オウンドメディアとは企業や組織自身が所有し、発信を行うメディアです。近年、企業やユーザーの間で大きな注目を集めています。
オウンドメディアは発信する内容やコンセプトなどを自社で決められるため、消費者への効率的なアプローチの他、ブランディングにも非常に有用な手段です。しかし、実際にオウンドメディアを立ち上げようと考えても、次のようなの悩みにぶつかったりしていませんか?
- オウンドメディアってどうやって作ればいいの?
- 費用はどれくらいかかるの?
- どんな記事を書けばいいの?
オウンドメディアは上手く運用できれば大きな成果が期待できますが、誤った方法で進めてしまうと思うような結果が出ない恐れがあります。それどころかオウンドメディアの運用が原因でトラブルが起こり、結果として経営などに悪影響を及ぼしてしまうリスクも否定できません。
オウンドメディアを上手く活用し適切な成果を出すためには、正しい方法についての理解と、ポイントを押さえた運用が欠かせません。本記事ではオウンドメディアの立ち上げについて、以下3つの手順で詳しく解説していきます。
- 1.オウンドメディアの立ち上げ手順1:準備編
- 2.オウンドメディアの立ち上げ手順2:サイト制作編
- 3.オウンドメディアの立ち上げ手順3:コンテンツ制作編
オウンドメディアの活用を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
オウンドメディアの立ち上げ手順1:準備編
まずはオウンドメディアの立ち上げ準備です。実は世の中のオウンドメディアの約9割が、想定した成果を上げられず失敗に終わっています。その原因のほとんどが、オウンドメディア制作における準備不足によるものです。すなわちオウンドメディアを成功させるには、作り始める前にしっかり準備することが大切なのです。
とはいえはじめは何をすれば良いのかすらわからない状態でしょう。オウンドメディア制作の準備は具体的にどんなことをすればいいのでしょうか。オウンドメディアの立ち上げ準備段階では、以下の4点を押さえる必要があります。
- オウンドメディアを運営する目的を明確にする
- ペルソナ(想定読者)を設定する
- オウンドメディアのコンセプトを決める
- 自社運用か外注するか考える
早く成果を出したいと思うあまり、サイト作成など具体的な作業を進めたいと考えるのは自然です。しかし入念な準備を行ったうえで実際の作業に入ることが、結果としてオウンドメディア立ち上げの効率化につながります。
オウンドメディアの成否を大きく分けるのが、立ち上げ前の準備段階です。オウンドメディア準備段階で大切なポイントである、先ほど紹介した4点についてそれぞれ具体的に解説します。
オウンドメディアを運営する目的を明確にする
オウンドメディアを運営する目的は、必ず最初に決めておくようにしましょう。目的が不明確の状態でオウンドメディアを運営してしまうと、読者に提供する記事コンテンツの軸がブレてしまいます。方向性が定まらないままの運営となり、結果として想定した成果を出すことが難しくなります。
オウンドメディアを運営する目的は、企業が抱えている課題や弱点を克服することです。そのため運営する目的の明確化には、まずは自社の課題や弱点を正確に見極める必要があります。企業が抱える課題や弱点は、主に下記の3種類です。
- 会社や商品、サービスのブランディング
- 自社サービスや商品の見込み客の獲得
- 会社の採用促進
オウンドメディアは認知度の向上、イメージの確立においてかなり有用です。そのためブランディングを目的にオウンドメディアを運営する企業は多く見られます。ブランディングの成功は、市場における地位の確立および的確なターゲティングなどに効果的です。
また検索エンジンで上位表示されるようになれば、業界内で強い力を有しているとの認識にもつながります。見込み客の獲得にも、オウンドメディアが便利です。
オウンドメディアで発信する内容は自社商品の直接的なアピールより、ユーザーの悩みを解決させるためのコンテンツが中心となります。そのため悩みを抱えたユーザーがオウンドメディアに辿り着き、コンテンツを通して自社商品を認知する可能性があるのです。
オウンドメディアは、見込み客となるユーザーを集める上でも有用な手段です。オウンドメディアは市場における地位確立や売上拡大以外にも役立つ場面があります。そのひとつが、会社の採用促進です。
オウンドメディアを使えば、職場環境や、会社が大切にしていることなどを効率的にアピールできます。したがって求職者の興味を引ける可能性が高く、採用促進につながります。採用関連はかなりコストがかかるため、オウンドメディアによる効率的なアプローチは非常に便利です。
このようにオウンドメディアにはさまざまな目的がありますが、達成したい目的によってとるべき方法は異なります。すなわちオウンドメディアの目的を明確にしなければ、とるべき手段や効果的な施策の具体的な計画ができません。
最初の段階でオウンドメディア運営の目的を絞り、一貫性のあるメディアづくりを目指していく必要があります。オウンドメディアの運営を成功させるためには、明確な目的の設定が必要不可欠です。
ペルソナ(想定読者)を設定する
ペルソナの設定も非常に大切なステップです。オウンドメディアにおけるペルソナとは、想定読者、すなわちサイトを訪問する人物像です。ターゲットとなる人物を明確にしないと、関係者の間で想定する人物像がバラバラになってしまいます。共通認識のない状態ではイメージの相違も大きくなり、具体的な戦略立案ができません。
またユーザー視点を持つ意味でも、なるべく明確な人物像が必要です。ターゲットとなる人物について関係者間で共通のイメージを持ち、よりリアルなユーザー視点を獲得するためにも、ペルソナの設定は欠かせません。訪問者として想定される人について、できるだけ事細かに項目を設定します。設定する項目の例は以下の通りです。
- 年齢
- 性別
- 趣味嗜好
- ライフスタイル
- 職業
- 肩書き
- 家族構成
- 学歴
他にも属性となり得る項目をなるべく多く設定します。ペルソナを設定すれば、誰にどんな情報を提供するのかが明確になります。そのためコンテンツの内容やサイトに必要な機能などを決める上で役に立てることが可能です。
また既存顧客にアンケート調査などを行えば、実際の声を聞いた上でより精度の高いペルソナを設定することもできます。既存顧客はどのような属性にいるのか調査をし、具体的な結果を用いればペルソナ設定に効果的です。
ただしペルソナ設定にあたって注意するべきポイントがいくつかあります。
- 思い込みやイメージで設定をしない
- 具体的な人物像を設定するとはいえ、必要のない要素は排除する
- ペルソナ像を作りっぱなしにしない
思い込みやイメージは誰しも持っているものですが、ペルソナの設定時に反映させないよう注意が必要です。ペルソナ設定にあたって思い込みを使ってしまうと、実際に顧客となり得る人と相違が生まれる恐れがあります。
