自社サイトを初めて制作するとき、何から手を付けたらよいか、何をどう決めたらよいかわからない……といった状況にあるかもしれません。
専門の会社にホームページの制作を依頼する場合、予め決めておくべきことや知っておきたいポイントを押さえておくとよいでしょう。WEB制作にまったく知識がない状態では、適切な相談先や依頼先を見つけられない、自社の要望をうまく伝えられない、という事態に陥りかねません。
この記事では、WEB制作初心者の方に向けてホームページ制作の手順を4つのステップにわけて解説しています。まずはイメージをつかみ、ある程度理解を深めてから先に進んでみてください。
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目次
ホームページ制作の流れ
まずは、ホームページ制作全体の流れを大まかに理解しておきましょう。一般的なWEB制作会社では以下のような順序で進める場合が多いです。考えておくべきことや準備しておくことなどを、ざっくり把握しながらイメージしてみてください。
1.ホームページの目的を決める(計画フェーズ)
ホームページを作るときには、最初に明確な目的を定めておくとよいです。どんな目的や目標に向かってサイトを構築するかは、成果の上がるホームページを作る際の重要な決め手となります。
ホームページの目的によって、選ぶ制作会社が変わったり、デザインやシステムの方向性などの細かな部分も変化するため、完成するサイトの良し悪しを左右することになります。WEBサイトの制作にはたくさんの人が関わりますので、ホームページの目的を自社で明確化しておくことが重要な最初の一歩です。
2.制作会社を選ぶ(発注フェーズ)
今やホームページは専門スキルがなくても簡単に、低コストで制作できます。しかし、成果を上げるホームページや自社の目的を達成しやすいホームページに仕上げるには、プロの制作会社に依頼する方がよいでしょう。
そのぶんコストはかかりますが、時間や手間が不要なため、制作中は自社の既存業務に専念することができます。ノウハウやセンスといったものも一朝一夕で手に入らない価値があるので、完成したサイトの出来栄えや品質も格段に違ってきます。
3.制作する(制作フェーズ)
依頼する制作会社が決まったら、実際にホームページを制作していく段階に入ります。期間としてはこのフェーズが最も長い期間を要します。打合せでは細かいところまで打合せを念入りに行うため、担当者とコミュニケーションをしっかりとりながら進めます。実装段階まで進めば、自社で行う作業はほとんどなくなり既存業務に専念することが可能です。
4.公開・運用する(運用フェーズ)
最後にホームページが公開され、実際の運用ができるフェーズになります。
ホームページは公開がゴールではありません。目標を達成できるホームページにするためには、運用に向けたひと手間が重要です。公開後、効果的に運用を進めるにはホームページのアクセス解析やデータ収集などが必要になります。このタイミングでやっておくべきことや、確認すべきこともあるので実施しておきましょう。
ここからは、各フェーズごとの具体的な内容を解説していきます。
1.ホームページの目的を決める(計画フェーズ)
ホームページを制作する前に、まずはホームページの目的を定めましょう。
自社が、どんな顧客に対してどんなアクションをしてほしいのかといったことを整理する必要があります。できれば文面化して、誰が見てもわかりやすい形にまとめておくとよいです。
これから依頼するWEB制作会社の担当者や、自社の従業員などと共有しやすいようにしておくのが重要です。書面にまとめるときは、自分以外の人が見てもわかりやすいかどうかを考えながらまとめましょう。
とはいえ、難しく考えすぎることはありません。たとえば、ECサイトであれば顧客の商品購入や、自社の売上アップがホームページの目的となります。また、店舗のホームページであれば予約や来店などが目的となるでしょう。このように、自社のビジネス上の目的と適切にリンクしていれば問題ありません。
ホームページのゴールを決める
ホームページのゴールとは、顧客にどのような行動をしてほしいかということです。ホームページの目的で定めたこととも通じています。
物販のECサイトであれば「商品の購入」、自社サービスの提供をしている場合は「申込」などがゴールとなります。顧客獲得につながる「問い合わせ」や「資料請求」などをゴールとする場合もあるでしょう。
店舗のHPなども同様に、予約や問い合わせなどがゴールです。最終的に顧客をどんな行動に誘導したいかを考えます。
ターゲット(見込み客)を決める
続いて、制作するホームページは、誰に向けたサイトなのかを決めましょう。既に取引実績がある場合は、自社の商品やサービスを利用してくれている顧客はどのような特徴があるのかを明確にします。
