ECサイト

最終更新日: 2021.08.30 (公開: 2021.04.13)

【2021年版】ファッション・アパレルECサイトの市場規模・トレンド・事例

【2021年版】ファッション・アパレルECサイトの市場規模・トレンド・事例

年々勢いをますEC市場は、昨年度の新型コロナウイルスによる外出自粛の影響で、よりその勢いを加速させました。

2020年7月に経済産業省が報告した「令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる 国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、令和元年の国内におけるBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は、19.4兆円に拡大しています。
特に、食品やアパレル・生活雑貨などを扱う物販系分野においては、市場規模が10兆515億円と、前年比8.09%の伸び率です。

今回紹介するファッション・アパレルは、元々EC化率が高い傾向にありましたが、新型コロナウイルスの影響を受け、更にEC化が進んでいくと予想されます。

また、コロナウイルスの到来でニューノーマルな世界となった今、ファッション・アパレルで当たり前だった店頭での接客や試着が難しくなり、その解決策としてECサイトでの最新テクノロジーの活用が挙げられています。

この記事では、ファッション・アパレルのEC市場についてや、ECサイトでの最新テクノロジーの活用や新たな取り組みなど、具体例を挙げて紹介いたします。

ファッション・アパレルECサイトの市場規模・市場動向

ファッション・アパレルECサイトの市場規模・市場動向

2020年度は新型コロナウイルスの影響により、世界経済、日本経済は大きな打撃を受けました。
感染拡大による都市のロックダウンや、外出自粛によって、今まで当たり前だった対面での商業が厳しい時代へと変わったのです。

特にファッション・アパレルは、対面での販売が基本であるため、実店舗での販売が難しくなってしまいました。
その結果、一部のファッションブランドでは、店舗流通がメイン市場だったが、ECサイトの売上の方が大きくなった、といったニュースが出ています。

それでは、コロナ禍の今、ECサイトにおけるファッション・アパレルはどういった状況なのでしょうか?
ここでは、コロナ前からのファッション・アパレル全体の市場から、コロナ禍におけるEC市場の動向を見ていきます。

ファッション・アパレル全体の市場について

矢野経済研究所によると、2019年の国内アパレル総小売市場規模は、前年比99.3%の9兆1,732億円で、過去5年間からみてマイナス成長にあります。
紳士服、婦人服、ベビー・子供服と品目別にみてもどれも微減であり、理由としては、大手ファッションブランドが低価格戦略を取っていること、消費者の消費傾向の変化が大きな要因とされています。

ファッション・アパレル全体の市場

ファッション・アパレルが盛り上がっていたバブル期では、1990年時点で市場規模が10兆5,623億円もあり、消費傾向は高級高額志向、そして婦人服が市場規模の約6割を占めている状態でした。

しかしながら、バブルが弾けてから、日本の景気は低迷し、デフレ経済へと突入します。
消費者はこれまでの高級高額指向から、低価格指向へと変わり、大手メーカーは次第に低価格戦略へと舵を切り替えました。

また、2000年代初頭には、ファストファッションが普及し、消費者はより低価格で機能性があり、トレンドにあったものが手に入りやすくなりました。

その結果、消費者は次第にファッションにお金をかけなくなり、他の生活雑貨や別のものにお金をかけるようになったのです。

特に、1990年に市場規模の6割を占めていた婦人服に関しては、総務省の家計調査によると、1990年時点での年間支出が6万3,500円だったことに比べ、2016年は3万90円と半分以下の消費金額になっています。

そんな全盛期に比べ、市場規模が縮小しているファッション・アパレルですが、その中で唯一伸びしろがあるとされているものが、ファッション・アパレルにおけるEC市場です。

前述した矢野経済研究所の調査によると、国内アパレル総小売市場規模を販売チャネル別に見たところ、百貨店・量販店・専門店すべてがマイナス成長である中、その他(通販等)のみが前年比105.4%と成長傾向にあります。

