Webサイトをより良いものにする方法を調べるうちに、「サイト改善提案書」という言葉に出会った方も多いでしょう。サイト改善提案書は、サイト改善の必要性を伝え、実行を促すうえで効果的です。しかし、サイト改善の提案書について、「書き方が分からない」「何を記載するべきか知りたい」「内容がうまくまとまらない」と悩む方は少なくありません。
そこでこの記事では、サイト改善提案書の効果的な書き方、作るうえでのポイントを詳しく解説します。Webサイトを運営する方や、サイト改善でお悩みの方はぜひ最後までお読みください。
目次
サイト改善の提案書は、上司や会社にサイト改善の必要性を理解してもらい、実施の判断、許可をスムーズに獲得するために必要です。Webサイトの担当者や運営に携わっている人は、日頃の業務を通してサイト改善の必要性を実感できます。しかし、Webサイトの運営に直接関与していない人の場合、Webサイトの現状を把握する機会はあまりありません。
したがって、Webサイトの改善を提案されても、必要性を見出せない人が多いでしょう。例えば、口頭で突然、そのような人に提案をしても良い返答を得られる可能性は低いと言わざるを得ません。また、Webサイトの改善には大きなコストと労力がかかります。そのため、必要性を訴えられない限り、承認を得ることは困難です。
サイト改善の提案書は、普段サイト運営に関わらない人たちにも必要性を明確に伝え、スムーズな意思決定を促すためにとても大切な判断材料になるのです。
サイト改善の提案書を作る前にやるべきこととして、以下の3点があります。
それぞれ詳しく解説します。
サイト改善の提案書を作成する目的は、サイト改善の必要性を明確に伝えることです。そのため提案書の作成に際して、サイト改善の目的を整理して明確にする必要があります。もし「なぜサイト改善をするべきなのか」を提案書の作成者自身が把握していなければ、他者にもうまく伝えられません。サイト改善の必要性を適切に訴えるためには、伝えるべき情報の明確化が重要です。
ここで、サイト改善の目的例をいくつか紹介します。
サイト改善の目的は、まず大まかな内容を設定しましょう。その後、より細かく訴えかけるために、細かな目的を設定していきます。最初のうちは、サイト改善および提案書に記載する内容の方向性を決めるため、大きな目的から明確にしていくと効率的です。
ゴールとなる目的を決めたら、続いて現状の課題を整理して明確にします。Webサイト運営の目的達成に向けて、何が課題となっているか、何を改善するべきかを伝えるためです。現状のサイトでは、「なぜ目的が達成できないのか」といったことや、「どのような原因で、数字が伸びないのか」など、課題をしっかりと考えて整理しましょう。
解決するべき課題を明確にすることで、より説得力のあるサイト改善の提案書が作れます。なお、課題はなるべく具体的に記すことをおすすめします。かつ細かい部分まで分析できるのが理想です。解決するべき課題が明確で分かりやすいほど、対処法も考えやすくなります。提案書の内容を充実させるだけでなく、作成をスムーズに進めるためにも、課題の明確化が大切です。
目的や課題が整理できたら、サイト改善を行うメリットが、コストを上回るかを吟味します。サイト改善にはコストがかかります。サイト改善によって効果が得られるとしても、大きなコストが発生するのであれば、結果として損になってしまう恐れもあります。そのような状態でサイト改善の提案書を作成しても、承認を得られる可能性は低いでしょう。
結果的に得られるメリットが、作業によって発生しうるコストなどのデメリットを上回るなら、サイト改善を行う価値があるはずです。その場合は発生するコスト以上のメリットが得られることを、提案書の中でしっかりアピールしましょう。
【改善例紹介】サイト改善の重要性と見るべき項目、課題の分析方法を解説
サイト改善の提案書を作成するうえで必要な内容として、以下の要素があげられます。
それぞれ詳しく解説します。
提案書全体の概要をまとめたページは必要不可欠です。一目見ただけで提案書の内容をある程度把握できるページがあれば、忙しい人にもサイト改善の必要性をアピールしやすくなります。
上司や役員など、承認や判断をする人の大半は日々忙しいです。そのような中で、サイト改善の提案書を確認してもらうようお願いしても、読むのを後回しにされてしまう恐れがあります。必要性や重要性がイメージしにくいタスクは、どうしても優先順位が下がってしまいがちです。
しかし、提案書の概要がまとまった1ページ程度であれば、すぐに読んでもらえる可能性が高まります。概要の中でサイト改善の必要性を伝えられれば、提案書全体を読み進めてもらえる、もしくは早い段階で判断をもらえると期待できます。概要をまとめたページを作ることを忘れないようにしましょう。
単純に「サイト改善をおすすめしたい」と伝えるのではなく、サイト改善を希望するに至った背景を提案書の中で説明する必要があります。
