Webメディアや出版業界に携わっている編集者やディレクターの方には、以下のような悩みを抱いている方が少なくありません。「校正・校閲の違い、やり方がわからない」「それぞれのコツやノウハウを知って、コンテンツの質を向上させたい」「事例を交えながら学びたい」
そこでこの記事では、校正と校閲の違いや役割について詳しく解説します。校正・校閲について気になる方は、ぜひ最後までお読みください。
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校正と校閲の違い
校正と校閲は似ていますが、両者の意味や役割は異なります。この章では、それぞれの違いを詳しく解説します。
校正は「文字の誤りを直すこと」
校正とは、間違った文字や表記、スペルミスを正す作業です。具体的には、以下のような作業を行います。
誤字 | 「熱い辞書」→「厚い辞書」 |
脱字 | 「柔かい」→「柔らかい」 |
表記統一 | 「インスタグラム」「インスタ」「Instagram」 |
送り仮名 | 「売り上げ」「売上」 |
数字の半角・全角 | 「100」「100」 |
「熱い辞書」や「柔かい」のように、明らかに誤字脱字だと判断できるものは「柔らかい」のように修正します。また、「インスタグラム」「インスタ」「Instagram」のように複数の表記方法がある場合や、「売り上げ」「売上」のように送り仮名の表記方法が複数ある場合は、1つに統一します。
さらに数字は半角でも全角でも表記できるため、どちらかに統一します。これに関しては、あらかじめ媒体により執筆ルールが決まっているケースが多いので、ルールに従って直す必要があります。
校閲は「内容の間違いを正すこと」
校閲とは、内容の間違いを正すことです。この作業は「ファクトチェック」とも呼ばれ、雑誌や書籍を作成する際に必ず行われます。ファクトチェックでは、以下のような観点から作業します。
- 内容は正しいか
- 事実と合っているか
- 根拠がないまま記載していないか
- 差別につながる発言になっていないか
校閲を設けていないと、事実とは異なる内容が記載されてしまったり、一部の人に不快な思いをさせてしまったりする場合があります。最近ではSNSで企業が投稿した内容が炎上してしまうケースもあり、こうした問題は校閲が不十分だったことが原因と考えられています。
校閲の具体例として、「この商品の耐荷重は100kgです」という文章があるとします。この文章は校正の観点からすると問題ありません。
ところが、校閲の観点から考えると、「本当に100kgで合っているのか?」という疑問があります。もしかすると、本当は耐荷重が「101kg」であり「約100kg」と書くことが適当と判断される場合や、0が一つ多い打ちミスで「10kg」と記載しなくてはならないかもしれません。
このように、校閲ではファクトチェックや表現方法について確認を行い、このままコンテンツとして公開して問題ないようにします。
校正・校閲の重要性
校正・校閲を行うのは、Webメディアにおいて大変重要です。ここでは、校正・校閲の重要性について解説します。
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事実相違による読者からの信頼を失わないため
校正や校閲では、誤った情報を正し、読者からの信頼を失わないようにする必要があります。誤った内容のまま公開してしまうと、ユーザーから「このサイトは誤った情報を発信している」「このサイトの情報は信じられない」と思われてしまう可能性もあります。
特に、固有名詞や定量的なデータは事実確認が必要です。固有名詞が誤っていると、「何について話しているのか伝わらない」「ユーザーに誤った情報を伝えてしまう」ためです。
また店舗などの概要データが誤っていると、ユーザーが誤った情報を正しいと認識し、実際に店舗へ入電するなどの行動を取ってしまう恐れがあります。このような事態に陥らないようにするためにも、校正や校閲は重要なのです。
コンテンツの質の底上げのため
校正や校閲が正しくできていると、品質の高い情報を発信できます。よってユーザーが理解しやすくなり、満足度も高くなります。一方で、校正や校閲ができていない品質の低い記事は、ユーザーの離脱率が高くなりがちです。その結果、検索結果の上位に表示できず、ユーザーからのアクセスが集まりにくい……といった事態に陥ることもあります。
校正・校閲が甘いと起きる問題
校正・校閲が甘いと、さまざまなトラブルに発展する恐れがあります。校正や校閲の甘さで起こる具体的な問題には、以下のようなものがあります。
- 地図や住所の記載ミスにより、ユーザーに誤った行動を取らせてしまう
- 電話番号を間違えてしまい迷惑電話につながる
- 誤った情報を修正しても拡散スピードに追いつけない
- 発信するアカウントを間違えてしまいユーザーから信頼を失う
