MA/CRMを活用したデータドリブンなチーム/組織構築のポイント

株式会社ニュートラルワークスでは、WebマーケティングやSEOに関するさまざまな知見をセミナー(ウェビナー)で発信しています。

今回、前半では、株式会社ニュートラルワークス 取締役CMO石田が、質の高いリード獲得の最大化について解説します。後半は、株式会社アクシス 執行役員コンサルティング部 部長の長澤様にMA/CRMの活用方法について解説していただきます。

※本記事は、「データドリブンなマーケティング戦略を徹底解説!」のウェビナー講演内容から、本題となる部分を抽出・編集して記事化しています。

【登壇者】

長澤 龍
株式会社アクシス 執行役員 コンサルティング部 部長

大手調査会社にて新規リサーチ事業部を立ち上げ後、大手ゲームメーカーやデータマネジメント支援会社でのマーケティング責任者を経て、AXISに入社。データマネジメントやデジタルコミュニケーションの戦略策定から集客施策、リードの商談化までをワンストップで支援するソリューションを提供。

石田 哲也@te2319

株式会社ニュートラルワークス 取締役 CMO

1984年生まれ。高校卒業後にISD株式会社を起業。その後、株式会社オプトでWebマーケティングを学び、株式会社メタップスなど複数のベンチャー企業にて事業立ち上げを経験。前職はワンダープラネット株式会社でゲームプロデューサーとしてスマホゲームアプリの制作に従事。2018年に地元の神奈川へ戻り、ニュートラルワークスに入社。SEO/Web広告運用/サイト分析・改善など、Webサイトの運用改善~ゲームアプリ制作や数十万フォロワーのSNSアカウントの運用経験などWebビジネス全般を守備範囲とする。

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MA/CRMを活用したデータドリブンなチーム/組織構築のポイント

MA/CRMを活用したデータドリブンなチーム/組織構築のポイント

※ここからは、株式会社アクシスの長澤様のウェビナー内容となります。

デジタルマーケティングの課題

デジタルマーケティングの課題

デジタルマーケティングの課題に関する調査では、企業経営者500名のアンケートから、トップ3の課題が明らかになりました。「具体的な効果が見えない」という不安が1位で、次に「デジタルマーケティングに精通した人材」の不足、そして「何から始めてよいか分からない」という悩みが挙げられました。

これらの課題は、多くの企業がデジタルマーケティングの実践において直面している共通の問題です。

次項からは、実際にアクシスが抱えていた課題と解決策について解説します。

アクシスが陥っていた状況

アクシスが陥っていた状況

アクシスでは、当初はセールスフォースを導入しましたが効果を得られず、他のプラットフォームに移行しました。しかし、課題解決に至らず、特にナーチャリングと商談化に課題がありました。

その後、教育への投資を行い、Web経由の問い合わせ数は2.4倍に増加し、商談率も55倍、顧客単価も1.8倍に向上しました。この成果は戦略的アプローチとツール活用によるものです。

アクシスが抱えていた課題の本質とは

アクシスが抱えていた課題の本質とは

アクシスが抱えていた課題の本質は、デジタルツールの効果は理解しているものの、その効果的な利用方法が不明瞭だったことです。

当初はナーチャリングの不足が原因だと認識していましたが、実際の課題はツールの使い方や組織内での適切な導入にありました。この課題は事業規模にかかわらず発生し得るものであり、解決策を次にご紹介します。

課題の要因と解決に重視したポイントとステップ

課題の要因と解決に重視したポイントとステップ

課題を解決するステップは、上記の図の通りです。

まず、お客様を理解するための戦略フレームワークの見直しを行い、その中で勝ち筋を見つけ出します。その後、投資効率や業務効率を向上させるための取り組みを行います。

それでは一つずつ解説します。

Phase1:戦略策定フレームの見直し

Phase1:戦略策定フレームの見直し

最初のフェーズは、戦略策定フレームの見直しです。ここでは、以下の3点について解説します。

  • 顧客理解における課題
  • 顧客理解における改善点施策
  • 顧客理解で利用しているフレームワーク

顧客理解における課題

顧客理解における課題

ここでは、5つのステップを踏みながら戦略の分析やKPIの設定を行います。このアプローチは、自社のマーケティング活動を整理し、効果的に実行するための枠組みです。

ポイントとなる「バイヤージャーニー」と「KPIツリー」について簡単に見ていきましょう。

バイヤージャーニー

バイヤージャーニー

「バイヤージャーニー」は、バイヤーのカスタマージャーニーの構築です。BtoBの状況に合わせて、「情報収集中のお客様」と「課題感のあるお客様」の2つのタイプを定義し、それぞれのニーズや行動パターンを考えました。

