「Doクエリ」と「Knowクエリ」は、IT業界やWebサイト制作に携わらないと、あまり聞きなじみのない言葉かもしれません。これらの視点は、リスティング広告やコンテンツ制作などWeb制作を進める上では、SEO観点からも欠かすことはできないといえます。
この記事では、DoクエリとKnowクエリとは?という基本的な部分から、それぞれの違いや特徴、Goクエリや Buyクエリ、インテントといった関連性が深い用語についても紹介します。
そして、これらの検索クエリの調べ方や効果的なSEO対策へつなげるポイントについても解説します。本記事を読めば、DoクエリとKnowクエリの違いを理解して、自社にとって最適なSEO対策が取れるようになるでしょう。
なお、「Know-Go-Do-Buy」クエリの分類は住 太陽氏のアイデアのため、出典元として記載させて頂きます。
- 知りたい(Knowクエリ)
- 行きたい(Goクエリ)
- やってみたい(Doクエリ)
- 買いたい(Buyクエリ)
目次
SEO対策を考えていくためには、まずDoクエリとKnowクエリの基本概要を知っておくとよいでしょう。それぞれの特徴について、詳しく説明していきます。まずは両方がどのようなものなのか理解することが、自社ビジネスの発展につながります。
そもそも「クエリ」とはどういった意味なのでしょうか。「クエリ」は、英語の”query”という単語からきていて「質問・疑問・問い合わせ」といった意味を持ちます。
IT業界でもコンピュータ技術において、データベースシステムなどに対して、直接、処理要求などを指示する命令文のことを指します。クエリを通じて、情報の収集、変更、削除、抽出などのコマンドをデータベース(DBMS)に伝達できます。
今回のテーマである「Doクエリ」「Knowクエリ」は、コンピューター関連の意味合いではなく、主にSEO施策の際に使われる言葉のことを指しています。
Doクエリとは、「ユーザーが何かをする・したい」あるいは「ユーザーが何かをする必要がある」というとき、例えば「自転車パンク 修理」のように、検索エンジンに入力します。このとき、「検索エンジンに入力される言葉(ユーザーのする・したいという欲求)」のことをDoクエリといいます。
これは、しばしば「トランザクショナルクエリ」と呼ばれ、ユーザーは、「Do」=「何らかの行動を起こす段階」にいるため、リスティング広告などに対する反応も高く、コンバージョンを獲得しやすいとされています。
このことを、「ユーザーはが何らかの取引(申し込む・近くの修理業者を探すなど)をしたがっている」=「取引型」という区分で分類することもあります。
検索クエリとは?キーワードとの違い、調べ方と分析方法を解説
Knowクエリとは、ユーザーが「何かを知りたい」「何かを調べなくてはならない」というとき、そのテーマに関する知識や方法を知るために「検索エンジンに入力される言葉(ユーザーの知りたい欲求)」のことを指します。
例えば、「食器 洗い方」「リフティング うまくなる方法」など、Knowクエリを検索するユーザーは、「解決策を知りたい」という意図ゆえに、検索後に商品を購入したり、何か行動を起こすかどうかは不明であるという点が特徴でもあります。
Knowクエリは「インフォメーショナルクエリ」と呼ばれ、「情報収集型」という区分で分類することもあります。
DoクエリとKnowクエリは、どちらもユーザーの行動に関係する言葉ですが、ユーザーが置かれている状況が異なるという点に違いがあります。それぞれの違いについて、改めて見ていきましょう。
ユーザーの「行動」と関連性が高く、「具体的な行動」とつながります。例えば、「転職サイト 登録方法」「Jリーグ チケット購入」などです。ユーザーとしては、その行為に対する気持ちや行動はすでに決まっていて、そのために「具体的に、どう行動するか」という段階といえます。
「仕事 うまくいく方法」「Jリーグ 湘南ベルマーレの選手」など、先ほどのDoクエリの一歩手前の段階で、知識を得たり、考える段階にあるといえます。
少し注意が必要なのは、例えば、「シミ 薄くする方法」という検索クエリです。この場合、シミを薄くする方法を知って自分の母親に教えるだけ(Knowクエリ)かもしれないし、すぐにシミ消し化粧品を買う(Doクエリ)かもしれません。このように、両方の要素をもつクエリも存在することも知っておきましょう。
SEO施策の中で使われる重要なクエリは、全部で4つとされています。すでに紹介したDoクエリとKnowクエリの他に、GoクエリとBuyクエリという2つがあるのです。GoクエリとBuyクエリについて解説します。
「ナビゲーショナルクエリ」とも呼ばれ、ユーザーの「特定のウェブサイトを見たい」「特定の場所に行きたい」といったときに「検索エンジンに入力される言葉(ユーザーの行きたい欲求)」のことを指します。
例えば、「湘南 おいしいレストラン」「Amazon」など、Goクエリのほとんどは、地名やサイト名といった固有名詞であることも特徴のひとつです。