ペルソナ設定に活用する要素やデータは、数字などで明確に表すことが困難なため、人によってイメージが違うのも無理はありません。しかしなるべく現実に近い人物を設定できるよう、情報収集の徹底が必要です。
ペルソナ設定では具体的な人物像が求められますが、架空の人物をどこまで細かく想定するかは難しいところです。オウンドメディアの運営にあたって必要な要素以外は排除する必要があります。どこまでリアルに設定するかは、関係者間ですり合わせしつつ決定しましょう。
ペルソナは一度設定して終わりではありません。市場や顧客となるユーザーの動向に合わせ、ペルソナも変化させる必要があります。変化や新事実の発覚などがあれば、ペルソナに反映させることが大切です。
ペルソナとは?役割と定義、設定ポイントを解説オウンドメディアのコンセプトを決める
オウンドメディアのコンセプト決定も、立ち上げ準備段階で欠かせません。コンセプトとは全体を通して一貫した考えを意味し、方向性を決定づける重要な要素です。オウンドメディア運営において終始一貫させる考えや統一的な概念として、コンセプトの設定を行います。
コンセプトの決定で役立つのがカスタマージャーニーです。ペルソナと併せてカスタマージャーニーを設定すると、オウンドメディアのコンセプトが詳細に決まります。
カスタマージャーニーとは、企業が想定する成果(商品の購入、お問い合わせ、資料請求などのアクション)にユーザーが至るまでの 「行動」「思考」「感情」のプロセスを意味する用語です。
サイトに訪れたペルソナの行動をあらかじめプロセス化すると、オウンドメディア運用で方向性に迷うことが減ります。ユーザーの主な行動プロセスは以下の通りです。
- 1.認知
- 2.情報収集
- 3.比較検討
- 4.成約
認知とはユーザーが自身の悩みや課題を自覚する段階です。悩み・課題について解決の必要性を感じたら、実際の行動に移ります。情報収集は悩み・課題を解決する手段を見つけるため、文字通り情報収集を行う段階です。
オウンドメディアはこの段階にいるユーザーに対し、課題解決の方法を提供するようなコンテンツの発信が求められます。情報収集が進み課題解決手段の候補が複数集まれば、比較検討に移っていきます。
購入する商品や利用するサービスを決定する段階です。自社商品の特徴やメリットなど、魅力を伝えられるコンテンツが必要です。比較検討が完了したら、実際に購入などのアクションを決定、もしくは実行します。これが成約の段階です。
プロセスについて簡単に説明しましたが、コンセプト決定のためには、より具体的な内容まで検討する必要があります。たとえばSNSを使って情報収集をする人もいれば、口コミサイトを重視する人もいるでしょう。
また思考や感情にも違いがあります。「不安」が大きい人と「期待」が大きい人に対しては、適したコンテンツの内容も別物です。ペルソナがどのような動きを起こすかを明確にしていくと、自然とオウンドメディアのコンセプトや求められる要素が決まります。
各プロセスで発生する「行動」「思考」「感情」をより細かく設定し、カスタマージャーニーを明確にすることが大切です。ペルソナのカスタマージャーニーに沿えるコンセプトを設定しましょう。それぞれの段階に合わせてコンテンツを作成していけば、結果としてユーザーのニーズを満たしたメディアのコンセプトが構築されていきます。
自社運用か外注するか考える
オウンドメディアを制作する前に、自社で運用するか外注するかを考える必要があります。自社が保有するメディアとはいえ、すべて自社で運用が必要とは限りません。状況によっては外注による運営の方が効率的な可能性があります。以下の項目に当てはまる会社は、自社運用が向いています。
- 運用コストをできるだけ削減したい
- 運用するリソースが十分にある
- 自社で運用できる知識やスキル、環境がある
自社で運用する場合は外注費などのコストが必要ありません。そのためコストを抑えながらオウンドメディアを運用できます。運用コストをできるだけ削減したい場合、自社運用がおすすめです。
また運用するリソースが十分にある場合も、自社でのオウンドメディア運用ができる可能性が高いです。オウンドメディアの運用にはその分の人材確保が必要なため、自社内で人手が足りない場合は困難です。言い換えれば、運用するためのリソースが十分にある場合は、自社で十分に対応できる可能性があります。
オウンドメディアの運用には知識やスキル、そして運用を可能にする環境が必要です。これらの要素が揃っている会社も、自社運用ができるでしょう。コストを抑えたい場合や、自社で対応できるだけの余裕がある場合は、自社運用が向いています。一方で以下の会社は、外注がおすすめです。
- ある程度の運用コストがかかっても問題ない
- 運用するリソースが足りない
- プロに任せてクオリティが高いメディアを構築したい
外注のデメリットとして、運用コストが大きくなる点が挙げられます。しかしオウンドメディアにかかるリソースを削減できるため、別の業務などに集中することが可能です。運用コストがかかっても問題なく余裕がある会社なら、外注も良い選択肢でしょう。
また自社内のリソースが足りず運用が難しい場合は、外注がほぼ必須となります。オウンドメディアのために無理してリソースを割こうとしては、他の業務に悪影響を及ぼしてしまう恐れがあります。リソースに不安がある場合、無理せず外注する方が安心です。
外注の強い魅力は、プロに依頼できる点です。そのためクオリティの高いオウンドメディア運用が実現します。自社にスキルやノウハウがない、クオリティの高さを重視するなどの場合、プロへの外注が効果的です。
なお全部外注する場合もあれば、一部だけ外注するという選択肢もあります。サイト制作のみを外注する、特定の分野に関するコンテンツ制作は外注するなど、必要な部分のみの外注も有用な手段です。自社のリソースや環境、予算に合わせて適切な選択をとることが大切です。
オウンドメディアの立ち上げ手順2:サイト制作編
オウンドメディアの制作準備が整ったら、いよいよオウンドメディアの制作段階に入っていきます。オウンドメディアの特徴は、記事の更新頻度が高く、コンテンツの量産が必要な点です。効率的にコンテンツを更新するためには、必要に応じたシステムの導入検討など、事前に決めておくべき項目が複数あります。
もちろんオウンドメディアのイメージを決定づけるレイアウトについても、入念な検討が欠かせません。特に欠かせないポイントが以下の4点です。
- 必要な機能を整理する
- 使用するシステムを選定する
- 制作方法を選定する
- 制作費用を検討する
これらのポイントをしっかり決めておかないと、制作過程でつまづいてしまう場面や、すり合わせが必要な場面が増えてしまいます。効率良くサイト制作を進めるために、大切なポイントはしっかり押さえる必要があります。
サイト制作の段階は、オウンドメディアの枠組みや方向性を決定づける重要な部分です。準備編で決定したペルソナやコンセプトに合わせつつ、自社に合ったオウンドメディアを制作するために、紹介するポイントをぜひ押さえましょう。
オウンドメディアを立ち上げる際のポイントや実際の進め方、システム面で検討するべき事項などについて具体的に解説します。
