ホワイトペーパーとは本来、政府や公的機関による年次報告書、つまり「白書」を指す言葉です。しかし近年は、マーケティングの領域において、企業が専門とする分野の最新動向や調査結果をまとめ、自社の商品やサービスについての情報を加えた資料を、「ホワイトペーパー」と呼ぶようになりました。
ホワイトペーパーの情報が欲しい人は、自分の連絡先や所属企業の情報を入力することでダウンロードできる仕組みにしている企業がほとんどです。このシステムなら、企業は見込み客の情報を手に入れられるうえに、ダウンロードした人は有益な情報を得られて、双方にメリットがあります。
この記事では、ホワイトペーパーを製作し配布しているものの、ダウンロード数が伸びないときに見直すべきポイントをご説明します。ホワイトペーパーを使った施策の効果が出ず、悩んでいる企業や担当者のご参考となれば幸いです。
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目次
ホワイトペーパーのダウンロード数が伸びない理由とは?
自社が製作し配布しているホワイトペーパーのダウンロード数が思うように伸びない場合には、その原因を理解する必要があります。現状を把握しなければ、改善することもできません。
まずは、以下のポイントを中心に見直してみてください。
- ホワイトペーパーの内容が分かりやすくなっているか
- ダウンロードがしやすくなっているか
- ホワイトペーパーの内容は新しく充実しているか
- ホワイトペーパーは広く認知されているか
また、ホワイトペーパーのダウンロード数を伸ばすには、ダウンロードするユーザー側の視点も重要です。上記のポイントに加えて、ユーザー視点も意識しながらこの記事を読むことで、改善点が見つかります。
ホワイトペーパーの内容が伝わっているか
ホワイトペーパーをダウンロードしてもらうためには、サイトを訪れた人が読みたくなるようなコンテンツにする必要があります。そのためには、ダウンロード前にユーザーが見ることのできるタイトルや概要、紹介文などが重要です。具体的なポイントと改善方法を見てみましょう。
原因:ホワイトペーパーの内容がイメージできていない
まず意識すべきポイントとして、「ホワイトペーパーは自社の商品やサービスを説明するためのものではない」があります。ホワイトペーパーは営業の資料ではありません。また、商品やサービスの資料請求とは異なる意識を、読者は持っています。
ホワイトペーパーの役割は、ユーザーにとって役立つ情報を提供し、その中で自社の商品やサービスにも関心を持ってもらうこと。つまり、ホワイトペーパーをダウンロードする段階では、ユーザーはまだ見込み客の段階といえます。そのため、商品やサービスに興味がなくても読みたくなる、ダウンロードしたくなるコンテンツを用意しなければなりません。
改善:ダウンロードに至るまでにホワイトペーパーの魅力を伝える
ホワイトペーパーは、情報を収集している段階のユーザーが、ダウンロードする前の時点で「今後、自社に役立つかもしれない」と感じてもらう必要があります。そのためには、ホワイトペーパーをダウンロードすべき魅力を伝えることを意識してください。
まずは自社のホワイトペーパーをダウンロードしてほしいユーザー層、つまりターゲットを明確にしましょう。自社の商品やサービスのペルソナとなる層に設定するほか、さらに絞り込んで、各ホワイトペーパーのテーマからターゲットを想定する方法もあります。ターゲット層が決まれば、ホワイトペーパーの製作だけでなく、アプローチ方法についても策定しやすくなります。
ホワイトペーパーはユーザーに「自分にとって役立つ情報だ」と感じてもらえないと、個人情報を入力してまでダウンロードしたいとは思いません。そこで、自社だけが持っている情報をホワイトペーパーに詰め込むことが大切です。具体例として、「独自のアンケート調査の結果」「過去の事例」などが典型的。また、業界のトレンド情報や、第三者の立場からの調査結果も有効です。
また、ホワイトペーパーをダウンロードするページの改善も必要です。ホワイトペーパーの「内容を紹介する文章」、「タイトル」や「目次」「キャッチコピー」などを含めて、どのような人にとって役立つのかなどを表示して、ホワイトペーパーの魅力を伝えることを意識してください。
ホワイトペーパーは基本的にダウンロードしなければ内容が分からないので、魅力が伝わらなければユーザーが自ら個人情報を提供してくれることはありません。
ダウンロードフォームが最適化されているか
ユーザーがホワイトペーパーをダウンロードする際には、フォームに必要な項目を入力する場面があります。その際にエラーが出てしまったり不便だと感じてしまうと、ダウンロードされずに離脱してしまうケースも考えられるので、抑止しなければなりません。
