ECサイト

最終更新日: 2024.03.31

【超重要】ECサイトでリピート率を伸ばす方法とは?計算方法や平均リピート率も解説

【超重要】ECサイトでリピート率を伸ばす方法とは?計算方法や平均リピート率も解説

ECサイトのリピート率について、下記のような疑問を抱く方は少なくありません。

  • ECサイトの平均リピート率はどれくらい?
  • リピート率を改善してもっと売上を上げたい
  • ECサイトのリピート率を改善するには何をすればいい?

ECサイトでは自社の商品やサービスを購入してもらうだけでなく、その後のリピートにつなげることが重要です。

しかしリピート率は何かしらの対策をしなければ当然上がることはなく、売上も同様に上がりません。「自社サイトのリピート率が落ちている」あるいは「一回きりの購入で終わっている」のであれば、顧客へのフォローや施策が不十分などの理由が考えられます。

そこでこの記事では、ECサイトにおけるリピート顧客の重要性、リピート率を伸ばす方法、成功事例を紹介します。この記事を読めば、ECサイトの課題や売上を伸ばすための具体的な施策が分かり、今以上に売上アップが期待できるようになるでしょう。

三木 五月

監修者

Twitter:@satsuki_miki
神奈川県の湘南でデジタルマーケティングの会社を経営しています。湘南をシリコンバレーのようにしたく、社員一丸で突っ走っています! 座右の銘は「好きこそものの上手なれ」。成熟した文化、自然豊かな湘南で一緒に働いてくれる仲間を絶賛募集中です。フルリモートOKです。詳しくは採用ページをご覧ください。

QUERYY(クエリー)編集部

執筆者

株式会社ニュートラルワークス

QUERYY(クエリー)編集部

QUERYY(クエリー)は、株式会社ニュートラルワークスが運営するデジタルマーケティング情報メディアです。

目次

ECサイトにおけるリピート客の重要性

ECサイトにおけるリピート客の重要性

ECサイトを運営し始めた当初は、すべてのユーザーが新規顧客です。そのためリピーターのことを考える余裕も視点もないかもしれません。しかしECサイトの売上を積み増し、利益を増やすためには、新規購入者をリピーターに育てることが重要です。

パレートの法則では、2割の要素が全体の8割を生み出すと言います。ECサイトにおいても、購入者の中に占める人数として2割のリピーターが、売上の8割を生み出すと言われています。また、リピーターは利益率が高いため、売上以上に利益の向上につながります。

1.利益が上がりやすい

リピーターが増えたときの最大の効果は、利益が上がりやすくなることです。ECサイトの目的は利益を大きくすることなので、当然リピーターが重要になります。

一般に「5:25の法則」と言われているものがあります。「離脱客を5%取り戻せば、粗利率が25%改善される」という意味で、これはECサイトにも当てはまります。

過去に利用したことがあるが、その後リピート購入をしなくなった顧客に再度購入してもらえば、利益率が大きく向上します。

新規顧客を開拓するのに比べると、リピート対策は人件費や広告コストが低く済みます。すでに購入してもらったときの情報があるため、リピートしなくなった原因を探してアプローチすればいいのです。

ECサイトからお客様が離脱するには、以下のような理由が考えられます。

  • 商品の効果が十分に感じられなかった
  • 単に忘れていた
  • 初回割引購入に惹かれたが定価は高いと感じている

これらはアフターフォローとしても機能するので、一方的な広告や売り込みよりも顧客にも受け入れてもらいやすいでしょう。

一度購入してくれた顧客を囲い込み、リピートしてもらうことでその顧客から生まれる利益の総計が積み上がっていきます。顧客になる可能性のある人は無限ではないため、一人一人の顧客と長期間に渡る関係を築き、できる限り大きな利益を生んでくれるリピーターへと育てることが大切です。

2.新規顧客と比較して売上が上がりやすい

リピーターに購入してもらうためのコストは、新規顧客を開拓するよりも低い傾向にあります。一般に「1:5の法則」と言われており、新規顧客を獲得するのは既存顧客に追加購入してもらう、5倍のコストがかかるというものです。

ECサイトの顧客になってもらうためには、まずECサイトや取り扱っている商品を知ってもらう必要があります。そのために広告などを使い、費用をかけているでしょう。

商品を認知してもらった後も、すぐに購入してもらえるわけではありません。無料サンプルを渡したり、メールマガジンで商品説明などを行なったりする必要があります。

さらに商品やECサイトの使い方に関する問い合わせに答えてアプローチを続けることで、ようやく購入に至ります。一見、手間が多いように感じますが、新規購入施策に比べるとリピート対策は広告コストや、関わる人件費が低くすみます。

お客様はすでに商品のことを知っていて、ECサイトの使い方もわかっています。購入者を追いかけて、再度購入してもらうためのアプローチを行えばいいため効率的です。

3.リピート客の声をそのまま宣伝に活用できる

リピート客の声はそのままECサイトの宣伝に活用できます。リピーターの多くは、その商品を気に入って購入し続けてくれている人たちです。

リピーターが増えれば、その商品に関する好意的なレビューや口コミも増えることが期待できます。良いレビューや口コミは、そのまま次の新規購入者を獲得するための宣伝として機能するため、リピーターが新規顧客を呼び寄せる効果も生まれます。

特に家電や衣類の分野では効果が大きいです。EC関連のWEBメディア「ECのミカタ」のインターネット調査によると、カスタマーレビューや口コミを参考にして購入する商品を決めている人は60%を超えています

購入時にネットショップでカスタマーレビューを見た商品で最も多い分野は、男性は家電製品が61.0%、女性は衣類が60.5%でした。家電は写真だけでは機能が分かりにくく、カタログのスペックを見ても使い勝手が伝わりにくいためでしょう。衣類も実際に着たときの肌触りや着心地、洗濯のしやすさなどは分かりにくいため、実際の感想が参考になります。

その他の分野でもレビューや口コミは有効という結果も出ています。どのような時にレビューや口コミを参考にするかの調査結果は、「商品によっては参考にする」が52%、「毎回参考にする」が37.8%でした。

また、商品の金額でも同様の結果が出ています。「ネットショップで商品を購入する際に、レビューを見て購入の検討をしようと思う金額をお答えください」というアンケート項目の最多の回答は、男性も女性も「1,000円未満」でした。1,000円未満でも男性は27.5%が、女性は36.5%がレビューや口コミを参考にすると答えています。比較的安い商品でもレビューや口コミは重要なのです。

4.プロモーションへの投資が可能となる

リピーターを多く獲得できると、売上の創出や利益の増加だけでなく、その影響力は新規顧客の開拓にも及びます。リピーターは安定した売上と高い利益率を生むため、そこで生まれた余裕と資金によって、新規顧客を獲得するためのプロモーションに費用をかけられるためです。

