ECサイト

2021.04.09 (公開: 2021.04.02)

【超重要】ECサイトでリピート率を伸ばす方法

【超重要】ECサイトでリピート率を伸ばす方法

ECサイトの市場規模はますます大きくなり、産業としての重要性はますます高まっています。
日本国内の消費者向け市場におけるEC化率は右肩上がりで伸び続けており、市場規模は2020年には20兆円を超えると予想されています。過去10年間、毎年8%前後のペースでの成長です。その間の日本のGNPの伸びは年平均1%程度ですので、ECの世界は勢い良く拡大していると言えます。

企業内でのECサイトの役割や重要性も増しつつあります。実店舗での販売に加えて、ECサイトを販売チャネルとして持つことは当然となりました。さらに、新型コロナウィルスの流行によって、売上比率が店舗からECサイトに移行する速度が上がっています。今後、ECを組み込まずにビジネスを構築するのは難しいでしょう。

ECサイトの運営には様々な要素がありますが、利益を大きくするためには、リピート率を向上させることが非常に重要です。

新規顧客を開拓するには、商品やサービスの認知を広げ、知ってもらい、購入を検討してもらった上で、ようやく購入に至ってもらえます。それらそれぞれの段階で広告費や、購入をうながすためのプロモーション費用が必要です。しかし、リピーターにはそれらの段階を飛ばしてアプローチできるため、利益が残りやすいのです。

また、さらに定着して定期的に購入し続けてくれる可能性もあります。多くのECサイト運営者は、売上の8割がリピーターからのものとなる状態を目指して、リピーターを育成するための施策を行なっています。

しかし、リピーターを思うように増やせていないECサイトも少なくありません。新規顧客の獲得だけに集中してしまっていたり、新規購入後に効果的なアプローチができていなかったり、原因は様々です。

この記事では、ECサイトを運営する上でのリピート顧客の重要性から、多くのECサイトが共通して抱えるリピーターが増えない理由、さらにその問題を解決してリピート率を伸ばす方法、成功事例などをご紹介します。

ECサイトを運営している人やこれから始めようと検討している人はぜひお読みください。

ECサイトにおけるリピート客の重要性

ECサイトにおけるリピート客の重要性

ECサイトを運営し始めた当初はすべてのユーザーが新規顧客ですので、リピーターのことを考える余裕も視点もないかもしれません。しかし、ECサイトの売上を積み増し、利益を増やすためには、新規購入者をリピーターに育てることが重要です。

ビジネスの経験則であるパレートの法則では、2割の要素が全体の8割を生み出すと言います。ECサイトにおいても、購入者の中に占める人数としては2割のリピーターが、売上の8割を生み出すと言われています。また、リピーターは利益率が高いので、売上以上に利益の向上につながります。

1.利益が上がりやすい

リピーターが増えたときの最大の効果は利益が上がりやすくなることです。ECサイトの目的は利益を大きくすることなので、当然リピーターが重要になります。

一般に「5:25の法則」と言われているものがります。離脱客を5%取り戻せば、粗利率が25%改善される、という意味です。これはECサイトにも当てはまります。過去に利用したことがあるけれど、その後リピート購入をしなくなってしまった人に、もう一度戻ってきて購入してもらえば利益率が大きく向上するのです。

新規顧客を開拓するのに比べると、リピート対策は人件費や広告コストが低くすみます。購入してもらったときの情報があるので、リピートしなくなった原因を探してアプローチすればいいためです。

お客様が離脱した理由はさまざまです。商品の効果が十分に感じられなかったのなら、使い方や効果を丁寧に説明するメールを送る。単に忘れていたのなら、買い替えや追加購入の発生するタイミングでお知らせを送る。初回割引購入に惹かれたけれど定価は高いと感じているなら、リピート割引クーポンを送る。これらはアフターフォローとしても機能するので、一方的な広告や売り込みよりも顧客にも受け入れてもらいやすいでしょう。

一度購入してくれた顧客を囲い込み、リピートしてもらうことで、その顧客から生まれる利益の総計が積み上がっていきます。これをLTVと言って、life time value の頭文字を取ったものです。顧客になる可能性のある人は無限ではありませんから、一人一人の顧客とは長期間にわたる関係を築いて、できる限り大きな利益を生んでくれるリピーターへと育てることが大切です。

2.新規顧客と比較して売上が上がりやすい

リピーターに購入してもらうためのコストは、新規顧客を開拓するよりも低い傾向があります。一般に「1:5の法則」と言われています。新規の顧客を獲得するのは、既存の顧客に追加購入してもらう5倍のコストがかかるというものです。

ECサイトの顧客になってもらうためには、まずECサイトや取り扱っている商品を知ってもらう必要があります。そのために広告などを使い、費用をかけているでしょう。
商品を認知してもらった後も、すぐに購入してもらえるわけではありません。無料サンプルを渡したり、メールマガジンで商品説明などを行なったりする必要があります。

さらに商品やECサイトの使い方に関する問い合わせに答えて、などなどのアプローチを続けることで、ようやく購入に至ります。

この新規購入施策に比べると、リピート対策は広告コストや、関わる人件費が低くすみます。お客様はすでに商品のことを知っていますし、ECサイトの使い方もわかっています。購入者を追いかけて、再度購入してもらうためのアプローチを行えばいいので効率的なのです。

また、リピート購入はECサイト側だけでなく、お客様にとってもたくさんのメリットがあります。

商品が気に入ったのなら、それだけの効果のある商品をまた手に入れられます。たくさんの種類の商品が溢れている中で、確実な効果を得られる商品を選ぶのは案外難しいのです。買ったお菓子が美味しかったら、次もそのお菓子を買えば、確実に美味しいものが食べられます。

また、商品を探して買うまでの手間を省けるのも大きなメリットです。商品を探して比較して選ぶのに費やす時間などを、探索コストと言います。商品を購入する際にECサイトに登録したり、住所や支払い方法を入力する手間などを、購入行動コストと言います。これらの手間はストレスにもなるので、できるだけ省きたいと考える顧客がほとんどです。

