BDRとは?SDRとの違いやアプローチ手法を解説

【インサイドセールスで注目】BDRとは?SDRとの違いやアプローチ手法を解説!

BDR(Business Development Representative)とは、大手企業(エンタープライズ)を対象に新規顧客を獲得するためのインサイドセールス手法です。BDRはSaaS業界を中心として、近年注目を集めています。

一方でSDR(Sales Development Representative)は、獲得したリードにアプローチして商談成立を目指す営業手法です。

いずれもインサイドセールスの手法ですが、BDRは「新規開拓型」、SDRは「反響型」と呼ばれています。両者の性質には大きな違いがあるめ、2つのインサイドセールス手法を上手に組み合わせて、営業戦略を構築することが大切です。

この記事では、BDRの特徴やSDRとの違い、さらにアプローチの具体的な手法や導入時のポイントについて詳しく解説します。

BDRとは?特徴や意味について

BDRとは?特徴や意味について

「BDR(Business Development Representative)」とは、新規顧客を開拓するために自ら他社へアプローチするインサイドセールス手法です。

セールスは実際に顧客を訪問して営業する「フィールドセールス」と、メールや電話などでアプローチする「インサイドセールス」の2種類の手法があります。BDRはインサイドセールス手法のひとつです。

BDRは新しい顧客との接点を作り出すために、担当者が自ら電話やメールなどで営業活動を行い、商談成立を目指すことが特徴です。自社側から積極的に顧客へアプローチできるため、大きな成果を得やすい傾向があります。

したがって、BDRは「新規開拓型セールス」を意味するとも言えるでしょう。BDRはSaaS業界といったIT企業で注目を集めています。インターネットの普及やSaaSの市場規模の拡大にともない、エンタープライズ企業に対する戦略の重要性が増しているからです。

そのため、BDRはIT業界やSaaS関連の商材を扱う企業にとって、極めて大きな意味を持つインサイドセールス手法となりつつあります。

BDRはターゲット企業の選別を行い、自社にとって理想的な企業へ直接アプローチすることも大きな特徴です。そのため、商談に成功したときの成果が大きい傾向があります。

ただし、対象企業との関係構築からスタートするので、後述する「ABM(Account Based Marketing)」戦略に基づいた綿密な戦略設計が必要です。難易度と新規顧客の獲得コストの高い手法ではありますが、それだけ大きなリターンがあるセールス手法なのです。

BDRとSDRの違い

インサイドセールスは「BDR(Business Development Representative)」と「SDR(Sales Development Representative)」の2種類に大別されます。

SDRとは、自社に対して積極的なアクションを行ったリード顧客に対して営業活動を行い、商談成立を目指すインサイドセールス手法です。

BDRとSDRには明確な意味の違いがあります。「ターゲットの顧客規模」と「マーケティング手法」の2つの観点から、両者の違いを探っていきましょう。

ターゲットの顧客規模

BDRとSDRの大きな違いがターゲットの顧客規模です。BDRは大手企業と中堅企業などのエンタープライズ、SDRは中小企業や中堅企業などのSMB(Small to Medium Business)を対象としてマーケティングを行います。詳細は次のとおりです。

従業員規模 BDR適正 SDR適正
4,000以上
(大企業)
× ×
500以上~4,000未満
(大手企業)
×
100以上~500未満
(中堅企業)
100未満
(中小企業)
×

(×→適正なし、○→適正あり、◎→最適)

上記のように、BDRは従業員数100名~4,000名の大手企業と中堅企業を対象とする一方で、SDRは500名未満の中小企業と中堅企業が対象となります。

中堅企業に関してはBDRとSDRで重複していますが、自社サービスと特に親和性が高い企業をBDRが担当するという体制が理想的です。

SMBは企業数自体が多いため、受注数も自然と多くなり、受動的にアプローチを行うSDRに適性があります。

一方で、BDRでは自社から能動的にアプローチするため、営業戦略の設計が必要です。限られたリソースで最大限の成果を出すためには、必然的に1件あたりの単価が高いエンタープライズにターゲットを絞り込むことになるのです。

