オウンドメディアやコンテンツマーケティングを担当している方のなかには、「サジェスト機能って何?」「GoogleサジェストはSEOにどう関係する?」と、疑問を抱く人が少なくありません。そこで本記事では、以下のような観点からサジェストについて詳しく解説していきます。
この記事を読めば、サジェストについて理解ができ、効果的なSEO施策ができるようになるでしょう。オウンドメディアを運営している方や、コンテンツ作成をしている方は、ぜひ参考にしてください。
サジェストとは、検索窓に入力した文字が予測されて表示される機能のこと。GoogleやYahoo!などの検索エンジンで文字を入力した際、自動で検索候補が表示された経験が、あなたにもあるはずです。
例えば、Googleの検索窓に「マスクメロン」と入力します。すると上記の画像のように、「マスクメロン 値段」「マスクメロン 旬」などのように、検索意図を予測したキーワードが複数、表示されます。
サジェストは気になるキーワードを選択することで、すばやく検索できるようになっています。このようなキーワードを、総じて「サジェスト」と呼びますが、実は検索エンジンごとに呼び名が異なり、Googleでは「オートコンプリート」、Yahooでは「入力補助」と呼ばれます。
Googleではサジェストを選定するうえで、以下のように大きく分けて5つの基準を設けています。
ここからはそれぞれの選定基準について紹介します。
Googleでは特定のキーワードに対し、検索するユーザーの位置情報を反映したサジェストワードを表示しています。例えば、「歯医者」と検索すると、「歯医者 新宿区」「歯医者 新宿駅」のようなサジェストが表示されることはないでしょうか。これは「歯医者」というキーワードに反応して、ユーザーの位置情報を取得しているのです。
そのためクリニックや飲食店、宿泊施設に関するコンテンツには、駅名や地名を盛り込むといいでしょう。位置情報に関連したキーワードを盛り込むことで、サジェストワードをクリックしたユーザーが流入する可能性が高まります。
サジェストには過去の検索履歴が表示されることがあります。その理由は、Googleの検索エンジンに検索キーワードを記憶する仕組みがあるからです。サジェストの中でも、ユーザー自身が検索したキーワードはクリックされやすく、こうしたアルゴリズムによってユーザーはいち早く知りたい情報を入手できます。
Googleは月間の検索ボリュームを見ながら、サジェストに選定するかどうかを判断しています。
これは月間の検索ボリュームが大きいほど、検索される回数も多くなるためであり、Googleが「ニーズが高い」と判断するからです。
検索窓にキーワードを入力した際、ニーズの高い関連キーワードが表示されるのは、ユーザーにとって良いことであり、それはそのままGoogleにとっても有益になるわけです。
前述した検索ボリュームは、個人が特定のキーワードを複数検索した場合でもカウントされます。そのため、故意にサジェストに表示されるための検索行動が発生しかねません。そのため「より多くの人が検索している」という基準が存在します。これが「トレンド」です。一時的にしろ恒常的にしろ、トレンドになっているワードはサジェストに表示されやすい傾向にあります。
Googleでは対象のキーワードを含むWebサイトの存在も、サジェストの選定基準として見ています。例えば、「SEOとは」というキーワードの場合、「SEOとは」が含まれているWebサイトには、どのようなキーワードが他に多いか?という視点でチェックします。
さらにそこから、関連性の高いコンテンツであるか?について独自のアルゴリズムで判断し、サジェストとして表示させています。このようにWebサイトの存在とコンテンツとの関連性もサジェスト基準の一つとなっているのです。
SEO対策について調べていると、サジェストと類似した「関連キーワード」「共起語」などといった言葉を目にしたことがあるのではないでしょうか。以下では混同しがちな2つのキーワードとサジェストとの違いについて解説していきます。
サジェストと関連キーワードとの違いは以下の通りです。
サジェスト | 関連キーワード | |
概要 | 検索窓に入力したキーワードから予測して候補を表示する機能 | ユーザーが検索したキーワード |
表示箇所 | 検索窓 | 検索結果ページの直下 |
SEO効果 | あり | あり |