そして、多くのECサイトが行なっている、ポイントや割引といったリピーター向けの特典も、顧客にとっての大きなメリットです。

3.リピート客の声をそのまま宣伝に活用できる

リピーターの多くは、その商品を気に入って購入し続けてくれている人たちです。そのため、リピーターが増えれば、その商品に関する好意的なレビューや口コミも増えることが期待できます。良いレビューや口コミは、そのまま次の新規購入者を獲得するための宣伝として機能します。リピーターが新規顧客を呼び寄せる効果も生まれるのです。

特に家電や衣類の分野では効果が大きく、EC関連のWEBメディア「ECのミカタ」のインターネット調査によると、カスタマーレビューや口コミを参考にして購入する商品を決めているという人は60%を超えています。

購入する際にネットショップでカスタマーレビューを見た商品で最も多い分野は、男性は家電製品が61.0%、女性は衣類が60.5%でした。家電は写真だけでは機能が分かりにくく、カタログのスペックを見ても使い勝手が伝わりにくいためでしょう。衣類も、実際に着たときの肌触りや着心地、洗濯のしやすさなどは分かりにくく、実際の感想が参考になるのでしょう。

その他の分野でもレビューや口コミは有効という結果も出ています。どのような時にレビューや口コミを参考にするかの調査結果は、「商品によっては参考にする」が52%、「毎回参考にする」が37.8%でした。ほとんどの人が何らかの形でレビューや口コミを参考にしていると考えられます。

また、商品の金額でも同様の結果が出ています。「ネットショップで商品を購入する際に、レビューを見て購入の検討をしようと思う金額をお答えください」というアンケート項目の最多の回答は、男性も女性も「1000円未満」でした。1000円未満でも男性は27.5%が、女性は36.5%がレビューや口コミを参考にすると答えています。比較的安い商品でもレビューや口コミは重要なのです。

4.プロモーションへの投資が可能となる

リピーターを多く獲得するメリットは、リピーターによる売上の創出や利益の増加に留まりません。その影響力は新規顧客の開拓にも及びます。
リピーターは安定した売上と高い利益率を生んでくれます。そこで生まれた余裕と資金によって、新規顧客を獲得するためのプロモーションに十分な費用をかけられるようになるためです。

新規顧客からリピーターを多く育成することで、さらに次の新規顧客獲得費用を拡大することができ、そこからまたリピーターが育成され、という好循環を生んでECサイトを急成長させられます。

リピーターと長期的な関係性を維持するほどにLTVが高くなります。LTVとは、Life Time Value(ライフタイムバリュー)という意味です。日本語では「顧客生涯価値」などと言われます。1人の顧客から生涯にわたって得られる利益を指します。ここ数年で、すっかり重要な指標や考え方として定着しました。

どんどん市場や人口が増えていく状況では、新規顧客を開拓し続ければ、売上を伸ばし続けることも可能です。しかし、現代の日本のように市場規模の拡大に限度がある場合、あるいは競合が多い分野では、新規顧客を獲得するのは難しく、そもそも潜在顧客が増えません。そのため、それぞれの顧客と生涯にわたって取引を続けて、利益を得る必要があるのです。

ECサイトのユーザーのLTVを高めるメリットの大きなものに、営業コストが低額に抑えられるということがあります。運営しているECサイトや、そこで取り扱っている商品のことを何も知らない人に、顧客になってもらうのは大変です。まず商品を知ってもらい、ECサイトの使い方を覚えてもらい、そして購入してもらわなければなりません。

しかし、リピーターならば、商品についてもすでに知っています。ECサイトの使い方や、注文の仕方もわかっています。そのため、新規顧客ならば必要となる広告費やサポートのための人件費などのコストがかかりません。また、ECサイト自体にも信頼感が生まれるので、新しい商品の紹介もスムーズです。同じ売上金額としても、新規顧客とリピーターとでは、利益が大幅に異なるのです。

このようなLTVの高いリピーターが多数存在することで、ECサイトの利益率が向上し、新規顧客獲得のためのプロモーションにも十分な費用をかけられるようになります。

また別のECサイトの重要な指標の一つにCPAがあります。Cost per Acquisitionの頭文字を取ったもので、プロモーションの費用対効果などを測るものです。ECサイトでの購入や会員登録など、目的とするコンバージョンを1件獲得するのにかかった費用を示します。

例えば、10万円の広告費をかけて、50人の新規顧客を獲得できたら、そのCPAは2000円となります。
このCPAをECサイト全体として下げていくのが、利益率を向上させることにつながります。

ただし、CPAは大きく3種に分けられるのを意識しなければなりません。まず、ECサイト全体のCPAです。これは広告などのプロモーションにかかった費用総額と、得られた注文数の比較で算出できます。
それだけでなく、新規顧客CPAと、リピーターCPAを分けて把握すべきです。
新規顧客を獲得するのは簡単ではありません。5000円の商品を売るために広告費を使って、新規顧客CPAが5000円に近かったということも少なくないでしょう。

それに対して、リピーターCPAは安価に済む場合がほとんどです。すでに持っている顧客リストにメールを送って、次回購入時500円引きというクーポンを配布してリピート購入を促した場合、そのリピーターCPAは500円です。

つまり、新規顧客だけを追っていては、利益が残らないのです。リピーターを増やさなければECサイト全体のCPAは高くなってしまいます。すると、新規顧客を獲得するための費用を捻出できません。苦労して獲得した新規顧客をリピーターへと育成し、LTVを高めていくことが必要です。

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自社ECサイトのリピート率が伸び悩む理由とは?