マーケティング(アプローチ)手法

BDRとSDRはマーケティングの手法も大きく異なります。BDRは「能動的」でSDRは「受動的」だと考えれば、両者の特徴がより分かりやすくなるでしょう。

BDRは「新規開拓型(アウトバウンド)」とも呼ばれているように、自ら新規顧客にアピールして商談成立を目指します。採用されることが多いマーケティング施策は、電話やメール、展示会やセミナーなどです。

一方でSDRは「反響型(インバウンド)」と呼ばれるように、すでに獲得している見込み客に対して、オウンドメディアやSNSなどのチャネルでアプローチを図ります。

インサイドセールス手法 BDR
(新規開拓型)
SDR
(反響型)
マーケティング(アプローチ)方法 アウトバウンド インバウンド
具体的な施策 電話やメール、展示会やセミナー オウンドメディアやSNSなどのチャネル

BDRは展示会や説明会など、対面で行うアウトバウンド施策でマーケティングを行うため、より綿密な戦略設計が必要になります。


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BDRが重要な理由・背景

BDRが重要な理由・背景

近年BDRが注目されるようになったのは、大企業を営業の対象とする「エンタープライズ戦略」の重要性が増しているからです。

その他にも、インターネットの普及にともなう顧客も購買行動の変化も、BDRが必要とされる大きな理由です。

これらの点を踏まえて、BDRが重要視されている理由や背景を次の5つの観点から解説します。

  • インターネットが普及したため
  • SaaSビジネスにおける収益安定化のため
  • SaaSの市場規模が大きくなってきたため
  • SMB開拓に限界が見えてきたため
  • エンタープライズ開拓の収益性が高いため

インターネットが普及したため

現在は誰もがスマートフォンを所有し、いつでもどこでも情報を収集できる時代です。こうしたインターネットの普及により、顧客を訪問して営業を行うフィールドセールスの必要性は低下しました。

より効率的な手法として登場したのが、BDRを主体とするインサイドセールスです。インサイドセールスは顧客を直接訪問しない営業手法なので、インターネットとの相性が抜群です。

BDRを導入すれば、インターネットによるマーケティング施策で、より多くの新規顧客との接触を図れます。また、BDRの営業で獲得した顧客をオンラインセールス部門に引き継ぎ、商談へ移行するという体制を構築した事例もみられます。

このように、BDRを活用すれば従来のフィールドセールスでは成果を出すのが難しくなった業界でも、新規顧客の開拓を効率的に行えるようになるでしょう。

SaaSビジネスにおける収益安定化のため

企業がBDRを導入すると、SaaS(Software as a Service)型ビジネスの収益が安定しやすくなると考えられています。自社収益の基盤を構築するためには、資本力のある大企業(エンタープライズ)の顧客との関係構築が欠かせないからです。

中小企業庁が2021年7月に発表した2021年版「中小企業白書」によると、全企業の約99.7%が中小企業ですが、企業付加価値は大企業が47%を占めています。

2021年版「中小企業白書」

引用元:2021年版「中小企業白書」

SaaSビジネスではインサイドセールスを導入する傾向が強いですが、中小企業を対象とする場合は単価が低く、収益基盤も安定しません。一方で、資本力のある大企業から受注できれば、継続的に収益を得ることができます。

そのため、SaaS企業においてはBDRが極めて重要であり、エンタープライズ戦略の設計が欠かせないのです。

SaaSの市場規模が大きくなってきたため

国内のSaaS市場は急激な成長を続けています。2018年のSaaS系企業の資金調達額は550億円を突破し、5年前の5倍以上の規模に達しました。業界の成長率は年平均13%で、2024年には1兆1,200億円へ拡大する見通しです。

特に、この2年間は社会的な事情からオンライン化が進みました。Web会議システムや電子契約サービス、プロジェクト管理ツールやコミュニケーションツールなど、SaaS市場の需要が急拡大しています。

また、アメリカの「Blossom Street Ventures社」の調査によると、アメリカの上場SaaS企業81社のうち、95%の76社がエンタープライズ企業を営業の対象としていることが分かっています。