サジェストは検索エンジンが予測して表示しているのに対し、関連キーワードはユーザーが実際に検索したキーワードのことを意味しています。そのため、関連キーワードは表記ゆれを含むこともあります。関連キーワードは以下のように、検索結果ページの直下に表示されます。
例えば「マスクメロン」と検索して下部までスクロールしても知りたい情報が得られなかった場合、ここからキーワードを見つけて検索することもできます。このように、サジェストは検索時にユーザーをサポートし、関連キーワードは一度検索しても情報が得られなかったユーザーをサポートするのです。
サジェストと共起語との違いは以下の通りです。
サジェスト | 共起語 | |
概要 | 検索窓に入力したキーワードから予測して候補を表示する機能 | キーワードとよくセットで用いられる言葉 |
表示箇所 | 検索窓 | ー |
SEO効果 | あり | あり |
サジェストは検索ユーザーをサポートするのに対し、共起語はキーワードとセットで用いられる言葉を意味しています。例えば、「マスクメロン」というキーワードの共起語には、以下のようなものが挙げられます。
このように共起語を用いると、そのキーワードがどんな検索意図で用いられているのかが見えてきます。
サジェストを用いてSEO評価を向上させるには、以下のポイントを押さえておくといいでしょう。
ここからは、それぞれのポイントについて解説します。
サジェストワードのクリック率は、PCの場合は約8〜15%、スマホの場合は約12%だと言われています。もちろんキーワードによって異なりますが、およそこれくらいのクリック率があると考えられるでしょう。ちなみに、seoClarityの「2021 CTR Research Study」という調査によると、2021年の検索順位別のクリック率は以下のように予測されています。
1位 | 13.94% |
2位 | 7.52% |
3位 | 4.68% |
4位 | 3.91% |
5位 | 2.98% |
6位 | 2.42% |
7位 | 2.06% |
8位 | 1.78% |
9位 | 1.46% |
10位 | 1.32% |
検索順位別のクリック率と比較すると、サジェストワードのクリック率は検索順位別1〜2位のクリック率と近いです。そのため、サジェストワードはユーザーニーズを分析するうえで重要なヒントとなるのです。
サジェストワードは、テーマ設計に活用できます。テーマ設計とは、1つの記事に対してどんなテーマを設定するかということ。「1記事に1テーマ」とするのがユーザーにとって読みやすいコンテンツであると考えられており、ここでサジェストが役立ちます。例えば「SEO」というキーワードに対して、以下のようなサジェストが抽出されたとします。
作成する記事がSEOの初心者に向けたものであるとしたら、「SEO アプリ」は必要ないでしょう。また、「SEOとは」というサジェストがあるように、そもそもSEOの考え方が分からないユーザーがいると読み取れます。
続いて「SEO 対策」とあるため、意味を理解したうえで何をすればいいのか?という検索ユーザーの疑問を解決できるような記事を作成すると、ニーズを満たせる記事ができるのでは?という仮説を立てられます。このように、サジェストワードを用いると記事のテーマを設定しやすいです。
記事のリライトを行う際は、サジェストも活用しましょう。記事のリライトとは、一度アップした記事のコンテンツを書き直すことです。一部コンテンツを追記したり、修正したりすることもあり、場合によってはURLをそのままにしてコンテンツを全て書き直すこともあります。
リライトが必要な理由は、ユーザーニーズが時間の経過とともに変化していくからです。ユーザーニーズを満たしていないコンテンツは順位が下がってしまうため、定期的なメンテナンスが必要です。その際、どんな風にニーズが変化しているのか分析する際に、サジェストを利用しましょう。
これまで抽出できなかったサジェストがあれば、コンテンツに盛り込むようにしてください。また、キーワードとして扱っていたサジェストが表示されなくなっていれば、削除するか別のコンテンツに置き換えたほうがいいかもしれません。
サジェスト汚染とは、「使いにくい」「まずい」など、ネガティブなキーワードがサジェストに上がってしまう状態を意味します。そのため、自社の商品やサービスがサジェストに表示されている場合は注意してください。