 

どのようなECサイトでも、リピーターを増やすべきという点は同じです。しかし、思ったようにリピーターを育成できていないECサイトも少なくありません。
ECサイトのリピート率が伸びていかない理由はさまざまです。扱っている商品ごとに特徴がありますし、ボトルネックになっている点もECサイトごとに異ります。ここでは、広く一般のECサイトで共通して見られる、リピート率が伸び悩む理由をご紹介します。

忘れてしまう

インターネットにはECサイトも商品も溢れています。ECサイトを運営する側から見ると競合ですが、ユーザーにとっては似たECサイトや商品がたくさんある状態です。この商品は前回どこで買ったのかわからなくなった、検索しても同じECサイトが見つからない、といった経験は多くの人がしているでしょう。

このように、顧客に自分たちのECサイトを忘れられてしまうことが少なくありません。せっかく顧客になってもらったのに、忘れられてしまってはリピーターになってもらえるわけがありません。

顧客となってくれた人には、自分たちのECサイトや買ってもらった商品を忘れないでいてもらえるよう努力しましょう。そのためには、接触頻度を増やすことが重要です。

商品を発送しておしまい、その後まったく接触をしない、という状態では忘れられてしまいます。商品やECサイトを意識し、思い出してもらうための接触を定期的に行いましょう。メールマガジンやLINE公式アカウントを使ってメッセージを送ったり、ダイレクトメールやカタログといったオフラインでの接触をするのが代表的です。

接触頻度が高まれば、顧客はECサイトを忘れないだけでなく、親しみも感じてくれます。ただし、セールのお知らせやクーポンといった、売り込みや購入へ誘導するものばかり送っていると逆効果になってしまう場合もあります。

商品発送後に感想を聞いたり、レビューをうながすメールを送ったり。商品の正しい使い方をレクチャーしたり、消耗品であれば買い替えや追加購入のタイミングでお知らせをしたり。ユーザーが欲しい情報や、役に立つ情報といった、アフタフォローと言えるものを届けて接触頻度を高めるのがおすすめです。

バイヤーズリモースが生じる

人は商品やサービスを購入した後には、後悔や迷いが生じると言われます。これをバイヤースリモースと言います。
衝動的に買ってしまったけど無駄だったのではないか。本当に自分の期待通りの商品なのか。もっと他に代替品があるのではないか。商品についてあまり理解せずに買ったときには特に、自分の判断が正しかったのかを考え直すのです。

また、バイヤースリモースは、購入した商品とは無関係に、高額な買い物したときほど起こりやすいと言われています。商品の購入をキャンセルしたいとか返品したいということではなく、ただ不安な気持ちを解消したい状態です。

このバイヤースリモースをなくすためには、顧客が購入した後も「買って良かった」という気持ちで居続けてもらう必要があります。
まずは、商品や使用方法についての丁寧な説明です。しっかり理解し、納得して購入したものであれば、バイヤースリモースは生じにくくなります。ECサイトの商品詳細画面を充実させるのはもちろんですが、購入後にすぐ使用法を解説したコンテンツをオンラインで送ったり、商品と同梱したりするのも効果的です。

また、商品が届くと同時にアフターフォローを開始するのも大切です。商品の生産過程や生産者の声を届けるのも親近感を持ってもらうのにいいでしょう。同じ商品を使っているユーザーの使い方の実例や効果についてのレビューも、顧客に購入した商品は良いものであると理解してもらうための情報が効果的です。

次回の購入時に使える割引券を送ったり、他の商品のサンプルを同梱するのも、ECサイトとの関係性を長く持てる期待を生み、バイヤースリモースを軽減できます。

また、商品を購入した理由を聞いたり、実際に使ってみた感想を聞くのも効果的です。顧客が商品を購入した納得感を得ることができ、ECサイトはリピート施策や商品改善のヒントも得られます。
顧客にECサイトや商品について、安心感を持ってもらえるようコミュニケーションを取りましょう。

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ECサイトのリピート率を伸ばす方法

ここまで、リピーターの特徴や、なぜリピーターがECサイト運営において大切なのか、どうしてリピーターを増やすのが難しいかなどを説明してきました。
では、実際に運営しているECサイトにおいてリピーターを増やすには、どのような施策を行えば良いのでしょうか。まだイメージできないかもしれません。

ここからは、多くのECサイトがリピーターを育成するために行なっている代表的な施策をご紹介します。ECサイトや商品の性格によって、個別に相性はありますが、運営しているECサイトでも実施できるかどうか検討すべき施策です。

メルマガ

ECサイトが顧客へアプローチする方法で最も多く使われるのがメールでしょう。リピートを伸ばすための施策に限らず、ECサイトが顧客とコミュニケーションを取るために広く使われています。
リピーター施策としては、購入時に登録してもらっているメールアドレスに、定期的にメールマガジンを配信のが一般的です。

内容は各顧客に合わせましょう。購入直後のユーザーには、その商品の詳しい紹介や生産過程、正しい使用方法、他のユーザーの感想や使い方などを配信します。商品についてさらに理解を深めてもらい、良い商品であると実感してもらうためです。

そのような内容のメルマガをしばらく続けているうちに、消耗品なら買い替えの時期や、家電であれば部品交換やメンテナンスをしたほうが良い時期、アパレルなら次の季節の商品が欲しくなる時期が来ます。そこで追加購入の案内や、新商品の紹介を行います。顧客が購入した商品を気に入ってくれていれば、ここで商品紹介も単なる売り込みだとは感じず、好意的に受け止めてくれるでしょう。

購入してからECサイトへのアクセスが止まってしまっている、いわゆる休眠顧客にもアプローチが可能です。商品の売り込みの要素を低くして、ECサイトで取り扱っている商品分野の一般的な情報を配信し続けていれば、ECサイトを忘れずにいてもらうこともできます。また、前回の購入から長く経っているユーザーだけに割引率の高いクーポンなどを送るのも有効です。

メルマガのメリットは、第一にコストがかからないことです。チラシやDMでは、印刷コストや配送コストが必要です。DMではハガキサイズでもデザイン費を含めると1枚あたり80円以上となるのが一般的です。メールマガジンならば、顧客リストが大きくなるごとに1通あたり単価は低くなり、0.1円を切ることにもなります。そのため、頻繁に配信することが可能です。