アメリカのSaaS市場は日本の約10倍です。国内でもSaaS市場が拡大すればするほど、エンタープライズ戦略が重要になることは明らかです。BDRは今後さらに大きな意味を持つ、インサイドセールス施策になるでしょう。

SMB開拓に限界が見えてきたため

フィールドセールスを主体とする従来のマーケティング手法では、SMB(中小企業)開拓に限界が見えてきます。具体的には、SaaSビジネスが成熟期を通過して停滞期に入ると、SMBだけではそれ以上の成長を見込めなくなるのです。

主な要因はチャーンレート(解約率)の高さと市場成長の鈍化にあります。Tomasz Tunguzによると、SMBを対象とするSaaSビジネスの場合、一般的なチャーンレートは3~7%です。しかし、これは大企業の0.5~1%と比べると遥かに高い水準となります。

企業セグメント 1ヶ月あたりの平均チャーンレート 年間の平均チャーンレート
SMB 3~7% 31~58%
中堅企業 1~2% 11~22%
エンタープライズ 0.5~1% 6~10%

引用元:Tomasz Tunguz

SMB1ヶ月あたりのチャーンレートは、エンタープライズ1年間のチャーンレートに匹敵する高さです。SaaSビジネスでSMB企業をメインターゲットとすると、顧客数が増えるほど解約数も増加します。まるで穴が開いたバケツのように、次から次に顧客を獲得する必要に駆られて、ROI(費用対効果)が低下します。

また、日本のSMB市場はそもそも小さいため、確保できる収益基盤も限られています。エンタープライズ企業なら、顧客獲得の難易度は高いものの、長期的な継続契約を見込めるでしょう。

エンタープライズ開拓の収益性が高いため

前述したように、SaaSビジネスにおいて営業のメインターゲットをSMBとエンタープライズのどちらにするかで、企業の収益性や将来性に大きな違いが出てきます。チャーンレート以外にも、「導入数」の違いによる「顧客単価」も重要な要素です。

SaaS市場はサービスをソフトウェアという形式で提供するため、導入人数によって顧客単価が決まるケースが多いです。SMB企業は就業者数が少ないため、収益を確保するために多くの取引先が必要になり、チャーンレートの高さも影響してROIが低下します。

一方で、エンタープライズ企業を開拓しておけば、就業人数が多いため取引先が少なくても十分な収益を確保できます。しかも、エンタープライズ企業は不況時もチャーンレートが低く、資本力があるため価格改定の際もマージンを確保しやすいのです。

SMB企業 エンタープライズ企業
顧客獲得の難易度 低い 高い
顧客単価 低い 高い
チャーンレート(解約率) 高い 低い

上記のように、エンタープライズ企業を開拓することは、企業の成長戦略にとって極めて重要です。大企業へ積極的にアプローチできるBDRは、エンタープライズ戦略の成功のために大きな意味を持ちます。

BDRを成功させるためのABM戦略のポイント

BDRを成功させるためのABM戦略のポイント

BDRを成功させるために、ターゲットを絞り込んで最適なマーケティング施策を行う「ABM(Account Based Marketing)」が重要です。次の3つのポイントを意識しましょう。

  • LTVの高い顧客セグメント発掘と分析を行う
  • 組織構造とキーマンを把握する
  • One to Oneキャンペーンを行う

LTVの高い顧客セグメント発掘・分析を行う

BDRを成功させるためには、ABMを実施して優良企業を絞り込み、ターゲット企業に最適なマーケティング施策でアプローチすることが重要です。優良な企業とは、収益性の高いエンタープライズ企業や、自社サービスと相性の良いSMB企業のことです。

優良企業の選別時は「LTV(Life Time Value)」を考慮しましょう。LTVは「顧客生涯単価」を意味する用語で、顧客と取引を開始してから終了するまで、どれくらい利益を得られるかを示します。

BDRは新規顧客を獲得するために行いますが、顧客との契約期間は長いに越したことはありません。なぜなら、新規顧客の獲得コストは既存顧客を維持するための5倍だと言われているからです。

入手できる企業データはもちろん、MAツールやSFAツールなども活用して顧客の優先順位をつけることが大切です。選定基準は各社異なりますが、次の5つの項目を意識して定量的に分析すると、LTVを最大化しやすくなります。

