「As-Is/To-be」という考え方をご存知でしょうか。As-Is/To-beとは、理想的な状態と現在の状態を客観的に比較する考え方です。この考え方を用いることによって、ボトルネックとなっている要件を見つけ出すための課題を発見することができるのです。
そこでこの記事では、As-Is/To-be分析の概要や分析手順などについて解説していきます。これから業務改善を行わなければいけないが、あまり現状を冷静に分析できてないという方や、フレームワークやムダのない課題発見プロセスを知りたいという方は、ぜひ参考にしてください。
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目次
As-Is / To-Beとは
そもそも「As-Is/To-be」とはどんな考え方なのでしょうか。冒頭でも触れましたが、ここでは「As-Is」「To-be」に分けて詳細に解説していきましょう。
ます、「As-Is」とは「現在の状態」を表しています。例えば、現状の業務プロセスや人員配置、身の回りの設備などを可視化していきます。すると、企業が抱えている課題が見える化され、現状を把握することができるのです。
そして、「To-be」とは「理想的な状態」を意味しています。本来あるべき姿や、数年後の目標でも構いません。こうして現在の状態と理想的な状態を比べることによって、そのギャップを埋めるためのプロセスが明確になっていきます。
As-Is/To-beは、様々な場面で活用することが可能です。例として、以下のような場合に使うことができます。
- 個人事業主が目標やビジョンを達成する場合
- 人材育成の一環として、部下に目標を達成させる場合
- 収益や集客などの課題や問題を解決する場合
- コンサルティングとして、顧客企業の目標を達成させる場合
課題を探す際には、なんとなく手元にある情報などから探し出すことも多いでしょう。しかし、現状を把握しないと、目標とのギャップをうまくつかめず、正しい努力ができないこともあります。As-Is/To-be分析を活用することで、客観的に課題を発掘することができるというメリットが得られるのです。
As-Is / To-Be分析の活用手順
そこでここからは、As-Is/To-be分析の活用手順について解説していきます。具体的なステップは、下記のようになります。
- To-Beを設定する
- As-Isを設定する
- 課題を抽出する
- 課題に優先順位をつける
- 課題を行動に落とし込む
各プロセスでやるべきことや注意点について、詳しく見ていきましょう。ここからは紙とペン、もしくは以下のような表を用意しましょう。
To-Beを設定する
まず初めに、To-Beを設定します。To-Beの設定では、理想的な状態を書き出していきます。ここでポイントになるのは、初めにTo-Beを設定することです。
その理由は、As-Is(現在の状態)から書き出すことによって、目標を引っ張られないようにするためです。現在の状態から達成できそうな目標を設定するのではなく、本当に実現したい目標を考えるようにしましょう。
なお、To-Beを設定する際には2つの注意点があります。
- テーマをあらかじめ決めておく
- 「期間」「範囲」「内容」を明確にする
1つ目の注意点は、テーマをあらかじめ決めておくことです。テーマは細かく設定する必要はないのですが、決めておかないと多岐に渡ってしまうこともあります。そのため、「会社の売上について」「個人のスキルについて」「組織のあり方について」など、テーマを設定しておきましょう。
そして2つ目の注意点は、「期間」「範囲」「内容」を明確にすることです。具体的に数値化しておくことで、何を到達させることで目標が実現したのかがわかります。
「売上を上げる」「スキルを高める」など曖昧な表現ではなく、「売上を500万/月にする」「営業スキルを高めて新規顧客と既存顧客の割合を5:5にする」など、数値を入れるようにしましょう。以上の注意点を踏まえて、To-Be設定の例を以下に提示します。
As-Isを設定する
To-Beを設定したら、As-Isを設定していきます。As-Isとは現在の状態を表していて、いわば現状把握です。ここでAs-Isを設定する際のポイントは、なるべくTo-Beに対応する形で書いていくことです。対応して書いていくことによって、次のステップに必要な、課題を抽出しやすくなっていきます。
課題を抽出する
As-Isを設定したら、課題を抽出していきます。課題は、「To-Be」と「As-Is」のギャップにあると考えられます。そのため、そのギャップを埋めるにはどのような課題があるのか、何を解決すべきなのかを考えていきましょう。
ポイントは、ひとまずパッと思いついたことを書き出していくことです。次に、書き出したものを見て、本当にそれが課題であるのかじっくり考えていきましょう。その際、「6W2H」や「なぜなぜ分析」などの考え方を用いると、より深く的確に課題を出すことが可能です。
6W2Hとは、When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、Whom(誰に)、Why(なぜ)、What(何を)、How(どのように)、How much(いくら)といった疑問詞を用いる確認事項のことです。8つの視点から物事を考えることで、具体性を突き詰めることができます。
また、なぜなぜ分析とは、なぜを5回以上繰り返して、問題の原因を追求する分析方法です。トヨタ生産方式における分析方法として知られていて、再発防止にも役立てることができます。
このような方法を用いながら、課題を抽出していきます。
課題に優先順位をつける
課題を抽出したら、課題に優先順位をつけていきます。いくつか課題が出た場合は、一度に全部やろうとするのではなく、優先順位をつけて取り組んでいくことが重要です。