必要な機能を整理する
まずは自社のオウンドメディアに必要な機能の整理が必要です。オウンドメディアの目的によって、搭載するべき機能が異なります。また早い段階で機能を整理しないと、サイト制作途中で仕様変更の必要性が起きるなど、悪影響が出てしまうリスクが高いです。
オウンドメディアのコンセプトや目的に沿って、サイトに必要な機能を整理していきましょう。必要な機能の例をいくつか挙げます。
- 問い合わせフォーム
- サイト内検索機能
- 決済機能
- ログイン機能
- お気に入り機能
ユーザーからの問い合わせ獲得や関係性構築などが目的なら、問い合わせフォームが必要不可欠です。単に問い合わせできれば良いわけではなく、使いやすさや入力項目などにも意識を向ける必要があります。
コンテンツが多くなりがちなオウンドメディアは、サイト内検索機能があると便利です。ユーザーが求める情報をより効率良く探せるため、オウンドメディアの使いやすさが高まり、結果として高評価が期待できます。
オウンドメディア上で商品を販売するなら、決済機能も欠かせません。銀行振込やクレジットカードなど、対応可能な決済方法の種類なども考える必要があります。ターゲット層が多く使う決済方法は搭載できると安心です。
なお金銭取引が発生する以上、セキュリティについても注意する必要があります。ログイン機能やお気に入り機能は必要性がやや下がりますが、ECサイトのような役割を持つオウンドメディアなら用意すると便利です。ユーザーがオウンドメディアをより効率的に使用できるようになります。
今回紹介した機能はあくまで一例です。オウンドメディアの目的によっては、この他にもさまざまな機能が必要となるでしょう。機能が足りていないとユーザーの満足度が大きく下がるだけでなく、最初に設定した目的を達成できない恐れもあります。
オウンドメディアの目的を達成するために必要な機能を、しっかり検討する必要があります。サイト制作に入った後や完成後の機能追加も可能です。しかし後から追加しようとすると、時間や費用のロスなど、前述したような悪影響の恐れが高まります。
制作を進めてから必要性が明確になる機能も存在しますが、可能な限り制作に入る前の段階で機能を整理しましょう。機能の追加が必要になると、オウンドメディア運用で重要なコンテンツ制作に集中できなくなってしまう恐れがあります。効率的なオウンドメディア運用のため、必要な機能は事前に洗い出しができると安心です。
使用するシステムを選定する
続いてはサイト制作にあたって、使用するシステムの選定を行います。オウンドメディアの制作ならCMS(コンテンツマネジメントシステム)の導入が必須です。CMSとはテキストや画像、さらにはデザインなど、コンテンツを構成する要素を管理するためのシステムです。CMSを活用すれば、保存された要素をもとにWebサイトが手軽に生成されます。
CMSを使わずにサイトを作る場合、デザインなど同じ要素を使う場合でも、各ページごとに設定や保存などが必要です。またHTMLやプログラミング言語などを使わずにサイト制作ができます。
専門知識がなくてもオウンドメディアを制作できる点が非常に大きなメリットです。多くのコンテンツを搭載するオウンドメディアなら、CMSを使ってのサイト制作が効率的です。本記事ではおすすめのCMSとして、WordPressというソフトウェアを紹介します。WordPressの特徴や注意点は以下の通りです。
WordPressの特徴①:ソフトウェア自体は無料で使用できる
WordPressはオープンソースで提供されているため無料で使えます。無料といえど機能は十分に充実しているため、問題なくサイト制作を進められます。
ただしWordPress自体は無料ですが、オウンドメディア運用のためにはサーバーなどの用意が必要です。サーバー代が多少かかってしまう点はあらかじめ把握しておきましょう。また追加機能の一部には有料タイプがあるため、場合によっては多少のコストがかかる可能性があります。
WordPressの特徴②:豊富なプラグイン(追加機能)で好きなようにサイト制作ができる
WordPressにはプラグインという追加機能が豊富に用意されています。プラグインとはもともとのWordPress本体には備わっていない機能を追加できるシステムで、上手く活用すれば好きなようにサイト制作が可能です。プラグインの追加や削除はほとんどの場合、管理画面からワンクリックで完了します。
WordPressの特徴③:役割に合わせたユーザー権限設定が可能
WordPressには複数のユーザーを登録できる上、ユーザー権限の種類が豊富なため役割に合わせた設定がしやすいです。WordPressのユーザー権限は以下5種類です。
- 管理者:全ての操作が可能
- 編集者:コンテンツに関する全ての操作が可能、根幹の設定に関わる権限はなし
- 投稿者:記事の投稿・編集・公開が可能
- 寄稿者:記事の下書きと編集のみ可能、公開はできない
- 購読者:編集はできず閲覧のみ可能、会員制サイトなど特定の場面で使う
責任やポジションに適した権限を設定できます。
WordPressの注意点
WordPressはオウンドメディア制作において非常に便利なCMSですが、以下のような注意点もあります。
- 電話サポートなどのシステムがないためトラブル発生時の対応がやや大変
- プラグインのバージョンによっては正常に作動しない恐れがある
特にサポートがない点は、疑問点や不安などの解消が難しいため注意が必要です。WordPressを適切に活用するためには、積極的な情報収集が求められます。
制作方法を選定する
オウンドメディアの制作方法を選定します。サイト制作の方法は大きく分けて以下の3つです。
- 自社で制作する
- Web制作会社に依頼する
- 制作工程別に自社とWeb制作会社で分担する
自社で制作するメリットとして以下が挙げられます。
- サイト制作のコストを抑えられる
- 認識のすり合わせが十分できているケースが多いため相違が起こりにくい
サイト制作を外注する場合、数十万から数百万といった大きなコストが必要です。自社でサイト制作をすれば制作会社へ依頼する分の費用がかからないため、非常にコストを抑えられます。
また関係者間でしっかりすり合わせができていれば、オウンドメディアに対する共通認識が十分な状態となります。そのため一から共有する手間が減り、認識の相違によるすれ違いも起こりにくいです。理想が叶いやすいという点も大きなメリットといえるでしょう。
一方で自社で制作する場合、リソースの確保や高クオリティの実現がやや困難です。サイト制作にはかなりの時間と労力がかかるため、リソースにかなりの余裕が必要です。また高クオリティなサイト制作には高いスキルが必要なため、専門知識がないとクオリティが下がってしまう恐れがあります。
Web制作会社に依頼するメリットは以下の通りです。
- 自社でリソースを割く必要性が減る
- 専門家による高クオリティなサイトが期待できる
