マーケティング

最終更新日: 2023.05.01

BtoBの意味とは?BtoC、CtoCとの違いを分かりやすく解説

BtoBの意味とは?BtoC、CtoCとの違いを分かりやすく解説

新規事業を立ち上げたい、新しいビジネスを始めたいと考えたときに、まず問題となるのはそのビジネスモデルです。自社の商品やサービスを定めて、市場やターゲットを選択し、どのように事業を進め、利益を生み出すのか、といったビジネスモデルを固めてから計画を策定しなければなりません。

その際に「BtoB」のビジネスモデルを想定して進めたほうが、事業を確立しやすいとも言われます。しかし、BtoBのビジネスモデルはBtoCに比べると一般的ではないかもしれません。実情はどのようになっているのでしょう。

そこで本記事では、BtoBのビジネスについてご説明します。用語の解説から、「BtoC」や「CtoC」のビジネスとの違い、さらにBtoBビジネスを展開している企業の事例、そしてトレンドとなっているマーケティング手法まで、BtoBに関する知識を網羅的に解説します。

石田 哲也

監修者

Twitter:@te2319
株式会社ニュートラルワークス 取締役CMO。1984年生まれ。高校卒業後にISD株式会社を起業。その後、株式会社オプトでWebマーケティングを学び、株式会社メタップスなど複数のベンチャー企業にて事業立ち上げを経験。前職はワンダープラネット株式会社でゲームプロデューサーとしてスマホゲームアプリの制作に従事。2018年に地元の神奈川へ戻り、ニュートラルワークスに入社。SEO/Web広告運用/サイト分析・改善など、Webサイトの運用改善~ゲームアプリ制作や数十万フォロワーのSNSアカウントの運用経験などWebビジネス全般を守備範囲とする。

■経歴
2003年 ISD株式会社/起業
2009年 株式会社オプト/SEMコンサルタント
2011年 株式会社メタップス/シニアディレクター
2013年 ライブエイド株式会社/執行役
2016年 ワンダープラネット株式会社/プロデューサー・BizDev
2018年 株式会社ニュートラルワークス/取締役CMO

■得意領域
Webサイト改善
SEO対策
コンテンツマーケティング
リスティング広告

■保有資格
Google アナリティクス認定資格(GAIQ)
Google 広告検索認定資格
Google 広告ディスプレイ認定資格
Google 広告モバイル認定資格

QUERYY(クエリー)編集部

執筆者

株式会社ニュートラルワークス

QUERYY(クエリー)編集部

QUERYY(クエリー)は、株式会社ニュートラルワークスが運営するデジタルマーケティング情報メディアです。

目次

BtoBとは

BtoBとは

「BtoB」のBは、Businessの頭文字をとったものです。つまり「Business to Business」を略してBtoBと表現しています。さらに「to」を発音から「2」と略して、「B2B」とすることもあります。そして、Businessとは、ビジネスの主体となる組織、多くの場合は法人を指します。そのため、BtoBは企業間取引を表す言葉となっています。

例えば物販の世界では、豊洲市場で行われているのがBtoBのビジネスです。マグロを扱う卸問屋が市場に商品を持ってきて、食料品店や飲食店といった組織の仕入れ担当者が必要な量だけ購入します。

サービスの例では、ECサイトを運営して商品を販売する小売業者に対して、制作会社やコンサルティング会社が、ECサイトを構築・運営・管理するシステムやノウハウを提供するのが、BtoBのビジネスです。

BtoCとは

BtoCとは

BtoBは「Business to Business」の略、企業同士で行う取引やビジネスを指す言葉です。それに対して、BtoCは「Business to Consumer」の頭文字をとったものです。Consumerは消費者を表す言葉で、つまり個人を顧客としたビジネスのことです。

例えば、家電量販店が個人消費者に家電を販売するビジネスがあります。このような、企業が個人に対して商品やサービスを提供して対価を得る取引が、BtoCのビジネスです。

CtoCとは

CtoCとは

さらに、CtoCと呼ばれるビジネスモデルもあります。このCはBtoCのCと同じくConsumerの頭文字です。つまり、「Consumer to Consumer」の略で、個人間取引を表す言葉です。CtoCビジネスは、個人同士による取引です。もちろん古くから存在していた取引形態ですし、会社という仕組みが生まれるより以前は、すべてがCtoCだったと考えることもできます。

とはいえ、ひとつひとつの取引の規模が小さくなる傾向が強いため、近代以降は経済活動としては重視されていませんでした。それが、インターネットの普及によって、見直されています。例えば、ヤフオクなどのインターネットオークションがあります。かつてオークションは希少で高価なものだけが扱われる場でしたが、一般人でも手軽に出品・購入できるようになりました。

また、中古品の売買も同様に、かつては中古品を専門に扱う店舗を経由するのが一般的でしたが、現在ではメルカリなどのサービスの普及により、個人同士が簡単に売買できるようになりました。

BtoB、BtoC、CtoCの違い

BtoB、BtoC、CtoCの違い

このように、BtoB、BtoC、CtoCは、取引をする組み合わせが、企業と個人とで異なるだけにも見えます。しかし、それぞれのビジネスモデルによって大きく特徴に差があります。そのため、分けて考えられることが多いのです。具体的に違う点を見てみましょう。

意思決定者

商品やサービスを購入する主体が、企業が個人か異なるということは、その意思決定者が異なるということです。BtoCの場合、購入する個人消費者が、自分で購入するかどうかの意思決定をおこないます。意思決定をするまでのプロセスは個人ごとに違うものの、その人が意思決定者です。単純な感情だけでも意思決定がしやすいと言うこともできます。

それに対してBtoBのほうが、意思決定までに複雑なプロセスを経ることとなります。企業内には多くの場合複数の担当者がいて、同等の商品やサービスの比較検討や、企業内での議論があり、最終的には決定権を持った人が決断します。多くの人たちが関わるため、多くの人が納得できる合理性がなければ、意思決定が行われにくいという特徴があります。

商品の特徴

BtoCとBtoBでは、どのような商品を販売するかも変わってきます。BtoCでは、購入するのは消費者です。そのため、家電や洋服といった商品は完成していて、そのまま使えるものが主になります。食品などの消費者が加工することの多い商品もありますが、その場合も数量は個人が数人で消費する程度に小分けされて販売されることとなります。