  • 業界
  • 資本金
  • 市場での影響度
  • ビジネスモデル
  • 従業員数

これらの要素から自社の受注実績や継続契約実績を分析すると、LTVの高い顧客セグメントを発掘しやすくなるでしょう。

組織構造とキーマンを把握する

優良企業の選定が完了したら、ターゲット企業の組織構造を把握して、組織のキーマンを特定しましょう。キーマンとは意思決定の権限を持つ者や、インフルエンサーを指します。エンタープライズ企業の場合は、組織体制が複雑なので注意が必要です。

事業部ごとに意思決定が行われる企業であれば、管轄部署の部長がキーマンだと考えられます。しかし、部門を横断して戦略立案を行うセントラルマーケティング体制を採用している企業の場合は、キーマンの特定が容易ではありません。

セントラルマーケティング体制では、管轄部署の部長が最終的な意思決定を行うわけではないため、キーマンや予算の出所が変わります。ABMではいかに早くキーマンに接触するかが重要なので、ターゲット企業の組織体制を判断することは、BDRで極めて大きな意味を持ちます。

すでに商談を行ったことのある企業の場合は、キーマンや周辺人物と良好な関係にある営業担当者が社内にいるかもしれません。保有している顧客の中に、ターゲット企業の組織構造に詳しい人や、キーマンと関係がある人物がいる可能性もあります。

ターゲット企業の組織体制を調べると同時に、さまざまな選択肢を考慮してキーマンの情報を取得する方法を模索しましょう。

One to Oneキャンペーンを行う

ABMではターゲット顧客に最適な情報を、最適なタイミングで提供することが大切です。顧客が抱えている課題への解決策を示すために、顧客の特徴に合わせたマーケティング活動を行うことが求められます。

こうした手法を「One to Oneキャンペーン」と呼びます。BDRを成功させるためには、実施するマーケティング施策に応じた情報を収集して、最適な方法でのアプローチを目指しましょう。

例えば、展示会やダイレクトメールなどのアウトバウンド施策を実施するときは、ターゲット企業の業績予想や決算情報などのIR情報が参考になります。企業の戦略や事業への投資状況などの情報まで把握して、魅力的に感じられるような情報を発信できるようにすることが大切です。

One to Oneキャンペーンでは、顧客との戦略的な関係性を構築することを目指します。ABMではLTVを最大限に高めることが重要ですが、緻密な戦略によって顧客に有益な情報を提供できれば、顧客ロイヤリティが向上します。長期的な継続契約も可能となり、大きな成果を得やすくなるでしょう。

BDRの役割と具体的なアプローチ方法

BDRの役割と具体的なアプローチ方法

BDRの役割とアプローチ方法について詳しく解説します。特に重要なポイントは次の6つです。

  • 決裁フローと組織図を確認する
  • MAツールを活用し、高品質なコンテンツを配信する
  • 1to1コミュニケーションを取るために情報提供や情報収集する
  • DM(ダイレクトメール)の送信や商談創出をする
  • 展示会やイベントなどで名刺交換をする
  • SNSチャネルを活用する

いずれもBDR成功のために欠かせないので、あらかじめ確認しておきましょう。

決裁フローと組織図を確認する

BDRの最も重要なプロセスが、キーマンとの関係を構築することです。キーマンとの接触はできるだけ早いことが望まれます。なぜなら、決裁において重要な役割を果たす「キーマン」に、自社の情報や提案が上手く伝わっていないと、自社に有利な状況を作り出せないからです。

エンタープライズ企業では意思決定のプロセスで他部署が絡み、決済までの時間が長くなる傾向があります。その結果、ターゲット企業が見込み顧客となっても、商談からのリード期間が長引いたり、フィールドセールスの提案が伝わりづらかったりします。

情報を伝えるべき対象は誰か、またその対象にとって有益な情報は何なのかを把握することが重要です。キーマンに有益な情報であれば、ターゲット企業の決裁プロセスが円滑に進みやすくなるでしょう。

そのために、ターゲット企業の決済フローをヒアリングして、組織図を詳細に把握する必要があります。関連企業との取引をすでに行っているのであれば、営業担当者にヒアリングを行い、各部門の組織図を確認してキーマンを探り出しましょう。