つまり、今後ファッション・アパレルは市場規模が縮小するものの、EC化率が進み、シェアの争奪による競争の激化が予想されます。

ファッション・アパレル業界のEC市場について

冒頭でも紹介した経済産業省の調査結果によると、2019年度のファッション・アパレルECサイトの市場規模は1兆9,100億円で、前年比7.74%の成長率です。
また、EC化率は13.87%と、15年度のEC化率9.04%と比べて4年間で約4ポイントも上昇しています。

実は、ファッション・アパレル業界は、他の産業と比べてECの市場規模が大きい業種です。
以下の業界別のEC市場規模、及びEC化率の表をご覧ください。

業界別のEC市場規模及びEC化率

参照:経済産業省 電子商取引に関する市場調査の結果

ファッション・アパレル業界のEC市場で最大の特徴は、市場規模が他業種を抑えて一番大きいこと、そしてその割にEC化率が高くないことが挙げられます。

市場規模が1兆円を超えている業界は他に5カテゴリーありますが、1番市場規模が大きいファッション・アパレル業界、そして2番目に市場規模が大きい食品、飲料、種類は他3カテゴリーと比べてEC化率が15%以下です。

同2019年のアメリカにおけるファッション・アパレル業界のEC化率は26.2%なので、日本のEC化率も今後加速していくことが推察されます。

また、一般的にファッション・アパレル業界は、実際に手に取ったり、試着を通して商品を確認したりする点で、経験財であると言えます。
そのため、実店舗での対面販売が主流で、以前まではECサイトでの購入だと、商品のサイズや質感が分かりづらいと、ECサイトでの購入を避ける消費者が多くいました。

ところが、コロナウイルスの感染拡大や外出自粛を通して、消費者がECサイトを利用する機会が増えたこと、また、AR技術といった最新のテクノロジーを使ったフィッティングサービスや、アパレル各社の取り組みによって、消費者の心理的なハードルが下がり、以前にも況して消費者がECサイトを選択しやすくなってきています。

上記のような背景から、コロナ禍における大手ファッションブランドでは、実店舗への客足が遠のき、売上が低迷する中、ECサイトに力を入れたおかげで、ECサイトでの売上が急成長し、実店舗の売上に匹敵するような現象が起きています。
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ファッション・アパレルECサイトの種類と特徴

ファッション・アパレルECサイトの種類と特徴

ECサイトと一言で伝えると、多くの方が一般消費者に向けた販売であるBtoC(Business to Consumer)を想像するかと思います。
しかしながら、実は細かく分けるとBtoCを含めて、以下の3つの形態があります。

  • BtoC(Business to Consumer)
  • BtoB(Business to Business)
  • CtoC(Consumer to Consumer)

同じファッション・アパレル商材を扱うECサイトでも、自社の取扱形態に応じて、ECサイトの構築や運用のポイントが異なるので、注意が必要です。
ここでは代表的な事例と共に、以下で紹介いたします。

BtoC(Business to Consumer)

BtoCとは、企業から消費者へ向けたビジネスを指します。
日本のBtoCのEC市場規模は、19兆3,609億円(前年比 7.65%増)で、EC化率は6.79%と、EC市場に合わせて過去10年間右肩上がりの成長を続けています。

一般的にECサイト言われて思い浮かぶ取扱形態で、ファッション・アパレルにおけるBtoCのECサイトは、以下の3つに分かれます。

  • メーカー・ブランドの直販ECサイト
  • 大手ECモール内に出店しているECサイト
  • 個人で経営しているECサイト

メーカー・ブランドの直販ECサイトの例としては、ユニクロやBEAMS、SHIPISなどが挙げられます。
これは実店舗を展開しているメーカー・ブランドが運営するECサイトのことで、そのメーカー・ブランドの世界観に沿った雰囲気を持つECサイトがほとんどです。

このパターンのECサイトの場合、既に実店舗が存在することから、実店舗とECサイトを連動させたオムニチャネル戦略や、OMO(Online Merges with Offline)戦略がポイントとなります。
特に、在庫情報や商品の取置きなど、購買の機会損失を防ぐ導線の確保が必要です。

大手ECモール内に出店しているECサイトの例としては、楽天 BASEMENT onlineや、ZOZOTOWN 夢展望が挙げれます。
大手ECモールとは、Amazonや楽天、ZOZOタウンなどを指し、店舗は各ECモールに出店料を支払うことで、モール内にECサイトを構えることができます。