BtoBのビジネスでは、購入した企業がさらに加工することで価値を加えることが多くなります。そのための部品や原料が主な商品です。完成品が商品となることもありますが、その場合は卸業者から小売店への販売のように、取り扱う数量が大きくなるのが特徴です。

購入頻度

購入頻度は意思決定と消費量で決まります。BtoCでは商品を購入するのは個人消費者なので、定期的に購入する定番商品でも、消費する量には限界があります。また、購入の意思決定は個人が行うので、簡単に別の商品に乗り換えることも少なくありません。そのため、BtoCでは、消費者の気を引くために新商品が短期間で開発・発売されることが多くなります。

一方BtoBのビジネスでは、前述のように買い手が購入を決定するまでに時間がかかります。しかし、一度取引を開始すると、継続されることがほとんどです。また、購入した企業の業績が良ければ、同じ商品でも購入頻度が高まったり、購入量が増えたりすることもあります。

マーケティング手法

マーケティング手法も、BtoCとBtoBでは購入の意思決定者が異なるため、強調するポイントに差が生まれることが多くなっています。BtoCビジネスでは、購入の意思を決定するのは個人です。そのため、その個人の感情に訴えかけるアピールをしたり、その人にとってどのようなメリットがあるかをイメージしてもらうアプローチが取られます。

BtoBビジネスでは、意思決定者は複数いたり、合議の上で決められたりします。そのため、複数の人たちが納得できる合理的な判断基準や費用対効果を示す必要があります。

BtoBtoCとは

BtoBtoCとは

BtoB、BtoC、CtoCの他に、BtoBtoCと言われるビジネスモデルもあります。これは前出の3種の略され方と同様に、Business to Business to Consumerの頭文字が取られたものです。つまり、企業が消費者へ商品やサービスを提供する際に、もう1つの企業を経由する形態のビジネスを指します。

例えば、サプリメントの製造を行なっている会社が、通販用の倉庫を持たずに、商品の保管・管理と消費者への配送を行う企業に商品を預けている場合があります。取引の表面は、サプリメントの製造企業が消費者に販売している形となっています。しかし、保管・管理・配送を行う企業は不可分に結びついています。

このような、複数の企業間での取引をトータルで見るべきビジネスモデルがBtoBtoCと呼ばれることが多くなっています。家電メーカー→家電量販店→消費者という取引の流れも、BtoBtoCと言うことはできますが、1つ目のBtoBと、2つ目のBtoCを分けて見ても問題ないので、BtoBtoCと呼ばれることはあまりありません。

そのほかの同じようなビジネス用語は?

そのほかの同じようなビジネス用語は?

ここまで、BtoB、BtoC、CtoCを説明してきましたが、そのほかにも種類がありますので、ご紹介しましょう。

DtoC

DtoCは、「Direct to Consumer」の略です。つまり、消費者に直接、販売するビジネスのことを指します。ECが盛んになった現在、注目されるようになりました。一例を挙げると、これまで野菜は農協などに卸してから市場、次に小売業を経てようやく消費者の手に渡っていました。これがECを介して生産者から直接、消費者に販売されるようになったのです。

BtoE

BtoEは、「Business to Employee」の略です。つまり、社員へ販売するビジネスを指します。例えば、社員食堂がわかりやすい例でしょう。そのほか、お菓子が買えるオフィスグリコ、化粧品が買えるオフィスコスメといったものもあります。

BtoG

BtoGは、「Business to Govemment」の略です。これは行政・自治体へのビジネスを指します。道路工事などのインフラ工事がわかりやすい例です。そのほか、役所に卸す通信機器なども当てはまります。基本的には入札で受注先が決まるため公平性が保たれているのが特徴です。

GtoC

最後にGtoCです。「Government to Consumer」、つまり行政・自治体が消費者に販売するビジネスを指します。有名なところでは、ふるさと納税がGtoCビジネスの1つです。そのほか、e-Taxなどインターネットを介したサービスも当てはまります。

BtoB企業の魅力

BtoB企業の魅力

次に、BtoBビジネスを行う企業の魅力をご説明します。

ビジネスが安定しやすい

BtoBは、実はBtoCに比べてビジネスが安定しやすいと言われます。その結果、売上や利益率も大きな波が少なく、経営も安定する企業が増えます。その理由は、BtoBビジネスが企業間取引を基本にしているためです。企業間の取引は継続して行われることがほとんどなので、売上が減りにくく計算が立ちやすいのです。

例えばアパレル分野では、洋服の縫製を行うのがBtoB、完成した洋服を消費者に販売するのがBtoCの企業です。洋服は流行の移り変わりが早く、ブーム次第で売上が大きく左右されます。そのため、各BtoC企業は常にデザインを変え消費者の興味を喚起しています。

ただ、縫製を行うBtoB企業は、オーダーにしたがって洋服を生産するのがビジネスです。そのため、デザインの流行が変わっても、洋服を生産するというサービスの本質は変わりませんし、洋服を生産する需要もなくなりません。

市場規模が大きいケースが多い

各産業の市場規模は統計データがありますが、その中のBtoBとBtoCの割合は正確には調べられていません。そのため正確な市場規模を算出するのは難しいと言えます。しかし、経済産業省が行なったECに関する調査によると、2017年のBtoCビジネスのECの市場規模は16.5兆円、EC化率は5.79%となっています。

また、BtoBのEC市場規模は317兆円、EC化率は29.6%でした。ここから推定すると、BtoC全体では285兆円、BtoB全体では1,071兆円となります。経済全体の中ではBtoBの市場規模のほうが大きいと考えていいでしょう。市場規模が大きい分、BtoB企業には多くのチャンスがあるのです。ECサイトの内側を考えてみましょう。

商品を仕入れて売るECサイトを運営しているのがBtoC企業とすると、商品を卸す企業、ECシステムを提供する企業、広告などのプロモーションを担当する企業、商品を配送する企業などの多くのBtoB企業も同時に関わっています。しかも、アパレル、家電、食品など分野を問わずにサービスを提供することが可能です。