Web制作会社に依頼すれば、サイト制作のために自社でリソースを割く必要性を減らせます。浮いた分のリソースで別の事業やコンテンツ制作など、生産性の高い活動が可能です。またWeb制作会社はサイト制作に関するプロの集まりなため、豊富な実績やノウハウを有しています。自社だけでは難しいような高クオリティなサイトも期待できるでしょう。
ただしWeb制作会社に依頼する場合、前述したように多額の費用が必要です。自社とWeb制作会社の担当者の相性が悪い場合などは、制作に滞りが起きてしまう恐れもあります。必要なコストや相性面でのリスクについては注意が必要です。
すべて自社もしくは外部へ依頼するのではなく、制作工程を分担する方法もあります。自社にノウハウがある部分がリソース的に対応できそうな部分は自社、難しい部分は制作会社へ依頼します。こうすれば制作にかかる費用を抑えつつ、無理なリソースを費やす心配もありません。
それぞれの制作方法にメリット・デメリットがあり、会社の状況によって適した方法は異なります。自社に合った制作方法の選定が、スムーズなサイト制作のために大切です。
制作費用を検討する
Web制作会社に依頼する場合は、制作費用の検討が非常に重要です。サイト制作に必要な費用や相場をある程度把握し、自社が割り当てられる予算に合わせて依頼を進めます。ひとくちに制作費用といっても、Web制作会社および依頼する内容によって費用の幅が大きいです。
前述したように数十万円から数百万円と幅があり、一概に目安を伝えることはできません。比較的大きな額が必要と認識し、その上でどれほどの制作費用を出せるか検討しましょう。
またサイト制作を依頼するWeb制作会社を選定する際は、複数の会社へ見積もり依頼を行った上で選ぶと安心です。値段はあくまで基準のひとつではありますが、比較検討の材料として役立ちます。なお見積書を受け取ったら、以下のポイントを意識してチェックしましょう。
- デザインやコーディング、運用試験や運用後のサポートなど、各フェーズに対しての費用が明確に記載されているか
- 極端に高額な項目がないか
- 「その他」「など」といった曖昧な項目がないか
- 依頼したいと思っているフェーズが漏れなく記載されているか
まずは見積書の内容が詳細に記載されているか、最初に確認が必要です。金額の内訳がわからなければ金額の適正を判断できないだけでなく、他の会社との比較が難しくなってしまいます。
また極端な高額が設定されているフェーズがあれば、内容に注意が必要です。明確な理由があっての高額ならともかく、特に説明もなく金額が設定されている場合は不信感があります。各項目の金額をしっかり照らし合わせ、不自然な部分がないか確認しましょう。
「その他」「など」といった曖昧な文言も注意するべきポイントです。数千円や数万円といった小さな金額であれば、すべて記載すると逆にわかりにくい恐れがあるため、まとめていても問題ありません。
しかし曖昧な項目でありながら、合計金額が数十万を超える場合は、詳しい内容を確認するべきです。依頼したいと思っているフェーズが漏れなく記載されているかも必ずチェックします。
サイト制作すべてを依頼するつもりが、途中の工程しか見積書に記載されていない場合、認識の相違が起きている恐れが強いです。逆に一部の工程のみ任せるつもりが、必要以上の工程について見積を取られている場合も、トラブルの原因となります。
サイト制作には多額の費用が必要だからこそ、自社で制作費用をしっかり検討し、そのうえで見積書の入念なチェックが大切です。
オウンドメディアの立ち上げ手順3:コンテンツ制作編
オウンドメディアで成果を上げるためには、戦略的な運用と高品質なコンテンツ制作が必要です。事前に明確にしておいた運用目的を軸に、ユーザーの満足度や信頼性を高めるためのコンテンツ制作を進めていきます。
サイト制作がある程度終わりに近づいたら、以降はコンテンツ制作が、オウンドメディア運用に関する中心業務になります。そのためコンテンツ制作のフローを明確にしておくと、分業体制の構築や運用効率のアップにつながります。
コンテンツ制作で大切なポイントは以下の6点です。
- 対策キーワードを決める
- キーワードに対する検索意図を考える
- 記事の構成を作成する
- 記事の本文を執筆する
- 挿絵やアイキャッチ画像を作成(選定)する
- オウンドメディアに入稿する
質の良い文章を作ることも大切ですが、オウンドメディアに掲載する以上、記事を見つけてもらうための仕組み作りも大切です。
ひとくちにコンテンツ制作といっても、やみくもに記事を量産するだけでは成果につながりません。サイト制作までの段階と同様、実際のコンテンツ制作作業に入るまでにさまざまな準備が必要です。
対策キーワードの決定やユーザーが検索する理由などを明確にし、コンテンツ制作に必要な情報が揃ってから政策に入ります。先ほど紹介した6つのポイントについて、それぞれ具体的に解説します。
対策キーワードを決める
コンテンツ制作にあたって最初にやるべき作業は、対策キーワードの選定および決定です。対策キーワードを選定する目的として、主に以下の2点が挙げられます。
- コンテンツを効率良く制作する
- SEO戦略を進める
キーワード選定はいわば、コンテンツの方向性を確定するための手段です。どのようなコンテンツを制作するか考える上で、キーワードさえ設定すればそれだけでテーマが決まります。
どのようなコンテンツを作るか決まれば、その後のコンテンツ制作もスムーズに進みやすくなります。したがってコンテンツの効率的な制作のため、キーワード選定が必要不可欠です。
またSEO戦略を進める上でも、キーワード選定が効果的です。SEO戦略においては、自社オウンドメディアと関連性の深いキーワードを網羅する必要があります。対策するキーワードが明確になれば、関連性のあるキーワードの網羅も進めやすくなり、SEO戦略の効率化につながります。
続いてキーワード選定の具体的な方法です。キーワードを決める方法としてさまざまなものが挙げられますが、今回はひとつ紹介します。手順は以下の通りです。
- 1.インパクトや検索数の大きい単体キーワードを設定する
- 2.候補となるキーワードをなるべく多く出す
- 3.キーワードをカテゴライズする
単体キーワードの設定とは自社が狙う検索市場、すなわちメインとなるテーマの設定を意味します。サービスや事業をイメージする際に最初に浮かび上がるキーワードです。
女性向けカジュアルファッションブランドを展開するなら「女性 ファッション」、洋菓子店なら「ケーキ」「スイーツ」などが例となります。この段階で設定するキーワードは、検索で1位を狙うのは難しいものです。
しかし勝負の場となる検索市場およびテーマの設定では、ニッチ過ぎるキーワードは避けたほうが良いでしょう。オウンドメディアのコンセプトに注意しつつ、最終的に上位表示を目指したいキーワードを選定します。
続いては候補となるキーワードの選定です。この段階では、以下2つの方法で関連するキーワードをとにかく多く挙げていきます。
- ツールを活用する
- 既存顧客や関係者などにヒアリングする
