サブスクリプションサービスを始めると、顧客と長期的な関係性を築くことができ、収入を安定させられます。ただし、Shopifyを標準設定のまま使っているだけでは定期購入にはならないため、ツールの導入やアプリを使用して設定する必要があります。
そこでこの記事では、Shopifyでのサブスクの始め方やおすすめアプリ、成功させるためのポイントを解説します。これからShopifyの導入やECサイトのリニューアルを検討している方は、 ぜひ参考にしてください。
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目次
ネット普及で拡大する定期購入(サブスクリプション)サービスとは
インターネットが普及し、オンラインで買い物をするのが当たり前になった昨今、またコロナ禍ということも相まって、オンラインで買い物をする人が増えています。その中でも、定期的に購入するのが「サブスク」です。正式にはサブスクリプション(subscription)で、日本語では「定期購入」と訳されます。
具体的には、動画サービスの「NetFlix」や、音楽配信サービスの「Apple Music」、栄養を考えた食事が届く「BASE FOOD」、自分に似合う洋服が届く「airCloset」などが人気です。こうした月額定額制サービスを、略して「サブスク」と呼ばれています。
定期購入を導入するメリット
定期購入サービスは、契約者が解約しない限りサービスが続くビジネスモデルです。そのため、売り上げが予測しやすかったり、在庫管理がしやすかったりといったメリットがあります。また、定期購入の契約者は、すなわち“リピーター”ということですので、ビジネスの拡大に大きく貢献することになります。
契約者にとっても、買い忘れといったことが防げたり、定期購入することで通常よりも割引価格で購入できるといったメリットがあります。双方にメリットがあるビジネスモデルが定期購入サービス(サブスク)なのです。
ECサイトでShopifyを使って定期購入やサブスクビジネスを始める方法
Shopifyで定期購入やサブスクビジネスを始めるには、次の2種類の方法があります。
- サブスクリプションAPI関連ツールを使う
- サブスクリプション対応アプリを使う
ShopifyはAPIを公開しているので、専門的な知識のある方はAPIを活用してオリジナルのサブスクリプションサービスの開発が可能です。初心者の方はShopify専用のアプリを活用し、簡単にサブスクリプションサービスを実装できます。
連携が簡単なShopifyサブスクリプションAPI関連ツールを使う
ShopifyサブスクリプションAPIとは、Shopifyを改変する必要がなく別のアプリやプログラムと連携できる仕組みです。このAPIと商品サブスクリプションApp extensionというアプリのコンテンツを、Shopifyで表示できるようにする機能によって、サブスクリプションサービスを実装できます。
具体的には次の3種類のAPIがあり、それぞれがサブスクリプションサービスに必要な機能です。
- Selling Plan API:今すぐ購入以外の販売方法をサポートするAPI
- Subscription Contract API:定期購入の契約や作成を管理するAPI
- Customer Payment Method API:自動で定期購買を決済するAPI
APIを活用してサブスクリプションサービスを始めるには、以下の2つが必要です。
- サブスクリプション販売の資格基準を満たしている
- GoogleフォームでAPIへのアクセスをリクエストする
Shopifyのアプリ開発者や専門的な知識がない場合には、APIを活用してサブスクリプションサービスの導入は非常に難易度が高いです。APIの利用が必要な際には、Shopify開発やカスタマイズを行える制作会社に依頼するのが良いでしょう。
サブスクリプション対応アプリを使う
Shopifyには3,000種類以上の豊富なアプリがあり、利用者は自由にダウンロードできます。すでに機能が完成されているアプリを活用すれば、短時間でサブスクリプションサービスを始められるので、まずは運用を始めてみたい方におすすめです。販売戦略や商品などに応じてアプリを選択したり、カスタマイズして販売が行えます。
