CRM導入のメリット・デメリットとは?MA、SFAとの違いも解説

1990年代から国内で普及しはじめたCRM(顧客関係管理)ですが、今でも重要なマーケティング手法として知られています。そこでこの記事では、CRMを導入するメリット・デメリット、CRMツール選定時の注意点を詳しく解説するとともに、MAやSFAとの違いもまとめています。CRMについて、「なんとなくしか分からない」という方は、ぜひ参考にしてください。

CRMとは?

CRMとは

CRMは、Customer Relationship Managementの頭文字で、日本語では「顧客関係管理」という意味です。顧客情報をデータ化し、顧客との関係を管理・構築するマネジメント手法をCRMといいます。エクセルなどで管理する顧客データの「上位モデル」のようなものだと考えてください。

具体的にはどんな施策がCRMなのか

CRMは、主に6つの機能に分けられます。

  1. 顧客管理
  2. データ分析レポート
  3. キャンペーン管理
  4. メール配信
  5. 顧客サポート機能
  6. ソーシャルメディア連携

顧客との関係性を構築するには、顧客情報を常に最新の状態に更新することが重要です。CRMの根幹である顧客情報管理として、まず顧客のデータベースを作り(1)、ソーティングやフィルタリングを行います(2)。

(1)と(2)で区分けされたデータをもとに、どの顧客にマーケティング施策を行うかを決定し(3)、メルマガなどの必要情報を顧客へ配信します(4)。

さらに必要に応じて顧客サポート機能(5)やソーシャルメディア連携(6)をしていきます。

CRMとMA、SFAの違い

CRMとMA、SFAの違い

営業ツールを導入する際、CRMとMA、SFAで迷うことがあると思います。ここでは、これらの違いを説明します。

CRM(Customer Relationship Management):顧客管理システム

顧客情報や履歴情報を管理し、集約されたデータを細分化します。それらのデータをもとにきめ細かい対応を継続し、顧客との長期的な関係性を構築するためのツールです。

MA(Marketing Automation):マーケティング自動化システム

メール配信や顧客情報のスコアリングなど、ワントゥワンマーケティングを自動化し、確度の高い顧客を育成します。CRMでデータ化、分析された顧客に対してWebプロモーションを簡単に行うのがMAだと考えていいでしょう。最近ではCRMもMAも同時に行えるツールが増えてきています。
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SFA(Sales Force Automation):営業支援システム

企業情報や担当者情報をデータ化し、商談状況を可視化します。細かい情報を随時更新することで、成約率の向上や成約に至るまでの期間を短縮させます。SFAの代表的なツールとして、数年前までセールスフォースはSFAに区分されていましたが、セールスフォースの機能が多様化し、今ではCRMとも捉えられています。

また、CRMとSFAは混同されがちですが、CRMはマーケティング、SFAは営業活動により特化しているといえるでしょう。
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なぜCRMが求められているのか

なぜCRMが求められているのか?

ではなぜ、CRMが求められているのでしょうか?

1.  個々のユーザーのことを知らないと商品・サービスが売れないから

自社商品・サービスを売り込みたい相手のことを熟知せず、商品やサービスを売ることができるでしょうか?もちろん即決する顧客もいるでしょうが、大半の場合、答えは「No」です。バブル時代のように一方向のトレンドは、なかなか継続しにくくなりました。また、情報媒体はテレビからオンラインへ移行したと同時に、個人の価値観はますます多様化してきました。

さらに、百貨店などの対面販売から、個人が自分のアクセサリーをオンライン販売するようなD2Cへと、販路はより細分化されました。自社商品・サービスを売り込むには、顧客情報を随時アップデートし、最新の状態に保ち続けることが大切です。
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2. コミュニケーションし続けないと顧客が競合に流れるから

新型コロナウイルス感染症の影響で、ソーシャルディスタンスがニューノーマルとなり、密な状態は敬遠されていますが、ビジネス上のコミュニケーションは、どんな時でも密が望まれています。

コミュニケーションは接触回数に比例して、相手への好感度が上昇するとされています。密なコミュニケーションをとるには、情報のアップデートが必須です。どんな小さな情報も逃さないよう、CRMへ情報を細かく入力していきましょう。

3. マーケティング施策を効果的に、効率的に実施するため

適切なマーケティングキャンペーンを実施し効果を得るには、現状把握が必要になります。現状を知り、データサンプルをとるのに最適なのが、CRMです。

たとえば顧客リストのスコアリング機能です。スコアリングは顧客のランク付けのようなものですが、複数いる潜在顧客のうち、より確度の高い顧客を選出できるシステムがCRMには存在し、顧客情報の蓄積と分析で、最適なマーケティング施策を実行できます。
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CRMのメリット

