セグメンテーションとは?マーケティングでの活用方法、セグメント分類のコツ、ポイントを紹介

マーケティング分析でしばしば耳にするセグメンテーションは適切に行えば非常に効果的です。この記事ではなぜセグメンテーションを行うべきなのか、セグメント分類をする際のポイントや注意点をご紹介します。


セグメンテーションとは?

セグメンテーションとは?

セグメンテーション(segmentation)は「マーケットセグメンテーション」ともいい、市場を属性やニーズといった特性ごとに細分化(セグメント化)し、それぞれのタイプに応じたマーケティング施策を行うことです。

Web広告の分野に限らず、マーケティングでは、ユーザーを特定の年代、地域、興味関心といった項目で絞り込み、効率的なプロモーションを行うことで費用対効果が上がります。そのマーケティング施策の対象ユーザーの絞り込みを行うときにセグメンテーションが重要になってくるのです。

なぜセグメンテーションが重要なのか?

なぜセグメンテーションが重要なのか?

従来のマスメディアは、大衆に向けて一斉に広告を打ち出せることから、大量生産された画一的な商品をたくさんの人に売る手法に長けていました。しかし、ユーザーの好みも販売チャネルも多様化した現在、少数の属性に「刺さる」商品がSNSで広まり、熱烈なファンを獲得することも珍しくありません。

自社の商品・サービスのユーザーとなるペルソナを分析し、適切なターゲット層に効率よくマーケティングを行うために、セグメンテーションは欠かせないのです。

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マーケティングでのセグメンテーションの活用例:STP分析

マーケティングでのセグメンテーションの活用例:STP分析

マーケティング戦略に欠かせないフレームワークの一つにSTP分析があります。アメリカの経営学者フィリップ・コトラーが提唱した分析手法で、以下のフレームワークの頭文字からSTP分析と名付けられました。

Segmentation(セグメンテーション)
市場を細分化し、同じようなニーズを持つグループに分類する。

Targeting(ターゲティング)
分類したグループの中から、商品・サービスのターゲットにするグループを決める。

Positioning(ポジショニング)
ターゲットにアプローチするために、競合他社との差別化や市場での自社商品・サービスの立ち位置を明確にする。

セグメンテーションはSTP分析の最初のステップであり、このグループ分けの精度が、後のターゲティングやポジショニングの戦略を左右します。たとえばファミリーカーのマーケティング戦略を立てるとき、セグメンテーションでは年齢や性別に加えて「既婚・未婚」「子供の有無」も重要な分類指標となります。

セグメンテーションでよく使われる分類例、セグメント分けの切り口

セグメンテーションでよく使われる分類例、セグメント分けの切り口

セグメンテーションを行う際に、どのように市場を分類すればよいのでしょうか。セグメント分けには様々な切り口があり、商品・サービスによって重要になる要素は異なります。ここでは一般的によく使われている分類例を解説します。

人口動態変数(デモグラフィック変数)

消費者市場の細分化で最もよく使われている分類で、ユーザーの属性にもとづいて以下のようなセグメンテーションを行います。

  • 年齢
  • 性別
  • 最終学歴
  • 職業
  • 収入
  • 家族構成

多くの場合、商品・サービスのニーズはユーザーの属性に大きく左右されます。たとえば、同じ年代・性別・収入の人同士でも、「既婚・未婚」「子供の有無」によって購買行動や商品の選定基準が大きく異なります。

地理的変数(ジオグラフィック変数)

ユーザーの住んでいる場所や、地域の人口密度、気候などをもとに市場を細分化する分類方法です。たとえば日清食品の「日清のどん兵衛」シリーズは、東日本と西日本のユーザーの好みに合わせ、粉末スープの味を分けて発売していることで有名です。

また、イスラム教徒向けのハラール認証の食品や、雪かき専用スコップなど、特定の地域にしかニーズがないものもあります。地理的変数には以下のような項目が挙げられます。

  • 世界の地域
  • 気候
  • 宗教
  • 文化
  • 発展度
  • 国内の地域
  • 市区町村
  • 人口密度

心理的変数(サイコグラフィック変数)

人間の心理にもとづいて市場や顧客を細分化する方法です。たとえば同じ地域に住む(同一ジオグラフィック集団)同じ職業・家族構成の30代男性(同一デモグラフィック集団)であっても、熱心に応援するプロスポーツがある人はスポンサー企業の商品を応援買いすることが多い、家事育児に積極的な人は食料品や家電の選定に積極的にかかわることが多いなど、商品・サービスを選ぶ基準や購買行動が異なってきます。心理的変数には以下のような項目があります。

  • 社会階層
  • ライフスタイル
  • 価値観
  • 購買動機

行動変数(ビヘイビア変数)

市場・ユーザーの行動に焦点を当てて細分化する方法です。いつ・どこで・どんなタイミングで商品が売れたかのデータを分析し、適切なマーケティング施策に役立てます。たとえば小学生のランドセルは高価格帯の商品ほど早い時期に購入されています。そのため、近年ではGWごろから来年の新一年生用のランドセルの広告がスタートしています。行動変数には以下のような項目があります。

  • 利用経験
  • 利用水準
  • 購入回数
  • 購入プロセス
  • 購入時のベネフィット
  • ロイヤリティの状態

効果的なセグメンテーションを行うための4R

効果的なセグメンテーションを行うための4R

セグメンテーションは、切り口を変えればいくらでも細分化できてしまいます。しかし、不要な細分化によってターゲティングがブレてしまったり、適切な分析ができなかったりすることは避けたいですね。効果的なセグメンテーションを行うための指標を見ていきましょう。