また、アプリによっては無料期間が長めに設定されており、1カ月や2カ月ほど実際に運用を行ってから利用を検討できる場合もあります。アプリの導入は誰でも簡単に行えますが、本格的なカスタマイズを行うには専門的な知識が必要になるので、制作会社に依頼するのがおすすめです。
Shopifyのサブスクリプションアプリ比較表
今回ご紹介するShopifyのサブスクリプションアプリは、以下のように比較できます。
日本語対応 | 特徴 | 分析機能 | 決済プロバイダ | |
定期購買 | あり | 無料で全ての機能を試せる | 単体による分析、Google Analyticsとの連携 | Shopifyペイメント |
PayWhirl Subscription Payments | なし | 運営に必要な機能を全て搭載 | 単体による分析、Google Analyticsとの連携 | Shopifyペイメント |
Bold Subscriptions | あり | 顧客データの管理を行いやすい | 単体による分析、Google Analyticsとの連携 | Shopifyペイメント |
Subscriptions by ReCharge | なし | 契約や解約の管理を簡単に行えエウ | 単体による分析、Google Analyticsとの連携 | Stripe、Authorize.net、Braintree |
Ordergroove | なし | Shopify Plus限定 自動的な通知機能が実装されている |
単体による分析、Google Analyticsとの連携 | Shopifyペイメント |
Mikawaya Subscription | あり | ビジネスに関するサポートが手厚い | 単体による分析 | Shopifyペイメント |
以下では、それぞれのアプリについて解説します。
Shopifyのおすすめサブスクリプションアプリ6選
Shopifyにサブスクリプション機能を導入するには、次の6つのアプリがおすすめです。
- 定期購買
- PayWhirl Subscription Payments
- Bold Subscriptions
- Subscriptions by ReCharge
- Ordergroove
- Mikawaya Subscription
それぞれ決済手数料や月額費用、対応ユーザー数が異なるので、販売したいサービスや商品によって検討する必要があります。
1.多くのストアが使う「定期購買」
出典:定期購買
定期購買は、コードを入力する必要なくサブスクリプションサービスを実装できる初の日本製定期購入アプリです。導入後2カ月で、2,000万円超の売上を突破したストアもあるとのことです。すでに1,600以上のストアが導入しており、日本製サブスクアプリでNo.1の実績があります。
カスタマーサポートも日本語に対応しているので、初めてサブスクリプションサービスを運営する方でも安心して運用することが可能です。定期購買の主な機能は、以下の通りです。
- 会員ランク機能
- 初回割引機能
- ネクストエンジン連携
- LINE(ソーシャルプラス)連携機能
- 決済前の事前メールによる決済エラー防止
- 決済エラー通知→再決済機能
- 他定期購買アプリからの移行機能
現在もさまざまなアップデートが予定されており、海外製アプリに匹敵する機能の充実が期待できます。無料で全ての機能を試せるので、まずはインストールしてみるといいでしょう。海外アプリが多いShopifyで、日本語に対応していることが大きなメリット。運用サポートを受けながらサブスクリプションサービスを始めたい方におすすめです。
2.機能が豊富な海外アプリ「PayWhirl Subscription Payments」
出典:PayWhirl Subscription Payments
PayWhirl Subscription Paymentsはサブスクリプションサービスを簡単に導入でき、さまざまなカスタマイズや顧客管理を行える海外アプリです。日本語でのサポートには対応していませんが、機能が非常に豊富で、サブスクリプションサービスの運営に必要な機能が全て搭載されています。PayWhirl Subscription Paymentsの機能は、次の通りです。
- 顧客への自動請求
- 顧客データ管理機能
- カスタマイズ可能なデザイン
- 柔軟な自動注文生成
- Shopify製品ページと統合
