リスティング広告のエリアターゲティングとは、特定の地域を指定して広告を配信する広告戦略の一つです。
「広告費用をかけているわりに、効果が見られない」という場合は、リスティング広告のエリアターゲティングを検討してみましょう。
リスティング広告のエリアターゲティングは、配信不要の地域を除外することも可能なため、広告費用の節約や予算配分を効率良く行うこともできます。
この記事では、リスティング広告のエリアターゲティングについて、どういった企業が導入に向いているのかといった視点から、実際にGoogleやYahoo!での設定方法、そして地域の除外方法を解説します。
加えて、併用して導入すると、効果をより高められる3つの施策についても紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
リスティング広告の「エリアターゲティング」とは、特定の地域に絞ってWebサイトのコンテンツを切り替えたり、ネット広告の配信対象を絞り込むマーケティング施策です。
別名「ジオターゲティング」「地域ターゲティング」とも呼ばれ、ユーザーの位置情報から現在地を割り出し、特定の地域のユーザー向けに広告を配信することを指します。
リスティング広告のエリアターゲティングは、以下のように実店舗を持つ業種におすすめのマーケティング手法です。
リスティング広告の「エリアターゲティング」について、まずは簡略化した例を用いて理解を深めていきましょう。東京都の渋谷区道玄坂にある美容室が行うと仮定します。
また、いま現在渋谷駅付近にいるユーザーに対してだけでなく、渋谷周辺の地域に興味・関心があるユーザーを広告配信の対象とすることもできます。
このように、リスティング広告の「エリアターゲティング」では、特定地域のユーザーやそこに興味・関心を持つユーザーを狙って広告配信ができます。
こうして効率良く広告を配信するこで、「広告費の削減」「SEO効果」「CV獲得効果」につながるのです。
ここからは、エリアターゲティングを導入することによって得られるメリットについて、擬態的に見ていきましょう。
リスティング広告の「エリアターゲティング」によるメリットは、エリアごとに予算配分できるという点です。
通常、リスティング広告の費用は、配信する時間帯や範囲などによって変動します。
先ほどの例で示した東京都渋谷区の美容室が、「東京 美容室」「東京渋谷区 美容室」といった範囲が広いビックキーワードで狙おうとすると、広告費が高額になってしまいます。
このとき、エリアターゲティング戦略が有効になります。同じ渋谷でも「渋谷駅 美容室」「道玄坂 美容室」「宮益坂 美容室」というようにミドルキーワードやスモールキーワードを設定したうえで予算配分を行えば、広告効果を狙いつつ広告費用を削減することにつながります。
リスティング広告の「エリアターゲティング」は、予算配分だけでなく、広告の反響が良かったエリアごとに配信比率を変更することも可能です。
前述の渋谷の美容室を例にとれば、店舗からの距離や反響が良かったエリアを考慮し、「渋谷駅30%」「道玄坂50%」「宮益坂20%」というように、配信比率の調整もを行えます。
配信比率を適切に管理することで広告予算の削減と共に、より地域に密着した費用対効果の高い集客を行うことができるのです。
実店舗を利用しようとするユーザーは、例えば「美容室 東京」と検索したとしても東京ならどこでも良いわけではなく、自宅や勤務先の近く、よく行く繫華街など、自分の行動範囲の中からアクセスの良い店舗を選ぶ傾向があります。
言い換えれば、ユーザーにとって自分の行動範囲とまったく関係ない情報はそれほど必要ではなく、この点を考慮しないで広告配信を続けても高い効果は見込めません。
リスティング広告の「エリアマーケティング」でエリアに特化した情報を配信することは、配信側だけでなく、ユーザーにとってもメリットの高い優良な広告になるといえるのです。
リスティング広告におけるエリア指定方法には、大きく分けて主に2つの種類があります。
Googleリスティング広告のエリアターゲティングの設定方法は、「地域指定」「半径ターゲティング」の2つの種類があります。
Googleの地域指定方法は、管理画面に予め登録されているプルダウンを使って簡単に設定できます。手順に沿って確認していきましょう。
「地域・範囲」の選択タブに移動後、地域の名称で設定する場合は「地域」を選択。
「地域」を選択した場合、「東京都」「渋谷区」など、広告の配信対象とする国、都道府県の名称を入力、あるいはプルダウンの中から選びます(※)。
あまり有名ではない地域名称や細かすぎる町名までは指定できないことがあります。
Google広告のキャンペーンで指定の地域のみに配信したい場合は、デフォルトで設定されている配信対象国「日本」を削除しておく必要があります。
「日本」の設定を外すには、Google広告の「編集画面」左下にチェックを入れて、「削除」するだけでOK。この作業を怠ると、せっかくこれまでにエリアを指定したとしても、日本全国に配信されてしまうので要注意です。
Google広告(リスティング広告)の設定を解説
半径ターゲティングとは、広告対象店舗からの半径の距離から設定する方法です。ここも手順に沿って解説します。