また、メールマガジンでは、内容を顧客ごとにパーソナライズすることが比較的簡単です。お客様のお名前を表示して親近感を演出したり、購入回数や最後に購入してからの日数によって内容を変更して必要な情報を届けることができます。

とはいえメルマガにもデメリットはあります。現在ではほとんどのECサイトやショッピングモール、さらにWEBメディアなども、メールマガジンを配信しています。そのため、毎日たくさんのメルマガが届きます。その中に埋もれてしまい、開封もしてもらえないことが少なくありません。まずメールの内容を読んでもらえるように、タイトルなどを工夫する必要があります。

メルマガを開封してもらえても、内容が自分に適していないと判断されると、ユーザーはそこで読むのをやめてしまいます。もっとひどい場合にはメルマガを解除あるいはブロックされてしまいます。単純な売り込みや商品紹介、割引券だけを送り続けるなどの単調な内容にならないように、顧客にとって価値のある情報を送れるように注意しましょう。

メルマガは幅広く応用できるので、基本的に全てのECサイト、商品で活用すべきです。運営しているECサイトの性格、商品のイメージ、顧客との関係性などに合わせて活用します。

チラシ・DM

チラシやDMは紙媒体とも呼ばれます。紙面に印刷した商品情報などを顧客に届ける方法です。チラシと言うと、新聞の折込チラシやポスティングなどもありますが、購入者に対してリピート施策として行う場合には、商品と一緒に同梱して届けるものが一般的でしょう。DMはダイレクトメールのことで、主に郵送で購入者に配送する紙媒体を指します。葉書サイズから、封書で送るA3サイズのチラシや、冊子のカタログもあります。

チラシやDMのメリットは、まず顧客の目に入りやすい、手にとってもらいやすいことです。メルマガはタイトルだけしか見てもらえなかったり、何も見ずに削除されてしまうこともあります。その点チラシやDMは、処分するにも一度目を通すことがほとんどです。

見てもらった後で、保管してもらいやすいことも特徴です。繰り返し注文する消耗品や、季節ごとに注文すべき商品であれば、後で注文しやすいように保管しやすい形態にしておきましょう。
また、電話やFAXでの注文といった、WEB以外のチャネルを紹介しやすいのもメリットのひとつです。特に年齢層の高い顧客には有効です。

デメリットはコストの高さです。紙媒体に印刷して郵送するのは、メルマガでは不要だったデザイン費・印刷費・郵送費が発生します。1通あたり最低100円と考えると、受注率や注文単価を推測して対象ユーザーを慎重に選ばなければ、費用対効果が合わなくなってしまうでしょう。

チラシやDMは顧客へのアピール力は高いものの、コストがかかります。そのため、利益率の高い商品や、高価な商品で主に使われます。化粧品、サプリメントなどといった定期的に購入を勧められるものや、アパレルなどの商品単価の高いもののと相性が良いと言えます。

もしくは、ロイヤリティーの高い顧客との相性も良い方法です。前出の化粧品やサプリメントであれば、長い間使い続けている顧客は再度購入する確率が高いと考えられます。購入を忘れて離脱してしまったり、他の商品に乗り換えられるのは損失なので、定期的にお知らせを送るのが効果的です。

商品ではなくECサイトに対するロイヤリティの高い顧客にもよく使われます。アパレルブランドや個性的なセレクトショップの場合、顧客はそのブランドやお店のファンなので、多くの商品が掲載されたカタログを送って幅広く選んでももらうことが有効です。

ポイント・クーポン

ポイントやクーポンの発行も、リピート施策として広く使われている方法です。
商品を購入するごとに、その購入数や購入金額に応じてポイントを発行します。顧客はそのポイントを貯めると商品がもらえたり、ポイントを金額に換算して値引きを受けられたりします。

クーポンは、次回の購入時に割引や値引きが受けられたり、おまけがもらえたりという特典が受けられるものが一般的です。新規顧客獲得のためにも使われますが、購入者が同じ商品を買う時に使えるクーポンや、まだ購入したことのない商品を勧めたりする際にも多く使われます。

クーポンやポイントのメリットは複数あります。目的によって使い分けましょう。
まず、リピート購入を促すことができます。初回購入時に次回の購入で使えるクーポンを発行すれば、次回もお得に購入できると感じられます。消耗品であれば特に、そのままリピーターになってくれる可能性が上がります。

次に、乗り換えコストを高めることができます。ポイントのように購入するごとに貯まっていく特典の場合は特に大きくなります。繰り返し購入した商品から、他の代替商品に乗り換えようとした場合に、そのポイントが無駄になってしまうと感じるのです。

そして、ポイントやクーポンの利用可能期限を設定することで、購入頻度を高めることもできます。例えば浄水器のフィルターなど、交換するタイミングがある程度決まっているものの、ついつい長く使いたくなる消耗品で有効です。一般的な家庭の使用量から交換タイミングを算出して、その間をクーポンの利用期限とすると、忘れずに買い換えようというインセンティブにもなります。

クーポンやポイントのデメリットは、定価よりも安く買えるように設定することになるので、利益を削ってしまうことです。また、クーポンなどを発行しすぎると、その割引がなければ購入しないユーザーが多くなってしまいます。

発行しすぎない、割引率を大きくしすぎないことが大切です。できれば商品開発の時点から、その定価をいくらにするかだけでなく、クーポンやポイントをどれくらい活用して値引きするか、その頻度や金額まで折り込んで設定しましょう。

ブログ・SNS

ブログやSNSもリピート率を高めるために広く活用できます。役割は情報配信と、顧客とのコミュニケーションです。ECサイトの世界観やコンセプトを配信したり、商品の詳しい情報や効果のイメージを伝えることができます。