例えばWebコンテンツに掲載する電話番号や住所、電話番号などの情報を誤ってしまうと、ユーザーが誤った住所に足を運んでしまったり、入電してしまったりします。場合によってはその責任を問われて、経済的損失につながったり、訴訟問題に発展したりする場合もあるのです。
また、最近では企業がSNSアカウントを作成して情報を発信するケースが多くなりました。そこで誤った情報を発信してしまうと、修正してもSNSならではの拡散スピードに追いつけないこともあるのです。
さらに、担当者が個人のアカウントと企業のアカウントを間違えて使ってしまうケースもあります。削除しても他のユーザーにキャプチャを取られてしまい、多くのユーザーに拡散されることもあるでしょう。その結果、企業は社会的信用を失くすのです。
校正時に確認すべき項目
校正を行う際は、以下6つの項目について確認するようにしましょう。
- 誤字脱字
- 表記揺れ
- 同音異義語や熟語
- 数字
- 句読点
- メディアの表記ルール
ここからはそれぞれの項目について紹介していきます。
1.誤字脱字
作成したコンテンツに対して、誤字脱字がないかどうか確認していきます。どんなに注意していても、人が作成した文章には少なからず誤字脱字があります。誤字脱字があるままだと読んでいて集中できなかったり、正しい情報が正確に伝わらなかったりします。そうなれば、ユーザーからの信頼を得ることは難しいでしょう。
2.表記揺れ
表記揺れが発生していないかどうかも重要なポイントです。表記揺れとは、ある言葉に対して複数の表記が存在している状態のことです。表記揺れには以下のような例があります。
漢字 | 「猫」「ネコ」「ねこ」 |
カタカナ | 「バッグ」「バック」 |
英単語 | 「web」「Web」「WEB」 |
文末 | 「〜だ」「〜です」 |
同じ単語を意味していても、上記のように表記方法が複数あります。その場合は1つに統一するようにしましょう。また、文末を統一することも重要です。
3.同音異義語や熟語
タイプミスによって同音異義語で誤ることも、よくある間違いです。例としては、以下のようなものがあります。
- 「抑える」「押さえる」
- 「自身」「地震」「自信」
- 「事態」「自体」「辞退」「字体」
文脈に合わせて正しい熟語を使用するように、必ずチェックするようにしましょう。
4.数字
数字を用いる際は、表記が統一できているか確認しましょう。同じ数字でも、漢数字、全角数字、半角数字と複数の表記方法があります。メディアによっては、半角数字を用いるなどのルールがあることも珍しくありません。ライターによって表記方法が異なる場合があるので、校正の段階で統一し、修正しましょう。
5.句読点
句読点が間違いなく打たれているかどうかも確認が必要です。句読点が抜けていると、全体的に文章が混み合った様子を受け、読みにくくなります。また、括弧を用いる場合も表記ルールを統一する必要があります。
- 〜です(ただし〜です)。
- 〜です。(ただし〜です)
一般的には上記の表記が正しいとされていますが、メディアごとにルールを決めておくとライターが迷わずに済みます。
6.メディアの表記ルール
メディアごとに表記ルールがある場合は、そのルールに従って校正を行いましょう。メディアによって、以下のようなルールがあるケースも存在します。
- 括弧は半角を用いる
- 人名には「氏」をつける
- 国名はカタカナで表記する
- 住所は郵便番号を入れる
このようなルールから外れている場合は、修正しましょう。
校閲時に確認すべき項目
校閲を行う場合は、ファクトチェックと文章表現の誤りの有無を確認していきます。ここからは、それぞれのポイントについて解説します。
1.事実関係(ファクトチェック)
校閲を行う際は、ファクトチェックを行いましょう。その際は、以下の観点から確認を行います。
- 固有名詞
- 数字・データ
- 歴史的事実
- 主張や根拠
地名や人名などの固有名詞が登場する場合は、表記が誤っていないかどうか確認しましょう。漢字の表記やスペルミスなどにも注意してください。また、コンテンツに数字やデータが出てくる場合は、正しく反映されているかどうか確認しましょう。ライターが参考にしたサイトや文献を確認し、可能であれば別のソースからも確認するといいでしょう。
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2.文章表現の誤りの有無
文章表現に誤りがないかどうか確認することも大切です。文章表現の誤りというのは、大きく分けて2種類あります。1つは文法的な誤りです。例えば主語と述語のねじれが起こっている場合は、正しい文章に直す必要があります。また、文章全体を通して矛盾が生じていないかどうかを確認することも重要です。
もう一つは、読者に不快感を与える内容です。例えば差別的な意味を含む言葉や、攻撃的な内容は控えるべきです。こうした表現が見つかった場合は、削除するか表現を変えましょう。