ECモールに出店することで、ECモール内の検索からの流入を見込めるため、取り扱う商品の認知度が低い企業にとって、ECサイトを始めるハードルが低く、認知を得やすいメリットがあります。
しかしながら、デザインは各ECモールの仕様に依存するため、ブランディングしづらかったり、ECモール内での検索流入を増やす工夫が必要になります。

最後に、個人で経営しているECサイトの例は、comodaが例に挙げられます。
メーカー・ブランドの直販サイトや、大手ECモールに出店しているサイトとは異なり、個人経営のセレクトショップが多く、オーナーこだわりのマニアックな商品が置いている場合がほとんどです。

BtoB(Business to Business)

BtoBとは、企業から企業へ向けたビジネスを指します。
日本のBtoBのEC市場規模は、352兆9,620億円(前年比 2.5%増)で、特に2019年では「小売」「建設・不動産業」「食品」の市場規模が前年と比べて大きく伸びました。

特に、ファッション・アパレル業界におけるBtoBのECサイトとは、ECサイト上で企業に卸売りを行っているサイトのことで、SMASELLやTopSeller、ReValueが具体例に挙げられます。

BtoCにおけるECサイトの市場・EC化率が成長傾向にあることを裏手に取り、ECサイトで扱う商材の仕入れ先をWEB上で完結できるようにしたECサイトです。

ポイントとしては、取扱商品を探す事業者をターゲットにしているため、EC事業者の欲しかった!を叶える要素を揃えることです。

ECサイトを通して商品を仕入れる必要がある事業者にとって、

  • 幅広い商品ラインナップ、取扱商品数
  • 商品カテゴライズ、サジェストの最適化
  • 小ロットから大量まとめ買いまでの購入
  • 大量購入での割引
  • クレジットカードでの支払い

といったメリットがなければ、なかなか利用しづらいためです。
逆に言えば、上記に挙げたポイントがしっかりと抑えられていれば、ターゲットの事業者にとって効率的な仕入れを行うことができ、リピートへと繋げることができます。

CtoC(Consumer to Consumer)

CtoCとは、一般消費者と一般消費者の間で行われるビジネスを指します。
日本のCtoCのEC市場規模は、1兆7,407億円(前年比 9.5%増)で、BtoCやBtoBと比べると小さいものの、伸び率は3つの取扱形態の中で最大です。

CtoCはスマートフォンの普及によって成長した形態で、ECサイトにおいては、

  • ネットオークション型
  • フリマアプリ型

の2種類に分けられます。

ネットオークション型
代表例には、ヤフオク!やモバオクが挙げられます。
その名の通り、商品をオークション形式で出品するため、希少価値の高い商品は価格が交渉しやすく、商品をできるだけ高額で販売したい人で、且つその商品の希少価値が高い場合におすすめです。
また、上記の傾向により、購入者側としても、希少価値の高い商品はネットオークション型のサイトで探すことが多く、幅広い目的や層に親しまれています。

フリマアプリ型
代表例には、メルカリやminnneが挙げられます。
フリマアプリは、国内で登場した時期が2012年ごろとまだ若い形態であるものの、2018年時点での市場規模は6,392億円と、約5年ほどで5,000億円以上もの市場が作られ、規模が急速に膨らんでいます。

また、フリマアプリには、以下3つのカテゴリが存在し、各フリマアプリごとに得意なカテゴリーが存在します。

  • 総合プラットフォーマー
  • アニメ、本、ブランド品、チケット、家電などの特定カテゴリー
  • ハンドメイドマーケット

そのため、出品者・購入者どちらの場合でも、出品したい商品や購入したい商品によってアプリを使い分ける傾向にあります。

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ファッションECの売上高ランキング

ファッションECの売上高ランキング

ここでは、ファッション・アパレル業界のECサイトにおける、2020年度の売上高ランキングを紹介いたします。

順位 企業名 売上高(百万円)
1位 ユニクロ 107,600
2位 ベイクルーズ 51,000
3位 アダストリア 43,600
4位 TSIホールディングス 36,337
5位 ワールド 33,713