Rank(優先順位)

自社の商品・サービスにおける重要度から、セグメントをランク付けします。たとえばポップなデザインの軽自動車を売るとき、ターゲットの中心が20代~30代の女性になるのであれば、それ以外の男性や高齢者といったセグメントは優先順位が低くなります。

Realistic(有効な規模か)

対象となるセグメントの規模や採算性を検討します。いくらデザインが20代~30代の女性に人気でも、そのセグメントのうち自分の車を所有できる人数が少なければ、販売台数が伸びず採算が合わないかもしれません。

Reach(到達可能性)

対象セグメントに対して、その商品・サービスを届けられるかの可能性を検討します。Web広告への反応や、自動車販売店を訪れる心理的ハードルはどれくらいかなど、セグメントにリーチするまでの難易度を考えます。

Response(測定可能性)

セグメントの規模、特性、購買力などが測定できるかどうか、その測定方法を検討します。また、商品・サービスを手に入れた後の反応を測定できるかも検討します。SNSでハッシュタグを使ったキャンペーンを行う方法が有名です。

Webマーケティングでのセグメンテーション活用事例

Webマーケティングでのセグメンテーション活用事例

セグメンテーションはWebマーケティングでも活用されています。Webでは、ブラウザのCookieによって得られる過去の検索履歴や行動履歴、SNSや自社サイトの会員登録をしたときに入力した年齢や性別、居住地域といったユーザーのデータを利用しやすいため、より細かなセグメンテーションにもとづいてマーケティング施策を行えるのです。詳しく見ていきましょう。

コンテンツマーケティングでのセグメンテーション活用事例

コンテンツマーケティングは広告色が弱いため、「読み物」としてオウンドメディアの様々な記事で集客したり、「ノウハウ動画」としてYouTubeチャンネルを立ち上げて集客したりと、幅広い層に自然な形で自社の商品・サービスを理解してもらうことができます。

たとえば、抱っこ紐をパパママ両方にアピールしたい場合、ターゲットとなるセグメントは男女問わず「過去に赤ちゃん用品に関する検索履歴がある人」とします。ディスプレイ広告やSNS広告で該当するセグメントに限定してオウンドメディアの導線やYouTube動画を表示させれば、広告の押しつけがましさを感じさせることなく、自然で効率的な集客が可能です。

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リスティング広告でのセグメンテーション活用事例

検索キーワードに連動するリスティング広告では、検索キーワードごとにユーザーを分類し、より購買行動に結びつきやすいセグメントを分析して、効率的に広告を配信できます。

たとえば「おせち 通販」と「おせち 種類」では、より購買行動に近いのは「おせち 通販」のキーワードで検索するユーザーだといえます。そのため、リスティング広告の予算は「おせち 通販」のキーワードに対してより多く配分するのが効果的といえるでしょう。
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ディスプレイ広告でのセグメンテーション活用事例

ユーザーの過去の閲覧履歴・行動履歴データをもとにして広告を配信するディスプレイ広告では、過去のサイト訪問者や購入者のセグメントを活用します。実際の購入者データから自社の商品・サービスと相性が良いセグメントを特定し、同じセグメントのユーザーに対して選択的に広告を配信することで、購入に繋がりやすい層へのアプローチに繋がります。

たとえば、自社商品の購買層の多くが「首都圏の30代男性」だとしたら、同一セグメントが好んで利用するサイトにディスプレイ広告を出稿すれば、費用対効果の高い広告運用が可能になります。

まとめ

STP分析の第一段階となるセグメンテーションは、自社の商品・サービスのペルソナ設定や、マーケティングターゲットの設定に欠かせない指標です。オウンドメディアのコンテンツを作る際や、広告やキャンペーンの費用対効果を高めるためにも、適切なセグメンテーションは欠かせません。セグメンテーションで細分化できる項目は多岐にわたりますが、ターゲットに合わせて適切な取捨選択を行い、時間とコストをかけて丁寧な分析を行うことが大切です。

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監修者紹介

石田 哲也

取締役CMO

Twitter:@te2319
株式会社ニュートラルワークス 取締役CMO。1984年生まれ。高校卒業後にISD株式会社を起業。その後、株式会社オプトでWebマーケティングを学び、株式会社メタップスなど複数のベンチャー企業にて事業立ち上げを経験。前職はワンダープラネット株式会社でゲームプロデューサーとしてスマホゲームアプリの制作に従事。2018年に地元の神奈川へ戻り、ニュートラルワークスに入社。SEO/Web広告運用/サイト分析・改善など、Webサイトの運用改善~ゲームアプリ制作や数十万フォロワーのSNSアカウントの運用経験などWebビジネス全般を守備範囲とする。

■経歴
2003年 ISD株式会社/起業
2009年 株式会社オプト/SEMコンサルタント
2011年 株式会社メタップス/シニアディレクター
2013年 ライブエイド株式会社/執行役
2016年 ワンダープラネット株式会社/プロデューサー・BizDev
2018年 株式会社ニュートラルワークス/取締役CMO

■得意領域
Webサイト改善
SEO対策
コンテンツマーケティング
リスティング広告

■保有資格
Google アナリティクス認定資格(GAIQ)
Google 広告検索認定資格
Google 広告ディスプレイ認定資格
Google 広告モバイル認定資格

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