その際、優先順位のつけ方に注意しましょう。簡単なもの、取り組みやすいものから行うのではなく、目標達成に近づけやすいものから取り組んでいきます。
課題を行動に落とし込む
そして最後に、課題を行動に落とし込んでいきます。課題を明らかにしても、実際に行動に移さないと目標は達成できません。
行動に落とし込む際の注意点としては、「期間」「範囲」「内容」を決めることです。これはTo-Beでも紹介しましたが、3つの観点から考えることによって、具体的に内容を決めることができます。
As-Is / To-Beの利用事例
As-Is/To-be分析の活用手順について理解できましたら、As-Is/To-beを実際に利用してみましょう。ここからは、As-Is/To-be分析の利用事例について紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。
マーケティング施策の分析
1つ目の利用事例は、マーケティング施策の分析です。マーケティング施策には様々な方法がありますが、いずれの施策においても、必ず成功すると約束されているものではありません。
そこで、なるべく最短で目標を達成させるには、効率的にPDCAサイクルを回していくことが大切です。その際に、現状と目標を把握して、課題を見つけて改善を行うためにも、As-Is/To-be分析は有効です。
例えば、WebマーケティングにおいてSEO施策がうまく機能していないという現状があるとします。理想としては訪問者数を1.5倍に増加したいので、As-Is/には「訪問者数1.5倍増か」と置けます。
しかし現状では、3ヶ月間増加していないので、To-beには「SEO施策で訪問者数が3ヶ月間増加していない」と置きます。そこでそのギャップを埋めるために、選定キーワードは正しいか、コンサルティングを受ける必要があるのかなど、戦略を練り直していきます。
このように、マーケティング施策をなんとなく実行するのではなく、As-Is/To-be分析を行いながらマーケティング施策を改善していきましょう。
人材の教育や育成
2つ目の利用事例は、人材の教育や育成です。部下ができると、自分のタスクだけではなく、部下の育成や教育も行わなければなりません。
とはいえ、近くにいる部下でも、四六時中一緒にいるわけではないので、部下のスキルや課題、成長度合いを把握できないという場面もあるでしょう。そこでAs-Is/To-be分析を用いることで、部下の現状や目標を把握することができます。
一方、部下は部下で、自分にはどのような目標が課せられているのか分からないことがあります。そこでAs-Is/To-be分析のフォーマットに沿って、上司が目標を促すことで、自分がどのように期待されているのか、ビジョンを持つことができます。
そしてAs-Is/To-be分析に沿って部下が現状を書き出すことによって、お互いに目標とのギャップを認識することができます。
業務改善
そして3つ目の利用事例は、業務改善です。先ほど売上の例でも触れましたが、業務を効率的に行うには、改善していく必要があります。とはいえ、やみくもに手段を変えるようでは、なかなか改善に繋がらないでしょう。そこでAs-Is/To-be分析を用いることで、現状を把握でき、何から順に課題を解決していくべきなのかがわかってきます。
例えば、先ほどの例では、「新規営業をかけても達成率が低い」という課題がありました。これに対し、「新規営業の達成率を高めるため、来月までにフィールドセールスとインサイドセールスに分離する」という行動を立てました。
フィールドセールスとインサイドセールスに分離することによって、見込みのある顧客に対して営業をかけることができるのです。このように、現状に見合った行動を取るためにも、業務改善にはAs-Is/To-be分析が最適です。
As-Is / To-Beは課題分析に使える思考法
この記事では、As-Is/To-be分析の手順と利用事例について紹介していきました。As-Is/To-be分析を活用することで、問題がある状態でも冷静にボトルネックとなっている要因を見つけることができます。
そして現状の把握やギャップを埋めるためのアクションにつなげることができると、様々な場面で活用することが可能です。現状や問題点に対して施策出しに限界を感じている際には、As-Is/To-be分析の活用がおすすめです。今回紹介した手順を参考に、ぜひ活用してみてください。
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As-Is / To-Be分析のよくあるご質問
- As-Is / To-Beの考え方とは?
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As-Is/To-beとは、理想的な状態と現在の状態を客観的に比較する考え方です。この考え方を用いることによって、ボトルネックとなっている要件を見つけ出すための課題を発見することができます。
- 「As-Is」とは?
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「As-Is」とは「現在の状態」を表しています。例えば、現状の業務プロセスや人員配置、身の回りの設備などを可視化していきます。すると、企業が抱えている課題が見える化され、現状を把握することができるのです。
- 「To-be」とは?
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「To-be」とは「理想的な状態」を意味しています。本来あるべき姿や、数年後の目標でも構いません。こうして現在の状態と理想的な状態を比べることによって、そのギャップを埋めるためのプロセスが明確になっていきます。