mercari careersリニューアル:会社の成長とともに、採用サイトも新たなフェーズへ

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mercari careersリニューアル:会社の成長とともに、採用サイトも新たなフェーズへ

メルカリ様の採用サイト「Mercari Careers」を5年ぶりにフルリニューアル。採用候補者への情報伝達、ユーザーの利便性、そしてメルカリのカルチャーを表現するデザインにこだわりました。さらに、WCAG2.0 AA準拠のアクセシビリティ対応を行い、誰にとっても使いやすいサイトを実現しました。

  • 課題
    • 採用候補者に対して適切な情報を伝え、ユーザーが迷わないサイト設計をしたい
    • メルカリのカルチャーを表現するビジュアル表現を確立したい
    • アクセシビリティ対応(色の使用、コントラスト、テキストサイズ、キーボード操作など)の基準を満たしたい
  • 提案
    • メルカリのカルチャーを視覚的に伝えるため、ブランドの人格分析などを行い、PJメンバー間での目指す方向の整理
    • 週2回の定例で密に話し合いを重ね、画面設計やデザインなどのアウトプットを細かく確認・調整
    • 画面設計、サイト仕様ともに細かく資料を作成しユーザビリティを意識したサイト設計
    • WCAG2.0の適合レベルAAを目指した、細かいアクセシビリティ対応
  • 成果
    • 採用候補者に伝える情報が整理され、迷わない設計が実現。
    • メルカリのカルチャーを反映したビジュアル表現が完成。
    • アクセシビリティ基準WCAG2.0の適合レベルAA達成
    • メルカンも統合し、採用サイトと採用関連メディアを一つのCMSで効率的に管理できるようになった

制作後インタビュー

瀬尾さまプロフィール

株式会社メルカリ

  • Employer Branding Team

    瀬尾

  • Employer Branding Team

    瀬尾

株式会社メルカリでは、会社の成長や求職者へのニーズの変化に合わせて、採用サイトを5年ぶりにフルリニューアルしました。

もともと採用力がある同社では、さまざまな採用チャネルから多数の求職者が応募してきます。選考前や最終選考のタイミングで、同社の情報を求めて求職者がアクセスする採用サイト。しかし、会社の成長の過程でつぎはぎ的に要素が追加されたサイトでは、使い勝手などの面で課題が生じていました。

今回は、株式会社メルカリの本件プロジェクトリーダーの瀬尾様、サイトリニューアルの制作を担当したニュートラルワークスのプロデューサー竹岸、ディレクター大川、エンジニア神奈川で、リニューアルを振り返っていきたいと思います。

※記事内では「株式会社」や役職名の表記を省略させていただき、ニュートラルワークスは「NW」にて記載いたします。
※インタビュアー:ニュートラルワークス 竹岸、大川、神奈川

会社の成長に伴い表出してきた採用サイトの3つの課題

NW大川:今回、弊社にご依頼いただいたのは採用サイトのリニューアルでした。採用サイトに対して、元々どのような課題感をお持ちだったのでしょうか?

メルカリ瀬尾様:リニューアル前の採用サイトは2019年に公開したものなので、制作から約5年が経過していました。その間に事業も組織も規模が大きくなって、人材も増え、グループの全体像が見えにくくなるなか、採用サイトは3つの課題を抱えていました。

1つ目は、採用サイトにおいて、フリマアプリ以外の事業の詳細を伝えられていなかったことです。メルカリの主力事業であるフリマアプリ「メルカリ」については、詳しい説明が必要ないくらいに認知されていると自負しています。

しかし「メルペイ」や「メルコイン」といったフィンテック関連の事業については、どういう目的で取り組んでいて、他の事業とどういったシナジー効果があるのか、といった点がわかりにくかったと思っています。

もちろん「メルペイ」も「メルコイン」も、オウンドメディアの「メルカン」をはじめ、さまざまな媒体で説明する機会は多かったものの、それらの情報が採用サイトには集約されていなかった。これは大きな課題として感じていました。