消費者からはBtoC企業だけしか見えないことも多いので、BtoB企業はあまり目立っていないだけなのです。

影響範囲が広く社会貢献に繋がりやすい

BtoBビジネスは市場規模も大きく、関わる分野も幅広いので、その影響範囲も大きくなります。したがって、BtoBの企業1社のサービスであっても、影響力が大きくなります。家電製品の部品を製造しているBtoB企業がその部品の質を改善すれば、その部品を使っている家電製品すべての品質が向上するとも言えます。

商品の配送を提供しているBtoB企業が、配送に使っている車のエネルギー効率を改善すれば、その企業によって配送されるすべての取引において環境負荷が下がるとも言えます。BtoB企業のビジネスは社会のインフラに近いものでもあります。そのため、技術力やサービスの質の向上、あるいはSDGsなどへの対応が、より大きな社会貢献として働きやすいのです。

BtoB企業の事例

BtoB企業の事例

ここまで見てきたように、BtoBのビジネスにはBtoCとは異なる特徴を持っています。そのため、BtoCビジネスにはない、さまざまなメリットも得られます。とはいえ、もちろんBtoBビジネスを行なっているすべての企業が成功しているわけではありません。この章では、ビジネスが好調なBtoB企業の事例をご紹介します。

部品開発部門が世界的サプライヤーに|デンソー

https://www.denso.com/jp/ja/

部品開発部門が世界的サプライヤーに|デンソー

デンソーは日本最大手の自動車部品メーカーです。元々はトヨタ自動車の開発部門だったものが、1949年に日本電装株式会社という社名で法人化されました。当初は名前の通り、自動車の電装部品をトヨタ自動車に供給していたのですが、創業以来、生産量や分野を拡大し続け、現在ではトヨタ自動車以外へも部品の供給を行なっています。

1996年に社名を現在の株式会社デンソーに変更し、2018年3月の決算では売上高が5兆円を超え、自動車部品業界では世界3位にまで成長しています。主な製品はエンジン関連部品、電気機器関連部品を始めとした自動車部品です。しかし、その他にも幅広い分野でビジネスを行なっています。古くは無線機や、現在では携帯電話、さらにドローンまで生産しています。

また、カーエアコンの技術を応用して冷凍庫の冷却効率を高めたり、家庭用給湯器を開発したりと、家電の分野にも進出。さらにQRコードの開発もデンソーが行いました。これら多種多様な分野への進出は、高い技術力と、研究開発力が土台になっています。そして、自動車部品を生産する過程で生み出した技術力を転用して新しい分野へ進出する、柔らかい発想も強みでしょう。

カーエアコンの技術から冷却装置、センサーの技術からドローン、工場での生産管理の技術からQRコードと、柔軟に事業分野を広げています。BtoB企業だからといって単純な下請け生産だけをしているわけではありません。デンソーのように独自の研究開発で技術を持った企業は大きく成長しています。

個人には販売しない業務用食品専門店|Mマート

https://www.m-mart.co.jp/

個人には販売しない業務用食品専門店|Mマート

Mマートは、食材を専門に扱うECサイトです。その特徴は、取り扱っている商品が業務用のものだけという点です。BtoB取引のみを行なっている、一般消費者は使えないECモールとなっています。

Mマートで商品を購入するためには会員登録が必要ですが、飲食店、ホテル、弁当や給食業者、食料品店などしか登録できません。また、Mマートに出店できるのも、加工メーカー、問屋、輸入業者、生産者などに限られます。

商品を購入する側にとっては、業務用の数量や加工具合の商品なので、一般向けよりも安価に仕入れることができます。販売する側にとっては、場所や業態に関わらず新しい販路の開拓ができます。この双方を繋ぐビジネスです。

Mマートの設立は2000年、インターネット上のECモールとしては早い時期です。その時点ですでにBtoB専門としていました。その後、インターネットが一般に普及するのに伴って会員数や売上を伸ばし、2018年には東証マザーズに上場、2021年の売上は55億円を超えています。

楽天やamazonといった有名なECモールとは異なり、あえてBtoBの領域にビジネスを限定したことで、サービスの差別化ができています。

また、楽天やamazonといった一般消費者にも見える場所には出したくないといった、業者間の事情も上手く利用していると言えるでしょう。その特徴から取り扱い商品にも強みが生まれて、利用者にメリットを提供でき、成功しているビジネスです。

アパレル業界にもう一つの販路を提案した|ZOZOTOWN

https://zozo.jp/

アパレル業界にもう一つの販路を提案した|ZOZOTOWN

ZOZOTOWNはアパレル商品の通販を行うECサイトなので、BtoCビジネスに見えます。しかし、実際には商品管理と物流を主な事業としたBtoBビジネスを行なっているとも言えます。ZOZOTOWNは各アパレル企業の商品の受託販売を軸としているためです。

ZOZOTOWNに出店するアパレル企業は、その商品をZOZOTOWNの物流倉庫に預けます。その商品が売れたら、ZOZOTOWNがそのまま発送し、お客様に届けます。この際に、アパレル企業はZOZOTOWNに受託販売手数料を支払います。この手数料がZOZOTOWNの主な収益を生んでいます。

出店するアパレル企業は、自社の商品在庫をZOZOTOWNの倉庫に預けるだけです。注文処理や発送作業はZOZOTOWNが行ってくれます。自社ECを作成したり運営したりといったノウハウやリソースがなくても、オンラインでの販売を始められます。

ZOZOTOWN側は、受託販売をしている形態なので、在庫を持つリスクがありません。ECサイトを運営するBtoCビジネスの側面もありますが、各アパレル企業の自社ECの商品管理・発送業務も請け負うなど、フルフィールメントサービスを行うBtoBビジネスが主なのです。

ECショッピングモールはたくさんありますが、受託販売形式をとったことがZOZOTOWNの成功の大きな要素でした。創業当初は、アパレル企業が不良在庫をZOZOTOWNに一括で預けて値引き販売する、という事例が多く見られました。

それによって在庫を一括で処理することができ、価格や商品ラインを限定することで自社ECとの差別化も可能となりました。ZOZOTOWNはアパレル業界に新しい販路を提供することで成功したBtoB企業でもあるのです。