レストランやカフェ、美容院やエステなど、実店舗を運営しているオーナーが、リスティング広告を検討する際に、非常に重要なクエリになるといえるでしょう。
Goクエリは「案内型」として分類することができます。この分類方法は、これまでに紹介した「取引型」「情報収集型」の3つに分けています。
Buy=「買う」という言葉通り、ユーザーが「特定の製品やサービスを購入したい」「どの製品を買えばいいか、購入する価値があるかを判断したい」というときに「検索エンジンに入力される言葉(買いたい欲求)」を指しています。
「ヨコハマタイヤ スタッドレス」「Bluetoothイヤホン おすすめ」など、「買う」行動につながるキーワードです。Doクエリと重なる部分があるクエリでもあります。
Buyクエリは、Doクエリ同様、ユーザーの心は、すでに「買う」という行動に強く傾いている段階であるため、購買意欲が高く、コンバージョンを見込めるユーザーであると考えることができます。「取引型(トランザクショナルクエリ)」に分類できるでしょう。
SEO施策からすると、Doクエリ同様にとても魅力あるのがBuyクエリですが、競合他社も狙うキーワードであるため、リスティング広告などでは競争が激しくなるというデメリットがあります。
リスティング広告で集客を増やすためのポイントを解説
Doクエリ、Knowクエリ、Goクエリ、Buyクエリという4つの主要クエリを活用する際に知っておきたいのが、「インテント」または「検索インテント」という言葉です。
インテントとは、英語の ”intent” =「意図・意向・目的」という言葉からきていて、「検索意図」などと訳されます。
具体的には、ユーザーが検索に至る際の「ユーザーの心情や感情」「ユーザーの行動目的」「ユーザーが求めている事柄」などを示し、「インテント」を細分化したものが、Doクエリ・Knowクエリなどの4つのクエリ、または「取引型」「情報収集型」といった3つの区分になると考えるのが一般的です(※)。
※これらの区分には、いくつかの捉え方があり、異なる場合もあります
検索クエリとキーワードを混同する人がよくいますが、両者は同じ言葉ではありません。
ユーザーが何かを調べるときなどに、検索エンジンに挿入する単語やフレーズのこと。タイプミスや文法エラーを含む場合もある。
広告主やマーケティング担当者が、SEO施策やリスティング広告施策などを講じる際に、検索上位やクリック率を上げるために選んだ単語やフレーズのこと。キーワードには、単語の羅列だけでなく、文章を包含するような長い表現が含まれることも珍しくない。
検索クエリは、「ユーザーが、どういった言葉で情報を調べているのか」というのが主な視点。キーワードは「企業が、どういった言葉を使えば、自社の商品や広告をユーザーにつながるのか」というのが主な視点です。
DoクエリとKnowクエリについて概要はつかめたと思いますが、これらをどうSEO施策やWebマーケティング戦略に活用していくのでしょうか。効果的に用いるためのポイントを解説します。
検索クエリからSEO対策に仕上げていくために、欠かすことができない3つの要素を紹介していきます。
最初に行うべきなのは、「自社の商品やサービスを購入してもらいたいユーザー層」=「ターゲット層」を明確化することです。「シミ クリーム」であれば、「40歳代以上の女性」または、男性に特化した化粧品であれば「40歳代以上の男性」が、主なターゲット層となるでしょう。
次に、ユーザー層の「検索目的」を明確化しましょう。「シミ クリーム」であれば、病院や美容クリニックではなく、「自分で治したい」というインテントがあるでしょう。
これらを踏まえて、どのようなターゲットにどういった行動をとって欲しいのか、自社が掲げる目的とをすり合わせていきます。
次に、自社のWebサイトに来訪してくれるユーザーの中で、最もメインかつ、重要となるユーザーのイメージを決めていきます。
先ほどの「ターゲット層」と混同されることが多いのですが、「30代女性」といっても、「Aさん:結婚経験のない独身会社員の方」「Bさん:結婚して専業主婦をしながら1人の子どもを育てている方」「Cさん:3人の子どもを育てながらフルタイムで仕事をしている方」とでは、生活パターンや求める商品・サービスなどが異なります。
自社のWebサイトに来訪してほしいのは「30代女性」の中でも、Aさん、Bさん、Cさんのどの方なのかを決めていく作業をしましょう。
仮にCさんなのであれば、年収、夫の年収、人柄、育児体制、子どもの年齢や学校のレベルなど、イメージをより具体的に細かい部分まで設定していきます。このイメージした架空人物設定のことを「ペルソナ」といいます。
このペルソナを軸にして、ユーザーの検索クエリに見られる傾向や行動履歴を分析していきます。ユーザーがどのような方なのか、どのように関わっていけばいいのかを正確に概念化することで、ペルソナに合ったより戦略的なSEOキーワードを設定できるようになります。
ペルソナとは?役割と定義、設定ポイントを解説
次は、企業側もしくは広告主の視点で「キーワード」を探す作業に入ります。ペルソナに合うキーワード選定ができるかがポイントとなります。
