スパムとは迷惑行為を意味する用語で、IT業界では恐れられている存在です。特に、Webを利用する際には注意が必要で、適切にスパム対策するには事前の情報収集が準備が大事になります。
本記事ではスパムについて、意味や対策などを解説します。本記事をお読みいただくことで、スパムへの対処法やスパム被害に遭わないためのポイントなどをおさえられます。スパム対策でお困りの方は、ぜひお読みください。
目次
スパムとは?
ITの世界におけるスパムとは、迷惑行為を意味するセキュリティ用語です。迷惑行為全般を指して使われる用語で、行為を受けた人が「迷惑をかけられている」と感じたらスパムに該当するといえます。
もっとも代表的な例はメールです。電子メールを通じてウイルスを送り込もうとする、情報を盗み出そうとするといった迷惑行為がみられます。添付ファイルにウイルスをつける、キャンペーンなどを装って個人情報の入力をうながすなど、さまざまな手法があります。
近年はメール以外にも、ブログのコメント欄やSNSを用いたスパム行為も多いです。Webを用いて活動する以上、スパム被害を受けるリスクは常に存在するといえます。したがって被害を受ける前から、スパムに対する正しい情報収集および対策が必要です。
スパムという名前の由来
スパムという名前は、1970年代に放映されていたテレビ番組の、とあるコントが由来です。コントの大まかな流れを紹介します。
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- スパム嫌いな夫婦がとあるレストランを訪れる
- メニューのすべてが「○○とスパム」のように、スパムを使ったものだった
- 怒った夫婦とウエイトレスが口論をし、そのなかで「スパム」を連呼
- 周囲の客まで「スパム」を連呼、歌まで歌い始める
- 夫婦は最終的にスパムの入ったメニューを注文
相手の迷惑を考えず、スパムに関連する迷惑行為を繰り返すという内容です。上記のコントが、迷惑行為をスパムという用語で表現するきっかけになったといわれています。由来自体はインターネットに関係するものではありませんが、現在では「スパム=ネット上での迷惑行為」を指すのが一般的です。
スパムを送ってくる側の意図はなに?
スパムを送る側の意図として、多くの場合は金儲け目的です。以下のような例があげられます。
- 商品の宣伝や別サイトへの誘導
- サービスへの契約
- 架空請求(お金を騙し取ろうとする)
- 個人情報やクレジットカード情報の獲得
メールを通じて入力フォームへ促すケースもあれば、ウイルスに感染させて情報漏洩を起こすなど、さまざまな手法があります。いずれの手法であっても、情報を抜き取られない・スパムの内容に騙されないよう注意が必要です。
情報を盗み出そうとするスパムには特に注意
スパムのなかには、単純にいたずら目的のケースもあります。迷惑行為に変わりはありませんが、大きな悪影響につながるケースは少ないです。しかし犯罪行為を目的に、個人情報を盗み出そうとするスパムも少なくありません。情報を盗み出そうとするスパムには、特に注意が必要です。
スパムによって盗まれる恐れのある情報は、氏名や住所などの個人情報だけではありません。クレジットカードや銀行口座の情報、特定のサイトのIDおよびパスワードなど、危険な被害につながる情報を抜き取られるケースもあります。最近は大手企業を偽ったメールを使ったアプローチなど、一見スパムだとわからないような巧妙な方法で情報を抜き取るスパムもあります。
スパムによって情報を盗み出される被害を防ぐには、信頼できる相手先以外からのファイルやリンクを開かないのが最善です。信頼できる送り先であるか、大手企業と思われる場合は本物であるかなど、事前に確認する必要があります。
よくある代表的なスパムの例
スパムにはさまざまな手法があります。代表的なスパムの例は以下の3種類です。
- コメントスパム
- スパムメール
- SNSスパム
それぞれの特徴について詳しく解説します。
コメントスパム
コメントスパムとは、ブログなどのコメント欄に宣伝を大量に投稿する迷惑行為です。記事本文とは無関係の内容を投稿します。
ブログなど記事コンテンツは、下部にコメント欄が設けられているケースが多いです。コメント欄は記事に関して、感想や意見、疑問といった文章を自由に書き込むことを目的としています。しかしそのような目的を考慮せず、自由に書き込めるという特徴を利用してスパムを働くケースが珍しくありません。
記事と関係ないコメントは、利用規約で禁止しているWebサイトやブログがほとんどです。しかしルールを無視し、コメントスパムを投稿する業者は少なからず存在します。近年はツールを用い、自動で宣伝コメントを投稿するケースも増えています。