顧客の成功を共に目指すという理念|salesforce.com

https://www.salesforce.com/jp/

顧客の成功を共に目指すという理念|salesforce.com

salesforce.comはアメリカのサンフランシスコに本社を置くIT企業です。営業支援やカスタマーサービスなどのCRM(顧客関係管理)サービスを中心に提供しています。企業が顧客との関係をより良くするためのシステム提供とコンサルティングを行うBtoBビジネスを展開しています。

1999年の設立以来、世界的に拡大を続けており、64言語に対応、世界のソフトウェア企業ランキングでは10位となっています。また、日本法人も順調で、日本国内の営業支援システムとしては60%を超えるシェアを占め、2021年の売上は1200億円を超えています。

salesforce.comは理念として「カスタマーサクセス」を掲げています。顧客の成功、つまりsalesforce.comにとっての顧客であるBtoBビジネスの取引相手の成功を手助けする、という考え方です。顧客の課題を理解して、業務を改善していくために、顧客を深く理解してシステムを最適化し、使ってもらう。

単なるITシステムの開発だけでなく、ビジネスを成功させるためのノウハウを蓄積しているのが強みと言えます。

BtoB企業にとって、もちろん商品やサービス自体の優秀さは大切です。しかし、BtoBビジネスは継続して取引が行われるものが多く、顧客との関係性を強固にすることが重要となります。そのために、単純に自社の商品やサービスを向上させるだけでなく、常に顧客と同じ視点を持つことが、カスタマーサクセスの考え方です。

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新世代のマーケティングを支援する|HubSpot

https://www.hubspot.jp/

新世代のマーケティングを支援する|HubSpot

HubSpotは2006年に設立された、アメリカのボストンに本社を置くIT企業です。インバウンドマーケティングという新しいマーケティング手法を提唱して、その手法でマーケティングを行うためのシステムを開発し、企業に提供するBtoBビジネスを行なっています。

インバウンドマーケティングとは、従来の販売促進活動のように潜在顧客を探して自社の商品やサービスをアピールして取引してもらうのではなく、潜在顧客に自社の商品やサービスを見つけてもらい理解してもらうことを目指した手法です。

広告を出稿して追いかけて顧客を獲得する、プッシュ型の営業手法は嫌われる。だから、顧客の側から来てもらえるようにする、というのが主なコンセプトです。

インターネット上に自社のサービスや、それに関する情報、潜在顧客が欲しがっている情報などを公開しておき、潜在顧客が自ら検索してその情報にたどり着き、自社のサービスを知ってくれるようにする。顧客の側が来るということで、インバウンドと表現しています。

インバウンドマーケティング、あるいはコンテンツマーケティングという呼び方で、日本でも数年前に一気に広まりました。その起点がHubSpotだったと言えます。現在では世界中にサービスを拡大し、2021年には売上も10億ドルを突破しました。

自ら考案した手法をもとに、それを多くの企業が使えるようにするためのシステムを開発し、サービスとして提供するビジネスです。提供しているサービスとしては1つだけとも言えますが、それを仕組み化することで、多くの企業でも使えるようにして、幅広いビジネスに育てていったものです。

BtoCビジネスに比べると、BtoBビジネスは取引に継続性があるので、多くの企業が抱えている共通した悩みを解決できるサービスならば、1つだけであっても規模を拡大することが可能です。

最適なBtoBマーケティング(リード獲得編)

最適なBtoBマーケティング(リード獲得編)

BtoBビジネスもBtoCビジネスと同じく、潜在顧客を探し出してアプローチを行い、実際の顧客となってもらう、という工程が必要です。とはいえ、BtoBビジネスにおけるマーケティングにはBtoCビジネスとは異なる特徴もあります。

まず、BtoBマーケティングの第一段階である、リードの獲得についてご説明します。リードとは、見込み顧客のことを指します。まず、自社の商品やサービスの顧客となる可能性がある相手を潜在顧客とします。

その潜在顧客にアプローチして自社の商品やサービスを知ってもらい、興味を持ってもらった上で、何らかのコンタクト方法(メールアドレス、電話番号、住所など)を得た相手が、見込み顧客(リード)と言われます。

リードを獲得することで、ようやく本格的なアプローチが可能になります。実際に顧客となってもらえるのはリードの中の一部なので、分母となるリードは常に集め続けることが重要です。リードを獲得するためにはさまざまな方法がとられていますが、ここでは代表的な6つの方法をご紹介します。

展示会

展示会はBtoBマーケティングの手法としては定番とも言えるもので、産業や分野ごとに開催されています。首都圏なら東京ビッグサイトや幕張メッセ、関西ではインテックス大阪などの大規模な施設で行われることが多くなっています。

展示会にはその分野の企業がブースを出展し、それぞれの商品やサービスを展示したり、パンフレットや資料を配布しています。来場者は商品やサービスの導入事例も知ることができ、その場でさらに詳しい説明を受けたり、場合によってはすぐに商談も可能です。

展示会のメリット

展示会には、基本的にその産業や分野の関係者しか来場しないので、潜在顧客の割合が非常に高いのが一番のメリットです。また、出展ブースに立ち寄ってくれた人や、興味がありそうに展示を見ている人には、直接声をかけて話をすることができます。その際に名刺を交換したり、連絡先を聞くことができるので、多くのリードを獲得できます。

展示会のデメリット

展示会に出展するためには、主催者に申し込みをして出展料を支払う必要があります。また、出展ブース内の装飾や、配布するための資料やグッズなどにもコストと準備のための手間がかかります。それに加えて、展示会が開催されている数日間は人員を配置しなければなりません。これらを総合すると、かなりの費用を見込む必要があります。

コロナウィルスの拡大以来、展示会への来場者も減少傾向で、オンラインへ移行している点も注意が必要です。

ホワイトペーパー

ホワイトペーパーとは元々は白書のことで、調査結果をまとめた資料などのことを指しますが、BtoBマーケティングの領域では少し意味合いが異なります。マーケティングでは、潜在顧客が必要としている情報や、課題を解決するための情報とともに、自社の商品やサービスがその課題を解消できることをまとめた資料のことを言います。