新規顧客からリピーターを多く育成すると、さらに次の新規顧客の獲得費用を拡大できます。そこからまたリピーターが育成される好循環を生み、ECサイトを急成長させられます。

また、リピーターと長期的な関係性を維持するほどLTVは高くなります。LTVとは、Life Time Value(ライフタイムバリュー)のこと。日本語では「顧客生涯価値」とも言われ、1人の顧客から生涯に渡り得られる利益を指します。

市場や人口が増えていく状況であれば、新規顧客を開拓し続けることで、売上を伸ばし続けられます。しかし現代の日本のように市場規模の拡大に限度がある場合、または競合が多い分野では、新規顧客を獲得するのは難しくそもそも潜在顧客が増えません。そのため、それぞれの顧客と生涯に渡って取引を続け、利益を得る必要があるのです。

リピーターを増やすことの重要性については、下記の記事も参考にしてみてください。
参考:リピーターを増やすことの重要性とその方法を徹底解説!|アクシグ

自社ECサイトのリピート率が伸び悩む理由とは?

自社ECサイトのリピート率が伸び悩む理由とは?

ECサイトのリピート率が伸びない理由はさまざまです。扱っている商品ごとに特徴があり、ボトルネックになっている点もECサイトごとに違います。ここでは、広く一般のECサイトで共通して見られる、リピート率が伸び悩む理由を2つ紹介します。

ユーザーが商品を忘れてしまうから

1つ目の理由は、ユーザーが自社のECサイトや商品を忘れてしまうためです。インターネット上には、ECサイトが無数にあります。

ECサイトの運営者側から見れば競合ですが、ユーザーにとっては関係ありません。「この商品を前回、どこで買ったかわからなくなった」というケースが考えられるほか、「検索しても同じECサイトが見つからない」といった経験を多くの人がしているでしょう。

これらを防ぐためには、顧客となってくれた人との接触頻度を増やし、自社のECサイトや購入商品を忘れないでいてもらえる工夫が必要です。

例えば、メールマガジンやLINE公式アカウントを使ったメッセージの送付、ダイレクトメールやカタログなどオフラインでの接触が代表的です。

接触頻度が高まれば顧客はECサイトを忘れないだけでなく、親近感を抱きます。ただし、セールのお知らせやクーポンなど、売り込みや購入へ誘導するものばかり送らないように注意してください。顧客に嫌悪感を抱かれる可能性があります。

バイヤーズリモースが生じるから

2つ目の理由は、バイヤーズリモースが生じるからです。人は商品やサービスを購入した後に後悔や迷いが生じると言われ、これをバイヤーズリモースと呼びます。

「期待通りの商品なのか」「もっと他に良い商品があるのではないか」など、商品についての理解が浅い場合は特に、自分の判断が正しかったのかを考え直すのです。

また、バイヤーズリモースは高額な買い物をしたときほど起こりやすいと言われています。「購入をキャンセルしたい」「返品をしたい」ということではなく、不安な気持ちをただただ解消したい状態です。このようなバイヤーズリモースをなくすためには、顧客が購入後も「買って良かった」という気持ちでい続けてもらう必要があります。

例えば、以下の施策がバイヤーズリモースには有効です。

  • 商品や使用方法についての丁寧な説明
  • 商品が届いてすぐにアフターフォローの開始
  • 商品購入の理由や実際に使った感想のヒアリング

顧客が商品のことをしっかり理解し、納得して購入したものであればバイヤーズリモースは生じにくくなります。

顧客が商品を購入した納得感を得ることができ、バイヤーズリモースが解消できれば、ECサイトのリピート施策や商品改善のヒントも得られます。そのため顧客にECサイトや商品について、安心感を持ってもらえるようコミュニケーションを取りましょう。

ECサイトにおけるリピート率の計算方法

ECサイトにおけるリピート率の計算方法

ECサイトにおけるリピート率の計算は、以下の方法で算出されます。

リピート顧客数÷累計新規顧客数×100 

累計新規顧客数は、ECサイトを始めてから集まった全体の顧客数を指す言葉です。 特定の期間で、顧客の中にどれだけの割合でリピーターがいるのか把握できます。リピーターの数と顧客数の両方を把握しておかなければならないため、管理をしっかり行える体制を作っておくようにするといいでしょう。

市場の規模によって数値も変化しますが、現状を把握しているのとしていないのでは、今後の対策にも影響します。

【業界・業種別】ECサイトの平均リピート率

【業界・業種別】ECサイトの平均リピート率

ECサイトの平均リピート率は業界や業種ごとで異なるため、一般的なECサイトも含めた5つの業界別で平均リピート率を紹介します。平均リピート率を超えなければならないというわけではありませんが、リピート率が高いに越したことはありません。

参考サイト: 通販CRMラボ ECサイトの平均リピート率は?リピート率の計算方法などを合わせてご紹介

一般的なECサイトのリピート率は約30~40%

一般的に小売業界全体の、ECサイトの平均リピート率は約30〜40%となっています。この数値はあくまでも、リピート率を高めるためにユーザーの購入後のフォローを行っている店舗です。

フォローを行っていない店舗の平均リピート率は、15~18%と2倍近くの差があります。業界によって前後することもありますが、リピート率を高める仕組みが作られていないECサイトは、80%以上ものユーザー離れを引き起こしてしまうのです。

しかし、対策を取ることで3割から4割のリピーターを獲得できます。対策次第では4割以上のリピーターを獲得できるので、  ECサイトを運営するうえでリピーターの確保は欠かせません。

ファッションECサイトのリピート率は約35%

ファッション関連のECサイトのリピート率は、約35%とされています。ファッションは購入したユーザーが気に入ってくれれば継続して購入してもらえるようになるため、リピーターが生まれやすい業界でもあります。

またブランド力のあるECサイトでは、リピート率が50%近くになるケースもあることから、商品に一定の質が求められることになるでしょう。しかしファッション業界は競争率が激しいため、いかにユーザーが購入したくなる商品やサービスを提供できるかが集客や売上に直結します。

ECサイトにおいても競合との差別化を図り、ユーザーの興味をどれだけ引けるかがリピーターの獲得に大きな影響を与えるのです。そのため競合がどのような商品を扱い、サービスを提供しているのか調べておくことが大切です。

化粧品・健康食品ECサイトのリピート率は約50%

化粧品や健康食品を扱うECサイトのリピート率は約50%と、高い比率を持っています。化粧品や健康食品は消耗品であるため、日々の生活に必要なものとして人気の高い商品のひとつです。

これらの消耗品は、いかに商品を継続して購入してくれるリピーターを確保できるかが重要になってきます。送料無料サービスや定期購入などができる仕組みになっていることが多く、サービスを中断しない企業努力も必要となるでしょう。