新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛で、2020年は以前まで当たり前にできた実店舗での営業が制限され、ファッション・アパレル業界にとっては厳しい年でした。
しかしながら、ECサイトにおいては、利用者や利用機会が増えるなど追い風の影響にあり、コロナ禍においてECへのシフトが加速したと言えるでしょう。

今回紹介する売上高上位5つの企業は、実店舗の顧客をECサイトへ誘導することに成功したことが共通の要因としてあります。
以下では、それぞれの取り組んだ施策内容をお伝えいたします。

1位 ユニクロ(ユニクロ公式オンラインストア)

1位 ユニクロ(ユニクロ公式オンラインストア)

URL:https://www.uniqlo.com/jp/ja/
ファストファッションと言えば、一番最初に名前が挙がるユニクロが、2020年度のファッションEC売上高ランキングの1位です。
2019年度のECサイトにおける売上高は1,760億円と、前年比29.3%の伸びで、2位の企業とは、約2倍もの売上高の差があるほどの圧倒的な1位となっています。

ユニクロのECサイトの特徴は、実店舗・アプリ・ECサイト間の徹底したオムニチャネル戦略にあります。
2017年に「いつでも、どこでも」買い物ができるようにと、オムニチャネル化を発表したユニクロは、日本に数多くある実店舗の在庫情報はもちろんのこと、顧客の個人データを収集し分析することで、データに基づいた商品開発や在庫管理を行うことに成功しました。

また、近年ではECサイトをアプリ化したスマホアプリに力を入れており、アプリを会員証として利用したり、アプリ限定クーポンを発行して、顧客を実店舗に誘導したりと、顧客の誘導にも長けています。

その他、AIチャットbotでの在庫確認や、サイズ選びの診断&サジェスト機能、コーディネートの相談など、最新の技術を使って購入ハードルを低くする取り組みを数多く行っているのです。

ユニクロの事例は、メーカー・ブランド直販という武器を最大限に活かした、王道なファッション・アパレルECサイトの展開方法と言えるでしょう。
自社の持つECサイト、もしくは今後始めたいと考えているECサイトが、メーカー・ブランド直販の場合は、ユニクロを参考にしてみてください。

2位 ベイクルーズ(BAY CREW’S STORE)

2位 ベイクルーズ(BAY CREW’S STORE)

URL:https://baycrews.jp/
2位はベイクルーズで、2019年度のEC売上高は510億円、前年比29%の成長率です。
売上高は1位のユニクロと倍近く離れているものの、前年比の成長率はユニクロに匹敵するほど伸びています。

ベイクルーズはグループ会社で、主にファッション・アパレル業と飲食業を中心に展開している企業です。
ファッションブランドは、レディース・メンズどちらも揃えており、JORNAL STANDARDやDeuxieme Classe、Spick & Spanなど、少し単価が高めのブランドを多く取り扱っています。

ベイクルーズの特徴は、
グループ総合のECサイトであること
スタッフのスナップ写真やブログ・特集記事などECサイト上にコンテンツが盛りだくさんであること
が挙げられます。

ベイクルーズのECサイトもオムニチャネル戦略を取り、数多くのブランド実店舗・ECサイト間をシームレスに繋げることで運用を行ってきました。
すると、実店舗とECサイトでの購買に差がなくなったことで、実店舗・ECサイトのどちらも利用するクロスユース層が増え、売上が大きく伸びる結果となったのです。

クロスユース層はベイクルーズ会員の約2割なものの、金額ベースで見ると半数を占めており、ロイヤルカスタマーがベイクルーズの売上や成長を支えていると言っても過言ではありません。

また、スタッフのスナップ写真や、ブログ・特集記事など、ECサイト内にコンテンツを複数設けることで、ECサイトでの購買経験を向上させる他、ECサイトから実店舗への送客も見込めるとのことです。

ベイクルーズの事例は、メーカー・ブランド直販で且つ複数のブランドが存在する企業、そしてコンテンツを充実させるコンテンツマーケティングを検討している企業に適しています。

3位 アダストリア(.st)

3位 アダストリア(.st)