そして、マーケティングの手法としては、ホワイトペーパーを配布する際に、引き換えに個人情報などを教えてもらいます。直接手渡す場合には名刺と交換したり、WEBサイトでダウンロードする場合には情報の入力が求められる形式になっていることがほとんどです。その情報取得によってリードが獲得できます。

ホワイトペーパーのメリット

個人情報を提供するということは、その後でホワイトペーパーを作成した企業から営業のためのコンタクトがあると予想できます。それでもその情報が欲しいと考えているリードを獲得できるので、自社の商品やサービスの顧客となる可能性が高いと考えられます。

また、ホワイトペーパーで示した課題解消方法に、商品やサービスの説明を盛り込めるのもメリットです。リードに対してスムーズにアピールすることができます。

ホワイトペーパーのデメリット

ホワイトペーパーは一般的な営業用のプレゼン資料やパンフレットとは異なります。統計やエビデンスに基づいた情報をまとめて、説得力を持った内容で作成しなければなりません。その制作にノウハウやコストが必要です。また、内容が薄かったり、過度に売り込み要素が強いと、逆に敬遠される結果にもなってしまいます。
ホワイトペーパーとは?作り方と目的、デザインサンプル事例 ホワイトペーパーとは?作り方と目的、デザインサンプル事例

コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングとは、企業が運営するWEBサイトやブログなどで、潜在顧客が興味を持ったり欲しいと思っている情報を含んだコンテンツを配信して、潜在顧客を集める方法です。多くの場合はブログ形式で、ペルソナを設定して様々な視点や状況を想定してコンテンツを作成します。

潜在顧客が調べることの多いキーワードでWEB検索した時に、検索結果に表示されるようSEO対策を施したコンテンツを制作します。潜在顧客が日常的に検索するうちに、そのコンテンツが目に止まり、認知してもらえるようになるのを目指すのです。

さらに、コンテンツの内容に興味を持ってもらえた時のために、ホワイトペーパーをダウンロードできるようにしておいたり、メールマガジン登録ができるようにしておいたりします。そこで得られるメールアドレスや企業情報によって、リードを獲得できます。

コンテンツマーケティングのメリット

WEBコンテンツは広告と違い、制作後は費用をかけ続けなくても蓄積されていきます。そのため、長期的には安価に潜在顧客にアプローチし続けることができるようになります。また、コンテンツマーケティングで獲得できるリードは、自分から情報集めをしている能動的な人たちなので、商品やサービスの導入にも積極的と考えられます。

コンテンツマーケティングのデメリット

コンテンツマーケティングは、結果が出るまでの期間が比較的長い傾向があります。コンテンツを継続してある程度の量は制作する必要があるためです。また、検索順位が高くなければ見てもらえる回数も増えませんので、SEOのノウハウも必要です。もちろんコンテンツの質が高くなければ、潜在顧客はそれを見ただけで離脱してしまいますので、リードの獲得には至りません。
コンテンツマーケティングとは?事例とともにわかりやすく解説 コンテンツマーケティングとは?事例とともにわかりやすく解説

セミナー・ウェビナー

セミナーでは、潜在顧客の興味を引く題材や多くの企業が持つ課題について解説したり、それに併せて自社の商品やサービスを紹介します。または、専門家を招いて議論してもらったり、自社製品の顧客に事例を紹介してもらうこともあります。多くの人を集めて講演を行い、その代わりにコンタクト情報をもらい、リードを獲得します。

ウェビナーはセミナーのオンライン版を指します。インターネット技術の進化や通信速度の向上によって一般的になりました。ライブ配信の場合もありますが、録画配信であれば時間を合わせてアクセスする必要もなく、前述のコンテンツの1つのようにも使えます。場所の制約なく多くの人を集められることや、コロナウィルスの拡大によって、ウェビナーの割合が増えています。

セミナー・ウェビナーのメリット

セミナーやウェビナーを開催すると、その分野での信頼感を醸成することができます。もしまだ自社の認知度が低くても、ゲストに専門家などを招くことでカバーして、多くの参加者を集めることができます。また、開催されるテーマに興味のある人だけが参加してくれるので、自社と相性の良いリードを多く獲得できることもメリットです。

セミナー・ウェビナーのデメリット

セミナーやウェビナーを開催するには、それだけのノウハウや情報の蓄積が必要です。少なくとも数十分、参加者を引きつけて聴いてもらわなければなりません。そのセミナーやウェビナーの質が低ければ、リードが獲得できたとしても、商品を購入したりサービスを導入してはもらえないでしょう。そのための準備が最も難しい点です。

また、セミナーでは多くの人を集める必要があるので、集客や場所の用意にも大きな費用がかかります。ウェビナーでも、配信のための設備や技術が必要となります。通常業務とは異なるので社内のリソースだけでは難しいかもしれません。
ウェビナーマーケティングとは?メリットと効果、運用のコツを解説 ウェビナーマーケティングとは?メリットと効果、運用のコツを解説

WEB広告

多くの人がパソコンを使ってインターネットに接続して仕事をしていますので、オンライン広告はBtoBビジネスでも有効です。主に使われているWEB広告には、以下のような種類があります。

リスティング広告

WEB検索をしたときに、その検索したキーワードに合わせて表示される広告です。自社の商品やサービスに合ったキーワードを設定しておけば、そのキーワードに関心のある人に向けて表示されますので、相性の良い潜在顧客にアプローチすることができます。その広告から自社WEBサイトなどへ遷移してもらい、さらに詳しい商品やサービスの紹介を行って、リードを獲得します。

ディスプレイ広告

ディスプレイ広告は、WEBサイトに埋め込まれた広告スペースに表示されるものです。そのWEBサイトを訪れた人の属性に合わせて表示される広告が変化しますので、自社と相性の良いターゲット層や、リードとして獲得したいターゲット層に向けてアプローチできます。ただし、リスティング広告のようにキーワードなど直接的なニーズに合わせることはできません。