スパムメール
スパムメールとは電子メールを用いたスパム行為です。コメントスパムは宣伝目的がほとんどですが、スパムメールは目的が多岐にわたります。スパムメールを送る主な目的として、以下の例があげられます。
- 有料サービスを契約させる
- 個人情報・クレジットカード情報などを抜き取る
- 悪質なサイトへの誘導
- 架空請求などの詐欺
- ウイルスを送り込む
目的を果たすための方法もさまざまです。情報を抜き取る目的の場合、大手企業や有名企業になりすまして送信するケースが多くみられます。悪質なサイトへの誘導や架空請求などは、興味や不安を煽る言葉を使い、リンクへ誘導する文面が多いです。
ウイルスは添付されたリンクやファイルを開くと感染するケースが多くみられます。なかには開封しただけでウイルスに感染してしまうメールもあるため、スパムメールは特に注意が必要です。
SNSスパム
SNSスパムとは文字通り、SNSを用いたスパム全般を意味します。SNSのメッセージ機能を用いて行われるスパムが多いです。
近年はSNSを利用して情報収集やメッセージのやり取りを行う人が増えています。ブログやメールに比べて手軽なため、あまり警戒心を持たずに知らない人とやり取りをしてしまうケースも少なくありません。そのような状況を利用して、スパムを実施する業者が多く存在します。
SNSスパムは、SNSの種類によって、多く発生している被害や対処法が異なります。そのためSNSごとに、スパムの特徴や対処法について知ることが大切です。日本での利用者が多い代表的なSNSについて、スパムが来た場合の対処法を解説します。
Instagramでスパムが来た場合の対処法
Instagramで多くみられるスパムとして以下の3種類があげられます。
- タグ付けスパム
- スパムコメント
- フォロースパム
タグ付けスパムとは、自身(投稿者)の投稿にユーザーを無差別にタグ付けする行為です。投稿を通して自身のプロフィールへ誘導することを目的とします。タグ付けスパムへの対処法として、「タグのオプション」から自分を削除する、もしくはフォローしていない人からのタグ付けを許可しないなどがあげられます。
スパムコメントは、投稿内容とは無関係に行われるコメントです。有名人や閲覧数の多いユーザーのコメント欄に投稿されるケースがほとんどで、商品・サービスの宣伝を目的とします。スパムコメントへの対処には、設定から「不適切なコメントを非表示にする」をオンにする、「コメント許可の対象」を設定するなどの方法が便利です。
フォロースパムは関連性を問わず無差別に行われるフォロー行為です。スパムをしているユーザーのプロフィールへ誘導することを目的とします。フォロースパムへの対処は、該当アカウントのブロックがもっとも効果的です。
Facebookでスパムが来た場合の対処法
Facebookでのスパム被害は、メッセンジャー機能を通じたウイルス感染が多いです。ウイルスに感染した場合の被害にはいくつかの種類がありますが、もっとも多くみられる被害としてアカウントの乗っ取りがあげられます。アカウントが乗っ取られたときの対処法は、状況によって2パターンに分かれます。
- ログインができる:パスワードを変更する
- ログインができない:「アカウントを特定」の機能を使い、Facebook公式のサポートを受ける
なお「アカウントを特定」の機能を使うには、事前にメールアドレス・電話番号の設定が必要です。
Twitterでスパムが来た場合の対処法
Twitterでのスパムは、DM(ダイレクトメッセージ)で行われるのがほとんどです。一般的なスパムメールと同様に、添付されたファイルやURLを開くと、大きな被害につながるケースが多くみられます。そのためTwitterでのスパムDMは、無視するのが最善です。
なおスパムDMの被害をおさえるには、フォロー外からのDMを受け取らない設定にすると効果的です。設定は以下の手順で行います。
- 「設定とプライバシー」を開き、「プライバシーとセキュリティ」を選択する
- 「すべてのアカウントからメッセージを受け取る」の設定をオフにする
また特定の相手からスパムDMが送付される場合、ブロックするのも有用な手段です。ブロックされた相手にはDMが送付できなくなるだけでなく、投稿が閲覧できない・フォローできないため、被害を防げます。
LINEでスパムが来た場合の対処法
LINEで見知らぬ人からメッセージが届いた場合、スパムである可能性が高いです。添付されたURLやファイルを開くのはもちろん、メッセージを返信するのも避ける必要があります。