定期購入をしているユーザーへのサービスを中断することになった場合、多くのユーザーの離反を起こしてしまう可能性もあります。リピーターを獲得するためにも、継続して商品を提供できる体制を維持し、向上させていく意思を持つことが重要です。

旅行サービスのリピート率は約45%

旅行サービスは化粧品や健康食品についで、約45%と高い値になっています。この平均値になるのは、ユーザーが新規登録や情報を入力するなどの手間を省きたいと考える傾向にあるからです。

旅行サービス系のECサイトは、2回目以降の利用がスピーディーに行えるよう工夫がされています。サイトによっては、ログイン情報を記録できたりパスコードで簡単にログインができたりさまざま。

しかしそのようなユーザーの傾向に頼るだけでは、高いリピート率は保てません。継続して利用することで得られるポイントや割引など、サービス面でユーザーに使い続けたいと思ってもらえる施策がリピーターの確保につながります。

PC・家電ECサイトのリピート率は約25%

PCや家電ECサイトの平均リピート率は約25%と、他のものに比べ低くなっています。そもそもPCや家電は、数年単位で買い換えるものなので、リピーターになりにくいのがほとんどです。

そのような特徴を持っていることから、 PCや家電では周辺機器の販促がリピーターの獲得につながります。たとえば、PCを購入したユーザーにはセキュリティソフトやマウス、USBなどを売ることでユーザー離れを回避することもできるでしょう。

実際に、周辺アイテムも多く扱う家電ECサイトのリピート率に絞ると、35%と高い結果が出ています。

ECサイトのリピート率を伸ばす方法

ここでは、実際にリピーターを育成する方法として使われている代表的な施策を見ていきましょう。ECサイトや商品、サービスの特性によって相性は異なりますが、運営しているECサイトに合っている方法なのかどうか検討すべき施策です。

メルマガ

ECサイトが顧客へアプローチする方法として最もポピュラーなのが、メールを使った施策でしょう。リピート率を伸ばすためだけでなく、顧客に寄り添ったコミュニケーションを取るために多くの会社が導入しています。

一般的には、商品購入時に登録するメールアドレスに、メールマガジンを定期配信する方法です。顧客によって求める情報も異なるので、それぞれに合わせた内容のものを送るようにするといいでしょう。

商品を購入したばかりのユーザーには、購入商品の使い方や情報を届けたり、他のユーザーの使用目的や用途などを紹介します。これは購入商品についてより深く知ってもらうと同時に、商品の良さをアピールすることが目的です。

また、家電を扱うのであればメンテナンス期間の情報、消耗品なら買い替えの時期、アパレルなら次の季節の商品などの情報が好まれます。つまりメルマガで追加購入の案内や、新商品の紹介を続けることでリピート率が高められます。顧客が購入した商品を気に入ってくれれば、メルマガの内容も売り込みだとは感じず、好印象を与えられるでしょう。

さらに、ECサイトにしばらくアクセスしていないユーザー(休眠顧客)にも、メールでアプローチできます。そのような顧客にメールを送るときは、商品の宣伝はできるだけ避け、取り扱っている商品分野の一般的な情報を届けることで、ECサイトのことを忘れさせないようにできるでしょう。加えて、長く商品を購入していない顧客に向けて割引率の高いクーポンを用意すると、リピートしてくれる可能性が高まります。

メルマガのメリット

メルマガのメリットは、第一にコストがほとんどかからないことです。チラシやDM(ダイレクトメール)では、印刷や配送にコストがかかります。実際にDMでははがきのような小さいものでも、デザイン費を含めて1枚あたり80円以上となってしまいます。

メルマガの場合は、顧客リストが大きくなればなるほど単価が低くなり、1枚あたり0.1円を切ることにもなります。そのため、頻繁に配信してもコストを心配する必要がありません。

また、メルマガでは内容を顧客ごとにパーソナライズすることが難しくない点も評価できるポイントです。お客様のお名前を使用することで身近に感じさせ、購入回数や最終購入日からの日数に合わせて、内容を必要な情報に変更することも可能です。

メルマガのデメリット

現状ではほとんどのECサイトやショッピングモール、Webメディアなど、どこの業界でもメルマガを配信しています。ユーザーには毎日数多くのメールが届くことになるため、開封されずに削除されてしまうということも少なくありません。そのためメールのタイトルでユーザーに興味を持ってもらうことが大切です。

しかしメルマガを開いても、ユーザーに必要のない情報だと思われれば、メールを読まなくなってしまいます。最悪の場合、ブロックやメルマガの解除なども考えられます。ユーザーから不要なものと思われないように、売り込みや商品紹介、割引情報などを送り続けるのではなく、読む価値があると思われる情報を送れるように工夫しましょう。

メルマガは柔軟に内容を変更できるので、基本的に全てのECサイトで活用すべき施策です。もちろんECサイトの性格、商品の特徴やイメージ、顧客に合わせた内容にする必要はありますが、いち早く情報が届けられる手段です。

チラシ・DM

紙媒体とも呼ばれるチラシとDMは、紙面に商品情報等の情報を印刷したものです。チラシと聞くと、ポスティングや新聞の折込チラシなどをイメージするかと思います。しかしリピート施策として扱われる際には、商品と同梱されるのが基本となるでしょう。

DMはダイレクトメールのことで、主に購入者に向けて郵送される紙媒体です。はがきサイズのものから、冊子のカタログ、封書で送るA3サイズのチラシまでさまざまなものがあります。

チラシ・DMのメリット

チラシ・DMのメリットは、顧客の目に入りやすく、手にとってもらいやすいことです。メルマガはタイトルしか見てもらえず、そのまま削除されてしまうこともあります。その点チラシやDMは、処分される前に一度目を通してもらいやすい傾向があります。

また興味のある内容であれば、保管してもらいやすい点も強みです。繰り返し購入が必要になる消耗品や、季節ごとに注文する必要のある商品などは、購入するタイミングで呼んでもらえるように、保管しやすいデザインになっているといいでしょう。

さらに、 FAX や電話などWeb以外のチャネルを紹介しやすいのも役立つポイントです。特にネットをあまり使わないような年齢層の高い顧客に効果的です。

チラシ・DMのデメリット

チラシ・DMのデメリットは、コストが高くなってしまうことです。紙媒体に印刷して郵送することになるので、メールマガジンになかった郵送費・デザイン費・印刷費がかかってしまいます。1通あたり100円と考えても、受注率や注文単価をできるだけ正確に予測して対象ユーザを絞らなければ、費用対効果がマイナスに転じてしまうでしょう。