ネット上には単体キーワードを入力すると、それを基に関連キーワードを複数ピックアップしてくれるツールが多数存在します。この段階ではとにかくキーワード候補を多く挙げるのが目的なため、ツールの活用が非常に効率的です。
また既存顧客や自社の営業担当など、サービスと近い位置にいる人にヒアリングし、キーワードを抽出する方法もあります。キーワード候補がある程度集まったら、それぞれをカテゴリ別に分類します。
キーワードを分類することで、充実しているカテゴリ、不足していて弱みを感じるカテゴリなどの明確化が可能です。強みや作る上で有用な上、キーワードを追加する際の指標としても役立ちます。このような手順で、オウンドメディアの対策キーワードを決めていきます。
キーワードに対する検索意図を考える
単にキーワードを決定しただけでは、コンテンツ制作の材料として不十分です。ユーザーがそのキーワードで検索する理由、すなわち検索意図を考える必要があります。
ユーザーは何らかの目的を達成するため、キーワードを使って検索をします。そのため目的に合わないコンテンツでは何も解決できず、ユーザーの満足度につながりません。
検索意図の検討はユーザーのニーズを満たすコンテンツを制作し、満足度や信頼感を高めるために重要です。検索意図を考える方法として、実際の検索結果を調査する方法が挙げられます。
たとえばGoogleで「洗濯」と検索すると、サジェスト(検索欄に自動表示される関連ワード)で以下の内容が表示されました。
- 洗濯表示
- 洗濯槽クリーナー
- 洗濯機おすすめ
- 洗濯洗剤
サジェストはユーザーが実際に検索したキーワードを分析し、関連性が高いものを自動で表示させるシステムです。すなわちサジェストを見れば、ユーザーが実際にどのような検索をしているかある程度把握ができます。
実際の検索結果を活用する方法もあります。具体的なやり方の例は以下の通りです。
- 1.上位表示されているページのタイトルや見出しを確認
(上位表示されているサイトは評価が高い=ユーザーのニーズを満たせていると予想できる) - 2.上位表示されているサイトの共通点を押さえる
- 3.上位表示されているサイトに不足している情報を考える
ユーザーのニーズを満たしていると考えられるサイトは、検索意図を予測する上でも役立ちます。実際に上位表示されているサイトを参考にしつつ、コンテンツに必要な要素を的確に絞り込んでいきます。
Q&Aサイトの活用も、検索意図を調べる上で便利です。Q&Aサイトはユーザーが疑問を解消するために活用します。すなわち上手く活用できれば、ユーザーが抱える悩み、解決したい課題をより具体的に把握できるのです。
またカスタマージャーニーの活用も、検索意図を考える際に有用です。ユーザーは課題の認知からアクションの成約までに、行動や思考などのさまざまなプロセスを踏みます。ユーザーの起こす動きを想像できれば、自然と検索意図のイメージも近づけられるでしょう。
カスタマージャーニーを使う際には、自社のイメージや理想で進めないよう注意が必要です。「このプロセスではユーザーにこんなアクションをして欲しい」という考えは単なる理想であって、検索意図を考える際には邪魔になってしまいます。
最初に設定したペルソナ像を活用しつつ、顧客目線でカスタマージャーニーの設定や検索意図の検討を進めましょう。
記事の構成を作成する
キーワードの選定や検索意図の検討が完了したら、コンテンツの方向性は決まります。しかしすぐに本文の執筆に入れるわけではありません。まずは記事の構成を作成する必要があります。
構成とは簡単に言うと、コンテンツの設計図です。設計図なしの状態で作成を進めてしまうと、テーマのズレが発生するリスクが高くなります。一貫性がなく何が言いたいのかわからない、結果として検索意図を満たせない記事になってしまうのです。
そのためいきなり記事執筆を進めるのではなく、まずは設計図となる構成を作成します。記事コンテンツは以下の3部から成り立っています。
- リード部分
- 本文
- まとめ部分
リード部分とは本文が始まる前の序論です。この部分で記事の大まかな内容を説明します。本文は文字通り記事のメイン部分であり、検索意図を満たすための情報提供を行います。
まとめ部分は本文の締めや大切な部分の再主張などを行う、いわゆるクロージングの部分です。記事構成で特に「本文」の方向性を定める上で大切な過程です。作成方法はさまざまなものがありますが、一例を紹介します。
- 1.コンテンツのテーマを絞り込んで決める
- 2.検索意図を満たすために必要な要素を洗い出す
- 3.見出しを作成する
その際、記載する内容をなるべく詳細にメモすると執筆がしやすい - 4.タイトルを作成する
ひとつの記事に盛り込むテーマは原則としてひとつです。情報量が多すぎるとまとまりがなく、どの層にも響かない記事になってしまいます。そのためコンテンツのテーマとなるキーワードをひとつ設定します。
テーマを絞り込んだ後は、検索意図を満たすための要素について、改めて洗い出しが必要です。それらの要素を盛り込んだ本文になるよう、見出しを作っていきます。ユーザーは見出しを見て記事の内容をある程度把握し、読み進めるか否かの判断をします。そのため見ただけで書かれている内容がわかるような見出しの設定が必要です。
また検索エンジンも見出しを基にページの内容を判断し、評価に活用します。見出しと併せて内容をなるべく詳細にメモすると、その後の執筆がスムーズに進みます。各見出しごとの目安文字数なども決めると、あとの過程で便利です。タイトルを決めるタイミングは特に決まりありませんが、見出しなどの設定が済み記事の方向性が決まった最後の段階がおすすめです。
SEOやわかりやすさの観点から、選定したキーワードを最初の方に入れましょう。最後に完成した構成を改めて読み直し、一貫性があるか、検索意図を満たしきれているか確認します。作りっぱなしにせず、最後の確認が必要不可欠です。
SEO記事は構成が重要!記事の作成方法を解説記事の本文を執筆する
構成が完成したらいよいよ記事本文の執筆に移ります。基本的には作成した構成に沿って執筆を進めつつ、必要な要素を的確に盛り込めるよう注意が必要です。記事執筆の際に注意したいポイントをいくつか紹介します。今回紹介する内容は以下の5点です。
- ひとつの見出しで伝える内容はひとつ
- 最初に結論から伝える
- 冗長な文を避ける
- 文末表現や表記の仕方など細かな部分も注意する
- 必ず最後に読み直しを行う
ひとつの見出しで伝える内容は原則としてひとつに絞ります。見出しは記事を細かく分割し、わかりやすくする役割を持つ要素です。そんな見出しの中に複数の内容が詰め込まれては、見出しを用意する意味が薄れてしまいます。各見出しではひとつの内容のみ記載し、必要であれば見出しを増やしましょう。
文章の書き方にも注意点があります。メディア記事においては、最初に結論から伝え、それから理由を伝えるのが効果的です。最後に結論を持っていくと回りくどい印象になってしまい、ユーザーが離れてしまう恐れが強まってしまいます。