原因:ダウンロードまでの手順が煩雑
企業が見込み客の個人情報を取得するため、ユーザーに情報を入力してもらうことが必須です。しかし多くのユーザーは個人情報を提供することに抵抗を感じます。そのため、一度ダウンロードしようと思っても、入力フォームが使いにくかったり、入力項目があまりにも多かったりすると、離脱されるケースも考えられます。
改善:EFO(フォーム最適化)を行う
可能な限りスムーズにダウンロードまで到達してもらうために、入力フォームの設計にも工夫が必要です。入力フォームの最適化を行い、ユーザーの離脱をできるだけ減らしましょう。この施策を「EFO(Entry Form Optimization)」といいます。
EFOは、入力フォームのどこでユーザーが離脱しているかを計測し、課題点を洗い出し、改善することでコンバージョン率を向上させることが目的です。コンテンツの内容とともに非常に重要な要素なので、フォーム最適化も並行して行うべき施策と言えます。
改善が必要なフォームの具体例として、以下のような例があげられます。これらをチェックしながらEFOにつなげましょう。
入力する項目の内容や数が多い
ダウンロードしてくれたユーザーの特性を明確にしてアプローチしやすくするために、できるだけ多くの情報を得たいと思いがちですが、入力項目が増えるほど、ユーザーは抵抗を持ちます。
入力の途中でエラーが起きやすい箇所がある
全角・半角、電話番号や郵便番号のハイフン有無など、入力方法の指定に従わなければエラーとなる項目には注意が必要です。住所の入力を都道府県、市区町村、その後などと分ける際にも分かりやすい説明が求められます。
また、入力のエラーメッセージの表示が理解しにくい文章だと、ユーザーは何を修正すればいいのか困ってしまいます。
自動入力機能がない
郵便番号を入力すると住所を自動入力する機能や、氏名を漢字で入力するとフリガナを自動で推測する機能を採用する企業が増えてきました。自動入力機能のサポートがあれば、ユーザーの負担が減り、スムーズなコンバージョンを促せます。
入力箇所が分かりにくい
フォームには入力を必須とする項目と、任意とする項目があります。ひと目で入力すべき項目が理解できるようにしましょう。
個人情報保護方針の記載がない
近年個人情報に対する意識が高まっているとともに、法的な義務付けとして、「個人情報保護」に関する方針を記載するサイトが増えています。ユーザーは個人情報を入力することで、しつこい営業が来るのではないかという不安を持つとともに、個人情報の扱われ方、漏洩のリスクを感じています。ユーザーの抵抗を少しでも軽減するために、個人情報保護方針は確実に記載しましょう。
スマホ対応していない
BtoBビジネスのホワイトペーパーであっても、Webサイトを見たりダウンロードするユーザーの過半数はスマホを使っている場合も考えられるので、スマホ対応できるようにしておきましょう。
スマホ対応していないフォームは、入力欄が非常に小さく表示されたり、入力方法の指定やエラーメッセージが見えにくかったりするなど、非常に使い勝手が悪くなり、スムーズなダウンロードへの導線において弊害になりやすいポイントです。
ホワイトペーパーの内容の改善や新規作成はできているか
ここまで、ホワイトペーパーをダウンロードする前の段階における改善点について解説しました。ダウンロード前の段階も大切ですが、ホワイトペーパーの内容自体も大切です。
原因:コンテンツ自体に課題がある
ダウンロード数が増えても、想定していた反応や問い合わせがない場合、ホワイトペーパーのコンテンツ自体の見直しも必要です。ホワイトペーパーの内容に納得できず、関心が向けられない場合、その企業への信頼はほぼ皆無といっても過言ではありません。
また、情報の質と同時に、読みやすさもユーザーの印象を変えますので注意しましょう。
改善:コンテンツの見直しを行う
ホワイトペーパーはユーザーがダウンロードした際に、情報が古いと思われてしまっては効果がありません。ホワイトペーパー内に掲載している調査結果などは、常に最新のデータにしておきましょう。
ホワイトペーパーを製作した後で、「自社が行ったイベントやセミナーでのアンケート結果」や「業務でのヒアリングシートの内容から見えた情報」「成功事例」などの新たな情報や知見が得られたら、コンテンツに随時反映します。
また、ホワイトペーパーをダウンロードしてくれたユーザーからフィードバックをもらってブラッシュアップする方法も効果的です。役立った情報や、もっと知りたい情報をさらに充実させる、不要だった内容を削除するなど、ユーザーのニーズを反映させましょう。
最終的な目標として、ユーザーに、ホワイトペーパーの情報が役立つと思ってもらうだけでなく、自社に信頼感も持ってもらえるコンテンツが理想です。
