Webサイトにユーザーをどのくらい維持できているのかを調べる「コホート分析」がGoogleアナリティクスでできるのはご存知でしょうか?この記事では、ユーザーの実際の行動をもとに、Webサイトを効率よく改善できる分析方法を紹介します。
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目次
コホート研究をマーケティングに応用したのがコホート分析
コホート(cohort)は英語で「仲間」という意味であり、コホート分析とは自社のWebサイトに訪れたユーザーを、行動の傾向ごとに分ける分析方法を指します。もともと心理学の分野で使われる「コホート研究」をマーケティングに応用したのがコホート分析です。
コホート分析を使えば、サイトを訪れた人がネット上でどんな行動をとっているのかを統計データで確認することができ、顧客のWebサイトへの定着度やマーケティングの改善点などを知る手がかりになります。
なぜコホート分析が重要なのか、どんなデータが計測できるのか
コホート分析は、見込み客の「定着率」を把握できる点が重要です。定着率は「ユーザー維持率」とも言います。
Webサイトで成果を上げるには、顧客に自社への信頼感を高めてもらい、リピーターになってもらうことがポイントです。自社サイトのリピーターが増えると、安定的な売上につながる「既存顧客」を獲得することにつながります。リピーターの割合を見ることで、コンテンツやサービス内容の満足度を確かめたり、改善点を見つけたりすることができるのです。
Webサイトのコホート分析を行うには、Googleアナリティクスを利用するのがもっとも簡単です。Googleアナリティクスは、誰でも無料でコホート分析ができるツールとして、企業サイトから個人まで幅広く利用されています。では、どのように利用するのか、例を挙げて説明していきましょう。
サービスの解約率は基本的に、新規客は高く、既存客は低いと言われています。本来は新規と既存は分けて分析するところを一緒くたにして分析すると、既存客(リピーター)が増えてくれば解約率は低くなり、まるで改善したかのように見えてしまいます。しかしこれは、既存客が多くなっているからであり、新規客の解約率の改善にはつながっていない可能性があるのです。
そこでコホート分析を活用します。顧客を会員登録した時期で分けます。例えば、会員登録した時期が1年以上前の顧客と、半年以内の顧客で分けます。その上で、半年以内の顧客の解約率が低くなっていれば改善されていることになります。
Googleアナリティクスとは?登録方法や使い方、分析方法を解説
Webサイト運営者の多くはGoogleアナリティクスに登録し、日々のデータを見てサイトの改善を行っています。でも、初めて利用する人には何を見て、どのようにサイトを改善していけばいいのかわかりませんよね?初心者向けにGoogleアナリティクスをわかりやすく解説します。
ECサイトやメディア以外でも使えるコホート分析
最近ではアプリでもコホート分析が活用されています。具体例を挙げると、ある教育系アプリではキャンペーンごとにユーザーを分けてコホート分析を行い、継続率・解約率を測っていました。
コホート分析の結果によると、キャンペーンごとに継続率に違いがあることが分かったと言います。そして、適切な対策を打ち、継続率を向上させたのです。このように、アプリやWebサイトでもコホート分析は有効です。
Googleアナリティクスを使ったコホート分析の設定方法
Googleアナリティクスを使ってコホート分析する方法をまとめました。
1. 「ユーザー」 → 「コホート分析」の順にクリック
Googleアナリティクスの左メニューバーから「ユーザー」をクリックします。ユーザー内に表示されるメニューの中から「コホート分析」を選びましょう。
2. コホートの種類
コホートの種類とは、ユーザーグループの単位を指しています。クリックすると「集客の日付け」という項目のみが出てきます。ユーザーが初めてサイトに訪問した日付から分析を行いますので、このまま進めましょう。
3. コホートのサイズを選択
コホートのサイズを選択してみましょう。ここでは分析の規模を日別・週別・月別の3つから選べます。ここはコホート分析を行う頻度と捉えると良いでしょう。毎日コホート分析を行う場合は「日別」、週に1度であれば「週別」というように選択してください。
4.指標を選択
Googleアナリティクスのコホート分析では、下記の指標を見ることができます。
・ユーザー
・合計
・定着率
この3つの中から、さらに細分化された指標を確認できます。
ユーザー | ・ユーザーあたりのセッション ・ユーザーあたりのセッション時間 ・ユーザーあたりのトランザクション ・ユーザーあたりのページビュー ・ユーザーあたりの収益 ・ユーザーあたりの目標の完了数 |
