マーケティング

最終更新日: 2022.03.14

ターゲティングとは?有効なフレームワークや注意点を解説

ターゲティングとは?有効なフレームワークや注意点を解説

ターゲティングとは、ビジネスの現場において「売るべき市場を見定めること」です。マーケティングの戦略の中で「6R」という有効な手法がありますが、その中のひとつに数えられます。

しかし、「聞いたことはあるけれど詳しく説明できない」という人もいるでしょう。

この記事ではターゲティングの基本を説明し、さらにマーケティングの中での位置付けを解説していきます。「6R」という有効なフレームワークについても詳しく触れているので、ぜひマーケティングの戦略立案に役立ててください。

ターゲティングとは?

ターゲティングとは?

ターゲティングとは、マーケティングの手法の一つです。市場を細分化し、ターゲット(対象)を絞り込んで分析し、戦略を立てることを言います。

ターゲットを絞り込むことで、売り込みたい商品・サービスを特定のニーズに対して売り込みやすくなります。ビジネスとして成功していくために、必須で取り入れていきたい手法です。

具体的には、輪郭のない「誰か」に売るのではなく、「特定の課題感や悩みを持つ人」に絞り込むことで売り込むべき戦略が定まってきます。

またターゲティングは、STP分析の一つでもあります。STP分析とは、S(セグメンテーション:市場細分化)、T(ターゲティング:市場決定)、P(ポジショニング:立ち位置の明確化)それぞれの英単語の頭文字をとった分析手法のことです。

ビジネスの場面で、業種問わず幅広く使われています。STP分析の内容については、次項でそれぞれ詳しく説明していきます。

市場の構造を把握する「セグメンテーション」

セグメンテーションは「市場細分化」を指し、市場を細分化して構造を把握することを言います。

ひと口に「市場」と言っても、性別・年齢・属性・嗜好・居住地などはさまざまな条件が混在しているものです。そんな中で、一定の軸に沿って分類しながら属性を分けていき、その属性をさらに詳しく分析することで理解できます。

例えば女性か男性か、年代をどこで区切って区分けするか、居住地をどう区分するかなどといった軸を定め、その軸に沿ってセグメント(分類)し、その軸に当てはまる人をさらに調査・分析していくのがセグメンテーションです。

どの軸で分類していくかで今後分析していく結果が変わってくるため、慎重に分類軸を定める必要があります。

勝負対象を定める「ターゲティング」

すでに解説をしているターゲティングは、セグメンテーションで分類したグループの中から、さらに商品・サービスを売るべきグループを定めることを言います。

他社とは違い秀でている部分や、強みを活かせる部分に焦点を当て、グループ選定に役立てます。ターゲティングの目的は、自社の商品・サービスを買ってもらう人に焦点を当てて、より適切に売り込む戦略を立てることです。

商品を必要とする人は、どんな人なのか深掘りをして考えてみましょう。このタイミングで競合他社をしっかりと分析して、自社の強みが実際にどうであるのかを確認する機会としても良いでしょう。

ニーズに対してどんな価値を提供するか定める「ポジショニング」

ターゲティングで決めた対象のグループに対して、どんな価値を提供するかを決めるのがポジショニングです。

ポジショニングする際には、ターゲットについて知ることももちろん重要ですが、市場でどのようなものが提供されているのか知ることも重要です。

そのためには似た商品・サービスを提供している競合他社を徹底的に調査し、それぞれの強みや特徴を押さえる必要があります。

それらを調査し、それぞれの会社の商品・サービスを整理した後に、「自社はターゲットから見てどの位置にあるか」「市場の中で自社が特にすぐれている点はどこか」を考えることになります。これがポジショニングです。

ターゲットから見て、市場における唯一の価値を提供できるポジションをとり、必要と感じてもらうことが目的となります。そうして価値を感じられるようなブランディング・広告宣伝を行いながら、これまでの分析の成果を実践していくのです。