もしホワイトペーパーのコンテンツが良質で、役立つ情報が得られたとユーザーが感じたのであれば、ダウンロードしたユーザーがSNSなどで紹介や拡散をしてくれるケースも考えられるので、ホワイトペーパーのコンテンツ制作にも力をいれましょう。
改善:新しいホワイトペーパーを作成する
自社の見込み客となりうるユーザーが、「どのような情報を欲しがっているのか」を調査します。まずは自社内で該当する情報を探しましょう。
- ユーザーにとって役立つ情報はあるか
- 社内のノウハウをどの程度公開していいのか
- 各部門で顧客から多く受ける質問や、需要の高い項目はあるか
社内でのヒアリングだけでも、多くのヒントが得られるはずです。
また、すでに社内にある資料を、ホワイトペーパーに活用することもできます。代表的な資料には以下のようなものがあります。
- 自社サービスの媒体資料・カタログ・企画書
- 導入事例・成功事例
- アンケート調査
- ガイドブック
- セミナー資料
これらを客観的な視点からわかりやすくまとめ、見込み客向けのホワイトペーパーに編集しましょう。
さらにコンテンツ制作時において、「タイトル」や「見出し」を適切な文言に変えたり、文字の大きさを変えたりするだけでも、見た目や読みやすさは変わります。また、図やインフォグラフィックを併用することで、直感的な理解がしやすくなるとともに、デザイン性も上がることでしょう。
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ホワイトペーパー自体に対する認知度はどうか
ホワイトペーパーのダウンロードを促す方法について説明してきましたが、そもそもホワイトペーパーを配布しているページにたどり着いてもらわなければ、ダウンロードもしてもらえません。認知度を上げるための施策も行う必要があります。
原因:そもそもホワイトペーパー自体の認知度不足している
ホワイトペーパーの魅力を上げてダウンロードされる確率を上げることは大切です。しかし、より多くの人の目にホワイトペーパーを触れさせて分母となる人数を増やす、つまり認知度を上げる点も考えなければなりません。
ホワイトペーパー自体は、ダウンロードしなければ閲覧できません。そのため、内容はクローラーにも伝わらず、SEOにもあまり影響しません。つまり、ホワイトペーパーの中身を充実させても、検索順位を上げることは難しく、検索で直接ダウンロードページにアクセスするユーザーは多くありません。
改善:ダウンロードページヘの内部からの流入経路を増やす
まずは、ホワイトペーパーのダウンロードページヘの流入経路がどこか、どれくらいのユーザーがアクセスしているか、サイトの現状を調査します。そして、流入経路の数とアクセス人数、両方を増やす施策を検討してください。
またホワイトペーパーを配布するページで設置されることが多い「コーポレートサイト」や「サービスサイト」で、ダウンロードページへの導線を意識して設計する方法もいいでしょう。例えば以下のような方法があります。
- 自社サイト内に「資料一覧ページ」といったメニューを設置する
- ホップアップツールを使って、自社サイトを訪れたユーザーにホワイトペーパーを紹介する
- チャットツールを使って、質問や離脱に合わせてホワイトペーパーを紹介する
改善:ダウンロードページヘの外部からの流入経路を増やす
ホワイトペーパーの目的は、自社の商品やサービスを知らない段階のユーザー、つまり見込み客を獲得することです。そこで、より広いユーザーに流入してもらうために、外部からの流入も増やす必要があります。主な方法として次のようなものがあります。
- SNSで拡散する
- 広告を出稿してダウンロードページをランディングページとする
- メールマガジンに掲載する
- プレスリリースを出す
ただし、流入元となる内容と、実際のホワイトペーパーのコンテンツ、ダウンロードページの情報に相違があってはなりません。
ユーザーが外部から流入してきたとしても、そのページが思っていた内容でなければ簡単に離脱します。ホワイトペーパーのコンテンツ内容に沿った情報を掲示しましょう。
【BtoB】ホワイトペーパーのマーケティング事例7選!サンプル事例ご紹介
ホワイトペーパーを掲載できるメディア7選
近年、ホワイトペーパー専門のダウンロードサイトを利用する企業も多くなってきました。ここでは、ホワイトペーパーを掲載・配信できるWebサイトを紹介します。ダウンロードサイトが持っている集客力を利用できる点がメリットです。
ただし、ほとんどのサイトでは、ホワイトペーパーがダウンロードされリード情報が獲得できた数によって利用料金が発生しますので確認してください。
ホワイトペーパー ダウンロードセンター