MAツールを活用し、高品質なコンテンツを配信する

社内でリード情報を保有している場合はターゲットリストを作成し、MA(マーケティングオートメーション)ツールを活用して高品質なコンテンツを提供しましょう。

MAツールとは、マーケティングの集客や販売促進、顧客管理などの業務を自動化するソフトウェアのことです。マーケティングの効率化や、人的ミスの軽減に大きな効果があります。マーケティングと営業の連携強化にもつながるため、BDR成功に欠かせないツールです。

MAツールでターゲットの関心度をスコアリングして、見込み度の高い「ホットリード」となったところで、ターゲットにアプローチと行うと効果的です。代表的な手法は、メールマーケティングです。メールマーケティングでリードナーチャリングを行えば、商談の成功率も高まります。

ただし、クオリティの高いコンテンツを配信することが大切です。平凡な内容では、ターゲットが自社に忌避感を抱いてリードを逃してしまいます。「ターゲット企業限定」の誰も知らない情報や、創意工夫を凝らしたコンテンツを配信すると、有益な情報だと認識されるでしょう。

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1to1コミュニケーションを取るために情報提供や情報収集する

商談の取り付けには、1to1コミュニケーションが欠かせません。社内でリードを確保している場合は、対象の電話番号も把握しているケースがほとんどです。ターゲットに架電を行い、有意義な情報を提供しましょう。

ただし、BDRでは新規顧客へのコールドコールとなるケースも多いので、相手の情報も必要となります。情報提供のために情報収集を行いましょう。個人や状況によって、有意義な情報の定義は変わります。エンタープライズ企業や優良企業の担当者は多忙な状況にあるため、営業の架電は相手に不快に思われてしまうこともあります。

執拗な印象を持たれないように、適切なマインドセットを設定することが大切です。相手方にとって有益な情報を提供するための架電であることを伝え、相手の目線に立ってコミュニケーションを取りましょう。

MAツールを活用してマーケティングを行っていると、ターゲットのニーズをある程度はつかめるはずです。手元にある情報を全て活用して、1to1コミュニケーションに臨んでみてください。

DM(ダイレクトメール)の送信・商談創出をする

社内にリードがない場合は、まずはリードの獲得から行な

う必要があります。リード獲得から商談創出までの道のりを容易にするためには、相手方に有益な企業だと認めてもらえる情報を提供することが大切です。

リード獲得には、DM(ダイレクトメール)の送信が効果的です。エンタープライズ企業の決裁プロセスには、部長や役員など上層部の承認が必要なケースがあります。しかし、上層部に営業の電話をかけたり、メールアドレスを取得したりするのは困難です。郵便物であれば、仕分けで破棄されることが少なく、興味をひくことができます。

ただし、エンタープライズの新規顧客にDMを送る際は、ターゲットの業界やキーマンの属性を考慮することが重要です。広告のための明らさまなDMではなく、あくまで「私署」として手紙のような形式で送り、関係の構築を図りましょう。

手紙やDMを送るに至った背景や、自社とアポイントメントを取るメリットについて、分かりやすく記載することも重要です。市場の状況やIR情報などを分析しておくと、相手方に有益な情報を伝えてアポイントメントを獲得しやすくなるでしょう。

展示会やイベントなどで名刺交換をする

展示会や説明会などのオフラインイベントで名刺交換を行い、ターゲット企業との接触を図ることも重要です。昨今の社会的な事情により、対面で行うイベントに参加する機会は減少しました。EXPOやセミナーがオンラインで開催されるなど、セールスの手法は確実に変化しつつあります。

しかし、オンライン化が加速したとしても、展示会や説明会などのオフラインイベントに効果がなくなるわけではありません。これまでは、オフラインイベントがリード獲得に最も重要な機会だったからです。

BDRでは基本的にリードの「質」が重要になりますが、オフラインイベントでリードを獲得するためには「量」を意識したいところです。自社にとっての優良企業というよりは、できるだけ多くの企業にアピールしてリードを獲得しましょう。