URL:https://www.dot-st.com/

3位はアダストリアで、2019年度のEC売上高は436億円、前年比7.6%の成長率です。

アダストリアは、コロナ禍でのオンライン接客がニュースに取り上げられ話題となり、
会員数が2020年の2月末から3ヶ月で20万人も増えるなど、実店舗の営業が制限される中、ECサイトで成功を納めました。

アダストリアも、ベイクルーズと同様にグループ企業で、ファッション・アパレルや生活雑貨商品を取り扱っており、GLOBAL WORKやniko and…、LOWRYS FARMなど、レディース・メンズどちらも揃えたブランドが代表されます。

  • そんなコロナ禍で業績を上げたアダストリアの特徴は、以下の3つが挙げられます。
  • スタッフのスナップ写真の強化
  • InstagramでのLINE配信を通したオンライン接客

レビューポイントアップキャンペーンで、レビューの収集

コロナ禍では、感染拡大による外出自粛で実店舗での営業に制限が入ってしまい、顧客が商品の使用感や着用感を手に取って確認することができない自体が起こりました。

そこで、アダストリアでは2018年から始めたスタッフのスナップ写真を掲載する「STAFF BOARD」を活用し、参加スタッフ数を1.5倍にしてコンテンツを充実することで、店頭で見なくてもどんな着用感であるかを伝えるように工夫したのです。

また、より実店舗に近い形で着用感・使用感の共有や提案を行うべく、スタッフによるInstagramを通したライブ配信も積極的に行いました。

Instagramでの配信(通称:インスタライブ)では、顧客がリアルタイムに気になることをコメントして疑問を解決したり、さまざまなスタイリングを魅せることができるため、実店舗での接客と遜色ないものを提供することができます。

他にも、商品購入の際の重要なファクターであるレビューを集め、購入の参考にしてもらうべく、商品購入後のレビューで、アダストリア内で使える30ポイントをプレゼントするキャンペーンも活用していました。
その結果、レビューの投稿件数は前年比で150%以上に伸び、購入の後押しに繋がったようです。
アダストリアの事例は、ECサイトでありながら如何に顧客と接点を持ち、リアルな接客ができるかといった点で大変優れています。
企業の規模に関わらず行える施策ですので、ECサイトでの接客に重きを置くことを検討している場合は、ぜひ参考にしてください。

4位 TSIホールディングス(mix.Tokyo)

4位 TSIホールディングス(mix.Tokyo)

URL:https://mix.tokyo/

4位はTSIホールディングスで、2019年度のEC売上高は363億3,700万円、前年比6.4%の成長率です。

TSIホールディングスも、2位・3位と同じくグループ会社で、主にファッション・アパレル業と飲食業を中心に展開している企業です。
レディース・メンズ共に取り扱っており、代表的なブランドにはnano universeやJILLSTUART、STUSSYが挙げられ、少し単価が高めなブランドが多い傾向にあります。

TSIホールディングスの特徴は、既存顧客の囲い込み戦略にあります。
TSIホールディングスは、自社ECサイトのミッションを「既存顧客のロイヤルカスタマー化」とし、自社ECの役割やメリットを活かした取り組みを行っています。

TSIホールディングスに所属するブランドは、ZOZOTWONやMAGASEEKといった大手ECモールサイトにも出店しているため、自社ECサイトを伸ばすには、各モールに出店しているECサイトと自社ECサイトの役割をしっかりと明確にする必要があったからです。

具体的には、以下のような取り組みを行い、自社ECの優位性を目立たせ、ロイヤルカスタマーを育てる施策を行っています。

  • 会員ログイン後の購入で、購入金額の3%をポイント還元
  • 購入実績に応じた会員ランクの導入で、ランクによって購入金額の最大10%のポイントバック
  • 無料ギフトラッピングサービスの開始
  • 受注会や展示会、オンライン限定のカスタムオーダーなど、ロイヤルカスタマー向けのブランド体験

TSIホールディングスの事例は、既に大手ECモールで取り扱っている商品を扱う企業におすすめです。
自社ECサイトでしかない特色や取り組みを行い、自社ECサイトとそれ以外で区別すると自社ECサイトに人が集まりやすくなるため、大手ECモールの依存から脱却することもできます。