Shopifyと連携しやすい特徴があるので、不具合を発生させることなくシンプルでシームレスな機能を実装できます。料金プランは4種類あり、全て14日間の無料体験から利用できます。
- スタータープラン:無料
- プロプラン:月額9ドル
- プラスプラン:月額49ドル
- アルティメットプラン:月額249ドル
上位プランほど取引手数料がお得になるので、登録者が増えるに従って上位プランにアップグレードすると良いでしょう。
PayWhirl Subscription Paymentsのメリットは、サブスクリプションサービスの運用に必要な機能の豊富さです。本格的にサブスクリプションサービスを運用したい方におすすめです。反対に日本語対応していないことや、上位プランでないと取引手数料の負担が大きくなるデメリットがあるので注意が必要です。
3.無料体験から始められる「Bold Subscriptions」
Bold SubscriptionsはShopifyペイメントと連携し、通常販売とサブスクリプションサービスのどちらも販売できます。APIやWebhookを使用して柔軟なカスタマイズを行えます。顧客データは管理画面からチェックでき、配達間隔や注文・支払い履歴などから解約率を減らす対策が可能です。
海外アプリなので日本語でのサポートは行っていないデメリットはありますが、簡単にサブスクリプションサービスを実装できます。顧客データの管理も行いやすいメリットがあるので、本格的に運用したい方におすすめです。
Bold Subscriptionsの料金プランは月額49.99ドルの1種類のみで、全ての機能を利用できます。60日間の無料体験から使い始めることが可能なので、サポートなしで実装から運用まで行えるか確かめてから契約すると良いでしょう。
4.機能性の高いプロ仕様の「Subscriptions by ReCharge」
Subscriptions by ReChargeは、Shopifyペイメントと連携してサブスクリプションサービスを簡単に導入できるアプリで、数分で実装ができます。顧客は購入画面から通常購入と定期購入を選択でき、契約や解約の管理を簡単に行えます。また、既存のECサイトと統合して顧客データを管理できるので、カスタマーサクセスを高めるサービスを提供できます。
Subscriptions by ReChargeの料金プランは、次の2種類です。
- スタンダードプラン:月額60ドル
- プロプラン:月額300ドル
プロプランでは、精度の高い分析機能を利用でき、どちらのプランも60日間の無料体験から使い始めることができます。デメリットは日本語でのサポートに対応していないので、サブスクリプションサービスを実装したことがない方は、注意してください。
数分でサブスクリプションサービスの実装ができ、Shopifyペイメントと連携して販促可能です。機能性の高いサービス運用を始めたい方におすすめのサブスクリプションアプリです。
5.ショップの信頼性を高める「Ordergroove」
出典:Ordergroove
Ordergrooveは、Shopify Plus限定で利用できるアプリです。サブスクビジネスで収益化することを前提とした機能が搭載されています。
Ordergrooveの特徴は、顧客とのコミュニケーションを促進する機能が備わっていることです。例えば、配送スケジュールをリマインドすることで、ショップの信頼性を向上させます。また、決済に至らなかった場合メールを送信できるので、カゴ落ちを防げます。
Ordergrooveを利用するメリットは、解約率を下げられることです。AIを使用したサブスクリプションプラットフォームを用いることで、適度なタイミングでユーザーとコミュニケーションを取れます。
6.サポートが充実している「Mikawaya Subscription」
Mikawaya Subscriptionは、ECサイト運営者が制作した定期通販向けアプリです。日本で作られたアプリなので、日本語仕様になっています。また、こちらのアプリでは、他アプリからの移行をサポートしてくれます。そのため海外仕様のアプリを使っていて不安な方や、今使っているアプリに納得してない方におすすめです。
特徴的な機能としては、ステップメールの送信が可能であることです。ユーザーのステージに合わせたメールを送信することで、ブランディングや販促を実施できます。