合計 | ・セッション ・セッション時間 ・トランザクション数 ・ページビュー数 ・ユーザー数 ・収益 ・目標の完了数 |
定着率 | ・ユーザー維持率 |
ユーザーの項目では、ユーザーひとりあたりのさまざまな行動指標を見ることができます。合計は、Webサイト全体の指標を表している項目です。最後の定着率は、自社サイトに継続して訪問した人の割合を見ることができます。
5.期間を選択
コホートの期間は、分析する日から遡って、どのくらいの期間の分析を行うのかを設定する項目です。コホート分析の頻度を表す「コホートのサイズ」にあわせて期間を設定しましょう。コホートの種類を日別にしている場合は過去30日まで、週別なら過去12週間、月別なら過去3ヶ月といったように選択することができます。
コホート分析の見方
次に、Googleアナリティクスでのコホート分析の見方を解説します。上で説明したように、コホートの種類、コホートのサイズ、指標、期間を設定すると、以下のような画像が現れます。
左の列には日付、最初の行にユーザーの獲得日からの日数があります。例えば、2020年7月17日の3日後のセルを見ると、1.76%となっています。これはどういうことか、説明しましょう。
2020年7月17日のユーザー数は3万7,711人でした。3日後、そのうち1.76%のユーザーが再訪しているということです。パーセンテージが高いほど色が濃く、再訪率が高いことを指しています。例えば、キャンペーンを行った期間に訪れたユーザーが、キャンペーン終了後にも再訪しているかどうかを確認できます。
ユーザー維持率などマーケティングでのコホート分析の活用方法
Googleアナリティクスで指標を確認したら、出された数値をサイトの改善に役立てていきましょう。コホート分析において、ここだけは外せないチェックポイントを以下にまとめました。
1. ユーザーの減少タイミングを把握する
ユーザーの減少タイミングとは、見込み客がサイトを離れてしまい再訪問しなくなったタイミングです。コホート分析では、ユーザーがサイトに初めて訪れた日から何日後に離脱しているかを見ることができます。ユーザーがサイト訪問をやめてしまった原因を探り、何らかの改善を行うことで、見込み客の維持につながります。
たとえば、ユーザーが最初にサイトを訪問した日から5日後に離脱しているのが分かったとしましょう。改善方法としては、コンテンツの更新頻度を上げたり、ユーザーが減少するタイミングで新しいお知らせ情報を投入するといった方法があります。
また、新しい顧客を獲得することも重要です。サイトから一定数のユーザーが離脱してしまうのは避けられません。ただし、離れていったユーザー以上に新しいユーザー数を確保することができれば、トータルのユーザー維持率は保たれます。
コホート分析で、ユーザーが5日後に3%減少していると判明した場合、その3%を補填するためにはどのくらいの新規ユーザーを集めたらいいのかを割り出すことができます。
2. セッション時間の減少タイミングを把握する
セッション時間を見ると、ユーザーが自社サイトをどのくらいの時間見ているかが分かります。セッション時間が減少しているとは「ユーザーがサイトにアクセスしてからサイトを離れるまでの時間が減っている」ということです。サイトにアクセスした人の見たいコンテンツがなくなったタイミングでユーザーは離脱すると考えてください。
セッション時間が減少するタイミングが分かったら、なぜそこでサイトを離れた人が多いのかの原因が特定しやすくなります。サイトのセッション時間を増やすには、下記のような打ち手が考えられます。
・1ページのコンテンツボリュームを増やす
・コンテンツのページ数を増やし、内部リンクを張り合う
・内部リンクの見せ方を工夫し、回遊率を上げる
このように、サイト内部の導線を整備したり、コンテンツを豊富に用意してユーザーを飽きさせない工夫をすることが大切です。
3. ページビュー数の減少タイミングを把握する
コホート分析では、ページビュー数が減少するタイミングも確認できます。たとえば、ユーザーが最初にサイトを訪問してから4日後にページビュー数が減少しているのをイメージしてみましょう。
この場合、4日ごとに複数ページを見てもらえる導線を組みます。内部リンクの多い記事を4日置きに投稿し、複数のコンテンツへと促す流れを作ると効果的です。
ユーザーの行動を分析し、効率よくサイト改善を行いましょう
自社サイトの集客率や売上アップには、継続してサイトを訪問してくれる人を増やすことが必要です。会社やWebサイトへの認知度を維持させるためにも、コホート分析を活用していきましょう。
コホート分析などのユーザーの動向分析は人手や時間がかかりますが、安定的にサイトを成長させていくには欠かせない作業です。成果の伸び悩みや、サイト運営の不安がある方々は試してみてはいかがでしょうか。
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