ブログやSEO対策の視点からコンテンツを積み重ねていくことで、幅広い段階のユーザーに対してアプローチできます。顧客像を想定して、どのようなニーズを持っていて、どのようなキーワードで検索して商品を知って、どのように比較検討して、どのように使用するのか、それぞれの段階に適したブログ記事を作成します。

認知や商品紹介のためのブログ記事が多いように思われますが、リピーターに対しての記事も作成すべきです。購入してからの正しい使い方、他の人の活用方法、ちょっと工夫したアイデアなど、もっとその商品が好きなる内容の記事も作れます。

SNSも同様です。商品を紹介したり、効果をイメージしてもらったり、ブログ記事に誘導したり、といった情報配信が可能です。また、SNSでは顧客とコミュニケーションを取ることもできます。商品名を含むSNSの投稿を検索して積極的にコメントしたり、困っている人へのユーザーサポート的役割も担えます。

情報によって顧客に親しみを感じてもらったり、問題を先回りして解決して信頼感を持ってもらえると、リピーターとして定着してくれる可能性が高まります。

ブログやSNSのメリットは、コストをほとんどかけずに情報を配信できることです。メルマガもコストは低いものの、メールアドレスを教えてくれた人にしか配信できませんので、その獲得コストが必要です。ブログやSNSならば、ECサイトや商品のことをまだ知らない人にも届く可能性があります。

また、ブログのコメント欄やSNSでコミュニケーションが取れるので、親しみや信頼を感じてもらいやすくなります。ECサイトの問い合わせフォームなどに比べてコミュニケーションのハードルが低いのもメリットです。

デメリットとしては、コンテンツの作成や更新が大変なこと、売上に繋がっているか分かりにくい点でしょう。

ブログは毎週1〜2記事は更新したいものの、コンスタントに継続するのは大変です。また、ブログやSNSであまり売り込みをしすぎると嫌われがちです。読み物としても楽しくて、顧客にとって役立つ情報を配信しなければなりません。そのため、ブログやSNSのおかげで売れた、リピートに繋がった、という効果測定がしにくいものでもあります。

無理せず負担を大きくしすぎずに、上手に手分けして記事作成ができるよう工夫しましょう。

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リピート客を掴むコミュニケーション方法

新規顧客にリピートしてもらうためには、商品だけでなくECサイトを好きになってもらうことも重要です。そのためには、ユーザー満足度を高めることが何より大切。満足度を高めるための改善は一朝一夕でできることではなく、地道な努力の積み重ねです。商品の質を高めて、ECサイトの使い安さを向上させていきます。

そういった基礎となる部分に加えて、ユーザーとのコミュニケーションによってもリピート顧客を育てていくことができます。鍵となるのは、サプライズとパーソナライズです。ちょっとしたことでも期待以上のサービスだと感じたり、自分のために用意してくれたと感じられると、お客様の満足度は大きく上がります。

そのような演出は難しいと感じるかもしれません。しかし、お客様との接触頻度をできるだけ多くして、それぞれの接触において顧客にとってメリットのある情報を提供できるように考えましょう。

手書きの手紙

購入してもらった商品を配送するタイミングは、ECサイトが顧客とコミュニケーションを取る最も大きなチャンスです。注文前にはECサイト上で、商品配送後にはメルマガなどアプローチはできますが、本当に届いているかはわかりません。ただし、商品を受け取るタイミングだけは確実にコミュニケーションが取れます。ここで上手にサプライズを仕掛けておきたいものです。

手書きの手紙はその代表例です。施策の内容はシンプル、ECサイトのスタッフの手書きの手紙を商品に同梱してお届けするものです。

手書きの手紙のメリットは、ECサイトへ親近感を持ってもらえることと、商品の製造やECサイトの運営を丁寧に行なっていると理解してもらえることです。

ECサイトは無機質なものというイメージがあるところに、手書きの手紙が同封されていると親近感が生まれます。店員とのちょっとしたコミュニケーションが取れると、実店舗で買い物をしたときのような気分にもなってもらえるでしょう。

また、手書きであることから、個性や手間が感じられます。お礼のメッセージを印刷したカードを同封しても、伝えられる内容は同じかもしれません。しかし、あえて手間をかける丁寧な運営であると感じてもらえます。

同時にデメリットは手間がかかることです。手書きの手紙を用意するのには、何も新しい設備はいりません。しかし、時間がかかります。スタッフの負担が増えすぎると手が回らなくなるでしょう。もっと優先すべき施策や作業があるならば、省かざるを得ないことでもあります。

手書きの手紙は、温かみや手作り感を感じてもらいたい商品との相性が良い施策です。有機栽培の野菜や手作りのアパレルなど、生産者が見える商品ではぜひ活用したい方法です。

また、ECサイトと顧客が強い関係性を築くために有効なので、長期間使い続けることを期待される商品にも合います。自然派化粧品やサプリメントなど、リピート性の高い商品にも活用できます。
一方で、大量生産大量消費のイメージの既存品には合わないでしょう。薄利多売の商品やECサイトでも、コスト面から実施は難しいと考えられます。

御礼のサンクスメール

手書きの手紙は無理でも、購入後のご挨拶は行うべきです。ECサイトからお客様に送るメールには、最低限でも注文確認、発送のお知らせがあります。その後、商品が届いたころや、商品を使い始めたころを見計らって送るのが、御礼のサンクスメールです。

送る内容は購入のお礼だけではありません。配送状態や梱包に問題はなかったか、商品を使ってみた感想や困ったことはないかなど、アフタフォローを開始しましょう。
また、レビューや口コミの投稿をお願いしたり、そのお礼として次回使える割引クーポンを提示することも可能です。

御礼のサンクスメールを送ることで、リピート施策の第一歩を作れ、そこから複数のメリットが生まれます。

まずアフターフォローを開始できること。顧客がECサイトや商品を忘れてしまうのを防ぎます。また、商品を気に入ってくれていたら、好意的なレビューや口コミを書いてもらうチャンスも作れます。逆に商品や配送に不満があったり、商品の使い方がわからなかったりする場合に、先回りして問題を解決することで大きなクレームになるのを防ぐこともできます。