Mikawaya Subscriptionを利用するメリットは、サイト開設から運用までサポートを受けられることです。ECサイトのプロフェッショナルによって提案やアドバイスを受けられるので、機能以上の恩恵を受けられるでしょう。
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4つのShopifyサブスクリプションモデルと注意点
サブスクリプションモデルには次の4つの種類があり、種類ごとに販促方法や販売する最適な商品・サービスが異なります。
- 会員制モデル
- 頒布会(はんぷかい)モデル
- レコメンドモデル
- リアル連動モデル
それぞれのサブスクリプションモデルについて、詳しく解説します。
1.会員制モデル
会員制モデルは、サブスクリプションモデルの最も一般的なモデルで、会員になることでサービスを使い放題で利用できます。AmazonプライムやNetflixなども会員制モデルで一般的に馴染みがあるので、サービス内容が魅力的であれば登録者を増やせるでしょう。
ただし、会員制モデルのサブスクリプションサービスは非常に多く、ジャンルが違うサービスでも料金の比較がされてしまうので、注意が必要です。
2.頒布会(はんぷかい)モデル
頒布会モデルは企業側があらかじめサービス内容を決めて、月替わりで変更するようなモデルで、書籍や消耗品、食品などで取り入れられています。頒布会モデルの事例として、毎月コスメなどの化粧品の詰め合わせが届く「My Little Box」は専門家が厳選した商品で、信頼性が高い人気のサービスです。
レコメンドモデルと混合しがちですが、レコメンドモデルは、顧客一人ひとりに合わせて最適な商品を販売することに対して、頒布会モデルは顧客ごとにではなく、毎月や毎週商品を変更する販売方法です。
頒布会モデルは毎月や毎週商品の内容が変わるので、どんな商品が届くのか楽しみに感じさせることが可能です。それにより、顧客を飽きさずに解約率を低くできるメリットがあります。注力すべきポイントは、顧客にとって魅力的な商品を選択することで、顧客の期待感を下げないことです。
3.レコメンドモデル
レコメンドモデルは、顧客データを元にして、最適な商品やサービスを提案するモデルです。あらかじめ商品内容が決まっているわけではありません。レコメンドモデルに多い商品は、サプリメントやファッション、雑貨や化粧品などです。
人によって最適な商品が異なる場合には、レコメンドモデルが最適で、顧客満足度を高めることが可能です。企業側としても収益性が高くなるように、商品を自由に決められるメリットがあります。
レコメンドモデルの事例として、フィットネスアプリの「FiNC」はAIが顧客データを分析し、一人ひとりに合わせた健康メニューを提案するサービスを提供しています。レコメンドモデルを成功させるには、顧客の購買履歴や行動利益などのデータが必要です。そのため、データを事前に集めないと最適な商品を決められず、満足度が高まりません。
また、商品の偏りが生まれないように、個人・キュレーター・在庫を適切に紐づける仕組みが必要です。特定商品の在庫が増えないように、工夫をしなければなりません。
4.リアル連動モデル
リアル連動モデルはサブスクリプションサービスでは比較的新しい仕組みで、オンラインサービスだけでなくオフラインでもサービスを受けられるモデルです。飲食店やシェアハウス、ジムなど、さまざまな業界でリアル連動モデルが広がっており、企業側と顧客側どちらにもメリットがあります。
リアル連動モデルの事例として「ClassPass」は、リアル店舗とオンラインサービスを連動させた事例の一つです。ジムの会費を支払うだけでオンライン上の複数レッスンに参加でき、ジムに行けない日でも自宅で運動できるサービスを提供しています。飲食店でリアル連動モデルを採用した場合は、食料の廃棄ロスを減らせて顧客側も低コストで食事を楽しめます。
Shopifyで定期購入ビジネスを成功させるための7つのポイント
ECサイトで定期購入ビジネスを始めるメリットは非常に多いです。しかし「サブスク事業に関する実態調査レポート」によると、約91%が定期購入ビジネスに失敗しているというデータもあります。サブスクリプション機能を実装するだけで成功するほど簡単ではないことが分かります。
これからサブスクリプションサービスを始める方は、次の7つのポイントを抑えておくことが重要になります。サブスクリプションサービスを行う場合には、必ず知っておくべきポイントなので参考にしてください。