チラシやDMは顧客へ積極的にアピールできる媒体であるものの、その分コストがかかってしまいます。そのため利益率が高い場合や、高い商品で使われることがほとんど。またサプリメントや化粧品などの定期購入が必要になるものや、アパレルなどの単価の高いものとマッチする施策だと言えます。

ポイント・クーポン

ポイントやクーポンを発行する方法も、リピート施策としてよく使われている手段です。

顧客が商品を購入する際に、購入数や購入額に応じたポイントが発行されます。それらのポイントを貯めることで金額に換算し、商品を購入できたり値引きを受けられたりする点は顧客にとって嬉しいポイント。

クーポンは次回の商品購入時に値引きや割引されたり、記念品がもらえたりする特典が受けられるのが基本です。新規顧客の獲得を目的として使われますが、同じ商品を再度買う際に使えるクーポンや、購入したことのない商品への興味を引くために使われます。

ポイント・クーポンのメリット

クーポンやポイントを使用することで得られるメリットを3つ紹介するので、目的に合わせて使い分けていきましょう。

1つ目のメリットは、リピート購入を誘発しやすい点です。初回購入時であっても次回の購入で役立つクーポンを送ることで、お得さをアピールできます。買い換える必要のある消耗品にもクーポンを使えれば、リピーターになってくれる可能性も高まるでしょう。

2つ目は、競合に乗り換える際のコストがかかる点です。ポイントは基本的にその EC サイトや対応店舗でしか使うことができません。そのため、顧客が他のECサイトに乗り換えを考える際に、「ポイントがもったいない」と感じることから、離脱を防ぎやすくなります。

最後に、クーポンやポイントの有効期限を設けることで、購入頻度をあげられることもメリットです。たとえば浄水器のフィルターは、交換するタイミングが来ても顧客が長く使い続ける傾向にあるため、期限があると有効です。

クーポン期限を設ける際は、一般的にどのタイミングで顧客が買い替えを行うのか分析するようにしましょう。そのタイミングを利用期限にすれば、顧客に「割引を逃さずに購入しよう」と考えてもらえるインセンティブにもなります。

ポイント・クーポンのデメリット

クーポンやポイントのデメリットは、商品を割引価格で販売することになるため、利益が下がってしまうことです。また、クーポンを多く発行しすぎると割引がない時には、商品を購入しない顧客も出てきてしまうでしょう。

そのためクーポンを施策に取り入れる時は、発行のし過ぎには注意し、割引率を高くしすぎないようにしてください。商品開発の時点で、商品の販売価格と割引する額を考えておくと、割引のし過ぎをなくせます。

ブログ・SNS

ブログやSNSもリピート率を高めるための方法として幅広く活用できます。大きな役割は「お客とコミュニケーションを取ること」と、「情報を発信すること」です。ECサイトのコンセプトや特徴を紹介したり、商品効果のイメージや詳しい情報を届けたりできます。

さらにブログやSEO施策の一環としてコンテンツの作成を続けていけば、顧客や見込み客などの幅広い段階のユーザーにアプローチできます。しかしひとつだけでは網羅しきれないので、顧客像をそれぞれの投稿で決めておくといいでしょう。それぞれがどのようなニーズを持ち、どういったキーワードで検索しているのかわかるようになれば、顧客ごとの段階に適したブログが届けられます。

ブログは商品紹介や認知度を高めるだけでなく、リピーターに対しても記事を作成することが大切です。購入した商品の使い方や、他のユーザーの活用方法、変わった使い方やアイデアなど、商品の良さをさらに伝える記事もリピート率向上につながります。

これはSNSも同様で、商品の紹介や効果をイメージさせることはもちろん、ブログ記事への誘導などが可能です。また、SNSでは顧客とコミュニケーションがすぐに取れます。加えて、自社の商品について書かれたSNSの投稿に積極的にコメントしたり、疑問に答えたりするなどの、サポートツールとしても活用可能です。

そのようなアクションは顧客により身近な存在に感じてもらえて、スピーディーな問題解決で信頼関係を築けるでしょう。顧客に親しみを持ってもらえれば、リピートされる可能性が高まります。

ブログ・SNSのメリット

ブログやSNSのメリットは、情報配信にほとんどコストがかからないことです。メールマガジンもコストが低いと紹介しましたが、メールを許可してくれている人にしか送れません。

その点ブログやSNSであれば自由に配信できるため、獲得コストをかけることなく、ECサイトや商品を知らないユーザーの目にも届く可能性があります。

また、ブログのコメント欄やSNSで顧客とコミュニケーションが取れるので、信頼度を高めることにもなるでしょう。ユーザー側からしても気軽に投稿やコメントもしやすいため、 電話やECサイトのお問い合わせなどよりも利用してもらえます。

ブログ・SNSのデメリット

デメリットとしては、売上につながっているのか分かりづらい部分と、定期的に更新を続けていかなければならない点です。

ブログは毎週1〜2記事は更新が必要と言われており、継続していくのも一苦労です。また、ブログやSNSでの売り込みは、ユーザーに好まれないことにもご注意ください。特にブログやSNSは、読み物としての楽しさも求められるので、顧客にとって役立つ情報であることが前提条件になります。

そのような特質から、ブログやSNSのおかげでリピート率が高まったと特定しにくくなってしまうのです。また多くの人に認知してもらうためには時間も必要となるので、更新が負担になってしまうような、無理な投稿はしないようにしましょう。

クロスセル・アップセルの活用

クロスセルとアップセルは、関連商品やユーザーの購入履歴などから商品を紹介したり勧めたりするレコメンド機能として活用されます。

クロスセルは商品をカートに入れた際や、お気に入り追加時に表示される関連商品のことで、ECモールの利用経験がある方は見たことがあるでしょう。アップセルは顧客の単価を上げる手段のひとつで、たとえばユーザーが商品を検索した際に関連商品の高価格なものが表示されるといったものです。

そのようなクロスセルとアップセルを導入することで、違うタイプのものや関連商品を紹介する機能がECサイトで多く使われています。関連商品を紹介するとともに、リピート率向上のマーケティング戦略としても重要な役割を持ちます。

クロスセル・アップセルのメリット

クロスセルとアップセルではユーザーが検索または、購入をした商品に関連するものを紹介できるので、さまざまな商品に興味を持ってもらえます。また上質で高額な商品を紹介するアップセルであれば、より顧客の単価を上昇させることも可能です。

また、おすすめされた商品やサービスを利用したユーザーに利益があれば、顧客満足度も上げられるため顧客ロイヤリティを高めることにつながります。ユーザーがこのようにレコメンド機能を活用することで、購入または調べた商品の関連商品を認知できることが、大きなメリットといえます。

