マーケティング

最終更新日: 2021.11.19

顧客分析で役立つデシル分析とは?分かることや効果的な活用方法を徹底解説

顧客分析で役立つデシル分析とは?分かることや効果的な活用方法を徹底解説

デシル分析は顧客を累計購入金額に応じてグループ化して、各グループの購買傾向から顧客の特徴を読み解く手法です。顧客の購買履歴データから、売上に貢献している優良顧客層を見つけ出すことができます。それにより、見込み客に効率的にアプローチが可能になります。

デシル分析はシンプルで分かりやすいのが魅力です。顧客分析やデータマイニングの第一歩とも言われており、初めて顧客分析をする際にもおすすめです。比較的簡単に導入できる手法ですが、うまく活用できれば購買予測や、マーケティング施策の立案に役立ちます。

この記事では、デシル分析の概要やメリットだけでなく、効果的な活用方法や活用事例についても詳しく解説します。この記事を読めば、迷わずにデシル分析を行えるようになり、自社のマーケティング活動に役立てられます。

デシル分析とは顧客を累計購入金額に応じて分ける手法

デシル分析とは顧客を累計購入金額に応じて分ける手法

デシル分析とは、顧客を購入金額の高い順に10等分したグループに分けて、各グループごとに分析する方法のことです。自社の顧客全体を漠然と捉えても、アプローチする手段は見つけにくいものです。鮮明な顧客像を把握する必要があるため、グループ化して分析する手法が使われます。

「デシル」の語源はラテン語で「10等分」という意味です。小学校の理科の授業で「デシリットル」という10分の1リットルを表す単位が出てきたのを覚えている人も多いでしょう。これと同じく10等分に関する言葉です。

デシル分析では、10等分した各グループを、購入金額の高い順に、デシル1、デシル2、デシル3……デシル10と呼びます。そして、各グループの購入比率や売上構成比を算出することで、売上に対する貢献度の高い優良顧客層を見つけ出します。

基本的には、デシル1やデシル2といった購入金額の大きなグループほど購買力があり、売上に貢献していると言えます。そのためマーケティング施策やプロモーションを行う際にも、購買力の高いグループを優先した方が高い効果が望めます。

つまり、デシル分析により購買力のある上位グループを把握して優先的にアプローチすることで、マーケティング施策の費用対効果を高められるのです。

デシル分析で主に分かること

デシル分析で主に使われる指標は、以下の3つです。それぞれ10等分したグループごとに算出し、比較します。

  • 購入金額比率
  • 累計購入金額比率
  • 1人あたりの購入金額

これらの指標から効率的に売上を伸ばすために、どのグループを重要視すべきかを判断できます。購入金額比率とは、売上全体の中での、そのグループが占める購入額の割合のことです。

購入金額比率=グループごとの合計購入金額÷全体の合計購入金額

例えば売上合計が1,000万円、デシル1の購入金額が500万円ならば、デシル1の購入金額比率は50%となります。デシル1は購買力を持った優良顧客と判断できます。そのため「DMを送る」「電話をかける」といったコストのかかるアプローチ方法を取っても、利益が出せると考えられます。

累計購入金額比率とは、売上全体の中での、そのグループまでが占める購入額の割合のことです。

累計購入金額比率=そのグループまでの合計購入金額÷全体の合計購入金額

例えば、売上金額が1,000万円、デシル1の購入金額が300万円、デシル2が200万円、デシル3が100万円だった場合を考えます。デシル1までの累計購入金額比率は30%です。そしてデシル2までの累計購入金額比率は、デシル1とデシル2の合計500万円なので、50%となります。同様にデシル3までの累計購入金額比率は、60%です。

プロモーション施策を行う際には、常に予算と費用対効果を考える必要があります。どのグループまでをその施策の対象とすべきかを、この指標を手がかりに策定できます。1人あたりの購入金額は、そのグループに属する顧客1人あたりの購入金額です。

1人あたりの購入金額=グループごとの合計購入金額÷グループの人数

デシル1の購入金額が300万円、デシル2の購入金額が100万円、各デシルの顧客数が100人だった場合、以下のような金額になります。

  • デシル1の1人あたりの購入金額は3万円
  • デシル2の1人あたりの購入金額は1万円

プロモーション費用や、囲い込みのために顧客にプレゼントする特典の費用などを算出する際の手がかりにできます。

ABC分析との違い

顧客分析手法には、デシル分析と似たものがいくつかあります。ABC分析は、顧客分析手法の中で最もシンプルと言えるものです。

ABC分析は顧客を購入金額順に、ABCの3つのグループに分けて分析します。顧客を購買金額で分けてグループ化する手法は、デシル分析と同じです。しかしデシル分析では10等分するのに対し、ABC分析は3等分する点が異なります。分類するグループ数が少ないため、よりシンプルで簡単な分析方法と言えます。

