を得ているものの様子見という態度をとります。

アーリーマジョリティは市場全体において34%という、非常に大きな割合を占めると言われています。そのため、アーリーマジョリティの層へ新しい商品・サービスを浸透させられるかどうかが、市場への普及を左右する重要な要素となります。

アーリーマジョリティは、アーリーアダプターに属する人たちの意見から影響を受けやすく、新しい商品やサービスを採用することによるメリットなども重視します。アーリーマジョリティへ普及させるには、アーリーアダプターの攻略および商品の適切なアピールが必要不可欠です。

(4)レイトマジョリティ

レイトマジョリティは、後期追随者・後期多数採用者を意味します。新しい商品やサービスに対して消極的な態度であり、登場してからもなかなか採用まで至りません。

レイトマジョリティも、市場において34%を占める多数派です。レイトマジョリティへも浸透して導入に至らせることができれば、市場でかなりの普及率を誇ることができます。

レイトマジョリティは市場全体の動向を重視します。すなわち新しい商品やサービスを採用しているユーザーが多いほど、レイトマジョリティが採用に至る可能性も高くなります。レイトマジョリティの攻略には、市場における普及度合いが非常に重要です。そのためアーリーマジョリティまでの層を攻略し、普及率を上げる必要があります。

(5)ラガード

ラガードとは、遅滞者・伝統主義者を意味する用語です。ラガードは市場において、およそ16%存在するといわれています。

市場において最も保守的な態度をとっており、新しい商品・サービスだからという理由で採用に至ることはほぼありません。その商品やサービスの普及が進んだ上で、伝統的・文化的といえるレベルになってから採用に至ります。すなわち採用することが当然という状態にさせる必要があります。

ラガード層にも商品・サービスを浸透させるためには、それらの普及率が非常に高く、定番といえる状態であるとアピールすることが必要です。今後登場すると予想される新しい商品やサービスよりも信頼できると実感させることで、採用に至らせることができます。

ラガード層が一定以上存在する場合は、発売してすぐの段階で市場の普及率を制覇することは不可能です。

アーリーアダプターとアーリーマジョリティの違いは?

アーリーアダプターとアーリーマジョリティは、どちらも新しい商品・サービスを早い段階で採用する重要な層ですが、前述したようにその特徴は大きく異なります。

まず、両者は全く別の市場にいます。アーリーアダプターは初期採用者に属する立場であり、初期市場にいる存在です。対するアーリーマジョリティがいる市場は、メインストリーム市場へと変わります。

市場が異なることで、それぞれが持つニーズも全く別のものになります。初期市場では「新しさ」が非常に重要です。アーリーアダプターは新しいという点に大きな価値を見出して、新商品の購入に至ります。一方、メインストリーム市場に属するアーリーマジョリティは、「新しいものへの不安」を感じており、「安心感」を重視します。

アーリーアダプターとアーリーマジョリティは市場が違うため、価値観やニーズも異なるのです。

容易に超えられない「キャズム」とは?

新しい商品・サービスを市場に普及させる上で、もう一つの重要な理論としてキャズム理論があります。キャズム(chasm)とは、「深い溝」を意味する英語です。

マーケティングコンサルタントであるジェフリー・A・ムーア氏は、前述したイノベーター理論を踏まえた上で、初期市場とメインストリーム市場の間に深い溝=キャズムが存在すると提唱しました。そして、初期市場とメインストリーム市場では、ユーザーの価値観やニーズが大きく異なると解説しました。

五層の分類とキャズムを表した図版

すなわち初期市場からメインストリーム市場へ新しい消費・サービスを普及させるには、それまで重視されていた「新しさ」ではなく「安心感」が必要となります。

初期市場に属するイノベーターとアーリーアダプターは、合わせて16%しか存在しません。そのため事業を成功させるにはメインストリーム市場を攻略する必要があり、キャズムを超えることが求められます。

キャズムを超える方法は?

キャズムを超える方法は?