- 決済方法は複数用意する
- 数値を定点観測する
- 事業フェーズごとに計測する数値を変える
- 顧客の成功体験を作る
- LTV/CAC>3xを目指す
- 解約理由をヒアリングし対策する
- アップセル・クロスセルを導入する
それぞれのポイントを詳しく解説していきます。
1.カード情報の入力不要など決済方法は複数用意する
サブスクリプションサービスは毎月定額費用を支払う必要があるので、決済方法は複数用意しておき、ユーザーが利用しやすい環境を作っておくことが大切です。クレジットカードや振込など基本的な支払い方法しか対応していない場合は、クレジットカードを持っていない方や、振込が面倒な方を取り逃す可能性があります。
サブスクリプションサービスで、最低限導入しておきたい決済方法は、次の2つです。
- クレジットカード決済
- キャリア決済
その他の銀行振込やコンビニ決済なども導入したほうが良いですが、まずはクレジットカード決済とキャリア決済を導入することで、多くのユーザーが手軽にサブスクを開始できます。クレジットカード決済は、オンラインで商品を購入する際に最も多く利用されている決済手段で、20〜50代まで幅広い利用者がいます。
クレジットカード決済を導入すれば、カードポイントを貯めたいユーザーに有効です。日本人はポイントを貯めている方が多いので、さまざまなクレジットカードに対応できるように次のブランドを導入しておくと良いでしょう。
- VISA
- MasterCard
- JCB
- American Express
次に、大手3大キャリアのドコモ・au・ソフトバンクのキャリア決済は、クレジットカードを持っていないユーザーにも対応できるのがメリット。カード情報の入力が必要ないので、手間なく支払いを行えます。クレジットカード決済に対応しても、カードを作れないユーザーや使いたがらないユーザーも存在するため、キャリア決済は必ず導入しておきましょう。
特にクレジットカードを作れない若年層向けのサブスクリプションサービスを提供する場合は、キャリア決済の導入は必須です。クレジットカード決済とキャリア決済を導入すれば、大多数のユーザーに対応できます。決済方法に迷ったら、まずはこの2つから始めて必要に応じて、決済方法を増やしていくと良いでしょう。
Shopifyの全決済方法と決済手数料を総まとめ|導入すべき決済方法とは
Shopifyで利用できる決済方法と、その手数料体系を詳しく解説した記事です。主要な決済手段の特徴や導入コストを比較し、自社に最適な決済方法を選ぶ際のポイントを紹介しています。
2.数値を定点観測する
サブスクリプションサービスを適切に運営できれば、毎月顧客数が増えていき、ユーザーデータが豊富に蓄積されます。具体的には以下のようなデータの観測ができるので、都度払いよりもサービスを改善しやすい特徴があります。
- 新規登録者の流入経路
- 登録解除の理由
- 登録者の満足度は高いのか
- しっかりサービスを利用しているか
具体的に定点観測すべき数値は次の通りです。
- ARR:年間定額収益
- LTV:顧客生涯価値
- NRR:売上継続率
- CAC:顧客獲得コスト
これらの数値を分析することで、サブスクリプションサービスは正しい形で拡大できているのかを把握でき、改善すべき内容が見えてきます。
例えば、CAC顧客獲得コストが低く新規登録者が多い場合でも、LTV顧客生涯価値が低くサービスの継続がされていない問題がある可能性があります。その場合は、サービスを継続してもらえない理由を分析し、UI/UXの改善や既存機能の強化、カスタマーサクセスの強化を行う必要があるでしょう。
4つの数値を定点観測することで、改善すべき点を具体的に見つけられるようになります。サブスクリプションサービス運営者は、徹底的に数値と向き合って運用することが大切です。
3.事業フェーズごとに計測する数値を変える
サブスクリプションサービスは、事業フェーズごとに計測すべき数値が異なります。初期段階・成長段階・成熟段階では最適なKPIが異なり、行うべき施策を間違えれば黒字化することが難しくなってしまいます。ここでは、3つの事業フェーズで見るべきKPIについて、それぞれ詳しく解説していきます。
ユニットエコノミクス