このカスタマージャーニーの整理は、マーケティング活動を効果的に実行するための重要なステップとなっています。

KPIツリー

KPIツリー

「KPIツリー」は、マーケティングの基本的な指標を整理し、課題を特定するために活用しています。

集客に関するKPIは適切に設定されていましたが、商談化やそれ以降の段階に関するKPIが不足していたことが課題として明らかになりました。

顧客理解における改善点施策

顧客理解における改善点施策

顧客理解における改善点として挙げたポイントは以下の4つです。

1.施策シナリオの全体把握
2.ファネルごとのKPI分析
3.リードデリバリーフローの精査
4.担当者のタスク選定

施策シナリオの全体把握

1つ目のポイントは、施策シナリオの全体把握です。これは、お客様がどの段階にいるかに応じて、異なるタイミングで我々の情報を受け取ることになるため、全体像を把握することが重要です。

しかし、実際には適切なシナリオやフローが見えていなかったため、改善の余地がありました。

ファネルごとのKPI分析

2つ目は、ファネルごとのKPIの分析です。情報収集段階のお客様と検討段階のお客様では、タッチポイントやニーズが異なるため、それに合わせた戦略とKPIの設定が必要です。

しかし、これがきちんと行われていなかったという点が課題でした。

リードデリバリーフローの精査

3つ目は、社内での対応方法に関する課題です。ウェビナーに参加した顧客に対するフォローアップや対応方法が、個々の担当者に依存していて体系化されていなかった点が問題でした。そのため、顧客への対応が一貫性を欠き、効果的な施策が打ちにくい状況でした。

担当者のタスク選定

4つ目は、担当者のタスク選定です。3つ目の課題に紐づくのですが「どういったタスクをやっていくのか」という点の整理ができていませんでした。

顧客理解で利用しているフレームワーク

顧客理解で利用しているフレームワーク

明らかになった課題を踏まえ、アクシスでは、2つのフレームワークを利用してお客様の支援を行っています。

1つ目のフレームワークは、お客様の分析やリードの分析、見込みお客様の分析を強化するためのものです。これは「マーケティングアーキテクチャ」と呼ばれ、社内での理解を促進するために導入されました。

2つ目のフレームワークは、リードの受け渡しをスムーズにするための「リードデリバリーマップ」です。これにより、営業とマーケティングの間でのリードの効果的な管理が可能になります。

マーケティングアーキテクチャ

マーケティングアーキテクチャ

マーケティングアーキテクチャは、次のステップを促すためのフレームワークです。各ファネルごとに重要なコンテンツやタッチポイントを考慮し、その後の展開を計画します。

マーケティングアーキテクチャ

また、KPIを設定して検索キーワードや順位、クリック数などのデータを収集し、施策の効果を分析します。これにより、どの施策が効果的かを見極めることができ、勝ち筋やリソースの最適な投下先を決定します。

このようなアプローチにより、ロジカルかつデータドリブンなマーケティング戦略を構築し、成果を最大化することが可能となります。

リードデリバリーマップ

リードデリバリーマップ

リードデリバリーマップは、リードがどのフォームを通過したかに基づいて、マーケティングから営業への引き渡しプロセスを詳細に計画するものです。

リードが「まだ温める段階」なのか「早急に営業が対応すべき段階」なのかを区別し、社内での処理条件を定義します。これにより、ツールの自動処理設計や適切なアクションの実行が可能となります。例えば、リードのスコアリングやランク付けを行う条件を明確にすることで、効果的な自動化を実現します。

また、異なるニーズや段階に応じて、異なるフォームやアプローチを検討することも重要です。これにより、効果的なリード管理が実現し、マーケティングと営業の連携が強化されます。

Phase2:効果的な施策の把握

Phase2:効果的な施策の把握

次のフェーズは、効果的な施策の把握です。ここでは、以下の4点について解説します。

  • 自社が抱えていた現場の課題感
  • THE MODEL
  • Revenue Opsの導入
  • BIでのビジネスダッシュボード構築によるデータ可視化

自社が抱えていた現場の課題感

自社が抱えていた現場の課題感

マーケティングとセールスの目標設定や情報ニーズの相違による意思疎通の難しさは、多くの企業で見られる課題です。

特に大手の企業ほど、このような問題が顕著になる傾向があります。しかし、小規模な企業でも同様の問題を抱えています。

THE MODELの課題

THE MODELの課題

「THE MODEL」はSalesforceが提唱するアプローチで、組織内のセクションごとに目標とテーマを設定し、それぞれが効率的に業務を遂行することを重視します。

しかし、このアプローチには分業化やセクション間の連携不足といった課題があります。特に、組織が縦割り化し各部門が独立して業務を遂行すると、情報の共有が不足して全体最適化が困難になります。