SNS広告

FacebookやINSTAGRAM、twitterなどのSNS上に、タイムラインとともに表示される広告です。リスティング広告やディスプレイ広告は、ある程度決まった場所に表示されるので、慣れているユーザーには無視されることも多くなっています。しかし、SNS広告はタイムライン上に混ざって表示されるので、認知される確率が高くなります。

また、広告を表示する先はディスプレイ広告と同じく属性によって調整できますが、ディスプレイ広告よりもターゲット層の絞り込みの正確性が高い傾向もあります。

リターゲティング広告

上記3つのWEB広告は、検索キーワードや属性によって潜在顧客にアプローチするものでした。それに対してリターゲティング広告は、一度自社のWEBサイトにアクセスした人だけに表示できるものです。自社のWEBサイトの閲覧歴があるので認知はされていると考えられ、さらに興味を深めてコンタクト情報を入力してもらう、という段階へ促すことができます。

WEB広告のメリット

上記のような種類があるWEB広告ですが、共通したメリットは比較的安価に始めるられ、全くの新規の潜在顧客にアプローチできることです。展示会へ出店やセミナーの開催は数十万円必要となりますが、WEB広告は数万円からでも開始できます。また、コンテンツマーケティングのようにSEO効果が出るまでの時間も要らず、出稿すればすぐに集客が可能となる点もメリットです。

WEB広告のデメリット

潜在顧客に広くアプローチできる代わりに、その精度は必ずしも高くはありません。例えば、同じCRMツールに興味を持っている人であっても、WEB検索をして調べている段階の人と、実際に話を聞くために展示会に来た人では、その興味の大きさには差があるためです。自社のWEBサイトの閲覧数は上がったものの、効果的にリードが獲得できないということにもなりかねません。

WEB広告を配信するターゲットの設定や、広告をクリックしてもらった後の導線の設計を綿密に行う必要があります。

テレアポ

テレアポは、いわば古典的な販促方法とも言える、電話による売り込みです。電話番号を含んだ潜在顧客のリストをもとに電話をかけて、その相手に自社の商品やサービスについて紹介していきます。もし興味を持ってもらえたらさらに詳しい話をしたり、資料を渡したりするために、アポイントを取って相手の会社を訪問し、リードを獲得します。

テレアポのメリット

自社のターゲット層のリストがあれば、その相手は自社について全く知らなくても、アプローチすることができます。自社やサービスの知名度が低くても積極的に販売促進営業ができるため、多く使われているとも言えます。また、自社の商品やサービスを紹介してアポイントを取るマニュアルだけ用意すれば、あとはリストと電話があれば始められる点もメリットです。

テレアポのデメリット

一方的に電話をかけて自社の商品やサービスを売り込むことになるので、迷惑がられたり警戒されることは少なくありません。また、近年ではセキュリティ意識や業務の効率化のために、テレアポ営業の電話は取り次がないという会社も増えています。その結果、成約率は高くなりにくい傾向があり、場合によっては悪評も立ちかねません。

自社と相性の良い潜在顧客を多く含むリストかどうか確認して丁寧に実施した方がいいでしょう。

最適なBtoBマーケティング(リードナーチャリング編)

最適なBtoBマーケティング(リードナーチャリング編)

潜在顧客の中からリードを獲得したら、次はそのリードを育成して顧客にまで引き上げる必要があります。その工程をリードナーチャリングと言います。

商品やサービスの性質や単価にもよりますが、BtoBビジネスでは購買までのプロセスや、比較検討期間が長いことが多いので、中長期的に時間をかけてアプローチし続けることとなります。リードのニーズや課題を調査して、それに合った有益な情報や解決策を提案していきます。

リードの段階によってアプローチの内容を変えて、徐々に成約に向けて引き上げていくので、育成という表現が使われます。例えば、ECサイトを運営している企業へのアプローチであれば、以下のような段階を設定して行うことが多くなります。

まず、課題を認識してもらうため、売上が伸び悩んでいる原因はどこにあるのか探ってもらいます。商品が良くない、競合よりも価格が高い、ECサイトが使いにくい、などの代表的な例を提示して、課題を浮かび上がらせる方法を紹介します。

次に、それぞれの課題の解決方法を提案します。商品の改善、ECサイトの改修、価格設定、様々な解決方法があることを紹介します。

そして、自社のサービスを使った解決方法を提案します。課題を探り、解決方法を提示しても、ECサイトを運営している会社だけで実施できることには限りがあるでしょう。そのお手伝いや、効率的に改善できるシステムの導入を提案するのです。

多くの情報を共有した後であれば信頼感も生まれていますし、段階を踏んで導入を提案した方が突然サービスを売り込まれるよりも相手にもスムーズに理解してもらうことができます。リードの獲得にも多くの手間とコストがかかっています。それを無駄にすることなく、丁寧に育成して顧客化の確率を高めていきましょう。

ABM(アカウントベースドマーケティング)

ABMはAccount-Based Marketingの略で、ここ数年で主にアメリカで多く採用されるようになってきたマーケティング手法です。ここで言うアカウントとは、顧客となる企業を指しています。リードを獲得すると、これまではその担当者個人を対象にリードナーチャリングを行うのが普通でした。しかし、そのアプローチする対象を相手企業全体に広げるのがABMの基本的な考え方です。

リードを獲得した担当者にだけアプローチするのではなく、その企業について深く調べ、最適な形でのアプローチを検討します。担当者だけでなく、複数のアプローチすべき窓口を見つけ、そのそれぞれの窓口に対して、その需要を満たし課題を解決するための提案を戦略的に行うのです。それまでの担当者対担当者の関係ではなく、企業対企業でより密接に関係を築く手法です。

ABM(アカウントベースドマーケティング)のメリット

ABMでは、相手企業に最適な形でアプローチするため、成約率の向上が期待できます。システム担当者の個人情報をリードとして獲得した場合でも、その人だけでなく、他の部署も含めて関係性を広げていきます。

それによって、アプローチできる対象や経路も広がり、より自社のサービスを採用してもらいやすい状況を作ることができます。リードにとって、自社がなんでもできる、なんでもわかってくれる、という状態にするのが理想です。

また、相手が大企業であれば、相手企業全体との関係性を強めることを通して、LTVを大きくする効果が生まれます。最初に獲得したリードは1人の担当者のものだけであっても、横に広げていくことで複数の受注も可能となるためです。