CRMのメリット

CRMが必要な理由が分かったところで、次にCRMのメリットを見てみましょう。

1.  顧客情報を一元管理できる

情報伝達で起こしてはいけないミスは何でしょうか?それは「伝達ミス」です。意図しない伝わり方が広がってしまっては、同じ部署で的確な情報共有ができているとはいえません。

しかし、CRMで一元管理すると、入力した情報が可視化され、適切なフォローアップを行えます。また、CRMでの一元管理により、アクセスしたい情報へ場所を選ばず瞬時にアクセスすることが可能になります。伝達ミスやミスリードを防ぐためにも、顧客情報の一元管理は必須です。

2. 顧客満足度が高くなる

CRMでの顧客情報管理により、顧客情報が可視化され、顧客のニーズを的確に把握できるようになります。顧客が必要な時に最適な情報を提供できるので、顧客満足度が向上するといえるでしょう。もちろん、CRMの導入だけでは情報のアップデートは行われません。顧客情報を随時更新する日々のルーティンが、CRMのデータ精度を上げていきます。

3. 社内の情報共有がしやすくなる

CRMで情報を管理することによって、その情報をリアルタイムで社内に共有できます。営業担当者が不在の場合でもトラブルなどの対応がしやすいです。

また、常に最新の情報を社内全員が確認することができるのは、関係部署にとってメリットといえるでしょう。マーケティング部門であれば、顧客のデータを分析することで、優良顧客像を絞り、ペルソナの設定やマーケティング施策がしやすくなります。

休眠顧客の掘り起こしなどもしやすいです。カスタマー部門であれば、問い合わせがあった際に、顧客データをチェックすることで、顧客にあった適切な対応をとることができます。顧客への理解度が高い対応は、安心や信頼の向上に繋がりやすいです。このように、情報を共有し部署を超えてデータの活用できるのは、CRMを利用する大きなメリットといえます。

4. 業務の効率が良くなる

CRMはクラウドサービスであるため、パソコンだけでなくスマートフォンからもデータを確認できます。外回りが多い営業担当者にとっては非常に重宝するでしょう。移動中の電車や人が多い場所では、なかなかパソコンが使えないことも多いです。しかし、CRMを活用しスマートフォンからチェックすれば、いつでもどこでもデータを参照できます。

商談前に顧客のデータを確認するなど、移動中の時間を有効に活用することができるでしょう。また、CRMにはシステムが商談の日程を自動で調整してくれるものや、顧客情報の分析を行ってくれるものもあります。

外出先でも社内にいる時と変わらない作業ができるだけでなく、これまで時間をかけていたものをシステムに任せて他のことに時間が使えるようになるので、業務がとても効率的です。

5. 既存顧客へのフォローやアプローチがしやすい

既存顧客へのフォローやアプローチがしやすくなるのも、CRMを利用するメリットといえるでしょう。CRMのデータを参照して既存顧客へのアプローチを着実に行えば、顧客との関係を友好に保つことができます。既存顧客へのクロスセル・アップセルのアプローチもしやすいです。

新規顧客の獲得は労力も時間も大きくかかるものなので、既存顧客の維持は効率的に売上を増やすことができます。成約したあとは、コミュニケーションの内容や顧客の人物像などをCRMに入力することができるので、顧客像が似ている相手にアプローチする際にとても役立ちます。

CRMのデメリット

CRMのデメリット

では、CRMのデメリットは何でしょうか?

1.  顧客情報を管理するシステム構築にコストと時間をかかる

CRMへ一度データを落とし込めば、その後の顧客情報管理は、導入前と比べ見違えるほど楽になります。しかし、CRMの導入から運用初期段階までは、時間的構築コストを考慮しなければいけません。

エクセルからCRMへデータ移行するにしろ、細部の微修正は人力な面も出てきます。また、個々でCRMに対するキャッチアップが必要になるため、CRMの機能をうまく活用できるようになるまで、ある程度の時間を要します。

2. CRM施策の効果を実感するまでに時間がかかる

顧客データをCRMへすべて移行したあと、顧客のスコアリングやレポート作成などをし、いよいよマーケティング施策に入ります。CRM上の顧客リストをフィルタリングしメール配信を行ったとしても、たった1通のメルマガでは効果の実感は薄いでしょう。