キャズムを超えるためには、適切なマーケティングが必要です。

メインストリーム市場の最初に位置するアーリーマジョリティは、すでに採用した初期市場のユーザーの意見を重視します。その意見を聞いて安心感を得ることができたら採用に至るのです。すなわちアーリーマジョリティの前に位置する、アーリーアダプターをまず獲得する必要があります。

アーリーアダプターを押さえるマーケティング施策としては2つ挙げられます。それぞれ詳しく解説します。

インフルエンサー・マーケティング

キャズムを超えるための効果的な方法の1つが、インフルエンサー・マーケティングです。

インフルエンサー・マーケティングとは、最新の流行に対する感度が高く、SNSやブログなどを通じて情報を発信して強い影響力を持つインフルエンサーの協力を得て進めるマーケティング方法です。

メインストリーム市場の鍵となるアーリーマジョリティは、すでに新しい商品・サービスを利用しているアーリーアダプターに強く影響されます。このアーリーアダプターとしてインフルエンサーを起用して、新しい商品・サービスを紹介してもらえれば、高い共感性や訴求力を期待できます。

ただし、一口にインフルエンサーと言っても活躍する業界分野はインフルエンサーによって異なります。また、単に人気がありフォロワー数が多いということだけでなく、より親しみやすく信頼性が高いことも重要なポイントです。そのため、自社の商品やサービスのターゲットに最適なインフルエンサーを起用する必要があります。

アンバサダー・マーケティング

アンバサダー・マーケティングとは、すでに商品やサービスを採用し、愛着もあるファンをアンバサダー(親善大使・イメージキャラクター)として起用するマーケティング方法です。特に、知名度のあるタレントや社会的影響力のあるオピニオンリーダーをアンバサダーに起用することで、より効果的なアピールが期待できます。

ほかにアンバサダー・マーケティングの事例としては、ネスレが行っている「ネスカフェ・アンバサダー」が挙げられます。企業のオフィスなどを対象にした施策で、社員がアンバサダーに選ばれるとエスプレッソマシンが使えるという制度です。

必要になるのはコーヒー代のみで、マシンの維持費などはネスレが負担します。アンバサダーには、エスプレッソマシンを使って楽しんでいる様子を写真に撮って投稿する、アンケートへ答えるなどの協力をしてもらう制度です。

アンバサダー・マーケティングがインフルエンサー・マーケティングと違うところは、情報発信においてアンバサダーは商材への愛着が必要である一方、インフルエンサーは客観的な感想や意見が求められる点にあります。

キャズムを超えるための5つのポイント

キャズムを超えるための5つのポイント

アーリーマジョリティを攻略するためには、初期市場とメインストリーム市場の間にあるキャズムを超える必要があります。ここで、キャズムを超えるためのポイントを整理しておきましょう。

  • 現状の把握
  • ユーザビリティの尊重
  • 実績を数字でアピール
  • リリース直後に先進性を強調
  • ニッチなマーケットにターゲットを絞る

それぞれのポイントについて必要性や進め方を把握することで、効率的にキャズム攻略ができるようになります。それでは具体的に解説します。

(1)現状の把握

まずは現状の把握が必要です。現状とは、対象となる商材がイノベーター理論においてどの位置にあるかを確認するということです。

市場を構成するユーザー層の特徴を押さえることで、自社の商品・サービスがどの位置にいるのか把握できます。自社の商品やサービスが初期市場とメインストリーム市場どちらにあるのか、イノベーター理論におけるどの段階にあるのかをよく確認しましょう。

(2)ユーザビリティを尊重する

キャズムを超えるには、ユーザビリティ(使いやすさ)を尊重することも大切です。アーリーマジョリティに属するユーザーには、イノベーターやアーリーアダプターのように先進的な技術の知識がある人はそう多くいません。

使いこなせる人が少ないため、アーリーマジョリティに普及させるためには、ユーザビリティを尊重して修正や改善を進め、使いやすい環境を整えることが求められます。

ユーザビリティを尊重して成功した事例として、メルカリが挙げられます。メルカリは最初から大きなシェアを得ていたわけではありません。

ユーザーの意見を取り入れてUI/UXを改善することで、少しずつユーザー数を増やしていきました。そして、アプリのダウンロード数が200万を突破したタイミングで大々的な宣伝をおこない、一気にキャズムを超えたのです。

(3)実績を数字でアピールする

アーリーマジョリティは安心感を重視します。そのため、明確で説得力のある数字でアピールすることは、非常に効果的です。

例えば、アプリのダウンロード数や導入企業数などの実績を数字でアピールすることが重要です。また、「売上○○%アップ」「作業時間○○時間削減」など、具体的な成功事例も数字で表現するとわかりやすいでしょう。

アーリーマジョリティの安心感を獲得するには、多くの人が支持していること、具体的に成果を実現した例があることをアピールすることが大切です。言葉による事例紹介や意見・感想も効果的ではありますが、説得力の強さや確実性などは数字の方が大きいので、できるだけ数字でアピールできるように心がけましょう。

(4)リリース直後に先進性を強調する

キャズムを超えるためには、まず初期市場にいあるイノベーターやアーリーアダプターの攻略が必要不可欠です。この層は新しさを重視するため、商品・サービスのリリース直後のなるべく早いタイミングで、先進性を強調する必要があります。