事業の初期段階では、ユニットエコノミクスの最適化が重要です。ユニットエコノミクスは、LTV顧客生涯価値からCAC顧客獲得コストを割ることで計算できます。ユニットエコノミクスを算出することで、ユーザーひとり当たりの収益性が分かるので、顧客数を増やすべきか、LTVの改善が必要かといった判断を行うことが可能です。
チャーンレート
次に、事業の成長段階と成熟段階ではチャーンレートとリテンションレートをチェックして、収益の最大化を目指します。チャーンレートはサービス解約率のことで、顧客数の減少率と収益の減少率から計算します。
チャーンレートをチェックすることで、顧客数を追うだけでなくサービスが正しい方向性で成長しているのかを確認できます。顧客数が増えているのに、キャッシュフローが改善されない場合は、チャーンレートが高くなっている可能性があるでしょう。
リテンションレート
リテンションレートは、顧客定着率のこと。顧客から得られる金額が増えているのか、減っているのかを表しています。アップセルやクロスセルを用意してLTV顧客生涯価値を高められ、サービスを改善して解約率が減ればリテンションレートの数値も改善されます。新規顧客を獲得しなくても、リテンションレートが改善されることで、収益を増やせます。
4.顧客の成功体験を作る
サブスクリプションサービスを軌道に乗せて成功させるには、顧客の成功体験を作ることが非常に大切です。顧客の成功体験のことを「カスタマーサクセス」といい、サブスクリプションサービスでは不可欠な視点といわれています。カスタマーサクセスが大切な理由は、顧客の成功体験によってサービスの満足度が高まり、継続率が高くなるからです。
サブスクリプションサービスは、継続してもらってこそ成功するビジネスです。飽きさせず、また長く使ってもらうためには、顧客の成功体験が大切になります。買い切り型の商品ではリピート購入率に関係しますが、サブスクリプションサービスでは、サービスの継続に大きく関係し、収益に直結します。
サブスクリプションサービスは、顧客が一度に支払う金額を減らして、定額で支払うサービスです。顧客の成功体験や満足度が得られなければ、すぐに解約されてしまいます。カスタマーサクセスの低いサービスではLTV顧客生涯価値が下がってしまい、新規顧客数が多くてもCAC顧客獲得コストのほうが高くなり赤字化します。
あなたのShopifyストアで実践できる、顧客を離さないための8つの戦略
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5.LTV/CAC>3xを目指す
サブスクリプションサービスを成功させるには、次の公式を目指すことが大切です。
- LTV/CAC>3x
これはLTV顧客生涯価値が、CAC顧客獲得コストの3倍以上ということです。まずLTVはLife Time Valueの略で、「顧客生涯価値」を表しています。新規顧客を獲得してから、取引を終了するまでに自社に対していくらの利益をもたらしたかの指標です。毎月定額で支払うサブスクリプションサービスにとって、非常に大切な数値。
次にCACはCustomer Acquisition Costの略で、顧客獲得コストを表しています。顧客一人獲得するのにいくらのコストが必要なのか、広告費や営業人件費など全てのコストをまとめてCACと呼びます。つまりLTV顧客生涯価値が高く、CAC顧客獲得コストの低いサービスを目指す必要があり、その値がLTV/CAC>3xになります。
LTV/CAC>3xを達成できれば毎年確実に成長でき、達成する過程で改善した内容により、良いサービスを提供できるようになります。3倍を達成するにはLTV顧客生涯価値を高くして、CAC顧客獲得コストを低くする必要があります。
LTV(顧客生涯価値)は高額プランを用意し、カスタマーサクセスを高めて解約率を低くすることで対策します。一方CAC(顧客獲得コスト)はorganic(検索)流入を増やし、広告運用を改善することで対策できます。LTVを高める過程でサービスを改善し、口コミを広げることができれば、自然流入を増やすことも可能です。結果的にCAC顧客獲得コストを低くできます。
6.解約理由をヒアリングし対策する
サービス内容を改善し、カスタマーサクセス向上に注力していても、解約率が中々下がらないことも多いでしょう。解約率が下がらない場合は、解約理由を顧客にヒアリングして対策するのが最も効果的です。例えば解約画面に移行する前に、いくつかの質問を用意してヒアリングすると、率直な理由が分かるでしょう。