メール配信からキャンペーン実施など実際のマーケティング活動を行ったあと、少なくとも半年~1年は売上数字での効果を測らない期間を設けましょう。

CRMツール導入前の注意点

CRMツール導入前の注意点

CRMのメリット・デメリットが分かったところで、CRMツール導入前に確認したい注意点をお伝えします。自社にとって最適なCRMツールを選ぶための基準として、参考にしてください。

1. 求められる機能が満たされているか

CRMの主な役割は、顧客情報管理と前述しました。情報管理の中でも顧客の重要度に優先順位をつけるスコアリング機能は、最も重要な機能のひとつです。また、顧客情報をある条件でフィルタリングし、そのフィルターに通ったリストのみを抽出するレポート作成も、必要な機能でしょう。

本記事の最初に挙げたCRMの6つの機能のうち、どこに重きを置くかで、自社に導入するCRMを選ぶ基準を設けておきましょう。

  1. 顧客管理
  2. データ分析レポート
  3. キャンペーン管理
  4. メール配信
  5. 顧客サポート機能
  6. ソーシャルメディア連携

2.CRMツールの使いやすさ

CRMツールへは、営業活動を行う限り毎日触れることになるでしょう。そのため、レポートの作成機能やメルマガの配信設定など、一連の操作がスムーズであることが望ましいです。レポート作成の容易さだけでなく、情報が見やすいCRMが良いといえます。また、外出先のスマホやタブレットでも簡単に活用できる操作性も、CRMツールを選ぶうえでの大切なポイントです。

3.導入後のKGI、KPIは明確になっているか

CRMの導入が完了したからといって気を休めてはいけません。CRMの導入が、マーケティングの再スタートです。導入後、どのようなKPI、KGIをクリアしたいのか、改めて明確にしておく必要があります。

たとえば営業部での残業時間削減なら、CRMでの情報共有と可視化により、ムダな会議を減らせるはずです。また、売上○○%アップというKGIをクリアするには、「潜在顧客の上位○○%に対し、〜のようなアプローチを実施していくことが望ましい」など、KPIとKGIの設定で、具体的なCRMの活用方法が見えてきます。

CRMを活用し、自社や部署でたどり着きたいゴールを明確にしておきましょう。
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4.導入後のサポートが充実しているか

CRM導入から自社で運用し、軌道に乗せるまですべて順調に行けば問題ないですが、運用途中で操作方法が分からなくなったりした場合、きちんと質問できる窓口があるかは、長く運用するうえでの大きなポイントとなります。

CRMツールによっては、問い合わせの上限回数が限られていたり、電話サポートが存在しないものもあるため、事前の確認ポイントとして押さえておきましょう。

CRM導入のメリット・デメリットまとめ

消費者の行動に変化が見られる昨今、CRMはマーケティングに欠かせないシステムとなりつつあります。「顧客と良い関係を築き、維持する施策」という機能を活用することで、今の時代にあった顧客管理が行えるようになります。コストはかかりますが、将来的に大きな効果をもたらしてくれるものとして、導入を進めている企業も多いです。

CRMシステムのメリットについて今一度理解し、自社の目的にフィットするものがあるかどうか検討してみてはいかがでしょうか。

CRMとは?

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監修者紹介

石田 哲也

取締役CMO

Twitter:@te2319
株式会社ニュートラルワークス 取締役CMO。1984年生まれ。高校卒業後にISD株式会社を起業。その後、株式会社オプトでWebマーケティングを学び、株式会社メタップスなど複数のベンチャー企業にて事業立ち上げを経験。前職はワンダープラネット株式会社でゲームプロデューサーとしてスマホゲームアプリの制作に従事。2018年に地元の神奈川へ戻り、ニュートラルワークスに入社。SEO/Web広告運用/サイト分析・改善など、Webサイトの運用改善~ゲームアプリ制作や数十万フォロワーのSNSアカウントの運用経験などWebビジネス全般を守備範囲とする。

■経歴
2003年 ISD株式会社/起業
2009年 株式会社オプト/SEMコンサルタント
2011年 株式会社メタップス/シニアディレクター
2013年 ライブエイド株式会社/執行役
2016年 ワンダープラネット株式会社/プロデューサー・BizDev
2018年 株式会社ニュートラルワークス/取締役CMO

■得意領域
Webサイト改善
SEO対策
コンテンツマーケティング
リスティング広告

■保有資格
Google アナリティクス認定資格(GAIQ)
Google 広告検索認定資格
Google 広告ディスプレイ認定資格
Google 広告モバイル認定資格

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