社会情勢が今後どのように変化するかは不透明ですが、状況が正常に戻ってイベントが再び開催されるようになったときのために準備をしておくべきです。社会情勢が改善した後は、展示会や説明会などに積極的に参加して、より多くのリード創出を目指しましょう。

SNSチャネルを活用する

TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSチャネルを活かして、顧客との接点を創出するのもひとつの手法です。前述したように、展示会や説明会などのオフラインイベントに参加する機会は、この2年間で急激に少なくなりました。

一方で、SNSを利用する機会は増加傾向にあり、今後はSNSがコミュニケーションチャネルとしてさらに重要な役割を担うようになると考えられています。

TwitterとFacebook、Instagramにはそれぞれ大きな特徴があります。Twitterは短文での情報発信に向いており、フォロワー同士のコミュニケーションが容易に取れます。Facebookは企業の基本情報や動向の発信に適切です。Instagramは画像や動画などを掲載して、五感に訴求するマーケティング活動を行えます。

自社の情報を発信するだけではなく、SNSを活用すれば他社の情報も容易に入手できます。これらのSNSチャネルをひとつではなく複数を有効活用すると、顧客との関係を多方面から構築することができ、リード獲得への道のりを短縮できるでしょう。

BDR導入時に設定すべきポイント

BDR導入時に設定すべきポイント

企業がBDRを導入するときは事前の戦略設計が欠かせません。次の3つのポイントを意識しましょう。

  • 導入の目的を明確にする
  • 方針を決める
  • KPIを設定する

上記の項目が重要な理由や、どのようなプロセスで設定するかを簡潔に解説します。

導入の目的を明確にする

BDRを導入するときは、何のために行うかをはっきりさせることが重要です。BDRはリード顧客を獲得するための施策です。そのため、アプローチできる顧客を社会で確保していない場合や、新しい顧客を獲得したい場合は、BDRが効果的なインサイドセールス施策となります。

一方で、SDRは既存顧客へのアプローチのために行います。そのため、すでに獲得している顧客と新たな商談や囲い込みを行いたい場合は、SDRを導入すると良いでしょう。商談化が円滑に進んでいないのであれば、見込み顧客を商談へ進めるための戦略設計が必要です。

このように、どのような目的でインサイドセールスを導入するかによって、実施すべき施策が異なります。見込み顧客数や商談件数に加えて、自社の業界や状況の分析も行い、目的の設定と施策の選定を行いましょう。

方針を決める

インサイドセールスを導入する目的が決まったら、具体的な営業方針を打ち出します。ターゲット企業の性質や商材との相性を確認して、戦略設計を行うことが大切です。このときもBDRをSDRのどちらに主眼を置くべきか考慮しましょう。

例えば、ターゲットにとって理解や導入が容易な商材であれば、オンラインでアプローチするSDRでアプローチできるかもしれません。ターゲットと直接関わるBDRより戦略設計が容易で、コストも節約できるでしょう。

一方で、高額商材や専門知識が求められる商材であれば、SDRではなくオフラインでアプローチできるBDRが必要になるでしょう。BDRには綿密な戦略と技術が要求されるので、最適な人材を配置することも重要です。環境の変化に適応できてコミュニケーション能力の高い人、特に商談の流れを熟知しているフィールドセールスの経験者が適任です。

KPIを設定する

BDRで成果を出すためには「KPI(重要業績評価指標)」の設定も欠かせません。KPIは目標の達成度を評価するための指標です。正しく設定すれば、必要やリード顧客数や受注数、商談数などが明らかになります。BDRにおける主なKPIは、次のようなものになるでしょう。

  • ターゲット企業への架電数
  • ターゲット企業キーマンへの連絡数
  • ターゲット企業とのアポイント数

このようなKPIを設定すれば、重点的に取り組むべきポイントが見えてきます。重要なポイントは、BDRとSDRのKPIを混同しないようにすることです。BDRとSDRは目的や施策が異なるため、混同すると改善策を模索しづらくなります。

BDRは特定の要素で企業を選別するため、KPIもターゲット企業に特化したものになります。一方で、リード顧客の獲得や各種資料のダウンロード数などは、SDRのKPIに設定すべきものです。KPIは明確かつ達成可能なものに設定しましょう。