とはいえオウンドメディアのコンセプトや目的によっては、結論は最後の方が有利なケースもあるでしょう。基本的に検索意図を満たす目的なら結論が最初ですが、場合によっては順番が変わると押さえておくと安心です。
冗長な文とは無駄な要素が多く、必要以上に長いものを指します。以下に当てはまるものは冗長表現です。
- 類語の重複(「頭痛が痛い」「馬から落馬」など)
- 二重敬語(「おっしゃられる」など)
- 二重否定(「できないわけではない」など)
- 同じ単語の連続(「サイト制作では、コンセプトに沿ったサイト制作が大切です。」など)
- 不必要に長い文末表現(「~することができる」など)
長い文章を書いていると、どうしても冗長表現が増えがちです。回りくどさや幼稚な印象を与える原因になるため、メディアに掲載するコンテンツではなるべく避けて執筆します。
文末表現や表記の仕方など、細かな部分も注意が必要です。メディアに掲載する文章は「~です。」「~ます。」などの文末が一般的ですが、同じ表現が続くと単調で読みづらい文章になります。
また同じメディアおよび記事内で、同じ単語なのに表記が違うと統一感がなくなってしまいます。非常に細かい部分ですが、記事の質を高めるために注意しましょう。
本文の執筆が一通り終わったら、最後に改めて読み直しを行います。内容にブレがないか、必要な要素を盛り込めているか、文章に変な部分がないかしっかり確認します。
挿絵やアイキャッチ画像を作成(選定)する
本文の執筆が完成しても、より良いコンテンツ実現のためにできる作業がまだあります。それが挿絵やアイキャッチ画像の用意です。テキストだけで構成されたコンテンツは、どうしても視覚的なインパクトを与えられません。
たとえオウンドメディアのデザインが華やかだとしても、コンテンツに画像が一切なければ退屈なイメージにつながりやすくなります。そのため記事の途中に、挿絵など画像コンテンツが求められます。
アイキャッチとはもともと、「画像・映像で注意を引きつける」という意味の用語です。記事コンテンツではメニューなどの画面において、タイトルと一緒に表示されるケースが多いです。記事の内容を視覚的にアピールできるため、クリック率のアップが期待できます。挿絵やアイキャッチ画像の用意では、以下の点に注意が必要です。
- 内容にあった画像を選ぶ
- バランスを見て適切な数を入れる
- コンテンツの質を高める上で必要な画像は惜しまず用意する
挿絵やアイキャッチ画像は何でも良いわけではありません。内容にあったデザインを選びましょう。本記事のような「オウンドメディア」がテーマの記事なら、たとえば食べ物や大自然の画像は一切関係ありません。内容に合わない画像を選んでしまうと、統一感がなくなる原因になります。特にアイキャッチは、タイトルとの関連性を感じられる画像を選びましょう。
文章量と画像のバランスも大切です。画像は視覚的なインパクトを与え、単調な印象を打破する上で役立ちます。しかし多ければ良いわけではなく、入れすぎると逆にうるさい印象になってしまいます。文章量や間隔に合わせた枚数選びが必要です。
もしコンテンツの質を高めるために画像が必要と判断した場合、多少面倒でもしっかり用意しましょう。たとえば画像を使わないと説明が難しい内容や、写真で見本を見せる必要がある場合などです。ユーザーの満足度に大きく影響するため、手間を惜しまず対応する必要があります。
画像を用意する主な方法は以下3種類です。
- 画像素材サイトから用意する
- デザイナーに依頼する
- ソフトを使い自社で作成する
Web上には挿絵やアイキャッチに使える画像を提供する素材サイトが複数存在します。完全有料のサイトもあれば、1日特定の枚数まではダウンロード無料、もしくは完全無料のサイトなどさまざまです。
よく使われる素材サイトとして「写真AC」「Pixabay」「PIXTA」などが挙げられます。キーワードで絞り込み検索ができるため、イメージに合った画像を簡単に探せます。デザイナーへ依頼すれば、理想の画像を用意できる可能性が高いです。
説明用の画像など複雑なデザインが必要な場合、多少費用はかかりますがデザイナーへの依頼をおすすめします。画像制作・編集ソフトを使い、自社で作成する方法もあります。簡単な画像であれば、自社で用意しても良いでしょう。より良い記事にするためには、画像の用意も効果的です。
オウンドメディアに入稿する
記事のチェックが済み画像の用意も完了したら、ついにオウンドメディアに入稿を行います。オウンドメディアへの入稿は、前述したCMSの活用が便利です。ページごとの細かい設定が不要で、最低限の作業のみでコンテンツの入稿ができます。
オウンドメディアの入稿段階では特別なルールなどは特になく、進め方は基本的に会社の自由です。しかし以下の内容を事前に決めておくと、オウンドメディアへの入稿をより効率的に進めやすくなります。
- 入稿・投稿作業の担当者
- 入稿フローのルール
- 記事コンテンツを公開する時間帯
- 記事コンテンツの更新頻度
記事の入稿は手作業なため、当然ですが作業を行う人が必要です。入稿の度に担当者を割り当てるようでは非効率的で、時間や労力を無駄に使ってしまいます。そのため事前にCMSへ入稿する担当者を決めましょう。
なお前述したように、WordPressではユーザーの役割に合わせた権限の設定が可能です。たとえば新規作成・編集のみが可能な寄稿者権限のユーザーが記事を入稿し、公開権限を持つ別の人が最終チェックをしてから投稿する手順もとれます。
もちろん入稿後すぐに公開もできますが、文字装飾の確認などをするために最終チェックの段階を入れるのも良いでしょう。入稿フローについても事前に明確なルールを設定できると効率的です。
もし担当者が複数いる場合、ルールが設定されていなければ、人によって入稿方法が変わる恐れがあります。統一感を出すためにいちいち修正をするのは手間であり、効率的とはいえません。
入稿フローについて明確なルールを設定し、可能であればマニュアル作成を行うと安心です。記事コンテンツを公開する時間帯を決めておけば、メリハリのある業務につながります。
あまりにも自由度が高い状態では、どうすれば良いかハッキリせずかえって疲れてしまう恐れがあります。記事公開のタイミングを設定は、効率的な入稿作業のために有用です。
とはいえ別業務との兼ね合いなどスケジュール的な都合には柔軟な対応が求められます。運用体制の構築や長期的な計画設定には、記事コンテンツの更新頻度の設定も効果的です。
記事を更新する頻度によって、必要なリソースや担当者の数が変わります。またバラバラな更新頻度では、ユーザーの定着率が下がってしまう恐れもあるでしょう。より効率的な入稿作業およびユーザーの満足度向上を実現させるために、コンテンツの更新頻度も設定が求められます。
オウンドメディアを成功させる運用のポイント
オウンドメディアを成功させるためには、運用で大切なポイントを押さえる必要があります。またオウンドメディアの特質についても理解が欠かせません。オウンドメディアを成功させる運用のポイントとして、以下の4つが挙げられます。
- 短期間での成果を求めない