一例として挙げてきた「シミ消しクリーム」の場合でも、ペルソナが「比較的、金銭的に余裕がある女性」と「そうではない女性」とでは、検索クエリも異なります。自社のWebサイトやリスティング広告、コンテンツで使用する「キーワード」は、そういった視点で選んでいく必要があるのです。
このキーワード選びには、Googleが提供している「Google広告」というツールを活用しましょう。「キーワードプランナー」という機能では、例えば「冷蔵庫 掃除」というキーワードを入力すると、それに関連する「キーワード候補(「冷蔵庫 掃除 やり方」「冷蔵庫 掃除 下」「冷蔵庫 掃除 裏側」など)」と、それぞれの「検索ボリューム予測数」「広告費の目安」などが提示される仕組みになっています。
キーワード候補だけでなく、検索ボリュームや広告費なども比較・検討しながら、自社にあうキーワードを探していきます。
Google広告(リスティング広告)の設定を解説
SEO対策で有名なGoogle Analytics(Googleアナリティクス)は、自社のWebサイトに訪れたユーザーがどれくらいサイト内にとどまってくれたか、どのページを見てくれたのかなど、公開しているWebサイトやコンテンツ記事に対する行動履歴を調べることに長けているツールです(※)。
その一方で、同じGoogleが提供しているGoogle Search Console(Googleサーチコンソール)は、自社のWebサイトには、どのようなキーワードで検索したユーザーが来訪しているのかという「流入キーワード」、つまり「検索クエリ」を確認することができます。
自社がよいと思って設定したSEOキーワードで実際に来訪しているのか、来訪につながる別のSEOキーワードはないのかなどを見直すことで、これまで想定していた検索クエリやペルソナによる自社のSEO戦略を、よりリアルに分析・見直しすることができます。
検索クエリを把握できるようになれば、ユーザーが何を求めて検索するかを知る大きなヒントになります。
Google Search Consoleはこの他にも、WebサイトがGoogleにどう評価されているかについても確認できる有用なツールです。Webマーケティング施策を講じたいなら、必ず導入すべきツールといえます。
※Google Search Consoleと連携させることで、Google Analyticsでも検索クエリを確認することができます。
Googleサーチコンソールとは?使い方と登録方法や設定を解説
Webサイトの集客状況を分析する際にGoogleアナリティクスと同じくらい役立つのがGoogleサーチコンソールです。サーチコンソールへの登録方法やGoogleアナリティクスとの連携方法について、わかりやすく解説します。
ここまでのポイントを振り返りながら、DoクエリとKnowクエリをWebマーケティング施策として活用するまでの大まかな流れを確認していきましょう。具体的な例を交えて見ていきます。
「シミ対策クリーム」を販売している化粧品会社。検索ニーズでは「40代以上の働く女性、2人の子育て中、経済的にはやや余裕あり」というペルソナで、「シミ 対策」「シミクリーム おすすめ」「シミ 原因」という検索クエリに注目しました。
SEO対策を意識したキーワード選定では、検索エンジンで得た検索クエリとつながるキーワードを考えます。この例であれば、「シミ対策 おすすめ 化粧品」「シミ 原因 対策クリーム」「シミ クリーム 効果がある」「シミクリーム 40代 口コミ」といったイメージです。ここでは、ロングテールキーワードなども、うまく使いながら自社の商品につながるキーワードを考えていきます。
ここで選定したキーワードを、リスティング広告に入れて広告戦略としたり、Webサイトやコンテンツ制作、ときには、コラム記事などに埋め込んで、SEO対策として作り上げていくのです。
DoクエリやKnowクエリなどの検索クエリでは、「ユーザーの興味や嗜好、行動目的」といったユーザーの「検索ニーズ」を調査・分析することを主な目的としています。自社の「ターゲットや検索目的を明確化する」「ペルソナに落とし込む」といった作業を通じて、自社の商品やサービスに合った検索クエリを調査・分析しましょう。
次に、そこで得た検索ニーズから、自社の商品やサービスにつながりそうな「キーワード」を選定していき、自社のWebサイトやリスティング広告、コンテンツ制作などに活用していくというのがSEO対策として活用するまでの主な流れです。
このとき、勘や、社内に昔からある経験などに頼るのではなく、Google Search ConsoleやGoogle広告、Google Analyticsなどのツールを活用することで、最新の流れを、最新のデータと紐づけながら進めていくことが効果的なSEO対策の肝になります。
それぞれのクエリの効果的な使い方を知ることは、検索エンジン最適化の成果を最大限に引き出すための鍵。ユーザーが求めていることを検索クエリを活用してしっかりとらえ、自社のさらなる発展へとつなげていきましょう。