このメリットを活かせば、購入頻度の低いPCや家電であっても、関連性のある周辺機器やアイテムを購入してもらいやすくなるでしょう。

クロスセル・アップセルのデメリット

クロスセルとアップセルには、デメリットになってしまうような点もあります。リコメンド機能は一見便利に見えますが、ユーザー側からすると押し売りに感じてしまうことも少なくありません。

そのため無理に購入を勧めるのではなく、あくまでも関連商品を活用することでユーザーに利益があることを伝えることが大切です。「押し売りをしようとしている」と思われてしまっては、ユーザーの購買意欲をそぐことになってしまいます。

全く関係のない商品を紹介したり、しつこさを感じさせる文言を使ったりしては、ユーザーに不満を与えかねないため、過度な宣伝は控えましょう。いかに押し売り感を出さずにおすすめの商品を紹介できるかが、重要なポイントです。

アプリの制作

ECサイトを運営している方で、商品の紹介以外にお役立ち情報やコラムなどを配信するコンテンツがある場合は、独自アプリの制作もおすすめです。たとえばスマホのプッシュ機能や位置情報機能を使って、地方に合わせた情報を届けるアプリなどです。

他にも会員カード代わりにできたり、ホーム画面から直接アクセスできたりするようなアプリがあれば、リピート率向上につなげられます。ECサイトをアプリ化しているような企業も増加傾向にあるので、商品購入や欲しい情報が簡単に手に入るような、独自のアプリを制作をしてみてはいかがでしょうか。

ユーザーの利便性を高めることも、「同じECサイトを使い続けたい」と感じさせる要因のひとつです。

アプリの制作のメリット

アプリを制作することで得られる最大のメリットは、前述したユーザーの利便性を高められるところです。利便性が高まればユーザビリティの向上にもつながるため、結果的にリピート購入へと至り、売上アップにもつながるでしょう。

また、ECサイトに直接アクセスするよりも、パーツが内蔵されているアプリのほうが通信の負荷も軽くなります。そういったことから操作も軽快になり、ECサイトと連携させることで販促に効果をもたらすのも強みのひとつです。

独自のアプリであれば、さらに企業ならではのアイデアを搭載できるため、ECサイトの利便性を高める一環としても役立つでしょう。

アプリ制作のデメリット

アプリ制作のデメリットは、コストがかかってしまうことにあります。アプリに費用をかけて開発をしたとしても、ユーザーがダウンロードをしてくれなければ、ビジネスとしての効果もあげられません。

ユーザーの心理からしても、よく知らないアプリをダウンロードしたいとは思わないため、ある程度の信頼が必要になります。そのため、ユーザーに店舗のことを知ってもらうことはもちろん、アプリを使うメリットや利便性を認識してもらうことが肝心です。

加えて制作したアプリは、OSごとでアップデートを行わなければなりません。アプリ配信後の管理も必要となるので 、開発や管理の費用だけでなく時間的なコストがかかることも忘れずに覚えておきましょう。

リピート客を掴むコミュニケーション方法

新規顧客にリピートしてもらうためには、商品だけでなくECサイトを好きになってもらうことも重要です。そのためには、ユーザー満足度を高めることが何より大切。

満足度を高めるための改善は一朝一夕でできることではなく、地道な努力の積み重ねです。商品の質を高めて、ECサイトの使いやすさを向上させていきます。

そういった基礎となる部分に加えて、ユーザーとのコミュニケーションによってもリピート顧客を育てていくことができます。鍵となるのは、サプライズとパーソナライズです。

ちょっとしたことでも期待以上のサービスだと感じたり、自分のために用意してくれたと感じられると、お客様の満足度は大きく上がります。

ここでは、リピート客を掴むコミュニケーション方法を5つ紹介します。

手書きの手紙

一つ目の方法は、手書きの手紙を送ることです。

購入してもらった商品を配送するタイミングは、ECサイトが顧客とコミュニケーションを取る最も大きなチャンス。注文前にはECサイト上で、商品配送後にはメルマガなどアプローチはできますが、本当に届いているかはわかりません。ただし、商品を受け取るタイミングだけは確実にコミュニケーションが取れます。ここで上手にサプライズを仕掛けておきたいものです。

手書きの手紙は、その代表例です。施策の内容はシンプル、ECサイトのスタッフの手書きの手紙を商品に同梱してお届けするものです。

手紙のメリット

手書きの手紙のメリットは、ECサイトへ親近感を持ってもらえることと、商品の製造やECサイトの運営を丁寧に行なっていると理解してもらえることです。

ECサイトは無機質なものというイメージがあるところに、手書きの手紙が同封されていると親近感が生まれます。店員とのちょっとしたコミュニケーションが取れると、実店舗で買い物をしたときのような気分にもなってもらえるでしょう。

また、手書きであることから個性や手間が感じられます。お礼のメッセージを印刷したカードを同封しても、伝えられる内容は同じかもしれません。しかし、あえて手間をかける丁寧な運営であると感じてもらえます。

手紙のデメリット

手紙のデメリットは、手間がかかることです。手書きの手紙を用意するのには、何も新しい設備はいりませんが、単純に時間がかかります。スタッフの負担が増えれば、手が回らなくなるでしょう。もっと優先すべき施策や作業があるならば、省かざるを得ないことでもあります。

手書きの手紙は、温かみや手作り感を感じてもらいたい商品との相性が良い施策です。有機栽培の野菜や手作りのアパレルなど、生産者が見える商品ではぜひ活用したい方法です。

また、ECサイトと顧客が強い関係性を築くために有効なので、長期間使い続けることを期待される商品にも合います。自然派化粧品やサプリメントなど、リピート性の高い商品にも活用できます。

一方で、大量生産大量消費のイメージの既存品には合わないでしょう。薄利多売の商品やECサイトでも、コスト面から実施は難しいと考えられます。

御礼のサンクスメール

顧客へ御礼のサンクスメールを送ることも有効です。

手書きの手紙は無理でも、購入後のご挨拶は行うべきです。ECサイトからお客様に送るメールには、最低限でも注文確認や発送のお知らせがあります。その後、商品が届いた頃や、商品を使い始めた頃を見計らって送るのが、御礼のサンクスメールです。

送る内容は購入のお礼だけではありません。配送状態や梱包に問題はなかったか、商品を使ってみた感想や困ったことはないかなど、アフタフォローを開始しましょう。

また、レビューや口コミの投稿をお願いしたり、そのお礼として次回使える割引クーポンを提示したりすることも可能です。

メリット

御礼のサンクスメールを送ることで、リピート施策の第一歩を作れ、そこから複数のメリットが生まれます。まずアフターフォローを開始できること。顧客がECサイトや商品を忘れてしまうのを防ぎます。