5位 ワールド(ワールドオンラインストア)

5位 ワールド(ワールドオンラインストア)

URL:https://store.world.co.jp/

5位はワールドで、2019年度のEC売上高は337億1,300万円、前年比2.2%の成長率です。

ワールドは日本最大級のファッション・アパレルグループ会社で、約60ブランド、2,400店舗を展開している企業です。
レディース・メンズ共に取り扱っており、代表的なブランドにはTAKEO KIKUCHIやUNTITLE、INDIVIなどが挙げられ、幅広いテイストやターゲットを持っています。

ワールドの特徴は、ワールドの総合ECサイトの他に、主要ブランドに限ってブランド別の公式ECサイトを開設していることです。

ワールドでは、総合ECサイトのワールドオンラインストアにて、幅広いテイストやターゲットのブランドを揃えることで、顧客に最適な商品をブランドの垣根なく届け、成長してきました。

しかしながら、2014年の春頃から主要ブランドである「TAKEO KIKUCHI」や「UNTITLE」に関しては、よりコアなファンに発信すべく、ブランド別の公式ECサイトを開設しています。

従来のワールドオンラインストアでは表現できなかった、ブランドの雰囲気に合わせたデザインで、シーズンごとのビジュアルを魅せたり、キャンペーンを打ったりと、ブランドの世界観を体験できるECサイトになっています。

ワールドの事例は、ブランド別にECサイトを用意することで、そのブランドの世界観を魅せ、よりコアなファンを育てるといったものです。
ECサイトの数が増えると管理に手間はかかってしまいますが、その分ロイヤルカスタマーを育てやすくなるので、ブランディングを固めたい場合におすすめです。
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ファッションEC業界の5つの課題と対策事例

ファッションEC業界の5つの課題と対策事例

新型コロナウイルスの影響で加速したEC市場ですが、それでもファッション・アパレル ECサイト業界を取り巻く課題は尽きません。

ファッション・アパレル業界では、バブル期の全盛期以降、右肩下がりで市場が縮小しており、その要因の一つに少子高齢化があります。
日本の人口は、2050年には8000万人になると言われており、その内の約4割である3,000万人ほどが65歳以上の高齢者になると予想されています。

一般的に、高齢者は大きな消費が期待できないとされているため、その高齢者が人口の約4割を占めるとなると、市場の縮小を止めることはできません。

他にも、価値観が多用したことで、様々な商品を従来より小ロットで用意する必要があるため、利益効率の悪化したりと、市場縮小以外にも様々な課題があります。

しかしながら、近年ではテクノロジーの発展により、課題を解決する取り組みも複数出てきました。
以下では、それぞれ5つの課題の内容と、解決する取り組みを紹介いたします。

アパレル市場全体の売上低下

ファッション・アパレルECサイトの市場規模・市場動向と重複しますが、バブル期である1990年のファッション・アパレル市場全盛期には、市場規模が10兆5,623億円もありました。
しかしながら、バブルが弾けて以降は右肩下がりで、2019年度には9兆1,732億円まで下がっています。

全盛期の1990年から2019年に至るまで、市場縮小の要因としては以下2点が挙げられます。

  • バブル崩壊によるデフレ経済
  • 女性の社会進出に伴うハレの日の減少

バブル崩壊によるデフレ経済は、景気が低迷しデフレ経済へと発展したおかげで、大手メーカーが低価格戦略をとり、消費者がファッション・アパレルにお金を使わなくなってしまったことがあります。

また、女性の社会進出に伴うハレの日の減少に関しては、景気の低迷で女性も働くようになり、全盛期に売れていた高級高額指向の服が売れず、安くて機能的なものが選ばれるようになったことが背景にあります。

この傾向は今後も続くと予想され、前述した少子高齢化も影響し、市場は縮小する一方です。
対策としては、国内の需要ではなく国外の需要を取り込むことが挙げられます。

国外の需要としては、以下2つのパターンがあります。

  • 訪日外国人をターゲットにしたインバウンド
  • 国外にECサイトを出店し、そこでの需要を狙う越境EC

コロナ禍のいま、訪日外国人をターゲットにしたインバウンド需要は、以前よりもずっと少なくなっていますが、越境ECに関してはここ数年で大手ブランドも参入するなど、発展してきています。