このとき、ターゲット像をより深く詳細な、具体的人物像として設定する「ペルソナ」を作成するとよいです。
- 年齢
- 性別
- 居住地
- 職業
- 性格
- 生活スタイル
- 趣味嗜好 など
このように、細かい人物像としてペルソナを設定し、制作会社や社内の従業員などに伝えられるようにまとめておきます。ペルソナの設定はホームページ制作だけでなく、今後ビジネスのさまざまなシーンで役に立つものです。
ペルソナとは?役割と定義、設定ポイントを解説
RFP(提案依頼書)にまとめる
以上の内容をRFP(提案依頼書)としてまとめておくとよりスムーズな意思疎通ができます。必須ではありませんが、制作会社に自社の希望やイメージを伝えやすくなったり、見積をより正確に出してもらえるようになったり、メリットや恩恵を受けやすくなるでしょう。
RFPという形でなくても、ホームページの目的やターゲットを正確に伝えられるような事前準備をしておくことは必須です。
2.制作会社を選ぶ(発注フェーズ)
続いては、実際に依頼するWEB制作会社を選ぶフェーズです。ホームページ制作を請け負う会社は非常にたくさんあり、どの会社を選べばよいかわらないという課題がある場合も少なくないでしょう。
自社にピッタリの制作会社を選ぶために、基準となるポイントを整理してみます。
制作会社選びのポイント
ひとくちに「WEB制作会社」といっても、企業ごとの規模、種類、特色などはさまざまです。まず基準にするとよいのは制作会社の「規模」と「強み」です。
制作会社の規模
WEB制作会社は、それぞれ規模の大きさが異なります。制作会社そのものの規模と、仕事の依頼主であるクライアントの規模を見ておきましょう。過去の実績プロジェクトの規模が大きければ大きいほど、少額な案件は依頼を断られてしまうケースもありますので注意しましょう。
その点、規模の小さい制作会社の場合、少数精鋭の体制で優れたサービスを受けられることもあります。少額でも手厚いサポートを受けられる可能性があるため、規模の大きさで満足度が決まるわけではないことを覚えておきましょう。
ただし、小さな制作会社の場合品質にバラつきがあるのは事実です。過去の実績や、クライアントからの声などを参考にして慎重に選ぶ必要があります。
制作会社の強み
WEB制作会社には、それぞれ強みや特色が異なります。たとえば「SEO集客に強い」といった会社もあれば「デザインの品質に自信がある」「システム開発に長けている」などさまざまな特色があるのです。
自社の目指したいホームページには、どの会社の特色がマッチしているのかを見極めるようにしましょう。
問い合わせの仕方
依頼したい制作会社がある程度リストアップできたら、問い合わせ時に以下の項目を共有できるようにしておきましょう。
- 目的(問い合わせ件数アップ、購入率アップなど)
- 既存の自社サイト
- 業態、業種
- 予算
- 既存の顧客獲得経路
- 参考サイト(デザインやサービスの参考のため)
- 競合サイト
- その他、制作依頼時に重視したいこと など
以前の章でご説明したホームページの目的やターゲット以外に、上記の情報も共有できれば制作会社との意思疎通がよりスムーズになります。
自社のビジネスの概要を端的に伝えるようにしましょう。また、どんなイメージでどんな機能をもったサイトにしたいなど、参考となるサイト例をもとに話を進めるとよいです。
既に自社サイトをもっている場合は、そこからどうリニューアルするかを話し合う必要がありますので事前に提示できるよう準備しておきましょう。
見積り・提案をもらう
一般的には、最初のお問合せとは別で、後日詳細なヒアリングをするための面談が設けられます。WEB制作会社は、問い合わせの内容とヒアリングの結果を元に見積もりを作成します。
制作会社から依頼主へのヒアリング内容として、よくある内容の例を挙げてみましょう。
- 発注のきっかけ
- 今のホームページの課題(サイトリニューアルの場合)
- 完成までの希望納期
- 制作にかけられる予算感 など
見積時にもっとも重要となるのは、予算感です。ホームページ制作では、各作業工程ごとに単価が決まっており、単価×工数を元に見積もりを作成しています。ヒアリング時に予算の上限金額を伝えておけば、その金額ラインに合わせて見積もりを組んでもらうことができます。
選定・契約
見積もりや提案内容を元に、自社の目的や予算などとマッチする制作会社を選定していきます。
金額や制作会社の強みといった要素ももちろん重要ですが、意外と契約のポイントになるのは、企業や担当者の「人となり」です。