マーケティングにおいてターゲティングが重要な理由

マーケティングにおいてターゲティングが重要な理由

STP分析のなかでもっとも重要といわれているのがターゲティングです。さまざまなモノが市場にあふれ、情報も氾濫している現在、質が良いだけでは売れない時代になっているといえます。

単に「いいものを売っている」というだけでは、購入されずに残る可能性もあります。しかしマーケティングでは、そんな状況の中でも商品・サービスを一際目立たせ、必要としている人に届けることができます。その「必要な人」を見定める際に重要なのがターゲティングです。

マーケティング活動を効果的に行っていくためにも、しっかりとターゲティングを行い、自社の商品・サービスをどう届けていくか戦略を立てていきましょう。

ターゲティングに有効な6つのフレームワーク「6R」とは?

ターゲティングに有効な6つのフレームワーク「6R」とは?

成果につながるターゲティングを行うために、6つのフレームワークを通して設定していく方法があります。このフレームワークを「6R」と呼びますが、それぞれの項目を達成することで、ターゲットを明確にできます。

Realistic Scale:有効な市場規模

まずは自社の商品やサービスを売るにあたって、見込みがある市場かどうかを見極める必要があります。

この「見込みがある」というのは、実際に期待する程度の数が売れるかという数的側面と、売り出すにあたって、生じたコストを賄うほど十分売れるかという金額的側面を持ちます。

一人当たりの消費金額が多いか少ないかも、重要な要素です。マス市場を狙えばさまざまな人に購入してもらえる機会がありますが、ニッチ産業でターゲットを絞り込み、競合を避けていく方法もあります。

Rank/Ripple Effect:優先順位/波及効果

売りたい商品・サービスに対して、顧客の優先度がどのくらい高いのか、注目してもらえるのかなどについて見極めます。

そもそも世間で関心が高く、優先度の高い市場であれば、ちょっとしたことで波及効果を見込めます。拡散を狙える人に焦点を当て、魅力的な宣伝を行うことで波及効果を存分に発揮できるでしょう。

狙う市場自体が小さくても、波及効果の結果多くの人に認知拡大し、市場が発展していくことが期待できます。

Rival:競合状況

自社商品・サービスに対して、すでにライバルとなる競合が存在しているかどうかを見極めます。競合の数だけではなく、その質も重要です。

あまりに競合が多すぎる場合、あるいは強力な1社が独占している状況であった場合などでは、その市場で戦うには厳しい状況と言えるでしょう。こういった市場をレッドオーシャンと言います。

できるだけライバルのいない、ブルーオーシャン市場で戦うのが良策です。競合との戦いが少なく、穏やかな市場こそ成功のチャンスがあります。うまくいくとシェアを大きく獲得し、高い地位を獲得することができるかもしれません。

Rate of Growth:成長性

狙っていく市場が、その後どのくらいの成長性があるのか見極めます。今までが上り調子だった市場でも、今後の将来性については分析しなくてはわかりません。

衰退していく市場に狙いを定めてしまうと、少しの期間だけは利益を上げられるかもしれませんが、数年・数十年と市場を保つことは難しいでしょう。市場が狭くなっていけばいくほど、商品を売るのも難しくなってきてしまいます。

狙いたいのは、今後成長していく市場です。今は小さい市場でも、今後成長していく見込みがあるならば期待できます

そのため現在の市場状況だけではなく、将来を含めてしっかりと状況を分析してください。それに細かいデータ分析が必要な場合もありますが、「これも重要」と考え、必要があればデータ作成から取り組むと良いでしょう。

Reach:到達可能性

地理的理由などで商品やサービスを顧客に届けることが難しくないかどうかを見極めます。具体的にいうと運送手段、ネットなどのインフラに注目します。

例えば、温暖地域で雪かき機をすすめたり、都市部でトラクターを売ったりするのが難しいのと同様、買ってくれる人がほぼいない地域でわざわざ販売するのは、コストの無駄でしかありません。