サジェスト汚染が発生すると、自社商品やサービスの印象が悪くなってしまいます。こうしたネガティブなキーワードが表示されると、気になったユーザーがクリックすることも少なくありません。
また、クリック後に見たコンテンツを通して悪い印象を持たれてしまう場合もあります。そこで万が一サジェスト汚染が発生してしまった場合は、以下のような対策を取ってみてください。
1つ目の方法は、Googleにサジェストキーワードの取り消しを依頼することです。ただし、Googleにはサジェストを取り消す義務がないため、必ず実施してくれるとは限りません。
2つ目の方法は、良い印象を与えるようなキーワードを増やすことです。これは自社コンテンツに良い印象を与えるキーワードを盛り込む、あるいは口コミを通して印象を改善していく、などです。
サジェスト抽出に便利なツールを、有料・無料に分けてご紹介します。
有料でサジェスト抽出できるSEOツールには、以下のようなものがあります。
有料のツールは無料のツールに比べて機能が多く、SEO対策にも役立ちます。本格的にSEO対策を行いたい企業は、有料ツールがおすすめです。ここからはそれぞれのツールについて紹介していきます。
出典:Keywordmap
Keywordmapは、株式会社CINCが運営しているツールです。競合分析や広告調査など、SEOに関して幅広く利用できます。Keywordmapには以下のような特徴があります。
主な機能 | 競合分析 広告調査 |
会員登録 | あり |
サジェスト抽出以外の機能 | 自然検索調査 競合ドメイン調査 ユーザーニーズ調査 |
ドメインパワーの比較 | なし |
Keywordmapではサジェストを抽出すると、自社・競合サイトのコンテンツに含まれるサジェストキーワードの網羅率チェックを確認できます。これはテーマについて網羅できているかを確認する機能で、これを行うことで競合と比べてより中身のあるコンテンツを作成できます。なお、Keywordmapは有料ツールではありますが7日間は無料です。
出典:MIERUCA
MIERUCAは、株式会社Faber Companyが展開しているツールです。MIERUCAには以下のような特徴があります。
主な機能 | SEO解析 |
会員登録 | あり |
サジェスト抽出以外の機能 | 競合流入キーワード調査機能 検索ユーザーのインサイト調査ツール |
ドメインパワーの比較 | なし |
MIERUCAはSEO解析をメインとしたツールで、サジェストキーワードを取得する機能も備わっています。他のツールと比べて特徴的なのは、キーワードを分類できること。取得したサジェストをネットワーク状に色分けして表示するもので、カテゴリーごとに分類してもらえます。そのため、効率的にサジェストを分析できます。
出典:semrush
semrushは、株式会社オロが運営している競合分析ツールです。SEOや広告に活用できるツールで、全世界で700万以上のユーザーが利用しています。semrushには以下のような特徴があります。
主な機能 | オーガニック検索分析 |
会員登録 | あり |
サジェスト抽出以外の機能 | バックリンク分析 リスティング広告分析 |
ドメインパワーの比較 | あり |
semrushにはオーガニック検索分析をはじめとした機能が備わっています。キーワード調査に関する「Keyword Magic Tool」という機能を活用すると、対象のキーワードによる検索結果をスナップショットで確認でき、大変便利です。
出典:ahrefs
ahrefsは、海外の同名の会社が運営しているSEO分析ツールです。ahrefsは世界的に有名なツールで、メニューが日本語に翻訳されています。そのため、日本人でも安心して利用できるでしょう。ahrefsには以下のような特徴があります。
主な機能 | SEO分析 |
会員登録 | あり |
サジェスト抽出以外の機能 | 被リンク検索 サイト監査 |
ドメインパワーの比較 | あり |
ahrefsはSEO分析に特化したツールで、キーワードについて調査するには「キーワードエクスプローラー」という機能を利用します。これを用いると数千ものキーワードサジェストを取得できるため、ユーザーはキーワード選定に頭を悩ませる必要はありません。
ここまで莫大な数のデータを参照できる理由は、ahrefsが171ヵ国をカバーしているからです。そのため、海外向けにサイトを運営している場合や、英語に強いメンバーが揃っている場合にはおすすめのツールです。