大きなデメリットはありません。利用したECサイトからメールが配信されてくるのには顧客側も慣れていますので、迷惑と感じる人も少ないでしょう。注文管理システムを使えば、商品発送後に自動的にメールが配信されるように設定できるので、追加の手間もほとんど発生しません。

導入しやすくメリットも多いので、すべての商品や業種で行うべき施策と言えます。
メールの内容にだけ注意すれば、すぐに取り入れることができます。ECサイト側からの押し付けになってしまったり、他の商品やリピートの売り込みが強すぎないようにしましょう。

顧客に合わせた情報配信

実店舗でもECサイトでも、自分のために用意された商品やサービスだと感じると、顧客の満足度は非常に向上します。自分の趣味や好みに合った品揃えのお店と感じることが入り口かもしれません。さらに、もう一歩関係性を深められれば、リピーターになってもらいやすくなります。

その鍵が顧客に合わせた情報配信です。
amazonなどのショッピングモールでは、この商品を購入した人はこの商品も好きかもしれない、という表示を頻繁に提示します。顧客の行動を手掛かりに、好みを推測して情報を配信しているのです。

顧客に合わせるのは商品選びだけではありません。購入した商品の使い勝手が分かった頃に、同じのジャンルの商品を勧める。使い終わる頃や、買い替えの時期に案内を送る。プレゼント用の商品ならば、同様のイベント時や記念日に別の商品を紹介する。顧客が、このECサイトは自分のことを分かってくれてると感じられれば成功です。

この施策が成功すると、顧客と非常に強い関係性を作れるというメリットがあります。顔見知りの店員さんがいる実店舗のような、いわゆる馴染みのお店という位置付けになれるのです。リピーター、さらに常連、ヘビーユーザーになってもらえます。

デメリットは、実行が難しいことでしょう。商品面、データ活用面、その両面で難しさがあります。

好みに合った商品をお勧めするにも、商品数が少ないECサイトでは、なかなか該当する商品が出てきません。また、データ解析の仕方が上手く行かなければ、顧客の好みに合っていない商品をお勧めしてしまうかもしれません。そうなると逆効果です。買い替えの時期などをお知らせする場合も同様です。顧客の購入履歴と商品の特性や性質を正しく把握していなければ、効果的なタイミングでのお知らせはできません。

データベースマーケティングの領域になりますので、顧客情報を管理して活用するシステムの導入が必要で、コストも人材も必要な施策とも言えます。

とはいえ、実施した方が良い商材や分野はたくさんあります。
特定のジャンルに特化した商品を扱っているECサイトや、個性的な商品選びを売りにしているECサイトならば、趣味の方向性が把握しやすい顧客が集まるでしょう。商品をカテゴリー分けして、ある商品を買った人に同じカテゴリーの他の商品を紹介するだけなら、手作業でも可能です。

消耗品を扱うECサイトならば、それぞれの商品の使用期間を把握しておき、商品Aの購入者には2ヶ月後に、商品Bの購入者には2ヶ月後にお知らせを送る、とルールを作るだけでも始められます。これなら特別なシステムがなくても実行できます。
まずは、顧客それぞれに合わせたパーソナライズができる部分がないかを考えたり、購入頻度の高い顧客の履歴を見てお勧めしたいものがないか探したり、といったことから始めましょう。

VIP会員限定の特別サービス

会員ランクを設定するのもリピーター育成の施策として有効です。楽天などのショッピングモールでは、購入頻度や購入金額によって、一般会員からゴールド会員などとランクアップしていきます。
そのようないわゆるVIP会員になると、商品購入時に得られるポイントが増えたり、VIP会員だけがアクセスできるセール商品が買えたりするようになります。

他には、リピート回数ごとに割引率が上がっていく、継続購入していると定期的にプレゼントがある、誕生日などの特別なイベントの際にプレゼントがある、なども一般的です。

VIP会員限定の特別サービスを用意すると、顧客のロイヤリティをあげられるメリットがあります。
購入時に得られるポイントが多くなったり、次のイベント時にプレゼントがもらえるならば、そのランクを維持しようと考えるユーザーが増えます。

また、そのために競合となるECサイトや商品の購入をやめて、一箇所に集中して利用するようになる傾向もあります。リピーターをより強固に囲い込めるようになるのです。ゲームのようにECサイト内でのランクを上げることを楽しむ人もいますし、VIP会員であるというステータスを楽しむ人もいます。

ただ、先程のデーターベースマーケティングと同じく、大規模に行うにはツールの導入が必要になります。ECサイト内で顧客のランクを表示したり、次のランクまでの条件を提示するのもシステムの改修がいるでしょう。開発費用や運営費用が大きくなるのはデメリットです。

VIP会員限定の特別サービスは、商品数の多い大規模なECサイト、リピート性の高い固定客の多いECサイトほど効果が上がります。リピーターの囲い込みのために導入を検討すべきです。
ただし、小規模なECサイトでも行える部分もあります。5回目の購入時に、それをお知らせするメッセージとともにプレゼントを同梱する。複数回購入している人だけに、特別なセールをご案内する。などの施策は手作業でもできますので、まずは試してみるのも良いでしょう。

リターゲティング広告

リターゲティング広告とは、オンライン広告の一種です。過去に自社のECサイトなどを訪れたことのあるユーザーだけに対して、設定した広告を配信することができます。
ECサイトを訪れた人の多数は商品を購入せずに離脱します。しかし、ECサイトや商品についての購入を迷っている段階とも言えます。そのような人に対して、リターゲティング広告を配信し、サイドのECサイト訪問や、商品の購入をうながすことができます。

リピーターに対してもリターゲティング広告を配信できます。ただし、リピーターの場合は広告の役割が少し異なるものも設定できます。
購入してからしばらくECサイトを訪れていない人を想定して、リターゲティング広告を配信するのです。30日以上ECサイトを訪れていないユーザーだけを掘り起こす、などといったことが可能です。