ホワイトペーパーダウンロードセンターは、IT製品資料・技術資料に特化したメディアです。インフラやネットワーク管理から、クラウドやセキュリティ関連、会計システムまで、IT分野の幅広い資料が掲載されています。
分野が限定されるので、明確な課題を持ったユーザーが、その課題についての解説や、解決できるツールなどを探しにくるWebサイトです。そのため、自社の商品やサービスの認知度が低くても見つけてもらいやすくなります。
メディアレーダー
メディアレーダーは特にマーケティングやプロモーション分野に強い、国内最大級のホワイトペーパーダウンロードサイトです。オンライン広告メディアや、SNSの活用方法の事例といった、集客のヒントになる資料が非常に多く掲載されています。また、効果測定やCRMといったデジタルマーケティングを支援するツールの資料も豊富です。
メールマガジンの配信も積極的に行われているので、メディアレーダーに掲載することで、情報を収集しているユーザーの目にとまりやすくなります。
日経クロステック Active
日経クロステック Active(ニッケイ・クロステック・アクティブ)
日経クロステック Activeは、日本経済新聞社グループの日経BPが運営するメディアです。名前の通りデジタルテクノロジー関連分野を中心に扱っています。デジタルテクノロジー関連に加えて、各分野のトレンドやニュースの話題も豊富に扱い、経営視点で考えているのが特徴です。
読み物としても面白く役立つメディアなので、積極的にホワイトペーパーを探しているわけではないユーザーの割合も多くなっています。そのため、幅広い潜在顧客を獲得できる可能性があります。
selectbox
selectboxは、企業から配信される情報であるプレスリリースや、ホワイトペーパーが掲載されているメディアです。企業がマーケットを分析しレポートするトレンド情報や、各社の商品やサービスの活用事例を多くチェックできます。
自社のツールの紹介だけでなく、業界動向レポートを製作できるのであれば、利用を検討したいメディアです。
マーケメディア
マーケメディアは、名前の通りマーケティング領域に特化したメディアです。マーケティングに関する資料や広告媒体についての資料・情報が豊富に掲載されています。
販売促進のための資料だけでなく、SEOやWebサイト分析・データ分析についての資料も多く、ECやローカルビジネス分野のホワイトペーパーもカテゴリとして管理されています。自社の商品やサービスの領域が合っていれば、効果的に利用できるメディアでしょう。
LISKULダウンロード
LISKULダウンロードは、LISKULが運営するオウンドメディアに、自社のホワイトペーパー情報を掲載するためのサービスです。会員登録すると、オウンドメディア「LISKUL」の読者にアプローチできるほか、LISKULのドメインパワーを利用し、ホワイトペーパーの紹介ページのSEO効果を体感できます。
1サービスにつき1資料は無料で掲載できるのも特徴です。自社サイトで効果の上がったホワイトペーパーがあれば、まず試してみるのもおすすめです。
製品ナビ
製品ナビが掲載しているのは、名前の通り「製品」に関する資料です。広告媒体やマーケティング手法などの資料はなく、いわゆるハードウェアや機械、部品の情報に特化しています。
BtoB製造業企業のインターネット活用はまだそれほど盛んとは言えない状態です。いち早くホワイトペーパーを活用したり、製品ナビのような外部サイトを利用したりといった手法によって、競合との差別化が図れます。
ホワイトペーパーのダウンロード数を増やす方法のまとめ
ホワイトペーパーは見込み客や潜在顧客を探す手法として活用が広がってきました。特にBtoB企業にとって、顧客との信頼関係を結びリード育成を行うのに効果的な方法として、コンテンツマーケティングと同じくらい重要な役割を担っています。
しかし、ホワイトペーパーを製作したものの、上手に活用できていない企業も非常に多く見られます。また、ホワイトペーパーの製作コンセプトの策定や、自社内の情報を上手に吸い上げるホワイトペーパーを作ることに苦労している企業もいらっしゃいます。
ホワイトペーパーは自社内に眠っている情報やノウハウを活用できるマーケティング手法です。コツさえ掴めばコストをかけずに顧客獲得につなげられます。この記事で紹介したポイントを中心に見直して、ホワイトペーパーのダウンロード数を増やせるよう改善してみてください。
なお、ホワイトペーパーを活用したマーケティングを始めるうえで、もしサポートが必要でしたら、ぜひ一度ニュートラルワークスにご相談ください。
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