サイト改善の背景として、以下のような情報を盛り込むと説得力が増します。
上司や会社など、Webサイト運営に直接関与していない人は、なぜサイト改善が必要なのか、なかなか具体的なイメージがわきません。そのため、担当者自身が感じたことや現状など、サイト改善を希望する理由として背景を伝えると効果的です。必要な情報を十分に取り入れながら、要点をおさえて分かりやすくまとめましょう。
Webサイトの現状と抱えている課題は、サイト改善の提案書に必須となる情報です。サイト改善が必要という意見だけでは、具体的に何をしたいのかが伝わりません。サイト改善の方法を提案するとしても、何を解決するために行うのかを明確にする必要があります。そのため、Webサイトの現状や課題を、提案書の中に盛り込むのです。
現状や課題を伝える際におさえるポイントの例を紹介します。
なるべく具体的かつ、分かりやすい情報を取り入れましょう。
Webサイトの状況を以下の5項目で確認します。そのうえで、どのように提案書に落とし込むのか、実際のものを使って解説します。
前月のアクセス状況やCV数などをまとめています。
次に、どういうチャネルからアクセスしているのかをまとめたものです。
次は、サイト訪問後のファネルをまとめたものです。
ついで、日時と月次での推移です。
サイトの現状を把握したあとは、分析です。
こちらは、分析して課題が見えたところで、どのように改善していくのかをまとめたものです。
ここがメインと言ってもいいでしょう。例えば、以下のような改善点を提示してみましょう。
サイト改善を進めるうえでの予算やスケジュールも、提案書を通りやすくする大切な要素です。
予算は、以下のポイントに注意しながら記載します。
また、スケジュールに関しては、以下のような内容の記載が必要です。
予算やスケジュールは、サイト改善の具体的な進め方を伝える役割を持ちます。上司や会社の承認を得やすくするために、提案書の中で必ず記載したい情報です。
提案書にはサイト改善の進め方だけでなく、サイト改善後の目標も記載します。サイト改善による将来像が明確であれば、作業の必要性や重要性が伝わりやすいです。
サイト改善後の目標を記載する際の注意点を紹介します。
サイト改善で達成したい目標についても、具体的な内容など細かな情報が必要です。
サイト改善について、他社の事例を載せるのも効果的です。具体的なイメージに役立つ情報があれば、サイト改善の必要性を訴えるための説得力が増します。特に競合他社の成功事例については、闘争心や勢いをつけるために有用な情報です。
提案書の中で他社の事例を紹介する際は、以下の内容を記載しましょう。
他社で実施されたサイト改善の事例があれば、より説得力を高めやすいです。提案書の内容を充実させるため、可能な限り他社の事例に関する情報を集めましょう。
サイト改善を、制作会社など外部に依頼する場合は、見積内容の記載も必要です。提案書を出す段階で見積もりに関する情報まで伝えられれば、よりスピーディーな判断が期待できるうえ、承認を得たあとすぐに作業を始められます。また、制作会社からもらった見積内容だけでなく、サイト改善や作業の相場感もあわせて伝えると分かりやすいです。
見積もりとして提示された費用が高いのか安いのか判断しやすくなるだけでなく、サイト改善に関する具体的なイメージの助けにもなります。なお、見積もりを依頼する際は、なるべく細かな内訳を教えてもらうのが理想です。作業などの項目ごとに細かく金額が記載されていれば、どこの制作会社に依頼するべきか比較、検討がしやすくなります。
サイト改善の提案書をうまく作るには、以下のポイントをおさえることが大切です。
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
サイト改善の提案書は、だらだら書かず端的にまとめる必要があります。提案書はあくまで資料として使うものであり、細かな説明は口頭で行うのが効果的です。不必要に長く重要な部分が分かりにくい資料は、伝えたい内容が伝わらないどころか、提案自体に悪い印象を持たれる恐れがあります。
最初の印象が良くないと、サイト改善の必要性を訴えても響かず、提案書が通らないリスクが高くなってしまいます。資料に記載された提案内容ではなく、資料の構造や文章の書き方が影響を与えてしまうのです。
サイト改善の提案書を作成する際は、ポイントのみをおさえた端的で簡潔な内容を心がける必要があります。口頭での説明をサポートする役割として、サイト改善の提案書を用意するのが理想です。
目標や現状の課題、他社事例などの要素は可能な限り数字で示しましょう。明確な数値で記載すれば、説得力のある内容に仕上がりやすいです。サイト改善の必要性や重要性が伝わらないと、せっかく提案書を作っても承認が得られない恐れが大きくなってしまいます。そのような事態を防ぐには、数字を使った具体的な提案が効果的です。