上記1で表示された選択肢の中から「範囲」を選択。まずは「半径の中心地」となる住所を「検索ボックス」に入力します。
次にターゲットに設定する半径を入力。プルダウンからターゲットに設定する半径を入力し単位を選ぶ。半径ターゲティングの距離は100m単位で細かく指定することが可能なので狙いたいエリアを指定します。
適切な地域を指定できているか地図に表示されている青い範囲を確認する。問題がなければ「保存」をクリックして完了。
実は、地域指定と半径指定を併用することもできます。これらを重ねてうまくエリアターゲティングを行うことでより一層の効果を見込むことが可能です。
例えば、実店舗の住所は「東京・渋谷区」にあるものの、実際の駅は「新宿駅」のほうが距離が近く最寄り駅である場合、「東京・渋谷」という地域指定で広告を配信しても、思ったより効果が見込めないことがあります。
この場合は、「東京・渋谷」の地域指定と、「新宿駅」を含む半径ターゲティングを併用することで、「渋谷に関心のあるユーザー」と「新宿付近にいるユーザー」のどちらも囲い込める可能性が高まるのです。
Googleにおけるリスティング広告のエリアターゲティングでは、このような細やかで柔軟な設定をできることが特徴です。
次に、Yahoo!におけるリスティング広告のエリアターゲティングの設定方法について、具体的に解説します。
Yahoo!の設定方法もGoogleと大きな差はありませんが、細かい仕様の違いに注目しながら設定作業をすすめていきましょう。
Yahoo!の地域編集画面では、地域ごとの配信比率を指定することも可能。予算に合わせて入札比率を調整していきましょう。
ここまで、エリアターゲティングの設定に目を向けてきましたが、リスティング広告のエリアターゲティングでは、「地域の除外」を考えることも重要です。
地域の除外設定とは、広告を配信したくない、する必要がない地域を手動で細かく指定する操作のことをいいます。
リスティング広告の地域の除外設定は、主に次のような場面で使い分けると、効果的とされています。
(参考;https://support.google.com/google-ads/answer/1722040?hl=ja)
例えば、東京都の渋谷、新宿、池袋に3店舗ある美容室の場合、半径設定などで周辺全部に広告を出すのではなく、店舗がない地域を「除外設定」することで、集客性が低いエリアへの広告が配信をなくし、広告費を抑えることができます。
さっそく、「Google」と「Yahoo!」の地域外設定方法をそれぞれ見ていきましょう。
「Google」の地域除外設定の判定基準は、おおむね以下3つの要素にあてはまるユーザーを配信対象から除外します。
(参考;https://support.google.com/google-ads/answer/2453995?hl=ja)
例えば、配信設定してある地域(渋谷、池袋、新宿など)を含む、都市名(東京都)を「除外」に設定してしまうと、すでに配信設定した地域も含めた東京全てのエリアに、広告が配信されなくなる可能性があります。
Googleの地域除外設定を行う場合は、配信するターゲット地域と除外地域の設定をよく確認することが大切です。
「Yahoo!」の地域除外設定の判定基準は、指定した地域に対し、以下3つの要素にあてはまるユーザーを配信対象から除外します。
(参考;https://ads-help.yahoo.co.jp/yahooads/ss/articledetail?lan=ja&aid=1137#c05)
Yahoo!の地域除外設定は、精度にブレが生じる場合もあります。設定後も、効果を反響をこまめに確認しながら、必要に応じて調整していきましょう。
リスティング広告の「エリアターゲティング」を設定するにあたり、そもそもの知識として、ユーザーの地域はどのような仕組みで判断されているのでしょうか。
ここでは、GoogleやYahoo!がユーザーの地域を判断する主な3つの方法について解説します。
IPアドレスとは、ユーザーに個別に割り当てられた識別番号ともいえるもので、Internet Protocol(インターネット・プロトコル)の略称です。
例えるなら、インターネット上の住所のようなものと考えれば理解が早くなります。
IPアドレスは、パスコンやスマホなどの端末はもちろん、サーバーなど、各通信機器に割り当てられており、世界で唯一の識別番号であり他者と重複することがありません。
通常、インターネットを利用するには、発信者側(通信機器など)と受け取る側(接続先など)の両方のIPアドレスが必要で、基本的にはアクセスしてくる全てのユーザーの一定の情報を集めることが可能です。
IPアドレスを使った「エリアターゲティング」の精度は、これ以降に紹介する2つの方法に比べて若干劣ることがありますが、ユーザーの位置情報をおおまかに特定するには十分な手段とされています。
デバイスの位置情報とは、主にパソコン、スマートフォン、タブレットなどのデバイスに搭載されているGPS情報から取得した位置情報のことを指します。
デバイスの位置情報を利用した「エリアターゲティング」は、ユーザーの現在地を最も正確に特定することができる点が最大のメリットですが、あくまでユーザーがデバイスの位置情報を「オン」に設定している場合に限るというデメリットもあります。