出典:SEARCH WRITE
SEARCH WRITEは、株式会社PLAN-Bが運営しているツールです。このツールは対策すべきキーワードと施策案を提案してくれるため、誰でも手軽に効果を期待できるとしています。SEARCH WRITEには以下のような特徴があります。
主な機能 | SEO施策ツール |
会員登録 | あり |
サジェスト抽出以外の機能 | コンテンツ要素比較 効果測定 |
ドメインパワーの比較 | なし |
SEO施策ツールであるSEARCH WRITEは、基本的にユーザーに施策を提案します。中でも「コンテンツ立案」という機能では、サジェストマップにてサジェストキーワードを一覧で確認できるのです。これは「サジェストマップ」という形で表示されるため、キーワード抽出に役立ちます。
サジェスト抽出できるSEOツールには、以下のように無料で利用できるものもあります。
有料ツールには劣りますが、無料でも重要なデータを入手できます。そのため、個人でサイトを運営している方や、現段階ではコストをかけたくない方には無料ツールがおすすめです。ここからはそれぞれのツールについて紹介していきます。
出典:Google
Googleキーワードプランナーは、Googleが提供しているキーワードツールです。正確な検索ボリュームを知るためには有料プランの利用が必要ですが、キーワードの取得であれば無料でも利用できます。Googleキーワードプランナーには以下のような特徴があります。
主な機能 | キーワード検索 |
会員登録 | あり |
サジェスト抽出以外の機能 | なし |
ドメインパワーの比較 | なし |
関連キーワード取得以外には特に機能はありません。しかしGoogleのデータベースから検索回数の多いキーワードを取得できるため、かなり正確なデータが手に入るでしょう。
出典:ラッコキーワード
ラッコキーワードはラッコ株式会社が運営しているツールです。ラッコ株式会社はキーワードツール以外にも、ラッコドメインやラッコサーバーなど、Webサイトに関連した様々なツールを展開してます。ラッコキーワードには以下のような特徴があります。
主な機能 | サジェスト抽出 |
会員登録 | なし |
サジェスト抽出以外の機能 | 共起語検索 見出し抽出 |
ドメインパワーの比較 | なし |
ラッコキーワードの特徴は、会員登録不要で利用できること。「サジェストプラス」というメニューを選択し、検索ボックスにキーワードを入力するだけで関連キーワードが出てきます。そのため、手軽に利用したいという方におすすめです。
出典:Ubersuggest
Ubersuggestは、Neil Patel Digitalという会社が運営しているツールです。キーワードリサーチに特化したツールで、会員登録なしで利用できます。Ubersuggestには以下のような特徴があります。
主な機能 | SEOアナライザー |
会員登録 | なし |
サジェスト抽出以外の機能 | バックリンク抽出 被リンクデータ |
ドメインパワーの比較 | なし |
Ubersuggestの特徴は、国ごとにキーワード情報を入手できること。キーワードが同じでも国ごとに関連キーワードは異なります。そのため、海外向けにコンテンツを制作している場合に重宝します。
出典:Keyword Tool
Keyword Toolは、750以上のGoogleキーワードサジェストを無料で入手できるツールです。Keyword Toolには以下のような特徴があります。
主な機能 | キーワードサジェスト |
会員登録 | なし |
サジェスト抽出以外の機能 | なし |
ドメインパワーの比較 | なし |
Keyword Toolは媒体ごとにキーワードを取得できることが特徴です。検索窓の上部にはGoogle以外に、YouTubeやAmazonなど、様々な媒体が用意されています。これを用いることで、運営媒体ごとにコンテンツを立案できるため便利です。
サジェスト(Googleサジェスト)についてお分りいただけたでしょうか。サジェストは「ただの検索候補」ではなく、SEO対策にも活用できる便利な機能です。ニーズが多様化している現代のSEO対策において、サジェストを理解し、活用することが重要になってきています。
本記事で紹介したサジェスト機能を活用し、ユーザーの検索意図に沿ったコンテンツ作成に役立てていきましょう!