LINEでスパムが来た場合はTwitterと同様に無視、そのうえでアカウントのブロックを行うのが効果的です。ブロックしたユーザーからはメッセージが来なくなります。友だち追加していないアカウントは、トーク画面の上部に「追加」「ブロック」「通報」というメニュー項目が出るので、ここで「ブロック」を選択します。
通報は、必須ではありません。しかし、スパム被害者を減らすためには通報も行うのが理想です。メニュー項目の「通報」を選択し、指示に沿って操作を進めていきます。なお「プライバシー管理」で「メッセージ受信拒否」をオンにすれば、友だち以外からのメッセージを受信しなくなるため、スパム対策に効果的です。
スパム被害にあわないためのポイント
スパム被害にあわないためのポイントとして、以下の4点があげられます。
- 迷惑メールフィルタ機能を設定する
- 怪しい件名のメールは開かない
- SNSでは知らない人からのDMは開かない
- 実在する人や会社からのメールやDMでも疑うようにする
それぞれのポイントについて、詳しく解説します。
迷惑メールフィルタ機能を設定する
スパムメールの被害を防ぐには、迷惑メールフィルタ機能の設定が便利です。迷惑メールフィルタとは、迷惑メールと思われるメールを自動で振り分ける機能です。迷惑メールフィルタを設定すれば、怪しいメールは勝手に迷惑メールフォルダに入ります。
大量のメールが届くなか、スパムメールだけを厳選して削除するのは困難であり、手間が大きいです。誤って開封してしまい、ウイルスに感染する恐れもあります。そのため迷惑メールフィルタを使い、スパムメールを誤って開封してしまうリスクを小さくするのが効果的です。
ただし稀にスパムメールではないメールが、迷惑メールフォルダに振り分けられてしまうケースもあります。フィルターの設定やフォルダの定期的な確認などに注意が必要です。
怪しい件名のメールは開かない
スパムメールは開封しただけで感染してしまう恐れがあります。そのため怪しい件名のメールは開かないのがもっとも効果的です。怪しい件名の例として、以下のような内容があげられます。
- 関わった覚えのない企業・有名企業と似た名前
- 美味すぎる話、もしくは必要以上に不安を煽るような件名:釣りのような件名や、「緊急」「危険」などの文字は、スパムの恐れが大きいです
- 不自然な日本語:スパムメールは海外の業者から送付されるケースも多いため、日本語が不自然と感じる場合は疑う必要があります
違和感を覚えるような件名や、目立つ・興味を強くひかれてしまう件名は避ける必要があります。内容が気になり開封したくなってしまうかもしれませんが、スパムの被害を防ぐため、開封せず削除もしくは迷惑メールフォルダに移動させるのが安心です。
SNSでは知らない人からのDMは開かない
SNSを使ったスパムは、関連性を問わず無差別にメッセージを送付するケースが多いです。そのため知らない人からのメッセージは開かないようにすると、スパムの被害をおさえられます。
知らない人から突然送られるメッセージは、目を通すメリットがないケースがほとんどです。そのためメッセージが来ても無視するのが一番といえます。また多くのSNSには、フォローしていないユーザーからのメッセージを拒否できる機能があります。そのような機能を使い、メッセージが届かないようにするのも効果的です。
スパムを行うユーザーが特定できている場合、ブロックするのも有用な手段です。いずれにせよ、SNSで必要以上に知らない人と関わるのは避けるべきだといえます。
実在する人や会社からのメールやDMでも疑うようにする
実在する人や会社からのメールやSNSのメッセージも信用せず、スパムを疑うようにすると、被害を避けられる可能性が高まります。最近は実在する大手企業・有名企業を名乗ったスパムも多いです。メールの装飾や遷移先サイトのデザインなどをかなり似せたメールも増えており、注意して確認しないと見間違えてしまいます。
なりすましメールの被害を防ぐには、以下のポイントに注意が必要です。
- 自分が関わったことのある人・会社であるか
- メールアドレスや遷移先URLが正規のものか
- 金銭要求や個人情報の入力などセンシティブな内容か
- 文章に不自然な箇所がないか
知っている人・会社からのメールにみえても信用せず、スパムを疑ったうえでの行動が大切です。
スパムのまとめ
スパムは年々、手口の巧妙さを増しています。 数億円単位の被害が出た事例もあるため、早急に対策することが大切です。また、迷惑メールのフィルタリングや不審なメールの削除、アンチスパム機能を持つセキュリティソフトの導入などで、効果的にスパムメールの被害を回避できます。
なお、スパム被害に遭わないためには「知らない人には反応しない」「怪しいリンクはクリックしない」といった注意も必要です。身に覚えのないメールやコメントを無視するということが、一番の対策だと考えられます。