非常にシンプルなので自社の顧客層を大まかに把握したい場合や、全体像を素早くつかみたい場合には適しています。ただし1グループに含まれる顧客数が多くなるので、顧客像を詳しく探りたい場合には不向きです。

RFM分析との違い

RFM分析とは、Recency(直近いつ購入したか)、Frequency(購入頻度)、Monetary(購入金額)の3つの指標で顧客分析を行う手法のことです。デシル分析は購入金額のみを指標としているため、高額購入者=優良顧客と判断されますが、REM分析ではさらに詳細に顧客をグループ化して把握できると言えます。

「直近いつ購入したか」も考慮するため、購入金額の多い顧客が現在も優良顧客であるどうかも判断できます。過去に購入してくれたもののしばらく利用のない「休眠顧客」、さらに長い期間に渡って購入のない「離反顧客」などに分類できます。それぞれのグループに適したアプローチが可能です。

また「購入頻度」によって1回の購入金額は少額なので、優良顧客には入っていないものの、頻繁に利用してくれている顧客も見つけられます。優良顧客へと育成しやすいグループを、プロモーション施策においても重視できるのです。

【活用事例つき】顧客分析で有効なRFM分析とは?目的や効果的な施策まで詳しく解説 【活用事例つき】顧客分析で有効なRFM分析とは?目的や効果的な施策まで詳しく解説

デシル分析の目的

デシル分析の目的

デシル分析の目的は、現状の顧客層を詳しく把握し、顧客それぞれに合わせて効率の高いマーケティング施策を行うことです。顧客を全体として捉えて全顧客に対して同じ施策を行った場合よりも、顧客ごとに適した施策を実施する方が費用対効果が高くなります。その目安としてデシル分析を用いて、顧客をグループ化するのです。

デシル分析は特に、優良顧客の特定を目的とすることが多い手法です。デシル1から10まで、自社の売上に貢献してくれている順にグループ化されています。そのためプロモーションを行う際にも、対象とする顧客の優先順位をつけやすくなります。

例えば、以下のような施策が検討できます。

  • デシル3までの顧客を優良顧客として新商品の告知を個別に行う
  • デシル1の顧客は最優良顧客なので新商品のサンプリングも行う

デシル10に近づくほど商品を購入してくれる確率は低くなります。そのため、コストをかけてアプローチしたり、サンプリングを行ったりしても、費用に見合った効果は得にくい傾向があります。そこで優良顧客だけに集中してプロモーションコストを投下するのです。

デシル分析を行う3つのメリット

デシル分析を行う3つのメリット

顧客分析の方法にはデシル分析の他にも、すでにご紹介したABC分析、RFM分析など多くの手法があります。その中で、デシル分析を選び実施することの代表的なメリットを3つ紹介します。

Excelで簡単に分析ができる

デシル分析の最大のメリットは、他の多くの手法に比べてシンプルで簡単なことです。RFM分析では複雑な計算が必要になるため、専用のツールが使われるケースが多くなりますが、デシル分析はExcelさえあれば実施可能です。そのため費用面と人的リソース面でも導入のハードルが、非常に低い顧客分析手法です。

顧客分析を行いたいと思っても、専用のツールが必要な場合には導入のために会社を説得する必要があるでしょう。もちろんツールを使うための予算も確保しなければなりません。また分析手法が複雑な場合には、ツールを使いこなすための知識も欠かせません。社内やチーム内に適した人材がいないことも多いでしょう。

その点、デシル分析はExcel関数の基礎知識があれば実施できます。これまで顧客分析をしたことがない人であっても、簡単に活用できるのは大きなメリットです。

施策の打ち方が簡単である

デシル分析は顧客の購入金額に対象を絞っているため、分析自体も簡単に行えますが、その結果もシンプルにまとめられます。また優良顧客を絞り込むという目的に集中できるため、得られた結果に沿った施策の打ち方も簡単に導き出せます。

デシル1とデシル2までの顧客で売上の8割を占めているという結果が出れば、その2グループにプロモーション費用を集中できます。優良顧客にリピート購入してもらうのが、利益を増やすために最も効率が良いためです。

デシル3からデシル10までの顧客には、コストの安いメールマガジンなどでアプローチするに留めておくという判断もできます。ある意味ごく基本的な施策と言えますが、複雑な計画や検証が不要で素早く実施できるのは、メリットです。