顧客が不満に感じていることをしっかり把握しなければ、適切な改善を行えません。必ずヒアリングを行い、具体的な原因を探求する必要があります。
また、意図しない解約にも注意することが大切です。意図しない解約とは、クレジットカードの期限切れや紛失、メールアドレスの変更やネットワークのエラーなどのこと。解約理由の全体の20〜40%ほどを占めているので、しっかりと原因を解明し、対策することが収益に大きく関係してくるでしょう。
7.アップセル・クロスセルを導入する
LTV顧客生涯価値を高めて、CAC顧客獲得コストを低下させるには、アップセルやクロスセルを導入するのがポイントです。アップセルとは契約しているサービスよりも高機能なサービスに切り替えてもらうことで、クロスセルは別のサービスを追加契約してもらうことです。アップセルとクロスセルはどちらも収益性を高められ、CAC顧客獲得コストを下げることが可能です。
新規顧客を獲得して収益を高めるコストに比べて、アップセルではその24%で済むというデータがあるほどです。サブスクリプションサービスで長期的に収益を拡大している企業は、アップセルを用意して既存顧客一人当たりの収益性を効果的に高めることに成功しています。
アップセルを行う方法としては複数プランを用意し、顧客自ら上位プランを選ぶように誘導することが大切です。プランにどんな機能を設けるのか、料金はどうするのかなど、顧客データを元に戦略を練って販促しましょう。
クロスセルを行う際は、顧客満足度が高くなる別のサービスを用意することが大切で、押し売りにはならないように注意しながら販促することがポイントです。顧客目線に立って、需要を検討すると良いでしょう。
Shopifyのサブスクリプションアプリの導入事例3選
サブスクリプションアプリを導入してどのような効果があるのか、どんなサービスが取り入れているのかなど、気になる方もいるのではないでしょうか。ここからは、Shopifyのサブスクリプションアプリを導入した事例を3つご紹介します。
1.単発販売と定期購入が選べる「ALEN Air Purifier and Filters」
出典:ALEN Air Purifier and Filters
ALEN Air Purifier and Filtersは、テキサス州オースティンに本社があるALEN Corporationの空気清浄機です。こちらは空気清浄機の稼働音が静かで、睡眠を阻害しないという特徴があります。
こちらの会社では、フィルターの種類がいくつかあるものの、ターゲットが選びにくいことが課題でした。そこで部屋のタイプやハウスダスト、ペットの匂いなど悩み事別にフィルターをかけられるようになっています。
アプリの機能を用いて、単発販売と定期購入をラジオボタンで選択できるようになっています。これにより、定期的に購入したいと考えているユーザーの要望をその場で叶えられるような工夫がされています。
2.レイアウトにこだわる「完全栄養食 BASE FOOD(ベースフード)」
BASE FOODは、完全栄養食としてパンやパスタを販売しているブランドです。ビタミンやミネラル、たんぱく質、食物繊維などが入っていて、おいしいご飯を食べながら栄養補給ができるとして人気があります。
そんなBASE FOODでは、ユーザーに定期購入を行ってもらうため、サブスクリプションアプリを導入しました。またレイアウトにこだわることで、各商品における栄養素の配合など、これまで伝えられなかった特徴を伝えられるようになったのです。こうした工夫により、ユーザーの定期購入へとつなげられるようになりました。
3.オンライン上で花を定期販売する「LIFFT」
出典:LIFFT
LIFFTは、ギフト用のお花を定期便で提供しているサービスです。オーダーごとに全国各地の農園から採花しているので、新鮮なお花を届けられます。
こちらでは、オンライン上でデイリー用の花を販売したいという要望がありました。そこでサブスクリプションアプリを導入したことで、「家から出られないけどお花がほしい」「近所に花屋がない」というユーザーのニーズを満たせるようになったのです。
さらに、新鮮なお花を届けるために特殊な動きをする面についても、細かく要望をカバーできています。こうした点も、サブスクリプションアプリならではのメリットです。
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