というのも、ホームページやサイト制作は「作ったら終わり」という商品ではありません。継続的に運用していくことが前提となるため、長期間のやりとりでコミュニケーションを取っていく必要があるサービスなのです。
企業の雰囲気や担当者の人となり、接しやすさなどがサイトの良し悪しに大きく影響することがあります。この点も重視して選定しましょう。
【発注フェーズの注意点】制作会社と依頼主、どちらがやるの?となりやすいポイント
発注フェーズでは、制作会社と依頼主でどちらが行うかが曖昧になりやすい項目があります。後々トラブルにならないためにも、以下のポイントは必ずどちらの作業範囲となるか確認しておくとよいです。
- 既存サイトコンテンツの新サイトへの移管作業
- ECサイト商品ページへの商品登録作業
- サイト内のテキスト作成 など
上記のほかにも、作業範囲に関する疑問や不明点は、見積もり提案の段階で確認するようにしてください。
3.制作する(制作フェーズ)
依頼するWEB制作会社が決まったら、いよいよ実際の制作段階に突入します。決めごとや打合せの数も増えていくため、ここが一番の正念場となります。
実際のサイト制作フェーズの流れとともに、押さえておきたいポイントを確認してみましょう。
設計
最初に行う「サイトの設計」は、少々根気のいる作業になるかもしれません。サイトの設計には、以下のようなものが含まれます。
ハイレベルサイトマップ
ハイレベルサイトマップとは、サイトの構造やサイトコンセプトなどを図式化したもの。ホームページの全体像を、制作に関わる人たちの間でわかりやすく共有できるように、整理・分類するためのマップです。ロジックツリーなどを使って作成します。
ディレクトリマップ
ディレクトリマップとは、サイト内のすべてのページタイトルとURLを一覧表にしたものです。サイト制作時や、管理・運営する際の進行役など、関係者が情報を共有しやすくするために作成します。
ワイヤーフレーム(ページ構成案)
ワイヤーフレームとは、ページのどこに何をどんなふうに設置するかという、サイトの機能的な設計図のことをいいます。誰に・何を・どのタイミングで提示するかを決める重要なフェーズなので、競合調査や依頼主へのヒアリングを重ねて慎重に決めていきます。
URL構造
URL構造は、サイトやページのURLの構造設計です。URLは単純な英数字の羅列ではなく、ユーザーや検索エンジンが何のURLを示しているのかを理解しやすいものに設定する必要があるのです。ドメイン名、ディレクトリ名、ファイル名など、各要素ごとに細かく設定します。
リンク構造
サイト内のページを、どのようなリンクでつなぐかを設計するのがリンク構造です。ホームページを訪問する顧客が、サイト内で迷わず、スムーズに目的にたどり着けるような「導線」を作る作業です。
一般的には、上記の上から順に作成や確認をしていくことが多いです。制作会社によってどのようなプロセスで作業を進めるかが異なるため、必ずしもすべてを作成するとは限りません。
しかし、各種の設計要素を知っておくことで、この後のプロセスへ進んだあとに引き返して修正する必要性が出てくるのを防ぎます。
デザイン
サイトの細かな設計が終わったら、デザインを制作していきます。最終的にユーザーに見える画面として、整えていく作業です。
デザインは、依頼する側の意図通りになっているかどうかを確認し、まとめてフィードバックをするのが重要となります。
デザインのフェーズで修正点を伝えていればすぐに対応できることも、次のフェーズでは直せないといったことも起こり得ます。次の実装段階に進んでからの修正では、制作会社の作業量が増え追加料金が発生する場合も少なくありません。
また、修正依頼を何度も小出しにしてしまうと、制作スケジュール全体に影響が出て、希望納期に完成しないといった問題につながることもあります。
そのため、指摘箇所や修正依頼は、なるべく早い段階にまとめて伝えるように心がけてください。
制作・実装
前項で決定したデザインを、WEBサイト上で表現するための「実装」を行うフェーズです。この段階までくると、制作会社に任せることが多くなるため、自社で行う作業はほとんどなくなります。
ホームページが出来上がってきたら画面上で確認します。当初の目的が果たせるサイトになっているかどうかは、次の動作テストでチェックしていきます。
テスト・チェック
多くの場合、ホームページを公開する前にテストサイトを立ち上げ、最終チェックを行います。
どのデバイスで見ても表示が崩れがないか、ボタンをクリックすると適切なページへ移動するかどうかなどをすべてチェックします。また、GoogleChromeやsafariなど、複数のブラウザで表示しても問題ないか確認します。