費用対効果の高いマーケティング活動ができる

デシル分析は優良顧客を探し出すのに便利な分析手法です。つまりプロモーション施策を行なった際に、最も費用対効果が高くなる顧客を探し出す方法と言えます。

リピートしてくれる可能性の高い顧客だけに集中するため、素早く目の前のプロモーション施策の効果を向上させることが可能です。

まずは、顧客分析を行なったことでマーケティング活動の費用対効果が上がったという結果が重要です。結果が出ることで顧客分析の有効性を示し、会社や上司を納得させることができます。さらに詳細な顧客分析を行うために、デシル分析よりも高度な手法を取り入れる足掛かりにもなるでしょう。

デシル分析を行う3つのデメリット・注意点

デシル分析を行う3つのデメリット・注意点

デシル分析にも当然デメリットや注意点はあります。ただ、デシル分析自体の欠陥ではなく数ある顧客分析手法と比較した際に、デシル分析の苦手な部分といった意味合いです。デシル分析を使いこなすためにも、事前にデメリットや注意点を把握しておきましょう。

さまざまな要因を無視してしまう可能性がある

デシル分析のメリットは、分析方法が簡潔で素早く実施できる点です。ただし、そのためにデータを単純化して理解する必要があるので、多くの要因を無視することにもなり同時にデメリットにもなりえます。

デシル分析では注目する要素を購入金額に絞っています。時間の経過という重要な要素を無視しているため、現在の状況から外れた結果が導き出されかねません。

例えば、長期間の売上データを集計して分析します。この際に、過去に高額商品を一度だけ購入した顧客や、かつて頻繁に購入していたものの長期間利用がない顧客などが、購入金額の多さから優良顧客と判断される場合があります。デシル分析を使う際には、無視する要素も認識しておきましょう。

詳細なマーケティング施策を行うには向いてない

上記のようにデシル分析は購入金額だけを指標にするため、その結果だけでは詳細なマーケティング施策を行えない場合もあります。デシル分析では見えてこない要素の代表格が時間の流れです。その顧客が商品をいつ購入したか、最後に購入してからどれくらい経っているか、どれくらい頻繁に購入しているか、これらの要素が欠けています。

そこでデシル分析に時間の要素を組み合わせることで、より詳細なマーケティング施策が可能になります。累計購入金額が同じであっても、現在頻繁に購入している顧客と、かつて頻繁に購入して顧客では有効な施策は異なります。現在頻繁に購入している顧客は、さらにリピートしてくれる可能性が高いでしょう。

そのため、コストをかけた手厚い施策や、さらに頻繁に購入してもらう施策が有効です。しかしかつて頻繁に購入していたものの、しばらく購入していない顧客に再度利用してもらうためには、より大きな割引などの目を引く施策が必要です。

デシル分析のデメリットを理解したうえで、補完してさらに効果的な分析をする方法も知っておくことが重要です。

精度が完璧ではない

デシル分析を使う際の注意点は、多くの要素を省略して簡素化するため、分析の精度が完璧ではないことです。特に、蓄積された長期間のデータを扱う場合には、気をつけなければなりません。10年前に1度だけ大きな買い物をした顧客が、優良顧客に含まれてしまうようなことがあるためです。

精度を高めるためには、デシル分析よりも多くの項目を扱うRFM分析などを活用する必要があります。またはデシル分析に用いる売上データを、直近半年や数ヶ月のみに絞って見直してみるのも効果的です。期間が短くなるとデータ量が減るので取りこぼす顧客もいますが、現在の活きた顧客像が見えることもあります。

デシル分析は顧客分析の初歩としては最適です。しかし慣れてきたら異なる期間で区切ったり、他の手法と併用したりして、より多面的に顧客データを見られるように工夫すべきです。

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【3ステップ】デシル分析の活用方法

【3ステップ】デシル分析の活用方法

この章では、データを収集してから集計するまでのデシル分析の手順を説明します。また実際のデータを分析して活用する際の方法と、気を付けるべきことについても具体的に解説します。

必要なデータを収集してリストを作成する

デシル分析は顧客の購買金額をキーにして、分類することが基本です。そのため、まずは顧客の購買データを収集する必要があります。自社内にある顧客の売上データを集めてください。

ただし、データを収集する期間を長くしすぎると、分析の正確性が低くなる可能性もあります。例えば、取り扱う商品が若年層をターゲットとしたファッションアイテムの場合、数年前に購入してくれた顧客はすでにターゲット層ではなくなっているかもしれません。

世代に関わらない定番商品だとしても、酒類のように顧客の加齢とともに健康上の理由で購入しなくなるものもあります。自社の商品や顧客層の特徴を考慮して、データを収集する期間を設定しましょう。