複数の事業を持つ企業であれば、同じ課題を持った事業部もあるかもしれません。そのような事業部が見つかれば、すでに導入実績のあるサービスは売り込みやすくなります。

ABM(アカウントベースドマーケティング)のデメリット

ABMに取り組むためには、自社は全社を挙げて相手企業に集中しなければなりません。営業担当ひとりでできることではないので、非常に大きなコストがかかることとなります。自社内での情報連携などの体制づくりも必要です。

そのため、ABMは大企業のみを相手に行われることがほとんどです。まず、すでに付き合いのある企業を調査して、ABMに取り組んだ場合に生み出せる見込み利益を推定することから始めなければなりません。大幅な業務プロセスの見直しや、マーケティングツールの導入が必要となるのがデメリットです。
ABMとは?効果と導入手法、おすすめツールを紹介 ABMとは?効果と導入手法、おすすめツールを紹介 ABM(アカウントベースドマーケティング)が日本で普及しはじめてかなりの時間が経ちました。ABMは営業の成果向上に非常に効果があるマーケティング施策です。ABMの基本からメリット、代表的なABMツールや導入事例を紹介します。

カスタマーサクセス

BtoBビジネスの基本は、双方にメリットが生まれる取引をすることです。ECシステムを提供する会社とECサイトを運営する会社の取引であれば、ECシステムを提供する会社はシステム利用料を得ることができ、ECサイトを運営する会社は商品をより多く販売して利益を増やすことができます。お互いに、相手が成功すれば、自社もより多くの利益を得られるようになるわけです。

そのために、自社の商品やサービスを顧客にしっかり使いこなしてもらい、顧客の需要や課題も共有し解決することで、顧客の利益に結びつけようという考え方が、カスタマーサクセスです。

近年増えてきたSaaS型やサブスクリプションタイプのサービスでは、特にカスタマーサクセスが重視されます。それらのサービスでは、システムやソフトなどを制作して納品したら終わりではなく、常に顧客の満足度を高く保っていなければ、解約となってしまうためです。BtoBビジネスの基本でもある継続した取引を実現するための手法です。

カスタマーサクセスのメリット

カスタマーサクセスの考え方が自社内に浸透して共有・実現できれば、顧客と強固な関係性を築き、継続して取引を行うことができます。また、顧客の新たな課題を解決するために、アップセルやクロスセルにも繋げることができます。そして、それらのノウハウは社内に蓄積され、他の顧客にも提供できるようになり、さらにサービスを進化させられます。

カスタマーサクセスのデメリット

顧客と同じ視点を持ち、その課題を理解して素早く適切にサービスを進化させるのは簡単なことではありません。単なるシステム制作業務を超えた、コンサルティングのノウハウも必要となるためです。また、課題がわかり、解決方法が策定できたとしても、すぐに商品やサービスに反映させるだけの技術力も必要です。

CRM

CRMとは、Customer Relationship Managementの略です。顧客関係管理と訳されることもあります。顧客との関係を管理すると言うと具体的なイメージが湧きにくいかもしれませんが、顧客満足度を高めることで顧客ロイヤリティを向上させ、売上と利益の拡大を目指す手法です。

顧客が置かれている状況を理解して、それに対応することで関係を築き、信頼を得て、自社の利益につなげる。古くから知られていた考え方ですが、近年の技術の進化にともなって様々なツールが開発され、より注目されるようになりました。

パソコンやスマートフォンが普及してからは、顧客の情報をより詳しく取得して蓄積し、分析を行えるようになったためです。できるだけ多くのデータを収集して一元管理し組み合わせることで、顧客一人一人に適した商品やサービスの提案が可能になっています。

CRMのメリット

顧客の情報を蓄積すれば、それだけパーソナライズされたサービスが可能になります。BtoBビジネスには継続性が大切なので、顧客情報もより効果的に活用できるようになります。また、営業部とマーケティング部、さらにシステム部など、社内で情報を共有できるので、連携をとってサービスを向上・開発することも可能です。

さらに、多くの顧客の情報を蓄積できれば、同じ課題を持つリードへのアプローチにも役立てられます。

CRMのデメリット

CRMを徹底しようとすると情報量が膨大になるため、どうしてもデジタルツールやシステムが必要になります。そのツールを使いこなすための教育や人材育成に課題を持っている企業は少なくありません。全社で一貫したオペレーションを行い、全ての情報を一元管理しなければ効果が得られないので、単純にCRMのための部署を作れば実行できるものではないためです。
CRM導入のメリット・デメリットとは?MA、SFAとの違いも解説 CRM導入のメリット・デメリットとは?MA、SFAとの違いも解説 1990年代から国内で普及しはじめたCRMですが、今でも重要なマーケティング手法として知られています。そもそもCRMとは何なのか、導入のメリット・デメリット、CRMツール選定時の注意点などを解説します。

動画

パソコンやスマートフォンの性能の向上とインターネット回線の高速化によって、動画の配信が一般的になりました。配信する側にとっても簡単にできるようになり、動画を見ることができないインターネット環境にある人の割合も非常に低くなったためです。それにつれて、BtoBのマーケティングでも動画が使われることが多くなりました。

広告動画を配信する、自社WEBサイトに商品やサービスの説明をする動画を設置する、といった潜在顧客やリードに対する動画もあります。

また、商品やサービスの使用方法を説明する、新サービスや新機能などの説明をするといった、顧客に向けての動画もあります。多くの段階やシチュエーションで、動画の方が適していると判断されれば、動画での配信が選ばれる傾向にあります。なお、今後5Gが普及するとさらに動画の利用が増えると考えられています。

動画のメリット

動画の最大のメリットはイメージを伝えやすいことです。商品やサービスの機能や使用感を伝えるために、写真や文章よりも動画の方が適している場面はたくさんあります。また、BtoBビジネスでは、導入検討期間が長く、多くの人が関わるため、その参加者に共通したイメージを持ってもらいにくいこともあります。