2つ目は、リニューアル前の採用サイトはその目的と役割を果たしてしまっていた、つまり今の会社の規模と事業フェーズには合わなくなっていたことです。以前の採用サイトは、アクセスするとまず目に飛び込んでくるのが「Go Bold」「All for One」「Be a Pro」という当社の3つのバリューで、メルカリのカルチャーを全面に押し出すかたちでした。

以前の採用サイトTOP

なぜそのような作りにしていたかというと、カルチャーを強く訴求し、そこに共感できる方に集まっていただきたかったからです。この方法は非常にうまくいったと思っているのですが、一方で、入社した人たちがどんな仕事に取り組んでいるのか、どんな思いを持って業務に携わっているのかまでは伝えられていませんでした。

カルチャーに共感する人たちは集まった。だから、採用サイトも次のステップに進む必要があったんです。

そして3つ目の課題ですが、リニューアル前の採用サイトは5年の間に増改築を繰り返してきたため、単純に使いにくいサイトになっていたことです。情報が探しにくく、求職者にとって一番の情報源となる採用関連のオウンドメディア「メルカン」との連携もうまくできていませんでした。

採用サイトもメルカンも、「採用」という同じ目的を持っているにもかかわらず、別々に存在しているような状況でした。

いずれの課題も、メルカリという会社が認知獲得のフェーズを終えて、次のフェーズに移行したからこその悩みでした。

NW大川:制作当初、そういった採用サイトの課題感など、メルカリ様社内のメンバー間で認識がしっかり揃っていたのがすごく印象的だったのを思い出します。明確にお伝えいただけたからこそ、このプロジェクトはスムーズに進めることができたのだなと改めて思いました。

現状把握のためのヒアリングを行った人数は150人以上

NW竹岸:御社くらいの会社の規模になると、社内調整がとても大変そうですが、どういったプロセスを踏んで進めていったのでしょうか?

メルカリ瀬尾様:今回のリニューアルでは、まずは現状把握ということで、自チームで仮説を立てて、その仮説が正しいかどうかについて、採用チームや採用部門のVP(バイスプレジデント)、さらには会社の仕組みづくりの中心にいるバックオフィス部門にも広くヒアリングを行いました。

プロジェクトを前に進めるために押さえておかなければいけないマネージャー陣と合意を取りつつ進めてはいましたが、ステークホルダーが多いため、誰にどこまでヒアリングすればよいのかなど、悩ましい部分も多かったですね。

NW竹岸:関係者が非常に多いですね。

メルカリ瀬尾様:それだけでなく、リファラル採用で入社したメンバーや、ここ半年から1年の間に入社したメンバーにも「入社前にどういう印象を持っていたか」「入社後にどういう体験をしたか」などをヒアリングしました。

自分達が解消したいと思っている課題と、求職者が本来得たかった体験を一致させることがこのリニューアルの目的の一つでもあったため、「採用側の都合」と「求職者側の入社までの体験」の両方の観点が必要だったんです。おそらく、150人以上にヒアリングしたと思います。

NW竹岸:150人はすごいですね!情報量が多すぎて収拾がつかなくなりそうです。

メルカリ瀬尾様:ところが、みんなの意見は最終的にはさきほど挙げた3つの課題のいずれかに集約されるんです。

メルカリのカルチャーには共感しているけれど、例えばメルコインがどんな会社なのか、メルカリ ハロがどんなサービスなのか、なかなか上手く伝わっていない。自チームのメンバーはみんな、私を含めてプロジェクトスタート時には入社1年でしたが、入社時点ではグループ全体の構造が理解できていない人がほとんどでした。そうした自分たちの「転職者としてのリアルな感覚」も大切にしました。

必要な情報が探しやすくなり、こまめに見てもらえるように

NW大川:今回のリニューアルを通じて、3つの課題は解消されましたか?