顧客ごとに購入金額を算出する

売上データが集まったら、次に顧客ごとに紐づけて購入金額を算出します。会社の帳簿の付け方によっては、各取引ごとの売上データしか記録がないかもしれません。その場合、1人の顧客が複数回購入していても、それぞれ個別の取引として扱われていることもありえます。そのような際には、顧客ごとに整理して各顧客の購入履歴をまとめる作業が必要です。

デシル分析では各顧客の累計購入金額を指標とします。異なる顧客の売上を混同して1つにまとめたり、1人の顧客の購入履歴を複数に分けたりすると、正しい分析結果が得られません。売上データから顧客1人1人の購入履歴をまとめる作業は慎重に行ってください。

購入金額に応じて顧客を10のグループに分ける

顧客ごとの購買金額のデータが整理できたら、最も購入金額の多い顧客から順に並べます。そして、10等分してグループ分けを行います。

10等分のキーになるのは人数です。例えば顧客が1,000人いた場合、最も購入金額が多い顧客から100番目までがデシル1のグループ、101番目から200番目までがデシル2、と100人ずつグループ化されます。
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顧客を10のグループに分けたら、それぞれのグループの売上構成比を計算します。グループ内の顧客の購入金額の総額を計算し、全体の売上に対する構成比が何%になるかを算出してください。各グループが全体のうちのどの程度の売上比率を占めるのかが見えることで、どの層が主な購入層に当たるのかを明確になります。

デシル分析の活用事例

デシル分析の活用事例

デシル分析を行うことで、顧客像とグループごとの特徴が見えてきます。例えば、1,000人の顧客データを分析したところ、デシル1からデシル3までの300人の顧客で売上の80%、デシル4からデシル10までの700人の顧客で20%を占めている結果が出たとします。

このデータから、顧客の購買力のばらつきが分かります。プロモーション施策を行う際には、まず上位のデシル1からデシル3までに集中した方が効率が高くなることが予想されるのです。

ただし、あまりに長期間の売上データを用いてデシル分析を行うと、過去に高額商品を一度だけ購入したような顧客も上位グループに入る可能性があります。10年前に1度だけ購入した顧客は、たとえ購入金額が大きくても優良顧客とは言えないでしょう。そのような例外を省くためには、時間の要素を含めて詳しく分析する必要があります。

まず、デシル分析で集計する売上データ自体を過去1年に限る、といった手法があります。さらに詳細に分析するためには、RFM分析の手法を用いて顧客ごとの最後に購入した日を調べて、2年以上購入のない顧客は除くといった、手法が有効です。

デシル分析のまとめ

デシル分析のまとめ

デシル分析は顧客を購入金額順に10等分して、グループ化する手法です。自社の顧客像を浮かび上がらせ、優良顧客を把握することができ、顧客の特徴にあったマーケティング施策を行うために用いられます。

顧客分析方法としては基礎的なもので、簡単に素早く行えるため広く活用されています。ただし、分析する要素を購入金額に絞っていることから、初歩的な手法とも言えます。デシル分析で得られる顧客情報は簡易的なものであり、より精度の高いマーケティング活動のためには、RFM分析などの複数の指標を組み合わせた分析方法も必要です。

顧客分析を行い自社のマーケティング活動に役立てたい、あるいは社内で行っている顧客分析に行き詰まりを感じているならば、ぜひニュートラルワークスにご相談ください。

数多くの顧客分析事例、オンラインビジネスのコンサルティング実績をもとに、最適な手法で顧客分析を行い、マーケティング施策のご提案ができます。

著者紹介

石田 哲也

石田 哲也

取締役CMO

Twitter:@te2319
株式会社ニュートラルワークス 取締役CMO。1984年生まれ。高校卒業後にISD株式会社にて起業。株式会社オプトにてWebマーケティングを学び、株式会社メタップスなど複数のベンチャー企業にて事業立ち上げを経験。前職はワンダープラネット株式会社にてゲームプロデューサーとしてスマホアプリゲームの制作に従事。2018年に地元の神奈川へ戻り、ニュートラルワークスにジョイン。SEO/Web広告運用/サイト分析・改善など、Webサイトの運用改善~ゲームアプリ制作や数十万フォロワーのSNSアカウントの運用経験などWebビジネス全般を守備範囲とする。

■経歴
2003年 ISD株式会社/起業
2009年 株式会社オプト/SEMコンサルタント
2011年 株式会社メタップス/シニアディレクター
2013年 ライブエイド株式会社/執行役
2016年 ワンダープラネット株式会社/プロデューサー・BizDev
2018年 株式会社ニュートラルワークス/取締役CMO

■得意領域
Webサイト改善
SEO対策
コンテンツマーケティング
リスティング広告

■保有資格
Google アナリティクス認定資格(GAIQ)
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