一方アーリーマジョリティは、商品・サービスがある程度普及してから獲得できる層です。それ以前のリリース段階では、まず先進性を強調してイノベーターやアーリーアダプターを獲得しておく必要があります。最新技術や目新しさなど、先進性を強調して初期市場を獲得しましょう。

メインストリーム市場への参入が現実的となったタイミングで、アーリーマジョリティに対して認知度や安心感などをアピールします。そのためにはリリース後の初期市場での実績や評価をできるだけ数値化して、アピールできるようにして準備しておきましょう。

(5)ニッチなマーケットにターゲットを絞る

ニッチなマーケットにターゲットを絞り、シェアの獲得を狙うのも、キャズムを超える効率的な手法です。巨大なマーケットは上手くいけば一気にユーザーを獲得できますが、キャズム攻略の壁が非常に高くなります。しかし、ニッチなマーケットであれば比較的キャズムを超えやすく、シェアの獲得も実現しやすいでしょう。

まずマーケットを絞り込み、ニッチな部分からシェア獲得を狙います。シェアの獲得に成功したら、近いマーケットに乗り込んで同じく施策を進めていきます。時間が必要ではありますが、より確実にシェアを広げていくことが期待できます。

特にスタートアップなどでは、ターゲットを絞り込むセンスが問われます。最初はニッチなマーケットからシェアを獲得し、足元を固めましょう。

キャズムを超えてアーリーマジョリティの獲得を

キャズムを超えてアーリーマジョリティの獲得を

新しい商品やサービスを市場に普及させるためには、アーリーマジョリティの獲得が重要であることをご紹介してきました。また、アーリーマジョリティを獲得するためには、キャズムを超える必要があります。キャズム超えは非常に重要でありながら、市場攻略において最も難しいといえる部分です。

もしキャズムを超えるマーケティング施策でお困りの方やプロに相談したいと考える方は、ぜひニュートラルワークスへお問い合わせください。マーケティングの豊富な実績に基づくノウハウで、有用かつ適切なアドバイスやサポートが可能です。無料相談も受け付けているので、お気軽にご相談ください。

アーリーマジョリティのよくあるご質問

アーリーマジョリティとは?

アーリーマジョリティとは、マーケティングにおけるイノベーター理論で登場する消費者の態度を表す言葉です。

イノベーター理論とは?

イノベーター理論とは、1962年にスタンフォード大学のエベレット・M・ロジャーズ教授が著書『イノベーション普及学』の中で提唱したマーケティングの理論です。イノベーター理論は、新しい商品やサービスが市場に受け入れられていく過程で、消費者がどのような態度を取るのかを、5つに分類しています。

「キャズム」とは?

新しい商品・サービスを市場に普及させる上で、もう一つの重要な理論としてキャズム理論があります。
マーケティングコンサルタントであるジェフリー・A・ムーア氏は、イノベーター理論を踏まえた上で、初期市場とメインストリーム市場の間に深い溝=キャズムが存在すると提唱しました。事業を成功させるにはメインストリーム市場を攻略する必要があり、キャズムを超えることが求められます。

監修者紹介

石田 哲也

石田 哲也

取締役CMO

Twitter:@te2319
株式会社ニュートラルワークス 取締役CMO。1984年生まれ。高校卒業後にISD株式会社を起業。その後、株式会社オプトでWebマーケティングを学び、株式会社メタップスなど複数のベンチャー企業にて事業立ち上げを経験。前職はワンダープラネット株式会社でゲームプロデューサーとしてスマホゲームアプリの制作に従事。2018年に地元の神奈川へ戻り、ニュートラルワークスに入社。SEO/Web広告運用/サイト分析・改善など、Webサイトの運用改善~ゲームアプリ制作や数十万フォロワーのSNSアカウントの運用経験などWebビジネス全般を守備範囲とする。

■経歴
2003年 ISD株式会社/起業
2009年 株式会社オプト/SEMコンサルタント
2011年 株式会社メタップス/シニアディレクター
2013年 ライブエイド株式会社/執行役
2016年 ワンダープラネット株式会社/プロデューサー・BizDev
2018年 株式会社ニュートラルワークス/取締役CMO

■得意領域
Webサイト改善
SEO対策
コンテンツマーケティング
リスティング広告

■保有資格
Google アナリティクス認定資格(GAIQ)
Google 広告検索認定資格
Google 広告ディスプレイ認定資格
Google 広告モバイル認定資格