越境ECにチャレンジする場合は、中国やアメリカなどの市場が大きい国で、現地パートナー企業や現地の大手ECモールに出店するなどで、徐々に間口を広げて行く方法がおすすめです。

店舗が多く利便性が高いため、EC化率が上がりづらい

実は、日本ではファッション・アパレル業界における人口あたりの店舗が、アメリカやイギリスと比較して高い傾向にあります。
以下の表は、経済産業省の「令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)」による調査結果です。

令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)

URL:https://www.ebisumart.com/blog/apparel-ec/

つまり、日本はアメリカ・イギリスと比べ、商品の購入を検討する際、実店舗にアクセスしやすく、何かECサイトで購入する特別なメリットがない限り、ECサイトを利用することはありません。

よって、日本のファッション・アパレル業界では他国や国内の他の業種に比べ、EC化率が大きく進まないのです。

しかしながら、新型コロナウイルスの影響で、実店舗での購入が難しくなった今となっては、この傾向は少しづつ変わりつつあります。
今後は今までよりも況して、実店舗とECサイトのシームレスな繋がりを意識したオムニチャネル戦略が重要です。

自分にあったサイズが分かりづらい

ファッション・アパレルECサイトの市場規模・市場動向でも触れましたが、一般的にファッション・アパレル業界は経験財を扱う業種に分類されます。
従来では、実際に手に取ったり、試着をして商品を確かめることが多く、購入して消費することで商品の品質を確認することがほとんどでした。

しかしながら、ファッション・アパレルECサイトでは、実際に手に取って商品を確認することができず、特にサイズのような人それぞれで異なる要素の判断はかなり難しいものです。

そのため、コロナ以前までは、このサイズに対する心理的なハードルの影響もあり、なかなかEC化率が伸びず、ECを利用する顧客も多くはありませんでした。

ところが近年では、このサイズに関する課題をテクノロジーで解決しようとするサービスが増えています。
例えば代表例には、ユニクロの「MySize ASSIST」が挙げられます。

自分にあったサイズが分かりづらい

URL:https://www.uniqlo.com/jp/ja/contents/mysize-assist/
MySize ASSISTでは、商品ページのサイズ下に存在する「自分に合うサイズを確認する」ボタンを押し、いくつかの質問に答えることで、ユニクロがおすすめのサイズをサジェストしてくれるサービスです。

このような、いくつかの質問に答えるとおすすめのサイズを教えてくれるサービスを提供しているECサイトは最近増えています。

このサービスがあると、顧客は自分にあったサイズがわかるので、購入しやすくなり、企業は顧客の購入ハードルを下げて機会損失をなくしたり、返品・交換率が下がったりするなどのメリットがあります。

もしまだこういった自分にあったサイズがわかるサービスを行っていない場合は、ぜひ導入することをおすすめいたします。

モールECの集客力が強すぎて自社ECでの集客力が上がらない

ファッション・アパレル業界では、ZOZOTOWNやAmazon、楽天といった各種モールECの集客が強く、モールECに出店するとある程度の集客が見込めます。
そのため、あまり認知度のないブランドや企業がEC事業に参入する場合、各種モールECに出店することから始めた方が、売上を伸ばしやすい傾向にあります。

しかしながら、ECサイトでの売上のほとんどをモールECで占めている状態、つまりモールに依存している状態は危険です。
理由は、モールECの集客力が強すぎて、自社ECでの集客力が上がらないことにあります。

モールECは集客が強く、そのほとんどがモール内の検索流入であるため、比較的簡単に集客することができますが、その状態に甘えてしまうと自社ECサイトでの集客ができず、モールECに万が一の場合があった時に非常に困ることになるのです。

モールECは他のECサイトも多く出店していることから、価格競争に巻き込まれやすく、ふとしたことで規約に違反してしまい、一時的にECサイトが停止したりと、不足の事態に巻き込まれやすいです。