例えば、サイト改善の効果を訴える際は「アクセス数が大幅に増える」ではなく「アクセス数が20%増える」など、具体的な数字を使いましょう。イメージがわきやすくなるうえ、説得力が増します。
ただし、言葉で説明したほうがいい部分は、無理して数字を用いる必要はありません。数字ばかり並ぶ文章は、かえって読みにくいこともあるため、不自然になる恐れのある箇所は、無理して数字を使わなくても良いでしょう。バランスの良さが大切です。
分かりやすい内容の提案書にするために、誰が読んでも理解できる言葉で書く必要があります。サイト改善の提案書を読む人は、サイト運営に直接関与する機会の少ない上司などのケースが多いです。そのような人が読む資料の場合、専門用語の使用や難しい説明は避けたほうが無難です。
専門性が高いと読みづらく理解度が下がってしまうため、伝えたいことが適切に伝わらなくなってしまいます。結果としてサイト改善の承認が得られない恐れが大きくなってしまうのです。
Webサイト運営に関する知識が深い人が相手なら、多少難しい内容であっても必要な情報を問題なく伝えられるでしょう。しかしそうでない場合、誰が読んでも分かるような、簡単な言葉を意識して文章を作ることが大切です。
メリットがコストを上回ることが伝わる提案書は、サイト改善の承認を得やすくする効果が期待できます。サイト改善の判断を促すにあたって、メリットばかり伝えても実施すべきかどうかの判断はできません。たとえメリットが存在しても、それ以上のデメリットがあれば、結果的に損となってしまうためです。
そのため、メリットだけでなくコストなども伝え、そのうえでメリットのほうが大きいことを明確にする必要があります。
サイト改善の提案書を作成する際は、予想されるコストや発生しうるデメリットも明記しましょう。そしてメリットのほうが大きいと明確にできれば、サイト改善に対して前向きな意見を得やすくなります。メリットやコストなどの大きさは、数字で具体的に示すと効果的です。
サイト改善の提案書に限らず、資料はワンスライドワンメッセージが基本です。一枚のスライドに情報を詰め込みすぎないよう注意する必要があります。
一つのスライドに複数のトピックやメッセージを入れると、視認性や理解度の低下を招いてしまいます。伝えたい内容がうまく伝わらないだけでなく、スライドの分かりにくさが原因で提案全体に対して悪印象を持たれてしまうリスクも高いです。スライドに情報を詰め込みすぎるのは避けながら、提案書全体で必要事項をしっかり伝えるようにしましょう。
最後に、サイト改善の提案書作りに役立つサイトを紹介します。今回取り上げるのは以下3つのサイトです。
デザインや構造の参考になるため、より効果的なサイト改善の提案書を作成するヒントになるでしょう。それぞれのサイトについて、特徴などを解説します。
alleは、200以上の企画書や提案書、スライドなどがまとまったサイトです。掲載されているスライドは、以下5種類にジャンル分けされています。
それぞれのページにスライドの大まかな内容が紹介されているため、スライドの実物を読み進める前に概要を把握できます。また「おすすめスライド」として関連ページが表示されるため、参考例を探しやすいです。
SlideShareは、世界最大規模のビジネス向けSNS「LinkedIn」が運営するサイトです。主にビジネス目的で作成・利用されたさまざまなスライドが掲載されています。会員ログインをすれば、スライドのお気に入り登録が可能です。ログインしない場合もお気に入り数を確認できるため、人気の高いスライドを中心に見るといった使い方もできます。
検索機能はスライドを絞り込み、参考となる例を効率良く探すうえで便利です。例えば「サイト改善」で検索すれば、サイト改善の必要性を訴えるために作られたスライドが多く表示されます。
販促コンペは、販促企画のコンペで選考を通過した企画書や提案書を見れるサイトです。非常にクオリティの高い参考事例が多く見つかります。選考を通過した企画書や提案書は、サイトメニューにある「受賞作品」のページに掲載されています。また実際に採用され、商品化などの実現に至った提案書もまとめられており、参考にしやすいです。
会員登録をしない状態の場合、各コンペでグランプリを受賞した作品のみが表示されますが、ログインすればグランプリ以外の受賞作品も閲覧可能です。
サイト改善の提案書は、サイト運営に直接関与していない人に対し、Webサイトの課題や改善の必要性を訴えるために必要です。提案書はポイントをおさえ少し工夫するだけで、分かりやすさや説得力が大きく変わります。この記事で紹介した内容を生かしながら、効果的なサイト改善の提案書を作ってみてください。
また、ニュートラルワークスではWebサイトに関する幅広いサービスを提供しています。Webサイト改善コンサルティングやサイト制作など、サイト改善に関するサポートも行っています。サイト改善を検討している方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。