このため、THE MODELの実践には、組織全体のビジョンと連携を強化し、情報の透明性を確保することが重要です。

Revenue Opsの導入

Revenue Opsの導入

最近の重要なトレンドの一つは「Revenue Ops」と呼ばれる考え方です。これは、組織全体をマーケティング、セールス、カスタマーサービスなどの部門を横断して統合し、収益を最大化することを目指すアプローチです。

組織構造の変革は大きな一歩ですが、その実現には時間がかかることもあります。

Revenue Opsのアプローチ

Revenue Opsのアプローチ

組織内で戦略を展開する際には、異なる部門間での連携が欠かせません。新しいフレームワークやアプローチを導入する場合、それが組織全体に浸透するためには、関係者との協力が不可欠です。

特に、セールスチームの早い段階での参加は重要です。市場や顧客と直接やりとりする立場にあり、彼らの洞察力は戦略の形成に不可欠です。

そのため、戦略策定のプロセスにおいて、異なる部門や担当者との意見交換やワークショップが積極的に行われます。例えば、マーケティングやプロダクト部門からの情報や要望をセールスチームが直接フィードバックし、逆にセールスからの顧客の声や市場動向を、マーケティングやプロダクト開発に反映させるなどのプロセスが行われます。

このような取り組みによって、各部門のニーズや視点が適切に考慮され、組織全体の方針に反映されることが期待できます。また、このような協力体制の構築により、組織全体が一体となって目標に向かって進むことが可能となります。

BIでのビジネスダッシュボード構築によるデータ可視化

BIでのビジネスダッシュボード構築によるデータ可視化

「BIツール」は、施策の効果をモニタリングし、結果をフィードバックする上で重要な役割を果たします。特に、リアルタイムでデータを可視化することで、迅速な意思決定を可能にします。

BIツールを活用すると、多様なデータを一元管理し、リポーティング作業を効率化できます。定例会議や報告でデータを共有し、組織全体で施策の評価や改善点を議論することが可能です。

こうした取り組みにより、組織は迅速に状況を把握し、適切な戦略を展開することができます。

Phase3:リソース配分の最適化

Phase3:リソース配分の最適化

最後のフェーズは、リソース配分の最適化です。企業が持つ有限なリソースを最大限に活用するための重要な戦略です。

アクシスでは業務効率の改善を図るために、施策の費用対効果を評価する方法として、時間と効果のマトリックスを使用しています。

Phase3:リソース配分の最適化

このマトリックスでは、横軸に費用や時間、縦軸に効果を配置し、各施策を適切なセルに配置しています。時間軸では、施策の実行にかかる時間やスケジュールを考慮し、効果軸では、その施策がもたらす効果や成果を評価しています。効果の高い施策は、より上位のセルに配置されます。

この分析により、時間の投資と効果のバランスを理解し、限られたリソースを効果的に配分することが可能となります。また、施策の優先順位を明確にし、組織全体の戦略に沿ったリソースの割り当てを行うことができます。

具体的には、時間と効果のマトリックスを用いて、どの施策が最も効果的かを特定し、その施策に優先的にリソースを割り当てます。さらに、マトリックスの分析結果をもとに、施策の実行計画や予算編成を立案し、組織全体でのリソースの最適な活用を図ります。

このようなアプローチにより、企業は有限なリソースを効果的に活用し、業務効率を向上させると同時に、目標達成に向けた戦略的な施策を展開することが可能となります。

※以上が株式会社アクシスの長澤様のウェビナー内容です。

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監修者紹介

石田 哲也

取締役CMO

Twitter:@te2319
株式会社ニュートラルワークス 取締役CMO。1984年生まれ。高校卒業後にISD株式会社を起業。その後、株式会社オプトでWebマーケティングを学び、株式会社メタップスなど複数のベンチャー企業にて事業立ち上げを経験。前職はワンダープラネット株式会社でゲームプロデューサーとしてスマホゲームアプリの制作に従事。2018年に地元の神奈川へ戻り、ニュートラルワークスに入社。SEO/Web広告運用/サイト分析・改善など、Webサイトの運用改善~ゲームアプリ制作や数十万フォロワーのSNSアカウントの運用経験などWebビジネス全般を守備範囲とする。

■経歴
2003年 ISD株式会社/起業
2009年 株式会社オプト/SEMコンサルタント
2011年 株式会社メタップス/シニアディレクター
2013年 ライブエイド株式会社/執行役
2016年 ワンダープラネット株式会社/プロデューサー・BizDev
2018年 株式会社ニュートラルワークス/取締役CMO

■得意領域
Webサイト改善
SEO対策
コンテンツマーケティング
リスティング広告

■保有資格
Google アナリティクス認定資格(GAIQ)
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