また、商品を気に入ってくれていたら、好意的なレビューや口コミを書いてもらうチャンスも作れます。さらに、商品や配送に不満があったり、商品の使い方がわからなかったりする場合に、先回りして問題を解決することで大きなクレームになるのを防げます。

デメリット

御礼のサンクスメールには、大きなデメリットはありません。利用したECサイトからメールが配信されてくるのには顧客側も慣れていますので、迷惑と感じる人も少ないでしょう。注文管理システムを使えば、商品発送後に自動的にメールが配信されるように設定できるので、追加の手間もほとんど発生しません。

導入しやすくメリットも多いので、すべての商品や業種で行うべき施策と言えます。

メールの内容にだけ注意すれば、すぐに取り入れることができます。ECサイト側からの押し付けになってしまったり、他の商品やリピートの売り込みが強すぎないようにしましょう。

顧客に合わせた情報配信

顧客に合わせた情報配信も有効な手段の一つです。

実店舗でもECサイトでも、自分のために用意された商品やサービスだと感じると、顧客の満足度は非常に向上します。自分の趣味や好みに合った品揃えのお店と感じることが入り口かもしれません。さらに、もう一歩関係性を深められれば、リピーターになってもらいやすくなります。

その鍵が顧客に合わせた情報配信。Amazonなどのショッピングモールでは、「この商品を購入した人はこの商品も好きかもしれない」という表示を頻繁に提示します。顧客の行動を手掛かりに、好みを推測して情報を配信しているのです。

顧客に合わせるのは商品選びだけではありません。

  • 購入した商品の使い勝手が分かった頃に、同じジャンルの商品を勧める
  • 使い終わる頃や、買い替えの時期に案内を送る
  • プレゼント用の商品には同様のイベント時や記念日に別の商品を紹介する

顧客が「このECサイトは自分のことを分かってくれてる」と感じられれば成功です。

メリット

この施策が成功すると、顧客と非常に強い関係性を作れるというメリットがあります。顔見知りの店員さんがいる実店舗のような、いわゆる馴染みのお店という位置付けになれるため、リピーターやヘビーユーザーになってもらえます。

デメリット

デメリットは実行が難しいことです。商品面やデータ活用面、その両面で難しさがあります。好みに合った商品をおすすめするにも、商品数が少ないECサイトでは、なかなか該当商品が出てきません。

また、データ解析の仕方がうまくいかなければ、顧客の好みに合っていない商品をおすすめしてしまい、そうなると逆効果。買い替えの時期などをお知らせする場合も同様です。顧客の購入履歴と商品の特性や性質を正しく把握していなければ、効果的なタイミングでのお知らせはできません。

データベースマーケティングの領域になるため、顧客情報を管理して活用するシステムの導入が必要で、コストも人材も必要な施策とも言えます。

しかし、実施したほうが良い商材や分野はたくさんあります。特定のジャンルに特化した商品を扱っているECサイトや、個性的な商品選びを売りにしているECサイトならば、趣味の方向性が把握しやすい顧客が集まるでしょう。商品をカテゴリー分けして、ある商品を買った人に同じカテゴリーの他の商品を紹介するだけなら、手作業でも可能です。

消耗品を扱うECサイトならば、それぞれの商品の使用期間を把握しておき、商品Aの購入者には2ヶ月後に、商品Bの購入者には2ヶ月後にお知らせを送る、というルールを作るだけでも始められます。これなら特別なシステムがなくても実行できます。

まずは、顧客ごとに合わせたパーソナライズできる部分がないかを考える、購入頻度の高い顧客の履歴を見ておすすめしたいものがないか探すところから始めましょう。

VIP会員限定の特別サービス

会員ランクを設定するのもリピーター育成の施策として有効です。楽天などのショッピングモールでは、購入頻度や購入金額によって、一般会員からゴールド会員などとランクアップしていきます。

そのようなVIP会員になると、商品購入時に得られるポイントが増えたり、VIP会員だけがアクセスできるセール商品が買えたりするようになります。

また、以下のような内容も特別サービスとして一般的です。

  • リピート回数ごとに割引率が上がっていく
  • 継続購入していると定期的にプレゼントがある
  • 誕生日などの特別なイベントの際にプレゼントがある

商品やサービスに合わせて内容を検討するといいでしょう。

メリット

メリットは、VIP会員限定の特別サービスを用意することで、顧客のロイヤリティをあげられることです。購入時に得られるポイントが多くなったり、次のイベント時にプレゼントがもらえるならば、そのランクを維持しようと考えるユーザーが増えます。

また、そのために競合となるECサイトや商品の購入をやめて、一箇所に集中して利用するようになる傾向もあります。リピーターをより強固に囲い込めるようになるのです。ゲームのようにECサイト内でのランクを上げることを楽しむ人もいますし、VIP会員であるというステータスを楽しむ人もいます。

デメリット

デメリットは、開発費用や運営費用が大きくなることです。

先程のデーターベースマーケティングと同じく、大規模に行うにはツールの導入が必要になります。ECサイト内で顧客のランクを表示したり、次のランクまでの条件を提示するのもシステムの改修がいるでしょう。

VIP会員限定の特別サービスは、商品数の多い大規模なECサイトや、リピート性の高い固定客の多いECサイトほど効果が上がります。リピーターの囲い込みのために導入を検討すべきです。

ただし、小規模なECサイトでも行える部分もあります。たとえば、「5回目の購入時に、それをお知らせするメッセージとともにプレゼントを同梱する」「複数回購入している人だけに、特別なセールをご案内する」などの施策は手作業でもできます。まずはできることから試してみるのもいいでしょう。

リターゲティング広告

リターゲティング広告はオンライン広告の一種です。過去に自社のECサイトなどを訪れたことのあるユーザーだけに対して、設定した広告をの配信ができます。

ECサイトを訪れた人の多数は、商品を購入せずに離脱することが多いです。しかし、ECサイトや商品についての購入を迷っている段階とも言えます。そのような人に対してリターゲティング広告を配信し、ECサイト訪問や商品の購入を促せます。

また、リピーターに対してもリターゲティング広告を配信できますが、リピーターの場合は広告の役割が少し異なるものも設定可能です。購入してからしばらくECサイトを訪れていない人を想定して、リターゲティング広告を配信するのです。30日以上ECサイトを訪れていないユーザーだけを掘り起こすといったことが可能です。

メリット

リターゲティング広告のメリットは、顧客を迎えにいける点です。購入者であればメールアドレスを把握していることが多いので、メールでアプローチすることも可能です。しかしメールは見逃されることもあれば、タイトルだけ見て開封されないこともあります。

一般的に、ECサイトからのメルマガを顧客が読むのは20%程度と言われています。リターゲティング広告で、その点を解消できるかもしれません。インターネットを使っている間に、自然と目に入ってくることが多い広告だからです。