地理的状況を見極めて、売るべき地域を定める必要があるのです。

Response:測定可能性

成果や反応を測定してPDCAを回していける市場かどうかを見極めます。例えばネット広告であれば、その表示回数・クリック数などがわかりますが、紙のチラシや宣伝カーなどのアナログな宣伝方法では正確な成果測定は難しいでしょう。

せっかくマーケティングの手法を駆使して宣伝を行ったとしても、PDCAを回せなくては改善のしようがありません。効果を測定し、常に改善を試みることができる環境を整えてください。

ネット環境でのデータ収集が難しい場合は、アンケート・モニタリングなど、具体的なフィードバックを得る方法を考えると良いでしょう。

ターゲティングはどんな仕事にも役立つ!営業を例に紹介

ターゲティングはどんな仕事にも役立つ!営業を例に紹介

ここでひとつ、営業マンがターゲティングの考え方を取り入れた例をみていきましょう。

営業マン自身は、「良いものを売るのだから必ず売れるはず」という考えで仕事をしていました。しかし、段々と新規顧客が少なくなってきたために、考えを改める必要性を感じ、ターゲティングの考えを取り入れることにしました。

ここでのターゲティングは課題を克服するために非常に有効な手段です。ターゲティングでは、市場での価値を整理し、競合を分析し、売り込むべき自社商品のプロモーション戦略を練ります。

そうして練り上げた売り文句を使い営業をかけることで、的確に魅力を伝えることができ、新規顧客が得やすくなる効果を期待できます。さらに、強い魅力を感じて客単価が上がることも期待できるでしょう。

ターゲティングはさまざまな業界で役に立つのです。

ターゲティングの注意点

ターゲティングの注意点

市場分析した結果、いい条件がそろっても自社や自分にそのセグメントをターゲットにするリソースがあるかどうかを検討することも重要です。

ターゲティングは、会社の中でも大きな方向性を握ることになります。もしターゲットにするほどのスキルやノウハウ、余裕がなければもう一度分析に戻ってみることが重要です。改めて、狙える市場を選定しましょう。

また、あまりに短期的な目線でいるのも危険です。短期の売り上げだけ、目先の結果だけを追い求めれば、長期的に見ていい結果が得られない場合もあります。

さまざまなマーケティングの事例を見て学び、自社の戦略に活かしてください。

ターゲティングに成功している企業例

ターゲティングに成功している企業例

ターゲティングに成功している事例を5つ紹介していきます。なぜそれぞれの会社が成功していったのか、具体的にどのようなターゲティングを行ったのかを解説します。似た業界・商品などを見て参考にし、自社でのターゲティングに活かしてみてください。

スターバックス

スターバックスは、都市部かつ利便性の高い立地で、高単価のコーヒを販売している会社です。おしゃれな店内で優雅に勉強や読書をしている人を、見かけたことがある人も多いでしょう。学生から社会人まで、幅広く愛されています。

元々は高単価の商品を購入できる高収入のビジネスマンがターゲットでした。クオリティーの高い商品と、店内の雰囲気が、ターゲットにうまくマッチしていたといえます。成功のポイントは、最初のターゲティングがうまくいった点にあるでしょう。

現在はコーヒー以外に、フラペチーノなどの甘い飲みものや写真映えする新商品が若い女性や学生に好まれており、想定していたターゲットから外れて広い範囲で人気を誇るようになっています。

QBハウス

QBハウスは、「美容・理容院にできるだけお金をかけたくない」という層をターゲットとして成功した会社です。

美容や理容業界では本来、料金は数千円かかるのが当たり前であり、価格よりもカットの品質で競っていました。しかし金額という、優先度が高いわりに注目されていなかった項目に焦点を当て、「とにかく早い・とにかく安い」とテーマに掲げたのが大きな特徴です。