メルカリ瀬尾様:リニューアル後のサイトは、トップページにインデックス情報が集約されていますし、回遊も考えられています。リニューアル前のサイトのインパクトが大きかったため、そのイメージに引っ張られて、あるべき姿をイメージできている人が少ないなか、きちんとゴールに導いてもらえて本当によかったです。

リニューアル後の採用サイトTOP

加えて、採用サイトのリニューアルを行ったことで、そのあとに改修したメルカンもすごくいいかたちにリファインできました。採用サイトとメルカンのリニューアルをそれぞれ個別に実施するのではなく、長期プランとして一緒に見てもらえたことも課題の解消につながっていると思います。

リニューアル後のメルカンTOP

NW大川:弊社としても“クライアントと制作会社“というよりは、一つのチームとして意見を出し合いながら進めることができ、とても感謝しています。ちなみに、採用サイトのリニューアル後、採用活動に変化はありましたか?

メルカリ瀬尾様:メルカリはもともと、エージェント経由の応募やリファラル採用、各種SNSやイベントを通じての応募が非常に多いため、オーガニックで採用サイトを見に来て求人に応募する人の割合は高くはありません。

このように、豊富な採用チャネルからたくさんの求職者の方に応募いただくわけですが、メルカリに興味を持った最初のタイミング、あるいはいよいよ応募するという直前のタイミングで見てもらう採用サイトの作りがよくなかった。それが、リニューアルを通じて、必要な情報が探しやすくなったという声を聞くようになりました。

NW竹岸:まだオープンして間もないので、目に見えて効果が表れるのはこれからですね。

メルカリ瀬尾様:メルカリに限らず、採用サイトは通常、応募するタイミングや、二次面接、最終面接のタイミングで閲覧されることが多いと思います。しかし、今回のリニューアルによって、そうしたタイミング以外でもこまめに見てもらえるようになったと思います。

まずは、求人に応募するか否かにかかわらず、メルカリの事業のことや各部門のリーダーからのメッセージを採用サイトで見てもらって、求人への応募が徐々に現実味を帯びてきた段階でメルカリでの働き方も詳しく見てもらうといったかたちで、求職者と関わる期間が長いサイトだと思っています。

大規模な改修だからこそ、経験豊富なニュートラルワークスを選択

NW大川:採用サイトをリニューアルするにあたり、複数の制作会社のなかから弊社をお選びいただいたかと思いますが、決め手となったポイントなどがあれば教えてください。

メルカリ瀬尾様:詳細は当初依頼を決めた前任者に聞かないとわからないのですが、CMS構築の部分でコーポレートサイトも含めて大規模なものを想定していたこともあり、過去実績を拝見したときに採用サイトの制作経験も豊富だったため、経験値やリソースの観点からニュートラルワークスさんを選んだと聞いています。

NW竹岸:CMS構築の部分で言えば、ヘッドレスCMSにしたのは大きな変化ですよね。

NW神奈川:会社として、制作物は最新のフレームワークを使うといった方針はあるんですか?

メルカリ瀬尾様:その時々ではありますが、「この分野に注力する」となったら一気に投資します。会社全体として、新分野への投資が標準化されているというわけではなく、「次はこの事業が伸びそうだ」となれば、そこに投資します。

現在は、社員向けに内製でChatGPTを開発したりしていますし、社内の業務改善やメンバーの生産性向上のため新しいSaaSのサービスの導入にも積極的です。社内のITツールには相当投資していると思いますね。

メルカリは以前から「グローバルテックカンパニー」を標榜していますが、その言葉には2つ意味があります。ひとつは「世界に出て挑戦する」という意味、もうひとつは「世界水準の技術力に投資しよう」という意味です。

さきほどもお話ししたとおり、メルカリはありがたいことに特に大きなアクションを起こさなくても人材は集まります。ですので、採用関連の業務にテクノロジーを投入した場合、それが採用にどのくらい直接貢献するのかは測りづらいところもありますが、それでもテックカンパニーとして最新の技術への投資は惜しみなく行っていくと思います。

NW竹岸:サイトの完成まで何度も改善を繰り返してきたので、本当によい採用サイトができあがりましたね。

メルカリ瀬尾様:そうですね。おかげさまで、採用サイトの骨組みはしばらく変える必要はなさそうです。背景色や文字色、写真の位置の変更といったことは行うかもしれませんが、サイトの形を大きく変えるようなことはしないと思います。

一方で、形はこのままに、コーポレートサイトとの連携をもっとシームレスにしたいとも思います。現状では、採用サイトとコーポレートサイトを両方見たい時に、ユーザーに行き来させているところが弱点だと思っているので、まだまだ改善できるところはあると思っています。

多くの人が入れ替わっても、カルチャーは揺るがない

NW大川:とにかくサイトの規模が大きいので、リニューアルまでにけっこう時間がかかりましたが、プロジェクトを進めているなかですごいと感じたのが、メルカリの社員のみなさんのカルチャーへの理解です。どういった取り組みをすれば、御社のようにカルチャーが共通認識として浸透していくのでしょうか?