- 十分なリソースを確保する
- 記事制作の外注を検討する
- 分析ツールを導入してPDCAを回す
オウンドメディアについて理解が足りない場合、成果が出る前に諦めてしまうリスクが強まります。逆に成果が期待できない方法をずっと続けてしまい、時間と労力を無駄に使ってしまうかもしれません。
オウンドメディアの運用を成功させるには、オウンドメディアそのものに対する理解、そして正しい方法での運用が必要です。長期的な取り組みになるため、その場しのぎの施策や対応は得策といえません。長い目で見た計画を立て、焦らず運用を続ける必要があります。
とはいえ何もせずにいるわけではなく、時にはスピーディーな判断および対応が求められます。誤った方法を続けることがないよう、定期的なチェックや振り返りが大切です。先ほど紹介したオウンドメディアを成功させる運用のポイントについて、それぞれ具体的に解説します。
短期間での成果を求めない
オウンドメディアの成功で大切なポイントが、短期間での成果を求めないことです。最初はアクセスがなかなか増えないため、成果が出ないと判断して早々に辞めてしまうケースもあります。
しかしオウンドメディアにアクセスが集まり、具体的な成果が出るまでには時間がかかるのが当然です。したがってオウンドメディアは、立ち上げてすぐに結果を求めるべきものではありません。
オウンドメディアで短期的な成果が難しい理由として、検索エンジンの仕様が挙げられます。まずサイト上に存在するすべてのページが検索エンジンに認識されるまでに、ある程度の時間が必要です。検索結果の上位表示に至るまでには最低3ヶ月、長いと半年以上かかってしまいます。
このようにオウンドメディアの運用を始めたばかりの頃は、そもそも検索エンジンで見つかりにくい状態です。これではユーザーの訪問数を増やすのも難しいため、当然成果も出にくくなってしまいます。
サイト全体のコンテンツが少なく情報量が少ないというのも、上位表示につながりにくい理由のひとつです。このような状況を打破するにはコンテンツを増やし、運用を続けるしかありません。最初に決めたオウンドメディアの目的に沿って記事を増やしていけば、少しずつ検索結果に表示されるようになってきます。
しかしオウンドメディアのアクセスが増えても、そこから売上などの具体的な成果が出るまでにはさらに時間が必要です。前述した認知〜成約までの行動プロセスを見ていただくとわかるように、ユーザーが認知してから実際に購入するまでにはいくつかの段階があります。
特に現代はユーザーの選択肢が多い状態なため、その分情報収集や比較検討も長くなりがちです。オウンドメディアを通じてユーザーとの信頼関係が十分に育つことで、ようやく購入などの具体的な成果につながるのです。
オウンドメディアの運用を長く続ければ、継続的に閲覧するユーザーが増えます。そこからようやく会社の商品を利用しようとする人が出てきます。このようにオウンドメディアは短期での成果を出すのは難しい手法です。そのため短期的な成果を期待してしまうと、成果が出ないと諦めてしまうかもしれません。
しかし継続し続ければユーザーとの良好な関係構築につながり、長期的な成果が期待できます。オウンドメディアは短期間の成果を求めず長期の運用を前提とし、成果が感じられない時期でも記事を書き続けることが大切です。
十分なリソースを確保する
オウンドメディア運用のためには、十分なリソースを確保する必要があります。大前提として、オウンドメディア運用のために、自社のリソースを超えるほどの無理はしてはいけません。しかし少なくとも数日に1回など、定期的に更新し続ける意識は必要です。
オウンドメディアで成果を出す効果的な運用のためには、リソースの確保が非常に重要です。オウンドメディアを運用を効率的に成功へと導くためには、しっかりとした運用体制を整える必要があります。
そのためにはコンテンツ制作のためのチームを編成するほか、会社全体がコンテンツ制作に意識的に協力してくれるような組織づくりが鍵です。オウンドメディアの運用に必要な人材として、以下の役割が挙げられます。
- 総括
- ディレクター
- ライター
- マーケター
総括は全体をまとめる役割です。オウンドメディアのリーダーと言い換えても良いでしょう。全体的な指示出しや管理・分析など、オウンドメディア運用における根幹を担います。ディレクターもリーダーのような役割ですが、より実務に近い部分に携わります。
オウンドメディアにおいては、記事の方向性を決める構成の作成や記事の確認、入稿作業などを担当するケースが多いです。記事のクオリティと公開頻度の両方を高くするには、ディレクターの役割を担う人材を十分に確保する必要があります。
ライターは記事コンテンツを執筆する役割です。構成から作成するケースもあれば、すでに出来上がった構成を基に執筆を進めるケースもあります。記事コンテンツを多く制作するためには、その分ライターの数も必要です。
マーケターは広告宣伝を中心に、マーケティングを担当する人を指します。オウンドメディアにおいては、実際の記事執筆ではなく、売上などの成果を挙げるために必要な要素を洗い出す役割です。マーケティングのためにオウンドメディアに盛り込むべき内容を正確に挙げることが求められます。
オウンドメディアの目的によっては、上記以外にも必要な人材、もしくは目的に合わないため重要度の低い役割もあるでしょう。そのため自社のオウンドメディアに必要な人材の明確化が大切です。
どのような人材が必要かを明確にしたら、十分なリソースを確保します。もし想定よりリソースが小さくなってしまったら、オウンドメディアの運用計画を見直す必要があります。用意できるリソースで十分に達成できる目的を設定しましょう。各工程に最適な人材を確保し、運用体制を強固なものにする必要があります。
記事制作の外注を検討する
オウンドメディア運用のためにはリソースの確保が必要不可欠とお話しました。とはいえどうしても、社内でリソースを確保できない場合もあります。そういった場面に対応できるよう、記事制作の外注も選択肢として持っておきましょう。
外注の場合は自社で運用するよりも、記事制作のコストがかかってしまいます。しかし高品質なコンテンツを大量に作成できる点が非常に魅力的です。またコンテンツ制作のプロに業務を委託すれば、SEO対策など集客を意識したコンテンツ制作も実現します。集客効率が上がるため、コストはかかるものの、トータルで見た利益が自社運用より大きくなる可能性も高いです。
コストを抑えようと限られたリソースで記事制作を進めると、十分な量かつ質の高いコンテンツの実現は難しくなってしまいます。業務量が増えるにもかかわらず利益につながらないというリスクが高いです。
最初は損益がマイナスになる、継続的にコストが発生し続けるなどのデメリットはあります。しかし長期的には大きな成果に貢献する可能性も高いのです。記事制作を外注する際に押さえたいポイントは以下の通りです。
- 求める分野の記事制作が得意な外注先を選ぶ
- 過去に制作した記事など実績を確認する
- イメージをしっかり共有する