商品購入後にしばらくECサイトにアクセスしていない人とはいえ、理由はさまざまです。商品に不満があってもう買わないと決めている人ばかりではありません。単にリピート購入を忘れている人もいるでしょう。商品の効果を思い出して、また購入を検討してくれる人もいるはず。新規顧客を認知段階から開拓するよりは、休眠顧客を掘り起こす方が効率的です。

デメリット

デメリットは、広告配信の効率化が難しい点と、反感を買いかねない点です。

リターゲティング広告は慣れていないと配信設定が難しい面があります。設定次第では、ECサイトを訪問したが購入する意思がない人や、まだ購入したばかりで特に広告を配信する必要のない人なども含んでしまい、無駄なコストがかかってしまうこともあります。

また、配信頻度が多くなりすぎて、どこのWebサービスを開いても頻繁に同じ広告が表示されるという状態になってしまうこともあります。あまりに過剰なアプローチは、マイナスなイメージを持たれてしまい、リピーターになってくれないかもしれません。

リターゲティング広告はメルマガ配信よりもコストは高くなります。特に、広告費が発生しても購入に至らないこともありますので、コスト管理には気をつけなければなりません。しかし広告費を吸収できる利益率や客単価のある商品であれば、効果は比較的高いので相性が良いと言えるでしょう。

ECサイトのリピート率改善のポイント4つ

ECサイトのリピート率改善のポイント4つ

EC サイトのリピート率を改善するための、4つのポイントを紹介します。

リピート率を維持することはもちろん、向上させるためにも必要なので、最低でも今回紹介する4つのポイントは押さえて対策を取るようにしましょう。

1.アフターフォローの徹底

商品を購入してくれた顧客のリピート率を高めるためには、商品購入後のアフターフォローがもっとも重要なポイントです。一度購入を行なったからとはいえ、必ずしも二度目の購入をしてくれるとは限らないため、ユーザーとの接触回数を増やすことが大切です。

たとえば決められた順番や定期的に情報を送る「ステップメール」や、購入した商品の使用感や状態などを確認する「フォローメール」を送るなどです。またリピート購入がしやすいランディングページを活用すれば、顧客の離脱を防ぎやすくなるでしょう。

このように商品購入後も、フォローしたり関連性のある商品やその他の商品についての情報を届けたりすることで、リピート率を高めます。

2.CRMの活用

CRMの活用もECサイトのリピート率の改善に有効な方法です。CRMとは顧客情報を管理するツールのことで、顧客情報の分析から精査、業務の効率化などが行えます。

顧客の情報や購入履歴を集約して分析するためには、ひとりひとりに適切なサービスを提供することが必要です。そこでCRMを活用すれば、ECサイトの情報をもとに顧客の氏名や年齢性別、購買実績などの情報を簡単に集められるようになるでしょう。

どの程度の顧客情報を得られるかはユーザーが登録する情報によって決まりますが、会員登録をしてもらうことで必要な情報が集められます。会社規模が大きいほど顧客情報が多くなってくるので、顧客管理をスムーズにするための方法としてCRMは最適です。

CRM導入のメリット・デメリットとは?MA、SFAとの違いも解説 CRM導入のメリット・デメリットとは?MA、SFAとの違いも解説 1990年代から国内で普及しはじめたCRMですが、今でも重要なマーケティング手法として知られています。そもそもCRMとは何なのか、導入のメリット・デメリット、CRMツール選定時の注意点などを解説します。

3.顧客情報を元にした施策の実行

顧客情報を集めたら、それを元にした施策を実行していきます。ただデータを集めただけでは何もできないので、情報からどのような施策をすればいいのか改善に役立てることが大切です。

たとえばどの商品が売れているのか調べたり、どんな顧客がリピーターとなっているのか分析したりしていきましょう。その他にもリピートを生んでいる経路や、売れ筋が悪い商品などの情報も集めて改善策を考えます。

そのように分析結果をうまく活用していければ、顧客が求めていることに合わせた施策が実行できるようになるでしょう。顧客に商品やサービスを利用してもらうためにも、どのような特徴や傾向があるのか把握する必要があります。

4.サイト全体の改善

リピート率改善のためには、施策を実行するだけでなくサイト全体の導線を見直すことも重要です。ユーザー目線から使いにくさや分かりづらい部分がないか探し、課題となる原因を特定することから始めましょう。たとえば、購入までの導線を設計したり、見やすいデザインにしたり、離脱率の高いページの内容を修正したりなどです。

サイトの中にもアクセス数が多いページもあれば、人気のないページもあるので、何が違うのか比較するといいでしょう。どうしても原因が分からないなら、検索上位の競合サイトを調べて、どのような作りや内容になっているのか参考にしてみるのも一つの方法です。また定期的にサイトの更新を行っていると、一度訪れたユーザーも新しい情報を求めてアクセスするようになるでしょう。

リピート獲得に成功している企業のECサイト事例

ECサイトでリピートを獲得するには、ここまで紹介してきた内容を愚直に一つずつ実行することが重要です。前出の施策を参考に、運営しているECサイトや商品と相性の良い施策を、それぞれの実情に合わせてカスタマイズして実施していきましょう。

具体的な施策は、リピート獲得に成功している企業のECサイトを参考にするのがおすすめです。そこでここでは、リピート獲得に成功している企業のECサイト事例を5社紹介します。参考になる点を見つけたら、自社で運営するECサイトにも取り入れてみましょう。

澤井珈琲

澤井珈琲

澤井珈琲は、元々は脱サラしたご夫婦が営む鳥取の小規模なコーヒー屋さんだったそう。その後、息子さんが参加しインターネット通販をはじめ、年商20億円以上にまで成長しました。

その仕掛け人である澤井理憲さんは、澤井珈琲はユーザーにとって使いやすいECサイトを目指していると言います。綺麗さや高級感よりも、売れるサイト作りを優先しているとのこと。商品についても、「インスタントコーヒーよりは美味しいし、スタバより安い」という表現で位置付けを語ります。

質は良いけれどこだわりすぎない価格帯の商品でこれだけの売上にするには、リピーターの育成が欠かせません。澤井珈琲のリピート施策で最大の成果はメルマガです。

全ての購入者を対象にメルマガを配信しており、特徴はその配信数。ほぼ毎日、多くの日では複数回メルマガが届きます。その主な内容は、以下のように商品紹介よりもコーヒーに関する情報です。

  • コーヒーの美味しい淹れ方
  • コーヒー豆の解説
  • コーヒー用具の取り扱い方やお手入れの方法

この圧倒的なボリュームと熱量が、顧客の信頼を生んでいるのでしょう。いつしか顧客はお店のファンとなり、リピーターになります。

メルマガをたくさん送りすぎるのは迷惑だという意見もあります。実際に登録を解除してしまうユーザーも少なくないでしょう。しかし内容に共感し、ユニークで役に立つと感じれば、読み続けてくれます。