また、ユーザーのデバイスがGPSに対応していない可能性についても考慮に入れておきたいところです。
とはいえ、デバイスの位置情報を使った「エリアターゲティング」は、店舗のすぐ近くにいるユーザーや、イベントへの集客を狙いたいなど、確実にいま近くにいるユーザーを狙いたいという戦略時に、とても有効な情報になるといえるでしょう。
ユーザーの関心対象とは、主に「検索クエリ」(キーワード)を使う方法のことです。
検索クエリとは、必ずしもユーザーの現在地とは関係なく、ユーザーが関心のある特定の地域や、特定の名称などを入力した際に、それらのキーワード情報を元に識別する機能のことをいいます。
例えば、東京にいるユーザーが「美容室 大阪」と検索した場合、位置情報では「東京」と識別されますが、検索クエリとしては「美容室 大阪」で識別されます。
この場合、いま大阪にいるわけではないものの、近い将来、大阪の美容室の集客につながる可能性が高いということになります。「ユーザーの関心対象」を用いた「エリアターゲティング」も上手に活用し、ユーザーの関心に寄り添った情報を配信する工夫が大切です。
リスティング広告の「エリアターゲティング」は、他の施策と組み合わせると、さらなる効果が期待できます。
リスティング広告において、「エリアターゲティングと掛け合わせたい施策」について、3つ紹介します。
リスティング広告の「エリアターゲティング」では、地域別にランディングページ(LP)の出し分けをすることができます。
リスティング広告の遷移先となるランディングページは、サービスの成約につなげる重要な要素となるため、一般的には指定した地域に合わせた内容にすることが理想的です。
例えば、多店舗展開の美容室が、「美容室 新宿」で検索したユーザーに、横浜の店舗情報が書かれたランディングページへ誘導しても、スムーズに集客につながることは期待できません。
リスティング広告の「エリアターゲティング」でサービスの成約や来店促進を図るには、各地域ならではのランディングページを作成し、地域ごとの出し分けを行いましょう。
LPとは?ホームページとの違いと目的、マーケティング手法を解説
リスティング広告の「エリアターゲティング」は、Googleマイビジネスへ登録し、「住所表示オプション」を利用することも有益な施策となります。
Googleマイビジネスの「住所表示オプション」とは、Googleマイビジネスと連携することで、リスティング広告の下部に住所が表示できる設定のことをいいます。例えば、「美容室 代官山」というキーワードのリスティング広告の例では、上記の画像のように表示されます。
スマートフォンでは、住所の詳細表示をタップすると、地図上で正確な所在地を確認できたり、電話番号やWebサイトの情報が書かれた、Googleマイビジネストップに移動します。
住所、広告表示オプションは、近隣で複数店舗を展開している企業であっても、ユーザーの位置情報から最も近い店舗から順に表示され、電話のアイコンをタップすると、店舗に直接電話をかけることができる機能も備わっているため、店舗に来店する意志が強いユーザーを効率良く囲い込むことができます。
Googleマイビジネスの登録方法を解説|だれでも簡単に店舗集客できるMEO
リスティング広告の「エリアターゲティング」は、「広告カスタマイザ」「アドカスタマイザー」による出し分けを併用するのも効果的です。
Googleでは「広告カスタマイザ」、Yahoo!では「アドカスタマイザー」と名称は異なりますが機能はいずれもほぼ同じで、ユーザーが検索したキーワード、場所、時間などに合わせて、広告文を自動的に追加できる機能のことをいいます。
例えば、東京・渋谷区にいるユーザーが「美容室 パーマ」と検索すると、上記のようなリスティング広告が表示されます。
これは「美容室 パーマ」のリスティング広告に、「東京でメンズパーマがおすすめの美容室」「原宿駅徒歩1分」「メンズパーマ専門店」という広告カスタマイザを設定しているケースです。
東京・渋谷区でパーマができる美容室を探しているユーザーにとっては、「近辺・駅近・専門店」となれば、「行ってみたい!」という興味を持つ可能性が高く、非常に効果的な広告戦略になるということができます。
広告カスタマイザや、アドカスタマイザーは、地域情報を挿入することも可能なため、エリアターゲティングとの併用に最適なオプション設定といえるでしょう。
リスティング広告の「エリアターゲティング」は、配信対象の地域を絞って、その地域に関連するユーザーを狙って広告を配信することができる施策です。
特に、地域密着型の集客が必要な、実店舗を持つ企業に適している手法といえます。適切に、配信地域の設定や配信地域の除外を行うことで、広告費用を大きく削減しつつ、より効率的な集客を見込むことができます。
リスティング広告の「エリアターゲティング」を効果的に行うためには、ここで紹介したポイントを把握し、間違った設定になっていないか細かく確認しながら運用を最適化していくことが重要です。
リスティング広告の中でも、エリアターゲティング戦略だからこそ達成できる目標を意識し、他の施策と掛け合わせるなど、効果を最大限に出すための工夫でより一層の集客を狙っていましょう。