忙しいうえに自由に使えるお金が少ない会社員をターゲットに、「10分1000円」という破格の価格・スピードでサービスを提供しています。

駅周辺など、人が集まりやすい場所に店を構え、今では多くの店舗が各地にあります。

無印良品

無印良品はその名の通り、シンプルで高品質な商品を提供している会社です。当初からミニマルなライフスタイルを好む人や、シンプルなデザインを好む人をターゲットにしていて、比較的手ごろで手に入れられる商品を販売しています。

「安くてそのぶん品質が悪いもの」ではなく、「安くて良いもの」に焦点を当てて販売することで、手ごろ感を求める多くの人から好まれるようになりました。

もともと凝ったデザインやパッケージ、付加価値化を行わないことから、商品を安く提供することを続けられています。一貫したマーケティングの姿勢により、追随を許さないブランディングに成功しているといえます。

シーブリーズ

元々は海で遊ぶ男性をターゲットにしていたシーブリーズですが、そもそも海にいく人の数が減ってきたことから売り上げは徐々に減少。そこで方向転換を行い、女子高生をターゲットに販売を行なっていくことにしました。

この思い切った方向転換で、売上は上昇。海に行くという非日常での使用から、日常使いにフォーカスしたことで、使用頻度が上がることになりました。単純に使用するターゲットの母数が大きく上がっただけではなく、使用の頻度つまり使用量が上がったのです

ターゲットを変更することそのものも英断でしたが、ターゲットがより大きな市場へと変化することで非常にうまくいった例と言えます。

ポケットドルツ

ポケットドルツはパナソニックが開発した女性向け歯ブラシです。女性の手にも握りやすく、小さな口でも磨きやすいように設計されています。

電動歯ブラシといえば、多くは高齢者や男性をターゲットに作られていて、女性をターゲットにしたものではありませんでした。ポケットドルツはその静音性と、使いやすいフォルムから、女性が実際に職場でも使いやすくなっています。外観も上品で可愛らしくなっていることも特徴の一つ。ターゲットにひたすら寄り添った商品です。

これまでの市場が向けていたターゲットからあえて外し、「小さい市場」を狙っていくことで成功した事例と言えます。

ターゲティングのまとめ

ターゲティングのまとめ

ターゲティングとは、マーケティングの戦略立案をしていく際に重要な手法であることを説明してきました。

ターゲティングはマーケティングを行う人だけが必要なものと考えがちですが、さまざまな場面で活用できます。「STP分析」の概念を念頭に置きながら、「6R」の手法でターゲットを設定し、セールスを成功に導くターゲティングを実践してみてください。

著者紹介

石田 哲也

石田 哲也

取締役CMO

Twitter:@te2319
株式会社ニュートラルワークス 取締役CMO。1984年生まれ。高校卒業後にISD株式会社にて起業。株式会社オプトにてWebマーケティングを学び、株式会社メタップスなど複数のベンチャー企業にて事業立ち上げを経験。前職はワンダープラネット株式会社にてゲームプロデューサーとしてスマホアプリゲームの制作に従事。2018年に地元の神奈川へ戻り、ニュートラルワークスにジョイン。SEO/Web広告運用/サイト分析・改善など、Webサイトの運用改善~ゲームアプリ制作や数十万フォロワーのSNSアカウントの運用経験などWebビジネス全般を守備範囲とする。

■経歴
2003年 ISD株式会社/起業
2009年 株式会社オプト/SEMコンサルタント
2011年 株式会社メタップス/シニアディレクター
2013年 ライブエイド株式会社/執行役
2016年 ワンダープラネット株式会社/プロデューサー・BizDev
2018年 株式会社ニュートラルワークス/取締役CMO

■得意領域
Webサイト改善
SEO対策
コンテンツマーケティング
リスティング広告

■保有資格
Google アナリティクス認定資格(GAIQ)
Google 広告検索認定資格
Google 広告ディスプレイ認定資格
Google 広告モバイル認定資格