ですので、モールECでの売上を確保しながら、自社ECサイトの売上も上げていく方が安全であると言えます。

自社ECサイトはモールECとは異なり、作成するだけで集客ができるものではありませんので、以下のような集客の施策を行い、徐々に自社EC経由の売上も狙っていきましょう。

  • SEO最適化
  • WEB広告の開始、最適化
  • スマホに特化したECサイトの構築
  • 各種SNSを使った発信や、インフルエンサーマーケティング

CtoC市場の伸長によりファッションECサイトからの購入が低下

最後の課題は、CtoC市場によるファッション・アパレルECサイトの衰退についてです。

ファッション・アパレルECサイトの種類と特徴でも紹介した、CtoC市場の活性化により、一時流通であるファッション・アパレルECの市場が食われるのではないか、という課題になります。

CtoC市場には、オークション型とフリマアプリ型が存在すると紹介しましたが、中でもフリマアプリ型は2012年に登場してから、わずか5年ほどで5,000億円以上と、急速な市場成長を遂げています。
特にメルカリでは、ファッション・アパレル商品が数多く流通していて、2018年度の第3四半期では、流通総額の1位がレディースで、全体の26.2%を占めています。

つまりCtoC市場の成長に伴い、消費者は自身の手持ちの服をオークションサイトやフリマアプリに出品することが多くなり、また購入を検討する際も低価格で欲しかった商品を手にすることが容易になっているのです。

ファッション・アパレル業界といった1次流通からすると、2次流通の広がりは市場に影響を与える危険性があり、看過できるものではありません。

そこで、メルカリではこの状態を緩和すべく、メルペイというスマホ決済の仕組みを生み出しました。
メルペイは、消費者がメルカリで上げた売上金を、iDもしくはメルペイコード決済に対応したお店やECサイトで、支払いに使うことができるサービスです。

このメルペイには、多くの大手ファッション・アパレルECサイトが参加しており、消費者が2次流通で得た売上金を使って、1次流通で商品を購入してもらうといった、1次流通と2次流通の相互補完関係を作り出しています。

もし、自社ECで扱っている商品が、メルカリなどのCtoC市場で多く流通している場合は、自社ECサイトをメルペイに対応し、相互補完関係を作り出すことをおすすめいたします。
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ファッション・アパレルECのまとめ

今回の記事では、ファッション・アパレルECサイトの市場規模・市場動向やECサイトの売上高ランキング、課題やその対策方法について紹介しました。

ファッション・アパレル市場は、2019年時点で前年比99.3%の9兆1,732億円とマイナス成長傾向にあり、市場が縮小していると言えます。

ところが、EC市場においては19年度時点で市場規模が1兆9,100億円、前年比7.74%の成長率と、順調に伸びつつあります。
特に、新型コロナウイルスで実店舗での営業が制限され、消費者がECサイトを利用する機会が増えたこともあり、今後もEC市場に限っては成長が見込まれています。

ファッション・アパレルECサイトで売上が高い企業は、オムニチャネル戦略を主軸に、ECサイトでの購入ハードルを下げるサービスの導入や、オンラインでありながらオフラインのような接客など、さまざまな取り組みを行い、ECサイトの売上を伸ばしています。

今後、ファッション・アパレルのECサイトを展開する場合は、時代に合わせて臨機応変にサービスを展開することが求められます。

しかしながら、ECサイト担当者は業務範囲が広く、忙しいことが多い為、悩みと課題に向き合う時間を持てないケースも多くあります。
そのような場合には、ECサイトの構築支援、運用支援を多数行っているニュートラルワークスにご相談ください。

著者紹介

津久井 渉

津久井 渉

取締役

1991年生まれ。オーストラリアの高校を卒業後、その後イギリスで建築学科を卒業し、大学院ではデザインシンキングを専攻していました。楽天株式会社へ新卒で入社。トラベル事業部でマーケティング職に約3年間従事した後、2017年には株式会社LIGにWebディレクターとして転職。2019年よりニュートラルワークスへジョイン。これまでの多岐にわたる経験を元に最高なサイト作りはもちろんのこと、貴社のビジネス上の課題解決へ導きます。