リターゲティング広告のメリットは、顧客を迎えに行くことができる点です。購入者であればメールアドレスを把握していることが多いので、メールでアプローチすることも可能です。しかし、メールは見逃されることもあれば、タイトルだけ見て開封されないこともあります。

一般にECサイトからのメルマガを顧客が読むのは20%程度と言われています。リターゲティング広告で、その点を解消できるかもしれません。インターネットを使っている間に、自然と目に入ってくることが多い広告だからです。

商品購入後にしばらくECサイトにアクセスしていない人とはいえ、理由はさまざまです。商品に不満があってもう買わないと決めている人ばかりではありません。単にリピート購入を忘れている人もいるでしょう。商品の効果を思い出して、また購入を検討してくれる人もいるでしょう。新規顧客を認知段階から開拓するよりは、休眠顧客を掘り起こす方が効率的です。

デメリットは、広告配信の効率化が難しい点と、反感を買いかねない点です。

リターゲティング広告は慣れていないと配信設定が難しい面があります。設定次第では、ECサイトを訪問したけれど購入する意思がない人や、まだ購入したばかりで特に広告を配信する必要のない人なども含んでしまい、無駄なコストがかかってしまうこともあります。

また、配信頻度が多くなりすぎて、どこのWEBサービスを開いても頻繁に同じ広告が表示される、という状態になってしまうこともあります。しつこすぎると、逆に反感を買ってリピーターになってくれないかもしれません。

リターゲティング広告は、メルマガ配信よりもコストは高くなります。特に、広告費が発生しても購入にいたらないこともありますので、コスト管理には気をつけなければなりません。しかし、広告費を吸収できる利益率や客単価のある商品であれば、効果は比較的高いので、相性が良いと言えるでしょう。

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リピート獲得を上手く行っているECサイト事例

 

ここまで一般的なリピート施策についてご紹介してきました。前出の施策を参考に、運営しているECサイトや商品と相性の良い施策を、それぞれの実情に合わせてカスタマイズして実施していきましょう。コストや手間の問題はありますが、思いついた施策はできるだけ試してみるべきです。そして効果測定を行なって、上手くいった施策は続け、上手くいなかった施策は止めるか改善して、全体を向上させます。

具体的な施策は、上手なECサイトを参考にするのがおすすめです。ECサイトを見たり、会員登録してみたり、気になれば実際に商品を購入してみて、運営するECサイトにも取り入れていきましょう。

澤井珈琲

http://www.sawaicoffee.co.jp/

澤井珈琲は、もともとは脱サラしたご夫婦が営む鳥取の小規模なコーヒー屋さんだったそうです。その後、息子さんが参加してインターネット通販を開始し、年商20億円以上にまで成長しました。

その仕掛け人である澤井理憲さんは、澤井珈琲はユーザーにとって使いやすいECサイトを目指していると言います。綺麗さや高級感よりも、売れるサイト作りを優先しているとのことです。商品についても、「インスタントコーヒーよりは美味しいし、スタバより安い」という表現で位置付けを語ります。

質は良いけれどこだわりすぎない価格帯の商品でこれだけの売上にするには、リピーターの育成が欠かせません。澤井珈琲のリピート施策の最大のものはメルマガです。

すべての購入者を対象にメルマガを配信しているのですが、特徴はその量です。ほとんど毎日、多くの日では複数回、メルマガが届きます。その内容は、商品紹介よりもコーヒーに関する情報がメインになっています。コーヒーの美味しい入れ方、コーヒー豆の解説、コーヒー用具の取扱方やお手入れの方法など。この圧倒的なボリュームと熱量が、顧客の信頼を生んでいるのでしょう。いつしか顧客はお店のファンとなり、リピーターになります。

メールマガジンをたくさん送りすぎるのは迷惑だという意見もあります。実際に登録を解除してしまうユーザーも少なくないでしょう。しかし、内容に共感し、面白い、役に立つと感じれば、読み続けてくれます。

登録解除されない代わりにほとんど開封されないメルマガを月に2回だけ送るならば、自分たちの商品に対する愛情や知識を生かし、解除する人が多くても固定ファンを生めるメルマガを大量に配信する方が良い場合もあるのです。

個性的な商品を中心に扱っているECサイトや、取扱商品の蘊蓄や情報を語るなら得意というスタッフが多い場合は、このスタイルも検討できるでしょう。

フェリシモ

https://www.felissimo.co.jp/

フェリシモは、アパレルや雑貨を中心としたECサイトです。全体的にはシンプルさを保ちつつ、ナチュラルなアパレルや、少し個性的な雑貨が多いのが特徴です。

リピート施策として特徴的なのが、定期購入化とクロスセルです。
定期購入というと、お茶やミネラルウォーターなどの常備する飲食品や、化粧品などの消耗品が思い浮かびます。しかし、フェリシモではアパレルや雑貨も定期購入化へ誘導しています。

アパレルといっても、上着などの多くの数はいらない種類のものはさすがに定期購入の対象ではありません。靴下やレギンスなどといった、消耗品に近いものや日々着回すために1枚では足りなくなるものが、定期購入化を勧められます。

雑貨も同様に、文具などの消耗品以外は定期購入のイメージはありません。しかしフェリシモでは、猫をモチーフにしたポーチや小物入れをシリーズ化するなどの方法で定期化しています。今月は茶トラ、来月はハチワレなど、毎月1つずつ届くのです。

もちろん気に入ったものを一つだけ購入することもできます。それでも定期的に購入するリピーターも多いのでしょう、高い利益率も達成しているそうです。

また、購入者には定期的に取扱商品をたくさん紹介する冊子型のカタログも郵送されます。コストもかかる施策ですが、多くの固定客、リピート率が維持できているから実現しているのでしょう。そして、カタログで気になるものを見つけてもらい、また定期購入化を目指す流れを作っています。