上記のような細かいチェックは、制作会社の方でやってくれることがほとんどです。あなたはユーザー目線に立ち、使いにくい部分や依頼の意図と違う部分がないかなどを確認すればOKです。このテストは1週間ほどかけて丁寧に行います。
チェックが終わったら、無事公開に移っていきます。
ディレクトリマップとは?Web制作での必要性やメリット、作り方を解説
Web制作に関わる人にとっては聞きなれた、見慣れたディレクトリマップですが、何のために必要なのでしょうか?Web制作でディレクトリマップが無いとどんなことで困るのか、基本的なことから解説します。
ワイヤーフレームとは?作り方、おすすめツールも紹介
Webサイト制作やリニューアル時に必ず必要なのがワイヤーフレームです。一度も作成したことがない人には難しく感じますが、なぜ必要なのか、どんな内容が必要なのかがわかれば初心者でもチャレンジ可能です。ワイヤーフレームを基本的なことから紹介します。
【制作フェーズの注意点】サイト制作の成功の秘訣はコミュニケーション
ホームページ制作のプロジェクト進行中、対面やZOOMなどでの打合せは4~5回程度です。それ以外にやりとりする場合は、電話やメール、チャットツールなどを使ってその都度やり取りをする形になります。
対面で行う打合せは、それほどたくさんの時間を設けることができません。貴重な時間を有意義に使えるよう、事前準備をしっかりと行って打ち合わせに臨むようにしましょう。
4.公開・運用する(運用フェーズ)
サイトの制作が終わったら、いよいよ公開です。公開後は実際の運用に移っていきます。制作終了はゴールではなく、スタートであることをしっかり念頭に置いておきましょう。
公開後は以下のポイントを押さえ、実際の運用に備えていきます。
表示確認
表示確認は、実際に本番公開したサイトを、Google chromeやsafari、Edgeなどのブラウザを使ってチェックする作業です。制作フェーズの最後と大きく変わりません。
ここで問題がなければ、一般的に制作会社との契約は終了となります。
Googleへのサイトマップ送信
サイトが公開されたら、新しく出来上がったサイトをGoogleの検索エンジンに登録し、検索で表示されるようにします。Googleへサイトマップを送信することで、検索エンジンがあなたのサイトを認識してくれるようになるのです。
WEB制作会社の方で「sitemap.xml」のファイルを作り、アップロードまで済ませてくれるケースがほとんどです。あなたは、Googleサーチコンソールを使って、サイトマップが正しく登録されているかを確認してください。サイトマップの確認方法や対応方法は、以下の記事で詳しく解説しています。
Search Consoleでサイトマップを送信する方法
Googleサーチコンソールとは?使い方と登録方法や設定を解説
Webサイトの集客状況を分析する際にGoogleアナリティクスと同じくらい役立つのがGoogleサーチコンソールです。サーチコンソールへの登録方法やGoogleアナリティクスとの連携方法について、わかりやすく解説します。
Googleアナリティクスの導入
ホームページを運用していくには、Googleアナリティクスを使ってデータ解析をする必要があります。集客率や売上のアップなどは、今後細かな数値目標を立てて運用していけると理想的です。
アクセス解析には、「Googleアナリティクス」が無料で利用できます。ホームページを制作したら、Googleアナリティクスの導入は必須です。導入方法は以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしながら進めてみてください。
Googleアナリティクスとは?登録方法や使い方、分析方法を解説
Webサイト運営者の多くはGoogleアナリティクスに登録し、日々のデータを見てサイトの改善を行っています。でも、初めて利用する人には何を見て、どのようにサイトを改善していけばいいのかわかりませんよね?初心者向けにGoogleアナリティクスをわかりやすく解説します。
ホームページ制作の流れのまとめ
以上がホームページ制作の具体的な流れです。
細かい設計フェーズでは、少し難しく感じられる部分もあるかもしれません。しかし、疑問な点や不安なことは専門家に任せたり、アドバイスを求めたりしながら進めることが可能です。より成果の上がりやすい良質なサイトを作るためにも、あなたの会社に最適なパートナーを見つけ、相談してみることをおすすめします。
自社のビジネスの目的やターゲット、目指したい世界観など、あなたにしか判断できない大事な部分を確固たるものにするという点に注力していきましょう。
ホームページ制作に関してわからないことや疑問点などがあれば、ぜひ当社ニュートラルワークスへお気軽にご相談いただければ幸いです。