校正・校閲の精度を上げるためのコツ6つ
校正・校閲の精度を上げるには、以下のようなコツを取り入れると効果的です。
- 音読をする
- 時間をおいて確認する
- 印刷して確認する
- 項目を絞って確認する
- 複数人による確認を行う
- チェックツールを使って効率的に確認する
このコツは資料作成の業務などでも役立ちます。ここからは、それぞれのコツについて紹介していきます。
1.音読をする
校正を行う際は、音読をすると効果的です。黙読では「こんちには」のような誤字があった場合でも、「こんにちは」と読めてしまうため、誤りに気が付かない場合があるのです。そこで声に出して文章を読むことで、視覚だけでなく聴覚からもアプローチできるようになり、テキストの誤りに気がつくことができます。
2.時間を置いて確認する
自分で作成したコンテンツに校正を行う場合は、時間をおいて確認することも効果的です。文章を書いた後、本人は自分の情報が正しいと思っています。その際に読み直しても、多くの場合ミスに気付きません。
ところが時間をおくと冷静に文章を見られるようになります。可能であれば1日くらい、間を開けると良いでしょう。もしそれが難しい場合は、数時間でも時間をおいてから、再度チェックするようにしてください。
3.印刷して確認する
印刷してから校正・校閲することで、より精度が高められます。紙に印刷して読むことで、全体を俯瞰して見ることができるからです。また手を動かしながら確認もできるので、誤字脱字を見つけやすくなります。
4.項目を絞って確認する
テキストが長い場合は、項目を絞って確認すると誤りを見つけやすくなります。項目別に順番で確認していくと、見逃しも少なくなるでしょう。例えば、初めの工程では誤字脱字を確認し、次に表記揺れがないか確認をするという風に進めましょう。
5.複数人による確認を行う
可能であれば複数人で校正・校閲を行うといいでしょう。1人に校正・校閲を任せてしまうと、その人がミスを見逃す可能性が出てきてしまいます。そこで、ダブルチェックやトリプルチェックを行うのです。自分では気づかなかったミスや間違いに気付けるメリットがあり、記事の正確性が高まります。
6.チェックツールを使って効率的に確認する
校正・校閲にはチェックツールが効果的です。校正ツールやコピペチェックツールなどを使用すると、目視では気が付きにくいミスを指摘してもらえたり、スピーディーに校正が行えたりするメリットがあります。
ただし、ツールはあくまでも補助的な役割として使用しましょう。チェックツールは絶対ではありません。また、指摘された部分がミスではないことも当然あります。チェックツールを使用する際は、人による目視でのチェックも必ず合わせて行いましょう。ここからは、校正・校閲時に役立つ無料のチェックツールを4つ紹介します。
日本語校正サポート
出典:日本語校正サポート
日本語校正サポートは、シンプルな操作で使いやすいチェックツールです。テキストボックスに文章を入力してチェックすることで、ミスを見つけてくれます。また、このツールの特徴は、設定を変更できる点にあります。例えば「二重否定」「助長表現」「略語」などのチェックボックスがあり、チェックを外すと校正から除外できます。
テキスト処理ツール
出典:テキスト処理ツール
テキスト処理ツールは、間違った表現や不適切な表現を確認できるツールです。一度に10,000文字まで確認できます。このツールの特徴は、使用注意語や不快語など文法以外の誤りも指摘してもらえることです。校閲にも対応できるので、他のチェックツールと併用するのもおすすめです。
Tomarigi
出典:Tomarigi
Tomarigiは青山学院大学のメンバーによって、日本語表現法開発プロジェクトの一環として開発されたツールです。そのため信用性が高く、安心して使用できます。ただしこちらのツールは使用する際にダウンロードが必要です。
Enno
出典:Enno
Ennoは誤字脱字や変換ミスなどを指摘してくれるチェックツールです。テキストを入力して分析を開始すると、誤っている箇所にマーカーが入ります。さらになぜ誤りと認識したのか、どのように修正すればいいのかなども教えてくれます。校閲としても対応できるので、他のツールと併用してもいいでしょう。
校正・校閲のまとめ
校正や校閲はコンテンツを世の中に流通させる前に徹底してチェックする仕事です。コンテンツや企業の信頼度を底上げする業務であり、非常に重要な役割を果たしています。近年は少しの油断がトラブルにつながりかねない時代です。今後は一部の業界だけでなく、一般企業や個人が発信するコンテンツにおいても、校正、校閲を行うことの価値が重要視されていくと考えられます。
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