登録解除されない代わりにほとんど開封されないメルマガを月に2回だけ送るならば、自分たちの商品に対する愛情や知識を生かし、解除する人が多くても固定ファンを生めるメルマガを大量に配信する方が良い場合もあるのです。

個性的な商品を中心に扱っているECサイトや、取扱商品の情報を語るのが得意なスタッフが多い場合は、このスタイルも検討できるでしょう。

フェリシモ

フェリシモ

フェリシモはアパレルや雑貨を中心としたECサイトです。全体的にはシンプルさを保ちつつ、ナチュラルなアパレルや、少し個性的な雑貨が多いのが特徴です。

リピート施策として特徴的なのが、定期購入化とクロスセルです。定期購入というと一般的に、お茶などの飲食品や、化粧品などの消耗品が思い浮かびます。しかしフェリシモでは、アパレルや雑貨も定期購入を推奨しているのです。

アパレルといっても、上着など数がそれほど必要ないものに関しては、定期購入の対象ではありません。靴下やレギンスなどの消耗品に近いものや、日々着回すために1枚では足りなくなるものが、定期購入をすすめています。

雑貨も同様に、文具などの消耗品以外は定期購入のイメージはありません。しかしフェリシモでは、猫をモチーフにしたポーチや小物入れをシリーズ化するなどの方法で定期化しています。今月は茶トラ、来月はハチワレなど、毎月1つずつ届くのです。

もちろん気に入ったものを、一つだけ購入することも可能。それでも定期的に購入するリピーターも多く、高い利益率も達成しているそうです。

また、購入者には定期的に取扱商品を多く紹介する冊子型のカタログも郵送されます。コストもかかる施策ですが、多くの固定客、リピート率が維持できているから実現しているのでしょう。カタログで気になるものを見つけてもらい、また定期購入化を目指す流れを作っています。

ここ数年「サブスクリプション」という言葉が目立っています。元々は音楽や動画の配信といったデジタルデータ販売に使われる言葉でしたが、適用範囲は広がっています。従来の頒布会方式や定期購入と同じ意味で使われることも増えてきました。リピーターを増やすには非常に有効な手法です。

定期購入化は難しく感じられる商品ジャンルもありますが、シリーズ化などの工夫で導入できる余地はあります。商品開発の段階から可能性を探ってみましょう。

nosh

nosh

noshはいわゆる宅食を主な事業とする会社です。宅食の中でも、糖質制限を中心に健康志向であることを特徴にしています。もう一つの特徴が、一食ずつの個包装で冷凍して届けられることです。これにより、まとめて10食分などを届けられ、作る場所と届ける場所が離れていても良くなり、コストダウンに成功しています。

noshは、基本的には定期購入の形式を取っています。3週間に1度のペースで1回6食分から、毎週10食分まで選択できます。しかし利用期間の縛りもなく、解約はいつでもできます。リピーターを蓄積していくためには、継続利用してもらうことが重要になります。

そこでnoshが取っているのが会員ランク制です。最初の購入を定価として、累積20食購入すると以後は3%OFF、30食購入すると5%OFFと、リピート回数によって割引率が上がっていき、最終的には80食購入で12%OFFまで割引されます。

退会するとランクも最初に戻ってしまうので、リピーターが得する仕組みになっています。

また、一時的に購入をスキップする場合にはランクは維持されるので、無理やり購入させられている感覚にもならない仕組みです。退会していなければ、メールやSMSで再開のアプローチもできるので、nosh側にとってもメリットがあるのでしょう。

会員ランク制度やポイント制度は、リピーターを育てるのに有効です。ほとんどの商材や業種に応用できます。現在ではECサイトには必須の制度とも言えますので、ぜひ導入したいものです。

しかし、スタートさせた後で制度を変更するのは難しい面もあります。開始する際にしっかり検討して、リピーターが蓄積でき、顧客にとっても使いやすい制度を設計しなければなりません。

サントリーウエルネス

サントリーウエルネス

サントリーウエルネスは、主にシニア層をターゲットとした健康をテーマにしたECサイトです。サプリメントや健康食品、健康グッズなどを取り扱っています。

幅広い商品を取り揃えていますが、リピート施策の特徴はブログやメルマガで配信するコンテンツの幅広さ。コンテンツのテーマも健康、健康なアクティブシニアの生活や趣味について、商品紹介を目的にしたコンテンツもあります。これだけでも十分充実しているのですが、サントリーウェルネスは商品とは直接結びつけないコンテンツも配信しています。

  • ウォーキングや簡単なエクササイズなどのシニア層でもできる運動
  • 病気を予防する知識について
  • クラシック音楽の解説や美術鑑賞

健康に関するコンテンツだけでなく、趣味の領域のコンテンツも多数あります。

また、会員登録すると届くようになるメルマガも同様です。幅広いコンテンツが盛りだくさんで、まるで雑誌のようなボリュームです。

サントリーウェルネスの場合、ECサイトとしても企業の母体としても十分な規模感があるので可能なことだとも言えます。しかし、ターゲット層がはっきり絞れている商材や業種であれば、そのターゲット層に向けて幅広いコンテンツを配信するのは有効です。

コンテンツ作成はコストは大きくなります。しかしターゲット層に自社商品の広告しか載っていない雑誌を購読してもらえると考えれば、効果は大きいことが想像できるでしょう。

ECサイトでリピート率を伸ばす方法のまとめ

ECサイトでリピート率を伸ばす方法のまとめ

ECサイトの運営において、リピーターの育成がたいへん重要です。新規はもちろんとリピートも含めて、どちらかが欠けても売上や利益の増加や、安定させるのは難しくなってしまいます。

苦労して獲得した購入者の情報は有益な情報ばかりです。そこからさらに多くの利益を生み出すためには、リピーターを育てていくのが必要不可欠と言えるでしょう。リピーターの売上から得られる効率の良い利益がなければ、さらに新規顧客を獲得するためのプロモーション費用が捻出できず、やがて行き詰まってしまいます。

本記事で紹介したデータ分析や施策などをぜひ参考に、リピーター獲得を目指してみてください。

監修者紹介

三木 五月

三木 五月

代表取締役社長

Twitter:@satsuki_miki
神奈川県の湘南でデジタルマーケティングの会社を経営しています。湘南をシリコンバレーのようにしたく、社員一丸で突っ走っています! 座右の銘は「好きこそものの上手なれ」。成熟した文化、自然豊かな湘南で一緒に働いてくれる仲間を絶賛募集中です。フルリモートOKです。詳しくは採用ページをご覧ください。