その場合にも、動画であればイメージの共有がしやすく、リードナーチャリングもスムーズです。

動画のデメリット

動画の制作と配信が身近になったとはいえ、まだまだ写真と文章を用いたものに比べるとコストが余計にかかります。より魅力的、効果的に伝えるための動画制作ノウハウを自社内に持っている企業は非常に少ない状態です。

また、自社のWEBサイト内で動画を配信するためには、サーバーの性能も増強する必要があるかもしれません。対面での商談など、オンライン以外で活用するためには、各担当者の教育やデバイスも必要となります。初期投資、ランニングコストともに増えてしまうのがデメリットです。

商談のオンライン化

日本国内のオンライン営業ツールとして大きなシェアを持つベルフェイスがテレビCMを開始したのが2018年でした。それから徐々に商談をオンラインで行うためのツールは普及しつつありましたが、コロナウィルスの拡大によって一気に広まりました。

アメリカ、シリコンバレーで創業したZOOMが先行してユーザーを伸ばしましたが、googleやマイクロソフトといった巨大IT企業も素早くツールを公開して追随しています。競争が激しくなったことで使い勝手も急激に向上しています。

これらの動きによって、オンラインで行われる商談が急増しています。リードや顧客に対して営業担当が訪問し、対面で説明や商談を行うのが一般的でしたが、それがオンラインに置き換わっている状況です。

商談のオンライン化は、コロナウィルスの問題が解決するまでの一時的なものだと考えている人もいます。しかし、デジタルネイティブの世代を中心に、これから定着していく手法でしょう。メリットもデメリットもありますので、オンラインとオフラインを場合によって使い分けを考えるべきです。

商談のオンライン化のメリット

オンラインでの営業ならば移動時間がかからないため、より頻繁に細かくアプローチすることができます。商品やサービスによっては、単価の低さや収益の少なさが原因で、十分に対面で説明することができない場合もありました。それらの商品やサービスでも、営業や商談のオンライン化と効率化によって、より細かいアプローチが可能になる部分もあります。

また、オンラインでは商談の場の機材に頼ることなく資料や動画を共有して見てもらうこともできるので、より効果的な説明が可能になる部分もあります。

商談のオンライン化のデメリット

オンラインでの商談には当然ながらデジタル機器とインターネットの操作が必要です。この知識を持たない人、持つことを諦めている人もまだまだ少なくありません。しかも、世代的に意思決定権を持っている立場の人に、その割合が多いとも言えます。そのため、オンラインではキーパーソンにアクセスすることができない、というケースも発生しています。

また、実際に商品を手にとってもらった方が購入意欲を高めてもらいやすい商材など、オンラインの商談には向かないものもあります。

BtoBのまとめ

BtoBのまとめ

BtoBは企業同士の間のビジネスなので、取引の規模も大きくなり、継続性も高いのが特徴です。常に流行が移り変わり、取引一件ごとの単価も低いBtoCに比べると、ビジネスを安定させやすいという魅力があります。

ただし、BtoCとは異なる特徴も多いため、そのマーケティング手法にも独特の部分があります。BtoBビジネスに参入する、BtoBビジネスを伸ばす際には、それらに留意する必要があります。

その特徴が生まれる最大の要因は、BtoBビジネスでは意思決定のプロセスが長く複雑で、多くの人が関わることにあります。商品やサービスを導入するまでにいくつもの段階がありますので、より細かく丁寧に商品やサービスの機能や効果を説明する必要があります。

また、意思決定をしてもらうまでに多くの人を納得させる必要があるので、根拠のある合理的な説明ができなければなりません。

そのため、商品やサービスは作り込まれた完成度の高いものが好まれる傾向にあり、マーケティング手法は展示会・ホワイトペーパー・セミナーのように専門性が高くなる傾向と、CRMやカスタマーサクセスを重視した綿密なものになる傾向があります。

このように、BtoBのビジネスモデルでは、その企業が提供する商品やサービスだけでなく、ターゲットとなる顧客企業、さらにその先にいる顧客の顧客までを熟知することが非常に重要になります。また、マーケティングの手法や内容もBtoCとは大きく異なることから、専門の知識と経験が必要です。

もしもBtoBビジネスのマーケティングについてお困りのことがあり、一度プロに相談してみたいといった場合には、ぜひニュートラルワークスにご相談ください。

BtoBのよくあるご質問

BtoBとは?

「BtoB」のBは、Businessの頭文字をとったものです。つまり「Business to Business」を略してBtoBと表現しています。Businessとは、ビジネスの主体となる組織、多くの場合は法人を指します。そのため、BtoBは企業間取引を表す言葉となっています。

BtoCとは?

BtoCは「Business to Consumer」の頭文字をとったものです。Consumerは消費者を表す言葉で、つまり個人を顧客としたビジネスのことです。

CtoCとは?

CtoCビジネスは、「Consumer to Consumer」の略で、個人間取引を表す言葉です。個人同士による取引となります。

監修者紹介

石田 哲也

石田 哲也

取締役CMO

Twitter:@te2319
株式会社ニュートラルワークス 取締役CMO。1984年生まれ。高校卒業後にISD株式会社を起業。その後、株式会社オプトでWebマーケティングを学び、株式会社メタップスなど複数のベンチャー企業にて事業立ち上げを経験。前職はワンダープラネット株式会社でゲームプロデューサーとしてスマホゲームアプリの制作に従事。2018年に地元の神奈川へ戻り、ニュートラルワークスに入社。SEO/Web広告運用/サイト分析・改善など、Webサイトの運用改善~ゲームアプリ制作や数十万フォロワーのSNSアカウントの運用経験などWebビジネス全般を守備範囲とする。

■経歴
2003年 ISD株式会社/起業
2009年 株式会社オプト/SEMコンサルタント
2011年 株式会社メタップス/シニアディレクター
2013年 ライブエイド株式会社/執行役
2016年 ワンダープラネット株式会社/プロデューサー・BizDev
2018年 株式会社ニュートラルワークス/取締役CMO

■得意領域
Webサイト改善
SEO対策
コンテンツマーケティング
リスティング広告

■保有資格
Google アナリティクス認定資格(GAIQ)
Google 広告検索認定資格
Google 広告ディスプレイ認定資格
Google 広告モバイル認定資格