KPI指標とは?KGIとの違い、設定例を分かりやすく解説 KPI指標とは?KGIとの違い、設定例を分かりやすく解説 重要な指標を設定し、目標達成のために具体的な施策を考えるためにKGI、KPIを設定する手法が一般的です。では、具体的にどのようにKGI、KPIを設定すればいいのでしょうか?OKR、KSFの紹介とあわせて解説します。

BDRのまとめ

BDRのまとめ

BDRとSDRはどちらもインサイドセールスの手法です。しかし、BDRは自社側から積極的に顧客にアピールして、リードを獲得することを目的とします。一方で、SDRはすでに自社で保有している見込み客に対して、マーケティングを行って制約を目指すための施策です。

また、BDRのメインターゲットは大企業(エンタープライズ)ですが、SDRは中小企業(SMB)を対象とします。特に、SaaSビジネスの場合はSMB開拓に限界があるため、収益安定化にはエンタープライズ戦略が重要です。

BDRを成功させるためには、ターゲット企業を絞り込んだうえで適切なマーケティングを行うABM戦略が欠かせません。まずは、LTVの高い顧客セグメントの分析を行い、対象企業の組織構造とキーマンを把握しましょう。

新規顧客の獲得にはコストがかかるため、LTVを最大化することがROIの改善に役立ちます。ターゲット企業のIR情報を取得したうえでキーマンとの接触を図り、自社の魅力を理解してもらえる情報を提供することが大切です。

BDRとSDRには明確な違いがありますが、インサイドマーケティングには2つの手法が欠かせません。BDRでリード顧客を開拓した後は、SDRのインバウンド施策でリードナーチャリングを行い、商談へ結びつけるケースもあります。

どちらが自社に向いているかではなく、業界や自社の動向を分析して、BDRとSDRの両者を最適なバランスで運営して連携させることが重要です。

BDRのよくあるご質問

BDRとは?

「BDR(Business Development Representative)」とは、新規顧客を開拓するために自ら他社へアプローチするインサイドセールス手法です。

SDRとは?

SDRとは、自社に対して積極的なアクションを行ったリード顧客に対して営業活動を行い、商談成立を目指すインサイドセールス手法です。

BDRとSDRの違いは?

BDRとSDRの大きな違いがターゲットの顧客規模です。BDRは従業員数100名~4,000名の大手企業と中堅企業を対象とする一方で、SDRは500名未満の中小企業と中堅企業が対象となります。
また、BDRとSDRはマーケティングの手法も大きく異なります。BDRは「能動的」でSDRは「受動的」だと考えれば、両者の特徴がより分かりやすくなるでしょう。

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監修者紹介

石田 哲也

取締役CMO

Twitter:@te2319
株式会社ニュートラルワークス 取締役CMO。1984年生まれ。高校卒業後にISD株式会社を起業。その後、株式会社オプトでWebマーケティングを学び、株式会社メタップスなど複数のベンチャー企業にて事業立ち上げを経験。前職はワンダープラネット株式会社でゲームプロデューサーとしてスマホゲームアプリの制作に従事。2018年に地元の神奈川へ戻り、ニュートラルワークスに入社。SEO/Web広告運用/サイト分析・改善など、Webサイトの運用改善~ゲームアプリ制作や数十万フォロワーのSNSアカウントの運用経験などWebビジネス全般を守備範囲とする。

■経歴
2003年 ISD株式会社/起業
2009年 株式会社オプト/SEMコンサルタント
2011年 株式会社メタップス/シニアディレクター
2013年 ライブエイド株式会社/執行役
2016年 ワンダープラネット株式会社/プロデューサー・BizDev
2018年 株式会社ニュートラルワークス/取締役CMO

■得意領域
Webサイト改善
SEO対策
コンテンツマーケティング
リスティング広告

■保有資格
Google アナリティクス認定資格(GAIQ)
Google 広告検索認定資格
Google 広告ディスプレイ認定資格
Google 広告モバイル認定資格

リード獲得を強化する
BtoBサイト制作

BtoBサイトで成果を出す
7つのポイントをご紹介