ここ数年「サブスクリプション」という言葉が目立っています。元々は音楽や動画の配信といったデジタルデータ販売に使われる言葉でしたが、適用範囲は広がっています。従来の頒布会方式や定期購入と同じ意味で使われることも増えてきました。リピーターを増やすには非常に有効な手法です。

定期購入化は難しいと感じられる商品ジャンルも少なくありませんが、シリーズ化などの工夫で導入できるかもしれません。商品開発の段階から可能性を探ってみるべきでしょう。

nosh

https://nosh.jp/

noshは、いわゆる宅食を主な事業とする会社です。宅食の中でも、糖質制限を中心に健康志向であることを特徴にしています。もう一つの特徴が、一食ずつの個包装で冷凍して届けられることです。これにより、まとめて10食分などを届けられ、作る場所と届ける場所が離れていても良くなり、コストダウンに成功しています。

noshは、基本的には定期購入の形式を取っています。3週間に1度のペースで1回6食分から、毎週10食分まで選択できます。とはいえ、利用期間の縛りもなく、解約はいつでもできます。そのため、リピーターを蓄積していくためには、継続利用してもらうことが重要になります。

そこでnoshが取っているのが会員ランク制です。最初の購入を定価として、累積20食購入すると以後は3%OFF、30食購入すると5%OFFと、リピート回数によって割引率が上がっていき、最終的には80食購入で12%OFFまで割引されます。

退会するとランクも最初に戻ってしまうので、リピーターも使い続けるインセンティブができます。

また、一時的に購入をスキップする場合にはランクは維持されるので、無理やり購入させられている感覚にもなりにくい仕組みです。退会していなければ、メールやSMSで再開のアプローチもできるので、nosh側にとってもメリットがあるのでしょう。

会員ランク制度やポイント制度は、リピーターを育てるのに有効です。ほとんどの商材や業種に応用できます。現在ではECサイトには必須の制度とも言えますので、ぜひ導入したいものです。

しかし、スタートさせた後で制度を変更するのは難しい面もあります。開始する際にしっかり検討して、リピーターが蓄積でき、顧客にとっても使いやすい制度を設計しなければなりません。

サントリーウェルネス

https://www.suntory-kenko.com/

サントリーウェルネスは、主にシニア層をターゲットとした健康をテーマにしたECサイトです。サプリメントや健康食品、健康グッズなどを取り扱っています。

幅広い商品を取り揃えていますが、リピート施策の特徴はブログやメルマガで配信するコンテンツの幅広さです。コンテンツのテーマも健康、そして健康なアクティブシニアの生活や趣味についてです。
商品紹介を目的にしたコンテンツもあります。筋肉を保つサプリメントの紹介コンテンツならば、筋肉の大切さ、筋肉を保つ方法、それによってできる生活、といった内容です。

これだけでも十分充実しているのですが、サントリーウェルネスは商品とは直接結びつけないコンテンツも配信しています。
ウォーキングや簡単なエクササイズといったシニア層でもできる運動について、病気を予防する知識について、といった健康に関するコンテンツはもちろん。さらに、クラシック音楽の解説や美術鑑賞といった完全に趣味の領域のコンテンツも多数あります。

会員登録すると届くようになるメルマガも同様です。幅広いコンテンツが盛り沢山で、まるで雑誌のようなボリュームです。

サントリーウェルネスの場合は、ECサイトとしても企業の母体としても十分な規模感があるので可能なことだとも言えます。しかし、ターゲット層がはっきり絞れている商材や業種であれば、そのターゲット層に向けて幅広いコンテンツを配信するのは有効です。

確かにコンテンツを作成するコストは大きくなりますが、ターゲット層に自社の商品の広告しか載っていない雑誌を購読してもらえると考えれば、効果は大きいと想像できるでしょう。

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ECサイトでリピート率を伸ばす方法のまとめ

ECサイトの運営においては、新規顧客の獲得とリピーターの育成は両輪とも言えます。どちらかが欠けても売り上げや利益を増やしたり、安定させたりするのは難しくなってしまいます。特に利益率の向上に関しては、リピーターからの売上が重要です。一般にリピーターのCPAは、新規顧客の獲得にかかるCPAの1/5で済むと言われているためです。

しかし、新規顧客の開拓に比べると、リピート対策がおそろかになるECサイトが多い傾向にあります。サイトの売上規模を拡大するために、まず購入者数を増やすことに意識が向きがちになるのは仕方のないことかもしれません。

でも、苦労して獲得した購入者の情報は宝の山です。そこからさらに多くの利益を生み出すために、リピーターを育てなければなりません。リピーターの売上から得られる効率の良い利益がなければ、さらに新規顧客を獲得するためのプロモーション費用が捻出できず、やがて行き詰まってしまいます。

ECサイト担当者にも使える労働力には限界があります。幅広い業務をこなさなければならいため、リピート率の改善だけに集中することはできません。なかなかリピート施策に時間をかけて向き合うだけの体制が作れない場合も多いでしょう。

また、ECサイト担当者にも得意不得意があります。商品開発を得意としている人が中心になってECサイトを構築した場合や、流通に強い人がECサイトの運営を担当している場合には、リピート施策は苦手ということもありえます。

もしECサイトの運営についてノウハウが不足している、リソースが足りないといった場合には、ECサイトの構築支援・運用支援を多数行なっているニューラルネットワークスにご相談ください。まずは無料相談も受け付けております。

著者紹介

津久井 渉

津久井 渉

取締役

1991年生まれ。オーストラリアの高校を卒業後、その後イギリスで建築学科を卒業し、大学院ではデザインシンキングを専攻していました。楽天株式会社へ新卒で入社。トラベル事業部でマーケティング職に約3年間従事した後、2017年には株式会社LIGにWebディレクターとして転職。2019年よりニュートラルワークスへジョイン。これまでの多岐にわたる経験を元に最高なサイト作りはもちろんのこと、貴社のビジネス上の課題解決へ導きます。