メルカリ瀬尾様:結局は、メルカリのカルチャーに合うか合わないか、それだけだと思います。基本的には、カルチャーにフィットする方が応募していただけますし、逆にとても優秀な方であっても、当社のカルチャーに合わなそうな人は選考を通過しません。

メルカリは新陳代謝が活発で、目まぐるしく人が入れ替わっているのに、カルチャーはまったく揺るがない。それは、当社の強みだと思っています。

一緒に採用サイトを作り上げる一つのチームとして

NW大川:一緒にお仕事をさせていただいたなかで、印象残っているエピソードなどがあれば教えてください。

メルカリ瀬尾様:そうですね…一番印象残ってるのは、予定していた公開タイミングよりも大きくズレてしまったことです。当社都合でスケジュールがズレこみましたが、それでも粘り強く付き合ってくださって本当に感謝しています。

ニュートラルワークスさんには、アクセシビリティ対応まで徹底的に行ってもらって、社内の誰に見せても文句が出ないという状態まで仕上げてもらいました。だからこそスケジュールが延びた部分もありますが、そのおかげで成果物として非常によいものができたと思っています。

私は、ニュートラルワークスさんのことを「一緒に採用サイトを作ってくれるチームの一員」として考えていましたし、ニュートラルワークスさんもそういう意識で取り組んでくれていたのも印象深いですね。

NW神奈川:私個人としても、とてもいい経験ができたと思っています。

メルカリ瀬尾様:採用サイトが納得のいく仕上がりになりましたし、ほかのコーポレート関連のタッチポイントをリニューアルする際に、いい意味でハードルを上げることができたと思います(笑)。

会社が急成長する今こそ、リニューアルすべきタイミングだった

NW大川:今後、弊社に期待することや、改善点などがあれば教えてください。

メルカリ瀬尾様:今回、これだけ濃密にコミュニケーションをとってきたわけなので、これからも一緒にサイトを成長させていければと思っています。採用サイトに関して言えば、向こう2~3年は大きく手を入れることはないと思いますが、メルカンに関してはやりたいことが残っているので、引き続きよろしくお願いします。

NW大川:おっしゃるとおり、メルカン側ではまだまだいろいろなことができそうですね。

メルカリ瀬尾様:今回のリニューアルでは、メルカンは部分改修にとどまりましたが、それでもかなり見やすくなったと感じています。

また、これまでサイト管理に使っていたCMSの仕様が古すぎて更新が大変だったのですが、採用サイトとメルカンを一つのCMSで管理できるようになった点も、ニュートラルワークスさんの大きな功績だと思っています。

NW神奈川:フレームワークも新しくなって、基盤はしっかりできたと思います。今後が楽しみですね。

メルカリ瀬尾様:このプロジェクトを進めている間にも、新しいサービスが生まれたり、各事業が大きく進化したので、今のタイミングでリニューアルしなければ、いっそう難しい状況になっていたと思います。大変ではありましたが、リニューアルしてよかったと思います。ありがとうございました。

NW大川:お褒めの言葉をたくさん頂戴しまして、誠にありがとうございます。これからもみなさまのご期待に沿えるよう努めますので、引き続きよろしくお願いいたします!本日は、誠にありがとうございました。

  • クライアント

    株式会社メルカリ

  • 制作実績

    採用サイト制作

  • 対応サイトURL

    株式会社メルカリ採用サイト

  • 弊社対応範囲

    ディレクション、デザイン、フロントエンドエンジニアリング、バックエンドエンジニアリング

  • プロジェクト期間

    2024/7