- 可能であればマニュアルなどを提供する
ひとくちに記事制作といってもジャンルはさまざまであり、外注先候補によって得意とする内容も異なります。幅広く対応できるケースがほとんどですが、なるへわく自社が求めるジャンルを得意とする外注先を選べると安心です。過去に制作した記事も確認できると良いでしょう。
実績としてデータを掲載しているとはいえ、実際に制作したコンテンツを見なければ、実力の把握が難しいです。温度感など記事の雰囲気に特徴がある場合もあるため、過去に制作した記事を確認することをおすすめします。
記事の外注を依頼する際は、イメージの共有が重要です。コンセプトやターゲット、目的など、オウンドメディアの運用における大切な要素をしっかり共有します。完成イメージや希望がある場合も、細かい部分までしっかり伝えましょう。もし可能であれば、記事制作のマニュアルを用意すると効率的です。
記事内における表記の仕方や記号の使い方など、細かな部分が違うだけでも統一感が崩れてしまいます。必要に応じて後から修正も可能ですが、マニュアルで事前に伝えられると手間を抑えられます。外注とはいえ、ポイントはしっかり意識が必要です。
分析ツールを導入してPDCAを回す
オウンドメディアを公開し定期的にコンテンツの投稿を行うだけでは、十分に運用できているとはいえません。より良い成果を出すためには、分析ツールを導入しPDCAを回す必要があります。PDCAとはPlan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)のサイクルを意味する用語です。
計画を立てて実行しただけでは、実際にどのような成果が出ているか、必要な改善策は何かの判断までは不可能です。PDCAサイクルを回すことで、現状の把握や適切な改善の実施が可能になります。
オウンドメディアの場合は「記事の投稿」「効果測定」「改善」の繰り返しです。オウンドメディアにおける分析内容として以下が挙げられます。
- 検索順位
- キーワードごとの検索流入数
- アクセス数
- CV獲得数、CV率
- 直帰率
検索順位やキーワードごとの検索流入数は、オウンドメディアの成果を見る上で欠かせないポイントです。オウンドメディアは検索エンジンからの集客が非常に重要なため、検索エンジン関連のデータは重視する必要があります。
アクセス数やCV数、直帰率などは、単純な数値ではなく過去との比較が必要です。施策を行ったのに成果が出ていない、もしくは数値が下がっている場合などは、早急な対策が求められます。
オウンドメディアのデータ分析では、分析ツールの活用が便利です。分析ツールにはさまざまなものがありますが、今回は無料かつ手軽に使えるものを紹介します。
Google Search Console
Google Search ConsoleはGoogleが無料で提供しているツールです。Google Search Consoleでは以下のようなデータが分析できます。
- Googleの検索結果(表示回数や検索順位)
- 自社オウンドメディアの被リンク数
- サイトの表示速度
分析で便利な情報は表示回数や検索順位です。どのようなキーワードで検索されたときに表示されたか、検索順位は何番目かを手軽に把握できます。また検索結果に表示された回数のうち、何回クリックされたかも確認可能です。
Googleサーチコンソールとは?使い方と登録方法や設定を解説
Webサイトの集客状況を分析する際にGoogleアナリティクスと同じくらい役立つのがGoogleサーチコンソールです。サーチコンソールへの登録方法やGoogleアナリティクスとの連携方法について、わかりやすく解説します。
Google Analytics
Google Analyticsも、Googleが無料で提供しています。Google Search Consoleは検索エンジンに関するデータが中心でしたが、Google Analyticsはサイト内部に関するデータを多く扱っています。確認できる具体的なデータ例は以下の通りです。
- ユーザー数(ユーザーが同じ場合、訪問した回数に関係なく1になる)
- セッション数(同じユーザーが2回訪問したら2とカウントされる)
- サイトの滞在時間
- 離脱率・直帰率
- ページごとのアクセス数
満足度の高いサイトが実現できているか把握する上で欠かせないツールです。
Googleアナリティクスとは?登録方法や使い方、分析方法を解説
Webサイト運営者の多くはGoogleアナリティクスに登録し、日々のデータを見てサイトの改善を行っています。でも、初めて利用する人には何を見て、どのようにサイトを改善していけばいいのかわかりませんよね?初心者向けにGoogleアナリティクスをわかりやすく解説します。
オウンドメディアを成功へ導くために入念な準備を!
オウンドメディアの立ち上げから運用を成功させるためのポイントを解説してきました。さまざまな内容について解説しましたが、最も大切なのは制作に取り掛かる前の準備段階です。準備がしっかりできていなければ、土台がない状態でオウンドメディアの制作を進めることになってしまいます。
準備不足の状態から想定した成果の実現はほぼ不可能であり、失敗に終わってしまう恐れが非常に強いです。準備は非常に時間と手間がかかりますが、オウンドメディア成功のためにしっかり進める必要があります。
もちろんサイト制作やコンテンツ制作でも、注意するべきポイントは複数あります。しかしいずれの段階も、細かく分割すると準備段階に当てはまる作業が多いです。サイト制作段階における必要機能の整理や制作方法の選定、コンテンツ制作の構成作成までは準備といえるでしょう。
準備段階はなかなか具体的な作業に入らず、目に見えた進捗の確認も難しいです。その上具体的な方針が決定するまでに、最終決定とは無関係な要素も多数現れるため、無駄に感じてしまうかもしれません。
しかしオウンドメディアの運用を成功させるには、準備段階が非常に重要な役割を持ちます。そして一見無駄と見える過程も、最終決定に必要だった大切な部分です。そのため準備段階を早く済ませようとせず、時間を確保してじっくり取り組みましょう。
オウンドメディアを運用する目的およびコンセプトを明確にし、それを達成できるようなサイトを作り上げます。ユーザーの検索意図を満たせるコンテンツを提供し、信頼獲得と関係性の構築を進めます。短期的な成果が出る手法ではないため、長期的な運用が前提です。
成果が出るまで苦しい時期が続くかもしれませんが、正しい方法で行えば大きな成果の実現が期待できます。もし自社でのオウンドメディア立ち上げが難しければ、外部へ依頼すると効率的です。
ニュートラルワークスではオウンドメディアに対応したサイト制作のご相談を受け付けています。オウンドメディアに必要な工程すべてに対応しており、会社に適したサイト制作を実現します。
オウンドメディア立ち上げを検討しているものの悩んでいる段階であれば、まずはお気軽に無料相談をご利用ください。お悩みや不安を解消することが、オウンドメディア成功を叶える第一歩となります。